献
辞
森田勉教授ほ、一九五五年名古屋大学大学院を修了後、三重大学学芸学部に着任され、爾来本年一九九四年
三月三重大学を定年退官されるまで三九年近くの間、学芸学部、教育学部、人文学部、同大学院人文社会科学
研究科で政治学、政治思想史等の講義・演習を担当された。この間、三重大学評議員、人文学部社会科学科長、
その他各種の委員会の委員を歴任された。また、一九七八年にほ、名古屋大学から法学博士の学位を受けてお
られる。
門外漢のわたしにほ、教授の膨大な学問的業績について述べる資格ほないが、教授のご関心ほ一九世紀ドイ
ツ政治思想史、社会思想史にあった。社会、国家の近代化過程を究明し、資本主義の生成発展に伴って生じた
課題や矛盾の解決を志した思想家たちを、その世界観をも含めて研究されるとともに、市民的世界像からの社
会主義的世界像の生誕や市民的法治国家理論から社会的法治国家思想へ、憲政中心の国家論から行政国家の認識へ、近代立憲主義から福祉国家理念の創造へといった思想と学説の発展過程を究明された。教授は、これら
のご研究を、L・フォン・シュタイソについての体系的な研究に結実させておられる。
教授にほ、最近あまり見かけなくなった風格があった。研究に打ち込んでおられる学者の身辺に漂う独特の
雰囲気は、時折のリベラルな発言と相まって、かくありたいと思わせる魅力に満ちていた。教授の講義は、学
生の知的興味をかきたてるものであったという感想を学生から聞いたことがあるが、さもありなんと思う。
今後のいっそうのご活躍をお祈りしたい。
本号は、森田勉教授退官記念号として企画編集された。ここに心からの感謝の念をこめて、本論文集を教授
に捧げる。
一九九四年三月
三重大学人文学部長
鹿 瀬
英一