平成 30 年度 事業計画書
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平成 30 年度事業計画書
概 要
日本骨髄バンク(以下、当法人という)は 1991 年(平成 3 年)12 月、非血縁の骨髄提供者(以下、 ドナーという)のあっせん機関として「財団法人 骨髄移植推進財団」の名称で設立された。国の主 導の下、日本赤十字社(以下、日赤という)や地方自治体等と共に白血病等の患者を四半世紀以上に わたり救命してきた。累計移植数は 2016 年(平成 28 年)10 月に 2 万件の大台を超え、現在 2 万 1488 件(2017 年末)に達している。 2012 年(平成 24 年)4 月に公益財団法人に認定され、翌年 10 月に「公益財団法人 日本骨髄バン ク」と名称変更した。2014 年(平成 26 年)1 月の「移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に 関する法律」(以下、法律という)施行に伴い、国内唯一の骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業者 として同年 4 月に許可を得た。 2017 年(平成 29 年、暦年)の主な実績は以下のとおりである。移植件数は 1251 件で、昨年比プ ラス 23 件となった。患者登録数(海外患者除く)は年間 2172 人で、前年 2245 人より 73 人減り 3 年 連続減少した。ドナー新規登録者は 3 万 4491 人で、前年の 3 万 1918 人に比べ 2573 人増えて総登録 者数は 48 万 2191 人となった。俳優の木下ほうか氏を起用したACジャパンによるPR効果は大きく、 都内ターミナル駅でのポスター大量掲示などで話題を呼んだ。今年度もテレビやラジオ、Twitter、 フェイスブックなど様々な媒体を通じて、若年層向けの幅広い広報活動を実施する。 年齢超過(55 歳まで)や健康理由などによる登録取消数は年間 2 万人を超え、純増分が減ってい る。この傾向が続くと現状のドナープール維持は難しい。社会全体へバンクの存在を浸透させ、提供 応諾率が高いドナープール構築を目指す。また登録活動が低調な地域の活性化を図り、ドナー登録を 推進する。提供しやすい環境を整えるため、登録ドナーの意思継続、家族や職場など周囲の理解を促 す各種施策も引き続き検討する。 患者救命の観点から、コーディネート期間の大幅短縮は喫緊の課題である。コーディネート期間 (2017 年暦年)は患者登録から移植までが 135 日(前年 147 日)、ドナー指定から採取までが 114 日(前年 123 日)。2005 年に 120 日台まで短縮して以来、11 年目にして初めて 110 日台に到達した。 昨年度は厚生労働科学研究(福田班)と連携し、医療現場からみた「コーディネート期間の短縮」と 「ドナープールの質向上」に取り組んだ。また、全国の造血幹細胞移植推進拠点病院(以下、拠点病 院という)等と協力して、初回開始ドナー増加トライアルを実施して全施設稼動に向けた準備を整え た。これらの関係者をはじめ認定施設の医師らと密に連携し「期間短縮に向けた移植最適時期での採 取をめざす取り組み」を実現すべく、コーディネートの手順や運用を詳細に検証し一層の期間短縮を 図る。 非血縁者間の末梢血幹細胞移植(以下、PBSCTという)は 165 件(2017 年暦年)と前年の 115 件から 50 件増えた。2010 年 10 月の導入から 7 年超が経過して累計 420 件(2017 年末)となった。 PBSCTは移植ソース選択の幅を広げ、コーディネート後半行程の期間短縮が期待されている。認 定施設を増やすなどして一層の件数拡大を目指す。2
本事業計画の数値目標
平成 30 年度 数値目標 29 年度実績見通し 国内移植件数 1230 件 1235 件 国際移植件数 10 件 (内、受領 5 件、提供 5 件) 9 件 (内、受領 1 件、提供 8 件) 確認検査件数 4800 件 (内、国際 60 件) 4800 件 (内、国際 56 件) 新規ドナー登録者数 3 万 4000 人 3 万 4000 人事業実施の基本方針
○平成 30 年度は以下に重点を置く。 1. コーディネート期間短縮の更なる推進 2. 若年層を軸としたドナー登録拡大 3. 応諾率向上を目指したドナーリテンションの推進 4.「造血幹細胞移植支援システム」稼動に向けた体制整備 5. 関連組織との連携強化1.コーディネート期間短縮の更なる推進
コーディネート期間短縮に引き続き取り組む。第一の柱として、移植最適時期での採取をめざ すコーディネートを推進する。患者が移植したい時期を正確につかみ、採取施設に受け入れ拡大を 働きかける。ドナーに対しては、患者にとっての最適な移植時期の重要性を丁寧に説明して最大限 の協力を促す。 第二の柱として、開始ドナー拡大を全国で実施する。一部施設で開始ドナー人数を 5 人から 10 人に増やすトライアルを先行実施して、一定の成果を出している。その検証結果を踏まえ、ドナー との窓口になる関連部署の人員態勢に留意しつつ円滑な拡大を図る。 その他、コーディネートルールを継続的に見直す。ドナーとの連絡にスマートフォン(以下、ス マホという)やタブレット等を活用し、期間短縮につなげる。2.若年層を軸としたドナー登録拡大
若年層を軸に年間 3 万 4000 人の新規ドナー獲得に努める。学校等での「語りべ講演会」「絵本 朗読会」の開催や卒業・入学時のチラシ配布等を通じて、大学生・専門学校生等の若年層、将来の ドナー候補となる小中学生への浸透を図る。 都道府県単位で活動する「骨髄バンク推進連絡会議」を活性化して、行政、日赤、ボランティア 等と連携しドナーリクルート活動を展開する。特に大学など学校でのドナー登録会に重点を置き、 学生ボランティアの組織化を促す。ACジャパンのキャンペーン等によりメディア経由で登録を呼 びかけるほか、ホームページやSNSを含めた重層的な情報発信で若年層にアピールする。3.応諾率向上を目指したドナーリテンションの推進
ドナーの提供意識を堅持するためのリテンション活動に取り組む。登録意思の再確認を全国実3 施する。意思再確認用紙を既に一部地域で登録者へ渡しており、提供に至らない可能性が高いドナ ーを早い段階で見極める。 また、バンクニュースを年 1 回発送から年 2 回発送に戻す。メールなどを活用してホームページ へ誘導し、提供意思の維持を図る。提供に至らなかったドナーへ感謝の気持ちを伝えるグッズを配 布する。次回の適合時にコーディネートが円滑に進む効果を見込む。外部機関の研究(※1)にも 継続して協力する。 ※1 厚生労働科学研究費補助金 免疫アレルギー疾患等政策研究事業「骨髄バンクコーディネート期間 の短縮とドナープールの質向上による造血幹細胞移植の最適な機会提供に関する研究」
4.「造血幹細胞移植支援システム」稼動に向けた体制整備
「造血幹細胞移植支援システム(以下、一元化システムという)※2」構築が、日赤が主体と なって進められている。今年度はコーディネートの基幹システムとなる「新コーディネート支援シ ステム」の稼動を予定している。今後も日赤を始め関連組織と連携を強め、事業を適切に進める。 平成 30 年 2 月までに実施した要件確認や設計・開発への関与をもとに、移行計画作成と移行準備、 本システム利用開始に向けた関係者への周知・教育を並行して進める。 ※2 当法人の「コーディネート支援システム」、日赤の「骨髄適合検索システム」、臍帯血バンクの 「さい帯血情報公開システム」を一元化5.関連組織との連携強化
厚生労働省、造血幹細胞移植事業関係者(日赤、各臍帯血バンク、日本造血細胞移植学会、 日本造血細胞移植データセンター、拠点病院)と密に連携して、骨髄バンク事業に取り組む。地方 自治体や支援機関、医療関係者、ボランティア等と連携してドナー登録を推進する。事業の実施
Ⅰ 組織運営
1.財政全般
○支出項目を精査して経費を削減して、予算を効率的に執行する。 ○寄付実績のある企業・団体・個人へ継続的に働きかけ、複数回寄付に結びつける。ファンドレイ ジングや遺贈など新たな募金獲得手法の導入・拡大に向けて態勢を整備する。「患者負担金等支 援基金」への寄付は、引き続き受付を一時停止して一般寄付に特化する。2.人事関連施策
○職員に働きやすい職場を提供し、同時に組織活性化と生産性向上を実現するために以下の人事施 策を実施する。 (1)給与体系の再構築 当法人の収支構造では人件費割合が経年的に上昇している。各職員の年齢や職歴、当法人にお ける経験が長短様々な中で、統一性や公平性を一部欠く給与体系になっていた。限られた原資の中4 で、より適切な給与体系を実現できる環境を整備する。 (2)人事評価制度の見直し 上司と部下による「目標実績面談」を年 2 回実施して業務上の課題や問題点を共有する。評価 シートによる人事評価を賞与と昇給に反映する。個々の能力・資質や実績等を反映したメリハリの ある給与処遇を目指し、人事評価制度を随時見直すことを検討する。 (3)その他 ①ジョブローテーション ジョブローテーションにより人材育成と職員のモチベーションの維持向上を図る。組織を活性 化して職場内の人間関係硬直化を回避し、風通しの良い職場環境を実現する。中央事務局と地区 事務局、および地区事務局相互のジョブローテーションも実施する。 ②人員の適正配置 各部門の重点施策と業務量等を勘案し、人員の適正配置に努める。また、人事評価を踏まえて 職制上の任免を適切に実施する。 ③育児・介護休業への支援 育児・介護休業の対象職員に従来どおり支援制度を周知すると共に、休業に伴う職場のマンパ ワー低下には代替措置を講じる。
3.公益財団法人及び骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業者として
(1)適正な法人運営 公益法人として内閣府の指導の下、法令及び定款に基づいて適正に法人運営を行う。また、骨 髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業の許可事業者として厚生労働省の指導の下、法律及び厚生労働 省令、ガイドライン等に基づきバンク事業を円滑に実施する。 (2)個人情報保護対策 ドナーや患者の個人情報を取り扱うことを常に念頭に置き、個人情報保護対策を適切に実施す る。サイバー攻撃による情報流出事件が世界規模で頻発しており、職員には標的型メール訓練など で継続的に注意喚起する。4.関係機関とのコミュニケーション強化
(1)諸会議への参画 支援機関が主催する諸会議(※3)や関係機関の会議などへ必要に応じて参画して協力する。 ※3 造血幹細胞移植事業関係者会議、骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業者連絡会議、情報一元 管理連絡会議、普及啓発連絡会議、臍帯血供給事業者連絡会議、HLA委員会などⅡ 普及啓発事業
1.普及広報活動
5 (1) 若年層に対するPR活動 小・中学校、高校、大学や専門学校で元患者らが体験を話す「語りべ」講演会やパネル展 示会を引き続き開催する。入学式・卒業式・成人式でのチラシ配布(昨年度は 22 都県で計 52 万枚配布)や、成人式会場でのリーフレット配布など若年層への広報活動を強化する。また、 提供時の応諾率を上げるための施策を検討する。 (2) 地域活動の強化 学校・ボランティア団体、日赤奉仕団、企業・団体などと協力して「語りべ」講演会活動 による学校や企業等でのPRなど、地域における草の根レベルでの普及広報活動を推進する。 (3) ACジャパンの支援 ACジャパンの支援キャンペーンは 2015 年 7 月から再開されて今年度も継続されることと なり 4 年目に入る。AC広告のCMは、骨髄バンクの認知度アップに大きく貢献している。 今年度もドナー登録会や講演会、イベント等で広く活用し、特に若年層の登録に結びつける。 (4) 各種媒体による活動 映像素材を活用して学生や社会人、また職場や家族の理解を促す。またラジオ番組やスポ ーツイベント、インターネットを活用してドナー登録をPRする。街頭大型ビジョン運営会 社やケーブルTVなどに協力を呼びかけて、ACジャパン等のCMを放映する。新聞・雑誌 への広告掲載や、駅・電車内のポスターコーナー設置などで協力企業を発掘する。 (5) マスメディアへのアピール 新聞やテレビなどマスメディアへ積極的に情報発信して、報道を通じて社会への浸透および 情報提供を図る。 (6) 公式サイトやソーシャルメディアの活用 バンク事業を広く一般に知ってもらうため、必要な情報を正確かつタイムリーに検索でき るように公式ホームページを随時刷新する。You Tube やフェイスブック、Twitter(2017 年 12 月開設)などのソーシャルメディアの更新頻度を高め、若年層向け情報提供を強化する。 (7) 骨髄バンク推進月間の取組み 毎年 10 月の骨髄バンク推進月間に向け、国や関係諸団体が協力する地域の普及広報活動や 講演会、ドナー登録会をサポートする。 (8) 骨髄バンク推進全国大会 バンク事業を社会に広く浸透させる目的で、全国大会を毎年開催している(※4)。今年度 は滋賀県で 9 月(予定)に開催する。同県は行政、日本赤十字社、地区のボランティアがうま く連携しており、ドナー登録で著しい成果を挙げている。地区のボランティアの協力を得て実 施する。登録推進の参考になるような成功事例を発表して、各地へ波及させる。またイベント 内容をWMDD(世界骨髄バンクドナーデー)ホームページに投稿して、世界へ発信する。 ※4 直近 3 年は高知市(2015 年)横浜市(2016 年)小山市(2017 年)で開催
6 (9) 共催フォーラムの開催 NPO法人血液情報広場・つばさと共催で、闘病中の患者に向けたフォーラムを 5 月に東京で 開催する。移植医療の解説や最近の話題、移植患者や提供ドナーの体験談発表、質問・相談会を 実施する。
2.ドナー登録推進活動
(1)
ドナー登録の活発な展開 ドナー登録会を日赤、地方自治体、ボランティア団体とともに全国で開催する。支援機関 などと協力して献血会場(献血ルーム)でのドナー登録受付を推進する。各地の地区普及広 報委員や説明員、ボランティアと共に、学生や企業の若手社員など若年層の登録推進や新規 登録会場開拓に努める。登録活動が進んでいない地域では、引き続き行政やボランティアと ともに登録説明員を募り、学校を中心とした新規登録会を企画するなど活性化を図る。 (2)「骨髄バンク推進連絡会議」の再構築と地区の活性化 各地の行政担当者と連絡を密にして、都道府県単位で設置する「骨髄バンク推進連絡会議」 の再構築を図る。各地区に設置されている推進連絡会議で他県事例を紹介し、PRやドナ ー登録活動を強化する。未設置県に対しては、職員が骨髄バンク担当窓口を個別訪問して 推進会議設置を促すよう情報提供する。各地域と情報交換しながら、地域に合わせた具体 的なドナー登録拡大策を提案する。若年層を対象とした新規支援先を開拓して登録会を活性化 し、骨髄バンク事業の普及広報に努める。 (3)地区普及広報委員、説明員活動の向上等 地区普及広報委員(2018 年 2 月現在 89 名)や説明員(同 1016 名)の説明スキル向上を 図る。説明員が少ない地域では、行政関係者等の協力を得て人材を募り育てる。養成ツー ル作成や認定申請および更新手続きを速やかに実施して、登録が伸び悩む地域の底上げを図る。3.ドナーリテンション活動
(1) ドナー登録者の提供意思の維持のための施策 昨年度はドナー登録時に登録意思再確認の用紙を試験的に配布した。今年度から全国展開す る。登録後に再考を促し、提供に結びつくような登録意思の継続を図っていく。「日本骨髄バ ンクニュース」は経費削減のため 12 月号のみ郵送している。今年度は従来の年 2 回郵送に戻 して、ドナーの提供意思継続およびその家族や職場等の理解を促す。編集内容もドナー目線に 立って提供意思を継続するよう精査する。提供に至らなかったドナーに対しては、感謝を伝え るグッズを配布して、次回のコーディネートにつなげる。 (2) 企業・団体等への各種働きかけ 企業・団体等にドナー休暇制度の導入を働きかけ、提供しやすい環境を整える。当法人ホ ームページで導入企業を紹介する(2017 年 12 月末現在 464 社)。またドナーが有給休暇を取 りやすくなるよう職場の理解を深める。前述の「語りべ」講演会や新規ドナー登録会も積極 的に開催を働きかける。7 (3) 保険会社や市町村のドナー給付制度の拡大 提供ドナーに給付金が支払われる保険を販売している保険会社は 18 社(2017 年 12 月末現 在)。また、全国で 12 都府県、322 市町村、1 民間団体が提供ドナーへの給付制度を導入して いる。導入を検討する自治体には、必要に応じて情報提供する。
4.委員会の運営(普及啓発事業)
(1)広報推進委員会 広報推進委員会は、ドナー募集策や提供意思の維持・持続策などを検討する。また、寄付募 集やバンクとの事業協力(法人または個人)、バンク広報資料の企画立案なども扱う。今後の ACジャパンの支援キャンペーン継続について強く働きかけを行うとともに、休止に備えたPR 策も検討する。Ⅲ 連絡調整等事業
○移植件数の推移を踏まえ、将来を見据えた体制整備やコーディネート期間短縮に取り組む。特に 日赤が主体となって進めている「一元化システム」稼動に合わせた業務体制および関係者への教育 体制を、日赤と協同して引き続き構築する。 ○ドナーの末梢血幹細胞提供条件を 2015 年 12 月に緩和した。これによりPBSCTを含むコーデ ィネート割合が増えたため、引き続き認定施設の増加に努める。PBSCT国際コーディネート は国の審議会へ報告して早急に開始する。 ○造血幹細胞凍結に関しては、従来どおり審査の上、必要な条件を満たすケースへの適用を想定して いる。関係者には留意点などを周知徹底する。 ○今年度から導入するコーディネート開始ドナー人数増加による効果と、昨年度に実施した期間短 縮に向けた移植最適時期での採取をめざす取組みの一環で「ドナー選定通知書」を変更した効果 を検証する。当法人および医療施設における手順や運用を詳細に検証し、課題の本質を探る。ま た、拠点病院(全国9施設)とは採取日程をスムーズに調整して迅速なコーディネートにつなげ る。拠点病院主催の会議等では、必要に応じて当法人から情報提供するなど連携を深める。 ○全国の地区事務局に9人配置しているコーディネーションスタッフを活用し、コーディネーター不 足地域で養成研修会を実施する。また、研修を通じて新たな施策の導入を進め、期間短縮や質の高 いコーディネートの実現を目指す。 ○非血縁者間造血幹細胞移植の移植施設(診療科)は学会が認定する。また採取施設は学会と当法人が 共同で認定する。当法人は学会からの業務委託を受けて引き続き認定事務を行う。また、必要な会 議に適宜参加する。1.患者コーディネート業務
8 (1)業務の着実な遂行 ルーティン業務に関しては、主治医や移植コーディネーター(HCTC)に対して正しい情 報を適切なタイミングで提供して、患者側の理由によるコーディネート遅延を防ぐ。 (2)業務内容の改善 一元化システムの新コーディネート支援システム(今年度導入予定)稼動にあたり、業務が 旧システムからスムーズに移行できるよう入念に準備する。また、稼動と同時に新たなHLA 適合検索ロジック(日赤が構築)運用が予定されており、関係者へ適切に情報提供しスムーズ な導入につなげる。患者(主治医)のニーズに応じて可能な範囲で柔軟に対応する。最も効果 的なコーディネートに向け、専門知識習得とコーディネートスキル向上に努める。 (3)コーディネートの見直し検討 新コーディネートシステム稼動およびコーディネート開始人数増加の全面導入にあたり、コ ーディネートをさらに効率的に実施できるように現行ルールを随時見直し改善する(※5)。そ れに伴い業務マニュアルも適宜更新する。また、期間短縮に向けた移植最適時期での採取をめ ざす取組みに関して、移植施設への更なる協力依頼として「移植第 1(最適週)希望時期」は確 実に対応できる日程を提示するよう求めていく。 さらにHLA確認検査のDNAタイピング方法に、従来のSBT(Sequencing-Based Typing) 検査より精度の高いNGS(Next Generation Sequencing)検査を導入する検討を始める。従来 わからなかったHLA型の適合・不適合がNGS検査でわかるようになり、移植成績向上に寄与 することが期待される。 (※5)コーディネート選定期限を 60 日から 40 日に、患者保留期限を 90 日から 60 日にそれぞれ変更 (4)患者問い合わせ窓口 患者負担金免除やコーディネート状況など患者からの質問に適切に答える。 (5)主治医からの相談 主治医からの移植に関わる相談は、臍帯血移植に関する内容を含めて当法人に設置された委員 会で引き続き対処する。
2.ドナーコーディネート業務
(1)コーディネート実施体制の整備・強化 ① ドナーの安全確保の推進 ドナーの健康と安全を確保するため、健康被害を防ぐ対策や適切な情報提供、ドナーフォロ ーアップのあり方を検討していく。ドナー適格性判定基準ならびに末梢血幹細胞採取マニュア ルを適宜改訂する。インフルエンザ対策として、ドナーの予防接種費用を助成する(平成 21 年 度から助成開始)。コーディネーターへの予防接種費用補助も継続する。またドナーの健康被 害など緊急事態発生時には基本報告内容、公表・調査の基準を明示して周知する。同時に採取 マニュアルを改訂する。情報提供と情報共有を確実かつ適切に実行する。 ② コーディネート期間短縮9 コーディネート開始時のドナー人数を 4 月から拡大する。開始ドナー人数を 5 人から 10 人に 増やし、ドナー初回選択時にコーディネートが進行する確率を高めてコーディネート期間全体の 短縮につなげる。昨年度、コーディネーターの携帯電話をスマホへ切り替えた。ショートメッセ ージによる連絡調整を促す。更に採取施設の情報を収集しつつ、最適移植時期での採取を目指し て近隣県での採取も視野に入れたコーディネートを実施する。 ③ コーディネーターの研修 「コーディネーターブラッシュアップ研修会」を開催し、今年度も期間短縮策の運用体制徹底 を図るとともに、関係者との連携強化をめざす。多様化するコーディネートに対応するため、知 識と能力を習得できるようにする。地区事務局とコーディネーター間の連携を深める。コーディ ネーションスタッフなどが主導して「コーディネーター会議研修会」を各地で複数回開催する。 ④ 新人コーディネーターの指導育成と定着促進 養成研修会を修了して活動を開始した経験の浅いコーディネーターに対し、引き続き地区事務 局・コーディネーションスタッフ主導で指導・育成して定着を図る。 ⑤ コーディネーター養成研修会 各地区のコーディネーター必要人数と配置状況を検証し、コーディネーター不足地域で養成研 修会(募集・研修)を実施する。 (2)コーディネート推進のための環境整備 ① 採取数増加の働きかけとPBSCT拡大 既存採取施設に対して採取受け入れ増加を働きかける。また、新たな採取施設を増やす。特 に末梢血幹細胞採取施設は国の施策を踏まえて増加に努め、PBSCTを拡大していく。 ② 調整医師不足の解消と業務委託契約の推進 確認検査などを円滑に実施できるように調整医師の増員を図る。バンク事業に関わっていな い血液内科医を掘り起こす。また、調整医師所属施設に対して業務委託契約の締結を促し、今 年度 50 件の締結を目指す(2018 年 2 月現在 98 施設)。
3.コーディネート支援システム等の管理
基幹システムである「コーディネート支援システム」を適切に運用・管理する。造血幹細胞移 植支援システム構築では、支援機関と連携して積極的に関与していく。要件定義に基づき、要件確 認や設計・開発への関与、移行計画作成と移行準備、本システム利用開始に向けた関係者への周 知・教育を並行して進める。また、同システム稼動に必要な環境を整え、物品等を適切に調達する。 造血幹細胞移植支援システムの管理外で当法人が独自に構築する「患者負担金入金管理」「医療保 険請求管理」「調整医師業務委託管理」の各システム(すべて仮称)の開発を適切に進める。4.国際協力事業
国内患者からの海外ドナー検索依頼、および海外患者からの日本国内ドナー検索依頼を受け 付け、患者の移植機会を拡大する。また、日本からの末梢血幹細胞提供を関連機関との調整終 了後に導入する。また、昨年より全米骨髄バンクから提案があった「日米間血縁ドナーサービ ス業務提携」を国の審議会確認後、導入する。臍帯血の海外提供は説明と同意の確認にしばら く時間を要するため、各臍帯血バンクから業務委託契約を一旦、見合わせる旨の提案があり合10 意した。関係者間での整理が付き次第、再開する。造血幹細胞を国際間で円滑に相互提供する ため、国際会議に参加して各国の実情を探り、ノウハウを吸収する。日赤から引き続き協力を 得て、世界骨髄バンクドナーデータ集計システム(BMDW)に、日本のドナー登録者HLA 集計情報を定期的に提供する。
5.調査研究協力事業
(1)採取・移植データの解析 治療成績とドナー安全性の向上には医学的な調査・研究が不可欠であり、以下の活動をする。 ① 移植データの追跡調査への協力 日本造血細胞移植データセンターにおける造血細胞移植登録を一元管理するため、データの 収集・管理に協力する。 ② ドナーフォローアップデータの収集・管理 骨髄採取・末梢血幹細胞採取およびドナーフォローアップに関連するデータを収集・管理す る。解析結果は必要に応じて公表し、ドナーの安全性向上に寄与する。 ③ 調査研究への協力 当法人各委員会や研究者からの要請に基づき、倫理委員会で随時審査して調査研究に協力する。 (2)検体保存事業 移植に至った患者とドナーの血液検体を保存する検体保存事業は、2015 年度から日赤が実施 している。患者やドナーへの説明や同意確認にかかわる業務手続き等で日赤に協力していく。ま た、保存期間が 10 年経過した検体は日本造血細胞移植データセンターで保存することとされて おり、必要に応じて協力する。6.患者負担金等支援基金事業
患者負担金等支援基金(2002 年度設置)は患者支援のための基金で、患者負担金の減額免除 (以下、減免という)とドナー入院時の差額ベッド代を肩代わりする。減免は、生活保護受給世 帯と住民税・所得税の非課税世帯等の低所得の患者に対し、世帯収入に応じて全部または一部を 免除する。差額ベッド代は生活保護受給世帯の患者に対して助成する。7.患者に対する費用軽減措置
DLI(ドナーリンパ球輸注療法)に係るコーディネーター活動費等の諸経費は、患者に請求で きない。そこで患者負担金軽減積立金(2005 年度設置)を充当する。8.ドナー健康被害補償事業
造血幹細胞採取に伴う健康被害は「骨髄バンク団体傷害保険」により補償する。採取後 2 年を 超えたDLIのドナー健康被害は保険対象外だったが、引き受け会社に対して補償期間を 7 年に 延ばすよう交渉し、2017 年度から保険料を据え置いたまま 7 年補償が実現した。11