NFS と NIS の設定,運用について
1
はじめに
工学部電気情報工学科 中 村 千 秋
E‑mail: sonny@ec.nagasaki‑u.ac.jp最近のワークステーション(以下,
WS)の低価格化にともない,研究室等での
WSの導 入が行ない易くなってきている.実際,研究室で数台の
WSを持ち,研究やネットワーク 上のサービス等を行なっているところもある.また,
WSに限らず,パーソナルコンピュー タ(以下,
PC)に
OSとじて,
UNIXを動かし,
WSと同じように使用している例も多々 見受ける.
このような状況において問題となるのが,各
WSのシステム管理である.組織に
WSを 導入した場合,必ずその
WSを管理する管理者が必要となる.その導入したシステムがう まく機能するかどうかは,管理者の能力や考え方によるといっても過言ではない.また,
ネットワークに接続された
WSの管理はかなりのコストを要するものである.しかしなが ら ,
PCとは異なり,
WSではネットワークを利用し効率的に管理を行なうことも可能であ る.本稿では,
NFS(Network File System)と
NIS(NetworkInformation Ser吋
ce)を用い た計算機資源管理,運用について述べる.
なお,本稿で例として取り上げるシステムは,
SunOS 4.1.3 (BSD系
UNIX)を
08とし て使用している
WSである.この他の
UNIXでも大筋は同じであるが,全ての
UNIXWSでこれから述べる機能が使えるわけではないことに注意されたい.
2 NFSとNIS
の意義
2.1マシンが複数あることの問題点
組織内に
W8を複数台導入した場合の問題点は,利用者から見た点と,管理者側から見 た点の二つに分けることができる.
・利用者から見た場合の問題点
一組織内に複数のホストがあった場合, 同じように使いたいというのは,利用者 にとって当然の要求である.例えば, A というホストで実行できる各アプリケー ションプログラムは, B というホストでも使用できて欲しいということである.
38
一利用者が複数のホストを使う場合,それぞれのホストに自分の作ったプログラム ファイルや文書ファイルを置いておくとそのファイルの更新にともなうパージョ ン管理が繁雑になってしまう.具体的には
host Aで作成した文書ファイルを,
host B
にコピーして持ってきて編集を行なった場合,同じ名前の文書ファイル (内容は異なる)がホスト毎に存在することになる.利用者はこれを,どのホスト にはどのパージョンのファイルがあるのかを意識しながら作業を行なわなければ ならない.
host A host 8 host C
田 口 国
利用者
図 l利用者から見た問題長(プログラム)
host A
¥ 2 利用者
host B
ちょっとずっちがう 自分のファイルが
たくさんhostC
図
2利用者から見た問題点(利用者のファイル)
・管理者側から見た場合の問題点
ーシステムの設定をファイル群を,一貫性が保たれるように,個々のホストで管理 しなければならない.例えば,ネットワークの設定が一貫性が保たれておらず,
host A
と
hostBで同じ
IP7.ドレスを使ってしまった場合, どちらのホストも 使用不能となる.従って,管理者は複数のホストのそれぞれにログインし,個々 の設定が正しいかどうか監視しなければならない.
‑ 39
一組織内の各 w s を,組織内の全ての利用者に利用してもらう場合に,その利用者 登録は,
WS毎に個々に行なわなくてはならない.
一組織内の各
WSの環境を同じに保つために,各
WS毎にソフトウェアをインス トールして回らなければならない.また,新規にホストを導入した場合でも,ー からインストールを千?なわなくてはならない.
霊
host A
利用者登録の
不 一 致
図
3管理者から見た問題点(設定ファイ
Jレ ) 図
4管理者から見た問題点(利用者登録)
図
5管理者から見た問題点(プログラムの不一致)
これらの問題は,組織が持つホストが
2,
3台であれば,まだ,我慢することもできるが,
5
台ほどを越えると我慢し難いものとなる.特に,管理者の手間を考えた場合,統一され た環境を構築するには,現実的でなくなってしまう.
以上の問題は,ホストのファイルシステムの一元管理と,管理ファイル群の一元管理を 行なうことで解決することができる.このファイルシステムの一元管理を行なうものの代 表的なものが
NFS(NetworkFile System)である.また,管理ファイル群の一元管理を行 なう代表的なものが,
NIS(Network Information Service)である.2.2 NFSの意義
NFSは,あるホストの一部のファイルシステムを他のホストに公開し,ネットワーク
を介して共有利用するものである.このファイルシステムを公開しているホストを
NFSサーバと呼ぴ,それを利用している側のホストを
NFSクライアントと呼ぶ.40
ここで気をつけなければならないのは,
UNIXにおいては,ネットワーク上でのホスト 同士の接続は対等な関係にあるということである.
Netwareなどの場合では,サーバとな るホストを少なくとも
l台用意し,これをサーバ専用ホストに,その他のホストをクライ アントホストとして使用しなければならない.これに対し,
UNIXではこの違いがない.
つまり,一台のホストで,同時に
NFSサーバにも
NFSクライアントにもなり得る(これ をピアトゥピアと呼ぶ).
例えば,
2.1で挙げたファイルシステムの問題点を解決するには,各
WSで共通に使用 するプログラムのバイナリファイルを置いておくサーバを一つ用意する.それを各
WSで 共有し使用することで,使えるプログラムを統一することができる.また,新たにホスト を導入した場合でも,同じアーキテクチャを持つものであれば,
NFSサーバによってサー ビスされるファイルシステムを使えるようにするだけで,他のホスト同様に使えるように なる.実際,電気情報工学科では,
Sun microsystemsの
WSもしくは,その互換機を購入 した場合,
1,
2時間ほど
(OSのインストール等も含む)で他の
WSと同様に使えるように なる.
また,利用者ファイルのパージョン管理の問題は,利用者のホームディレクトリをサー ビスするサーバを用意し,それを各
WSで共有することで回避できる.
利用者
》 襲
どの永ストでも同じ 命令が世える。
図
6NFSの利点
hostC
ザ ー パ
NFS
の欠点は,
NFSサーバが樺害等で停止した場合,そのサービスを利用していたク ライアントのホストも停止してしまうことである.また,ネットワークを介してサーバの ファイルシステムにアクセスするために 自ずとネットワークの負荷が増加することにな る.このトラフイツクが著しく増えるとシステムの効率を落してしまう.あるいは,サー パに負荷がかかるため,サーバを行なうホストの処理性能
iこシステム全体が影響を受ける.
このため導入には,システムの構成,運用方針を良く考える必要がある.
41
2.3 NIS
の意義
NIS
は,ネットワークを介したデータベースシステムである.この
NISでサービスさ れるデータベースファイルを
NISマップファイル(以下,マップファイル)と呼ぶ.ホス トの設定を行なうファイルや利用者登録を行なうファイルを,この
NISを通してサービス し,各ホストで参照することによってホストや利用者の一元管理を行なうことができる.
NIS
にもマップファイルをサービスする
NISサーバとそれを利用する
NISクライアン トがある.また,マップファイルをサービスする範囲である
NISドメインがある.これ は,その
NISサーバからサービスを受ける
NISクライアントの集合である.
NISドメイ ン内のホストは,
NISマスタサーバのサーピスするマップファイルによって管理される.
NIS
サーバは,マップファイルを管理している
NISマスタサーバと,そのマスタサー バの障害時などにパックアップしてサービスを行なう
NISスレーブサーバとがある.
NISマスターサーバは,マップファイルを変更する権限を持つことに対し,
NISスレープサー バは,変更を行なうことができない.
NIS
マスターサーバが
NFSサーバと異なる点は,
NISドメイン内に一つしか存在でき ないことである.
NISスレープサーバはこの限りではない.この制約は
NISが,データ の一元管理を目的とするためである.
NIS
ドメイン内の
NISサーバが全て止まってしまった場合,
NISクライアントも全て 停止してしまう.このため,
NISの導入には
NISスレープサーバを適当な数だけ用意す ることを考慮する必要がある.
輪 晶 織 化
P
叫 ん
図
7NISの利点
42 ‑
3 NFSの運用・設定
3.1 運用
NFS
を利用するには,ファイルシステムをその組織内でどのように運用していくかを決 める必要がある.最低限として考えられるのは,各ホストで共有するバイナリファイルを 置いておくディレクトリのファイルシステムと利用者のホームディレクトリのあるファイル システムである.この二つのファイルシステムには変更の頻度という本質的な違いがある.
・各ホストで共有して使用するプログラムのバイナリファイルを置いておくファイルシ ステムは頻繁には変更されない.変更があるのは 新規にプログラムのインストール を行なったり,パージョンアップやプログラムの削除を行なう時である.このため,共 有するファイルシステムを全てのホストから変更できる必要はない.つまり,ほとん
どのホストからは読出しのみができれ ~;f . . 良い.
・利用者のホームディレクトリは頻繁に変更が行なわれる.例えば,文書ファイルの新 規作成や修正,削除などは代表的な変更例である.このため,全てのホストはこのファ イルシステムに対し,書込みが可能でなく.てはならない.また,書込みが終る前にネッ
トワークの不調などにより書き込みの動作を中断することは危険である.
運用を行なうには,これらの違いを考慮に入れて設定しなければならない.
本稿では,説明のために
2台のホスト
(nene,mayu)を例として使用する.これらのホ ストの関係は,
nene NFS
サーバ
mayu NFSクライアント
となっているものとする.このシステムにおける共有ファイルシステムを,次のようにする.
1.各ホストで共通に使用するプログラムのバイナリファイルを
lusr/localに入れておく.また,このディレクトリに対する書き込みの権限は,
NFSサーバである
neneに しか与えない.
2..
利用者のホームディレクトリは,
/home/マシン名/利用者名というディレクトリに持 つ.ホームディレクトリに対する書き込みの権限は,各ホストに対して与える.
3.2
設定
NFS
の設定は,
NFSサーバの設定と
NFSクライアントの設定に分けることができる.
43
3.2.1 NFS
サーバの設定
NFS
サーバは,他のホストに対し,あるディレクトリ以下のファイルシステムを「公開
(export)J しなければならない.公開するための設定は,
/etc/exportsで行なう.このファイルの形式は,
公開するディレクトリ ーオプション,[オプション,…]
となっている.従って,
NFSサーバ
neneでの
/etc/exports設定例は,次のようになる.
/usr/local ‑ro
,
access=mayu:miyoko/export/home ‑access=mayu:miyoko
,
root=mayu一行目は,
/usr/localの公開についてである.
/etc/exportsのフイ}ルドは,ホワイトスペース
(space, TAB) で区切られる.第一フィールドは,公開するディレクトリを指定 する(この例では,
/usr/local).ここで気を付けなければいけないのは,公開するディレ クトリの入れ子はできないということである.あるディレクトリを公開すると,そのディ レクトリを親とする全てのディレクトリも親ディレクトリの権限と同様に公開される.つ まり,
/usr/localを読出しのみで公開し, /usr/local/docをホスト Aのみに読み書き 可能で公開はできないということである.
第二フィールドでは,公開の制限に関するオプションを指定する.この例では,読出し のみ
(ro)で公開している.
roを指定しなければ,読み書き可能で公開をする.また, rw=ホスト名[:ホスト名:...]というオプションをつ伐ると,リストとして挙げられたホストにの み読み書き可能で公開される.他のホストには,読出しのみの公開となる.
また,
accessというオプションは,この公開するディレクトリにアクセスできるホストを指定するものである.ホストのリストは ;"で区切られる.このオプションでリストに 挙げられなかったホストは,アクセスすることはできない.このオプション自体をつけな かった場合,全てのマシンにアクセスを許すことになる.セキュリティ上,必ずつけるべ きオプションである.
二行自の設定では,ホームディレクトリの設定を行なっている.利用者のホームディレ クトリを置いておく実体のディレクトリとして
/home/neneではなく, /export/homeをf
吏っている.つまり,実際に使うためのパスと実体のディレクトリは一致していなくても 良い(l
home/neneとして使用するから /home/neneを公開するわけではない)・また,
rootというオプションを使っているが,これは
root(スーパユーザ)の権限アクセスできるホス トを指定するものである.このオプションをつけなければ
NFSクライアントホストから
rootでアクセスすることはできない.以上の設定で,ディレクトリを公開することができる.
/etc/exportsは,ホストのブート時に読み込まれ,実際にディレクトリの公聞が行なわれる.あるいは手動で,
i .
exportfs ‑a
とすることで,リブートすることなく公開することができる.現在,そのホストで公開 しているディレクトリを知るには,
i .
exportfs
とするか,
/etc/xtabの内容を見れば知ることができる.
44
3.2.2 NFS
クライアントホストの設定
NFS
サーバによって公開されたディレクトリを
NFSクライアント側で使用するには,
クライアントホストのディレクトリの一部にサーバ側のディレクトリをくっつけてやると よい.このくつつける操作を「マウント
Jという.また,マウントを行なうクライアント 側のディレクトリを「マウントポイント j と呼ぶ.
マウントの設定は,
/etc/fstabで行なう.このファイルの書式は,次のようになって いる.
file̲system mount̲point filesystem̲type option dump̲frequency fsck̲order
各フィールドは,ホワイトスペースで区切られる.行頭に#があった場合は,その行は コメントとなる.
この
/etc/fstabは ,
NFSの設定のみでなく,全てのファイルシステムの設定を行なう ための設定ファイルである.このため,記述するオプション等にはいろいろなものがある が,本稿では
NFSに関連のあるものだけを説明する.
NFS
クライアントの
mayuでの設定例は次のようになる.
/dev/sdOa / /dev/sdOh /homel
4.2 rw 1 1 4.2 rw 1 3 /dev/sdOg /usr 4.2 rw 1 2 /dev/sdOd /var 4.2 rw 1 4 /dev/sdOf /usr/applel 4.2 rw 1 5 /dev/sdlh /usr/apple2 4.2 rw 1 6 swap /tmp tmp rw 0 0
/dev/fdO /pcfs pcfs rw
,
noauto 0 0 nene:/usr/local /usr/local nfs ro,
soft 0 0nene:/export/home /home/nene nfs rw
,
h訂
d,
intr0 0上記の設定例では,下
2行が
NFSに関する設定である.まず,
9行目の設定について説 明をする.
第l
フィールドは,
NFSサーバ
neneの
/usr/localをマウントすることを示してい る.指定には, r ホスト名:公開しているディレクトリ」という形式で行なう.
第2
フィールドは,マウントポイントの指定である.ここでは,
/usr/localを指定して いる.実際にマウントする前には,マウントポイントをディレクトリとして作っておく必 要がある.
第3
フィールドは,マウントするファイルシステムのタイプである.ここは,
NFSによ るファイルシステムであるから
nfsが指定される.
第
4フィールドはマウントする時のオプションの指定である.ここでは,読み込みのみ
(ro),マウントを設定回数だけ失敗するとエラーとする
(80ft:これを
80ftmountと呼ぶ)
といったオプションを指定している.最初に述べたように
/usr/localはサーバでしか変 更を行なわない.このため,読み出しのみの権限でマウントを行なっている.もし,読み 書き可能な権限でマウントしたとしてもサーバ側が読み書き可能で公開していない限り害
‑ 45
き込むことはできない.また,読み書き可能な権限でマウントするには,
rwを指定するこ とは当然だが,
hardも指定する.これは,マウントに成功するまでサーバに対しマウン ト要求を出し続けるためのものである.ファイル等の書き込みを行なう場合,その書き込 みの最中にネットワークの不調等でエラーとなって書き込みが途中で終ったりすると困る からである.また,
hardでマウントするとサーバが停止した場合,ずっとマウントを待ち 続ける.これを
intrを一緒に指定しておけば,
cpコマンド等であればキーボードから中 断することができる.
第
5フィールドはダンプの頻度であるが
NFSではこのフィールドは常に
0となる.
第
6フィールドは,
fsckコマンドを行なう際のファイルシステムチェックの順序を示す フィールドであるが,
NFSの場合は第
5フィールドと同様に常に
0とする.
10
行自の設定例は,利用者のホームディレクトリに関するものである.この例では,
neneの j
export jhomeを
/home/neneとしてマウントしている.また,頻繁に変更されるファ
イルを含むディレクトリのために,読み書き可能
(rw)で
hardmount (hard)し,キーボー ドからの割り込みを許可している
(intr).以上の設定で,サーパの公開しているディレクトリをマウントするとができる.ただし,
/etc/fstab
はホストのプート時にしか読み込まれない.手動でマウントを行なうには,
mount
コマンドを使用するが,このコマンド使い方は割愛させていただく.このコマンド に関しては,オンラインマニュアル等を見ていただきたい.
4 NIS
の運用・設定
4.1運用
NIS
の運用には,どのような設定ファイルを
NISによって管理するか,
NISを考慮し たシステム構成を考えなければならない.
NIS
で管理できるファイルは,各ホストで共通に使える設定ファイル群である.この設 定ファイルには次のようなものがある.
passwd group ethers protocols aliases hosts rpc services netmasks networks bootparams
この内,
passwd,
groupは,ホスト毎に設定することが可能であるが,その他のファイル は
NISが導入されると,
NISで提供されるマップファイルしかシステムから参照されな
くなる.
NIS
のを導入するには,ネットワークの構成を考慮する必要がある.これは,
NISク ライアントが
NISサーバを見つけるためにブロードキャストを使用するためである.ブ ロードキャストは異なるネットワークには流れない.つまり,図のようなシステム構成で は ,
NISクライアントは
NISサーバを見つけることができない.このため,一つのネッ トワーク上には,一つ以上の
NISサーバが必要となる.また,
NISサーバが何らかの原 因で停止してしまい,
NISサービス・が停止してしまった場合,
NISクライアントもマップ ファイルを読めないために停止してしまう.このため,一つのネットワークには,一つ以 上の
NISスレープサーバを用意する必要がある.
‑ 46
×
NIS マスタサーバ
ブロードキャス卜による NIS
要求NISクライアント
ブロードキャス卜による NIS
要求NISクライアント Network B
図
8NISの導入失敗例
本稿では,
5台のホスト
(nene,
mayu,
miyoko,
miki,
tsubasa)を使って説明を行なう.
それぞれの
NISに関する役割は,次のようになっている.
nene NIS
マスタサーバ
mayu network A
での
NISスレープサーバ
miyoko network A
と
networkBのルータ,
NISスレープサーノ f
miki network B
の
NISスレープサーバ
tsubasa NISクライアント
また,ネットワーク構成は次の図のようになっている.
NIS マス宮サーバ NIS スレーブサーバ
町 田
tsubasa
Network B
図
9NISの導入を考慮したネットワークの構築例
図を見るとわかるように,この例では各ネットワークに必ず,
2つの
NISサーバを配置 している.
miyokoをスレープサーバにしているのは,二つのネットワークに対し,ともに サービスを行なわせるためである.また,
mikiがスレープサーバになっているのは,ルー タである
miyokoが何らかの障害で停止してしまっても,
network Bに対するサービスを 行ない,クライアントが停止してしまうことを防ぐためである.
47
4.2
設定
NIS
の設定は,
NISマスタサーバ,
NISスレーブサーバ,
NISクライアントの設定が 必要となる.
4.2.1 NIS
マスタサーバの設定
NIS
マスタサーバは,マップファイルを変更できる唯一のサーバである.まず,このマ スターサーバがサービスする範囲である
NISドメインを決めなければならない.ここで は,例の
5台のホストにサーピスを行ない,その
NISドメイン名を
friendsとすること にする.この
NISのドメインは,
DNS (Domain Name Serviee)のドメインとは異なるこ とに注意が必要である.また,
NISドメインは複数のネットワークにまたがっても構わな い.
NISドメイン名が決まったら
/etc/defaultdomainにその名前を書き込み,
domainname NIS
ドメイン名
というコマンドを実行しておく.通常は,ブート時に
/etc/rc.localで行なわれる.この 例では次のようになる.
%
domainname friends次に,サービスを行なうマップファイルを準備する必要がある.
SunOS 4.l.xの場合,こ のマップファイルを置いておくディレクトリは,
/var/ypである.デフォルトではこのディ レクトリは用意されていないため,作成する必要がある.これは
NISのサービスを開始す る,あるいは受けることの宣言にもなる
(!etc/rc.localを眺めるとわかる).また,マス タサーバになるためには,
/var/ypの下に
NISドメイン名と同じディレクトリを作成す る必要がある.この例では,
/var/yp,
/var/yp/friendsを作成しなければならない.
次に,マップファイルの作成を行なう.マップファイルの作成には,
ypinitというコマ ンドを用いて行なう.マスタサーパの場合は次のようになる.
% /usr/etc/yp/ypinit ‑m
オプション
‑mは,マスタサーバの作成を指示するためのものである.これを行なうと,
/etc
にある各種設定ファイルからマップファイルが
/var/ypに作成される.また,マップ ファイルの更新等を行なうための
Makefileが
/usr/lib/NIS.Makefileよりコピーされる.
また,この
ypinitコマンドを起動すると,スレーブサーバのホスト名を聞いてくるので指 定してやる必要がある.この場合は,
mayu,
miyoko,
mikiである.
ypinit
で作成されるマップファイルは,
/etcにあるファイルを元に作成されるため,
NIS
クライアントも
NISサーバと同じように設定されることとなる.これを行ないたくな い場合は,必要なファイルを
/var/ypに作成し,
/var/yp/Makefileの 変 数
DIRに
/var/ypを設定してやることによって実現できる.特に
/etc/passwdファイルは
rootのパスワー ドを含んでいるために,
/var/yp/passwdを作成し,一般利用者のみをマップファイルで 公開する方がセキュリティ上において望ましい.
次に
NISの
daemonが起動されるように設定する.これは,
/etc/rc.localを修正す ることによって行なう.このファイルの
NISに関する記述は次のようになっている.
48
#
# Run NIS only if we have a set domainname.
#
dn
叩
e='domainname'if [
"$dn回
e" ‑a ‑d /var/yp J; then echo "NIS domainname is $dname"echo ‑n "starting
N工S
services:"if [ ‑f /usr/etc/ypserv ‑a ‑d /var/yp/$dname J; then ypserv;
#
echo ‑n ' ypserv'
# Master NIS server runs the XFR daemon
#
# ypxfrd; echo ‑n ' ypxfrd' fi
if [ ‑f /etc/security/passwd.adjunct J; then ypbind ‑s; echo ・・・n ' ypbind'
else ypbind;
fi
echo ‑n ' ypbind'
if [ ‑f /usr/etc/rpc.ypupdated田 a‑d /var/yp/$dn
四
eJ; then rpc.ypupdated; echo ‑n ' ypupdated'fi echo ' fi
この記述の中の
ypxfrdのコメントをとる.また,
jetcjrcの最後の方に次の記述を付け 加える.
#
# for NIS passwd update
#
dn
剖
e='domainname'if[
イ /usr/etc/rpc.yppasswdd‑a ‑f /var/yp/$血 祖eJ; then /usr/etc/rpc.yppasswdd /var/yp/passwd ‑m passwdfi
この記述は,ネットワークを通じて利用者のパスワードを変更するためのものである.こ の
rpc.yppasswddが動いていない場合,
passwdコマンドを使ってもパスワードを変更す ることはできない.なお,この例では,パスワードを
/var/yp/passwdで管理している.
以上の設定を終えたのち,マスタサーバホストをリブートすれば
NISのサービスを始 めることカ
fできる.
49
4.2.2 NIS
スレーブサーバ,
NISクライアントの設定
NIS
スレープサーバ,
NISクライアントの設定はマスタサーバに比べ簡単である.ま ず,どちらも
/etc/defaultdomainに
NISドメイン名を設定する.
次に,
NISスレーブサーバの場合,
/var/ypと
/var/yp/NISドメイン名というディレ クトリを作成する.
NISクライアントの場合,
/var/ypを作成するのみでよい.
以上の操作を行なった後,リブートすることで
NISの管理下に入ることができる.
NISのサービスを受けているかどうかは
ypwhichを実行することでわかる,
NISの管理下にあ る場合は,このコマンドはサーバの名前を返す.
4.2.3 passwd
,
groupファイルの管理
ホストが
NIS管理下に入った場合,
hosts,
services等のファイルは,全て
NISマッ プファイルが参照される.このため,ローカルの
/etc/hosts,
servicesは参照されなく なる.これに対し,
passwd,
groupは,ローカルのファイルと
NISマップファイルの両 方を参照できる.
/etc/passwd
ファイルを次のようにすると,ローカルの登録とマップファイルによる登 録が一緒にされる.
listen:
本ホ*本事申権事
:37:4:NetworkAdmin:/usr/net/nls:nobody:
ホ***事
***:60001:60001:uidno body:/:noaccess:
事****事**本
:60002:60002:uidno access:/:+:0:0::: :
この最後の
:0:0::::+がマップファイルを参照する指定となる.この例では,マップファイ
ル
passwdに登録されている全利用者をこのホストで使用できるようにする設定となって
いる.
特定の利用者だけに利用を許可したい場合は次のようにする.'
listen:**
事牟ホ*事
*:37:4:NetworkAdmin:/usr/net/nls:nobody:*
事事****本
:60001:60001:uidno body:/:noaccess:
本*ホ場事
****:60002:60002:uidno access:/:+sonny +katino
これで,
sonnyと
katinoという利用者のみをマップフィルから参照することができる.ま た ,
/etc/passwdに記述されたデータの方がマップファイルよりのデータより優先される.
/etc/group
も
/etc/passwdと同じようにすることができる.次に
/etc/groupの例を 挙げておく.ただし,ファイルの一部である.
adrn::4:root
,
adm,
daemon uucp::5:root,
uucp mail: :6:roottty::7:root
,
tty,
adm lp::8:root,
lp,
adm50
nuucp::9:root
,
nuucp staff:: 10:daemon::12:root
,
daemon noooay: : 6000t . :
noaccess: : 60002: +:
5 おわりに
本稿では,
NFS,
NISの導入の理由,導入時の設定等について述べた.この二つのサー ビスを導入することで かなりの管理の効率化と利用環境の向上を図ることができる.ま た ,
NFSを導入したシステムの欠点として挙げた,
NFSサーバの停止によるクライアン トホストの停止の問題であるが,この停止の可能性を減らすために
automountというプ回 グラムを用いることができる.また,このプローグラムの設定を
NISによって管理すること で,多くの
NFSクライアントを一括管理することが可能である.このプログラムについ ては,機会があれば述べたいと思う.
複数台の
UNIXホストを持つようになったら,是非,導入していただきたいと思う.本 稿では,
SunOS 4.l.xについての設定例に終始してしまったが他のシステムでも大筋は 変わらないと思われるので,マニュアル等を見ながらチャレンジしていただきたい.
最後に,紙面,および時間の都合上,かなり大雑把な説明となってしまったことを皆さ んにお詫びする.本稿では,特に参照をしなかったが,
NFSと
NISの導入に際して役に 立つ文献として,
rNFS&
NISJ (Hal Stern著倉骨彰訳砂原秀樹監訳アスキー出版局)を 挙げておく.
51