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(2) 沖 縄 島 の 河 川 の 特 徴 と 課 題 自 然 再 生 事 業 の 最 初 の 段 階 として 対 象 河 川 に 対 する 問 題 認 識 が 挙 げられている 3).これは 対 象 河 川 における 望 ましい 姿 を 抽 出 設 定 し, 現 実 との 差 異 を 問 題 とし

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地方中小河川における自然再生計画のための

河川の分類と評価-沖縄島を対象として-

宮良 工

1*

・神谷 大介

2

・赤松 良久

3

・乾 隆帝

4

・上鶴 翔悟

3 1沖縄県環境科学センター 総合環境研究所(〒901-2111 沖縄県浦添市字経塚720) 2琉球大学 工学部環境建設工学科(〒903-0213 沖縄県西原町千原1) 3山口大学大学院理工学研究科(〒755-8611 山口県宇部市常盤台2-16-1) 4徳島大学大学院ソシオサイエンス研究部(〒770-8560 徳島県徳島市南条三島町2-1) * E-mail: miyara@okikanka.or.jp 沖縄島において河川構造の改善による自然再生事業は,河川・汽水域生態系の再生のために不可欠であ るが,実施に当たっては全体の優先順位を明らかにして計画を立案する必要がある.このため,沖縄島全 二級河川に主要な普通河川を加えた全61河川において水質汚濁の指標としてのDO,濁度,T-N,T-Pの現 地調査を実施し,この結果と既往の河川魚生息状況調査結果,地域の環境再生活動創始ポテンシャルの評 価結果を用いて,自然再生計画のための河川の分類・評価を行った.この結果,沖縄島中部地域の河川群 で自然再生に関する優先順位が高くなる ことが明らかとなった.

Key Words : nature restoration planning,water pollution,stated priorities points of regeneration 1. はじめに 地域の環境問題は,1960年代の公害を中心とした問題 から,1990年代には環境基本法改正(1993),河川法改正 (1997)のように身近な自然環境の保全や人と自然との共 生が注目されるようになり,2003年には自然再生推進法 制定にみられるように積極的な取り組みへと変化してき た.これらを受けて,河川管理者と地域住民の共同によ る河川自然再生の取り組みが全国的に広がってきている. しかし近年では,その地域差が大きくなってきており, また広がりの速度が鈍化している1) 生物多様性地域戦略が各地で策定され,自然再生に係 る長期的なVisionが作られてきている.さらに,各地の 取り組み事例を基に自然再生のためのProjectに関する蓄 積もなされるようになってきた.しかし,計画論として はVisionとProjectの間をつなぐ基本計画Master Planおよび これを作るためのPlanningが必要となる2).環境問題の中 で身近な自然環境である河川が注目される一方,河川の 自然再生には護岸改修等の施設整備を伴う事業も多く, 財政的制約がある中において,どこから事業を行うべき かを決定するための方法論が必要となる. 以上の認識の下,本研究では図-1に示す沖縄島の二級 河川を対象として,その特徴を踏まえたうえで,河川改 修を伴う自然再生事業における優先度の決定方法につい て検討する. 2. 対象地域の概要と自然再生優先度の考え方 (1) 対象地域の概要 本研究で対象とする沖縄島は1972年の本土復帰前後よ り,数多くの社会資本整備,都市・農地開発が実施され, 河川環境は大きく変貌した.その象徴として,アユの亜 種リュウキュウアユが1980年代初頭に沖縄島から絶滅し た.これに対し,リュウキュウアユを蘇生させる会,や んばる河川海岸自然再生協議会,奥川自然再生協議会の 発足等,自然再生の社会的ニーズも高まってきている. 沖縄県においても,生物多様性地域戦略を策定し,河川 を含めた自然環境の再生指針を策定中である.この指針 は沖縄県の長期計画である「沖縄21世紀ビジョン」の下 で,失われた自然環境を取り戻すための計画である. 土木学会論文集G(環境), Vol.70, No.5, I_285-I_291, 2014.

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(2) 沖縄島の河川の特徴と課題 自然再生事業の最初の段階として対象河川に対する問 題認識が挙げられている3).これは対象河川における望 ましい姿を抽出・設定し,現実との差異を問題として認 識するというものである.このため,まず沖縄島の河川 の特徴および現状の課題について示す. 沖縄島は琉球列島の中琉球に位置し,元々1,500m級の 山地であったが,地殻変動による隆起と沈降,最終氷期 後の海水面の上昇とともにその山頂付近が残ったものと 考えられている4).従って河川は渓流部分が直接海に注 いでおり,可児の河川形態5)で言うBb-Bc移行型,Bc型の 下流デルタは存在しない.このような状況下において治 水のための河道拡幅や河道の直線化が行われ,直線化に よる流速上昇を防止するため多数の落差工を設置して緩 勾配化を図ってきた.これらにより流速は低下し,河床 への土砂堆積を助長しているものと考えられる.このこ とは,主に湖沼や流れの緩やかな場所で生息するような 外来種の定着を助長する一因となっていると考えられる. また,河口閉塞,無水区間の発生・瀬切れ,河川横断構 造物の設置等は,海と川を行き来して生活する両側回遊 性種,降河回遊性種,及び海域・汽水域を主な生息場所 とするが淡水域まで生息範囲を広げる場合がある一部の 周縁性種にとって遡上障害となっている6)7).このため従 前の河川生態系を復活させることを目的とする自然再生 に当たっては,河川構造の改善が必要となる. 南部地域には,水質の環境基準E類型にあたる河川が あり8),特に強い汚濁を受けた河川では生物に対して高 濃度で毒性を示すアンモニウム態窒素などが高い河川も 存在している9).これらの河川では自然再生に関する主 たる課題は水質であり,原因となる畜舎排水等の適正処 理や汚水処理率の向上による対策が必要だと考えられる. (3) 河川の特徴・課題を踏まえた優先度の考え方 前節で示した河川の特徴および課題認識より,本研究 では水質と河川構造に着目する.前者については,経年 的に水質観測を行っている河川が少ないため,新たな調 査を実施する.後者については,魚類の生息状況を代理 変数として河川構造の問題点を捕まえることとする.そ の上で,自然再生における住民参加の重要性に鑑み,住 民主体の自然再生活動ポテンシャル 評価結果を用いて, 再生の優先度評価を行うこととする.具体的には,以下 の通りである. まず,水質は新たに調査を実施する.魚類生息状況に ついては,沖縄島全河川の淡水区間における魚類調査結 果10)を用いて,河川の構造上の問題点を類型化する.前 節で示したとおり,河川横断構造物等が外来種にとって 好ましい環境を作りだしていること,周縁性種の遡上障 害を引き起こしていること等より,魚類によって評価を 行うこととする.そして,これらを用いて河川の類型化 を行う.類型化が意図するところは,河川間において相 対的評価を行い,自然再生事業の優先順位をつけること にある.これら相対評価によって,河川構造が主たる問 題点である河川を明確にする.その上で,松本ら11)によ る地域活動ポテンシャル評価結果を用いて優先度を決定 する.この評価は自然再生において重要な住民参加を意 図したものであり,詳細は4.で説明する. 3. 事業優先度決定のための河川の類型化 (1) 対象河川及び調査地点の概要 沖縄島の二級河川と比較的流域規模の大きな普通河川 である大浦川,平南川,慶佐次川を加えた61河川を対象 に水質調査を実施した.調査地点は,潮汐の影響を避け, 且つ可能な限り流域の汚濁負荷を捉えることができるよ う原則として河川淡水区間最下流とした.ただし,二級 指定区間全域が感潮域の潮渡川では,感潮区間において 現地観測及び採水を行った.このため,潮渡川を除いて 感潮区間への汚濁負荷の流入による同区間の水質汚濁に 関しては把握できていない.調査地点は全てGPSを用い て位置座標を記録しており,図-1に示すとおりである. 前章で示した河川構造の問題点を類型化するための魚 類調査10)は全淡水区間を対象に実施されており,水質調 査は同魚類調査範囲の最下流端で実施されたことになる. (2) 水質調査の概要と結果の考察 水質調査は,条件を統一するため,出水の影響が無く, 図-1 対象河川と調査地点 北部 中部

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数週間快晴が継続した2013年8月6日~9日の短期間に実 施した.調査には多項目水質計(WQC-24,(株)東亜ディ ーケ-ケー)を用い,DO(溶存酸素),濁度を現地測 定し,同一試料を用いてT-N(総窒素),T-P(総リン) の室内分析を行った. 水質調査結果の内,濁度を図-2,T-Nを図-3に示す.濁 度,T-Nともに北部で低く,南下するにしたがって高く なっている.那覇市等が位置し,人口および産業が集中 する中南部の方が,水質悪化が進んでいることを示して いる. (3) 魚類調査の概要と結果の考察 嶋津の調査10)では,沖縄島の全河川純淡水区間におけ る魚類調査を行っており,外来種は19分類群(不明種2 種を除く),在来種は周縁性魚類も含めて41分類群を確 認したとしている.ただし,環境省RL12),沖縄県RDB13) 水産庁DB14)掲載の絶滅危惧種14分類群の分布河川情報は 伏せられている.これらの出現魚類の一部は,その生態 情報から河川構造の課題性や健全性を検討可能なため, 自然再生の必要性について優先性を求めることに利用可 能である. 本研究の対象河川に出現するもののうち,利用可能と 考えられる魚類の抽出結果を表-1に示す.表中,外来種 8分類群は,池沼,湖沼,流れの緩い河川下流で生息す る種である.また,一部は,砂泥等に巣穴を作って繁殖 する15)16).先述したように沖縄島の河川は本来急勾配区 間が直接海に注ぎ,下流淡水区間は極めて短く,カワス ズメ属を除く外来種は塩分耐性が低いため,出水時に流 された先の感潮区間での生存は困難であり,元来の急勾 配河川の下では,これらの外来種は定着しづらかったも のと考えられる.このため,カワスズメ属を除く外来種 は,河道拡幅や落差工による河床勾配修正によって発生 する流速低下によって定着しやすくなったものと考えら える.カワスズメ属については,ギンガメアジ,ゴマフ エダイ,コトヒキなどの肉食性の周縁性種在来種に稚魚 が捕食されるので,河川横断構造物による周縁性の在来 種の河川への侵入阻害はカワスズメ属の定着を助長する とされている17).在来種27分類群は,海と川を行き来し て生活する両側回遊性種・降河回遊性種,また,海域・ 汽水域で生息しながら淡水域に侵入する周縁性種等から なる.従って,これらの出現種数が多いほど,河口から 純淡水区間の確認地点まで,河口閉塞,河川横断構造物, 瀬切れ・無水区間などの遡上障害が少ないと考えられる. 2 未満 2-10 未満 10-30 未満 30 以上 北部 中部 南部 図-2 濁度調査の結果 0.5 未満 0.5-2.0 未満 2.0-5.0 未満 5.0 以上 北部 中部 南部 図-3 T-N調査の結果 表-1 河川構造の健全性を検討するために嶋津10)から抽出された魚類 外来種 コイ イセゴイ ゴマフエダイ カワアナゴ属 クロホシマンジュウダイ ヒレナマズ属 ミズン クロダイ属 ナンヨウボウズハゼ属 アイゴ属 セルフィンプレコ属 カマス属 スズメダイ科 ボウズハゼ オキナワフグ インディアングラスフィッシュ ヨウジウオ科 コトヒキ ヨシノボリ属 オオクチバス ボラ科 ユゴイ ミナミハゼ属 ブルーギル ギンガメアジ属 オオクチユゴイ ナガノゴリ カワスズメ属 タカサゴイシモチ属 ギンユゴイ ツムギハゼ コウタイ テンジクダイ科 トビハゼ属 その他のハゼ科 在来種

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0 10 40 座津武川 新川川 億首川 普天間川 報得川 雄樋川 比謝川 安里川 国場川 大保川 名嘉真川 小波津川 羽地大川 白比川 真喜屋大川 小湾川 ※天願川 慶佐次川 幸地川 安謝川 大井川 我部祖河川 石川川 轟川 漢那福地川 与那川 奥川 福地川 田嘉里川 ※安波川 比地川 ※西屋部川 汀間川 大浦川 辺野喜川 満名川 源河川 平南川 有銘川 ※牧港川 ~ ~ 座津武川 - 国場川グループ 大保川 - 漢那福地川グループ 与那川 - 大浦川グループ 辺野喜川 - 牧港川グループ ※天願川:支川川崎川,安波川:支川普久川,西屋部川:支川屋部川, 牧港川:支川宇地泊川をそれぞれ含む 図-5 魚類のデンドログラム 0 100 300 座津武川 有銘川 普久川 源河川 辺野喜川 安波川 比地川 満名川 羽地大川 真喜屋大川 汀間川 安謝川 真謝川(2) 比謝川 大井川 西屋部川 宇地泊川 白比川 大保川 幸地川 田嘉里川 奥川 屋部川 轟川 天願川 石川川 与那川 福地川 新川川 奥間川 名嘉真川 大浦川 平南川 慶佐次川 牧港川 漢那福地川 安里川 億首川 小湾川 川崎川 普天間川 小波津川 我部祖河川 久茂地川 真謝川(1) 与那原川 潮渡川 国場川 真嘉比川 雄樋川 報得川 饒波川(1) 長堂川 饒波川(2) 200 ~ ~ ~ ~ 座津武川 - 石川川グループ 我部祖河川 - 饒波川(1)グループ 与那川 - 小波津川グループ 長堂川 - 饒波川(2)グループ 図-4 水質のデンドログラム なお,在来種である絶滅危惧種14分類群については, メダカ,タイワンキンギョ等の純淡水魚は河口から淡水 区間までの遡上に関する指標性とは無関係であること, タナゴモドキ等の両側回遊魚は元来個体数が少なく指標 に関して汎用性を持たないこと,ウナギ類は強い遡上能 力を持つため指標性を持たないことから除外しても支障 は小さいと考え,表-1に示す魚類を用いて解析を行った. (4) クラスター分析による類型化 ここまで,沖縄の各河川における問題点が水質と構造 にある事を指摘してきた.一方で,それぞれにおいて問 題の大きさ(影響の度合い)がどの程度であるかは既往 研究からも明確になっていない.このため,ここでは類 似した問題点を有した河川群を抽出することにより,そ の傾向を把握することとする.このため,定量データを 基に類似度を定義し,類型化を行うことが出来るクラス ター分析を用いた分析を行うこととする.なお,魚類に ついては在来および外来の種数に着目していることより, クラスター分析に加え,散布図も用いて類型化の適切性 を検討する. 水質については各河川のDO,濁度,T-N,T-Pを用い てクラスター分析を行い,各河川の魚類については外来 種数および在来種数を用いて分析を行った.なお,類似 度をユークリッド距離で定義し,ウォード法を用いた. 水質のデンドログラムを図-4,魚類のデンドログラムを 図-5に示す.また,水質,魚類による河川グループの分 類結果を表-2に示す. 水質については図-4より,類似度の距離を考慮して4 つに分類した.地理的特性より考察すると一番上のグル ープ(座津武川-石川川)は,北部の森林地帯の河川と 名護市周辺の河川を中心として中部の河川が加わったも のとなった.上から2番目のグループは北部と中部の河

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川によって構成され,上から3番目のグループは一部北 部の河川があるがほぼ全て南部の河川で占められた.一 番下のグループは人口密度が高い南部の河川のみとなっ ている.表-2に示すようにデンドログラムの上から下に 従ってDOは低くなり,濁度,T-N,T-Pは高くなる傾向 にある.特に下2つのグループは低DO,高濁度,高有機 汚濁のための高T-N,T-Pとなっている.このため,河川 改修を伴う自然再生を行うよりは,河川流入水に関する 水質改善の取り組みが優先されると判断できる. クラスター分析による分類の結果,水質が比較的良い とされた座津武川-石川川グループにおいてもDOが 0.0mg/Lの河川やT-Nが3.47mg/Lの河川が含まれる結果と なっており,相対的に良好とされるグループにおいても 比較的強い有機汚濁を受けた河川が存在する.今後は, 更に水質調査を補足追加することや,グループ分類基準 の精査 も必要であると考えられる. 魚類については図-5より類似度の距離を考慮して4つ のグループに分けられた.各グループの特性を図-6およ び表-2に示す.座津武川-国場川グループで外来種数が多 く,在来種が少ない傾向にあり,その他のグループでは 外来種数に大差がないものの,在来種数の多寡でグルー プ分類される結果となった.2.(2)で述べたように,沖縄 島の河川は元来,下流まで急勾配であったが,河道拡幅 や多数の落差工設置による勾配修正により,平常時の流 速低下,細粒土砂の堆積がもたらされ,緩い流れを好み, 砂泥底に巣穴を作って繁殖するような外来種の好適な生 息環境になっているものと考えられる15)16).座津武川-国 場川グループでは河道拡幅や落差工の設置によって外来 種の生息にとって好適な環境となっているものと考えら れる.一方,表の下側のグループでは在来魚種が多いこ とから河口から純淡水区間の出現地点まで在来種の遡上 に対する障害が少ないと考えられる.以上より,表-2の 上2つのグループの方が相対的に河川構造改善による自 然再生事業に関する優先順位が高いと判断できる.なお, 河川構造上の課題が多いと考えられる座津武川-国場川 グループに属する座津武川では河口と海岸に自然の落差 が生じており,在来種が少なくなったものと考えられ, このような場合には,類型化したのちに個別に精査する 必要性も示されることとなった. 表-2 水質・魚類の各河川グループ n 統計 DO 濁度 T-N T-P 課題 n 統計 外来種数在来種数 課題 座津武川 有銘川 座津武川 新川川 源河川 普久川 億首川 辺野喜川 安波川 中 普天間川 比地川 満名川 報得川 雄樋川 羽地大川 真喜屋大川 比謝川 安里川 汀間川 安謝川 国場川 西屋部川 大井川 真謝川(2) 大保川 幸地川 田嘉里川 奥川 屋部川 轟川 比謝川 宇地泊川 白比川 天願川 石川川 与那川 福地川 大保川 名嘉真川 新川川 奥間川 羽地大川 真喜屋大川 名嘉真川 大浦川 慶佐次川 幸地川 平南川 慶佐次川 大井川 我部祖河川 漢那福地川 億首川 轟川 漢那福地川 牧港川 安里川 小波津川 白比川 小湾川 川崎川 小湾川 天願川 普天間川 小波津川 石川川 安謝川 北 我部祖河川 真謝川(1) 辺野喜川 源河川 中央値 2 10 中 与那原川 平南川 有銘川 久茂地川 中 牧港川 潮渡川 国場川 与那川 奥川 真嘉比川 雄樋川 福地川 田嘉里川 報得川 饒波川(1) 安波川 比地川 長堂川 饒波川(2) 中央値 2.2 107.8 39.19 10.502 西屋部川 汀間川 大浦川 満名川 水 質 3 3 範 囲 0~6 1~4 9 中央値 中 26 0.0 ~4.5 92.3 ~123.2 6.37 ~72.00 1.733 ~19.270 5.6 14.7 0.54 0.006 ~1.492 中央値 16 中央値 2 5.5 範 囲 1~4 4~7 中央値 範 囲 7.7 0.0 0.49 ※北:北部,中:中部,南:南部 2 14 範 囲 我部祖 河川- 饒波川 (1) 0.0843 2 範 囲 0.7 ~8.2 南 長堂川 - 饒波川 (2) 南 10 中央値 0.015 0.0 ~17 10.4 ~36.1 0.54 ~12.87 北 中 4.2 中 ~10.2 3.4 ~10.9 0.30 ~3.15 0.004 ~0.825 16 中央値 7.3 0.0 ~13.6 与那川 - 小波津 川 北 大保川 - 漢那福 地川 0.03 ~3.47 0.002 ~0.564 5.6 0.8 0.043 範 囲 魚 類 ※魚類グループでは,比謝川:与那原川含む,安里川:真嘉比川含む,国場川:長堂川,饒波川(1),饒波川(2)含む,天願川:川崎川含む,安波川:普久川含む,比地川:奥 間川含む, グループ グループ 座津武 川-石 川川 北 座津武 川-国 場川 北 南 北 5 範 囲 1~3 8~11 辺野喜 川-牧 港川 与那川 - 大浦川 北 範 囲 1~3 13~19 10 少 多 多 少 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 0 1 2 3 4 5 6 在来種類数 外来種類数 :座津武川-国場川 :大保川-漢那福地川 :辺野喜川-牧港川 :与那川-大浦川 図-6 魚類データの散布図

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4. 地域の活動ポテンシャルを考慮した事業優先度 (1)活動ポテンシャル評価 河川自然再生事業において,住民の積極的な関わりは 活動の継続性の観点からも重要である.これについて松 本ら11)は,沖縄島全2級河川を対象として,住民活動のポ テンシャル評価を行っている.これは,水面が見えるか 否か等の河川の状態,土地利用や人口構成等の河川周辺 社会環境,持ち家率やNPO等のソーシャルキャピタル指 標を用い,ロジットモデルによる分析を行っている.こ れより,河川から500mの範囲内に小学校があること,持 ち家率が高いこと,水面が見えること等が活動創始に重 要な要因であることを明らかにしている.このモデルに よって得られた活動ポテンシャルを表-3に示す. (2) 活動ポテンシャルを考慮した事業優先度 表-2及び表-3を用いて,河川改修を伴う自然再生の優 先度が高い河川について図-7に示す.表-2より,水質に 関する課題が相対的に少ないと考えられる上2つのグル ープを対象とし,また,河川構造に関する課題が大きい と考えられる上2つのグループの優先度が高いと判断し, これらの共通集合を取り上げると,15河川が抽出できる. これらの河川について活動ポテンシャルを含めて示すと 図-7に示すとおりであり,一部北部地域の億首川を含め た中部地域の河川で優先順位が高くなる結果となった. 沖縄島では,中南部を中心に都市化が進み,水質悪化と 河川生態系から見た河川構造の悪化は実際には同時に進 んでおり,中部地域の河川に対して水質的課題が相対的 に大きな南部地域の河川が排除されたため,中部地域の 河川が残ったものと考えられる.ただし,これら中部地 域の河川は,南部地域の河川よりは水質が比較的良好で あるものの,河川構造の改善と合わせて水質改善の必要 性は依然高い.水質汚濁の極めて強い南部地域の河川は 優先順位の上位には入らなかった.南部地域においては 河川構造の改善による自然再生よりも水質改善について 優先性が高いことが示されたことになる.しかしながら, 河川構造の改善は曝気量の向上による有機物分解の促進, 堆積泥からの有機物等の再浮上等の軽も期待できること から,今後はこのような観点からの整備も望まれる. 北部地域の河川は,15河川のうち開発の進んでいる島 の西側を中心に8河川が抽出されたが,活動ポテンシャ ルが低いため相対的な優先順位は高くない結果となった. 5. 結論 沖縄島における二級河川等を対象に,クラスター分析 を使った水質指標による河川分類,純淡水域における出 現魚類を指標とした河川構造の改善の必要性による河川 分類を行い,その結果を河川環境保全・再生活動創始ポ テンシャルによって,沖縄島の二級河川等における自然 再生の優先順位として位置づけた.その結果,水質は南 部地域と比較して良好であるが,河川構造上の課題が多 いと考えられる中部地域の河川が優先順位の上位を占め る結果となった.しかしながら,これら中部地域の河川 表-3 河川の活動ポテンシャル11) 河川名 P 河川名 P 石川川 0.943 普久川 0.581 牧港川 0.942 源河川 0.566 小湾川 0.915 天願川 0.551 奥川 0.909 比謝川 0.528 我部祖河川 0.909 大井川 0.490 普天間川 0.905 川崎川 0.474 報得川 0.886 有銘川 0.467 与那川 0.849 福地川 0.448 小波津川 0.841 安里川 0.416 饒波川 0.830 真嘉比川 0.411 億首川 0.829 漢那福地川 0.345 奥間川 0.821 新川川 0.331 屋部川 0.787 羽地大川 0.300 国場川 0.777 名嘉真川 0.262 安波川 0.757 潮渡川 0.228 長堂川 0.729 大保川 0.161 雄樋川 0.728 辺野喜川 0.160 白比川 0.698 田嘉里川 0.113 満名川 0.691 汀間川 0.100 比地川 0.658 真謝川 0.088 久茂地川 0.619 西屋部川 0.067 宇地泊川 0.599 真喜屋大川 0.058 安謝川 0.593 轟川 0.035 幸地川 0.589 与那原川 0.032 北部 中部 南部 図-7 自然再生の優先度

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の水質は南部地域に対して相対的に良好と評価され,絶 対的な水質濃度は依然改善すべきレベルにあることが明 らかとなった.クラスター分析による河川分類では,水 質が比較的良好なグループに低DO河川が属すること, また河川構造の改善の必要性が高いグループに自然の地 形条件によって属してしまった河川があることから,今 後,更にデータの集積に努め,必要に応じて個別河川の 精査を行うことなどして精度向上を図る必要がある.な お,本研究において河川横断構造物による河川生態系へ の影響の可能性は確認されたが,構造の改善・撤去に関 する妥当性については未検討である. 謝辞:本研究における水質調査の現地観測及び採水作業 に当たっては,琉球大学工学部環境建設工学科新城裕也, 上野靖晃の両氏に快く補助を引き受けて頂いた.また, 水質の室内分析に当たっては,山口大学大学院理工学研 究科高村紀彰氏に快く補助を引き受けて頂いた.心より 謝辞を述べる. 参考文献 1) 神谷大介・池田晴香・赤松良久:河川環境保全・再生のため の地域活動に関する分析,土木学会論文集B1(水工学), Vol.69,No.4,pp.I_1705-I_1710,2013. 2) 吉川和広:土木計画学 計画の手順と手法,森北出版,1975. 3) 国土交通省河川環境課:自然再生事業 川本来の姿を蘇らせ る川づくり,2005. 4) 安間繁樹:琉球列島 生物にみる成立の謎,東海大学出版会, 1992. 5) 古川晴男編:日本生物誌 昆虫 上,1944. 6) 鳥居高志・塩根嗣理・加藤憲一・杉浦幸彦・黒川忠之・大野 正博・大城朝一・新垣敏一:河口閉塞による感潮域魚類相へ の影響,応用生態工学,13(2),pp.123-129,2011. 7) 沖縄県河川課:奥川自然再生全体構想,2008. 8) 環境省水・大気環境局:平成23年度公共用水域水質測定結果, 2012. 9) 沖縄県衛生環境研究所:河川の水質と魚類の死亡事故,衛環 研ニュース,第23号,pp.3,2012. 10) 嶋津信彦:2010年夏沖縄島300水系における外来水生生物と 在来魚の分布記録,保全生態学研究,Vol.16,pp. 99-110, 2011. 11) 松本悠・神谷大介:ソーシャル・キャピタルを考慮した住民 主体の河川環境保全再生活動に関する要因分析と可能性評価, 環境システム研究論文集,Vol.38,pp.171-177,2010. 12) 環境省:レッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物の種の リスト),2007. 13) 沖縄県:改訂版 レッドデータおきなわ-動物編-,2012. 14) 水産庁:日本の希少な野生水生生物に関するデータブック, 1998. 15) 瀬能宏:日本の外来魚ガイド,2008. 16) 川那部浩哉・水野信彦・細谷和海編・監修,山渓カラー名鑑 日本の淡水魚,2001. 17) 立原一憲・徳永桂史・地村佳純:沖縄の外来魚.,外来種ハ ンドブック,pp.248-249,2002.

Rivers Classification and Evaluation for The Natural Regeneration Planning in Local

Small Rivers -A Case Study on Okinawa Island-

Koh MIYARA

1

, Daisuke KAMIYA

2

, Yoshihisa AKAMATSU

3

, Ryutei INUI

4

and Shogo KAMITSURU

3

1

Dept. of General Environmental Reseach Institute, Incorporated Foundation Okinawa Prefecture Environment Center

2

Dept. of Civil Engineering and Architecture , University of The Ryukyu

3

Div. of Civil and Environmental Engineering, University of Yamaguchi

4

Institute of Technology and Science, The University of Tokushima

In Okinawa Island, the nature restoration project with the river improvement is essential to the river environmental regeneration, which induces the restoration of ecosystem in river and brackish water region. The results of water quality survey, river fish investigation and potential analysis of river environmental activity are employed and analyzed to classify and evaluate 61 rivers in Okinawa Island for the nature restoration planning. The water quality survey for DO, turbidity, T-N and T-P represents the evaluation of pollution load from the catchment area and the information of fish habitats, for the influence of river structures. The analysis revealed the priority of the nature restoration project among 61 rivers in Okinawa Island. The rivers in central region of Okinawa Island are found to have high priority on the nature restoration project.

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