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(1)BusinessIncome StudyGroup,AIA,寧ePoriqf’Stu4y GY’Oub on Business Income:Changing ConcePt qf■Bu.sinesg Zncome,New York,1952,p.18.渡

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(1)

ハンセンの経済学的利益概念  

井 原 理 代  

Ⅰ ほじめをこ   

(1)   

利益概念ほ,「カメレオンの色(colorofthechamele?n)」に・も似で見定め難  

く2)  

く,「孤火(Will−0しthe−wisp)」のごとく追い難いと特徴づけられることがあ   る。この利益概念ほ.,企業利益を計算サる体系とみなされる企業会計の中心概   念にはかならず,したがってその検討は,会計学に.おける根本的な課題である。  

すでにこれまで,利益概念紅ついてじつにさまざまな観点からいくたの検討が   なされているが、,いまなお,それほ明確にされているとほ必ずしもいえず,む   しろ叙上のような特徴づけが目を射るのである。   

しかしながら,会酎学が混迷の期紅.あるといわれる現在,その中心概念であ   る利益概念の明確化は,ぜひとも要請されるととろであろう。利益概念の明確   化を願うわれわれ紅とって,伝統的な会計における利益概念を経済理論の光の   下に晒し,その結果,会計上の利益概念はいわゆる経済学的利益概念(economic  

(8)  

COnCept Ofprofit)であらねばならないと異教に.提唱するP.ハンセンの所説   ほいか紅も興味深い。小稿は,ハンセンに.よって提唱される経済学的利益概念  

(1)BusinessIncome StudyGroup,AIA,寧ePoriqf Stu4y GY Oub on Business    Income:Changing ConcePt qf■Bu.sinesg Zncome,New York,1952,p.18.渡    辺進・上村久雄共訳『−企米所得の研究一変貌する企業所得概念−』中央経済社,   

1956年,34ぺ・−ジ。  

(2)J.R.Hicks,yαJ〟eα〝♂C〃ク∠′αJ,2ed,0Ⅹ知d,1946,p.176.安井琢磨・   

熊谷尚夫共訳『価値と資本Ⅰ』岩波書店,1951年,256ぺ一汐  

(3)′p.H祖Sen,丁カβ A ♂〟乃≠g乃g Cβ〝Cβ〆 げ P′・扉射−A形 A乃αJ.γ・Sよ−・5α〝d   屈 痛鋸励−〃〝よ一光れ如㌧む■gゐトげ摘♂βc〃〝∂沼gC7如orγげ∫乃ぐ♂研βα搾d C句好ね広一ヤ,  

2ed.,Copenhagen and Amsterdam;1972.   

(2)

ー74−   第48巻 第5・6号  

584  

(4)  

を直接的に論議の対象とすることに・よって,・−だが,ただちに会計上の利益概念   としてあるべき姿に・ついて論及するのでほなくて,せめでそのよすがとして.−・利益概   念の見定め難いさまを見定めたく,その追い難いさまを追いたく草したもので   ある。  

ⅠⅠ利益計算の目的と経済学的利益概念  

経済学的利益概念に㈲するハンセンの所説を理解するに.あたって,われわれ   ほ,なによりもまず,利益計算の目的に.ついての彼の考察に注目しなければな   らないと考える。すなわち,ハンセンはつぎのような興味深い問題を呈示する。  

「会計人は,利益計算の目的に関して首尾一層■性をもとうとするかぎり,つぎ   の2つの主要な代替的な選択に・直面するよ 

史的記述(historiography)』の原理を支持するか,あるいは(2)経済理論の見   地から利益の計算と資本の評価がなされるべきであるという立場を支持する   

し51  

か」と。   

ハンセンによると,そのうちで,伝統的な会計に.おいて利益計算の目的とさ   れてきたものは,まぎれもなく前者である。では.,そのように利益計算をして   歴史的記述たらしめたのほ何かといえば,それは,会計が一・大原則として実現   原則を採択するためであるとされる。ここに.実現原則とほ,伝統的な販売基準   であり,したがって−「 利益計算ほ.,販売時点までは全体的軋も部分的紅もなさ  

(6)  

れえない」のであってみれば,その結果必然的紅,棚卸資産は原初原価で計上   されるはかなく,いわゆる原価主義が要請されることになる。ハンセンはい   う,「実現原則と原価主義は,利益紅ついての会計人の哲学において何がもっ   とも本質的であるかを理解する鍵を与えるゆえ,基本的なものとして正当に  

(4)小稿に.おいては,ハンセンの著書のうち,経済学的利益概念濫ついて直接的に.取り    扱っていると周われる算Ⅰ・ⅠⅠトⅠⅤ章を中心に検討している。ノ、ンセンは,第ⅠⅠ章に   おいて,経済学的利益概念を用いて,すなわち間接的に.使用レて,伝統的な会計に.お   ける利益概念を分析しているが,これについては別稿を予定レている。  

(5)P.HanSen,Ob.cit.,p.115.  

(6)P.Hansen,0♪.ぐれp.55.   

(3)

ハンセソの経済学的利益概念  

585   

ーー7づ−  

く7)  

特徴づけられる」と。このようにして,伝統的な会計払おいて,利益計罫は実  

ts) 現原則と原価主義に.もとづいて歴史的記述をなすものであることが指摘され,  

そしてそれゆえ,会計上の利益概念とは実現原則と原価王義に・枠組まれるもの   と特徴づけられるのである。   

われわれはここ.で,そもそもなぜ会計に.おいて−・大原則として実現原則が採   択され,利益計算転.ぉいてもっぱら歴史的記述がなされてきたか,そ・の因由に  触れておく要があろう。このと.とに関して,J.ディーンはこう述べている,  

「健全で,保守的な『事実についての標準』(sound,COnSerVative standaゆ   Of factually り を維持するべく,会計人は歴史的事実を報告し,そして将来紅  

関する『投機(speculati?n)』を避けようとする。会計人にとって,純利益と  

(9)  

は本質的に過去の歴史的記録なのである.」と。ハンセンの言でいい換えると,  

(10)  

そ・の因由は,「疑いもなく…:…その(実現)原則の健全性(soundness)の信念」  

ゆえであり,そして「■疑いもなく…‥‥利益の大きさはまさしく歴史的に正しい  

(11)  

何ものか(something historically correct)を反映している.」ゆえということ   になろう。   

ともあれ,叙上のように特徴づけられる伝統的な会計に.おける利益概念に対   して,ハンセンほ.強い批判をなすのである。すなわち,まず,実現原則と原価   主義把.もとづく利益計算では.,「事業が年々経済的にいかに展開したかを示す  

(12) ことほできない」と。そのような利益計算に.よっては利益の表示と資本の評価  

は著しく歪められ,・そ・こに.算出される利益は,無価値,ないしは一層悪く危険  

(7)P.Hansen,Ob.ci t.,pp.54−・55.  

(8)このよう忙して求められる実現原則と原価主義は,会計の体系そのものに影響する   として−,ノ、ソセンほつぎのように述べる。すなわち,実現原則と原価主義紅もとづく   と,「われわれは,貸借対照表評価を将来収入の見競りに.もとづいて確定し,そうレで    損益勘定紅おいて収益および費用の大きさを決定するので軋なくて,むしろ逆に・,貸   

借対照表評価が損益勘定の収益および費用紅記入されるぺき額に・もとづいて決定され   るというきわめて興味ある事実に逢着する」(P.Hansen,Ob.cit.,p.55)と。  

(9).丁.Dean,加ゎ刀αgβγよ融rβα偶の㈲c・ざ,New YoIk,1951,p.13.  

(10)P.Hansen,〃♪..ぐれ,p.114.なお,托孤内筆者。  

(11)P.Hansen,0♪りC∠fりpp.114−115.  

(12)P.Hansen,〃♪.c葎.p.116.   

(4)

舞48巻 第5・6号  

ー76・−  

586  

なものでさえあるという。さらに・また,批判していう。実現原則と原価主義に   枠組まれる利益概念では,経営者が重要な意思決定をするために,まったく不   満足なものである,と。   

それではいったい,事業が経済的にいかに.展開したかを示しうる,しふも経   営者の意思決定のために.満足のいく,価値高い利益概念とはどのようなもので   あろうか。ここ払おいて,ハンセンは,利益計算の目的につい七の選択のうら   後者を採用する,すなわち経済理論の見地から利益の計算と資本の評価がなさ   れるぺきであるという.立場を支持することに.なる。彼にとって−,上の条件にか   なう利益概念とは経済理論にもとづく経済学的利益概念であり,そ・れゆえ会計   上の利益概念は経済学的利益概念であらねばならないと提唱するのである。   

そこで,以下において,ハンセンの提唱する経済学的利益概念とはほたして   どのようなものか,検討してゆくことにしよう。   

あらためていうまでもなく,経済学的利益概念と称されるものほ,「所得と資  

(13) 本の経済理論の基本原則に・もとづく利益」にはかならない。ハンセン把・あっ  

て,経済学的利益概念の出発点は,はかならず所得と資本の経帝理論における   T.フィッシャーの周知の定義である。すなわら,「ある期間の富からの便益の   流れが所得と称され,・そしてある所与の瞬間に.存在する富の在高が資本と呼ば  

(14) れる.」と。   

いま少し,フィツシヤ−の定義智詳しくみてみよう。まず,所得は富からの   便益に.よって構成されるというが,ここに便益とは,財産からその財産の所有   者へ与えられるサー・ビスに.由来するといわれる。それゆえ,財産とは,所得を   生み出すことのできる事物もしくは権利と定義される。そしてこの財産概念に  ほ,単一・の事物もしくは権利と企業のような事物もしくは権利の集団の双方が   含まれるし,また所得を受け取る権利に.由来する積極的要素(すなわち資産)  

と代価1を支払う義務紅由来する消極的要素(すなわち負債)の両方が包含され   る。  

(13)P.Hansen,Ob.cit.,p.9.  

(14)Ⅰ.Fisher,E[clllCntOr.yPJi]l(iPIcs pfEcoILOlllics,New York,1919,p.38.   

(5)

ハソセソの経済学的利益概念   −77−   

587  

とこ・ろで,財産からの便益ほ・,2つの基本的把虜なる方法で,その所有者に   より利用される。すなわち,一方で,便益は新財産に・転換されうろし,他方で,  

そ・れは所有者の生活必需品の要求を充足すべく消費されうる。そして,後者の   ばあいをさして:,フィツVヤ−ほ.,所有者の実現所得(r ealizedincome)と   称する。したが・って,フィッシャーの実現所得ほ,所有者の消費ないし引出額  

(withdrawal)を意味するわけである。そして,ハソセソにあってほ,便益の   価値ほ貨幣で測定されうるとして,このような関係を特殊な産出勘定(yield   adcount)を用いて貸借記入しようとする。いま,2種類の資産をもつ所有者   がいると仮定すると,その記入はつぎのように示される。  

実 現所 得   資産Aの産出勘定  

(り  

(2ト「  

ただし,この図において,記入(2)および(3)は新財産紅転換される便益をあらわ   し,記入(1)および(4)は所有者紅よって消費される便益をあらゎナ。  

すでに明らかなように,ハンセン鱒あって,財産の産出勘定とは,財産から   の便益,すなわち文字どおり産出されるものを記入するものである。彼は,こ   のような産出勘定の貸方記入を流出(outcome),借方記入を流入(ingo)と呼  

(Ⅰ5)  

び,そして両者の差を純流出(netoutcome)と称している。1したがってハン  

(15)こt,に.,OutCOmeおよぴingoというのは,あまり用いられない用語であるが,   

(6)

第48巻 算5・6号  

588  

−7β−  

センの用語によると,フィッシャーの実現所得は純流出の合計に相当するこ・と   に.なる。なおととで,産出勘定の内容を示しておくと,つぎのように・なるであ   ろう。  

資産Ⅹ の産出勘定   

ふたたび,フィッシャーの定義に帰ることに・しよう。そこでは,資本は富の   在高と定義されてし、るのであってみれは,資本を所有するというこ・とは,資産   の将来的便益を受け取る権利を有することを意味するであろう。すでに・明らか   乾されたように.,富の在高は財産の在高と考えられ,そして財産とは所得を生   み出すことのできる事物もしくほ権利にはかならないからである。それゆえ当   然,資産の資本価値(capitalvalue)は,,資産の将来的便益,いい換えれば将   来的純流出によって決定される。具体的に・いうと,資産の資本価値は,つぎの  

(16) ような計算式に.もとづき,′期待される将来的純流出を評価時点で割引くことに  

よって算出されるのである。すなわち,   

ノ、ンセンは,フィツリヤ一にならって,財産の所有者の側からではなくて.,逆に財産    自体の側から便益の流れを把えて,と・のような用語を使用するのである。すなわち,   

財産所有者の側からみた便益のincome(入り来るも甲‥所得)は,財産自体の側か    ら載れば便益のO11tCOme(流れ出ずるもの:流出)にはかならない。他方,財産所有    者の側からみた便益のOutgO(出で行くもの:支出)は,財産自体の側からみれば便    益のingo(流れ入るもの:流入)になるのであるo(Ⅰ.Fisher,The肋iuY e qf 

Ca〆ialandZncome,New York,1906,pp.122−123,Footnotel.Ⅰ.Fisher,The    TheoYツPfZnterest,New York,1930,p.19.Footote6.)  

なお,ハソセソは,叙上の流出および流入の用語庭.換えて,産出勘定の貸方記入を    積極的産出(positiveyield),借方記入を消極的産出(negativeyield)と呼び,そ  

して両者の差を純産出(netyield)と称している。  

(16)いわゆる割引計算がなぜ必要であるのかに・ついて,興味ある論稀がある。Ⅸ・.丁・   

AIⅠOW and M.KuI・Z,P弘鋸右〉J灯鋸ざf∽β〝f,摘ゼ属加地〃′属協働・〝,朗d且坤桝αJ    FiscalPolic.y,Baltimore and London,1970,pp.12−13.   

(7)

ハソセソの経済学的利益概念   ニー79−−   

589  

C≠。=01(1+γナ1+02(1+γ) ̄2十‥‥・・…十0几(1+㌢ナ托   ただし,C≠。:評価時点(れ)に・おける資本価値  

Oi:期間£の純流出(友一=1,2,…,乃)  

′:利子率   

このような計算式に・よって,真実の(也ue)資産の資本価値を得るた鱒に・は,  

いうまでもなく,流出および流入の将来の展開に.関して完全な知識がなければ   ならないし,また資産の所有者の主観利子率が知られていなければならないで   あろう。   

ここにおいて,簡単な例をあげて,資本価値を算出しておきたい。かりに,  

ある人が自動車を所有しており,彼ほそれを賃貸して所得を得るばあいを考え   てみよう。このばあい,彼ほ,自動寮を3期間所有し,3期末紅1,000で売却   する。彼はまた,3期間それぞれ3,000の収入を受け取り,他方1,000の支出を   なして,毎期末に.はその差を消費のため引き出すとする。なお便宜上,収入と   支出はすぺて毎期末に同時に生ずると仮定される。さらに,すべての期間に・お   いてノ1年あたり8%の主観利子率が用いられるとしよう。そうすると,叙上の   取引ほつぎの時間軸に示されるとおりである。  

流出   3,000    3,000   Pl   f)2   j)き  

(至;333  

才o   fl   才2   f8  

流 入   1,000   1,000   1,000   引出額   2,000   2,000   3,000  

図1  

このような数値に.もとづくと,それぞれの期間払おける資本価値,その変化お   よび所有者の純流出−このばあい1企業が考えられているので,それは所有   者の実現所得,すなわち引出額を意味するであろうーはつぎの表に示すとお  

りとなる。   

(8)

590  

第48巻 算5・6号  

一・β0−  

2,000. 2,000    3,000   ただし,Cヂ。==一等議+  (1i揃+(1i揃  

2,000. 3,000  

C才1=了苛議+  

C≠2=豆  

(1+0.08)2  

C才8=  

蓑 1  

このように.して,ハンセンは,フィッシャーの所得と資本紅関する定義を出   発点として,純流出および資本価値という概念を明らか紅する。そうして彼は,  

ほかならずその純流出および資本価値の両概念を基礎として,経済学的利益概   念を導出しようとするのである。ところが,その導出に.おいて,2つの基本的   に.対立する考え方があるといわれる。その1つは,フィッシャL−の考え方であ   っで,それは,資産の純流出がそのまま経済学的利益概念にはかならないとい   うものである。したがって−,フィツレヤ−た.あっては,経済学的利益概念は実   現所得に・等しいわけである。こ.れに対していま1つは,E.リングールの考え   方であって,それは,純流出に資本価値の変化−これは,資本貯蓄(capital   SaVing)と称される−を加えたものが経済学的利益概念であるというもので  

ある。リンダ」ルに.よると,「所得と消費が等しいというのは,一・般的用語法   でもなければ科学的なそれでもない。むしろ,所得は一・般に貯蓄・・・小…‥を含む  

(17) と理解される」からである。なお,フィツシヤ・−はこのような概念を稼得所得  

(17)E.Lindahl,以The Concept ofIncome, Economic Essaysin honour qf  G〝ぶfαぴCα∫−5eJ,London,1933,p.400.   

(9)

ハンセンの経済学的利益概念  

一βJ−  

591  

(earnedincome)と呼んで検討しているが,けっして利益概念に・ほ含めない   のである。このような2つの対立する考え方牲直面して,ハソセンほリンダー   ル紅組し,資本貯蓄を考慮に㌧入れて利益概念を展開していくのである。   

もはや明らかなよう紅,ハンセンにあって,経済学約利益概念とほつぎのよ   うな式であらわされるものにはかならない。  

タ=0+C祝・−Cp  

ただし,タ:期間利益  

0:純流出,すなわち引出額   C眈:期末の資本価値   Cp:期首の資本価値  

こ.のよう把,経済学的利益概念ほ引出額に.資本貯蓄を加えたものとして定義さ   れるから紅は,そ・れは.,期首に存在する資本価値の利子に等しいこと紅なる。  

なぜなら,たとえば3期間のばあい,つぎのような等式が成立するからであ   る。  

08  

ト(詰−・  

02     0a  

01十(音十  

\?  

(1十γ)2   

(1・十r)2 ▲(1十γ)3  

02・十γ02.08+γ・03   01   02   0き  

ニ堅土些十     十 ㌻‡デ諦十て子音声   1十γ (1  

+γ)2 (1+γ)さ   

02     0∂  

=グ・(音+  

(1十γ)2 −(1+γ)3  

とのよう把.して,ノ、ンセンは,経済学的利益概念とは引出額に資本貯蓄を加   えたものとして,また期首の資本価値に対する資本利子として定義するのであ   るが,いうまでもなく,そのような利益は,将来生ずる純流出と主観利子率に   ついて完全な知識を有するばあい,理論的に,完壁な利益概念(theoretica11y   perfect concept of profit)となるであろう。こ.れを,ハンセンは理想利益  

(idealprofit)と特徴づけている。   

(10)

−∂2∴−   第48巻 第5・6号   592    そ・れでは,苓きはどの自動革質貸業の例に・あって,理想利益はどのように.算   定されるであろうか。3期間の理想利益は,定義にしたがって空っぎのようにな  

ると思われる。  

Plの理想利益:2,000一十(4,424−5,948)=476   あるいは,5,948×0.08   =476   P2の理想利益:2,000+(2,777−4,424)=353  

あるいは,4,424×0.08   =353    P8の理想利益:3,000+(0・−2,777) =223  

あるいは,2,777×0.08   =223  

したがって,各期間の理想利益をまとめると,次表のとおりである。  

資本価値⁝   資本価値の変化 わ       ︵   ヽ■ノ  2  ′\ヽ︐ノ  

利益=資本利子+4  

ヽ1ノノ一一\  

3  ′し  

引  出  

fo   

≠1   

f2    f8   

476(=5,948の8%)  

ど353(=4,424の8%)  

223(=2,777の8%)  

表 2  

とこ.ろで,ハンセンにあって,このように経済学的利益概念が資本価値の変   化を考慮に入れるものであってみれば,前に.あげられた産出勘定の内容は,当   然紅修正されねばならないであろう。すなわち,つぎのように,一項目(1)と  

(5)が加えられる。   

(11)

ノ、ンセンの経済学的利益概念   資産Ⅹの産出勘定  

−β∂− 

593  

(1)期首に.おける手持らの流入  

(前期から繰越された資本価値)  

(2)他の産出勘定の流出から得   た流入  

(3)他の産出勘定へ流入とし   て振替え.られた流出  

(4)所有者により消費として   受け取られた流出  

(5)期末に.おける手持ちの流出   

(次期に.繰延べられる資本価値)  

そこで,前例における自動車の産出勘定および現金の産出勘定は,算1期に∴つ   いてみると,こうである。  

自動貴の産出勘定  

現金の産出勘定   

ともあれ,以上のような理想利益は,ハンセンによると,「定義としての,か  

(18) つまたあるべき実際的手続の道標(guide post)」であると特徴づけられる。・そ  

の意味で,理想利益は,「同時にもっともlユ・−トピアな利益概念(the most   utopian concept of profit)であり,かつまたもっとも現実的なそれ(the  

(18)P.Hansen,0♪.c〃.,p.19.   

(12)

第48巻 第5・6号  

594  

・−β4−  

(19〉  

most realistic concept of profit)である」といわれる。  

ⅠⅠⅠ代替的な経済学的利益概念  

以上みてきたように.,ハンセンにあって,経済学的利益概念は,最初に,将来  

の純流出と主観利子率が完全に.知られているという前提の下での理想利益のか   たちで展開されている。しかしながら,ハンセンは,経済学的利益概念は単一 

の利益概念からなるのではないという。そ・れは,将来の純流出と主観利子率に   ついての知識の状況紅応じて,いろいろな利益概念のかたちをとるのであり,  

(20)  

その代替的な利益概念を示せば下表のとおりである。  

区1 2  

(19)∫∂ダd.  

(20)ハソセンは,本表の示すよう紅名目利益概念とともに実質利益概念についても考察    しているが,小稿では,前者のみを取り扱っている。前者にかぎってさえも,経済学   

(13)

ノ、ソセンの経済学的利益概念   −β5−−   

595  

以下,順を追って−,ざ・のような代替的な経済学的利益概念について瀧討して   ゆくこ.とにする。   

事前利益(profit as considered ex−anie)一予憩資本利子(anticipated  

Capitalinterest)   

繰返していえば,理想利益は,将来の純流出および主観利子率が完全ぬ知ら   れているという前提の下で,算出されるものである。しかしながら,将来に対   する人間の先見能力にはもちろん限界があるため,そのような状況は現実的で   ほ.ない。現実紅ほ,将来について∵の不完全な知識の下で,.将来の純流出や主観   利子率の大きさをもっぱら見境る,ないしほ予想するはかないであろう。そし   て,このように予想される純埼出および主観利子率紅もとづいて算定される経   済学的利益概念を,ハンセンは予想資本利子と称するのである。   

それでは,そゐような予想資本利子はどのように算定されるであろうか。や   はりさきはどの自動車賃貸業の例を用いて,検討してみよ.う。いま,理想利益   のばあいに.掲げた時間軸(図1)が真実で事 実陰に起こる事象をあらわしてい   ると仮定する。ところが,将来把ついて完全な知識をもらえないため,れ時点   でつぎのような時間軸を予想するとしよう。なお,主観利子率は,前と同じく   8%とする。  

流出   3,000    2,500   Pl   j)2   P8  

‡圭;3㌶  

fo   ≠1   ≠2   才3   流 入   1,000   1,000   1,000   引出額   2,000   1,500   2,000  

図 3  

的利益概念と伝統的な会計上の利益概念との間には大きな相異が存することを明ら   かに.し,両者の相異をかえって鮮明ならしめようと意図したからである。したがって   当然,小稿ⅠⅤ節に.おける両概念の比較も名目利益概念にかぎっている。   

(14)

第48巻 第5・6号  

596  

−β6−  

このような予想にもとづいて,各時点に・おける資本価値を算定すると,fo:  

4,725,fl:3,103,ヂ2:1,851,わ:0となる。その結果,わ時点紅おいて算定   される算1期の予想資本利子としての経済学的利益は,378(=2,000+  

(3,103−4,725)あるいは=4,725×0.08)となるであろう。   

しかしながら,≠1時点になると,算2期および算3期の事象に・接近してくる   ため,図3甲時間軸は修正されうると思われる0才1時点で修正された時間軸   が,下図である。  

流 出   3,000  

PI   P2   Pさ  

fo   ≠1   ≠2  

≠さ  

1,000   1,000    2,000   2,500   図 4  

この時間軸に.もとづくと,資本価値は,当然才1:3,995,ね:2,315,わ:0と   な串であろう。   

そうすると,才1時点において,才0時点では予想されえない資本価値の修正が   記録されることになる。こうした予想の変化に・よる資本価値の修正を,ハンセ  

ソは資本利得またほ損失(capitalgainorloss)と名付ける。tl時点に・おける   資本利得は,つぎゐように求められよう。  

≠1で計算されたぎ1に.おける資本価値……‥・  3,995   foで計算された≠1に.おける資本価値…・・…・  3,103   才1における資本利得  

そしてさらに,f2時点に.なると,図4の時間軸は再修正される。すなわち,   

(15)

ノ、ソセソの経済学的利益概念   −β7−  

597  

流 出   

;  

PI   P2   P3  

≠o   fl   f2   f8  

図 5   

このばあい,才2時点に.おける資本価値は2,777となり,また同時点における資   本利得462が計算される。   

以上によって,各期間の予想資本利子をまとめると,次表のとおりとなる。  

蓑 3  

この表から明らかなように,理想利益は,将来の純流出と主観利子率が完全   に知られている前提の下で算出されるものであり,他方予想資本利子は,それ  

らの予想にもとづいて算定されるものであってみれば,当然,両者の間に差異   が生ずる。その差異は,各期末で把握される,予想の変化に.よる資本価値修正   

(16)

第48巻 第5←6号  

598  

−−∂β−  

としての資本利得(損失)に.対する利子であると性格づけられる。上例に・関し   ていえば,   

Plの差異:(荒・葦)×0・08=98   

P2の差異‥×0・08    =33  

全体の差異:  

131   

となる。いい換えると,理想利益と予想資本利子と申差異は,予想の陰に・知ら   れえない要素にもとづく資本価値−これを,見えざる資本価値(invisivle   CaPitalvalue)とハンセンは称する一に対する利子として特徴づけられるの   である。具体的に上例でもってふえんすれば,  

Plの差異:(5,948−4,725)×0.08=98   

ダ2の差異:(4,424−・3,995)×0.08=33  

全体の差異   131  

となるわけである。   

事後利益(pr・Ofit asconsidered ex−   

叙上の予想資本利子が,期首において予想される純流出と主観利子率に・もと   づいて算出され,その意味で事前利益概念と特徴づけられるに対して,期末に   おいて,予想の変化紅応じて期首の予想を修正してえられる概念がある。それ   が,事後利益概念といわれるものであり,それは,「当該期間が経過してしまう  

(21)  

まで存在しない七いうことに.よって特質づけられる」。   

利得(gain)   

事後利益概念の第一・は,利得と称される経済学的利益概念であって,それは,  

直裁に.,予想資本利子紅資本利得(損失),すなわち期末における予想の変化に   ょる資本価値修正を加えたものとし七定義されるものにはかならない0  

(21)P.Hansen,0♪.c払,p.飢・   

(17)

−−β9−−   

ハンセンの経済学的利益概念  

599  

それでは,この定義に.したがって.,利得を算定してみよう。同じく自動車賃   貸要の例をとると,各期間の利得は,次表のとおりとなる。  

\. 期末資本価値修正5       ︵  

ー . 引  出  額3      ︵  

︶ 期首資本価値l      .′.\  

≠0…   1 4,725  

ー・1,622  

−1,680  

−・2,777   fll  

fl(修正)‥…  

才2…  

f2(修正)…   

才8・……・…  

−・6,079  

表 4  

このよう紅算出される利得は,いわば真実の資本利子である理想利益や予想   資本利子のように.,期間を通じての継続的な価値増加という性質をもたないで   あろう。というのは,利得は,既述のように.予想資本利子に資本利得(損失)  

を加えたものであるが,その資本利得(損失)は資本価値修正としてある瞬間  

−−  厳には期首の予想が修正される期末−一斗にあらわれるからである。ここ   で,利得概念の理解を助けるために,その資本利得(損失)という概念につい   て一言触れておきたい。ハンセンによると,資本利得(損失)は,資本価値の   修正と資本貯蓄の修正の双方の要素からなるといわれる。それは,期首に・は予   想されえなかった,草さに見えざる資本価値に対する期末た・おける修正と,そ  の期首の見えぎる資本価値に.対する資本利子の双方を含むこ.とになるからであ   る。上例に関して資本利得を分析しておくと,らぎのように.なる。   

(18)

第48巻 第5・6号  

600  

ー90・−・  

表 5  

修正予想資本利子(adjusted anticipatedcapitalinterest)   

事後利益概念の舞こは,修正予想資本利子とよばれる経済学的利益概念であ   る。さて,繰返し述べてきたように,将来に・ついて完全な知識をもつことはで   きないため,期首に.おける資本価値は予想の変化に.応じて期末において修正さ   れねばならないことになる。修正予想資本利子とは,そうして生ずる資本価値   の修正を期首に・まで戻し,それを期首の資本価値に加えて算出される事後的な   期首資本価値に対する利子をいう。したがってこの利益ほ.,現在の知識からし   て期首に存在していたと予想される資本価値に対する利子を意味するのであ   る。   

それでほ,このような修正予想資本利子はどゐように瀞定されるであろう   か。同じ自動車賃貸業の例を用いて考えてみよう。叙上の説明に.そって,まず   れ時点に.おける事後的な期首資本価値を求め,それにもとづいて第1期の修正  

予想資本利子∴を算定すると,   

胱おける事後的な期首資本価値‥4,725・至芸=5・551  

それゆえ,   

Plの修正予想資本利子:畠,551×0.08=444   

(19)

ノ、ソセンの経済学的利益概念  

−9ヱー   601  

あるいほ,2,000十(3,995−5,551)=444   となる。   

以下同様に.して,各期間の修正予想資本利子を算定すると,次表のとおりと   なる。  

表 6  

上の表に示されるように,この修正予想資本利子に.よつてもなお理想利益と   の間に.相異が存する。なぜなら,修正予想資本利子の算定のために・,期首の資   本価値を当該期末紅おいて修正するのであるが,その当該期末把.おいてもなお   予想されえなかった,見えざる資本価値が存し,それに対する利子が欠けてい   るからである。具体的に上例に関していえば,  

椛おいてな蝿えざる資本価値:=397   

(20)

算48巻 第5・6号  

ー・92−−  

602  

あるいは,5,948−5,551=397   これに.対する利子=Plに.おける両者の差異:397×0.08=32    となるわけである。   

転位資本利子(displaced capitalinterest)   

事後利益概念の第三は,転位資本利子と名付けられる経済学的利益概念であ   って,それは,予想資本利子プラス資本価値修正時点において見えるように・跨   った,すなわち顕在化した見えざる資本価値に.対する利子として定義されるも   のである。すなわち,この利益概念に.あっては,予想の変化に、応じて期末にお   いて贅本価値の修正がなされるばあい,その修正資本価値に含められるいわば   累積利子を当該期間の利益に加算する,換言するとまさしく転位するのである。   

それでは,ここに.おいても,前の自動車賃貸業の例を用いて,転位資本利子   を算定しておきたい。  

酢資要事理想利益一差 異   Plの利益  

Plの予想資本利子1………・・・・∩  

プラス,fl一で計算眉れた:わの見えざる  

資本価値(826)紅対する利子‖…‖ト‥ 

P2の利益  

タ2の予想資本利子…  

プラス,f2で計算されたflの見えざる  

資本価値(429)紅対する利子い・・・  

プラス,ちで計算されたfoの見えざる  

資本価値(397)紅対する利子‥…‥・  

476  

+32  

353   

ー・32  

れた≠2の見え.ざる  

する利子…‥・・  

れた才1の見えざる   する利子 

1,05211,0521  

0  

蓑 7   

(21)

ノ、ンセンの経済学的利益概念   −ββ−・   

603  

いうまでもなく,この表は,転位資本利子ほ.,期間利益の合計すなわち全体   利益に∴関して:,理想利益に.等しいが,しかし各個別の期間利益に関しては,そ  れと−・致しないこ.とを教えている。前者のゆえんは,見えざる資本価値に対サ  る利子がすべて,それの顕在化した時点把おいて当該期間の利益に含まれるゆ   えであり,他方後者のそれは,見えざる資本価値の顕在化は轡々に生じるので,  

本来前もって把えられるべき見えざる資本価値紅対する利子が,それの顕在化  

してはじめて当該期間の利益に.算入されることに.なるゆえである。_ヒ例に・おゃ、  

て,gO時点に.おいでほもちろんのことヂュ時点に‥おいてな粗見えざる(れ時点の)  

資本価値397に対する利子32ほ,本来欝1期の期間利益として把えられるべき   であるが,その見えざ卑資本価値の顕在化する算2期の期間利益に算入された   ように.……‥。   

純生産高(net production)   

事後利益概念の最後として,純生産高としての経済学的利益概念があげられ   ている。この概念ほ,リンダールによって−,生産要素の所有者が生産過程で貢   献したことに対する支払いとして受け取る正味価値に.等しいと説明され,そ−し  

て−,それは,流出マイナス使用高として.定義されているものである。なお,こ   こに使用高とは,その期間の流入プラス総消費(すなわち,前期から綴越され   た資産のうち今期消費された部分)である。したがって−,この純生産高概念紅   あっては,財産の変化(すなわち,引出額プラス資本貯蓄ないし資本利子)と  

しての利益から,収益および費用に・よる利益へという大きな転換があることに   注目しなけれほならないのである。   

上のリンダールの定義から,純生産高は,前掲ゐ資産の産出勘定における表   示方法を用いるとつぎのよう紅示されるであろう。  

流 出:(3)+(4)  

−)使用高:(2)+〈(1)−(5)〉  

純生産高としての経済学的利益   

純生産高概念は上のよう紅把えられるからして,そのプラス項目およぴマイ   

(22)

第48巻 算5・6号  

−94−  

604  

ナス項目がどのように.決定されるか紅したがい,当然それの内容はかなり広い   幅をもって変化することになる。たとえば,それほ,プラス項目である流出に  ついて,資産が当該期間に.もたらす産出の価値をすべて含めば含むはど理想利   益に一・致するであろうー一七のような理想利益に.等しい純生産高概念ほ実現資   本利子(realized capitalinterest)と特徴づけられるq。他方,それは,マ   イナス項目である((1)−(5))について,当初の生産費に.もとづくぼあい,  

利得軋近似するものとなろう。   

さてそ・こで,繰返し自動車賃貸業申例に・よつて純生産高を算出し,叙上のふ  

えんとしたいd   

いま,将来に/ついて完全に知識があるという理想的な状況を想定すれば,純   生産高はつぎのように眉出さ叫,したがって理想利益と一激する。ただし,こ 

こで問題となっているのほ1つの企業ゆえ,当企業における仝産出勘定が集計  

(22) されることに.なる。すなわち,  

流 出  

他の産出勘定へ振替られたもの(3)  

自動車勘定‥……・………・‥・・・…… 

・3,000  

現金勘定   1,000   4,000  

所有者の引出額(4)  

現金勘定  

流 入   

他の産出勘定から振替られたもの(2)  

自動車勘定   現金勘定  

4,000  

前期繰越資産の総消費(1)一−・(5)…・・・・1,524  

5,524   純生産高  

(22)小稿幻ぺ・一汐の産出勘定を参贋甲こと。   

(23)

ハソセソの経済学的利益概念  

ー9∂−   

605  

これ紅対して,将来紅ついて当初の予想のみに・もとづくという上と逆の状況   を想定すれば,純生産高は下のようになるであろう。  

流  

出  

流      入   純   生  

(3)(4)   (2)(1)「(5)含   庖  

Pl………   4,000  2,000  6,000  4,000  1,622  5,622  378  

P2・………   4,000  2,000  6,000  4,000  1,252  5,252  748  

P8…一・・・‥・   5,000  3,000  8,000  5,000  1,851  6,8511,149  

2,275   表 8   

このばあい,純生産高は,利得と全体利益においてほ一激するが,各期間利益   紅関して相異している。というのほ,純生産高概念に思っては,当初に・予想さ   れた資本価値がその後の期間に・配分され,したがつて見えざる資本価値がその   実現時点をまって倒益に含められるのに対して,利得概念では,予想の変化に  

よる資本価値の修正にともない,見えざる資本価値がその顕在化の時点ですで   に利益に算入されるからである。  

ⅠⅤ 伝統的な会計上の利益概念と経済学的利益概念との比較   

以上のように,われわれは.,ハンセン紅.よって提唱される代替的な経済学的   利益概念の内容をみてきた。そこでつぎに,そのような経済学的利益概念は,  

伝統的な会計紅おける利益概念といったいどのような相異をもつのか明らかに  しておくぺきであろう。以下に.おいて,ハンセンのあげる具体的な例紅そって,  

伝統的な会計上の利益概念と経済学的利益概念との比較を試みることに.する。   

いま,とある卸売業を営む株式会社.がある。この企業は,1941年1月1日に・,  

44,000クロ−ネの出資に.よって営業を開始したが,11年後把支障をきたし,所   有者の交代をみた。そのさいの,すなわち1952年1月1日における当企業の純   

(24)

−96−・   第48巻 第5・6号  

606  

資本は会計記録上126,000クローネであるが,新しい所有者に対する株式の譲   渡価額は72,000クロ「・ネであった。この譲渡価額はしたがって,当企実の純資   本の最終価値(すなわち清算価値)として以下用いられることに.なる。   

ここで,まず,伝統的な会計原則にもとづいて会社.の発展状態を示すと,表  

9のとおりである。なお,こ.の表の数値は概数である。  

1/1,.1941  1/1.1942  1/1.1943  1/1.1944  1/1.1945   1..贋 産…  

114,000  133,000  123,000  150,000  169,000   

2.負  70,000    84,000   

51,000  59,000  59,000   

3.縄資本(1・−2)…  44,000  49,000  72,000  91,000  110,000   

4.資本価値の変化  23,000  

5.引出額…  

5,000 11,000   5,000  19,000 17,000  19,000 18,000   

6爪 利益(4+5)…1   16,000  28,000  36,000  37,000   

7..資本利益率  36    57    50    40   

−7  

蓑 9   

(25)

ハソセンの経済学的利益概念  

ーβ7−  

607  

表9について少し説明を加えると,それは,まず3欄で会計上の純資本の発展   を示し,そして6欄で利益の公式(0十C%−−Cp)にもとづく会計上の利益をあ  

らわしている。また7欄では,利益の縄資本に対する百分.比が示されており,そ   れ把.よると,初期に.おいて:きわめて高率であることが明らかに.なる。   

ついで,各期間の引出額を基礎としかつ年あたり8%の主観利子率を適用し   て−,経済学的利益を算定すると,表10のとおりに・なる。ここ払おいて経済学的   利益概念とほ,基礎として用いられた引出額が実際に確定されたものであるゆ   え,理想利益としてノ特徴づけられる実現資本利子にほかならないことを琵意し   ておきたい。〔あえ.ていえば,そうであっで量れば,本筋における伝統的な会計上の利   益概念と経済学的利益概念の比較は,前者と理想利益としての後者との聞でなされるとい  

うもっとも好ましい姿をノとるわけである。〕なお,表10の数億ももちろん概数であ  

(払)  

る。  

表10  

(為)表10の5欄に.閲して,もとの計算数値ほつぎのとおりである。なお,念のため1941   年1月1日の資本価値を計算しておくと,   

(26)

第48巻 第5・6号   608  

−9β−  

この表についで一・言添えると,4欄に.ほ見えざる資本価値として−,会計上の純   資本と真実の資本価値との差が記載されている。見えざる資本価値は,当然,  

後者が前者を上まある年度では正となり,逆のばあいに」は負となる。   

さでそこで,以上の資料に.よって,伝統的な会計上の利益概念と経済学的利   益概念との比較をなしてル、きたい。まず第一・に,それぞれの利益概念の下に‥お  

ける資本価値の展開に.関する特徴をみてみよう。すると,最初に.注目すべきこ   とは,当企業の営業開始時点に骨する資本価値ほ,経済学的利益概念の下では  

等モ欝苧欝十誓欝+守豊・警欝+苧欝+苧欝+警欝  ・・  

++幸143,263   となるであろう。   

1/1.1941    1/1.1942    1/1.1943    1/1.1944    1/1.1945   

1/1.1946  

(44,000)  

(49,000)  

(72,000)  

(91,000)  

(110,000)  

(120,000)  

120,925(127,000)  

103,597(129,000)  

92,886(129,000)  

79,317(135,000)  

66,665(136,000)  

72,000(126,000)  

1/1.1947   1/1.1948   1/1.1949   1/1.1950   1/1.1951   1/1.1952   143,263  

143,724   150,248   145,241   138,860   136,968  

ただし,括孤内ほ簿記上の純資本の価値である。   

(27)

・−99・−  

ハソセンの経済学的利益概念    609  

143,Odoクローー・ネであるのに射し,伝統的な会計上の利益概念の下でほ44,000   クローネに.すぎないということである。いうまでもなく,両者の差99,000クロ   ーネが見えざる資本価値に.はかならない。そして,営業網始後の資本の展開を   明瞭に特徴づけるために,つぎのようなグラフを描いておこう。  

160   t50  

Ⅰ40  

130   120  

=O   100   90   80   70   60   50   40   30   20   10  

射  42 43 44 ,45 46 47 48 49 50 5I 52   ただし,グラフ(1)は,伝統的な会計上の利益概念の下における資本価値の展開を  

示し,グラフ(2)は,経済学的な利益概念の下におけるそれをあらわす。  

図 6  

このグラフに.よると,まず,両概念の下に.おける資本価値の展開は,図式上   じつに.みごとに.逆のコー・スをとることが明らかである。伝統的な会計上の利益   概念の下におけるグラフ(1)ほ,最後の会計年度を除いて年度利益は引出額を   上まわり,その結果つね紅増加して,資本価値が44,000クローーネから126,000  

クロ−ネまで増加したことを示している。他方,経済学的利益概念の下におけ   

(28)

第48巻 第5・6号  

・−J¢クー  

610  

るグラフ(2)は,最初と最後の会計年度を除いて年度利益を上まわる引出額が   存し,その結果資本価値が143,000クローネから72,000クローネまで減少した  

と.とをあらまっしている。   

またこ.のグラフによれば,つぎのことが明らかである。それは,伝統的な会   計上の利益概念の下では,資本価値が,最初の5年間過小に把握されているが,  

1947年1月1日からは逆紅過大に.把えられているということである。前者の過   小評価ほ,99,000クロー・ネ(143,000−44,000)に達し,他方後者の過大評価   は,1952年1月1日に.おける株式の譲渡に・際して,126,000クロ、−ネのものを   72,000クロ−ネで譲渡するという結果を生んだのである。  

41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51  

ただし,田は伝統的な会計上の利益概念の下における利益の大きさを示し,  

□は経済学的利益概念の下におけるそれをあらわす。  

図 7   

(29)

ハンセンの経済学的利益概念  

611    −JOJ−   

つぎ把舞こに,伝統的な会計上の利益概念と経済学的利益概念の下に.おける   算出利益の大きさを対比することにしようよそのため,図7のようなヒストグ  

ラムを作成しておくこと把.する。   

このヒストグラムはただち紅,算出利益の大きさは,最後の会計年度を除い   て,伝統的な会計上の利益概念の下紅おけるものが経済学的な利益概念の下紅  おけるものより大きいということを教えている。したがって,それほ.,伝統的   な会計上の利益概念ほ,その−・大特徴である健全で,保守的な性質をなんら保   証するものでほないという興味ある示唆を与えているわけである。   

そ・して最後に.,伝統的な会計上の利益概念と経済学的利益概念とを全体の結   果から比較するため,下のような表をまとめでおこう。  

106,000   

(30)

算48巻 算5・6号  

ー・ヱ02−  

612   

すでに明らかなように.,会計上の全体利益ほ.205,000クローネに.達している。  

この額205,000クローネは,全期間の引出額177,000クローネにいわば蓄積され   た会計上の貯蓄器,000クロ−ネ(すなわち,最終資本72,000クローネー当初資   本44,000クロ−ネ)を加えたものに.等しい。いい換えると,会計上の全体利益   205,000クローネは,実現資本利子106,000クロー・ネに.当初における見えざる資   本価値99,000クロ−ネ(=143,000クロー・ネー44,000クローーネ)を加えたもの   に等しいのである。そして:もちろん,ノ伝統的な会計上の利益は事後的に把えら   れるからして−,この利益概念は,実現資本利子と実現した見えざる資本価値  

(すなわち,いわゆる資本利得(損失))から成ると特徴づけられ,その意味で,  

利益と資本の双方を含むものと評される。  

Ⅴ むすぴに.代えて  

以上,われわれは,ハンセンの経済学的利益概念について,それの提唱され   るゆえんを探り,それの内容を明らかに・し,そしてそれと伝統的な会計上の利   益概念との比較をなしてきた。いまや,われわれは,このような経済学的利益   概念に対して評価をなす段階に㌧立ち至っているのかもしれない。そして,会計   上の利益概念は経済学的利益概念であらねばならないと果敢紅撞喝するハンセ   ンにそってきたわれわれとしては,あるいは,会計上の利益概念のあるべき姿と   して経済学的利益概念を高く掲げるぺきであるのかもしれない。そうして−,会   計上の利益概念として経済学的利益概念が採択されるばあい,たとえば具体的  

(餌)  

にはどのような代替的な利益概念が用いられるぺきか,またそのばあい会計に  

(2の 

あってどのような原則の変更が必要か,はたまたそのばあいどうしても生じて  

(飢)ハソセンほ,それは実現資本利子に等しい純生産高概念であるが,それを求めるこ    とができず,資本価値の修正をどうしてもさけることができないばあい,それは転位   

資本利子となると主張している。  

(25)ハソセンは,当然のこ・ととレて,これまで会計を支配していた実現原則は排斥さ    れ,それに代わっ{:予想原則(anticipation principle)が会計に.おける一大原則と  

して採択されねばならないと述べている。   

(31)

ハソセソの魔済学的利益概念   −ヱ03−  

613  

(28)  

くる見えざる資本価値をどのように計上すべきかと,検討を進めていくべきで   あるのかもしれない。だが……,じつほ.そうはいかないのである。・そうした評   価を下すために.,どうしても必要ないくつかのことがらが解答を与えられない  

ままに.残されているとわれわれ軋は思われるからである。   

すなわち,既述のように.,ハンセンにあって経済学的利益概念は,なに・に・も   まして事業が経済的にノいかに.展開したかを示しうる利益概念であるゆえ,会計   上の利益概念として採択するよう提唱されたのである。換言すると,ハンセン   は,いわば会計の職能として事業が経済的に・いかに展開したかを示しうること   を高唱し,その職能に.かなう利益概念ほ経済学的利益概念紅はかならないと論   じたのであろう。しかし,はたして,そのように.会計の職能は事業が経済的紅   いかに.展開したかを示すことであると断じてよいのであろうか。   

いまかり紅一・歩ゆずって,そう断じるとしても,はたして,経済的に・いか   に展開したかを示しうる利益概念は,経済学的利益概念であろうか。ノ\ソセン   は,図6におけるグ買フ(2)をして当企業の経済的な展開をあらわすものと特   徴づけた。けれども,はたしてグラフ(1),すなわち伝統的な会計上の利益概   念の下に.おける資本価値の変化ほ,・そうではないのであろうか。   

見方を換えてみよう。おろかなはどに直戯な問いではあるが,さきの卸売業   を営む株式会社に.あって,営業開始時の資本価値ほ143,000クローネであろう   か,′ それとも44,000クローネであるのか。例を換え.ると,主観利子率5%の仮   定の下で,100で購入した商品が130で販売されるとすると,その商品の購入時   の資本価値は,130/1.05=123.81であろうか,それとも100であるのか。   

さらに.観点をあらためよう。すで紅みたよう紅,ノ、ンセン紅あって,伝統的   な会計上の利益概念は,実現原則が健全で保守的であるゆえ,会計に.おいてそ   れの支配するとこ.ろとなったために・採用されたのである。それではいったいな   紅ゆえ,会計紅おいて健全で保守的な資質が求められたのであろうか。  

(26)ハンセンは,こ.のような見えざる資本価値に対し,「総体価値修正項目(item of    aggregatevalueadjustment)」(P.Hansen.oP.cit.,p.43)という特殊な項目を   用意して,把捉しようとしている。   

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6/18 7/23 10/15 11/19 1/21 2/18 3/24.

26‑1 ・ 2‑162 (香法 2 0 0

23-1•2-lll

For best postemergence weed control, activate Pruvin in the soil with rainfall or sprinkler irrigation of 1/3 to 1” (sandy soils apply at least 1/3”, sandy loams apply at least

For best results with SOLIDA herbicide postemergence, rainfall or sprinkler irrigation of 1/3 to 1 inch (sandy soils apply at least 1/3 inch, sandy loams apply at least 1/2 inch,

1-2.タービン建屋 2-2.3号炉原子炉建屋内緊急時対策所 1-3.コントロール建屋 2-3.格納容器圧力逃がし装置