︑
■
ρ
貿易理論の幾何學的解明ご経濟的厚生
,
̀麻田四
郎
(
■
73
七 六 五 四 三 ニ ー
はしがき.
幾何学的解明1ーボールドウィソ
幾何学的解明皿ーミード
砒会的消費無差別曲線ーシトウスキー
厚生基準Lートbックス
厚生基準∬iサミュエルスン
あとがき
一 ︑ '
コ 筆者はさきに﹁マーシァル曲線に關する畳え書﹂なる小論にて︑貿易理論におけるマーシァル曲線叉はオッファ・カ
ープと呼ばれる概念に關して若干の考察を試みた︒そして先づマーシ︒ル曲線なるものは︑エ︒ヂワースーーヒ︒ク
ヘヘヘヘヘヘス流の浩費選揮の理論における贋格聾消費曲線をぱ︑選揮主髄として個人のかわりに一國全艦を想定することによつ
貿易理論の幾何學的解明と纏濟的厚生
371
り■ マ
︑
74
商學討究第四巻第三號6
て貿易理論に類推的に慮用したものに他ならす︑同時に憤格"消費曲線の導出にあたつて生産條件への顧慮がないと
ころから︑それは交易條件をぱ需嬰條件からのみ決定せんとする軍純交換の理論である﹁と解繹した︒それから次
,に︑消費者選揮の理論にあつては︑消費者均衡点が債格11消費曲線上を移動する場合︑その背後に想定されている消
費無差別曲線髄系から︑その消費者の維濟的厚生水準の攣動を推論することができるのであるが︑これを貿易理論に
適用して︑貿易均衡点がマーシァル曲線上を移動する場合︑果してそこから一國全艦としての経濟的厚生水準の攣動
を推論しうるものであろうかという問題を(實際にか﹂る推論がしばしば行はれるのであるが)︑新厚生経濟学の方
法論によりつ玉考察したのであつた︒要するにマーシァル曲線の手法による分析は︑一面において︑交易條件決定論
という交換の純粋理論として性格と共に︑他面において︑貿易による一國の維濟的厚生水準攣動の評贋に至らんとす
る厚生経濟学的性格をもつものである︒最近このマーシァル曲線的手法による分析(より廣くいつて幾何学的解明)
が大いに獲展し︑その理論内容も充實してきており︑また同時に厚生経濟学それ自燈も重要な展開を示してきつ﹂あ
るように思はれるので︑以下においてこれらの獲展をぱ(限られた文献ではあるが)追跡して︑さきの蕪雑な小論の
問題をいささかなりとも据充してみようと思う︒隔
‑商學討究第三巻第三號︑拙稿﹁マーシァル曲線に關すろ畳え書﹂昭和二十七年十一月︒
372
=
磐
先づ純粋理論としての側面におけるマーシァル曲線叉はオッファ・カーブの焚展をぱみよう︒
■この方向の爽展は︑貿易理論に生産無差別曲線を利用することから始まるのであるが︑この点で貢献せる学者とし
ヨ る ヨ て︑ハーバラー・ヒックス︑ラーナー︑レオンチェフ等を學げることができる︒特にレオシチェフの貢献は決定的で
風
曹
75
ぬあつたといい之よう︒しかしながら︑これらの諸文献についてはわが國においてすでに多くの勢作があるから︑ここ
では省略する︒
更に最近の傾向として︑生産條件の導入にあたり︑箪に逓増生産費のみでなく︑.逓減触不攣生産費の條件に及び︑
の かつまた︑自由競孚︒猫占・貿易諸制限等の市場條件の導入にまで進んでいる︒從つてこれらの最近の嚢展をぱ︑ミ
ードの名稻に從つて﹁國際賢易の幾何学﹂︑即ち︑貿易の一般均衡理論の幾何学的解明︑と呼んだ方が適當であろ
う︒しかしながら︑本論は一般均衡條件の幾何的解明のみを取り上げようとするものではなく︑それが同時に貿易に
よる一國維濟厚生の墜動をも表現せんとする点(暗黙裡にでも)に反省を加えようとするものであるから︑以下の所.
論においては︑軍に遊増生産費及び自由競孚の條件のみをとり上げることとする︒'
先にのべたレオンチェフの論文は︑現在この方向の古典的文献の一つと考えられるものであるが﹂そこでは二國の
消費無差別曲線と生産無差別曲線が樹置して描かれているけれども︑マーシァル曲線叉はオッファ・カーブは描かれて
はいなかつた(以下の行論においては︑最近の慣例に從つて︑オッファ・カーブなる語を用ひよう)︒これを描くか否
かはレオンチェフ自身にとつては大した問題ではなかつたのであろうが︑レオンチェフの手法を踏襲しながら︑同時
にオ︒ファ・カーブを描き︑それをもつて猫占下の交易條件決定論の幾何学的解明にまで進んだものに︑ポールドウィ
お ンの論文がある︒しかし本論では自由競争の範園において︑ボールドウィンのオッファ・カーブをもつてレオンチェフ
を補充せしめ︑もつて以下の所論の端緒としよう︒
先づボールドウィンは彼の分析方法につき次の如くいう︒﹁われわれは二つの貿易國の各々の繭換曲線
貯蟄墓ho目舅暮ご浮2署︒(生産無差別曲線)及び選好髄系b話h霞①坦8︒︒嶺富冨を與えられ︑かつ不攣なものと考え
'.73る︒轄換曲線は牧穫逓減を條件とする︒また各國内における生産資源の完全雇傭及び完全移動性を假定する︒⁝⁝各3
貿易理論の幾何學的解明と経濟的厚生
㌔1 '
76
商學討究第四巻第三號
國の無差別膿系は︑この一般的方法の猫創的稜展を行つたレオンチェフ敷授によつて用ひられたものと同様である︒︑743嚴密にいうと︑肚会の無差別曲線は個人のそれのような性質を有していない︒しかし當面の問題は基本的均衡條件に
AP
Qb
B■
0 A圖
竹矛.
丁 L
O
茅 二 圖
B \
あるのであつて︑この点の意味づけを行う厚生分析にないのであるから︑われわれはこのような複雑化の要因を導入
■
̀
77
りゅしないであろうL︒ここでわれわれはボールドウィンの目的が一般均衡條件の圖表的分析にあることを知るのであ
るが︑同時に彼はそれが厚生経濟学と關聯していることを意識していること︑そしてこの厚生分析に反雀を加えよう
,とするのが︑本論の目的の一つであることを繰返しておく︒・Fボールドウィンに從つてH國のオ.ファ︒カーブを抽出しよう︒それは第一圖より之られる︒Nは皿國の韓換曲線でT
あつて︑蛋﹁國が一定の資源より生産しうるA・B二商品の種丸の量を示す︒顧そのカーブは牧穫逓減であるから原点に︑劃して凹である︒同時に皿國の無差別曲線の若干V・︾も示されているが︑それは原点に樹して凸であり交叉するこ
とがない︒
さてπ國は種々の償格に慮じて二商品の生産量及び消費量を決定する︒例えぱ︑宜とJにおいて鱒換曲線と無差別
曲線に接する直線田の傾斜によつて表される贋格において︑﹃國の生産量はE︑消費量はJにて決定される︒從つて.π國はA曹肚姦出することに吉B商・鍋を輸入せんとする︒もしπ國が貿易することが不可能の場合には︑生
産及び消費は耳において行われる︒なぜならばN点(無差別曲線と蒋換曲線との接点)は國内生産により可能な最大
の敷用を保障するから︒N点における韓換曲線の傾斜よりも急な直線により示される贋格においては︑π國はA商品
を輸入しB商品を輸出せんとするであろう︒それ故すべての可能な慣格線をひくことにより︑皿國の生産点と︑皿國
が一商品の一定量を輸入するために提供せんとする他商品の輸出量を示すオ.ファ・カーブを見出すことができる︒こ
れを圖示したのが第二圖である︒第二圖の原点0より左上の部分は︑亜國がB商品を輸入するためにA商品を輪出せ
んとすることを示し︑右下の部分はその逆を示す︒第一圖の田の傾斜で示される償格(それは第二圖のOJの傾斜に等
しい)に書ては︑H國はB商品Uの楡入のためにA曹翫を楡出せんとするのであるが︑このことが第二圖にあつ
ては原点・よりA軸嬉つて皿辱しい距讐とり.B軸振つてBに等しい距讐と3点雪ホされる︒同じ方法
‑貿易理論の幾何學的解明と経濟的厚生︒
375
'
78
商學討究第四巻第三號.︑
を繰返して︑あらゆる便格に慮するπ國の行わんとする二商品の輪出入量を見出して︑第二圖に移げことにより︑第76お り二圖のオッファ・カーブが描きうることになる︒
同様にして1國のオッアァ・カーブを描くこともできる︒そして爾國のオヅファ・カーブを組合せて︑繭者の交点によ
り貿易均衡点を圖示することも容易である︒しかしボールドウィンは︑レオンチヱフの手法に從つて︑爾國のオッファ・
カーブのみでなく︑轄換曲線及び無差別曲線をも同一圖表の上に描き︑もつて爾國の貿易均衡條件のみならす︑生塵・
消費の均衡條件をも描出せんとするのである︒それが第一圖に示されている︒
第一圖によつて1國の歌態をみよう︒覗は1國の韓換曲線であり・儘11・●12は若干の無差別曲線である︒ここでも∬P國の場合と同様に︑償格に懸じて生産点・消費点が決定される︒例えば第一圖で直線船の傾斜で示される償格に封し
ては︑G及びSで生産点・消費点が示される︒そして同時にこの橿格では︑1國はA商品甑を輸入し︑'その代りにB
商品撃幣せんとすることを知る︒すべての籍についてこの手績轟返すならば︑われわれは蓼の籍簿い
ノて成立する均衡生産点及び消費点を得る︒この均衡漕費点の軌跡が曲線㏄であり︑これから1國のオッファ・カザブをむ容易に描くことができる︒しかし第二圖の如き(1國の)オッファ・カーブそのものは第一圖上には描きえない︒なぜな
ら自由競孚下では均衡市場償格は限界生窟費に一致せねぱならす︑從つて種々の償格に慮じて第二圖の如きオ.ファ.
カーブの原点0は︑第一圖においては︑そのときの債格と同一の傾斜をもつ韓換曲線上の種々の点に移動することに
なるから︒同様の理由から皿國のオッファ・カーブ(第二圖)もそのま玉第一圖にもつてくることができない︒しかし
次の方法によつてH國の楡出入量を1國の韓換曲線上に移すことにより︑競孚下における均衡慣格・生塵量・消費
量・輸出入量を見出しうる︒特定の慣格の下においてH國が行わんとする輸出入量は第二圖のオリファ・カガブから容
易に知ることができるから︑その便格線と同一の傾斜をもつ点を1國の韓換曲線上に見出して︑その点を基準と,し
β ■