SRB-DUP工法に関する研究 [ PDF
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(2) 位置管理. 表 2 SRB- DUP 煉瓦の寸法精度(施工実験) 3,440mm (40段). 位置管理 位置管理 位置管理 水糸. 2,310mm( 10.5個). 図 2 ボルト管理. 高さ:H. 幅:L. 標本数(個). 661. 661. 平均(mm). 84.88. 219.52. 標準偏差( mm). 0.09. 0.12. 範囲(mm). 0.56. 2.24. 最小(mm). 84.54. 218.41. 最大(mm). 85.10. 220.65. 図 3 試験体. ばね座金)の張力によって緊結する.壁面のずれは, SRB-DUP 煉瓦だけでなく DUP ボルトのずれをともな う.SRB-DUP の組積工事は,SRB-DUP 煉瓦と DUP ボルトのずれを同時に管理する必要があり,壁面管理 を適用できるかが不明である.また,一度,組積体の 鉛直組積精度 が悪化すると ,ずれた DUP ボルトが SRB-DUP 煉瓦の調整範囲を制限する.このため,上段 の SRB-DUP 煉瓦を図面位置に組積できなくなり,数 写真 2 施工実験組積状況(左:壁面管理,右:ボルト管理). 十段に渡って壁面がずれてしまう. 筆者らは,SRB-DUP 組積体の鉛直組積精度が損なわ. の組積工事を行った.基礎にはプレキャストコンクリ. れる理由を考察するにあたり,DUP ボルトのずれが壁. ートを現場に設置したものを用い,最下部の水平性を. 面のずれの根源的な要因になると考えた.両切ボルト. 確保した.従来のメーソンリー工事では,水糸を張る. と高ナットのクリアランスを製造過程でゼロにできな. 際に基準としてたてやり形を用いるが,今回の施工実. いため,精度管理なしに DUP ボルトを鉛直に立てるこ. 験ではレーザレベル(精度:±1mm/5m)を使用した.. とは難しい.むしろ,何らかの影響を受けて一定方向. これはたてやり形より正確な鉛直の基準になるためで. に傾くことが予想される.以上のことから,各段で. ある.それぞれの試験体の組積状況を, 写真 2 に示す.. DUP ボルトのずれを補正するよう管理すれば壁面の. 鉛直組積精度として,基礎からの壁面変位を測定対象. 鉛直組積精度が保たれる,という仮説を持つに至った.. とした.測定にはレーザレベルを用い,全ての煉瓦の. 4.2 実験計画. 長手面について行った.壁面変位は,作業者が立つ側. 前述の仮説の妥当性を確かめるため,実証実験を行 った.筆者らは,湿式煉瓦工事 の壁面管理に対し, SRB-DUP 工法独自の管理手法としてボルト管理を提. への変位をプラスとした. 4.3 実験結果および考察 両管理手法の試験体における壁面変位の推移を,統. 案した.ボルト管理は,DUP ボルトの両側に沿って水. 計量とあわせて図 4,5 に示す.. 糸を張り,DUP ボルトの鉛直性のみを管理する手法で. 壁 面 管 理で施工した試 験体の壁面変位 は,平均. ある.ボルト管理では,SRB-DUP 煉瓦のずれについて. 9.5mm,標準偏差 7.9mm で分布し,−1.5∼31.0mm の. 管理を行わない.ボルト管理の略図を図 2 に示す.本. 範囲に納まった. JASS 5ではコンクリート部材の位. 施工実験では,面管理とボルト管理を用いて同一の試. 置の許容差が±20mm,ACI では鉛直精度の許容差が±. 験体を施工し,鉛直組積精度の比較を行った.. 13mm と規定している 2).壁面管理の試験体は,壁面. 試験体は,長さ 2,310mm(10.5 個)×高さ 3,440mm. 変位が両基準の許容差に納まっておらず,鉛直組積精. (40 段)の一枚壁とした.試験体を図 3 に示す.使用. 度が不充分である.試験体は,5 段目から徐々に倒れ. 材料は,SRB-DUP の規定. 1). に従ったものを用いた.. 始め,40 段で壁面変位が平均 21.8mm,最大 30.0mm. 特に,SRB-DUP 煉瓦については,表 2 に示す寸法精度. に達した.これは DUP ボルト(直径 10.7mm)のずれ. のものを用いた.壁面管理で試験体を組積し,解体し. が SRB-DUP 煉瓦(直径 16mm)とのクリアランスを. た後,同一基礎上にボルト管理で試験体を組積した.. 超過し,壁面をずらさずに組積できなかったためであ. 作業者は非熟練工であり,今回始めて SRB-DUP 工法. る.組積体を 40 段以上に積み上げた場合を仮定しても,. 43-2.
(3) (JASS 7)による 3).ボルト管理の組積体における平. 40. たんさを,表 3 に示す.JASS 7 では,コンクリートブ ロック組積工事の仕上がりについて,平たんさが 3m. 30 段数(段). につき 10mm 以下と規定している.試験体の平たんさ が正規分布に従うとして,正規分布表より推定を行っ 20. た.ボルト管理を行った組積体は,100.0%の測定位置. 標 本 数 420個 平 均 9.5mm 標 準 偏 差 7.9mm 範 囲 32.5mm 最 小 -1.5mm 最 大 31.0mm. 10. で壁面の立ち上がりが 3,010mm(≒3m) につき 10mm 以下であることが推定でき,JASS 7 の規定を満たすこ とがいえる. 以上のことから,SRB-DUP 工法ではボルト管理によ. 0 -5. 0. 5. 10. 15. 20. 25. 30. り組積体の鉛直組積精度を管理できることが判り,仮. 35. 説を実証することができた.. 壁面変位(mm). 図 4 壁面変位の推移(壁面管理,施工実験). 5. 実施工における鉛直組積精度 5.1 実験概要. 40. 前節の施工実験より,実験規模の SRB-DUP 組積工 事において,ボルト管理が鉛直組積精度の管理手法と. 段数(段). 30. して妥当であることを明らかにした.しかし,ボルト 管理は実際の施工現場において実例がなく,実施工へ. 20. の適用性を確認する必要がある.実験住宅 3 号棟の建. 標 本 数 420個 平 均 -0.1mm 標 準 偏 差 1.4mm 範 囲 8.0mm 最 小 -4.0mm. 10. 設にともない,実施工規模での組積実験を行う機会を 得た.本節では,ボルト管理を実施工に適用できるこ とを実証し,実施工においてもボルト管理が鉛直組積 精度の管理手法として妥当であることを示す.. 最 大 4.0mm 0 -20. -15. -10. -5. 0. 5. 10. 15. 5.2 実験計画. 20. 実験住宅 3 号棟の組積工事を実験対象とし,組積体. 壁面変位(mm). 図 5 壁面変位の推移(ボルト管理,施工実験). の壁面変位を測定した.実験住宅 3 号棟は,ボルト管. 表 3 壁面の平たんさ(ボルト管理,施工実験). 理による組積を行った.実験住宅 3 号棟の組積体が充. 平たんさ. 5.5. 5.5. 5.5. 5.5. 5.5. 平均. 5.4. 標準偏差. 0.8. 6.5. 4.5. 4.0. 5.0. 6.5. 分な鉛直組積精度を有することを確認する. 実験住宅 3 号棟の使用材料は SRB-DUP の規定. 1). に. 従った仕様のものを用いた.特に,SRB-DUP 煉瓦につ 単位:mm. 壁面変位が再び 0 近辺に戻ることは考えられない.. いては,表 4 に示す寸法精度のものを用いた.実施工 においてボルト管理を実施するため,組積工事の最初. ボルト 管理で組積した試験体の壁面変位は,平均. にたてやり形を設置した.たてやり形の材料には 2×6. −0.1mm,標準偏差 1.4mm で分布し,−4.0∼4.0mm の. の木材を用い,撤去後に内装材として再利用した.上. 範囲に納まった.この範囲は前述の JASS 5 および ACI. 端と下端の位置をセオドライトで調整し,抜き材(2. 基準の許容差以内であり,ボルト管理による試験体が. ×4 木材)とともにべた基礎に釘打ちを行い固定した.. 充分な鉛直組積精度を有していることが判る.壁面変. たてやり形を基準に水糸を張り,ナットの位置を決め. 位のばらつきは段数に関わらず一定であり,上下段の. る基準とした.組積工事を行った作業者は普通作業員. 壁面変位の差は 0 を平均に取った.仮に組積体を 40. であり,一部,たてやり形と支保工の設置のみを大工. 段以上に積み上げたとしても,高い鉛直精度を保持し. が行った.全ての作業者は SRB-DUP 工事の未経験者. 続けることが予想される.ここで,評価区間を 5∼40. であった.実験住宅 3 号棟の組積状況を,写真 3 に示. 段(3,010mm)に限定し,評価区間内で壁面変位が推. す.鉛直組積精度として,図面位置からの壁面変位を. 移した範囲(最大値と最小値の差)を平たんさとして. 測定した.測定にはレーザレベルを用い,屋外方向へ. 算定した.評価区間を約 3m とした理由は,コンクリ. の変位をプラスとした.測定位置を図 6 に示す.全て. ー ト ブ ロ ッ ク組積工事の平面仕上が り の評価手法. の測定位置で 1∼40 段の壁面変位を測定した.. 43-3.
(4) N. 表 4 SRB- DUP 煉瓦の寸法精度(実施工) 幅:L. 標本数(個). 11676. 11676. 平均(mm). 84.75. 219.31. 標準偏差( mm). 0.11. 0.26. 範囲(mm). 0.40. 3.40. 最小(mm). 84.54. 217.49. 最大(mm). 84.95. 220.89. 440. I. 1980. 高さ:H. J. 880. H. 8580. 990. G. 880. F. 770. E. 880. D. 1100. C. 660. B A 990. 1. 1870. 2. 写真 3 実験住宅 3 号棟組積状況. 5.3 実験結果および考察. 990. 3. 990. 4. 990 10670. 5. 990. 6. 990. 7. 1870. 990. 8. 9. 10. 図 6 壁面変位の測定位置. 40. 実験住宅 3 号棟における壁面変位の推移を,統計量 とあわせて図 7 に示す.壁面変位は平均 1.5mm,標準 30 段数( 段). 偏差 2.5mm で分布し,全ての測定値は−6.0∼8.0mm の範囲に納まった.これは,前節で述べた JASS 5 と ACI における部材位置の許容差(±20mm,±13mm) に納まっており,充分な鉛直組積精度を有しているこ とが判る.段数の増加にともなって壁面が片側に倒れ. 標 本 数 320個 平 均 1.5mm 標 準 偏 差 2.5mm 範 囲 14.0mm 最 小 -6.0mm 最 大 8.0mm. 20. 10. る傾向が見られず,このまま組積体を積み上げたとし ても鉛直組積精度が前述の許容差を超えないことが予. 0. 想できる.. -20. 評価区間を 5∼40 段(3,010mm)に限定し,評価区. -15. -10. -5. 0. 5. 10. 間内における平たんさを求めた.実験住宅 3 号棟にお. 図 7 壁面変位の推移(実施工). ける壁面の平たんさを,表 5 に示す.測定した平たん. 表 5 壁面の平たんさ(実施工). さが正規分布に従うとして,正規分布表より推定を行. 平たんさ. った.98.7%の測定位置で壁面の平たんさが 10mm 以. 平均. 6.6. 下であることが推定でき,JASS 7 の規定を満たすこと. 標準偏差. 1.5. 4.5. 5.5. 7.5. 6.0. 7.5. 9.5. がいえた.実施工では,たてやり形を用いたボルト管 理を行うことで組積体の鉛直組積精度をコンクリート. 15. 20. 壁面変位(mm). 6.0. 6.0. 単位:mm. (2). 施工実験により,SRB-DUP 工法ではボルト管. ブロック組積工事の仕上がり規定と同程度の水準まで. 理を行うことで,組積体の鉛直組積精度を保つこ. 管理できることが判った.. とができることを明らかにした.. 6. 組積工事マニュアル. (3). 実施工により,SRB-DUP 工法ではたてやり形. SRB-DUP 工法の適切な施工手法を開示することを. を用いたボルト管理を行うことで,組積体の鉛直. 目的とし,組積工事マニュアルを作成した.マニュア. 組積精度を JASS 7 における仕上がりの規定と同. ルの使用により,合理的で経済的な建設工事の普遍化. 程度の水準まで管理できることを明らかにした.. を期待し,住宅品質の向上を図る.技術に関する研究. (4). の進展,材料の進歩などに即応し,検討をへて成果を. SRB-DUP 工法の組積工事マニュアル試案を作. 成した.. 得たものは,速やかにマニュアルに織り込むものとす. 《参考文献》. る.本論文に,これまでの SRB-DUP の施工に関する. 1)日本建築総合試験所: 「性能証明第 02-16 号. 研究成果をまとめ,反映させた試案を掲載した.. 明評価概要報告書. 7. まとめ. 法」,pp.29-42,2002 年. 本研究のまとめを以下に示す.. 建築技術性能証. SRB-DUP 乾式煉瓦組積構造及び組積構. 2)日本建築学会: 「建築工事標準仕様書・同解説 JASS 5 鉄筋. (1) グリッド法をプログラムに応用し,施工図割付 システムを開発した.試験運用により施工図作成 の労力を大幅に削減できることを確認した.. コンクリート工事」,pp.7,140,142,596-598,2003 年 3)日本建築学会: 「建築工事標準仕様書・同解説 JASS 7 メー ソンリー工事」 ,pp.12,109,1988 年. 43-4.
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