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学部プロジェクト報告

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Academic year: 2021

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学部プロジェクト報告

平成23年度 終了報告

高齢者の介護と社会的適応に関する研究

(高齢者の社会的適応と介護に関する研究グループ)  (岩手県における介護実態に関する研究グループ)

 細越久美子・細江達郎・青木慎一郎           佐藤嘉夫

3)

・狩野徹・鈴木聖子・鈴木力雄・

 糸田尚史

1)

・小野澤章子

2)

       吉田清子・阿部明子・大冨和弘

4)

・吉田渡

4)

・渡辺道代

5)

(1)老年期における社会的適応に関する研究

 本研究は 21 ~ 23 年度科学研究費補助金基盤(c) 「老 年期の社会的非適応に関する基礎的研究」(課題番号 21530660/代表・細江達郎)と対応して研究を行った。

①老年期の社会的適応・非適応に関する研究

 60代退職等による問題について、下北半島出身者 の追跡調査対象者の総括的な確認調査が行われた。

対象 544 名中、所在確認者は 352 名、死亡 48 名であ り、144 名が「不明」であった。本調査の最終年次に 新たに確認できた対象者は 34 名である。不明者には 調査技術上の理由のものが半数以上あり、すべてが非 適応者ではないが、前回の科研費助成研究(課題番号 18330134)の 3 類型のうち、第ⅲの不安定就労層が多 数含まれていることが現時点で想定された。面接可能 な対象者への調査結果からは、この層が完全な「孤立 者・非適応者」にならない場合には、その安全網とし て、出身地域への回帰が離退職数年後に機能し始めて いること、また都市部の地域社会に根付けなかった不 安定就労層にとって、離退職した職場の関係者などの 個別的関与や支援(社縁・職縁)が重要な働きをして いたことが明らかとなった。

 孤独になりがちな都市生活者にとって、出身地域は 元職場関係者とともに、重要な支援網であった。しか し、長く出身地域から距離を置き、出身地域に親族が 不在となった高齢者にとって、出身地域が回帰場所に なるかどうかに影響するものとしては、地元在住の同級 生の役割が大きい(細江,2010)。地元に定着している 同級生は回帰者の核になる役割を積極的に担っていた。

②高齢者犯罪の問題

 岩手県における高齢者万引き防止の調査研究に取り 組み、関係機関・団体と連携し、実際の万引き発生過 程について各店舗で調査を行った。万引きは青少年の 場合は非行として、高齢者の場合は犯罪として扱われ るが、いずれにおいても生活困窮というよりは社会的 孤立によるものが多く発生していた。調査や提言のま とめは「万引き防止の手引き」(細江,2011)として公 刊された。本研究者も万引き防止の県民運動へ参加し たが、学会発表(細江,2011)にあるように、研究者 と実務家の連携が効果的であった。また県民運動には 対象高齢者を含めた組織づくりが必要であることが明 らかとなった。

(2)岩手県における介護実態に関する研究

 本研究は、岩手県の高齢者介護の実態に関する質問 紙とヒアリングによる調査研究である。調査内容は在 宅生活の要介護高齢者の生活状況や介護サービスの利 用状況と要介護者と介護者の意識調査である。調査地 域は、岩手県の地域の特徴を代表する西和賀町(中山 間地区)、釜石市(沿岸地区)、盛岡市(地方都市)の 3 地域を選択した。調査の構成は要介護者の介護実態 を一次調査(質問紙調査)とし、二次調査(戸別訪問 による構造化面接)として要介護者の介護に関する意 識と介護者の意識調査を 3 地域において実施した。

①高齢者の生活の場

 介護保険制度は、3 年ごとの見直しを経て平成 24 年度から 5 期目をむかえた。しかし、生活の場として の施設志向や医療機関への依存は減少していない。本 研究結果から、施設入所の希望理由として要介護者本 人は在宅生活を希望しているが、介護家族の健康面の 不安、家族の疲労、高齢化等、介護者の理由が大多数 を占めていた。このことは、要介護者の意向に沿った ものではなく、介護が家族の力量に委ねられているこ と、在宅介護を支えきれるサービスが質、量ともに提 供されていなかったということにある。現に施設入所 申し込みの多くは家族や親戚によることが多い。ま た、介護サービス量の充実度が利用意向に関連してい ると考えられ、盛岡市が他の地域よりもサービス利用 意向が高い理由は、サービス量の充実が背景にあるも のと考えられる。また、盛岡市が他の地域より受診率 が高いという結果は、医療機関数が高齢者の受診率に 影響を与えているものと考えられる。

②介護者(家族)

 家族介護の場合、要介護者は子どもによる介護希望 が多いが実際は配偶者の介護が多かった。およそ 40%

は、仕事をやめた後に介護が始まっており、老々介護 の現状が見てとれる。介護のやりがい感は低い傾向に ありむしろ負担感の方が大きいことが伺える。また、

介護継続可能要因として、介護者の健康、経済的条件、

家族の役割分担があげられ、介護する家族の状況によ り要介護者の生活の場や介護希望が左右されることは 明らかである。

 今後、要介護者の障害や介護度を踏まえたうえでの 家族介護力のモデル設定が求められる。

1)名寄市立大学短期大学部 2)岩手大学人文社会科学部 3)岩手県立大学名誉教授 4)岩手県立大学社会福祉学研究科博士後期課程 5)前岩手県立大学社会福祉学部

参照

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