多変
量解 析
に よる現代
女 子 学生 の 価値観
調 査第 1報 夙 川学院短期 大学家政 学科 学生 の 結 婚 観 に っ い て
黒 田 正治 郎 大 鹿 淳 子
§1. 緒 言
時の始ま りがい つ かは知ら ない 。 しか し時 間とい うものが, 宇宙創世期に発 生 したとする な
らば, その 時刻こそ時 間の原 点で あり, その時点を 期に 時 間が流れ始め た。 時 間の流れに伴い
エ ン トロ ピーの 増 大 する方向, す な わ ち自然 界は多 様 化し複 雑 化す る よ う に そ の姿を変 えてゆ く。 これが 自 然の成り行き であろう。 そ のため か現代社会の構造も時間の経 過につ れ, 多様 化・ 複雑化の道を た どっ て い る。 同 時に社会構造に内 存 する種々 の 因 果 関 係が単純に見い 出せな く
なり,多 種多様の因子 が, 複 雑 な 関 係の下に結 合 し表面 化し て ゆ く。 ま た 自然の流れ として考 えられ る多様化の現 象は, 近 年の高度情報化に よ り複 雑 化 した社 会を最大の環境と し て生きて い る現 代 人に, その影 響 力を及ぼ さ ない はずがない 。 人 間は その者が存在する環 境に, ま た そ の環 境は そこ に息づ く者のお 互い に干渉し あい 同化し てい るのが現 代社会である。 そ の た めか ,
人間が複雑に絡みあ う社 会に おい て, 生ま れ な が ら に して持つ 個 人 差 (例 えば,性格 ・体格 ・ 能力 )が, さ らに著しい差 異 を呈 する ようにな る。 さ ら に は, 行動様式も異 なっ た もの とな り,
評 価 基 準も個体数に比例し多元 的な ものへ と変 猊 する。 し た がっ て , こ の よ う な時代に生き る 者は, 精神的に, 行動 様 式に少 なからぬ影 響 を, 外 界や その属性よ り受け るこ と と な る。
今 回の報 告では, 夙川学院短 期 大 学 生の結 婚 観に関 する調 査 を もと に して, 彼 女ら が学ぶ環 境が異な るこ とによ る精神的 差 異, 結 婚 観に関す る 主要因 子, 副次因 子な ど を考え て み る。 特
に生 涯の内で の 3大重要要 素 (進 学 。就 職 ・ 結 婚 )が短 期 間に集 中 する18歳 前 後の短 大 生に と り, 時代の複 雑さ や,環 境の多様 化の影 響が, 顕著に認め ら れ れば興味深 い ところ で あ る。 同 時に専 攻 別に特徴的な主 要 因子 を見い 出し たの で報 告 する。
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§2 , 調査 方 法 アンケート調 査は
, 結婚観を通し て の女子大 生の価 値 観 を調べ る た めに, 昭和58年 4月に夙 川 学 院短期 大学に 入学し た学 生を対象に行なっ た。 調査は, 家 政 学 科・児 童 教 育 学 科・美 術 科・
英 文 学 科につ い て行 なっ た。 調 査結果は, 各学科の専攻別に分 類 をし処 理 を行 なっ た。 今 回の 報告は, 家政学科に おい て, 専攻の違い に よる女 子 大 生の結 婚 観の差 異 を解析し て み た。 アン ケー ト回収数及 び有効アン ケー ト数は
, 表一 1 に示 して ある。
表 1 専 攻 別の ア ンケートの回 収 数 及 び 有 効ア ンケート数 回収数 (%) 有効 率 (%) 家 政 86 (96) 83 (93>
服 飾 59 (69) 59 (69)
食 物 93 (98> 73 (77)
表 内数値は、回 答 数。 ( )内は、「回収率」 の%を しめす。
ア ンケートの内 容は
, 価 値 観 ・結 婚 観に 関して次の 3 種類に分け た。 回 答者の外的 要 素を見
い出 す 質 問 :(A − 1), 内 的 要 素 を見い出 す 質 問 る。
※ ア ン ケート見本は最後のペ ージ
:(B ), 外 的 基 準 (属性)を調べ る質 問であ
§3.解析方法 アン ケート調 査の結 果 を
, 数 量 化 理 論 第 2類・3類に より分 析を行な う。 (多変量解析の詳し
い 数 学 的 説 明は, 次 回 行な うことにす る。) 多くの諸現象は, い くつ も の現 象の複 合 体 としてそ の特性を示し てい る。 そ の た め, 複 雑 化 しす ぎ た 社 会 現 象 や 人 間 行 動の特 性の分析を行なう 時
に, もはや 経 験 的 直 感では解釈し え な くな る場 合が生じ て くる。ま た複 数 個の質 的 変 量 (例 え ば, 性格 ・思考 ・感 情な ど) を 持つ い くつ か の個 体の集合を, あ る特徴で記述 ・表現 し たい 時
に, 質 的データ と し て把握して ある各変量を, 量的データ と す る必 要がある (数 量 化 )。そ の
際, 線形代数 と統 計 的 方法が必要と な り, 多変 量 解 析が有 効 となる。 多 変 量 解 析におい ては,
質的 ・ 量 的データ を単な る一元 的 実 体 として で はな く
, 複次元の量と し て特徴づ け ら れ る多元 的 な 量と な る ように, ある数 学 的 手 法 を操 作す る。 そ して得られ た多くの変量 間の相 互 関 係 を 分析し, 変 量の重みづ けをし て統合化を図 り, か つ 量 的 表 示 可 能な合成得点に より多元的に位 置づ け が行な え る。
一般に, 多 変 量 解 析は その性格上数多くの 質的 ・ 量 的データ を処理 す る た め, 大 容 量の計 算
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黒 田 ・大鹿:多変量解 析によ る現 代 女 子 学生の価 値観 調査 機が必要と な る。 し か しデータ 数 が 小 規 模の場 合, また 結 果の吟 味 を迅速に行ない たい 時や,
結 果 を簡単にグラフ化 し たい 時 な どに は,小 型計算機 (パ ーソ ナル コ ンピュ ーター) も有 効 な 手 段 となる。 そこ で今 回の報 告では, パ ーソ ナル コ ン ピュ ーターで稼 動 する多変量解析のプロ
グ ラ ム を作製し処理を行なっ た。 作 製し た プロ グラ ムは, MS ・DOS 仕 様で数量化1〜4類の処 理用を含め解析プロ グラ ム14種 ・ 結果 表 示用 5種で あ る。
特に今 回 解 析に使 用し た数量化2類 ・3類につ い て説 明 を加え る。 こ の解析法は, データ が
と もに質的データ で あ る時の分 析 法で あり,数 量 化 2類 と は, 外的基準 (測 定対象の持つ ある 特別な性格)が分類で与えら れ てい る時に用 い る もの で, 各 個 体 が 群に分 け られ る際にその要 因 を知る ことがで きる。 ま た新たに得ら れ た個体が ど の群に属 するか を判 別 する時に有効であ
る。(判別分析) 数量 化 3類は, 外 的 基 準のない 時に使用す る もので, 群を特徴づ ける因 子 を 数 個の 主要 因子 と し て抽 出 する もの で ある。
§4. 解析 方法
解 析は,次に示 す順序で行なっ た。
:単 純集計
:質問(C)に よ り外 的 基 準 を 決定する た め, 質問 (A − 2)を数 量 化 2類で処 理。
: で決 定さ れ た外 的 基 準 を 用い て (A − 1), (A − 2), (B)の質 問を数 量 化 3類で解
析し, 主 因子 を専攻別に 抽出。
数 量化 2類
単 純 集 計 後に解析 によ り外的 基 準を調べ 表一 2 の結果を得た。 表一2に 示 してある数 値は, 各ア イ テ ム が そ れ ぞ れ の専 攻 科 をその アイテ ムによ り分類す る時の判 別 率で ある。 判 別率が高
い ほ ど,分 類に適し た ア イ テム と言え る。表一 2 に示さ れて いない 3つ のア イ テム につ い て は,
今 回の質 問の内容か ら考えて解析は行な わ なかっ た。
表2 外 的 基 準に よ る各ア イ テムの判 別 率 (%)…数 量化2類 C −2 C −3 C −4 家 政 56.3 58.4 86.4
服 飾 54.2 70.2 85 ,9
食 物 60.1 63.6 79.8
C−2 :あ なた が進 学 し てい るの は 自宅ですか。 それ と も下 宿で す か。 C −3 :ア ル バ イ トの経 験は有 り ますか。
C−4 :あ なた は現在、交際 し てい る異 性がい ま すか。
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数量化 2類に よ る分析結果よ り外的 基 準を (1)現在, 交際し て い る男 性がい ない 。 現在, 交際し てい る男性がい る。
を選択する。 ま た質問 に関 する回答は,短 大 1回 生とい うことで,家 政 ・服 飾 ・食物 栄 養 専 攻に おい て 6質 問 中Yesと考 えた 割 合 が 全 体で3.2%, 2 .8%, 4.6%と非常に低い た め
解 析の対 象か ら除 くことに し た。 し た がっ て今回の報告は, 家政学科 3専攻の学生を対象と し,
外的基準を 「交 際 相 手の有無」と し た場 合の結 婚 観 ・価 値 観に対 する内 的 及び外 的 要 素の差 異
を専攻別に抽出す ることにな る。 解 析 を行 な う前にアン ケート中で カ テゴ リー (質 問に対 す
る答 え )に与えら れ た文字とコ ンピュ ーターか ら の出力の数字の対応を 示 し てお く。 (表一3,
表一4 )
単 純 集 計
アンケート結 果 より,各カ テゴ リーの外 的 ・内的要素の単純平均を, 外的基準 別に 出力し て
み る と, 単 純平 均 に より専 攻別 及 び外 的 基 準 の有 無に関 し て, 学生の持つ 特質を予測す る こ と がで きる。(表一 5, 表一6) 表 中, 「交 際 あ り」と回 答を示 し た場合Yes, 「交 際 なし」をNo と 示 して ある。 ま た0 内 数 値は, % 表示 し た もの である。こ の単 純 平 均の結 果 より,外 的 要 素で
重要視す る ものを調べ る と, 専攻及 び外的 基 準を問わず, 第一主 要 因子 は人 柄
, 第二 因子 は愛
情 とい うこ と になる。 た だ し食 物 栄 養 専 攻に関して は, 健 康が第二 因 子 と なっ てい る。 第3因 子か ら, 専攻別, 外的 基準別に 特色が認め ら れ, 家 政が健康, 服 飾は収 入, 食 物 栄 養が外 的 基 準Yesが愛 情, No が健 康 となっ てい る。 手に職 をつ け や すい服 飾 専 攻の学 生が収 入 を, 健 康 面
に常に関 連の ある学 問を学ぶ食物栄養専攻の学生 が健康を重視し てい る点は, 現実を反 映す る ようで興味深い 結果と言え よ う。
重 要視し ない外 的 要 素 として’
は, 専 攻 別 ・外 的 基 準の影 響はな く
, 第一
因 子 :兄 弟の数, 第
二 因 子 :親の職業, 第三因子 :血統と なっ た。 結婚とい う問題が, 本 人 同 志の問 題である とい う意識が, 第一因子 ・第二 因子 を決定する時に強く作用 して い る よ うに思 え る。 さ ら に, 相手 を取 りまく環境に対し て も あ ま り重 要視し てい ない よ う だ (学 歴, 財 産, 相 手の職業)。 詳しい 解 析は, 数 量 化 3類 を用い 行なっ た。
表一 7 には, 内 的 要 素の単純平均結果を, 各ア イ テム に対す るカテゴ リー反応の総和が 1に な る よ うに, 各カ テゴ リー反 応を規 格 化 してある
。 単 純 平 均に お い て は, 主 要 因 子 を決 定 する
こ とや, その因 子の変 化 を専 攻 別, 外 的 基 準 別に詳 し く調べ る こ と は難し かっ た。 し か し, 大 まか に見て専 攻を問わず, 交際が始まる と同 居よ り も「二人 ぐら し」を 望み,
「才 能を生か し働 くこ と」を考え,
「同 棲 を拒む」よ うになる傾 向があるよ う だ。 食 物 栄 養 専 攻の学 生の特 徴は「才 能 を生か したい 」 とい う点にあり, 家政専攻の学生におい て は「結婚の最 終 決 定 権が親にある」 ゆ . サ コ
とい う点の よ う に 思 え る。 ま た同棲問題に関し て は, 何らかの形で同棲OK と答 え た学 生が, 約
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表 3 外 的 要素
a (1)
b (2)
c (3) d (4 )
e (5)
f (6) 9 (7)
業 職 歴 産 柄 統 柄 姿 親の
学 財 家 血 人 容
黒田 ・大 鹿 :多変量解析によ る現 代 女 子 学 生の価値 観調 査
h (8) 健 康 i (9) 愛 †青
] (10) 相手の職業 k (11) 相 手の収入
1 (12) 趣 味
m (13) 思 想
n (14) 兄 弟 姉 妹の数
〈アル ファ ベ ッ トはア ン ケートの記号〉
〈数字はコ ン ピュ ーターの 出 力〉
表4
〔1〕
〔2 〕
〔3〕
〔4 〕
内 的 要 素 a :(1) b :(2 )
a (3)
b (4) c (5)
理 想の 男 性が現 れ る ま では結 婚 しない。
理 想の男 性が現れな くても ある 程度 妥協し結婚す る。
ど ち ら で もか まわない 。
結婚後は 二人だ け で 生活 するの が よい。 結 婚 後は親 (相 手 方 )との 同 居 を望む。
a (6) 恋 愛 と結 婚は別である。
b (7 ) 結 婚は恋愛から 出 発す るのが よい。
a (8 )
b (9) c (ユ0)
d (11)
〔5 〕 a (12)
〔6〕
b (13)
c (14)
a (15) b (16)
c (17)
子 供が生 まれ るまでは働きその後は、主 婦業に専 念し たい 。
結婚後は、主 婦 業に専 念し たい 。
生 活 に不 自由がなけれ ば、あえて働 き たい とは思わない。
結 婚 後 も 自分の 才能生 か す た め に、働 きたい 。
両親 や 回 り の人 か ら反 対され れ ば、た とえ自分 自身が結婚し たい と 思 っ て
い て も、 その相手 との結 婚 は あきらめ る。
結 婚に は双 方の親の 意 見ま た は友 人知 人 な どの意見 を考慮 し た上 で自分 で き める。
結婚は自分 自身の一生の問 題であるから、回 りの 意 見より も 自分の判 断 ・ 考えを主 と し て決め る。
同 棲は し たくない。
結 婚 を約 束さ れ てい れば同 棲 もか ま わ ない 。
お互い の愛 情があれば結婚とい う型にと ら われ ず 同 棲でもか ま わ ない 。 ( )内のtw字:9 、コ ン ピュ ータの 出力
アルフ ァ ベ ッ ト は ア ン ケー トの記 号
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