(27)
原著 :秋 田大学医学部保健学科紀要1
2(1 ):
27‑36,2004基礎看護技術 「 葛法」 に関す る学生の レデ ィネス ー奄法 に関連 した知識 および経験 の状況 を中心 に‑
工 藤 由紀子 佐 々木 真紀子 長谷部 真木子 石 井 範 子
要 ヒ I : ∃ ユ
基礎看護技術 「 葛法」 に関す る用語 の知識, および経験状況を把握す るために学生 の レデ ィネスを確認す る調査を 行 った.本研究 の対象 は,本短期大学部
2年生7
9名である.質問項 目には等法 の講義 を理解す るのに必要 な用語,計
47語 を設定 した.
調査用紙 は
63名か ら回収 された ( 回収率7
9.7%).その内容を集計 した結果,「意味 まで知 っている」 の人数 の割 合 が高か った用語 は,『 湯 たんぽ 』 『 脹嵩動脈』などの物品名や解剖生理学的な用語 であ った.「 意 味 は知 らないが言葉 は聞いた ことがある」 の人数 の割合が高か った項 目は,『 知覚麻 捧 』 『 熱伝導率』 などであ った.「知 らない, 聞 いた ことがない」 の人数 の割合が高か った項 目は , 『 奄法 』 『 貼用』 などのいわゆる看護 の専門用語 に関するものであった.
また,学生 の経験率が高か った項 目は 『 発熱 』 『 冷湿布』であ り,低か った項 目は 『 血栓 』 『巴布
(poultice)』であっ た.
学生 の レデ ィネスを把握す ることで,学生 の 「 電法」 に関す る用語 の認識度や経験 の有無 を教員が把握 で き,学生 の間違 った知識 を訂正す るために授業案 を修正す ることがで きると考え られた. また今後 は,理解 の不足 している項 目の指導 について,篭法 と他の講義 とどのように連動 させてい くかが課題であることが示唆 された.
は じめに
近年,医療 の高度化,患者 の高齢化 ・重症化,平均 在院 日数 の短縮等 によ り,看護業務が多様化 ・複雑化 す る一方,学生が行 う看護技術実習の範囲や機会が限 定 されて きていると言 われている1 ) . そのため, 授業 内容 や授業方法 を精選 し,学生 の学習効果が期待 され るような授業計画をすすめる必要がある.そのなかで,
「 葛法」 は看護 師の観察 と判断 によ って施行 され る こ とも多 く,かっ,対象者 の安楽 を目的 として頻繁 に用 い られる看護技術であるといえる. したが って我われ は,学生 が安全 ・安楽 に等法 を実施す るために温熱 ・ 寒冷刺激が心身へ及 ぼす影響 を理解 し,奄法施行時の 観察 や評価 を的確 に行 うことがで きるように教育す る
必要があると考える. また,葛法 は日常生活 において も多 く見 られる手技であ り,近年 では簡単 に使用で き る葛法製品が多 く市販 され るようにな った.医療の場 面 において も, ゴム製の氷枕 に変 わ り市販 のアイスノ
ンが用 い られ ることがあ り, また事故防止の観点か ら, 温奄法の際に湯 たんぽを用 いず電気毛布 の使用を勧 め ている施設 もあるといわれている. また, 「最近 の学 生 は家事体験 が少 な く生活行動能力 の低下 が み られ る
」2)とも指摘 されているように, 医療 に関 わ らず家 庭や学生 を取 り巻 く環境 も多様化 しているといえる.
そのため,「 葛法」 に関す る学生 の レデ ィネスは, こ れまで我われが考えて きた もの と若干異 な る背景があ るもの と推察 され る. それゆえ,現在 の学生 の レデ ィ ネスに対応で きるよ うな授業方法 の検討が求 め られ る
秋 田大学医学部保健学科看護学専攻
KeyWords:看護教育 罵法 学生
レデ ィネス
(28)
工藤由紀子/基礎看護技術 「 篭法」に関す る学生の レデ ィネス
と考 え る.
レデ ィネス とは,成 熟準備性
3)また は準 備 性
4)の こ とで あ る と言 われて い る.教員 が学生 の レデ ィネスを 考 慮 した授業 を展 開す ることで,学生 の既存知識 の う え に さ らに新 たな知識 を積 み上 げ るよ うな学習効果 を 及 ぼす ことがで きる と考 え られ る.看護学教育 におい て看護学生 の レデ ィネスに着 目 して い る先行研究 には さまざ まあ るが, この中で,特 に学 内で行 われ る講義 や演 習 に着 目 してみ る と,高橋 ら
5)は,経 口与 薬 に関 す る学生 の レデ ィネスを調査 した結果,学生 の知識度 は高 いが その知識 が行動 と して表 れて いなか った と報 告 して い る. また児玉 ら
6)は,在宅酸素療 法 の授 業 前 に レデ ィネスを把握 す るテ ス トを実施 した ことで,学 生 に興 味関心 を持 たせ る ことがで きる結 果 とな った と 報 告 して い る. 西 田 ら
2)は, ベ ッ ドメイキ ングの成 績
と家事 の実施頻 度 の関係 を検討 した. その結果,家事 の実施頻 度 が高 い学生 はベ ッ ドメイキ ングにかか る時 間 がやや短 くな る傾 向が あ った と報 告 して い る.前川 ら7 )は独 自の教授 一学習過程 を設計 ・実施 し, レデ ィ ネスに適応 した学 習方 略 は学生 の学習 プ ロセ スや個人 差 を保証 す る ことを明 らか に した.以上 の ことか ら, 教 員 は学生 の レデ ィネスを把握 す る ことで, よ り効果 的 な授業方 略 を見 出 して い くことがで きる と考 え られ る. しか し,単元 ごとに細 やか に学生 の レデ ィネスを 把握 して授業 を検討 した研 究報告 は少 ない.そのため, 各単元 にお いて学生 の レデ ィネスを把握 す るとと もに 授 業方法 を検討 す る必要 が あ り, さ らな る授業研究 の 積 み重 ねが必要 で あ る と考 え られ る.
そ こで今 回, 「葛法」 に関す る学 生 の レデ ィネ ス と して, 「奄 法」 で必要 とされ る用語 に関 す る知 識 や経 験 の有無 を調査 し, その上 で葛法 の授業 を検討 した.
表 1 毒法で必要 とされる用語として抽出 した項 目
28
研 究 目的
「葛法」 で必要 とす る用語 の学生 の知識 お よび経験 状況 の実態 を明 らか に し,授業方 法 を検討 す る.
対象 と方法
1. 対象
本研究 の対象 は,平成
14年 度 に入学 した秋 田大学 医 療技術短期大学部看護学科 ( 以下 ,本学 とす る)学生
79
名 で あ る.
2.
方法
1 )本学 の基礎看護技術 にお け る 「葛 法 」 の位 置 づ け と授業実施 時期
等法 は,基礎看護技術 の中で診療 に関す る看護技術 の中 に分類 されてお り,本学 で は診療 に関連 す る技術 の中の 「バ イ タルサ イ ンズの測定 :体温」 に関連 した 項 目と して位 置づ け られて い る.授業 の実施 時期 は平 成
14年
10月末 か ら
11月上旬 で あ り,講義 と学 内実 習 を
4
時間ずつ設定 した
8). なお, 「葛法」 の単 元 にお け る 教育 目的お よび教育 目標 は以下 の通 りで あ る.
( 1)教育 目的
安全 ・安楽 に葛法 を実施 で きる.
(2)
教育 目標
①葛法 が人 の心身両面 に どの よ うな影響 を与 え る のかを理解 で きる.
②葛法 の 目的 ・効果 ・種類 ・援助方法 ・貼用時 の 留意点 が理解 で きる.
③安全 ・安楽 に湯 たんぽ ・氷枕 ・氷嚢 ・氷頚 を実 施 で きる.
基礎看護技術以外 の科 目で は,解剖学,生理学,坐
NO
項 目
ー2知覚神経
⑳リンパ液
⑳鎮痛
1
電法 ⑱ 腸管 の頼動運動
⑳知覚麻痩
㊨うっ滞
② 湯 たんぽ
14交感神経 ⑳ 意識 障害
⑳血栓
③ 氷枕
15副交感神経
27痛覚
⑳悪寒戦便
㊨ 氷嚢 ⑯ 療病
28温覚 ㊨ 発熱
㊨ 氷頭 1 7 蛋 白変性 ⑳ 冷覚
4ー熱伝導率
㊨ アイス ノン
⑱炎症 ⑳ 立毛
42空気 の膨張
⑦ 電気毛布
‑⑱出血
31勝者動脈 ㊨ 空気 の綜 小
8
貼用
㊨熱傷
32大腿動脈
㊨ホ ッ トパ ック
9
新陳代謝
⑳凍傷 ㊨ 頚動脈 ㊨ 巴布 ( バ ップ)
10
血管運動神経
⑳脱水
㊨化膿
㊨温湿布
○ は,体験 の有無 をたずね た項 目
秋田大学医学部保健学科紀要 第
12巻 第
1号
工藤 由紀子/基礎看護技術 「電法」 に関す る学生 の レデ ィネス
表
2「 葛法」における用語の学生の認識度 ( %)
(∩‑63)
香 F コ
1 ヲ 項 目 意 知 味 っ てい る まで 意味は知 らない が言葉 は聞いた ことがある 知 らな い た こ い い
と,聞 がな
1 葛法 6 . 8 33. 9
2 湯 たん ぽ 1. 7
0 .0
3 氷枕 7 8. 0 6. 8 1 5 . 3
4 氷嚢 57. 6 20. 3 2 2 . 0 5 氷頚 1 3. 6 1 6
.9
6 ア イ ス ノ ン 89. 8 1 0
.20
.0
7 電気毛布
3.4 1
.7
8 貼用 1 0. 2
13.69 新 陳代謝 72. 9
27.10
.0
1 0 血管運動神経 8. 5 49.
2ll 浸 出液 2 3. 7
37.339. 0
12
知覚神経 83. 1
16.9 0.01 3 腸管の煽動運動 79. 7
16.93 . 4
1 4 交感神経 89. 8
10.20. 0 1 5 副交感神経 89. 8
10.2 0.01 6 捧 痛 47. 5 6. 8
1 7 蛋白変性 47. 5
28.82 3. 7 1 8 炎症 69. 5
30.5 0.01 9 出血
1.7 0.020 熱 傷 7 4. 6 1 6. 9 8. 5
21 凍傷 88. 1 ll. 9 0. 0
22 脱水 88. 1
10. 2 1. 7
23 血 液
1.70. 0
2 4 リンパ液
88.1 ll.9 0.025 知覚麻捧
49.21 0. 2
2 6 意識障害
76.3 22.01. 7 27 痛覚
81.4 15.33 . 4
28 温覚
83.1 15.31. 7 2 9 冷覚
83.1 16.9 0.030 立毛
89.8 10.2 0.031 膳 高動 脈
3.4 0.032 大腿 動 脈
3.40. 0
33 頚動 脈
5.1 0.034 化 膿
88.1 ー0.21. 7
35 解熱
5.1 0.036 鎮痛
66.1 32.2一. 7
37 うっ滞
13.635. 6
38 血 栓
37.3日. 9
39 悪寒戦懐
27.1 35.637. 3
40 発熱
1. 7
0.041 熱伝導率 20.
332. 2
42 空気の膨張 37 . 3 1 6. 9
43 空気 の縮小 39. 0 39. 0
22. 0
44 ホ ッ トパ ッ ク 5. 1 1 6. 9
45 巴布 ( パ ップ) 6. 8 1
5.346 温湿布 84. 7 1 5
.3
0.047 冷湿布 88. 1 l l. 9
0.0人数 ( %)
「 意味 まで知 っている 」 「意味 は知 らないが言 葉 は聞 いた こと が ある 」 「知 らない,聞 いた ことが ない」 にお いて学 生 の人数 が 多か った項 目
(29)
化学,栄養学,薬理学,病理学,微生物学,遺伝学, 疫学 ・保健統計学,看護活動論,看護学概論,臨床看 護総論 などの専門教育科 目を履修中である
8).2)
調査の内容 と実施
基礎看護技術のテキス トとして市販 されている日本 の成書
91 2 )の記載部分か ら,奄法 の講義 を理解 す るた めに必要な解剖,生理学的な項 目,および奄法の使用 物品に関する用語などについて抽出 し,研究者間で検 討 して
47語を設定 した ( 表 1 ) . 各項 目について, 「意 味 まで知 っている
」「 意味は知 らないが言葉 は聞 いた ことがある
」「 知 らない,聞いた ことがない」 の
3段 階で設問を設 けた ( 資料) . さらに, 体験す ることが で きる項 目に関 して は,体験 した ことがあ る ものを
「O
」,体験 したことがないものを
「×」とす る欄を設 けた.調査用紙を奄法の授業開始一週間前 に配布 し, 回収箱を設置 して
4日間の期限を設 けて留め置 き法 に て回収 した.
3)
分析方法
設定 した
47語の回答 について設問 ごとの人数 と割合 を算出 した. また,体験で きる項 目に関 しては,体験 の有無 について人数 と割合を算出 した.
3.
倫理的配慮
学生 には,調査内容を研究 に用いること,提出の有 無が成績 に影響 しないこと,データは匿名で扱 うこと を確約 した.回収 には
4日間の期限を設 け,本調査 に 同意 した学生 のみが調査用紙を提出で きる留 め置 き法 を用い,倫理的配慮 に努 めた.
結 果
調査用紙 は
79名 に配布 し,
63名か ら回収 され回収率 は
79.7%であった. その うち,有効回答者 は
59名で あ り,有効回答率 は
93.7%であった.
1. 等法 に関す る用語の認識度 ( 図
1‑a,図
1‑b)設定 した
47語の うち,「 意味まで知 って いる
」と回 答 した人数が多か った項 目は,葛法の物品に関す る用 語では
『2.湯たんぽ』が
58人
(98.3%),
『7.電気毛布』
が
56人
(94.9%)の
2つであった. また,解剖生理学 的な項 目では,
『19.出血』が
58人
(98.3%),
『23血 液』
が
58人
(98.3%),
『31. 膜高動脈』 が
57人
(96.6%),
『32.
大腿動脈』が
57人
(96.6%),
『33.頚動脈』が
56人
(94.9%)
,
『35.解熱』が
56人
(94.9%),
『40.発熱』 が
58
人
(98.3%)の
7つであった.
「 意味は知 らないが言葉 は聞いたことがある」 と回 答 した人数が多か った項 目は,
『37.うっ滞』 が
30人
(50.8%)
,
『38血 栓』が
30人
(50.8%),
『41. 熱伝導率』
(30)
1. 電 法
2.
湯たんぽ
3.氷枕
4.氷嚢
5.氷頚
6.アイスノン7.
電気毛布
8.貼用
9.新陳代謝
10血 管運動神経 11 . 浸 出液
12.知覚神経
13. 腸管 の煉動運 動
14.交感神経
15.副交感神経
16.痔 痛
17.蛋 白変性
18.炎症
19.出血20.
熱傷
21 . 凍傷
22.
脱 水
23.血液
24.リンパ 液
30
工藤 由紀子/基礎看護技術 「 電法」 に関す る学生の レデ ィネス
図
1‑a「 毒法」で必要 とされる用語の学生の認識度
0% 20% 40%
堆意味まで知っている
■意味は知らないが言葉は聞いたことがある 口知らない・ 聞いたことがない
数字 : 人数 ( n=
59) 60% 80% 1Oo究l l
岩淋 毒 ㌻ ≡ て ■ モ 二 軍
20 35渋滞 落 雷摂
誉 黒 守 宮 空 手串 =;:=玉圭 一 =̲̲≡. ̲?‑ 9'ilJJlJJr EI . '芯 '̲‑lld‑ ■llll‑ 13
●
芯 . ; ‑ F . . 1 ; ‑ : I ; ≡ ≡ 善 一 二 ; ? L .L ≡ l ‑
41苛、f:㌻∴てこ繋
; : = ≦ = i 只
事皿
■ l l l l ●
45‑ J L ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ‑ i 慕
162
5 ●:璽 ≡
≡ 璽≡ 璽璽璽 璽 璽 璽 国 璽 ≡ ≡ 塁 璽 璽 璽 二
三 二一 一秋田大学医学部保健学科紀要 第
12巻 第 1号
工藤由紀子/基礎看護技術 「 篭法」に関す る学生の レデ ィネス
図 1‑ b 「 毒法」で必要 とされる用語の学生の認識度
坂意味まで知っている
1意味は知らないが言葉は聞いたことがある 口知らない ・ 聞いたことがない
数字 : 人数 ( n=
59) 20% 40% 60% 80% 100%(3
1 )
25.
知覚麻痔
26.意識 障害
27.
痛覚
28. 温覚
29.冷覚
30.立毛
31. 液 冨動脈
32.大腿 動脈
33.頚 動脈
34.化膿
35.
解熱
36.鎮痛
37.うっ滞
38
血 栓
39.悪寒戦倖
40.発熱
41. 熱 伝 導 率
42.空気の膨張
43.空気 の縮小
44.ホットパック
45.巴布 ( パップ)
46
温 湿布
47.冷湿布
‑r斬‑ir‑ 2 4 ●
}■』■■p‑ 13 J
鱗照
針㌍雄 溶 室 ‑ ● ●
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●
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3(] 21■
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2 1
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圭 言 圭 58 言 基 音 苓
I . . . . L挺一 ■ ■ ■ ■ ‑ 2 8
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46L E ‑ I ̲+ ‑ ‑ ●
・ 鳶 2圭 ‡窯 黒 2圭 ‡窯 黒
字 ≡字 ≡::. .
てて≡≡≡≡≡≡3 1
(32)
2.湯たんぽ 3.
氷枕
4.氷嚢 5.氷頚
6.アイスノン
7.
電気毛布 1 3
.腸管の嬬動運動 16.痔痛
18.炎症
19.
出血
20.熱傷
2
1 . 凍傷
22.
脱水
25.知覚麻痔
26
. 意識障害
30.立毛
34.化膿
37.うっ滞 38.血栓 39.悪寒戦懐 40.発熱 44.ホットパック
45.巴布く パップ)
46.温湿布 47.冷湿布
32
工藤由紀子/基礎看護技術 「 葛法」 に関す る学生の レデ ィネス
図
2学生の経験の有無
蘇経験あL J
+経験なし 0 % 2 0 % 4 0 % 6 0 %
数字 :人数
( n =
59)8 0 % 1 0 0 %
秋田大学医学部保健学科紀要 第
12巻 第 1号
工藤由紀子/基礎看護技術 「 葛法」に関す る学生 の レディネス
が
28人
(47.5%),
『16.捧痛』 が
27人
(45.8%),
『42.空気 の膨張』 が
27人
(45.8%),
『10.血管運動神経』
が
25人
(42. 4%),
『25.知覚麻捧』が
24人
(40.7%)の
7つであ った.
「 知 らない,聞 いた ことがない」 と回答 した人数が 多か ったのは,
『44.ホ ッ トパ ック』 が
46人
(78.0%),
『45.
巴布』 が
46人
(78.0%),
『8.貼用』 が
45人
(76.3%),
『5.氷頚』 が
41人
(69.5%), 『1. 奄 法』 が
35人
(59.3%)
の
5つであ った.
2.
等法 に関す る経験 の状況
設定 した
47語 の うち,学生 の これまでの生活 におけ る経験 の有無 を
25語 について尋ねた ( 図
2).経験 した学生 の人数 が多か った項 目は,
『19.出血』
が
57人
(96.6%),
『40.発熱』 が
54人
(91.5%),
『47.冷湿布』が
53人
(89.8%),
『30.立毛』が
48人
(81.4%)の
4つであ った.
経験 した学生 の人数が少 なか った項 目は,
『5.氷頚』
が
1人
(1.7%),
『37.うっ滞』 が
3人
(5. 1%),
『38.血栓』 が
3人
(5. 1%),
『44.ホ ッ トパ ック』 が
4人
(6.8%)
,
『45.巴布』が
4人
(6.8%)の
5つであ った.
また,授業等で は末修得であるが経験 している人数 が多か った項 目としては,
『47.冷湿布』 が
53人
(89.8%),
『6.アイスノ ン』が
46人
(78.0%),
『3.氷枕』が
41人
(69.5%),
『7.電気毛布』 が
36人
(61.0%),
『2.堤 た ん ぽ』 が
35人
(59.3%),
『46.温 湿 布 』 が
34人
(57.6%J)
の
6つであ った.
考 察
今回,学生 の基礎看護技術 「 奄法」 に関す る用語 の 知識,および経験状況 を把握 して授業方法を検討す る ため, レデ ィネスを確認す る調査を行 った.
その結果,使用物品 に関す る項 目では 『 湯たんぽ』
『 電気毛布』 などの認識度が高 く, 解剖生理 に関す る 項 目で は,『出血
』『 版嵩動脈
』『発熱』 な どの認識度 が高か った. また,経験 した学生 の割合が高か った項 目は 『出血
』Jr『発熱
』などであ り, 授業等 で は未習得 だが半数以上 の学生 が経験 して い る項 目と して は,
『湯 たんぽ
』『アイスノ ン
』『 電気毛布』 な どが あげ ら れた. これ らは,学生 が 自分 自身 の 日常生活の中で, または奄法以前 の授業 の中において知 ることがで きる 項 目である.高橋
5)が,経口与薬に関する学生の レディ ネス調査 の中で,「 認知領域 にお ける学生 の知識 レベ ルは高 い」 と報告 しているの と同様,本学 の学生 にお いて も,葛法の授業 に必要 とされ る用語 として設定 し た大部分 が,授業や 日常生活 の中で見聞 き した り経験
した ことがあ るものであることが明 らか となった. ま
(33)
た,調査の結果を通 して,学生が何を知 っていて何 を 知 らないのかをよ り明確 にす ることがで き, また限 ら れた時間の中で授業 内容 の精選 を してい く基準 として 授業案 に反映す ることがで きると考え られ る.
一方,「 知 らない,聞いた ことが ない」 の人数 の割 合が高か った項 目は,『 奄法
』『氷頚
』『 貼用
』『ホ ッ ト パ ック
』『巴布』 の
5つであ った. これ らの用語 は, 葛法の授業の中で初 めて出現す る, いわば看護 の専門 用語である.学生 は,今回の授業で初 めて用語 その も のを知 った者 もいれば,読み方 さえ分か らなか った学 生 も多か った と考え られ る. これ ら認知度の低 い用語 に関 して,教員 は学生が一度習得 した知識 を忘れ去 る ことがないように教育す る必要 がある.柊 中 ら1 3 )は学 生が 日常使用 しているもの と学習経験 の有無 との関連 を検討 したなかで,「日常生活の中で使 う利点が多 く, 目的意識を持 ちやすい内容 の ものは,学生 が利用 しや すい」 と考察 している. また, 「学 習すべ き項 目の数 は多 くて も, それ らが相互 に密接 に関連 し合 っていれ ばそれ ほど困難な く学習で きる し, また後 の想起 も容 易 になる
」14)とも言 われている. この ことか ら,認知 度 の低 い用語 を教授す る際には,学生 の 日常生活 にお いて実施 している葛法 と関連付 けて指導す ることで, よ り効果的な学習 となるよ うに していかなければな ら ないと考える.
また,「 意味 は知 らないが言葉 は聞 いた ことがある」
の人数の割合 が高 か った項 目には 『血管運動 神経』
『 捧痛
』『 知覚麻捧』 などの生理機能 に関す る用語 が多 く含 まれていた. これ らの用語 は,奄法が身体 に及 ぼ す生理的な影響や効果 をアセスメ ン トす るために重要 な項 目である.本単元 における教育 目的 は,安全 ・安 楽 に等法を実施す ることがで きることである. 目的を 達成す るためには, これ らの項 目に関す る学生 の理解 を深 める必要があ り, その意味を知 らないままには し ておけない問題であると考え られ る. そのため, これ
らの項 目をいっ どこで学ぶか,葛法の授業 内容 と関連 す る専門科 目をどのよ うに連動漆 せてい くかが今後 の 課題であると考え られる.
また今回,学生が本来 の意味を取 り違 えて理解 して いると察せ られる用語があ った.例えば,冷湿布 とは 本来,布を冷水 に浸 し絞 った ものを貼用す ることを指 しているが,学生 の考えている冷湿布 とは,病院等で 処方 される消炎 ・鎮痛 巴布剤や, 「サ ロ ンパ ス⑧
」「の びのびサ ロンシップ⑧」 などとい うよ うな テ レビ等 で よ く見かけ,かつ家庭で も使用す る機会 の多 い製品を 指 しているのである. したが って,学生 の 『 温湿布』
『 冷湿布』 の認識度が
84.7%,
88.1%と高 か ったの は,
実際 は誤っ て認識 されている結果であることが推察 さ
(34)
工藤由紀子/基礎看護技術 「 葛法」 に関す る学生の レディネス
れ た. この ことか ら,奄法 の用語 に関す る学生 の誤 っ た認識 を授業の中で確認 し, さらに訂正 を加えるといっ た よ うな授業案 の修正 が必要 であ ると考 え られ る.
児玉
6)は,「学生 の レデ ィネ スを と らえ, それ を授 業 展開 に生 かす ことの意義 は,学生 の知識 ・ニー ドを 知 る ことによ り学生 の興味 ・関心 をひ きっ け, さ らに は,個人 の主体 的学習 へ と発展 させてい くことで あ る と考 え る」 と述 べて い る.今回の調査 によ って,我 わ れ は等法 に関す る学生 の認識 にあわせて授業 内容 を洗 練 させ,授業案 の修正 をす ることがで きた. しか し, レデ ィネスの調査 が学生 の興 味 ・関心、 や学習意欲 に役 立 ったのか ど うか とい う点 につ いて は, この調査 だ け で は評価 で きない. したが って,授業終了後 に授業評 価 を行 い, レデ ィネス調査 の実施 が学生 にどのよ うな 影響 を与 え たのかを明 らか に してい く必要 があ ると考
え る.
結 論
学生 の基礎看護技術 「 葛法」 に関す る用語 の知識, お よび経験状況 を把握 す るために レデ ィネスを確認す る調査 を行 った結果,以下 の結論 を得 た.
1.
「意味 まで知 ってい る」 の人数 が多 か った項 目は,
『湯 たんぽ
』『 電気毛布』 の葛法 の物品に関す る
2つ と,
『出血
』『血液
』『版嵩動脈
』『 大腿動脈
』『頚動脈
』『解 熱
』『 発熱』 の解剖生理学 的 な項 目
7つで あ った.
2.
「 意 味 は知 らないが言葉 は聞 い た こ とが あ る」 の 人数 が多 か った項 目は,『 血管運動神経
』『捧 痛
』『知 覚 麻
捧』『うっ滞
』『 血栓
』『 熱伝導率
』『空気 の膨張』
の
7つで あ った.
3.
「 知 らな い,聞 いた ことがな い」 の人 数 が多 か っ た項 目は, 『奄法
』『氷頚
』『貼 用
』『ホ ッ トパ ック』
『巴布』 の
5つで あ り, いわゆ る看護 の専門用語であっ た.
4.
「 葛法」 に関す る項 目で経 験 した学 生 の人 数 が多 か った項 目は,『出血
』『立毛
』『 発熱
』『 冷 湿布』 で あ
り,経験 した人数 が少 なか った項 目は 『氷頚
』『うっ 滞
』『 血栓
』『ホ ッ トパ ック
』『巴布』 であ った.
5.
授業等 で は末習得 で あ るが経験 して いると答 えた 人数 が多 か った項 目は,『湯 たんぽ 』 『氷枕 』 『ア イ ス
ノ ン
』『電気毛布
』『 温湿布
』『 冷湿布』 であ った.
6.
学生 の レデ ィネスを把握 した ことで,学生 の 「 奄 法」 に関す る用語 の認識度 や経験 の有無 を教員 が把握 で き,学生 の間違 った知識 を訂正す るために授業案 を 修正 す る ことがで きた と考 え られた. また今後 は,理 解 の不足 して い る項 目の指導 につ いて,葛法 と他 の講 義 とどの よ うに連動 させて い くかが課題 で あることが
34
示唆 された.
おわ Uに
今回 は,「 葛法」 で必要 とす る用語 の学 生 の知 識 お よび経験状況 の実態 を明 らか に し,授業方法 を検討 し た.今後 は,学生 が行 った授業評価 を通 して, レデ ィ ネスの調査 の実施 が学生 の授業 に対 す る関心 ・理解 な どにどの よ うな影響 を与 えたのか を明 らか に し, よ り 効果的な授業 を提供す るための示唆 を得 たい.
文 献
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5( 1 )
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関崎一,松浦宏 はか :教育心理学 の理論 と実践. 日本 文化科学社,東京
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杉森 み ど里 :看護教育学第
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7)
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1995 8)平成
14年度 秋 田大学 医療技術短期大学部 看護学科講
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薄井坦子他 :系統看護学講座基 礎 看 護 学
[2]基 礎 看 護 技術.医学書院,東京
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坪井良子他 :考 え る基礎看護技術.鹿川書店,東京,
1997,pp319‑331
ll)
氏家幸子他 :基礎看護技術( 丑( 塾第
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内藤寿喜子他 :新版看護学全書
13基礎看護学② 基礎 看護技術. メジカル フ レン ド社,東京
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柊 中智恵子,永 田まなみ :学習 レデ ィネスの調査結果 を踏 まえた効果的 な情報教育 の検討.熊本大学 医療技 術短期大学部紀要
12,27‑35,200214)
前掲書
1)pp64‑72秋田大学医学部保健学科紀要 第
12巻 第
1号
巽 EEJ 汁 鳩 圃 場 禦 蔀 雇 傭 葦 J*E 梱 湖
)2僻 事 ) 亜
資料 調査 に用 いた質問紙
以下に列挙 した ものの内,① 〜③ のあてはまるものに O を付 けて ください。
意味 まで 意味は知 らな 知 らない 体験 した事が 知っている いが,青葉は 聞いた事 あるか
(○か ×
聞いた事がある がない を記入)
例,鳥
◎ここか ら始めて ください。
1)等 法 2) 湯たんぽ
3)氷枕 ( ひ ょうちん)
4)氷嚢 (ひ ょうのう)
5)氷頚 (ひ ょうけい) 6) アイス ノン
7) 電気毛布
8) 貼用 ( ちょうよう)
9)新 陳代謝1 0)血管運動神経 ll)浸 出液 1 2)知覚神経
13)腸管 の輔動運動 14)交感神経
15)副交感神経 1 6)痔痛 17)蛋 白変性
18)炎症 1 9) 出血
① ① ① ① ① ① ① ① ① ① ① ① ① ① ① ① ① ① ① ② ② ② ② ② ② ② ② ② ② ② ② ② ② ② ② ② ② ② ③ ③ ③ ③ ③ ③ ③ ③ ③ ③ ③ ③ ③ ③ ③ ③ ③ ③ ③ )
ー) ー )
)( ( ー ( t t Ml Hu l...1 日︼ ■HJHH‑ rHJ U
( 裏面 にもあ ります)
意味まで 意味は 知 らな 知 らない 体験 した事が 知 っている いが, 言 葉は 聞 い た事
聞いた事 が ある が ない
20)熱傷
21)凍傷
22)脱水 23)血 液
24)リンパ液 25)知覚麻痩 26)意識 障音
27)痛覚 28)温覚 29)冷 覚 30)立毛
31)廠 溝動脈 32)大腿 動脈 33)頚動 脈 34) 化膿.
35)解 熱 36)鏡静 37) うっ滞 38)血栓 39)悪寒戦便 40)発熱 41)熱伝 導率
42)空気 の膨張 43)空気 の締 小
44)ホットパック 45)巴布 (パップ)
46)温湿 布
47)
冷 湿 布
① ① ① ① ① ① ① ① ① ① ① ① ① ① ① ① ① ① ① ① ① ① ① ① ① ① ① ①
‑ご協力あ りが とうございま した ‑
あるか
(Oか × を記入)
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C71)
(36)
工藤由紀子/基礎看護技術 「電法」 に関す る学生 の レデ ィネス
AStudyofNursingStudents'ReadinessregardingtheCompress
‑ Students'KnowledgeandExperiencerelatingtoCompress‑
YukikoKUDOH MakikoSASAKI MakikoHASEBE
N
orikolsHIICourseofNursing,SchoolofHealthSciences,AkitaUniversity
Wecarriedoutastudytoinvestigatethereadinessofstudentsthroughassessingtheirknowledgeofcom‑
pressvocabularyandlevelofexperience.Thesubjectswere79studentsfromthiscollege.Theywereassessed onatotalof47wordsnecessarytounderstandlecturesonthecompress.
Questionnaireswerecollectedfrom 63students(returnrate79.7%).Theitemswhichscoredhigheston
"Meaningunderstood''werenameofcompressgoodsoranatomicalvocabularysuchasbedpanandaxilla737ar‑
tery.Itemssuchasanesthesiaandthermalconductivity,scoredhigh lyon"Meaningnotunderstoodbuthave heardtheword".Itemswhichscoredhighlyon"notheardandnotunderstood"weretheso‑Calledspecialist nursingtermssuchascompressandchou‑you(applicationofcompress).Thestudentshadahigh levelofex‑
perienceofpyrexia,coldcomprleS
S
,andalow levelofexperienceofthrombusandpoultice.Asasummary,thisinvestigationwaseffectiveinadjustmentofteachingplan.And,itissuggestedhow lecturingofcompressanditem withaninsufficientunderstandingarecooperated.
36