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      札幌社会保険総合病院 1)検査部

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Academic year: 2021

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(1)

      松崎 純子1),佐々木智子1),高橋 秀史D,北村 大輔2),

      吉川 裕幸3),和田 典男4),小野 百合5)

      札幌社会保険総合病院 1)検査部

       2)医療情報管理室        3)放射線科        4)内科        5)小野百合内科クリニック

 DPCが試行導入されている当院において、糖尿病患者におけるDPC導入前後の脳MRI検査にっ き検討した。その結果DPC導入後、診療報酬は、導入前に比し1人あたり3215点の上昇を認め、脳 MRI実施率は100%から0%となっていた。 DPC導入後も、脳梗塞発生の危険因子(IMT、 PWV、

高血圧の有無、合併症発生群、罹病期間、年齢)を考慮して脳MRIを実施することは、経済面から も十分可能と考えられ、医療の質の向上からも必要な対象者には積極的に脳MRI実施を取り入れる べきであると考えられた。

キーワード:DPC、脳MRI、糖尿病、動脈硬化

         はじめに

 国民医療費の割合は増加の一途を辿っており、医 療費の抑制が課題となっている。そのような環境の 中、病院経営に大きな変化をもたらすとされる診断 群分類別包括払い制度(Diagnosis Procedure Combinations以下DPC)は当院においても、社会 保険病院グループの一員として、2004年より試行的

に実施されていた。

 一方食生活の欧米化に伴い糖尿病患者は増加し、

今や全国で約740万人にも及んでおり、糖尿病患者 への早期治療、合併症予防が必要である。

 そこで当院における入院糖尿病患者において、糖 尿病合併症の一つである脳梗塞の発生予防観点から、

DPC導入前後の診療内容を比較し、糖尿病患者へ の脳MRI施行対象患者の選択法を検討した。

         目  的

 DPC導入環境下において、糖尿病患者への脳 MRIの実施率の変化と経済面を考慮した糖尿病患 者における脳MRI対象患者の選択法を検討した。

        対象と方法

 DPC導入前の2003年、導入後の2004年における 7月から12月に当院に血糖コントロール入院した糖 尿病患者96名(2003年;54 2004年;42人)にっき、

以下について検討した。

(1)糖尿病関連検査および、脳梗塞スクリーニング   検査のDPC導入前後の実施率の変化

(2)DPC導入前後の診療報酬の変化

(3)DPC導入後実施率が0%となった脳MRIに関   し、今後の施行対象患者の条件とその経済性

         結  果 1.入院期間と保険点数

 DPC導入後、入院日数は平均3.7日のび、診療報 酬は、実際点数とDPC点数の差益として導入前に 比し1人あたり3215点の上昇を認めた(表一1)。

2.糖尿病関連検査

 DPC導入前後における糖尿病関連検査項目では、

インスリン抗体が、100%から7.1%と大きく減少し

たのをはじめ、抗グルタミン酸脱炭酸酵素抗体

(2)

表1 DPC前後の入院期間と点数

入院期間(日)実際点数(点)DP⊂点数(点)

DP(前  13.6 44089 3993黒

していた。しかし便潜血、腹部エコーは他に比べ小 幅な減少であり、腹部CTは14.8%が66.7%に増加

していた(図一2)。

DPCtk 17. 3 41126 44341

(GAD抗体)、血中インスリン値(IRI)、グルカゴ ンテストにおいて減少していた。一方、神経機能検 査、尿中微量アルブミン、一日尿蛋白、24時間クレ アチニンクレアランス(Ccr)、血糖測定回数は変 化を認めなかった(図一1)。

3.悪性腫瘍関連検査

悪性腫瘍関連検査はすべての項目において減少し、

とくにαフェトプロテイン(AFP)は7.1%に減少 一日蛋白量

24時間⊂⊂r

尿微量AIb  神経機能

   CPR

ク ルカ] ンテスト

    IRI

 GAD抗体  1NS抗体

腹部〔T

便潜血

腹部工]一

CEA

CA19−9

AFP

4.動脈硬化関連検査

 同様に動脈硬化関連検査では脳MRIが0%になっ たのを始め、ブイブリノゲン、レムナント様リボ蛋 白(RLP)において減少したが、頸動脈エコー、

リボ蛋白(a)(LP(a))には変化を認めなかった

(図一3)。

5.有意差

 MRI上の脳梗塞所見に関わる危険因子について 以前行った検討(文献一1)では、脳梗塞所見有り 群と、無し群において、脈波伝播速度(PWV)、

85.7 78.6 73.8 21.4

7』

oO/o    50 O/o 図1 糖尿病関連検査

100 100 100

97. 6

□DP⊂前(%)

團DP(:後(%)

1000/o

66.7

66.7

64.3

31

28.6

7.1

o o/.

   so o/.

図2 悪性腫瘍関連検査

as DP〔前(%)

NDP〔後(%)

100 o/.

札幌社会保険総合病院医誌第16巻 第1号 2007 一20一

(3)

頚動脈工]一

LP(a)

RLP

ブイフ リノケ ン

300e, e

2500,0

2000,e

lsoe,e

looe,0

500,0

0,0

脳MRI

  PWV

 ドく ロ   

( m/s)[

2010S

1643,0

A  B

o%

11型1)

1.oe

o,so

O,60

0,40

0.20

0,00

]MT

  ロ  

O.78

  0,70

A   B

3,0

2S

2,0

15

10

0s

on

    50%

図3 動脈硬化関連検査

合併症数

 くむコ  

1.4

O.8

A   B

         図4

内中膜複合体厚(IMT)、合併症発生数、年齢、罹 病期間、高血圧の有無および、プラークの有無にお いて有意差を認めた(図一4)。

90,0

BO,0

70,0

60,0

so,0

40.0

3e,0

2e,0

10.O

o,o

 年齢

  くむロ   

(歳)

 6fi,5

   55,1

ヨ。,0

2S,0

20,e

15,e

10,0

s,o

o.o

罹病期間

   ロの

(年)[

12.S

6,9

97. 6

97.6%

100%

 高血圧

  く コ  

(%)[

se 70

60

50

40

30

20

10

0 A  B

6714

37

ロDP⊂前

as DPC後

プラークの 有所見惑

  くむ     

(%)[

eo 70 60 50 40 3e

2e le

o

C6S)

(27)

A  B A  B   A  B A  B   A:脳梗塞所見有り,B:脳梗塞所見なし MRI上の脳梗塞所見に関わる危険因(脳梗塞所見有り群、無し群における有意差)

6.DPC差益とMRI施行の試算

 DPC導入により、 DPC点数と実際の点数との差 は一人当り3215点であり、一方MRIの点数は1677 点であった(表一2)。

 MRI上の脳梗塞所見に関わる危険因子(PWV、

IMT、合併症発生数、年齢、罹病期間、高血圧の 有無および、プラークの有無)を考慮して脳MRI を行うとすれば対象者は、最大で合併症有りの18名、

最小IMT 1.Omm以上の9人であり、その時の脳 MRIの費用は診療差益の11〜22%であった。(表一

3 )o

表2 DPC差益とMRI実施料 表3 MRI上の脳梗塞所見に関わる危険因子とMRI施行の試算

DP⊂点数一実際点数=差益の点数 44341点 一41126点 =3215点/人 MRl点数:1677点/人

内訳

実施料 1140点

コンピューター断層診断料450点 画像診断管理加算     87点

 DP⊂後       全差益に占める

該当人数(人) 合計施行点数(点) 割り合い(瓢)

合併症 (+)

プラーク(+)

60歳以上 罹病期間6年以上 PWV1600cm/se⊂以上

高血圧症(+)

lMT 1.Omm以上

18 16 15 15 14

11

9

30186 26832 25155 25155 23478 18447 15093

22. 4 20. 0 18. 6 18. 6

17.4

13. 7

11.2

(4)

         考  察

 糖尿病患者(耐糖能異常者)においては、正常耐 糖能者に較べ動脈硬化進展が速く(文献一2)脳血 管障害の発生が高いことが報告(文献一3)されて いる。本邦における死亡原因からみると、糖尿病患 者の脳卒中による死亡は徐々に減少しているが、実 際の発病患者数は増加している(文献一4)。患者 のQOLに大きな影響を及ぼす脳梗塞の発生予防は、

厳しい医療環境にありながらも大きな課題となって いる。しかし病院経済と、高度な医療の提供とは双 極にある。今回DPC導入前後の診療内容を比較し たところ、医療差益がDPC導入後に上昇したが、

それは、DPC導入を強く意識しすぎ、腫瘍関連検 査、脳MRIなどの検査数低下が大きかったと思わ れた。しかし、医療の質の維持を考慮し、保険点数 が最も高い脳MRI検査について検討したところ、

発生の危険因子(文献一1)を考慮して検査を行う ことは医療経済面からも十分可能であった。腫瘍関 連検査については今回検討できなかったが、危険因 子を考慮して検査を行えとすれば、医療経済面に大

きな影響を与えないのではないかと考えられた。

 DPCの導入について秦らは、国際疾病分類を基 礎として、病院の経営や医療の質について、客観的 に他との比較が可能となり、医療の標準化あるいは 効率化には利点があるが将来の医療制度として満足 なものであるのか、野台粗療にならないかなどの危 惧される側面をもっている(文献一5)としている。

また、これからの医療は医療サービスの向上が求め らる中、病院経営としては限られた財源の中から最 高の医療を提供する努力が不可欠となっている(文 献一6)。

 そのような環境下ではあるが、各種検査施行に際 して、検査対象患者を検討、抽出することにより DPC環境下でも医療の質を保てると考えられた。

         結  論

 DPC導入後も、一定の条件に該当する患者に脳 MRIを実施することは、経済面からも十分可能と 考えられ、医療の質の向上からも必要な対象者には 積極的に脳MRI実施を取り入れるべきであると考

えられた。

        文  献

(文献一1)松崎純子、小野百合、秦 温信ほか:

 糖尿病患者における脳梗塞のスクリーニング検  査一脈波伝播速度、頚動脈エコーの有用性一.

 糖尿病49:555−559、2006

(文献一2)大西博文、斉藤重幸、高木 覚ほか:

 糖尿病における動脈硬化進展指標としての  Pulse Wave Ve!ocity(PWV)の有用性に関  する検討.糖尿病45:!95−198、2002

(文献一3)Kanne!・WB, Mcgee DLDiabetes and  cardiovascular disease. The Framingham

 study. JAMA 24:2035, 1979

(文献一4)MSDM連絡事項年度別まとめ 2004:

 糖尿病と脳血管障害(まとめ).糖尿病大血管  障害研究報告 平成15年度:24

(文献一5)秦 温信、アキよしかわ:DPCにお  ける当院の現状一全社連共同研究(予備研究)

 を通して.札幌社会保険総合病院華甲14 第2

 号:1〜9、2005

(文献一6)秦 温信、飛永晃二、石川 功、澤田   健、加藤 収、アキよしかわ:ベンチマーク  分析によるDPC対応標準治療計画の作成、じ  ほう、東京、2〜3、2006

札幌社会保険総合病院医誌第16巻 第1号 2007 一22一

(5)

Improvement of brain MRI under introduetion of DPC

Junko Matsuzaki, Tomoko Sasaki, Shouji Takahasi, Daisuke Kitamura*

         Hiroyuki Yosikawa*  Norio Wada*** Yuri Ono****

     Department of Clinical Laboratory, Medical lnformational Management ,       Clinical Radiology* , lnternal Medicine**

        of Sapporo Socia! lnsurance General Hospital,. Yuri Ono Clinic *

   DPC (Diagnosis Procedure Combinations) system has been introduced in our hospital. We studied frequency of brain MRI (Magnetic Resonance lmaging) among diabetic inpatients, be−

fore and after introduction of DPC. As results, the medical fee was increased by 3215 points per each patient after introduction of DPC, and the rate of brain MRI test was decreased from 100906

七〇〇%.

   We made a trial calculation of taking effec七〇f brain MRI for diabetes who may have special risk for brain infarction such as thicken IMT (lntima Media Thickness), increased PWV (pulse wave velocity), hypertension, long duration of diabetic and aging. ln economic point of view,

it seemed wor七h to perform brain MRI for the selected diabetic patients with high risk factors in

order to improve the medical quality.

参照

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