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イギリス1998年競争法の運用と公共の利益(1)

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イギリス1998年競争法の運用と公共の利益(1)

著者 渡辺 昭成

雑誌名 静岡大学法政研究

巻 9

号 4

ページ 230‑186

発行年 2005‑02‑28

出版者 静岡大学人文学部

URL http://doi.org/10.14945/00008847

(2)

論 説

イギ リス1998年 競争法の運用 と公共の利益 (1)

渡 辺 昭 成

本稿 の目的

Ⅱ  1998年 競争法の概要

Ⅲ  1998年 競争法の運用の状況

以上、本号

Ⅳ  1998年 競争法の運用か らの示唆

V  結語

I  本稿 の 目的

本稿 は、イギ リスにおいて 1998年 に制定 され、2000年 に施行 された 1998 年競争法の運用 を検討することにより、 日本独禁法 における「公共の利 益」概念 を具体化す ることを目的 とす る。

日本独禁法では、「公共の利益」 とい う文言 は、 2条 5項 06項 お よび 49条 において用い られている。 2条 5項 ・ 6項 に規定 されている「公共 の利益」 について、公取委及び多数説 は、自由競争経済秩序の維持 その ものであ り、行為要件 に合致 し、 「一定の取引分野 における競争 を実質的 に制限す る」場合 には、すべて不当な取引制限、私的独 占に該当するも の と考 えてきた。 この考 え方は、「 自由競争経済秩序 を維持することが、

公共 の利益 に合致す るとい う思想 なのであ り、公共の利益の本体 は一般

消費者すなわち国民の利益である・ 自由競争経済 は、一般消費者の利益

保護 を目的 とす る国民経済の構造原理 と解 され るが故 に、それ を維持す

(3)

ることが、公共の利益 に合致す るとされ るのである」 (1)と する。 しか し、

この見解 によると、独禁法中に規定 されている適用除外制度、その他各 種立法 による適用除外制度 について、整合的な説明 をす ることがで きな い。そのため、独禁法の機能的限界 として、 「部分的には別の政策原理が 妥当す る分野」がある として、特許制度や公益事業規制、協同組合 によ

る取引制限を挙 げている

12D。

それに対 し、昭和59年最高裁判決 (0は 、 これ とは異 なる「公共 の利益」

概念 を示 した。 「 2条 6項 にいう『公共の利益 に反 して』とは、原則 とし ては同法の直接の保護法益である自由競争秩序 に反す ることを指すが、

現 に行われた行為が形式的 に右 に該 当する行為であって も、右法益 と当 該行為 によって守 られ る利益 とを比較衡量 して、 『一般消費者の利益 を確 保す るとともに経済の健全で民主的な発達 を促進す る』 とい う同法の究 極の目的 に反 しない と認 め られ る場合 を右規定 にい う 『不当な取引制限』

行為か ら除外す る趣 旨と解すべ きである」とし、行為要件 に合致 し、 「一 定の取引分野 における競争の実質的制限」 をもた らす行為であつて も、

それが独禁法の究極 目的に反 しない場合 には、当該行為 は不当な取引制 限、私的独 占に該当 しない場合があ りうることを示 した。 しか し、 この 最高裁判決の考 え方 を採用 した場合で も、いかなる場合 に「独禁法の究 極 目的」 に合致す る行為 として認 め られ るかは不明確である。

私見 としては、後者 の考 え方をとるが、本稿ではいずれの立場 を取 る にしろ、「独禁法の機能的限界」が存す る場合、ない し、「独禁法の究極 の目的に反 しない」場合 とはいかなる場合であるかを明 らかにす ること を目的 として、イギ リス競争法の運用 を参照する ヽ

イギ リス競争法 は、従前、カルテル規制 に関 して1976年公正取引法、

市場支配的地位 の濫用・ 合併・ 市場集中に関 して 1973年 公正取引法およ

び1980年競争法、再販売価格維持行為 に関 して1976年再販売価格法 に基

づいて規制 を行 つていた。 これ ら旧法では競争への影響以外の様々な内

(4)

容 を有す る「公共の利益」が違法性 の判断基準 とされていた。 しか し、

EUに おける市場統合、通商の国際性か ら、競争 に関する規制 を行 う当 局の協力関係 を強化することが求め られた。 それに伴 い、競争規制の内 容及 び手続の統一化が必要 とされ、イギ リス も 1998年 競争法、2002年企 業法 を制定 し、 競争への影響 を判断基準 とする EU法 お よび EU加 盟諸国 の競争法制 との統一化 を図っている。 また、旧法 は、「公共の利益」 0の 基準 としての不明確 さ、 EU法 とのダブルスタンダー ド、その他法の不備 による規制対象の狭隆 さが指摘 され、イギ リス国内において もその改革 の必要性が主張 されていた。

本稿で は、カルテル、再販売価格維持行為、市場支配的地位の濫用 を 規制す るもの として新たに制定 された 1998年 競争法の運用の うちカルテ ル規制 について検討することによ り、「公共の利益」概念の具体化するこ とを試みる。1998年競争法 は、連合王国内で実行 ないし実行 されること が意図 され る「競争 を阻害 し、制限 し、歪曲する」協定、連合王国内に 影響 を及 ぼす可能性 のある市場支配的地位の濫用 に値する行為が禁止 さ れた。そのため、旧法下 において、違法性の判断基準 として用いられて いた 「公共 の利益」 概念 は姿 を消 したかの ように思われ る。 しか し、 1998 年競争法の条文中およびその運用 において「公共の利益」概念 を継承 し ているかのように思われる箇所が見 られ る。

以下では、第一 に 1998年 競争法の概要、および、イギ リス競争法の運 用当局である公正取引庁 (以 下、 .OFT)0発 表のガイ ドラインにおいて その運用指針 を見 ることとする。 また、それ をふ まえた上で 1998年 競争 法の運用 を検証す る。

なお、1998年法の概要 については、既 に発表 した論文 と重複する部分

があることを予めお断 りしてお く。

(5)

Ⅱ  1998年 競 争法 の概 要

1.1998年 競争法によるカルテル規制 (1)1998年 競争法 において禁止 される協定

1998年 競争法 (以 下、新法 )2条 は、複数の事業者間の協定、事業者 団体 による決定、ない し協調行為 (以 下、 これ らを「協定」とす る )は 、 連合王国内の競争 に影響 を与 える可能性があ り、かつ、その 目的 または 効果 として、連合王国内の競争 を阻害、制限、歪 曲す るものである場合 に、禁止 され ることを規定 している。その例 として、 (a)直 接 ない し間接 的に購入価格 ない し販売価格、およびその他取引条件 を決定す ること、

(b)生 産、市場、技術 の発達 ない し投資 を制限ない し支配すること、 (C)市 場 ない し供給源 をシェアす ること、 (d)他 の取引相手 と同様の取引に対 し、

異なる条件 を付 し、その際、その者 に対 し、競争上の不利益 を課す こと、

(e)契 約 を締結す るにあた り、当該契約 の性質ない し商慣習 において当該 契約の目的 とは関係のない付随的な条件 を付す ことが挙 げられている。

新法 2条 は、1976年制限的取引慣行法

(つ

とは異な り、 「競争 を阻害、制 限、歪曲す る」 協定 を禁止 し、 EU法 85条 1項 と同様 の内容 を規定 してい る。 しか し、 2条 において禁止 され るこれ らの行為 について、明確 な定 義がなされていない。 そのため、新法 2条 の解釈 について、公正取引庁

はガイ ドラインを公表 している。

(2)ガ イ ドラインによる 1998年 競争法 2条 の解釈

公正取引庁 (以 下、 OFT)は 、 カルテル規制 につ き様々なガイ ドライ ンを公表 している。その中で OFTは 、新法 60条 に規定 されているように、

カルテル規制 を規定 した第 1章 お よび市場支配的地位の濫用規制 を規定 した第 2章 ともに、その文言および概念 に関 し、その運用 において、 EU

法 との整合性 を保持 しなければな らない ことを明記 している。 また、新

法 2条 が EU法 85条 1項 に倣 って規定 された ことも明 らかにしている。

(6)

第 1章 に関するガイ ドライン 0で 重要な点は、 2条 で禁止 される協定 に 関 し、それが 目的 または効果 として、 EU法 85条 12項 の運用 と同様 に連合 王国内の競争 を「知覚可能」である程度 に阻害、制限、歪曲する場合 に のみ、禁止するとしている点である。

)。

また、当事者の合計 シェアが 25%

を超 えない場合 には、通常、当該協定 は知覚可能 な影響がない もの とし てみなされることも明 らかにしている

(10。

ただ し、直接 ない し間接的に 価格 を決定ないし市場 をシェアす るもの、最低販売価格 を課す もの、当 該市場 において累積的な効果 を持つ同様 の協定の広が りについては、当 事者のシェアが 25%以 下であって も「知覚可能」 な効果 を持つ もの とし て禁止することも明 らかにしている

(11ヽ

2.カ ルテルに対する 1998年 競争法の適用除外

(1)新 法付則 による適用除外

新法 は 3条 において、付則 1か ら 4に 規定 されている事項 につ き、 2 条の適用か ら除外 され るとしている。

付則 1は 、2002年企業法の適用範囲である合併および市場集中につい て規定 している。合併 を実施するための協定、ジ ョイン トベ ンチャーに 関する協定、 EU合 併規制の対象 となる協定 につ き、 2条 の適用か ら除外 される。付則 2は 、他の制定法 によ り競争 における審査が行われるもの について規定 している。1986年金融サー ビス法、1989年会社法、 1990年 放送法、 1995年 環境法 による審査 を受 けるものに関 しては、新法 2条 の 適用か ら除外 され る。付則 4は 、専門的職業サー ビスの規程 について規 程 している。当該専門的職業サー ビスを規制す る機関が通商産業大臣に 適用除外のための申請 を行い、その指定 を受 けた ものについては、適用 か ら除外 され る。 ここで想定 されている専門的職業サー ビス とは、弁護 士業務、医療サー ビス、建築、会計業務 な どに関するものである

(la。

この付則 において問題 となるのは、付則 3で ある。付則 3で は、 「予定

(7)

され る義務およびその他一般的適用除外」 として、都市田園計画法 に基 づ く協定、制限的取引慣行法 21条 に基づ き通商産業大臣が調査 を必要 と す る重要性がない と判断 した協定 な ど様々な ものが 2条 の適用か ら除外

され ることが規定 されている。

その中で、通商産業大臣が「公共の利益」 という例外的かつ従わざる を得ない理由があると考 えるものについて、適用除外の命令 を発す ると している。 この「公共の利益」の内容 は不明確であ り、ガイ ドラインも 公表 されていない。新法60条 は、 EU法 との整合性 を保持することを規定 しているが、 この 「公共の利益」を理由 とする適用除外が拡大 され、様々 な協定が 2条 の適用か ら除外 される可能性がある。 この「公共の利益」

が、 1976年 制限的取引慣行法がい うところの「公共の不 U益 」 とどの よう な関係 にあるかは定かではない。 しか し、通商産業大臣は、 この「公共 の利益」を理由 として、 EU法 においては適用が除外 されない協定 につい て もそれを除外す る権限 を有す る。しか しなが ら、新法 は EU法 との整合 性 を重視す ることか ら、 「公共の利益」を理由 として、 2条 に該 当する協 定 を適用除外 とす る可能性 は低 い。

(2)通 商産業大臣の命令 による適用除外

通商産業大臣は、命令 により不動産 に関す る協定、垂直的協定 に関 し、

新法の適用か らその多 くを除外 している

(10。

なぜ な ら、これ らの協定 は、

「知覚可能」な影響 を競争 にあたえることが希であるとされているため

である。生産・ 流通 において異なる段階 に属 し、一定の商品・ サー ビス

の購入・ 販売・ 再販売 における当事者の条件 に関す る協定 は、第一章の

適用か ら除外 され る。 この協定 には、知的所有権 の購入・ 譲渡 に関す る

協定 も含 まれる。 ただ し、当該協定が、購入者お よびその顧客の当該商

品・ サー ビスの利用・ 販売・ 再販売 にその主 目的がある場合、お よび直

接的 にそれ らに関連 している場合 には、 2条 の適用か ら除外 されない。

(8)

3.カ ルテルに対する 1998年 競争法の適用免除 (1)個 別適用免除

新法 4条 は、 OFTは 、協定当事者 の申請 に基づ き、 9条 に規定 された 要件 に合致す る協定 について、第一章の適用 を免除す ることがで きる旨 を規定 している。個別適用免除がなされ る協定 とは、 (i)「 生産 ない し流 通の革新」ないし「技術 ないし経済の発達の促進」 に寄与 し、かつ、

(五)

それか ら生ず る利益 を消費者 にも公平 に分配するものであ り、かつ、

Ci〕

当該協定の目的の達成のために必要不可欠ではない制限 を当該協定の当 事者た る企業 に課す ものではな く、かつ、 livl協 定の対象 となる商品の実 質的な部分 において競争 を排除す る可能性 を持たない ものである。 これ ら 4つ の要件 はすべて満た さなければな らない。これ らの要件 は、 EU法

81条 3項 とほぼ同一であ り、 9条 は、 EU法 との整合性 を図ることが意図 されている

(14)。

(2)― 括適用免除

新法 6条 は、一括適用免除 を規定 している。 OFTは 、ある一定 のカテ ゴ リーの協定が、 9条 に定 める要件 に合致すると思慮する場合 には、そ の旨を国務大臣に、当該 カテゴ リーを一括 して、命令 により、第一章の 適用 を免除す ることを勧告す ることがで きる。勧告 にあた り、 OFTは

当該―括適用免除の影響 を受 けると考 えられ る者の注意 を喚起 す るため に適当 と考 える方法 によ り、当該勧告の詳細 を公表 し、かつそれによる 意見 を考慮 しなければな らない (8条 1項

)。

国務大臣は、 その勧告 を受 けて、その形式 にのっ とり、 または修正 を 加 えて、「一括適用免除命令」を発することがで きる。ただ し、修正 を加 える場合 には、その旨を OFTに 通知 し、その意見 を考慮 に入れなければ な らない (8条 2項

)。

当該 カテゴ リーに属す る協定 は、「 自動的に」第一章の適用が免除 され

る。つ まり、個別適用免除のように、当該協定 を OFTに 通知す る必要 は

(9)

ない。

また、 7条 において、命令が適用 され る特定の業種 には該当 しないが、

当該命令 において規定 されたその他の要件 を満たす協定 について、それ が一括適用免除命令が適用 されるもの として、扱われ る可能性があるこ とが規定 されている。当該協定が、命令 において具体化 された基準 を満 た し、かつ OFTへ の通知がなされ、それを受 けた OFTが 、一定の期限内 に、当該協定が基準 を満たさない旨を文書 により通知 しないかぎ り、一 括適用免除 を受 けることが可能である。

13)Para!lel exemption

新法 10条 は、 Parallel Exemption"と して、 EU法 の適用 を免除 され た協定 は自動的 に、第一章の適用が免除 される旨を定 めている。 10条 に おける EU法 の適用 を免除 された協定 とは、第一 に、 81条 3項 に基づ き、

EU委 員会が個別適用免除 を付与 した協定、 一括適用免除 を行 うことを規 則 により定 めた協定 に該 当す る協定である。第二 に、 EU委 員会への通知 がなされたが、当該協定が EU法 81条 1項 に違反す るとの判断を行 うため の期限が経過 した協定、ない し、当該協定が81条 1項 に違反す るとされ なが らその見解が取 り消 された協定である。また、 EU加 盟諸国の通商 に 影響 を与 えることはないが、規則 によ り、 EU法 の適用が免除 され る協定

も、 Parallel Exemption"と して、第一章の適用が免除 される。

しか し、 OFTは 、一定の場合 に、新法 51条 に基づいて、規則 を定 める

ことにより、当該 Parallel Exemption"に 該当す る協定 について、当

該免除に条件 を付 し、ない し、当該免除 を変更ないし取 り消す ことがで

きる。 このような OFTの 権 限が行使 され るのは、当該協定が、連合王国

内の市場 に重大かつ有害な影響 を もた らす、ない しもた らす可能性があ

る場合である

(10。

(10)

Ⅲ  1998年 競争 法 の運 用 の状 況

2000年 3月 に新法が施行 され、現在 4年 あまりが経過 した。公正取引 庁長官 (以 下、長官 )お よび OFTは 、 これ まで 60以 上 の事件 について決 定 を下 し、 Competition COmmission(以 下、 CC)は 当事者お よび利害 関係人のAppealに 基づきの長官および OFTの 決定の可否 について判断を 行 っている。

CCは 、 2条 違反行為が問題 となった事例 につ き、 1件 についてのみ長 官決定 を破棄 している。 これは、General lnsurance Standard Council 事件 (10で あるが、 長官が 2条 違反がない と決定 した GeneraHnsuranceを 販売す る保険会社 を会員 とする組織 の会員規約 につ き、その決定 を破棄

した ものである。 その後 2条 違反 の可能性のある会員規約が改訂 された ために、改めて、長官 は当該規約が 2条 違反で はない との決定 を行 って いる。

これ まで長官及び OFTが 決定 を行 った事例 は、違反事実がない として

2018条 違反 を認 めなかった もの、再販売価格維持行為 により 2条 違反 を認定 した もの、市場支配的地位 にある事業者 による 18条 違反 を認定 し た もの、明確 なカルテルによる 2条 違反 を認定 した もの、 2条 018条 の 適用の免除 を決定 した ものに分類す ることがで きる。

その中で、本章では、「公共の利益」概念の具体化 に関連す ると思われ

る事例 について、詳 しく見てい くことにする。Link lnterchange Network

幹 、  Memorandurn ofl」 nderstanding on the supply of oil fuels in an

emergency事 件 、 Pool Reinsurance Company Lilnited事 件 、 Association

of British lnsurers'General Terms of Agreement事 件 は、 当事者 の 申

請 に基 づ き、 当該協 定 が 9条 の要件 に合致 し、 4条 に基づ き 2条 の適 用

が免 除 された事例 で あ り、Lucite lntemational事 件 は、当該協定 は垂直

的協定 で あ り新 法 の適 用 か ら除外 され る もので あ るが、 それ に関 し、長

(11)

官が適用除外 を取 り消 さない理由を詳 しく述べているものである。

1.2条 通用が免除 された事例

(1)Link:nterchange Network[封

(17)ら

①事実の概要

本件 は、 銀行や ビルの所有者 を会員 とするイギ リス国内で 33000あ まり の現金 自動預 け払 い機 (ATM)を 運営する LINK"の 名称 を持 つネ ッ トワークの運営に関する協定が知覚可能 な程度 に競争 を阻害、制限、歪 曲するため、 2条 違反であるが、 9条 の要件 に合致す るため、個別適用 免除が付与 されたものである。イギリス国内の ATMは そのほとんど力洸 INK

ネッ トワークに接続 されてお り、預金者 による払い戻 しの うち 62%が 当 該 ATMを 通 じて行われ、また当 ATMは その他、銀行のバ ランスシー ト

をチェックする機能や小切手帳 を注文す る機能 な ど、幅広いサー ビスを 提供 している。

本件協定 は、主 に次の 5つ の ものか らなる。

171 LINK Operating Rules

当該規則 は、 LINKの 会員 となるための入会資格基準 を規定 しているも のである。ここでは、会員相互間および当ネ ッ トワークヘの、必要条件、

責任、権利、義務が会員 となる様々な者達の間でそれぞれ異なった形で 規定 されている。以前 は、当ネ ッ トワークにはノンバ ンクおよび金融機 関ではない者 は会員 となることがで きなかったが、2000年 5月 に当該規 約 は修正 され、 それ らの者 も正会員 となることが認 め られている。

)Member PHcing schedule

当Scheduleは 、取引に係 る手数料、会員相互間お よびネ ッ トワーク接

続費用、その他様々な費用および、その他会員か ら徴収 を要する状況 に

ついて規定 している。 ここでは、特 に、預金者が現金 を引 き出す際の料

金の徴収および料金 を徴収 しない場合の金融機関から ATM所 有者 に支払

(12)

われ る料金が規定 されている。

l●

l Shareholders Agreement!:

LINKの 運営および所有 に関す る協定、 LINK会 員の権利 お よび義務 を 規定 した ものである。

l■

l Network Members Agreements

会員が従 う義務のある LINKネ ットワークの運営 を規制する条件につい て規定 した ものである。

l■

l Resolution

個々 に発行 され るデ ビッ トカー ドによる取引については、カー ド発行 者・ ATM間 での手数料の対象 とはな らない ことを規定 した ものである。

このような内容 を有す る協定 により、 ATM、 LINK、 銀行 な どのカー ド発行者 を結ぶネ ッ トワークが運営 されている。本協定 は、 ATMの 所有 者 とカー ド発行者が異なる場合にのみ適用されるものであり、 LINKは ATM

とカー ド所有者が有するカー ド発行者の回座を中継する役割 を担っている。

当該協定 は、 ATM所 有者がカー ド発行者か ら受 け取 る手数料 を規定 し ているが、それは強制的な ものではな く、 ATM所 有者 とカー ド発行者 と の間で も自由に交渉す ることがで きる。 しか し実際には、ほんのわずか

しか二者間での交渉 は行われてお らず、 LINKの 支店、非支店、現金以外 の取引 とに分 け、それぞれ LINKが 規定 した手数料 (multilateral inter‐

change fee一 MIF)を カー ド発行者 は支払 っている。 また、カー ド発行 者が LINKに 対 し、 ATMと カー ド発行者のコンピューターを接続す るた めの費用、その他の運営費用 に対 して支払 う金額 (switching and settle‐

ment fee)に ついて も取引の回数、 LINKの 収入 の状況 に応 じ、当該協定 により規定 されている。その他 にも、 LINKは 会員 に対 し、 Visa、 Europay/

Master Cardと いった他のネットワークヘの接続サービスを費用 (gateway fee)を 徴収 して行 っている。

また、当該協定 は、 ATM所 有者、カー ド発行者 とも独 自に顧客か ら手

(13)

数料 を徴収することを認 めている。ただ し、 ATM所 有者がその利用者か ら独 自に手数料 を徴収する場合 には、当サービスに対 し、カー ド発行者 か ら手数料 を受 け取 ることはで きず、同様 にカー ド発行者が MIFを 利用 している場合 には、独 自に手数料 を徴収す ることがで きない旨を規定 し ている。

② 当該協定 に係 る法的判断

0  市場の画定

LINKに より通知 された協定の核心 は、イギ リス国内の ATMサ ー ビス において、カー ド発行者 と ATM所 有者 との間の取引、お よびネ ッ トワー ク機能 の明確化である。 LINKネ ッ トワークによ リカバー され る ATMは

イギ リス国内の ATMの 大部分であるが、 銀行及び ビル所有者が所有する その他のネ ッ トワーク と競争 している。 4大 銀行 のそれぞれが広範なネッ トワークを有 し、また LINK会 員 も独 自のネ ッ トワークを形成 している。

多 くのカー ド所有者 はその所有するカー ドを発行 した機関の ATMを 利用 するため、当該取引は LINKを 通過 しない。そのため、関連する製品市場 は、 このような取引および LINKを 通 じた取引である。

LINKは 、銀行、 ATM所 有者が株主であ り、かつ、会員である組織 で あ り、その協定 は LINKお よびその会員間、会員相互間に適用 され るもの である。当該協定 は、イギ リス全土 に広が る LINKネ ッ トワーク全体 に関 す るものであ り、その影響 はイギ リス全上 に及ぶ ものである。 そのため 地理的市場 は、イギ リス全体 として画定 される。

0  競争への影響

上記の協定の内容の うち、 (i)会 員 に関す る規約、

(五

)MIF、

ti〕

switching and settlement fee、 gateway feeに つ き、長官 は 2条 適用可能性がある

とする。

(i)会 員に関する規約

会員 に関する規約が、 重大な参入障壁 となるか否かは、 LINKネ ットワー

(14)

クが上記関連市場 において競争 を行 うために必要であるか否かにより判 断 され、それ故、 LINKの 会員 となることが潜在的競争者が顧客 にサー ビ スを提供するために必要か否かによる。

結論 として、当該会員規約が競争 に知覚可能 な程 の影響がない。 とい うのは、第一 に他のネ ッ トワーク との競争 に直面 しているためである。

また、 LINKの 正会員 とな らな くとも、現在の会員 と個別 に交渉す ること によ り、同様 のサー ビスを顧客 に提供す ることも可能である。そして、

当該会員規約 は、会員である四大銀行 に、その所有す る株式 に見合わな い意思決定権 を与 えてお らず、かつ、四大銀行 は LINKに おいて多数支配 を及ぼすほどの権利 を有 していない。そのため、四大銀行が LINKに おい て特定の会員 に対 し、差別的な取 り扱いをす ることはで きない。

したが って、当該会員規約 は、会員間の競争 を知覚可能 なほ どに制限 す る可能性 はな く、 2条 に違反 しない。

(il)M!F

MIFの 問題点 は次の 3点 である。第一 は、会員が 自ら手数料 を決定す る能力 を制限することであ り、第二 は、会員の個々の顧客へのサー ビス を向上 させ る努力 を阻害す ることであ り、第二 は、本来 は当事者間で行 われ る手数料の支払いのシステム相互間の競争 を制限することである。

これ らは、 LINK会 員が個々 に自らの価格政策 を決定する自由を制限する ものであ り、かつ、銀行間の競争 に対 して も制限的である可能性がある。

上記 Resolutionに ついては、 ATM所 有者が独 自に手数料 を徴収す るこ

とが可能であ り、 MIFは 会員 に対 して強制的な ものではな く、かつ、独

自の手数料 を徴収す ることを義務づ けるもので もない。 また、デ ビッ ト

カー ドについては適用がな く、デビッ トカー ドについて費用 を徴収す る

場合 には、それが差別的な ものにな らない ことを要求 しているのみであ

る。そのため、多 くの会員 は MIFを 遵守 しているが、会員が独 自に他の

手段 でコス トをカバーすることを制限 してお らず、 また、代替的 に会員

(15)

間で協定 を締結することも制限 していない。したがって、 Resolutionは 、 競争 に対 して知覚可能 なほどの影響がな く、 2条 に違反 しない。

(i)Switching and settlement fee

Switching and settlement feeは 、カー ド発行者が LINKが 会員 に提供 す るサー ビスの対価 として LINKに 対 し、支払 うものである。これが、会 員全体が LINKに 対 して支払 う金額の約 3.5%で あ り、重要な割合 を占め ていない。 また、Link Operating Rulesは 、 switching and settlenlent feeを 規定 してはいるが、会員が顧客た るカー ド所有者か ら徴収す る手数 料 については規定 していない。従 って、 switching and settlement feeが 規定 されていた として も、競争 に対 し、知覚 しうる程の影響 はな く、 2 条違反 とな らない。

(vl Gateway Fee

LINKは 、VISA、 Europay/Mastercardの ネ ッ トワークとの接続サー ビスをそれ らのアクセスポイン トを経由して、会員に提供 している。 こ のサー ビスの利用は、会員 に とって強制的な ものではな く、 LINKは 当該 サー ビスの利用があるごとに、個々 に費用 を徴収 している。この費用 は、

このサー ビスを提供す る費用 を相殺する水準 に設定 されている。

多 くの LINK会 員は、直接 VISA、 Europay/Mastercardの ネットワー クと接続 しているか、または他のネットワークを利用 している。 39の 会 員のうち、 わずか 6の 会員がこのサービスを享受しているにすぎず、 LINK

で行われる取引全体の 1%に すぎない。

それゆえ、当該 Gateway Feeの 設定には、 LINK会 員が直接的な接続 を行 うことや、他のネットワークを利用することを制限する内容は含 ま れておらず、故に、 2条 に違反 しない。

③適用除外の付与

上記に述べた理由から、長官は、 MIFに よる手数料の設定が LINK会 員

間の競争を制限する効果を持つと考えている。 MIFは 、カー ド発行者に

(16)

より ATM所 有者 に対 して支払われる手数料の固定化する効果 を持つため である。 しか し、長官 は、 この MIFに 対 し、個別適用免除 を付与す ると している。新法 4条 は、長官 は、協定当事者の申請 に基づ き、 9条 に規 定 された要件 に合致す る協定 について、第一章 の適用 を免除す ることが で きる旨を規定 している。個別適用免除がなされ る協定 とは、∽「生産 ない し流通の革新」ない し「技術 ない し経済の発達の促進」 に寄与 し、

かつ、 )そ れか ら生ず る利益 を消費者 にも公平 に分配するものであ り、

かつ、 lpl当 該協定 の目的の達成のために必要不可欠ではない制限 を当該 協定 の当事者たる企業 に課す ものではな く、かつ、 0協 定の対象 となる 商品の実質的な部分 において競争 を排除する可能性 を持たない ものであ る場合 には、当事者の申請 に基づ き、個別 に新法の適用 を免除すること が可能である。以下では、それぞれの要件 に MIFが 合致するか否かの判 断 を行 っている。

171「生産ないし流通の革新」ないし 「技術ないし経済の発達の促進」

当該多方向的ネ ッ トワークは、 MIFを 利用 しなければ、有効 な もの と はな らない可能性がある。なぜな ら、 フ リーライ ドの危険性があ り、技 術的な効率性 も達成 されない危険性があるためである。個々の会員が当 システム全体 の効果 を考慮することな く自らの手数料 を決定 し、超過的 な価格 を設定することとなれば、低価格 を設定す る他の会員 にフリーラ イ ドす ることを望み、その結果、自らの ATMを 利用する他 のカー ド発行 者の顧客か ら高い手数料 を徴収 し、他方で低 い手数料 を設定 している他 の会員の ATMを 利用する自らの顧客の利益 を最大化することを試みると 考 え られ る。 しか しなが ら、すべての会員が 自らの利益 を最大化す るこ とを考 えるとすると、 ATM利 用者か ら徴収す る手数料 は高止 まりし、ひ いてはネ ッ トワーク全体 の需要 を低 めることとなる。

また、会員が相互 に個別 に協定 を締結することとなれば、個々に 741も

の協定が締結 されることとな り、付加的なコス トが必要である。したがっ

(17)

て、このようなコス トは、ネ ッ トワークの規模 を縮小 させ ることとな り、

新規参入 を妨 げることとなる。

LINKは 、カー ド所有者 に対 して、多 くのイギ リス国内の ATMか ら自 らの回座 にアクセスする機会 を与 えている。特 に、多 くの ATMを 持たな い小規模 なカー ド発行者の発行するカー ドを所有する者 に自らの回座 に アクセスす る機会 を与 えるものである。

したがって、 MIFは 、流通 を革新するものであ り、当該基準 に該当する。

0  消費者への利益の分配

LINK会 員 は、カー ド所有者のユニバーサルアクセスを供給することに より、多 くの利用者 に ATMサ ー ビスの運営 コス トを広 く薄 く負担 を課 し ている。つ まり、多 くの設備投資なしに、カー ド所有者が利用す る ATM

を増加 させている。 LINK会 員 は、自らの顧客 に課す費用の面で競争 を行 うことを妨 げ られてはお らず、かつ、 これ らの利益 を自らの業務 を通 じ てカー ド所有者 に分配す ることが予想 され うる。

191  目的達成のために必要不可欠な制限

この必要不可欠性 を論ず るにあた り、 MIFが そのコス トをカバーする のに必要な金額 を上回っているか否かを考 える。

LINKは 、独立 した機関により、定期的 に会員が負担 しているコス トに ついての調査 を行 っている。コス トの関す る情報 は、会員か ら集め られ、

ATMを 通 じたサービスを行 うためのコス トが MIFの 設定に反映され、 LINK

ブラン ドの ATMを 運営す るための必要なコス トが反映 されている。

また、 MIFは カー ド発行者 と ATM所 有者 は、 ATMの 運用 コス ト以上 の手数料 を徴収する機会 を制限 しているが、 Resolutionに 関 してはそれが 2条 違反ではない との判断を行 っている。 Resolutionは 会員 に MIFと は 別 に個別 に手数料 を徴収す ることを認 めている。

したがって、 MIFは 、その目的 を達成す るために必要不可欠 な もので

ある と判断す ることがで きる。

(18)

l■

l  競争の実質的な部分の排除の可能性

カー ド所有者の多 くは、カー ド発行者の ATMを 利用 し、当該 MIFの 対 象である取引は、 これ より非常 に小規模 な ものである。四大銀行 はそれ ぞれ広大 な ATMネ ッ トワークを持 ち、 LINK会 員 それぞれ も独 自のネ ッ トワークを有 している。これ らのネ ッ トワークは、 LINKの 代替 となるも

のであ り、 LINKが 非競争的な手数料 を設定することへの競争的な制限を 課す ものである。また、これ らのネ ッ トワークは、 LINK会 員が特定の会

員に対 し、 差別的な条件 を付すことを制限 している。 LINKの 協定 は、 LINK

会員が他の ATMネ ッ トワークの会員 をなることを制限せず、また、自ら の LINK外 の ATMネ ッ トワークを他 と共有することを禁 じていない。

④結論

LINKに よって締結 されている協定および設定 された手数料の検証から、

MIFに 関す る合意 は、 9条 で述べ られている条件 に合致す る。 したがっ て、 14条 に基づ き、当該協定 は、 2条 の適用が免除 され、 この免除 は、

この決定か ら 5年 間継続す る。 また、他の協定の内容 について も競争 を 知覚可能 なほ どに阻害、制限、歪曲す ることはない。

(2) Memorandurn of Understanding on the supply of oi:fuels in an emergenc鮮 封件

(1鋤

①事実の概要

本件 は、2000年 9月 に発生 した燃料危機の後、政府、主要石油元売業 者、独立系石油卸売・ 小売業者、石油輸送業者、警察、労働組合の全国 組織の間で締結 された協定 に関す るものである。当該協定 は、燃料危機 に伴 う石油 の供給 に関す る混乱 が生 じた際 に、石油の供給 を保全 し、

essential user"に 対す る供給 を保護するための ものであ り、政府が策 定 した ものである。

当該協定の主要な内容 は、石油の供給 に関する混乱が生 じた場合 に備

え、各社の石油の備蓄の水準、場所、役割 を刷新 し、特 に essential user"

(19)

に対 して、利 用者 への石油 の供給 を促進 し、消費者 へ の石油 の供給 を制 限す る こ とで あ る。 2000年 9月 の燃料危機後、 当該協定 の当事者 は共 同 して危機 が生 じた際 に実施 され る方策 を精緻化 す る作業 を共 同 して行 っ てい る。

②法的判断

0  市場の画定

当事者 は、関連製品 は石油の供給のための もの全般であるとす る。石 油燃料 は、ガ ソリンや灯油な どの自油、重油 な どの燃料用、 LPGガ スな どに分類す ることが可能であるが、当該協定 はこの全般 に及ぶ ものであ る。 また、取引段階 としては、石油精製業者か ら供給 (卸 売業者 を通 じ た石油の供給、小売の段階に分類す ることが可能である。 しか し、精製 業者が卸売業 を行 っている場合や、卸売業者が小売 りも同時 に行 ってい る場合があることか ら、 しばしばその段階は重な り合 うものである。当 該協定 は、石油の供給 に関するすべての段階に関係す るものであ り、 ま たその区別 を行 うことも困難である。 また、当該協定 を審査す るにあた

り、それぞれの段階 を区別する必要がない と考 えられ る。

地理的な市場 としては、イギ リス全土が市場 として捉 えられる。なぜ なら、国外か ら代替的な供給、新規参入がある可能性 は低い ものであ り、

また、当該協定の対象は国内の石油の供給のみに関係す るものであるた めである。

0  競争への影響

当該 MemOrandunlは 、当事者が石油元売、石油卸売・小売、石油輸送

業者 といった事業者であ り、協定である。当該協定 は、石油燃料の突発

事態が生 じた際のイギ リス国内の通商 に影響 を与 える可能性がある。当

該協定の客観的な結果が競争 を阻害、制限、歪曲す るものであれば、当

事者の主観 は関係 な く、 2条 に違反す る。当事者の意図は、突発事態 に

備 えた計画お よびその際の実際の行動 を規定す ることであるが、 「限定 さ

(20)

れた利用者への供給 を保護する」 とい う目的は、競争の制限である。つ まり、市場 を制限ない しコン トロール し、かつ、市場 ない し石油の供給 源 をシェアす ることにその目的があ り、 これは 2条 の適用対象である。

また、利用者への供給、特 に限定 された利用者への供給、お よび、顧客 への石油の供給の制限は、当該協定の反競争的な目的を補強するもので ある。

また、当該協定 は、その内容 として、燃料危機の際の行動 を計画 し、

各社の石油の備蓄の水準、場所、役割 を検証す るものであることか ら、

情報 を交換す るものである。 この内容 は潜在的に燃料危機の間およびそ の後の競争 を阻害、制限、歪曲す るものである。

したがって、当該協定 はその目的および効果 において競争 を阻害、制 限、歪曲すると結論づ けられる。

その影響の程度 については、本件では当事者の関連市場 におけるシェ ア、市場の構造、当該協定の性質 によ り考察す る。

協定当事者の石油精製の分野 における合計 シェアは、資料 によって差 異 はあるが、 80%以 上であ り、卸売 においては 89%、 小売 に関 しては 71.

8%で ある。また、当該協定 はその性質お よび情報の交換 とい う側面か ら 見 る と、第一 に情報の交換 は市場 における不確実性 を取 り除 くものであ り、それ故、当事者間の競争 を取 り除 くものである。石油の備蓄の水準、

場所 に関す る情報の交換 は、商業的 にみて非常 にセンシティブな もので あ り、備蓄 した石油の不足時に競争者が互いの顧客 を標的 とすることが 可育 Eと な り、 また、 その後の行動 に も影響 を与 えるものである。 また、

情報交換 により、石油精製および備蓄の能力 に関す る不確実性が取 り除 かれ る可能性がある。市場の構造か らみて、当事者 は情報の交換が行わ れない燃料危機後の市場 の状況 を変化 させ る可能性がある。 その情報交 換がた とえ燃料危機時 にしか行われな くとも、市場が寡 占化 しているこ

とか ら、その後の競争 に知覚可能 な影響 を与 える可能性がある。

(21)

したがって、当該協定 は、 その目的および効果 において競争 を知覚可 能 な程度 に阻害、制限、歪曲す る と考 えられ る。

③適用免除

以下では、 本件協定が適用免除 を付与す るか否か を判断す るにあた り、

9条 の要件 に合致 しているか否かを判断 している。

171「生産ないし流通の革新」ないし 「技術ないし経済の発達の促進」

当事者の協定全体 を通 じての目的は、燃料危機時 に発生す る避 けがた い石油供給の混乱か ら、限定 された essential user"へ の供給 を保全す ることである。 自由かつ競争的な市場の結果 として、石油燃料 について 突発事態が生 じた場合、 これ らへの供給 は必ず しも行われず、 または不 可能 となる可能性 さえある。 この ような状況下では、ある種 の政府 によ る介入が必要であ り、競争 に対するこの種 の制限は、 essential user"ヘ の供給 を保全す ることにより、流通の促進 に寄与するものである。また、

政府が「非常事態宣言」 を行わず とも、限定的で はあるが、流通 を促進 す るものである。

0  消費者への利益の分配

当該協定 は、限定 された essential user"へ の供給 を保全するもので あ り、 これ ら顧客 は石油の分配 プロセスか ら直接的に利益 を享受す る。

さらに、公衆、つ まり消費者全般 も、石油危機時 には緊急サービスを提

供す る者、公衆及び環境 の安全 を保護す る者、公共サー ビスを提供す る

者、食料 を供給す る者、輸送 システム を運営する者、燃料 を供給す る者

に石油が優先 して分配 され るため、利益 を享受す ることとなる。 これ ら

の限定 された essential user"へ の供給 は、特別の安全策 により保全 さ

れ るものである。特 に、当該協定 は、 もし当該協定が存在 しなければ実

現す る可能性が低い状況 において、 これ ら利用者 に石油が供給 され るこ

とを保全す るものである。 したがつて、若干の消費者 は通常の石油の供

給 を受 けられな くなる可能性があるが、この政府の介入 により、 essential

(22)

user"お よび消費者 に利益 を与 えつつ、イギ リス全体 の経済 に対する石油 不足の影響 を最小化す ることが可能である。

191  目的達成のために必要不可欠な制限

当該協定 に基づいて行われ る行動 は、当事者の一部 ないし全部 による、

市場 の制限ないし支配、市場および供給源の分割、情報の交換 を含む も のである。いかなる程度 において石油市場 を支配 し、供給 を essential user"に 振 り向けるか とい うことは、石油供給 の崩壊の状況およびその特 質 に左右 され る。 しか しなが ら、政府 はその必要性 を石油燃料 に関する 突発的危機が生 じた場合 に限定 し、 essential user"の 必要性 を満たすの に必要な程度 に限定 している。 したがって、当該協定 に基づいて行われ る行動 は、本協定の目的 を達成す るために必要最小限の ものであ り、 し たがって、一般消費者 に とって流通が革新 され るのであれば、当該協定 は必要不可欠な ものである。

また、 この協定 に基づいて行われ る、懸念が示 され るセ ンシティブな 情報 の交換 な どの一定の競争の制限は、必要不可欠な ものである。当事 者間の情報の交換および協力 は、石油危機時 に限定 され、その時期 を乗 り越 えるために必要な ものにであ り、その際 に得 られた情報 は、その際 にのみ利用 され るべ きである。

l■

l  競争の実質的な部分の排除の可能性

石油不足が生 じた際 には、市場 の状況 は通常 とは異なる。競争者 は、

あ らゆる手段 を講 じて自らの供給 を保全 しようとする。 したがって、当 該協定の もとで行われ る行動 は石油市場 の重大 な部分 に影響 を与 えるこ ととなる。 しか し、それぞれの顧客 に分配可能 な部分 については、当該 協定 は関係がない。当該協定 は政府が必要な もの として essential user"

に分配する部分 にのみ関係するものだか らである。 したがって、石油製

品全体の重大な部分 において競争が排除 され ることとはな らない。

(23)

当該協定 は、上記 に述べた ように、 9条 の要件 を満たすため、 2条 の 適用 を免除する。 また、上記協定 に基づ く行為が市場支配力の濫用 に当 たるとの証拠 はな く、 18条 に も違反 しない。

13)Pool Reinsurance Company Limeted[封 件 (19

①事実の概要

本件 は、イギ リス国内の保険会社が 1993年 に設立 したテロ行為 に対す る商業財産 の再保険 を営む会社の会員規約が、 2条 違反であるが、 9条 の要件 に合致するために、個別適用免除が付与 された ものである。

1992年 にロン ドンのシティーの St Mary Axeが IRAに より爆破 された 後、再保 険会社 はテロ行為の再保 険事業か ら撤退 し、 それに伴い各保険 会社 もテロ行為 による損失 を保全す る条項 を「一般保険」か ら削除 して いた。それに対 し、1993年再保険法が制定 され、それに基づ き1993年Pool Reinsurance Company Limited(以 下、Pool Re社 )が 設立 された。当 社 は、テロ行為 に関す る再保険 を行 う者 として設立 され、国内で保険事 業 を営む会社が会員 となっている。当社の設立 に当たっては、政府 との 間で、 さらなる再保険 によって も、その基金が赤字 となった場合 に最終 的に財務省がその補充 を行 うことを内容 とする協定が締結 された。 この 協定 は、各保険会社が共同でPool Re社 を設立 し、再保険事業 を行 うこと

(THE P00LING AGREEMENT)と ともに、競争 に対 し悪影響 を与 えない とされたが、その設立 とともに各保険会社間で締結 された会員規 約の うち、次の ものが競争 に影響 を与 えるとされた

(i)TERROR:ZUM COVER TO BE OFFERED ONLY:N CON‐

JUNCT!ON WITH GENERAL COVER

この規約 は、各保険会社がテロ保険 を引 き受 ける場合 には、 「一般保険」

と組み合わせた形で しか提供 してはならない とす るものである。

(ii)THE REQU:REMENT NOT TO SELECT AGA:NST P00L RE

(24)

(̀NO ADVERSE SELECT:ON'RULES)

この規約 は、次の二つの ものか らなる。

Thècede all business'ruleは 、 Pool Re会 員 に対 し、   自らが弓 │き 受 けたすべてのテロ保険 をPool Re社 に再保険することを求めるものである。

Thèall or nothing'ruleは 、保険契約者が、その財産 に対 するテロ 保険 を希望する場合 には、会員 は「一般保険」の対象 となっているすべ ての財産 をテロ保険の対象 としなければな らない とす るものである。

以下では、これ らの ものにつ き、 OFTが どの ような判断を下 したかを 見てい くこととする。

② 当該規約 に関する法的判断 171 市場の画定

製品市場 として、次の 3つ の ものが挙 げられ る。 それは、商業財産 に 対する「一般保険」、テロ保険、テロ再保険の市場である。保険契約 は、

生命保険 とそれ以外の ものに大別 され、後者 はその特徴、保険料、 目的 により多 くの市場 に分割 され、それぞれに代替性 はない。 また、個人財 産 と商業財産 に対す る保険 も区別 され うるものである。

また、商業財産 を有する者 は、現 にテロの危機 に直面 してお り、 さら にテロ行為 によるものを含 めた包括的な損害 を補償す る保険 に加入する ことを金銭借入ないしリース契約の条件 とされていることか ら、テロ保 険 を「一般保険」 に付加す るない しそれ独立の もの として購入すること を求めている。テロ保険 は、Pool Re社 の規約では、「一般保険」に付加 す る形でのみ販売することとされているが、潜在的 にはそれ単独の もの として も提供 され うる。

したがって、Pool Reに よる会員規約 により影響 を受 けるのは、商業財 産 に対す る「一般保険」市場 とテロ保険市場 の双方である。 また、それ 以外 にPool Reは 、テロ保険の再保険 を目的 として設立 された ものであ り、

テロ行為が他の自然損害 とは異なった側面 を有す ることか ら、当該再保

(25)

険市場 も独立の もの として認 め られ る。

また、地理的市場 としては、Pool Re社 が再保険の対象 としている地域 が、北 アイルラン ドお よび国境地帯 を除 く連合王国の国土 としてお り、

また、イギ リス国外の保険会社が連合王国内でのテロ行為 に対す る保険 を販売する可能性がない ことか ら、北アイルラン ドおよび国境地帯 を除

く連合王国の国土 と判断 される。

0  競争への影響

(i)TERRORIZUM COVER TO BE OFFERED ONLY :N CON‐

JUNCT:ON W:丁 H GENERAL COVER

この条項 により、テロ保険 を購入す るものは、テロ保険 を単独で購入 す ることが不可能である。 テロ保険 は、一般保険 とは別 に提供 され うる ものである。また、Pool Re社 の会員間ではテロ保険 を付加 した一般保険 について競争 は存在するが、保険契約者が一般保険 とは別の もの として テロ保険の価格 を交渉す る能力 を制限 している。 また、 この条項 は、テ ロ保険 を購入することを望む ものが、会員以外か らテロ保険 を購入する ことを妨 げてお り、一般保険 を販売す る非会員の保険会社の競争力 を制 限す るものである。 したが って、当該条項 は、競争 を阻害、制限、歪曲 す るものである。

(iゆ

 THE REQU:REMENtt NOT TO SELECtt AGA:NST P00L RE (̀NO ADVERSE SELECT:ON'RULES)

Thècede all business'ruleは 、潜在的なテロ再保険の市場 の競争 を

制限す るものである。イギ リスにおいては、現在ではテロ再保険事業 を

営む会社 は存在せず、短期 的 にはその設立 も見込 まれないが、テロの危

険性が低下 した場合 には、 その競争が発生す る可能性がある。 また、当

条項 は、Pool Re社 の会員がPool Re以 外 の枠組 みの中でテロ保険 を提供

す ることを不可能 としている。 したがって、当条項 は、競争 を阻害、制

限、歪 曲する効果 を持 つ。

(26)

Thèa1l or nothing'ruleは 、保険会社がテロ保険 を供給す る条件 にお ける競争 を制限す るものであ り、かつ、顧客か ら、いずれの財産 をテロ 保険の対象 とす るか とい う選択する権不 Uを 奪 うものである。 また、 この 条項 は保険市場 に影響 を与 え、 独 自にテロ保険 を販売するPool Re社 会員 以外の保険会社が、会員会社 と競争 をす ることを困難 としている。 した がつて、当条項 は、競争 を阻害、制限、歪曲す る効果 を持つ。

③個別適用免除の付与

上記 に述べた理 由か ら、 これ らの会員規約中の条項 は、上記で画定 さ れた市場 の競争 に対 し知覚可能 な影響 をもた らす としている。本件 にお いて、Pool Re社 は、その設立 に伴 って会員 との間で締結 された協定 は、

垂直的協定 に当たると主張 した。しか し、 OFTは 、適用除外の対象 とな る垂直的協定 は、それぞれ異なる段階に属する二者の間のみに成立する ものであ り、当該協定 は、単一の協定 に同 じ段階 に属する複数の者が参 加 してお り、水平的協定 とみなされ るとして、Pool Re社 の主張 を退 けた。

また、Pool Re社 は、当該協定 は 1998年 法付則 3に 規定 されている 「共通 経済利益 の提供」に該当す ると主張 した。の。しか しなが ら、Pool Re社 は 1993年 再保険法 に基づ く認可 を受 けているが、法律上の委託 に基づいて その事業が行われているのではな く、また財務大臣 との関係 において も、

その ような委託が行われているとは言 えない として、この主張を退 けた。

しか しなが ら、上記の条項 は、 9条 に規定 された要件 に合致す るもの と して、 2条 の適用 を免除 した。以下では、 これ らの条項 につ き、 OFTが

いかなる判断 を下 したかを見 ることにする。

171「生産ないし流通の革新」ないし 「技術ないし経済の発達の促進」

当該協定が締結 された 目的は、テロ行為 によるイギ リス国内の商業財 産 に対する損害 を保全することを継続的に可能 とす ることにある。 この 協定が存在 しなければ、この種の保険が広 く普及す ることは困難である。

この枠組 みが存在す ることにより、 ビジネスおよび建設 に対する投資が

(27)

促進 され、 また、金銭借入や不動産 の借用の契約 において必要 とされ る 条件が満た され ることとなる。 さらに、テロの結果 として損害 を被 る事 業 は、その存続可能性が生 じ、その結果 として経済 に対す る悪影響 を最 ガヽ 限の もの とし、かつ、経済の発達 を促進することとなる。

0  消費者への利益の分配

当該協定の最終消費者 は、保険契約者であるが、Pool Re社 が存在 しな い場合 には、テロ保険 を販売する保険会社 は即座 に契約 を終結す る条件 を持 ってその販売 を行い、かつ、再保険者 もテロの脅威 の変化 に即座 に 対応す ることとなる。 したがって、保険契約者 は、融資および リースの 条件 となる保険の価格が不安定 となる事態 に直面 し、その財政計画 を困 難な もの とするであろう。Pool Re社 が存在す ることにより、その安定性 を享受す ることが可能であ り、テロに対す る補償が継続 して受 けられ る こととなる。

191  目的達成のために必要不可欠な制限

(i)丁 ERROR!ZUM COVER TO BE OFFERED ONLY !N CON‐

JUNCT:ON W:TH GENERAL COVER

この条項の目的は、保険契約者 に提供 される商業財産 に対す る一般的 な補償の範囲を回復することである。 また、テロ行為 による特定の危険 を対象 とす る保険については、主要な保険 に付属 して提供 されるもので ある。 この条項 は、テロに対す る補償 を広 く利用可能 とすること、お よ び保険者および再保険者 にテロの危険 を再 び引 き受 けさせ ることを促進 す るとい う政府の目的 を達成す るために必要不可欠で もある。 この条項 は、テロ保険によりその会計 に悪影響 を生ずる現加盟保険会社 を保護 し、

かつ、非会員 もPool Re社 に加盟す ることを望んでいる状態であることか

ら、 この条項 は、テロ保険の普及 に役立つ ものである。

(28)

(li)THE REQUIREMENT NOT ttO SELECT AGA:NStt P00L RE (̀NO ADVERSE SELECT:ON'RULES)

当該 条項 が存在 しない場合 には、保 険会社 が危険性 が最 も高 い ものだ けを再保 険 す る とい う「選 り好 み」が発生 す る危 険性 が あ る。 また OFT

の調査では、Pool Re社 の会員 は、当社が危険に対す るバ ランスの とれた ポー トフォリオを維持す ることが必要であるとしている。また、 ̀cede all business'ruleは 、予測 された損失の限界 を超 えて保険会社 に損失が発生

した場合 に対する再保険の形式 として慣例的な ものであるとしている。

また、 ̀a■ or nothing'ruleも また、保険契約者が危険性が最 も高い もの だけをテロ保険の対象 とす ることを避 け、Pool Re社 のバ ランスの とれた ポー トフォリオを維持するために必要なものであることは明 らかである。

したがつて、当該条項 は、Pool Re社 がその事業のバ ランスの取れたポー トフォリオ を維持す るために必要であ り、それにより安定的に基金 を積 む ことが可育旨となる。

l■

l  競争の実質的な部分の競争の排除

当該Pool Re社 の枠組 みは、 商業財産 に対す るテロによる損失の補償の 再保険 とい う市場 における競争 を排除 しない。なぜなら、 保険会社 はPool Re社 に加盟す る義務 はな く、 また、 Pool Re社 の会員 としての地位 はイ ギ リス国内に存在 し、一般保険事業 を営む者およびロイズ社のシンジケー トに参加 している者すべてに開放 されてお り、その条件 に差別的な もの はない ことな どのためである。

嚇       

´

したが って、上記の条項 は、 9条 に規定 されている条件 に合 しし、 14

条 に基づ き、当該協定 は 2条 の適用が免除 され る。その期間は 3年 間で

あるが、競争的なテロ再保険が出現す るほどに市場の状況が重大 に変化

しない限 り、 この適用免除 は継続するもの と考 えられ る。

(29)

141 Association of British !nsurers'General Terrns of Agree‐

ment事

(2⇒

①事実の概要

本件 は、複数の 自動車事故が生 じた際に代車 を貸 し出す会社 (CHO) と保険会社が締結 した、保険会社 に請求 される代車の代金についての協定 が、 2条 違反であるが、 当該協定 に修正 を加 えた場合には 9条 の要件 に合 致するため、個別適用免除が付与 されると OFTが 判断 した事件である。

CHOと 保険会社 との間 には直接 の取引関係 はない。しか し、保険会社 は事故 に際、過失のあった運転者 との間で直接的な関係 を有 し、 CHOは

過失のない運転者 との間で関係 を有 している。 もし、保険会社がその代 車代金 を CHOに 対 し支払 うことを拒否 した場合 には、過失のない運転者 にその代金が請求 され ることとな り、その結果過失のあった運転者 に対 し損害賠償 を請求す ることとなる。1999年以前、保険会社 は CHOが 請求 する金額 について不満 を持 ってお り、訴訟が多 く提起 された。そのため、

複数の保険会社が会員 となっている事業者団体である 'the Association of

British lnsurers'(ABI)は 、複数の CHOと の間で、'General Terms of

Agreement'(GTA)と い う協定 を締結 した。 この協定の内容 は、 (a)木 協

定 に署名 した保険会社 と CHOが 互 いに受 け入れうるその日の代車のレー

トを、 保険会社 と CHOの 代表者によって構成 される Technical Committee

で決定 し、日々それを改定すること、 (b)保 険会社の credit hire focus group

が、その代表者 に Technical Cornlnitteeに おいて受 け入れ うるレー トの

交渉 を行 うことを命令すること、 (C)Technical Committeeは その日のレー

トを決定するために、多 くの情報を利用すること、 0)Technical Conlmittee

はその調査結果 により決定 したレー トを、保険会社 に対 し承認するよう

勧告す ること、 (e)承 認 された場合 には、当該結果 は CHOに 伝達 され るこ

と、 (f)GTAに よ り、レー トは日々更新 されること、 0承 認 された レー ト

は、 GTAの ウェッブサイ トに掲載 され、 CHOは 保険会社 との間でその他

(30)

の協定 を締結 していない場合 には、そのレー トに従 って保険会社 に代車 代金の請求 をす ることである。この協定 に参加す る CHOに は、二種類 の ものがあ り、 Tierlと 呼 ばれ る CHOは GTAの ウェッブサイ トにその 日の レー トを掲載 し、そのレー トは ABIに よって承認 された もの とみなされ、

Tier2と 呼 ばれ る CHOは 、 GTAに は署名 しているがその 日のレー トを掲 載せず、 Tierlの採用す るレー トを超 えない範囲で個々の保険会社 とその

日のレー トを決定す ることがで きる。

② 当該協定 に係 る法的判断 171 市場の画定

当該協定の対象 は、 自動車事故 において無過失の当事者 に対 し代車 を 提供す る CHOが 、過失者 の契約す る保険会社 に対 して請求する代金であ る。問題 は、 この代車 とい う市場が、その他の自動車 レンタル市場 と異 なる市場 を構成す るか否かである。代車費用は、事故 において過失のあ る運転者 に対す る請求が終結するまで、その支払 いが延期 されるもので あ り、代車の使用者 はその代金 を支払わない こと、い くつかの例外 を除 いて代車市場 には、通常の自動車 レンタル市場 には存在 しない企業か ら 構成 され ること、代車市場が事故や保険の取扱 いに関 し、無過失の運転 者の負担 を軽減す るために存在す ること、 CHOが 保険等の法的知識 を有 することか ら、一般の自動車 レンタル市場 に対 して障壁が存在す ること、

一般の自動車 レンタル市場ではそのレー トが 自由市場で決定 され るのに 対 し、代車市場では保険会社 は自由市場で CHOと 交渉す ることが不可能 であることか ら、製品市場 として代車市場 はその他の自動車 レンタル市 場 とは別 の もの と考 えられ る。また、 OFTの 調査では代車市場が通常の

自動車 ンンタル市場 の影響 を受 けた こともない。

また、代車 は CHOに より当該地方 において供給 され るものであるが、

Tierlの CHOは 全国的な展開をしてお り、その採用するレー トは全国的に

採用 され るものである。それ に対 し、Tier2の CHOは 、しばしば、ある地

(31)

方内でのみその営業 を行 っているが、その採用するレー トはTierlの採用 す るレー トに影響 を受 け、それを超 えない もの とされている。また、 GTA

は CHOが 当該市場の全国的な広が りを反映 して国全体 をベースとして、

CHOの 保険会社 に対す る請求の枠組 みを提供するものである。したがっ て、地理的市場 としては、イギ リス全体がその市場 として考 えられ る。

0  競争への影響

当該協定 において、競争 に悪影響 を与 える内容 は、次の ものである。

(1) Section 2.1

当該条項 は、 GTAに 署名 した保険会社 は、Tierlの CHOが 、Technical Committeeが CHOに 対 して通知 した レー トに沿 うように決定 したレー ト

に基 づ いてその支払 い を行 うことを強制 す る もので あ る。Technical Cornlnitteeが 決定 した レー トは、結果 として CHOが 提示す るレー トの上 限 とな り、事実上 CHOが 保険会社 に対 して請求する代金のレー トを決定 している。その結果、 CHOが 決定す る価格 は、 Technical Committeeが 決定 したレー トとなる。 Technical Corrlmitteeは 、保険会社 と CHOの 間 の協力の結果 としてレー トを決定 してお り、少な くともそのレー トは、

CHOに 対する 「推奨価格」となる。 また、Tier2の CHOも Tierlの 提示す るレー トを超 えない ことが要求 され るため、 Technical Committeeが 定 した レー トに影響 を受 けることとなる。 したがって、当該条項 は、保 険会社 と Tierlの CHOが 共同 して価格 を決定することを内容 とするもので あ り、その 日のレー トの決定 についての競争 を阻害ないし制限す るもの である。

(li) Section 2.2

当該条項 は、その 日の レー トに基づいた支払いに加 えて、保険会社 は

CHOに 対 し、事務費用 として代車一台あた り 30ポ ン ドを支払 うことを強 制す るものである。この GTAに よる事務費用の決定 は、保険会社 と CHO

との間での価格拘束 にほかな らない。この条項 は、保険会社 と CHOと の

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