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菅 野芳雄   Yoshio KANNO

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Academic year: 2021

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一 165 一

東医大誌 60(2):165〜166,2002

大川記念奨学金報告書(平成13年度)

第6回シアトル看護セミナー研修報告

Report of the 6th Nursing Seminar The Seattle

  菅 野芳雄

   Yoshio KANNO

東京医科大学病院看護部

門間:2001年7月14日〜7月20日

はじめに

 大川記念奨学基金の助成で,第6回シアトル看護セ ミナー リスクマネジメントと看護:ケア提供者と患 者を守るために というテーマでスイディッシュ医療 センター・バージニア・メイソン医療センター・ニッ ケイマナーにて海外研修を受けたので,ここに報告す

る.

1・研修の目的

1)アメリカにおけるリスクマネジメントの現状,

  看護管理の実際を学ぶ.

2)クリティカル・パスのバリアンス分析と質改善   について学ぶ.

 1)アメリカにおけるリスクマネジメント,看護管    理の実際

 優れた看護部のある病院として定評のあるワシン トン州ピュアラップ市グットサマリタン病院のリス クマネージャー(同病院の質管理も担当している)コ ニーカーク・バトリック氏によるリスクマネジメント

と看護についての講義と院内見学を受けた.

 ここでは,質管理とリスクマネジメントは表裏一体 のものと考えられており,エラー把握のため質管理メ モという用紙を独自に開発して,病院システム内でエ ラーが起きないように予防手段を考えることと,エ ラーが起こってしまったときの対処のために使用さ

れており,質管理メモから得た情報は,すべてコン ピュータに入力され,どの科でどの項目のエラーがど のくらい発生しているか,病院全体の傾向はどうかと いったデータは,データベースから,すぐに取り出せ るシステムになっていて,リスクマネージャーは,こ のデータベースから現行のやり方のどこに問題があ るか,どのように変更したらミスがなくなるのか,ケ アの質で問題のあるところを組織的に把握して,それ を改善していくための資料として使われていた.

 また,リスクマネージャーは,リスクマネージメン トを熟知していることが重要であり,保険会社のプロ グラムを含め外部のセミナー等に積極的に参加し,リ スクマネージメントに関する大変有意義な意見交換,

情報交換の場として,リスクマネージメントに関し て,さまざまな角度から情報を得ていた.

 一方,リスク回避のためのスタッフ教育は,特にリ スクマネージメント教育という形では行っておらず,

それぞれの専門分野で必要とされる看護を行うのに,

どういう能力とスキルが必要かという規準が設定さ れており,設定されている項目について毎年試験があ

り,資格を持っているというだけでは十分ではなく,

看護婦(士)は,それを十分に使いこなせるスキルと 能力を持っているという事を証明しなければならな

い教育システムになっていた.

 アメリカでは,有能な看護婦(士)を揃えていれぼ,

そして,その能力を絶えず評価する機構が整っていれ ぼ,より質の高いケアの提供が可能で,おのずとミス

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一 166 一

東京医科大学雑誌

第60巻第2号

も少なくなるという考え方で,過去5年程前より能力 に裏打ちされた看護が重要視されるようになってき ており,その能力を常に評価していくようなシステム を開発している病院が多くなってきている.

 又,施設面として待合室脇に患者学習センターがあ り,患者が学習することを実質的に支援する体制が作 られていた.このセンターには,臨床各科の教科書,教 育ビデオ等の他にインターネットへのアクセス,文献 検索が可能となるよう3台のコンピュータも設置さ れ,担当職員が常駐して,患者の治療,回復,疾病予 防をサポートしていた.

 又,患者が,必要な情報を必要なだけ収集するのを 援助するだけでなく,医師,看護婦(士)からの情報発 信の場として使われており,各種疾患についての患者 教育用パンフレットが数多く作成され利用されてい

た.

 これからの医療において,患者が主体的に果たす役 割が,益々大きくなっていくことを感じた.リスクマ ネージメントに対しても,コンピュータが使用されて おり,コンピュータ制御の薬剤カートが,各ナースス テーション内に設置されており,患者の注射薬剤を取 り出したいときには,看護婦(士)のIDナンバーと 患者のIDナンバーを入力しなけれぼ,薬剤が取り出 せないシステムになっており,このシステムは,薬剤 部の管理になっていた.

 2) クリティカルパス

 バージニアメイソン医療センターは,ワシントン州 シアトル市の中心部に立地し,ワシントン大学医学部 のレジデント教育も担っている非営利の総合病院で あり,年間平均650件の心臓開胸手術を行っている心 臓外科で,パスウェイが使用されており,パスウェイ が導入された1989年の冠動脈バ イパス手術患者の目 標在院日数は6日間であったが,過去ll年間のバリ

アンス分析によるアウトカム改善により徐々に短縮 され,現在は4日間に短縮されていた.

 当医療センター心臓外科専門看護婦/ナースプロク ティショナーであるサンドラ・ディドウエル氏により 冠動脈バイパスのパスウェイに関しての講義を受け

た後,冠動脈バイパス手術2日目(ICUより帰室直

後)の患者の同意が得られ,患者の実際の状態も見学

させて戴くことが出来,理論と実際の両面より学習を 深めることが出来た.

 現在,アメリカでは,バリアンスの分析結果を如何 に医療の質改善にフィードバックさせていくかが,こ の分野の研究の主流(焦点)になっており,各種の ツールが開発されていた.

おわりに

 日本の医療制度とは異なるアメリカでの短期間の

研修でしたが,医療費抑制対策として,日本版DRG

の導入による定額払い制の実施拡大が検討されてい ること,医療事故に関する記事が毎日のように報道さ れ医療への信頼が揺らいでいること等,日本の医療事 情と共通の課題も多く,アメリカの医療戦略を参考に 学ぶことが沢山あった.

 これからの課題として取り込むこととして,

 ①リスクマネージャーとして医療過誤を防止し,

   医療の質の改善をめざす

 ②費用対効果の高いケアを提供するためのマネ

   ジメントのあり方

 ③クリティカルパスを質改善にフィードバック

   させるためのツールの開発と導入

をあげたい.

 最後になりましたが,貴重な研修の機会を与えて下 さったことに感謝申し上げます.

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参照

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