水道事業における加入金制度
その他のタイトル Entrance Fee in the Works
著者 寺尾 晃洋
雑誌名 關西大學商學論集
巻 20
号 3‑5
ページ 400‑435
発行年 1975‑12‑25
URL http://hdl.handle.net/10112/00021075
212 (400)
水道事業における加入金制度
寺 尾 晃
洋
I 加入金制度の問題点
通常現行の加入金は給水装置の①新設,②増径にあたって水道事業者が給 水需要者に賦課する負担を言う。これはわが国の地方自治体では,分担金,
負担金,分岐料,分岐手数料,協力費,給水申込納付金,新設給水費,加算 金,雑収益,工事請負金,加入者寄付金,基本工事費などさまざまな名称で 呼ばれている。それほどその性格はさまざまに解釈されており,一応の法律 的解釈が今日与えられているとはいうものの,なお問題は十分明確になった とは言いがたい。事実日本水道協会が昭和50年5月末日現在でおこなった加 入金調査(〔2J)によれば,回答都市数878のうち水道法第14条を適用と答 えたものが304,地方自治法第224条が197,同法第226条が60,同法第228条 が2'同法第225条が1,民法契約と答えたものが1というように,水道法 第14条適用は比較的に多いが,地方自治体の法律解釈もかなり区々であり定 説がない。結局加入金は財政困難に悩む水道事業者の 生活の知恵 とみら れているのが実情であろう。
水道法第14条は「水道事業者は,料金,給水装置工事の費用の負担区分そ の他の供給条件について, 供給規定を定めなければならない。」と規定して いるが,この「その他の供給条件」に加入金を入れて考えるのが政府の一応
の統一見解のようである。昭和44年6月25日の参議院決算委員会で自治省財 政局長は加入金の法的根拠は水道法第14条の供給条件の1つであるとくりか えし確言している。しかし同じ加入金の法的根拠に関する質疑のなかで,自 治省公営企業第 2課長は,住宅団地などが給水区域外にでき,これをあらた に給水区域にいれる場合などは「特定の利益」に該当するとして,地方自治 法の「普通地方公共団体は,政令で定める場合を除くほか,数人又は普通地 方公共団体の一部に対し利益のある事件に関し,その必要な費用に充てるた め,当該事件により特に利益を受ける者から,その受益の限度において,分 担金を徴収することができる。」という第224条の規定を適用している(財政 局長もこの見解を確認)。 さらに昭和45年 4月 3日参議院予算委員会では,
厚生省環境衛生局長は加入金の性格についての答弁のなかでつぎのようにの べている。 「水道法14条の『その他の供給条件』の中には,先程説明のあっ た受益者の負担を止むを得ず必要な場合,その負担法を定めることは『その 他の供給条件』の一部に該当すると考えている。なお,その場合の受益者負 担は,給水計画内で配管の拡張等給水契約の申込みがあって,一部配管の拡 張を行なうような場合にこの14条を適用している。それから地方自治法 224 条は,給水計画以外の地域において新しく水道事業を行なうような場合に,
これが適用される形になっている。」このように答弁内容は少々すっきりし ないが,政府委員が言おうとしていることは結局次のような次元の問題意識 からであった。地方自治法第224条はある一部の人だけが便宜をうける場合 まさしく適用できるが,水道の新規利用者になることは現利用者と同じ条件 になることであって,とくに特殊な便宜をうける訳ではないので,地方自治 法 第224条は適用しにく<,水道法第14条の「その他の供給条件」という法 律解釈上いわば何でももち込める条項をもってきたのである。
さてこの発言のなかでは政府委員は次の2点を前提として論脹をしている ことがわかる。第1に,政府委員は加入金の正当性を新旧利用者同士の公平 equityに求めている。 しかしこの公平はいわば他人の貴に帰するようなこ とを押しつけられない,自分の責に帰するようなことは他人に押しつけない
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といった限りでの公平にほかならない。現利用者にとって新規利用者によっ て迷惑をかけられないことが公平という訳である。これは利用者間の負担の 形式的な公平性を意味するにすぎない。
第2に,水道法第14条と言っても,地方自治法第224条と言っても,加入 金を考えるとき政府委員の念頭にあるのは現利用者あるいは新規利用者のい ずれであっても常に利用者だけである。彼らには「受益者」=利用者でしか ないのである。利用に対しては価格(料金)が照応する。彼らの論理を延長 すれば,利用者の支払う加入金は料金の前払であって地方自治法の分担金と はちがうということになるだろう。この観念は政府の加入金に対する思考の 前提をなしている。
しかし政府委員は看過しているが,加入金を考えるためには重大な問題点 がある。それは第1に形式的な公平性を新規利用者への加入金賦課がもって いるにしても,反面実質的に高い負担や出費における不公平が歴然としてい る点。第 2に負担能力のない者が重い負担を負わされ,水道などの公共施設 ができることによって大きな利益を被り,負担能力が絶大と思われる者が負 担をまぬがれているといった不公平が黙過されているという点である。まず 第1の点からみてみたいが,硯在の加入金制度はこうした矛盾に手をつける ことは残念ながら全く考えてはいないのである。
1. 水道法と加入金
水道法は第15条に「水道事業者は,事業計画に定める給水区域内の需要者 から給水契約の申込を受けたときは,正当な理由がなければ,これを拒んで はならない。」と規定しているが, 加入金を払わない者に対し給水を拒否す ることがこの規定からできるのか,できないのか,いつも問題になるのはこの 点である。前記参議院予算委員会における政府の見解は,水道法第14条にも とづいて受益者負担の条例がある場合には,受益者負担を払わなければ給水 を拒むことができるとしている。しかしながら需要者の負担がいかなる場合 に水道法第15条で言う「正当な理由」を構成するのかは, 「国民の日常生活
に直結し,その健康をまもるために欠くことのできない」 (水道法第2条) 水道事業の本来的性質にかんがみ,憲法第14条法のもとの平等,同22条居住
・移転の自由,また,住民が「地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける 権利」を有するとした地方自治法第10条の②,その施設の利用につき「不当 な差別的取扱いをしてはならない」とした同法第224条の⑧をふまえ,根本 にたちかえって慎重に検討される必要があろう。いかに加入金が便宜的なも のであるからと言って,水道事業の基本的性格からみて加入金の性格とその あり方を不問にふすことはできない。
料金が「公正妥当なもの」 (水道法第14条4項1)であれば,利用者にと って料金以外の負担にかかわる加入金は,負担の公平という理由で社会的に 認知されているからと言って,いくら高くてもよいというものではない。水 道事業は当然水道法第1条の「清浄にして豊富低廉な水の供給を図り,もっ て公衆衛生の向上と生活環境の改善とに寄与する」という大前提をみたすこ とが必要不可欠である。したがって加入金も利用者の負担の一部である以 上,できるだけ最小限に抑えられるべきであるというのが原則であるe この 点は現利用者についてはもちろん,新規利用者についても基本的にあてはま る。
2. 現利用者と加入金
.....
現利用者である家庭用需要については,需要の弾力性は本来的に小さいの で,急激なしかも異常に大きな需要増を惹起して事業計画を狂わせるような ことはまず考えられない。ただ文化的な生活要求の培大によって給水需要が 大きくなり,この結果配・給水管の増径を必要とする場合がありうるが,こ うした需要増を予測し一定の供給条件を整備しておやことは,水道法第1条 および第5条(施設基準)にうたわれた水道事業者の義務であり,事業計画 のなかに需要増のための工事費はおり込んで原則的に料金として徴収する方 向で処理することが望ましいのである。増径すれば使用水量も多くなるの で,そのなかで料金として必要な負担をすることができる。したがって家庭
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用需要者に対し増径工事をした場合,給水管.給水装置について受託工事費 を徴収することは当然としても,加入金という形で配・給水施設の工事費の 負担をさせるのは適当とは思えない。ただし硯利用者であっても,事業用,
建物用(ビルディング)の需要増については,計画的にあらかじめ捕捉しが た<,需要水量も大きいので,原因者負担という理由でその都度一定の特別 の負担を課すことはむしろ必要であろう。
しかし水道法の精神をふまえて加入金制度のあり方についてなされたこれ らの基本的な指摘が,現実のなかでどの程度もりこまれているかは疑問であ る。新規利用者の上で矛盾を深めたまま加入金制度は水道財政にとって 生 活の知恵 として普及度を伸ばしているのが実態である。
n 水道事業の財政状況と加入金制度
1. 加入金等の普及状況
加入金は新設工事負担金の名称で昭和24年度大阪市近郊の大東市において
第1表 加入金徴収開始年度調(事業数)
田畷24 25 26 27 28 29 3‑0 ‑‑‑1 ' ・ 3 1 32 33 34 35 鵠 37 38 39 40 41 42 43 45 46 47 48
北 海 道 1 I I
東 北 I I 3 2 2 2 3 5 3 4 3 8 6 4 関 東 I 3 I 3 I 6 2 6 I 4 7 6 4 7 14 14 15 10 11 13 中 部 I I I I 2 2 6 4 5 I 6 2 7 7 3 19 IS 9 10 18 9 関 IIJi I 2 3 I I 2 I 2 i4 3 3 I 6 18 6 9 10 15 4
中国・四国 I I I I
I
4 I 3 3 8 3 7 4 11 8 , 13
九州・沖縄 I I 4 I I I 3 2 5 2 6 7
年度別小JtI I 2 3 8 6 12' '8 16 8 19 4 19 17 26 16 24 52 65 50 累 Jt I 2 4 7 IS 21 33 ! I 41 57 65 84 88 107 124 150 166 190 254 300 352 400 5 515
(注) 1. 昭和48年度加入金徴収都市527のうち.徴収開始年月日記載のないもの 11,採用予定1を除いたものが48年度累計515という数字である。
2. 出所:[1Jより作成。
道路復旧費にあてるため給水装置の新設,大規模な団地・宅造の際徴収され たのが最初のようである。その後加入金を徴収する都市が次第にふえ,漸次 その増勢がはやまり,第1表のようにとくに昭和43年度に急増し,それ以降 今日までの間高い増加率を示しているが,とりわけ47年 度 に お い て 激 増 し た。加入金はほぼ1960年代後半に至る高度経済成長がもたらした落し子であ
第 3表建設投資の推移 (100万円;彩)
第2表赤字・黒字の状(況%)
ミ¥n"t塁I│ こ \ 建 設 投 資 額 乱 誓 墨 39 96.2 38 101,033 33.2 40 97.5 39 122,139 20.9 41 102.8 40 141,989 16.3 42 101.2 41 156,837 10.5 43 105.1 42 164,849 5.1 44 107.9 43 192,631 16.9 45 106.6 44 214,246 11.2 46 101.6 45 247,958 15.7 47 100.4 46 338,757 36.6 48 99.0 47 435,093 28.4 出所:C3〕第16集、第21集 48 552,598 27.0
出所:(3)第16集,第21集 第4表 料 金 の 改 定 実 施 状 況
‑‑‑‑‑‑‑‑‑- ~ 年 度 I 39140 141 142 I 43144145146147148 前年度年度か中ら実に議施決したし事業当 22 113 38 101 218 200 137 134 117 245 年当年度度か中ら実に議施決したし事,業同 20 41 20 52 68 64 55 55 98 99 計 42,1541581153,286,2641192,1891215,344 出所:(3]各年度版
218 (406) 水道事業における加入金制度(寺尾)
った。
昭和39, 40年度赤字に悩まされた全国の水道事業は41年度から回復にむか ぃ, 43年度には第2表が示すように総収益対総費用比率はすこぶる好転し,
2, 3年間安定した経営状態を維持することができた。こういう状態のもと で数年間落ち続けていた建設投資のテンボは第3表のように43年度からもち 直し,同年度の対前年度増加率は16.9%に回復した,とくに7大都市と給水 人口10万人以上15万人未満の都市一ーその4割以上が7大 都 市 の 衛 星 都 市
—において建設投資が活発化したのである。第 4 表からわれわれはこうし た状況が料金改訂によってもたらされたことを知ることができる。 39年度の 公共料金1年間据置き が明け, 40年度になると多くの都市が大幅の料金 改訂をおこなった。ところが43年度には料金改訂にふみきった都市がさらに 飛躍的にふえて286都市をかぞえた。ことに超過料金を50%以上大幅にあげ る都市が多かった。しかも前年度から料金改訂がいわばおあずけをくってい た都市が大部分であって, 43年度で218都市76.2%にものぽった。また,こ の年度料金改訂を議決しただけで実施を翌年度送りにした都市は200もあっ たのである。こうした43年度の活発な水道経営の状況が,生活用水の値上り を極力抑え建設財源を調達するための「生活の知恵」として加入金制度の急 速な普及を生みだした訳である。
その後消費者物価ばかりでなく卸売物価も高騰し,第 2表が示しているよ うに経営状態は急激に悪化しはじめた。しかもそれにもかかわらず第 3表の ように建設投資が急増した。その対前年度増加率こそ昭和46年度を過ぎてか ら多少落ち気味ではあるが,なお高率を保持している。こうして47, 48年度 に料金改訂の新しい波が訪れたことは第4表が示すとおりである。料金改訂 といっても基本料金の大幅な改訂は抵抗がつよくきわめて困難であるので,
このため超過料金の値上げ幅は高くならざるをえなかった。 47年度には50%
以上の超過料金の上げ幅が最も多かった。こうして困難な経営状態のもとで,
値 上 げ 幅 を 抑 え る た め の 加 入 金 が 大 い に 期 待 さ れ る こ と に な っ た の で あ る。
水道事業における加入金制度(寺尾)
さて昭和48年度以降はどうか。日本水道協会の加入金等徴収状況によれ ば,昭和48年5月末日硯在では調査対象都市1,325のうち回答をよせた都市 は991(74.8彩にあたる),このうち加入金等を徴収する都市は527(回答都 市数の53.2彩にあたる),加入金等を徴収していない都市は464であった((1〕
1ページ)。
同じく昭和50年5月末日現在では調査対象都市1,506のうち回答都市数878 (58.3彩にあたる),このうち加入金等を徴収する都市は622(70.8%にあた る),非徴収都市は256であった(〔2〕1ページ)。このように加入金は最近 いよいよ急テンポにふえ,加入金の未徴収都市の方がすっかり減退してしま
った。
ところで加入金は,第1に,独立採算制のわく内での財源の調達手段であ るが,第2に,いわば都市化の反映であり,都市化を基礎としていることは 言うまでもないが,どこでこのようにふえているのだろうか。第1図をみて わかることは東京と京阪神を結ぶいわゆる東海道メガロポリスと瀬戸内海沿 岸工業地域を中核としたわが国の経済活動の中枢部において加入金徴収都市 が圧倒的に多いということである。
しかも第2図,第3図でみるように,大部分が大都市近郊都市に集中して いることが注意される。都市化におけるドーナツ化現象のなかで人口と資本 の流入にさらされたこれら中小衛星都市については,一方では水道財政上加 入金はきわめて貴重な収入源であるとともに,他方ではその頼みの綱である 加入金はひとたぴ人ロ・資本の流入が鈍化すればたちまち減少し,水道財政 の危機が露呈する引金になる場合がある。
2. S市のケースと問題点
S市は巨大な団地をかかえ人口急増してきた典型的な大都市近郊都市であ る。給水人口は昭和38年度の13万人から10年後の48年度には28万人に, 49年 度には289,276人に達した。 49年度の1日最大配水量144,248m, 1日平均 配水量115,095m,職員数173名(損益勘定所属職員数),水源の半ばを地下
第1図 加 入 金 徴 収 都 市 が多い都府県
水道事業における加入金制度(寺尾)
A.加入金徴収都市数が全国平均(イ)より 多い都道府県(■印)
…•••宮城,山形,東京,千葉,埼玉 群 馬 愛 知 , 三 重 , 静 岡 , 石 川 新潟,大阪,京都,兵庫,奈良 広島,岡山,香川。
B.加入金徴収都市数と法適用事業数と の割合が全国乎均(口)より高い都道府 県(瓢印)
……上記の府県のうち新潟を除く全 部。さらに神奈川,茨城,山梨 富山,福井,山口,島根,大分 置) 1. (イ)・・・・・ •11.21都市。
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口)・・・・・・30.84%
2. 出所〔lJlページ, C3J第 21集25ページより作成。
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第 2図 加入金徴収都市の分布(1) 第3図 加入金徴収都市の分布(2)
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出所 [1〕より作成
水道事業における加入金制度(寺尾)
水源と表流水(ほぼ6対4の割合)に依存し,半ばを受水している。昭和31 年10月地方公営企業法の適用がみられた。
水の利用状況をみると,第1に,総配水量の伸びが顕著である。昭和40年 度14,308,606rriに対し48年度31,679,655rri, 48年度は40年度の2.21倍(全国 平均は2.14倍)である。第2に, 40年度から48年度の間に使用水量は小口専 用 (i/il3m/m, 16m/m口径住宅用)が1.21倍であるのに対して大口専用(¢40 m/m口径以上の工場用)は1.96倍,さらにそれよりも一般専用 (i/i20m/m, 25m/m 口径住宅団地用•新規住宅用)は実に 8.78倍,集団住宅第 1 種(受水 槽のある高層鉄筋住宅用)は4.83倍となっている。この点がこの都市の特徴 を最もよく示していると言える。第5表の一般専用,集団住宅第1種,あわ せて50%を上回る大きなウエイトがこの都市のベッド・クウン的性格をよく
第5表 S市水道事業用途別水最と構成比
(昭和48年度) (m・,%) 給 水 量 構成比 小 ロ 専 用 6,215,214 19.6
般 専 用 10,857,250 34.3 大 ロ 専 用 4,133,382 13.0 第1種 集 団 住 宅 用 5,511,536 17.5 第2種 集 団 住 宅 用 341,966 1.1 共 用 一 般 住 宅 用 54,554 0.2 共 用 ア パ ー ト 用 45,047 0.1 官 公 署 ・ 学 校 用 2,992,222 9.4 公 営 プ ー ル 用 292,240 0.9 公 衆 浴 場 用 610,932 1.9 臨 時 用 403,225 1.3 そ の 他 222,087 0.7 計 I 31,679,655 100.0
(注) S市水道部資料より作成,
222 (410) 水道事業における加入金制度(寺尾)
第6表 S市水道事業収益的収支と加入金
¥ │ 46 4 7 4 8 4 9 項 目 百万円1 % 一 万 叫 % 百 万JI1│ % 百 万 円1 %
収 益 的 収 入 1,019 l100.0 11,428 !100.0 11,676 !100.0 J 1.397 !100.0 うち給水収益 938 I 92.1 I 1,021 I 12.0 I 1,011 I 64.3 I 1,132 I 81.1 加 入 金 I ‑I ‑1 208 i 14.51 460 121.5 I 151 110.8 収益的支出 1.232 1100.0 I 1,448 1100.0 I 1,582 1100.0 I 1.989 ilOO.O
う ち 減 価
償却費等* 121 I 9.8 I 143 I 9.9 I 166 110.5 I 118 I 8.9 金 融 費 199 I 16.2 I 221 I 15. 7 I 248 I 15. 7 I 266 I 13.4 純 損 益 △213 ― △ 2 0 │ ‑ 93 ― △ 593 ‑
(注) *減価償却費等・・・・・減価償却費資産減耗費,繰越勘定償却 (S市 水 道 」 面 より。)
示しているのである。
さてこの都市では加入金はどうなっているか?今日の加入金制度のもつ問 題点の所在をS市という具休的な場で探ってみたい。
① 加入金と水道財政との関連について
S市では条例によって昭和47年度から加入金制度が導入された。そこでは 加入金は収益的収入に入れられている。そして第6表のように47年度で約2 億円, 48年 度4億6,000万円,収益的収入のそれぞれ14.5%, 27.5%,給水 収益のそれぞれ20.25%, 42. 71%という非常に大きな割合を構成していた。
ところで46年度には2億 1,300万円の単年度赤字をだしたにもかかわらず,
47年度にはこの加入金導入のおかげで2,000万円の赤字ですみ, 48年度には 一 転9,300万円の黒字が生れた。 S市の加入金の算出基準は後述するが,拡 張 事 業 費 の う ち 改 良 事 業 費 を 差 引 い た 残 り の 新 規 事 業 費 に か か る 利 子 で あ る。 48年度には加入金収入は同年度の利子をはるかに上回っていたばかりで なく,減価償却費等をふくめた資本費をすらカバーして余りがあった。この よ う に 加 入 金 を 収 益 的 収 入 に 入 れ る こ と は , そ の 金 額 が 大 き い こ と も あ っ
水道事業における加入金制度(寺尾)
て,水道財政改善には著効があることがわかる。
しかしながら昭和48年9月ごろから不況と異常な物価騰貴が重なりあって いわゆるスクグフレーションの様相を呈してくると,こうした経済状態は敏 感に加入金収入に反映し第6表のように49年度の加入金は前年度より 3億 900万円減少し, 1億5,100万円,すなわち収益的収入の 10.8%,給水収益 の13.34%に急減した。こうなるとすぐさま収益的収入に反映し,給水収益 は増加しているものの,収益的収入を49年度において前年度より 2億7,900 万円も減少させる直接的契機となった。このように臨時収入である加入金を 経常収入と一緒に収益的収入に入れる計理方法が1つの問題点として浮ぴあ がってくる。
② 加入金以外の受益者負担について
S市には加入金のほかにいくつかの受益者負担金制度がある。 1つは「S
市水道条例」にもとづく「配水管工事分担金」であり, 2つは「開発行為に 関連する上水道施設整備要綱」にもとづく「開発負担金」である(第4図参 照)。 「条例」には,配水管布設工事の受益者から工事費の範囲において分 担金を徴収できると決められている。この配水管は「規則」で既設配水管か ら分岐・延長するり50m/m以上となっている。工事費には材料費・労力費・
(1)
道路復旧費,その他必要な経費と業務諸費が入り,自分が住むための住宅の 場合必要水量に応じた工事費相当額の半額負担になるほか,会社・団体など に全額受益者負担が求められている。
なおこのほかに開発地区に早く進出した開発業者による先行投資の事実上 の肩代りという問題がある。たとえば業者Aの新規給水需要だけをみたすた めには¢200m/m口径の配水管でたり,その工事費を1,500万円とすれば,前 述のようにこの全額がAの負担である。ところが水道事業者がA以外の他社 の同地区への進出を想定し,この際 ¢300m/m口径を敷設しておきたいと考 えたとする。この場合水道事業者はAと話し合いの上, ¢300m/m口径を敷 (1) ちなみに昭和50年度における配水管工事分担金は ¢75m/m口径でlmあたり
12,475円であり, ¢300m/m口径でlmあたり 34,016円である,
224 (412) 水道事業における加入金制度(寺尾)
第4図 S市水道事業受益者負担のしくみ
配 水 管 工 事 分 担 金
‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑lン:
同 立 替 金 的
閃
第7表 S市水道事業資本的収支と資本剰余金
\ 項 目度 百 万 叫蛉 彩 百万円47I % 百万叫48 % 資 本 的 収 入 529.9 100.0 554.9 100.0 406.1 100.0
企 業 債 260.8 49.2 499.9 90.1 170.1 41.9 資 本 剰 余 金 269.1 50.8 54.9 9.9 235.9 58.1 工 事 分 担 金 269.1 50.8 54.9 9.9 190.7 47.0 開 発 負 担 金 45.2 11.1 そ の 他
資 本 的 支 出 453.5 100.0 774.5 100.0 514.3 100.0 建 設 改 良 費 337.6 74.4 636.0 82.1 385.2 74.9 企業債償還金 102.4 22.6 116.4 15.0 129.1 25.1 退 職 給 与 金 13.5 3.0 22.1 2.9
(注) S市水道部資料より。
49 百万叫 % 741.5 100.0 245.9 33.2 487.9 165.8 363.6 49.0 124.3 16.8 7.7 1.0
807.4 100.0 652.1 80.7 130.6 16.2 24.7 3.1
設した場合の工事費2,500万円と前述した1,500万円との差額1,000万円,
つまり先行投資にあたる分をAに後続者たちに代って立替え納入させ,あと で他社の進出をみた際賦課する「分担金」の金額をもってAに返済するとい うしくみがとられている。これはあくまで立替金であるが,最初に進出した