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岡 泰由 論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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岡 泰由 論文内容の要旨

主 論 文

Recruitment of the cohesin loading factor NIPBL to DNA double-strand breaks depends on MDC1, RNF168 and HP1γ in human cells

(MDC1、RNF168、HP1γによる NIPBL の DNA 二重鎖切断部位への局在化)

岡 泰由、鈴木啓司、山内基弘、光武範吏、山下俊一

(Biochemical and Biophysical Research Communications, in press)

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科放射線医療科学専攻

(主任指導教員:永山雄二 教授)

[ 緒 言 ] Nipped-B-like (NIPBL)は 、 精 神 遅 滞 と 発 達 異 常 を 特 徴 と す る Cornelia de Lange syndrome の原因遺伝子として同定された遺伝子である。遺伝子産 物は、DNA 複製後の姉妹染色分体間の接合を保持するコヒーシンのクロマチンへの結 合に必須の蛋白質であることが報告されているが、ヒト細胞における DNA 損傷応答へ の関与は明らかではない。酵母の研究結果から Scc2(NIPBL の酵母ホモログ)は DNA 二 重鎖切断部位へ集まり、そのことがコヒーシンを損傷部位へ集め、さらには DNA 損傷 修復に関与していることが示唆されている。しかしながら、どのようにして Scc2 が DNA 二重鎖切断部位へリクルートされるのかは依然として不明である。そこで本研究 では、ヒト NIPBL 蛋白質が、DNA 二重鎖切断部位に集積するのか、及びその分子機構 を明らかにすることを目的とした。

[対象と方法] NIPBL の DNA 二重鎖切断部位への局在化を検討するため、局所に DNA 損傷を作り出す micro-irradiation 法と、制限酵素である I-PpoI を核内に移行させ ることにより DNA 二重鎖切断を誘導する方法を確立した。また、NIPBL の DNA 二重鎖 切断部位局在化の分子機構を解明するために NIPBL の発現ベクターを作製し、ヒト繊 維肉腫細胞である HT1080 細胞にトランスフェクションし、NIPBL の変異体の解析を行 った。また、RNA 干渉法を駆使して、NIPBL の局在性にかかわる因子の同定を行った。

[結 果] 蛍光免疫染色法を用いる事で、micro-irradiation と I-PpoI によって できた DNA 二重鎖切断部位に、NIPBL が局在化(リクルート)することを明らかにし た。RNA 干渉法による DNA 損傷シグナル伝達に関与する MDC1 と RNF168 のノックダウ ンにより、NIPBL の損傷部位へのリクルートは減弱した。また、NIPBL の変異体解析

(2)

の結果、Heterochromatin Protein 1(HP1)と相互作用する領域が NIPBL のリクルー トに関与することを証明した。ヒトでは HP1 はサブタイプが 3 種類(HP1α、HP1β、

HP1γ)存在するが、その中でも HPγが NIPBL の DNA 二重鎖切断部位への局在化を制 御していることを RNA 干渉法を用いた実験から明らかにした。さらに、NIPBL と HP1 γの間には、恒常的な相互作用があることを見いだした。

[考察] DNA 二重鎖切断部位に DNA 修復関連タンパク質をリクルートする分子機構は、

翻訳後の蛋白質の修飾や蛋白質間の相互作用を介する厳格な階層制によって制御さ れていることが知られている。MDC1/RNF168 は同じ経路で働き、DNA 二重鎖切断部位 への種々のタンパク質のリクルートに関与していることが明らかとなっている。本研 究結果から、このシグナル伝達が NIPBL の局在化も制御していることが明らかとなっ た。また、最近の研究結果から、ヘテロクロマチン構成因子である HP1 サブタイプの 全てが DNA 損傷部位へリクルートされていることが明らかとなっている。本研究結果 から、NIPBL の DNA 二重鎖切断部位へのリクルートが HP1γに制御されていること、

また放射線照射前後で NIPBL と HP1γの相互作用に変化がないことから、恒常的に NIPBL と HP1γが複合体を構成し、そのことが NIPBL の DNA 二重鎖切断部位へのリク ルートに関与していることが明らかとなった。コヒーシンは染色体上にある特定領域 に結合していることが知られているが、DNA 損傷はランダムに生じる。ランダムに生 じた DNA 損傷部位へコヒーシンを集めてくるために、NIPBL が DNA 損傷シグナル伝達 機構によってリクルートされるのではないかと考えられる。

参照

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