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大 門 久 人

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Academic year: 2021

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(1)

互いの思いを感じていくA男君とB男君

− 2年3組『何かすっきりしないんだよな』の実践から−

大 門 久 人

学校生活の中で、自分の気持ちを通したいがために争うことが多かった子どもたちが、友達の言葉 に耳を傾け、相手の気持ちを考えて話し合えるようになってきた。子どもたちは、友達の考えのよさ を認め、′互いに納得できる方法を導き出そうとしているようだ。そんな子どもたちの姿に成長を感じ た私は、『ニヤーゴ』という物語文と出会わせたいと考えた。

主人公の猫たまは、おいしそうな三匹の子ネズミを襲おうとする。しかし、猫の恐ろしさを知らな い子ネズミたちは、驚かない。たまの名前を聞いたり、一緒に桃を食べに行こうと誘ったりする。そ ればかりか、たまにお土産の桃まであげる。たまは、子ネズミたちの意外な言動に動揺し、「ううん」

と大きなため息をっく。お土産の桃を大事そうに抱えたたまは、「おじさんまた行こうね」と手を振 りながら叫ぶ子ネズミたちに、「ニヤーゴ」と小さな声で答え帰って行く。

猫はネズミを食べる。この当たり前のことが『ニヤーゴ』という物語では結局起こらない!物語を 読んだ子どもたちの疑問は、ただ一つ「なぜ、たまは子ネズミを食べなかったのだろうか?」である。

私はそう予想していた。疑問を解決しようと子どもたちは教材文に目を向けていく。しかし、ネズミ を食べなかったたまを、優しい猫と思うか情けない猫と思うかば人によって異なる。根拠となる言葉 や文章が様々に意味づけられることから、子どもたちは戸惑う。友達の考えのよさを認め、互いに納 得できる方法を導き出そうとするようになってきた子どもたちは、戸惑いながらも自分が納得できる 答えを求めようとする。私は、子どもたちが友達を説得するために、言葉を吟味し発言を繰り返すこ

とによって、その子の言語感覚が磨かれていくことを期待していた。

1.互いに意識し合う二人

この教材を扱うにあたり、A男君とB男君の関係に私は注目していた。「みんなで一人を責めるな よ。言いすぎだぞ」と、友達の間で争いごとが起こるといっも仲裁役をかって出るA男君。彼の正義 感は、単に善悪の判断によるものだけでなく、弱者を思いやる気持ちも含んでいる。その言い方には、

相手が納得するまで説得しようとする熱意が感じられる。そんな彼の人柄は、いっも彼のすることを 気にかけている両親からの愛情によって培われてきたものだろう。私は、この教材を通してA男君の 相手を思いやる気持ちを、いっぱい見つけていきたいと思っていた。

家庭事情で両親と週末にしか会えないB男君は、家で一人、読書して過ごすことが多い。休み時間 も図書室にいるB男君は、友達と仲良く遊ぶことがほとんどなかった。友達がいらないというわけで はない。彼は、屈託のない明るさで人を求めっっも、幼少から一人で過ごすことが多かったので、友 達との接し方がわからず、つい操め事を起こしてしまう。しかし、クラスの友達は、豊富な知識に裏 付けられた彼の発言に一目置いている。B男君は、まだそれに気づいていない。自分の考えを受け入

れてくれる友達の存在を知ることは、B男君の今後の人との接し方に生きてくると私は考えていた。

A男君は、B男君をいっもなだめる役だった。正義感の強いA男君にとって、自己主張の強いB男 君の言動は許せないように思えた。しかし、A男君のB男君に対する説得の仕方には、何か特別な感 情がある。他の子の説得には容易に納得しないB男君も、A男君なら受け入れることが多い。授業中 も、互いに相手の主張に食ってかかったり、賛成したりして、相手を意識した発言が見られる。普段、

一緒に遊ぶことのない二人なのに、A男君はB男君の知識の豊富さに惹かれている。また、B男君は、

クラスのみんなから信頼されるA男君に、自分にはない頼もしさを感じているのだろう。

『ニヤーゴ』に出会ったA男君は、弱者を思いやる気持ちから、子ネズミを食べなかったたまのお 人よしで優しい性格に気づく。お人よしで優しいたまだから、純真で優しい子ネズミに心が動かされ、

食べることができなかったのだろうと考える。A男君は、自分の生活経験と教材文の言葉や文章を結

(2)

びっけて、たまが子ネズミを食べなかった理由を述べてくる。彼は、自らの譲ることのできない正義 感や人を思いやる気持ちをよりどころにして、たまと子ネズミの関係を考えていくに違いない。

豊富な知識のあるB男君は、猫がネズミを食べるのは当然のことだから、子ネズミを食べなかった たまのことを、情けない猫だと思うだろう。彼は、友達を説得しようとして、いろいろな言葉を用い たり日常生活のことに喩えたりしてくるだろう。

たまが子ネズミを食べなかった理由は、たまやネズミたちの言動に対するそれぞれの子の見方、感 じ方、考え方の違いによって異なってくる。二人は、自分の思いをうまく相手に伝えられないことや、

納得してもらえないことを歯がゆく思う。相手の発言に理解は示しつつも、それまで自分が大切にし てきたものは、簡単に譲れない。′そこに、『何かすっきりしないんだよな』という教材名に込めた、

私の願いがあった。私は、互いに意識し合うA男君とB男君が、相手との考え方の違いにどんな反応 を示すのか楽しみにしていた。二人は相手を納得させようとして、教

材文から根拠を探し自分なりの言語感覚を駆使して発言を繰り返す。

その中で、人を信じる気持ち、純真さ、優しさ、家族への愛情など、

普段自分が大切にしている思いを際立たせてくるだろう。

2.A男君、B男君の追究を追って

(1)互いの発言に敏感に反応する二人       〈発言を繰り返すA男君〉

自分の考えを作る時間が終わり、話し合いに入った。子どもたちは、B男君の発言をきっかけとし て、最初から「なぜ、たまは子ネズミを食べなかったのか?」について、自分の考えを発表し始めた。

Cl (B男君)子ネズミは、たまをごまかすことに成功した。

C2 子ネズミがだましたんじゃない。子ネズミが優しいから、たまは食べられなくなった。

C3 子ネズミは、ごまかすっもりはなかった。猫の怖さを知らなかったんだから。

C4 (A男君)お父さんお母さんから猫のことを教わっていた。だからごまかしたかもしれない。

C5 (B男君)え〜違うよ。結果的にネズミたちを食べなかったということ。

C6 (A男君)猫の怖さを聞いていなかったと書いてあるけれど、僕の想像は、猫の恐ろしさ は知っていたけど、猫の顔を知らなかったんじゃないかな。

B男君の「ごまかす」という言葉に、子どもたちは敏感だった。子ネズミに優しさ、かわいらしさ、

素朴さを感じている子にとっては、「子ネズミがごまかした」という発言が納得できなかった。B男 君は、子ネズミの勘違いが、結果的にたまをごまかしていたことになると言いたかった。彼も、ネズ

ミたちは意図的にたまをごまかそうとしたわけではないと考えていたのだ。

一方、A男君は、「ごまかす」「猫の怖さを知らなかった」という言葉を使いながら、猫の顔を知ら ない子ネズミは、たまをごまかしたことになると考えていた。同じ言葉を使いながらも明らかにB男 君とは違う考えを伝えようとしている。彼は、「ごまかす」という言葉を説明するために、両親との 経験から 親は猫の恐ろしさを教えるはず という考えをもとにして、自分の考えを語った。

このA男君の意見に対して、B男君は鋭く反論する。子ネズミが意図的にたまをだましたようにA 男君が言ったことにB男君は、自分が言いたかった「ごまかした」の意味が、正しくA男君に伝わっ ていないと思った。そこで、「結果的」という言葉を補って説明しようとしたのだ。相手の発言に違 和感をもった二人は、自分の経験を根拠にしたり、自分の語嚢から言葉を選び補ったりして自分の思 いを伝えようとしていた。B男君の言葉を受けて発言するA男君と、その言葉に違和感をもつB男君 と、互いの発言に敏感に反応する二人に、私はもっともっと互いを意識していってほしいと思った。

(2)言葉を通じて互いの思いを共有する

二人は、たまが子ネズミたちを食べなかった理由を、いくつかのことを結びっけて考えていた。そ れは、子ネズミが猫のたまに名前を聞いたこと、「桃を一緒に食べに行こう」とたまを誘ったこと、

「ニヤーゴ」というたまの言葉を「こんにちは、さようならって言ったんだよね」と勘違いをしたこ

(3)

と、子ネズミたちが桃をお土産にあげたことなどである。二人は、猫のたまを目の前にして、恐れる どころか仲良くなろうとする子ネズミたちの言動に動揺する釆まの気持ちを語ろうとしていたのだ。

C7(B男君)いきなり名前を聞かれて、どっきりしてごまかされたから食べなかった。

C8(A男君)いきなり名前を聞いたから、たまは食べる隙がなかった。

C9(B′男君)食べるつもりが突然ネズミに口を挟まれて、食べる隙をなくしてしまった。

ClO(A男君)お土産をもらったたまは、なぜネズミがくれるのかとびっくりした。

Cll(B男君)たまはびっくりしたから、 ううん と大きなため息をっいた。

A男君は、たまやi子ネズミたちの意外な言動にびっくりして、子ネズミたちを食べることができな かったと考えた。B男君は、子ネズミたちがたまと仲良くしようとしたことが、結果的にたまをごま かしていたことになると考えていた。二人の意見は共に、子ネズミたちの言動に接したたまの心の動 揺が、たまが子ネズミたちを食べなかった理由であることを言い表していた。

二人は互いに、相手が伝えようとしていることが、.自分の考えていることに似ていると感じていた。

「いきなり」「食べる隙」「びっくり」という教材文にない言葉を二人とも使ったのは、それぞれの言 葉が、たまの動揺する心を表現するのに、ぴったりした言葉と感じていたからに違いない。二人は、

キまの心の劉揺を、相手の使った言葉を受けながら自分の考えを付け加えていった。私には、二人の 発言が、互いに助け合っているように聞こえた。相手の使う言葉を受けて発言する二人峠、同じ考え の仲間として互いに意識し合うようになった。

この後、A男君が「たまは悪い猫」と発言すると、B男君も「いいおじさんのふりをしたから本当 は悪いおじさん」と発言する。二人は、たまの人物像についても同じような意見になったと相手の考 えを受け入れ、うれしそうな表情をしていた。

(3)譲れない思いから、対立していくA男君とB男君

〈友達の発言に耳を傾けるB男君〉

二人の意見は、悪い猫という考えで一致していたが、いい猫と主 張する子が、お土産の桃をもらったたまの心情について語り始めた

ことで、二人のたまに対する見方は大きくズレ始めた。

C12 おいしい桃につられて、ネズミを食べるのを忘れちゃった。

C13′(B男君)知らぬ間に頑の中から消えていたんだよ。

C14(A男君)食べるつもりで来たんだから、たまは許さない。

C15(B男君)ネズミを食べなかったんだから、どっちかって 言うといい猫でもあるし……。

B男君は、結果的にたまが子ネズミたちを食べなかったことが気になり始めた。いい猫か?悪い猫 か?の判断で迷っていることは、その後「たまは、悪い猫・いい猫の二面性をもった猫なんだよ」と 発言したことからも、うかがい知ることができた。

しかし、翌日、A男君に賛成した子の「食べようとしたから悪い猫」という発言を聞いて、彼は自 分の意見を変える。彼は、授業が終わってからも、食べようと思っただけでは悪いとは言えないので

はないかと考えていた。考え続けて、「食べようとしたから悪い猫」という意見を聞いた瞬間、そん なことはない!と強く思うようになった。彼は、「どちらかって言うと、いい猫かもしれない」とい う考えと、子ネズミたちを食べようとしていただけでは悪くはないという考えを結びっけて、意見を 変えたのだ。彼は、机を叩きながら興奮して「食づようとしたけど結果的に食べなかった。悪いこと

を思っただけで、やってないのに悪い人と言われたら困るだろ」と反論する。その姿には、人を求め ながらも操め事になり、友達から注意されてしまうB男君自身の悔しさが映し出されていた。

A男君は、激しいB男君の反論を聞いても、自分の意見を変えようとしない。彼は、弱い子ネズミ を何度も食べようとしたたまの様子や、猫はネズミが大好物ということを根拠に反論を繰り返した。

B男君の「食べなかったんだからいい猫」という反論に対しても彼は、「たまのネズミを食べたい気

持ちに変わりはない」と主張する。弱者を気遣う彼の正義感からすれば、純朴で優しく接してくる子

(4)

ネズミたちを 食べたい と思うようなことは、悪いことだという思いがあったのだ。

(4)その子が思い描いた、たまの人物像によって読みが変わってくる

たまはいい猫か?悪い猫か?たまの人物像をはっきりさせたい子どもたちは、物語の全文に目を向 け、根拠となる言葉や文章を探そうとしていた。その中で、たまがお土産ゐ桃を大事そうに抱え、

「ニヤーゴ」と小さな声で子ネズミたちに答える最後の場面が話題の中心になっていった。

C18(B男君)たまは、「桃にし〜よう。ネズミなんていらないや。桃だっておいしいもんな」

と思っていたと思う。

C19(A男君)絶対反対。大事そうに桃を抱えているのは、ネズミを諦めたわけじゃない。

C20(B男君)「おじさん、また行こうね。約束だよ。さっとだよ」と、子ネズミに言われて、

「ニヤーゴ」と言ったんでしょ。普通の人なら「は〜い」って返事するじゃん。

C21(A男君)「小さな声」じゃあネズミたちに聞こえないよ。返事じゃないよ。

C22(B男君)何で子ネズミは怖がらないのかな?という気持ちでいるから、むしゃくしゃす るような、くしゃくしネな気持ちでいるから、たまは小さな声になったんだよ。

C23′桃を大事そうに抱えたまま「今度は食ってやる」と言ったと思う。

C24(A男君)「今度食ってやる」だったら大きな声で言うはず。ただ「ネズミが食べたい」と 小さな声で言っただけなんだ。

二人は、「大事そうに」「小さな声で」「答えました」という同じ本文中の言葉を根拠にしながら、

全く別のことを言おうとしていた。A男君は、これらの言葉を、たまが「ネズミが食べたい」と自分 自身を省みている証拠だと考えている。「今度食ってやる」では、たまが子ネズミたちに敵意がある ことになるから反論した。彼は、「ニヤーゴ」を「ネズミが食べたい」と思うたまの心の呟さとして意味 づけたのだ。このように、ネズミを食べられなくなったたまの心の動揺を感じているA男君は、「た

まは悪い猫」と言いながらも、実はそんなに悪い猫とは思ってはいないのではないかと私は思った。

B男君は、たまが子ネズミを諦めて桃を食べたくなったと思っている。彼は、たまの気持ちの変化 を「大事そうに」「小さな声で」「答えました」の言葉から感じ取っていた。B男君の「普通の人なら は〜いって返事するじゃん」や、「たまはいい猫になった」と明るく話す姿に、私は普段屈託のない 明るさで人を求め続けている彼らしさを感じた。

3.すっきりしない結末に、二人の今後の成長を願う

A男君は、最後まで「悪い猫」と言い続けた。弱者を気遣うことを忘れない正義感のある彼には、

純真な子ネズミたちを食べようとしたたまが、結局食べなかったとしても許せない存在に見えた。し かし、最後の「ニヤーゴ」を、たまの自責の念が込められた言葉と意味づける彼は、たまをそれほど 悪い猫とは思っていない。彼は、純真な子ネズミたちの言動によって、食べられなくなってしまうた まの優しさや人のよさも十分感じていたのだろう。彼は、B男君の豊富な語彙を駆使した反論に対し ても、教材文の言葉や生活経験を根拠として自分の考えを訴え続けた。それは、自分の信じることを 最後まで貫く彼らしい姿であった。A男君は、B男君を説得するために反論を繰り返すことで、自分 の譲れない正義感、人に対する見方、感じ方、考え方、価値観を強めていったのである。

一方、B男君は、A男君と同じように「たまは悪いおじさん」と発言した。しかし、彼は、たまが 結果的に子ネズミたちを食べなかったことと、「思っただけでは悪くない」を結びっけて意見を変える。

彼には、 たまと仲良くなりたい という子ネズミたちの期待に答えてしまうようなたまの人物像に、

優しさや明るさが感じられるのだ。そんな、B男君の感じる素直で人のよいたまは、やっぱりいい猫 に違いない!彼は最後の授業で「反対だな−と思ったり、賛成だな−と思ったり、いろいろな思いを

した」と、しみじみ語った。A男君と同じ意見になったことをうれしく思いながらも、結局は反論し ていろいろな思いをした。その思いこそ、友達と接することが苦手なB男君の心の糧になるだろう。

相手の考えと自分の思いとのズレを感じることは、一方で互いの理解を深めていうたことでもある。

その中で二人は、互いの心の結びつきを強めていったに違いない。

(5)

『何かすっきりしないんだよな』 教材に込める願い

〔家庭環境〕

○生活

・学校が大好きな子どもたち

・遠距離通学者が多い。

・習い事をしている子が多い。

・温かい家庭環境で育った子 どもたちは、正義感が強く、

人を信じる気持ちを育んで きている。

とらえ

〔日記、休み時間、放課後〕

○友達

・毎日の日記には、友 達と過ごした話題が 多く書かれている。

・争いが起こると、そ れぞれの納得でき、る 結果、判断を求め話

し合う。

〔国語の物語文『きりかぶの赤ちゃん』の追究〕

○学習

・友達の意見にも簡単には納得しない子どもたち三

・物語の展開、登場人物の心情を自分の生活経験 と結びつけて発言するようになってきた。

・自分の価値観や人に対する見方、感じ方、考え 方をさらけ出す子どもたちの姿が見られた。

・友達を納得させようと、いろいろな言葉を駆使 して自分の思いを伝えようとしていた。

2年生になり、自分中心の思いから争うことが多かった子どもたちが、相手の言い分も聞くように なり、話し合ってわかろうとするようになってきた。

相手のよさを認め、どこまでも人を信じようとする子どもたちの心の内にあるものが、ふだんの生 活の中でも見え隠れするようになってきた。

仲のよい友達の意見であっても、自分の納得のいかないことにはとことんまで喰らし_、ついていくた くましさがある。

これまでの経験や教材文に書かれていることを根拠に、自分の伝えたい思いを言語感覚を躯使して 発言を繰り返すようになってきた。

○教材名 『ニヤーゴ』

みやにし たつや作

願い

相手をわかろうとしている 今、自分をさらけ出していく ことは、相手の気持ちを感じ て悩むことでもある。自分の 価値観や人に対する見方、感 じ方、考え方を見っめ悩み、

その上で自分も相手も納得で きることを見出したり、自分 が納得できることを強めたり していってほしい。

A男君

自分が納得いかないことに は、とことんまで喰らいっい ていく彼。家庭の難しい問題 に直面し、いろいろな人との 関係の中で生きていることを 感じ始めた。自分なりの納得 を求める彼には、納得できな い意見の多さ、自分の思いを うまく言い表せないことに負 けることなく、自分が大切に している人を信じる気持ち、

純真さ、優しさを強めていっ てほしい。

関わり

教師は、人を信じる気持 ち、純真さ、優しさ、家 族への愛情など、その子 が大切にしている思いか ら搾り出されてくる言葉

(表現)を感じながら、

子どもたちに問い返して いく。それは、教材文の 同じ言葉を根拠にしてい ても、それぞれが大切に している思いを浮き彫り にしていくことになる。

B男君

友達を人一倍求めていなが らも、自分の思いをうまく表 現できない彼は、友達との関 係がうまくいかないことが多 かった。友達に認められるこ とが多くなったことが、彼の 心の成長を促し、友達に思い を寄せたり受け入れたりでき るようになってきた。自分と は違う友達の思いに出会い悩 みながらも、友達の存在、思 いを受け入れていく彼の姿を 期待したい。

子どもの表れ

なぜたまは、ネズミたちを食べなかった のだろうか?

(子どもの読み)

・かわいらしいネズミたちだったから

・ネズミたちの思いやり、優しさがうれ しかったから

・ネズミたちがたまを信用しているから

・ネズミたちの親が悲しむ姿を想像して しまったから

・猫の怖さを知らないねずみを食べても 恥になるから

(自分の経験をふり返る)

・たまは、食べなかったのか、食べられ なかったのか?

(たまの最後の「ニヤーゴ」の言葉を どう意味づけるかに、言語感覚を駆 使して表現されるその子の思いが表れ

る)

・他の猫に食べられるなよ

・僕って情けない猫だな

・食べたかったな

・かわいいネズミたちだったな

・また会おうね

・今度会ったら食べちゃうぞ

J

〇人に対する見方、感じ方、考え方を広

げたり、強めたりしていく子ども

(6)

A男君とB男君の追究のあらまし

A男君の追究      全体の追究 B男君の追究

なぜたまは、ネズミたちを食べなかったのだろう?

たま は、 優 しい い い猫

ネズミたちは、たま阜ま悪い猫なのにどうして また桃を食べに行こうなんて誘うのか?

いきなりネズミたちが聞いたから、たまは食 べる隙がなかった

まだネズミたちは、たまが悪い猫だとわから ないんだよ

偶然出会ったとき、「うまそうだ」と思って、

「ニヤーゴ」と食べようとしたけど「おじさ んだあれ」と聞かれて、どきっとした。たま は、猫の怖さを知らないネズミたちとは思っ ていないから、「何で名前なんて聞くんだ!」

と思って食べられなかった

食べようと思ったけど、ネズミに「ニヤーゴ」

と言われたから食べられなかった

「ううん」は、「ネズミを食べたい」という 意味、気持ちだと思う

・ネズミたちを食べられなかっ

・お土産の桃をくれたネズミ たちの優しさがうれしかっ た

・ネズミたちをだまそうとし ていたたまは、結局食べな かった

・ロを挟まれて、食べる隙が なかった

・たまは、ネズミたちを食べ る気がなくなった ノ

・おいしい桃につられて食べ るのを忘れてしまった .

桃を大事そうに持って帰っ たんだから、たまはねずみ たちを食べる気がなくなっ

今度ネズミたちに会ったら ネズミたちを食べると思う

「おじさんだあれ」で口止めされたしさ、「ニヤー ゴ」「ニヤーゴ」「ニャーゴ」で口止めされて、

そして、最後の54ページの「ううん」までの ところでも口止めされて、このたまは、とう とう食べることができなかったということ

でも、本当は悪いおじさん

名前を聞かれて、びっくりしたから「ううん」喜 て、大きなため息をついた

「ううん」ネズミにしようか桃にしようか中 間的にさ、迷って桃にしようと思った

食べなかったんだから、どっちかって言うと、

いい猫でもあるし・・・…

た ま は い い猫

気持ちは食べようと悪巧みを考えていたけど、

でも失敗したし、結果的に食べなかったんだ からいいじゃん。考えたり思ったりしただけ で悪いと言われたら困るだろ

最後の たまは何て答えたのだろう?

ネズミが食べたい

小さな声では聞こえない。返事じゃない

「ネズミが食べたい」と言ったんだけど「今 度食ってやる」はおかしい

・最後の「ニヤーゴ」は、何 と言ったのかな?

「今度会ったら食ってやる!」

「さようなら」

「また会おうね」と返事し

小さな声だから返事ではお かしい。それではネズミた ちに聞こえないよ

「はーい」と、ネズミたちに返事

をした

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