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大環状シクロデキストリン類の存在の証明及びその 分子構造

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(1)

大環状シクロデキストリン類の存在の証明及びその 分子構造

著者 遠藤 朋宏

雑誌名 星薬科大学紀要

43

ページ 7‑15

発行年 2001

URL http://id.nii.ac.jp/1240/00000104/

(2)

Proc, Hoshi Univ. No,43,2001

大環状シクロデキストリン類の存在の証明及びその分子構造

遠  藤 朋  宏 星薬科大学 薬品物理化学教室

Isolation, Puri血cation and Characterization of I.arge−ring Cyclodextrins,

       and Their Molecular Structures

Tomohiro Endo

D⑳αγτwηω∫P㌧sτcαZCん¢〃2ゴ∫ぴy,Ho謝ひWθγs⑳

1.はじめに

 シクロデキストリン(Cyclodextrin:CD)は,デンプン のようなα・1,4・グルカンにBαc棚μs勿αce抱ηs等が産生 するCyclodextrin glucanotransferase(CGTase)を作 用させて得られる環状マルトース類である.これらの中 で6,7及び8グルコピラノース単位(Glucopyranose

unit:GU)からなるα一,β・,γ一CDはすでに工業的に生産さ れており,高純度試料を容易に入手可能であることか

ら,種々の応用研究を含め広く研究の対象とされてき た.これらの分子構造は,Fig.1に示したように,分子 内部に疎水性空洞を持っ円錐台形のような構造をしてい る.この空洞内に,大きさと形が適合するゲスト分子全 体またはその一部を立体選択的に取り込み,包接複合体

を形成し,包接したゲスト分子の物理化学的性質を修飾 する.この包接複合体形成能という特徴的な性質から,

これらのCDは多分野にわたりすでに応用されている.

特に薬学の分野では,化学的に不安定な薬物の安定化,

難水溶性薬物の可溶化,薬物の溶解性及び薬剤からの放 出制御,バイオアベイラビリティの改善等を目的に機能 性添加剤として研究が展開されており,実際の応用例と して,非常に化学的に不安定なプロスタグランジンを製 剤化する際にCDが利用され,この製剤の安定化に成功 したことはよく知られている.α・〜γ一CD及びこれらの 誘導体の研究成果は,すでに多くの総説にて紹介されて

いる1−8).

 しかしながらCD類にっいて,すでに全てのことが解 明されているか,というとそうではない.例えばなぜこ のような物質を細菌が生成するのかという問題は,Am・

ylaseと同じようにCGTaseが菌体外に放出され,デン プンのような多糖類を分解する酵素であることから,

CD類も細菌のエネルギー源として利用されているのだ ろうと予想されてはいたが,その証明は行われていな かった.しかし最近になり,ある種の細菌の変異株に CDを菌体内に取り込む輸送担体が見っかり,さらに菌

α一CD

β一CD

Y−CD

Fig.1. Molecular Structures ofα一,β一andアCDs.

   (Left):side view,(Right):from O6 side

体内でCyclodextrinaseで加水分解後, Phosphorylase 依存的な経路で代謝されることが明らかになり,これま での予想が正しかったことが証明された9一川.

 また,9GU以上の大環状CD(Large−Ring CD:LR−

CD)にっいても,1965年のFrench等による9〜13 GUからなるLR−CD類(δ・CD〜θCD)の存在に関する 報告及び小林等によるδ一CDの単離及び結晶構造に関す

る報告は存在したが12 14),これらのLR CD類は,存在 量が非常に少なく,かっ分離・精製が困難であったこと から,物理化学的性質は不明なままであった.また14

7

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Proc. Hoshi Univ, No、43.2001

GU以上のLR−CD類はその存在自体が知られていな かった.さらに,LR−CD類は環状構造が非常に柔軟性に 富み,また高い水溶性を持ち,そのため包接複合体を形 成しにくく,有用性が低いものと予想され,労力に比し メリットが低く,研究に値しないものと考えられていた ことから,これらに関する研究は進展していなかった5).

しかし,1993年より我々の教室では市販のCD粉飴か らこれらのLR・CD類を単離・精製し,その存在の証明 を行ってきた.また,水溶性などの物理化学的性質につ いて確認を行い,従来の予想とは異なることも報告して きた.さらに10及び14GUからなるε・及び −CDにつ いては,単結晶X線構造解析を試み,従来のCDには見 られなかった分子構造及び結晶構造の変化を確認した.

 この総説では,LR−CD類の存在の確認及びその構造 について紹介させていただく.また,最近のLR−CD類 の生成に関しても若干ではあるが紹介させていただく.

2.大環状CD類の単離・精製及びその確認

 CGTaseは,先に述べたBαc 〃μs〃zαcρmηs以外にも 且C舵川αηS,且Sτ¢αγo仇0㎜0ヵ励μSなど,数種の微生物

により産生され,環状化反応(Cyclization),直鎖糖間転 移反応(Disproportionation),開環糖転移反応(Cou−

pling)及び加水分解反応(Hydrolysis)の4反応に対 し,触媒作用を示すことが知られている15コ6㌧また,

CGTaseの結晶構造や活性中心等については詳細な検討 がすでに多数報告されている17 19}.しかし,1990年代 の初頭において,CGTaseによりCD類を生成したとき の重合度の限界に関しては,ほとんど情報がない状態で あった.そこで,CGTaseがどの程度までのLR・CDを 生成可能か確認することを目的に,本酵素を使用して食 品添加物として生産された,市販のCD混合物中に存在 するLR−CD類を個々に単離・精製し,まずその存在の 証明を行った.

2−1 各大環状CDの単離・精製

 小林等の方法に準じ,LR−CD含量を高めた試料

(LR−CD混合物)の調製をFig.2に示した方法により 行った13).原料として使用したCD混合物は,バレイ ショデンプンをCGTaseにより処理し生産された市販 のCD混合物を使用した.まず, CD混合物中に存在す る分岐グルカン,分岐CD及び直鎖グルカンを除去する ため,CD混合物を酢酸緩衝液(pH 5.2)に溶解し,β一 Amylase, Pullulanase及び酵母とともに処理した.処 理後,得られた懸濁液を遠心分離し不溶物を除去後,次 いで上清中に存在するα一〜rCDを除去するため,各CD をBromobenzene及びTetrachloroethaneと低温下,

不溶性包接複合体を形成させ,これらの大部分を除去し た,さらに鎖状デキストリン類はエタノールにより不溶 化し,除去した.得られた試料溶液を脱イオン,脱色後,

Res幽d凹e

CD Powder

1)Dissolve in Acetate Buffer(pH5ユ)

2)Addβ一Amylase

3)Shake 100叩m at 30℃for72 h 4)Centr∬uge 14000 gが10℃for 15 min

Residue

5)Add Bromobenzeoe   Tetrachloroethane   Ethaml

6} Stirat 4°C for 12h

7)Centrifuge 14000 g at 4°C『or 15min

Supematant

8)Deionize(Amberlite MB−3)

9)D㏄olor立e(Ac6ve Carbon)

10) Filt臼te through Successive La ofFilter Paperand Celite 11)Add Glucoamylase 12)Add Acetone

13)Centrifuge 14000 g at 4③C for lOmin

Precipitate

 ←

LR−CD Mlxture

Supernatant

Fig.2. Preparation Method for Large・Ring CD    Mixture.

残存する鎖状デキストリン類はGlucoamylaseにより 加水分解した.最終的に,Glucoamylaseを熱失活後,

アセトンによりLR−CD類を沈殿させ,これを回収した.

 得られたLR−CD混合物は,酵素的及び化学的処理に より除去できなかった鎖状デキストリン類及びα一〜

γCDを含んでいると考えられることから,まずこれらの 除去を目的にLR−CD混合物をOctadecyl silica(ODS)

を用いたカラムクロマトグラフィー及びHPLCにより 処理した.次いで,GU数の少ないCDから順次溶出さ れることがすでに知られているAminoカラムを用い,

各ピークを個々に精製し,13種類の高純度試料を得た.

2−2 各大環状CDの確認

 得られた13種類の試料を確認するため,各試料の FAB−MS及びNMR測定を行った.

 CDの分子量は, GU数から計算可能であり,逆に分子 量が測定されれば,その分子を構成しているGUの数が 明らかとなる.そこでグリセリンまたはMagic Bullet をマトリックスとして,得られた13種類のLR−CDの 分子量をFAB−MSにより測定した.その結果,得られ た各LR−CDの分子量は計算から求められる予想分子量 とよい一致を示し,得られた各LR−CDは9〜21GUか ら構成されていることが明らかとなった.

 しかしデンプンを原料としてCDを製造した場合,デ ンプン中に存在する分岐構造に由来すると考えられる が,分子内にα一1,6結合を有する外分岐及び内分岐CD が若干混入することが知られている.内分岐CDは,分 子量を測定した際,構成しているGU数が同じであれ

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C2

H2,H4

C1 C4  C3

     \

lc5

/     c6

100       90       80 70         PP

4

8

§

.H6 1

H3

8

3

H1

§ φ

Fig.3.1H−13C COSY NMR Spectrum of −CD.

   Solvent, Deuterium oxide;Temperature,50℃

ば,分子量から区別することは難しい.そこで,次に NMRにより環状構造の確認を行った. CDは各GUが 環状に結合した特徴的な分子構造を有するため,末端の GUというものが存在せず,各GUの6個の炭素原子は 全てのGUでほぼ等価であると予想される.その結果,

α一〜γCDの13C−NMRスペクトルは特徴的な6本の明 確なシングレットシグナルを示すことが知られている.

Fig.3は6−cD(14Gu)の2次元NMRスペクトルであ り,このスペクトルはα一〜γ一CDのものと非常に類似し ていた.また,他の12種類の試料に関してもほぼ同様 なスペクトルが得られており,それらの構造も環状構造 を有していることが確認された.なお,分岐CD類は ODSカラムを用いたHPLCによっても我々の精製試料

中には存在しないことを確認した.

 以上の結果から,得られた13種類のLR−CD類は9〜

21GUから構成されるδ一〜π CDであることが確認さ れ,CGTaseは少なくとも21GUまでのLR−CDを生成

可能であることが明らかとなった.現在,基質のα一1,4一 グルカンの重合度及び反応時間を制御することにより,

CGTaseは60 GU以上のLR−CD類を生成可能である

ことが確認されている20).

2−3 大環状CD類の分子構造の変化

 各LRCDの13C−NMRスペクトルを測定した際に非 常に興味深い知見を得た、α一〜π一CDの13C−NMRスペ クトルから得られた各炭素原子の化学シフト値を比較す ると,Fig.4に示したようにGU間の結合に関与してい

1。。㌔昏■唱与昔闘

90

80

巨合ご︑三・︐晴︒言●エO

Fig.4.

 6     9     12     15     18     21

    Number ofglucopyranose units

Variation in l3C Chemical Shifts of CDs with Number of Glucopyranose Units.

■,C1;〈〉, C2;○, C3;●, C4;[コ, C5;△, C6

9

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るC1及びC4の化学シフト値が, LR−CDでは高磁場ヘ シフトしていることが確認された.一方,結合に関与し ていないC2, C3, C5及びC6は全てのCDで変化はほ とんど観測されなかった.この変化はCDの環状構造の 変化に由来すると考えられ,LR−CD類はα 〜rCDと同 様にα一1,4結合によりGUが結合しているが,詳細な分 子構造は異なることが示唆された.

3.ε・及び −CDの単結晶X線構造解析

 CD類の結晶構造は,すでにα一21−25),β一26−28),γ29−31)及 びδCDI4)の4種にっいて明らかにされている.また,

これらの誘導体及び包接複合体の結晶構造も多数報告さ れている17−19).しかし,ε一CD以上のLR−CD類に関して は報告が全くなかった.また先に述べたように13C−

NMRスペクトルの結果から,δ・CD以上のLR−CD類は α一〜アCDとは分子構造が変化している可能性が示唆さ れた.そこで,ε一(10GU)及び −CD(14GU)の単結晶を 各々アセトニトリル水溶液,1・プロパノール水溶液から 作製し,単結晶X線構造解析を行った.

3−1ε 及びz・CDの分子構造

 Fig.5及びFig.6にε一及び −CDの分子構造を示し た.これらの図から分かるように基本的にはε一CDと

℃Dの分子構造は類似していることが分かった.両 LR−CDともに分子中に2っの非対称単位を有しており.

非対称単位はそれぞれ5個(G1〜G5)及び7個(G1〜

(1)from b axis

G1

(2)side view

G1★

Fig.5. Molecular Structure ofε一CD.

(1)fromθaxis

G2

(2)side view

G5

o o

Fig.6. Molecular Structure of −CD.

G7)のGUを含んでいた.また分子全体を側面から見た 場合,ε一CDはカニのような形を, −CDはチョウのよう な形をしており,両翼に広がる爪あるいは羽の部分の構 造はα一〜γ一CDの分子構造に見られる円錐台形の側面に 類似した構造であることが確認された.

3−2α一〜γ・CDとの分子構造の類似点

 各GU間の結合は,他のCDと同様にα一1,4結合であ ることが確認された.またtri−0・methylβ一CDのような 例外はあるものの32・33),GUのコンフォメーションは 4C1のイス型コンフォメーションであることが知られて いる.今回結晶構造が決定された,ε一及び ・CDを構成し ている全てのGUも4C1のイス型コンフォメーション であることが確認された.さらに,各GU中の原子間の 結合距離,結合角及びグルコピラノース環内のねじれ角 は,すでに結晶構造が明らかにされているCD類とよく 致することが確認された.これらの結果から,グルコ

ピラノース環の構造には,大きなひずみは存在しないこ とが示唆された.これについて,Saenger等はCremer とPopleのPuckeringパラメータを計算し,同様の結

果を得ている34).

 04原子を介した,グルコシド結合の距離と結合角も 他のCDとよく一致しており,結合角の平均値(118°)は マルトースに見られる値と非常に類似していた35−38).こ の結果から,グルコシド結合にも大きなひずみは存在し

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ないことが示唆された.さらに隣接したGU間の04

(n)…04(n−1)原子間距離はα一CD<β一CD〈γCDの順に 長くなっているが,δ一CD以上のLR・CD類では,この距 離がγ一CDとよい一致を示すことが確認された.グルコ シド結合のひずみ及び隣接したGU間の04(n)…04(n−

1)原子間距離が,GUの増加によって変化しないことか ら,δ一CD以上のLR−CD類では, GUが増加しても,α・

γ一CDに見られるような, CD環の平面的な単なる拡大 にはっながらないことが示唆された.

 またCD結晶中に一般的に見られる,(+)−gaucheと

(一)−gaucheの両コンフォメーションを示す1級水酸基 の乱れもε一CDでは4箇所のGUに, −CDでは6箇所の GUに存在した.

3−3α・〜γ一CDとの分子構造の相違点

 GU間のコンフォメーションには,すでに結晶構造が 明らかになっているCDとは大きく異なる部位が存在し た.グルコシド結合のコンフォメーションはコンフォ メーションのエネルギー計算から2種の低エネルギー コンフォメーションタイプを示す39・40).最もエネルギー の低いコンフォメーションは隣接したGUの1級水酸 基と2級水酸基が円錐台形の互いに反対に位置するs吻

ε一CD    る

!\・・

G3

03

G2

Fig.7. Structures Showing Two Types of Conforma・

   tions ofα一L4−Linkage.

   G4 and G5 inε CD and GI and G2 in −CD are    in the∫yηform,

   G3 and G4 inε一CD and G7*and GI in −CD    are in theαητゴform.

   Dashed lines indicate hydrogen bond.

型コンフォメーションである.このsyη型コンフォメー ションの配列は,直鎖のオリゴ糖の構造中にも見られる 配列である35−38 41}.一方Fig.7に示したように,ε一cD

・CDではその配列は乱れており, CD環内の2箇所 に,もう一っの低エネルギーコンフォメーションである 方のGUが180°回転したαηκ型コンフォメーション が存在した.このαηκ型コンフォメーションは初めて 発見された配列であり,すでに構造が明らかにされてい るCDではCD環の柔軟性が制限されているため不可能 であったが,syn型コンフォメーションに比べエネル ギー的に好ましくはないものの,ε一CD以上のLR−CD類 では可能な構造であることが示唆された.Saenger等 は,CD様の円錐台形の側面がこの部位で反転すること から,これをBand nipと名付けている42、.このBand HipはCDの分子内水素結合に影響していた. CDは通 常,隣接したGUの2位と3位の水酸基間に水素結合を 形成していることが知られている.この水素結合は,マ ルトヘキサオースーヨウ素複合体の結晶においても観察 されるようにCD環の安定化に寄与しており4ハ,また重 水素交換反応の速度が遅いことなどから,比較的強固に 結合していることが知られている43・44).しかし,ε一CDと

−CDでは,2位と3位の水酸基間の水素結合という他の CDと類似した水素結合の部分も存在しているが, Band nip部位では3位と6位の水酸基間で水素結合が形成さ れていた.この新規な水素結合もCD環の安定化に寄与 していると考えられる.さらにBand nip部位に続く GU間の水素結合はよじれのため,ε一CDでは切れている が(Fig.8), ・CDでは弱いながらも水素結合が回復して

 ヱ

  漂A

     03

         06

       

      03   02

 へ  むう L8°A べ・・

    ・・↑

     Q?1、

     C3(}○・3

 /02

G

9

Fig.8. Intramolecular O2(n)… 03(n−1)and O6(n)…

   03(n−1}Hydrogen Bonds ofε一CD.

   Only C2, C3,02 and O3 in each glucopyra−

   nose unit except for G3 and G3*are drawn.

   In G3 and G3*, C4, C5, C6 and O6 also are

   drawn.

   Dashed lines indicate hydrogen bonds,

11一

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      ユ     ヨ

    梨

 Cl  O

磯㍗

  \、二、

  03㌔

    マ87λ   。、(鴛・…A

  C3      06

    …     ロ

㌶。,

。、 磁

     、、、、、、

      o;

06ψ

2.63A

      づ

       ヨ

      ぼ。 鱗

         ①彗∵蹴議l

      O2   03   02

Fig.9. Intramolecular O2(n)…03(n−1)and O6(n)…

     03(n−1)Hydrogen Bonds of −CD、

     Only C2, C3,02 and O3 in each glucopyra−

     nose unit except for G7 and G7*are drawn.

     In G7 and G7*, C1,05, C6,06 and O6 also      are drawn.

     Dashed lines indicate hydrogen bonds.

いることが確認された(Fig.9).これはGUの増加によ り,ε一CDに比べ, z CDではよじれが緩和されているこ とを示唆している.CD環にっいては, Fig.10に示した ように,α一〜γ一CDはほぼ円形のCD環を持っており,す べての04原子はほとんど同一平面上に存在するが,

α一CD

β一CD

Y−CD

δ一CD

Fig.10.

・,

αΩ 66

θ

OG

φ8㍉閲

610

680

α

040

0

O O

9︶Gぐ

OO

O

α o3O

G3

G2 G4

、鞄イ  診ノ↑\

G2 G1

Gl G6

G3 G5

     ㌢・、ぷン     δ\こ二⊃、コト

G5 〔!メ\

G3

G7 G9

     ,性   )G7

−_一一

一」、/ノG6 Geometries of O4 Arrangement ofα一,β一,γ一 andδ一CDs.

ε一CD

G3.

Gド

{{叙 〈◇

/⑪

Fig.11.

O

G2° GI

G5.

∫{η㍉・:こごこ」:ノF

  {、.〜ト/二 1㌧\:こ㍉、、

愈ノ

 !汀

      G5

Geometries of O4 Arrangement ofε一and −CDs.

G

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δ一CDは楕円形のCD環を持ち,04原子が形成する面は アーク様に曲がっていることが知られていた14・21−31}.一 方Fig.11に示したように,ε一CDとε一CDではCD環は より楕円形となり,04原子が形成する面はサドル様に 折りたたまれ,分子中の二っの平面が形成する面の角度

は,ε一CDでは121.6°, −CDでは75.2°と, z−CDの方が より強く折り曲げられていることが確認された.この分 子構造の変化は,GUの増加によって引き起こされてい

ると考えられた.α一〜γ一CDに関しては, rCDのGU間 のコンフォメーションがマルトース類と似ていることか ら,GUの増加が,環化によって引き起こされたひずみ を順次解消し,γCDにおいて最もひずみを減少させて いると考えられる,しかしδ一CD以上のLR−CD類では,

さらなるGUの増加による,04結合周辺の立体障害を 回避し,かっ先に述べたグルコシド結合のひずみや隣接 したGU間の04(n)…04(n−1)原子間距離を保っため,

より対称性の低いCD環構造をとるようになったと考え られる.以上の構造変化が,13C−NMRスペクトルにお けるC1及びC4の化学シフト値の高磁場シフトを引き 起こしたものと考えられた.

3−4 ε一及び −CDの結晶構造

 α・〜γCDが1一プロパノールまでの低級アルコールや アセトニトリルのような小分子と結晶性の包接複合体を 形成することは単結晶X線構造解析の結果から証明さ

れている.今回,ε一CDはアセトニトリル水溶液から,

−CDは1一プロパノール水溶液から単結晶を作製した が,得られた結晶構造中に水分子は存在するものの,こ れらの有機溶媒は確認されなかった.また,水から再結 晶したε一及び −CDの結晶構造は我々が決定した結晶構 造と同じであった42).これらの結果から,ε一及び ・CDは 小分子とは包接複合体を形成し難いことが示唆された.

これはキャピラリー電気泳動法により決定された,水中 でのサリチル酸やイブプロフェンアニオンに対する ε一CDの低い包接複合体形成能と矛盾しなかった45).

 CD及びそれらの包接複合体の結晶構造はFig.12に 示したようなChannelタイプとCageタイプに分類さ れるが,すでに結晶構造が明らかにされているα一〜

δ一CDの水和物の結晶構造は,すべてCageタイプであ ることが知られている17).しかしε一CDと −CDは,水和 物の結晶としては初めて,結晶構造中に2回回転軸に 沿って分子が積み重なった,Head−to−tail型のChannel タイプの結晶構造を有していた.また形成されたChan−

nelは一般に直線的ではなく, Channel軸に対して傾い ている例が多いが,ε・CDと ・CDの場合,直線的であり,

かっ隣接したCD環の一部がChannel内に挿入されて いるものの,連続した空洞を形成していた.このChan−

nelタイプの結晶構造はα一CDでは,比較的長い分子あ るいはイオン性の分子と包接複合体を形成した際に見ら

(a)

(b)

(c)

1°0

Fig.12. Schematic Representation of Packing     Structures.

    (a) Head−to−head channel type     (b) Head−to−tail channel type     (c) Cage type

れる構造である34).このことから固体状態において,

ε一CDと −CDは従来のCDでは包接できない大きなゲス ト分子とならば,包接複合体を形成する可能性が示唆さ

れた.

3−5 11〜13及び15GU以上の大環状CI)類の構造  11〜13及び15GU以上のLR−CDの構造は,ε一CD

−CDと類似した構造を持っ可能性が考えられる.こ れは CDでは, Band nip部位に隣接したGU間に短い

02…03水素結合を形成すること,またGUの追加は

このBand Hip部位に生じ, Band nip部位に連なったよ じれを緩和させる可能性があるためである.さらに24 GUからなるLR−CDの分子動力学計算から, CD環のら せん状の折りたたみが示されたこと46),また13C・NMR スペクトルにおけるC1及びC4の化学シフト値の変化 が10〜31GUまでほぼ変化が見られないことも理由で ある47}.しかし,Saenger等により26 GUからなる LR−CD(CA26)の結晶構造が決定され,その分子構造の 全体像は,数字の8のような構造をとっており,6GU

13一

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を反復単位とする2本の左巻き一重らせんから構成さ れていることが確認された34).一方,21GUからなる π一CDに関しては,その水溶液の小角X線散乱データを 用いて分子構造をモデル化した結果,ε一CD, −CD及び CA26とも異なる構造であることが予想された48).ま た,ε・及び −CD以外のLR−CDにっいても結晶化を試み たが,結晶は得られず,結晶性が異なることから,これ

らの結晶構造はε一CDや ・CDとは異なることが予想さ れた.以上のように,ε一及び −CD以外のLR−CDの構造 については未だ不明な部分が多く,他のLR−CDの構造 解析が望まれる.

4.今後の課題

 包接複合体形成能に関しては,比較的多量の試料が得 られるδ一CDを用いた検討の結果,スピロノラクトン,

ジゴキシン,フラーレン(C60及びC70)及びシクロウン デカノンなどの大環状ケトン類と包接複合体を形成する ことが明らかとなっている49−52).また,θ一CDまでのCD 類とイブプロフェンアニオンなどの包接複合体形成能を キャピラリー電気泳動法を用いて検討した結果は,ε・CD は包接複合体形成能がかなり低いが,他のLR−CD類は 強さに差はあるものの包接複合体を形成していることが 示唆された45).これらのことからLR−CD類も,α一〜

γCDと同様に,大きさと形が適合するゲスト分子全体 またはその一部を立体選択的に空洞内に取り込む可能性 が示唆されており,最適なゲスト分子の探索を続行して

いる.

 またLR−CD類の生成に関しても,最近になりいくつ かの重要な知見が明らかにされている.鷹羽等は,

CGTaseは反応の初期段階において,比較的多量の LR−CD類を生成していること,またジャガイモの塊茎

に存在するPotato D−enzyme及びこれを大腸菌に発現 させて得られた酵素は17GU以上のLR−CD類を多量

に生成することを報告している20・53).さらにある種の細 菌が発現するα一Amylaseや分岐酵素も反応中間体とし てあるいは最終生成物として環状アミロース類をっくる ことが明らかにされている54 55).現段階において LR・CD類研究の最大の障害である収量の問題も,将来 的には解決される可能性が見え始めてきており,今後の 進展が望まれる.

5.おわりに

 これらLR・CD類の存在は, CGTaseの反応機構の再 考を促した.また分子構造,水溶性などの物理化学的性 質及び数種の薬物との包接複合体形成に関しての結果

は,従来の予想とは明らかに異なることが確認された.

しかし,LR−CD類の性質は完全に解明されたわけでは なく,特に包接複合体形成能力にっいては,未だその特 性は明らかにされていない.将来,調製方法が改善され 収量が向上し,研究の制限が取り払われたとき,さらに 有用な知見が得られるものと期待する.

 本研究に対し,平成12年度星薬科大学大谷記念研究 助成金(研究奨励金)を拝領いたしましたことに厚く御 礼申し上げます.また,本研究の遂行にあたり終始御指 導いただきました上田晴久薬品物理化学教室教授に深謝 いたします,また,本研究に御指導,御協力をいただき ました諸先生方に御礼申し上げます.最後に,本研究に 協力いただいた星薬科大学薬品物理化学教室の大学院生 ならびに卒論生の皆さまに深く感謝いたします.

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15一

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