◎資料
現代中国学部に関する
情報環境の現地調査報告 や意見交換を行った︒また出発間際になって南開大学から建設
予定のパソコン実習室の仕様書が送られてきたので︑この仕様書
の中身についての意見交換も急きょ目的に加えることになった︒
r中国先進大学のパソコン実習室︑インターネット事情
土橋
士見目
樋口裕嗣
吉川剛 ω南開大学
はじめに
今回の中国訪問(一九九六・三・一一丁一〇)の目的は︑①中
国先進大学のパソコン︑インターネット事情︑②中国の情報処
理教育の現状︑③中文版ソフトウェアの購入︑④現代中国学部
棟内のパソコン実習室︑マルチメディア室の設計に関すること
の調査と意見交換にあった︒そのため現地において南開大学︑
清華大学く情報処理センタ←︑北京大学︿法学部﹀を訪問し︑そ
れぞれの担当者や学生から現在の中国の情報環境について見学 現在﹁現代中国学部﹂の留学先の候補になっている大学であ
り︑愛知大学におけるインターネット接続等において一番考慮
しておかなければならない大学である︒大学の概要については
南開大学ホームページ(http:¥¥www.nankai.edu.cn)を参考にするとよい︒
①ネットワークについて
インターネット室を中心に学内の建物間は︑10メガbps6̀
lOBASE‑Fで接続されている︒建物内はlOBASE‑T‑ HAB
の構成による10メガbps6ネットワークで︑学外は北京の清華
大学まで9600bpsS高速デジタル回線で接続され運用されて
いる(学内ネットワーク構成図参照)︒南開大学から愛知大学
内のサーバ‑‑(vega)に接続し学生相談員たちとメールやtalk
を試みたが︑接続には若干時間がかかるが問題無く会話はでき
た︒時間がかかる原因は︑南開大学とノードまでの回線速度が
9600bpsであることと中国と海外との接続がアメリカとしか
資 料 現代中国学部 に関す る情報環境 の現地調査報告 191
接続されていないことにある︒途中で南開大学の大学院生
(JiangYuanE‑Mail:yuannankaisparc20.nankai.edu.cn)と愛知
大学相談員石川雅康とのけ巴評による意見交換もしてもらった︒︹愛知大学石川相談員の感想︺
南開大学のWebページのURLを教えてもらい︑その中に
日 付
ス ケ ジ ュー ル
行 動
3月3日(日)
3月4日(別
3月5日(火) 3月6日 ㈱
3月7日 ㈱ 3月8日(斜
3月9日(土) 3月10日(日 〉
15:35関 西 国 際空 港 中 国 国 際航 空CA922便 20:15北 京 首 都空 港 到 着
2200清 華 大 学到 着
830必 要生 活物 資 購 入 、換 金 1030南 開大 学 手配 の 車 で 清華 大 学 出 発 1230南 開大 学到 着
1400南 開大 学 国際 交 流 課 と打 ち合 わ せ 1500南 開大 学情 報 処 理 関 係施 設見 学 午 前 南 開大 学情 報 処 理 施 設 見学 午 後 天 津 市 街 パ ソ コ ン シ ョ ップ調 査 午 前 南 開大 学情 報 処 理 関 係施 設 見 学 南 開大 学 関係 者 へ お 礼 の昼 食 会 午 後 北 京 へ 移動
午 前 北 京 大 学法 学 部 情 報 処理 施 設 見 学
午 後 北 京 中関村(コ ン ピュ ー タ街)パ ソコ ン調 査 午 前 清 華 大 学情 報 処 理 施 設 見学
清 華 大 学 関係 者 と昼 食 午 後 清 華 大 学 図書 館 施 設 見学 午 前 北 京 中心 街 パ ソ コ ン調査
8:45北 京首 都 空港 中 国 国際 航 空CA951便 15:40成 田 到 着
21:30名 古 屋 到 着
中国語(GBコード)でかかれたページがあるので見てほしい
と言われた︒向こうでも日本のページに興味があり︑日本語環
境を整えて日本のWebページを見られるようにしたいそうで
ある︒それはともかく︑中国版とまでいわないまでも︑せめて
英語版だけでも愛知大学のホームページとして用意すべきでは
ないかと思った︒現時点では向こうからはこちらの内容はまっ
たく分からないはずである︒ちなみに︑中国語のページである
が︑〇三器ω①≦葺︒﹁を使うことで(不完全ながら)見ることが
できた︒た'1:しNetscapeNavigator6̀場合DocumentEncoding
などではGBコードを選んでも駄目で︑Encodingは日本語に
しておいてフォントとしてGB明朝などに指定しないとうまく
いかないようである︒
②パソコン実習室
南開大学の情報教育の中心的な施設である電子計算機学部を
見学した︒実習室のパソコンは中国製IBMPC/﹀↓互換機(云゜︒①゜︒×︑メモリ4M︑ディスク容量㎜M)︑OSは英語版
MS‑DOSE°b︒とUCDOS6構成で︑学部内で約一二〇台程度設
置されていた︒OSは中文版も発売されているが︑教育上英語
版を採用している︒HD内で確認されたアプリケーションは
WORDSTAR,FOXBASEであった︒その他FDによるアプリケーションの利用もおこなっていた︒パソコン一式の価格八千‑
一万元(一元は約=二円)ぐらいで購入可能なようである︒中
国のパソコン電源は三相の珈Vであるため︑中国にパソコンを
持っていく時は注意したほうがよい︒
iq2
③情報基礎教育について
全学部共通科目として情報基礎があり同一テキストを使い︑
・H‑1"MS‑DOS基本︑ごOOO°り基本︑データ'C‑‑K(FOXBASE)︑
WindowsX1,+1本を教育している︒中国語の入力は︑五筆字型か
ピンイン入力を採用していた︒
④地域コンピユータトレーニングセンター
ハードウェア等は②と同じであるが︑地域のコンピュータト
レーニングセンターの役割をもつ実習室があった︒コンピユー
タに関する千以上の問題が用意され︑一般の市民も利用できる
そうである︒天津市には︑ここ以外にも百ヶ所以上のトレーニ
ングセンターがあり︑年間二万人も利用者がいる︒パソコンシ
ョップなどでも同様のトレーニングソフトウェアが市販(CO
K"ComputerOperationKey)されている(COKについては
情報処理センターでデモができるようになっている)︒問題の
例としては次のようなものが含まれている︒
例題力iソルの一文字手前の文字を消すためのキーは何
ですか?
①国ω゜
Delete
③BackSpace
④IBMトレーニングセンター
中国では大学が民間会社から寄付を受けて施設をつくること
がよくあるようで︑南開大学にもIBMが出資して設置された
パソコン教室があり︑訪問したときには増設中であった︒ソフ トウェアもIBMから順次提供される予定で︑利用目的はIB
Mのハードウェアとソフトウェアの利用による学生のIBM環
境のトレーニングである︒﹁MS(マイクロソフト)のアプリ
ケーションは動かさないのか﹂といじわるな質問したところ︑
ここではIBMから提供されたものだけという回答であった︒
設置されていたパソコンは︑IBMPC¥AT(Pentium75mHz︑メ
モリ24M︑ディスク容量田M)三〇台で︑OSはOS/2warp
を採用している︒その他にX端末六台やサーバ‑IBMRS6000
などで構成されている︒IBMパソコンの価格は︑中国製の約
三倍の三万元で購入可能であるとのことである︒
⑤情報環境の管理運営について
学内のパソコンやインターネット関連のメンテナンスは︑学
生や教員のボランティアで実施されている︒もちろん無報酬で
あるが︑希望する学生は多く選抜が必要なほどであり︑学生は
ネットワークに関する知識や語学力に関してはきわめて優秀で
あった︒
②北京大学法学部
北京大学では︑全学組織の情報処理センターと学部情報処理
センターが組織されていた︒今回は法学部内の情報処理事務室
を見学し︑学部における情報環境や教育内容について意見交換
を行った︒
ここでは全学組織の情報処理センターが︑ネットワークやハ
ードウェア(HUB︑パソコンやUNIXワークステーション)
資料 現代 中国学部 に関す る情報環境 の現 地調査報告 193
を整備し︑学部情報処理事務室がインターネットの国・ζ毬ア
ドレスの発行やパソコンの増設︑ソフトウェアの購入やデータ
ベースの作成などを行っていた︒
また学部としての考えによる情報教育等(﹁2中国の文科
系学部における情報処理教育について﹂参照)も実施され︑良
く考えられたシステムが採られているように思われた︒
㈲清華大学情報処理センター
情報処理センタrは約百名のスタッフを抱え︑①全学コンピ
ュータ教育︑②センタi内のコンピュータやネットワークの維
持管理︑③ソフトウェア開発を主な役割として運営されている︒
①全学コンピユータ教育について
﹁2︑②清華大学計算機センターと情報処理教育﹂の報告
を参考にされたい︒
②センター内コンピュータの維持管理
運営はセンター所属の教員と大学院生がアルバイトとして(大学院生は一ヵ月千元)︑センター内だけで約五百台のパソコ
ンやネットワークの運用をおこなっている︒特徴的なことは多
くの企業とタイアップが行われ︑アップル︑IBMや富士通が
協力した実習室やCPU室が多く見られたことである︒しかし
学生等のネットワーク環境はまだ完成されておらず︑来年にむ
けて新実習室を建設していた︒新実習室は︑サーバーとして︑
SUN(4CPU︑メモリ鵬M︑ディスク容量10G)を設置す
る予定であり︑パソコンは>Qり↓(轟Q︒①O×①①︑メモリ8M︑デ イスク容量鵬M)4='︑Windowsを搭載する︒電子メール等の
ユーザーIDを全員の学生に発行し︑インターネットを中心と
した教育をスタートする予定である︒中国語によるZ国↓・
NEWSのサービスも四月から開始させるそうである︒
またもともとはセンターの役割の中に含まれていた中国全土
のインターネット(0国幻Z国↓"中国教育科学研究計算機網のこ
とで︑大学や図書館等の資料のリサーチを目的としたネットワ
ーク)の管理を︑今は独立した組織として運営しており︑清華
大学に本部管理センターを設置している︒
③ソフトウェア開発会社
国内外の民間会社と協同で︑多くのソフトウェアの開発や
CD‑ROMS制作販売をてがけている︒日本の富士通との中国
ワープロの開発は有名な話のようである︒
2中国の文科系学部における情報処理教育について
北京大学の法学部と清華大学計算機センターでは︑中国にお
ける文科系学部の情報処理教育を中心に意見交換を行うことが
できた︒以下はその概要である︒
ω北京大学法学部の情報処理教育
北京大学では︑計算機センターの情報処理教育は理系の学生
が中心であるが︑文科系の学生にも教育をしており︑理系と文
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