大学教育研究 三重大学授業研究交流誌 2012,第 20 号,51-54 頁
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英語コミュニケーション授業の実例報告:
出席確認とグループによる言語活動 福井 龍太(三重大学共通教育センター)
1. はじめに
大学の英語の授業の質をいかに保証するかについては、多く の大学で喫緊の課題となっている。現在、各大学当局は、カリ キュラムを改正したり、授業数を変動させたり、教授する内容 を検討したりすることによってこの課題に立ち向かっている。
大学の英語教育のシステムに着目して改革を図ることは確かに 重要で、劇的な効果を上げた例も報告されている。大学のしか るべき立場で、このような改革を断行している方々の様々な取 り組みには学ぶべきところが多い。
一方、このような劇的な改革は、そのような改革が可能な立 場にある教授陣にしか行えないという側面がある。筆者のよう な立場の教員においては、大学教育システム自体にアプローチ することは難しい。それでも、一大学教員として学生の授業を 担当する立場には変わりなく、筆者にはよりよい英語教育を行 うために寄与したいという強い希望がある。このような立場か ら切り込むことができるのは、まさに自分自身が行う授業であ る。大学の英語教育のシステム自体の問題点に目を向けること は無論必要である。それと同時に、現時点で与えられたシステ ムの中でどのように毎回の英語の授業を行い、学生に必要な英 語運用能力を効果的に身につけてもらうべきかについて考え、
実践することもまた必要である。学生が大学に入学してまず目 の当たりにするのは、大学教育システムではなく、毎回出席す る授業である。高橋1)は、生徒の学習を一番大きく左右するもの は、なんと言っても教師の教え方である、と述べているが、こ れは結局のところ、学生に英語運用能力を効果的に身につけさ せられるかどうかは、個々の教員が行う授業ひとつひとつに係 っているということである。
本論では、他教員の授業や、日本やアメリカの小中高等学校、
英会話学校、先行研究や実践報告といった、様々なものからの 成功例を取り入れることで、学生に必要な英語力を効果的に身 につけてもらうために筆者が大学初年次向けの授業内、特に三 重大学共通教育センター外国語科目「英語Ⅰコミュニケーショ ン」で実践した英語教育の実例のうち、出席確認の方法と、グ ループ毎のコミュニケーション活動について報告する。
2. 実践例の報告
2.1 出席棒:出席に即興性を与え、出席する意味 のある、出席したくなる授業にする
大学の授業において、出席の位置づけは様々である。遅刻し た場合には欠席とみなすほか、一度でも欠席すると単位取得を 認めないといった、出席を極めて重要なものとみなし、出席回 数を成績評定に組み込む授業もあれば、期待される能力が身に ついてさえいればいいので、出席は全く取らず、成績評価は期 末試験のみで行うという授業もある。
大学初年次の英語教育にあっては、英語運用能力を効果的に 習得するために、学生は授業内で言語活動を行う必要があり、
特に英語でのコミュニケーションを扱う授業では、故に授業へ の出席は極めて重要視される。
しかし、単に出席を点呼して記録する方式で確認することか らだけでは、学生が授業に出席する、あるいは出席し続ける動 機付けにはならないようである。とりわけ第1時限の授業では、
出席を取ることがあらかじめ知らされていながら、出席を諦め てしまう学生がいる。また、昼食直後の授業時限である場合に は、学生は集中力が維持できないと訴える。学生のひとりによ れば、授業開始直後に出席が確認されるだけであると、どうし ても眠くなってしまうという。
さらに、授業への出席を重視していながら、授業に出席せず に自学自習する方がよりよい成績を得られるような授業構成と なっている場合、学生は出席に対する動機を維持できない。教 員も学生も、忙しい中で貴重な時間を授業のために費やす。故 に、授業への出席を重視するならば、出席しなければ得ること のできない情報や機会を十分に提供し、意味のある出席となる ように教員は配慮するべきである。出席しなくても学生が単独 で学習できる内容のみが授業で扱われるのであれば、出席を重 視する意味がない。
加えて、英語Ⅰコミュニケーションの授業は、やはり英語に よるコミュニケーションを授業内外で十分に行えるように構成 するべきである。英語の新出単語や表現を学んだり、リスニン グ能力を身につけたりすることが重要であることは言うまでも なく、筆者の授業でもしばしば取り扱うが、それはあくまでコ ミュニケーションを円滑に行うために副次的に必要なものに過 ぎず、それを学ぶことが英語Ⅰコミュニケーションの授業の中 心であるわけではない。むしろこれらについては、学生が授業
前後に自学自習 を検討するべき このような出 けるために、
ることとした。
高橋正夫先生の
(写真:出席棒の ときに用いられ る。
出席棒とは、
ものである。初 授業で回収する の片方を用いる ンチメートルの 印を15個つけ ンチメートルの を用いてもよい いという意図で 部をくりぬいた 回収したばか 引いて、さっそ 教員は出席棒に 自己紹介をした なる例文を含む ン」の授業では して全クラス共 学生は中学校や 非常に易しい、
なっている文法 動を実際にやっ ぐに理解するよ 番だったり、学 容も即興である
習できるように きである。
出席に関わる問題
「出席棒」を用 出席棒とは、
の考案によるも
の例)
れていたものに
学生がひとり 初回授業で作成 る。まず、割り る。一般に販売 の長さであるが ける。15は、授 の部分に、名前 いが、予算をか で、割り箸を選択 た缶に入れる。
かりの出席棒を そく英語でのコ に書かれた名前 た後、その日に扱 む会話を即興で行 は、ケンブリッ 共通で使用して や高等学校で繰 易しすぎると 法事項を用いて発 ってみると、思 ようである。さ 学籍番号順に指 るため、学生に
教材を提示する
題を解決し、学 意し、これを用 元新潟大学教授 のである。筆者
基づいて、多少
1本準備し、毎 成の仕方を英語で 箸を1膳準備し 売されている割り
、これに1セン 授業回数と一致 前と学籍番号を記 かけず、入手しや 選択している。出
そこから教員が ミュニケーショ 前を呼んで、学生 扱う教科書に書 で行う。「英語Ⅰ ジ出版のInter いるが、扱われ 繰り返し学んでき
言う学生もいる 発話したり、聞 思ったほど容易で らに、前の方に 指されたりするの とってはいい緊
るか、moodle の活
学生の出席を動機 用いて出席を確認 授で英語教育学者 者が学部生であっ
少の変更を加えて
毎回の授業で用い で説明し、2回目 し、丁寧に割る。
り箸はおよそ20 ンチメートル間隔 致する。余った5 記入する。別の素 やすい材料を用い 出席棒は回収し、
がくじのように一 ョンの練習が始ま 生とお互いに簡単 書かれた学習対象
Ⅰコミュニケーシ rchange2)を教科 れている文法事項
きているもので る。しかし、対象 聞き取ったりする ではないと学生は に座った学生から のではない上に、
緊張感をもって授
福井 龍太
- 52 - 活用
機づ 認す 者の った
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単に 象と ショ 科書と
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象と る活 はす ら順
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に参 れて かけ 業が 一 とや も可 今ま れる ュニ はじ 際に は、
学生 学生 に指 すく
(写真
出 後方 に、
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参加できる。早朝 てしまうことはな けるので、学生の が展開できるとい 一度に2本の出席 や、学生に出席棒 可能である。くじ までに話したこと る。十分なインフ ニケーションの機 じめは会話が途切 には、状況設定を 場所を駅や空港 生同士の関係を見 生であるとする、
指定すると、英語 くなるということ
真:学生によるペ
出席棒を用いる利 方に着席者が多く 友人・知人が隣 でコミュニケーシ に、英語ではなく なくなってしまう るが、筆者のコミ に座席移動を伴う てなかば強制的に 習させる。すると ことになり、新鮮 習が行える。この るという課題を課 ばならない上、成
朝や昼食後の授 ない。また、教員 の顔色を見なが いう利点がある。
席棒を引き、学 棒一式を渡して じを引くように任 とがなかった学 フォメーション 機会を即座に作 切れがちになっ を詳細にすると 港、コンビニエン
見ず知らずの他 あるいは時刻 語で会話を始め とである。
ペアでの会話の
利点は他にもあ く、前方には比 隣り合って着席 ションの練習を くて日本語を用 うことがある。席 ミュニケーショ うので適切では に新しいペアを と、普段話した 鮮でかつ緊張感 のペアで会話文 課すこともでき 成績評価にお互
授業であっても、
教員の側にも、学 がら、学生の能力
。
学生同士で会話を て、教員役をやっ 任意の学生が選 学生同士が会話す ンギャップを含む 作り出すことがで
てしまうことも 会話しやすくな ンスストア、学食 他人や、仲の良い 刻を平日の早朝や める際の取りかか
の様子)
ある。大学の教室 比較的少ないこと 席していることが を始めても、友人 用いはじめてしま 席順を指定する ンの授業はしば はない。この場合 をその場で作り、
たことがない学生 感のあるコミュニ 文を作り、それを る。協力して課 互いが影響するた
集中力が途切 学生みなに声を 力に合わせた授
をしてもらうこ ってもらうこと 選択されるので、
する機会が生ま む、自然なコミ できるのである もあるが、その なる。具体的に 食に指定する、
い友人、教員と や、休日の午後 かりが設定しや
室に足を運ぶと、
とが多い。さら が多い。この状 人同士であるが まい、練習にな るという方法も ばしば演習のた 合、出席棒を用 新しいペアで 生同士が話をす ニケーションの を練習して発表 課題に取り組ま ため、学生は緊
、
る。
、
張感を持って発 棒を教室前方の るように指示す 学生を生むこと 学生はいろいろ 先日、かつて筆 ンパスで声をか 関係が続いてい 業で、英語運用 るのであれば、
このような新た 業内で、繰り返 したからに他な さらに、出席 意の数のグルー ようにして作っ 返し行った。教 たニュース音声 カセットテープ 協力してディク 点しあったり、
全体で検討した 指した。
(写真:グループ
また、教科書 う項目があるが うために、無料 する工程を記録 毎に好みのもの 出席棒の活用 た出席確認を、
の訓練の場とす ある言語活動を 択肢である。
発表に取り組ん の席に一本ずつ すれば、授業中 とをも防げる。授 ろな学生とコミ 筆者の授業を受 かけてきて、筆者 いると言ってい 用能力だけでは これもまた学 たな学生同士の 返し良質なコミ ならない。
席棒を一度に数本 ープを作ること ったグループで 教科書のリスニ 声などをカセッ ププレーヤーを貸 クテーションを行 グループ代表 たりして、競っ
プリスニングの
書(Interchange) が、手順や行程 料で公開されて 録した映像(ザ・
のを選択し、英語 用は、これまで
即興性を帯び することができ を行わせるため
でくれる。場合 置いていき、そ に後方の席で授 授業の度に新し ュニケーション 講していた学生 筆者の英語の授業 た。英語コミュ なく、新たな人 学生の大きな財産 つながりが生じ ュニケーション
数本まとめて引く もできる。筆者 で、コミュニケー ング演習部分や トテープに録音 貸すことによっ 行い、答案を交 表に答案を板書し て正確なリスニ
の様子)
)には、料理の手 程を説明するとい
いる、工場で食
・メイキング)3)の 英語で説明する演
単なる事務的な び、即座に英語コ る。大学の英語 には、出席棒は
英語コミュニ
合によっては、出 そこに学生が着席 授業に集中できな しいペアを作るの ンを取ることと 生たちが大学のキ 業がきっかけで友 ュニケーションの 人間関係が構築で 産となるであろう じるのは、学生が ンを取ることに成
くことによって、
者の授業では、こ ーション活動を繰 やウェブから取得 音し、各グループ って、グループ毎 交換してお互いに してもらい、クラ ニング力の醸成を
手順を説明する いう演習をさらに 食品や日用品を製 の中から、グル 演習も行った。
な作業でしかなか コミュニケーショ 語の授業内で意味 はひとつの可能な
ニケーション授業
- 53 - 出席 席す ない ので、
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2.2
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(写真
業の実例報告
2 あなたな ンストーミ
受講当初は緊張し 年を通して英語に えられると、英語 感や喜びを悟るよ いて、まとまった になる。
このような学生の 見を英語で表出し 見を集約して主張 がる。筆者は、2 主催で行われた全 レインストーミン ンター長の発案に れた「学生と共通 生に密着したテー ョンの授業でも、
に、意見表出の練 仮定法の使用を考 学長だったら(If した。
出席棒によって教 分に切った大判用 る。まず、大判用 三重大学につい きるだけたくさん 善点に分類しても 改善点に着目し、
んな提言ができる う。最後にクラス 交換する。これを
真:ブレインス
ら三重大学を ミングと意見表
し、挨拶さえも によるコミュニ 語で自分を表現 ようになる。す た意見を述べる
の希望がみられ し、それらを学 張するという活 2010年11 全学FD「英語で ングと、201 により、三重大 通教育を語る会―
ーマ設定を参考 学生に三重大 練習を行わせた。
考え、授業内タ I were the presi
教室内に4人な 用紙(模造紙)と 用紙の上半分に いて思いつくこ んあげてもらう。
もらう。
もし自分たち るか、英語で大判 スでグループ毎 を授業1時間か
トーミングの様
をどう変える 見表出
ぎこちなかった ニケーションの機 現することに慣れ すると、何らかの ことに、学生は
れるようになった 学生同士で比較、
活動を行うと非常 月に三重大学国 で授業する」にお
2年1月に山本 大学共通教育セン 会―近くでトーク 考にして、英語Ⅰ 大学をよりよくす た。教科書で取り イトルは「もし ident of Mie Univ
ないしは5人のグ
、ペン、大きめ に、ブレインスト とを英語で付箋
。それを三重大
ちが三重大学の学 大判用紙の下半分 毎にまとめたもの かけて行った。
様子)
るか:ブレイ
た学生たちが、
機会を繰り返し れ親しみ、その の身近な事柄に は興味を持つよ
たとき、自分の 検討し、皆の 常に教室が盛り 国際交流センタ おいて実践した 本俊彦共通教育 ンター主催で行 ク―」における
Ⅰコミュニケー することをテー り上げられてい し私が三重大学 ersity, . . . )」
グループを作り めの付箋を配布 トーミングを行 箋に書き込んで、
大学の良い点と
学長だったら、
分にまとめても のを発表して意 た
、
、
学生は興味を ストーミングで が生み出された ることで改善し 語や、発表にも 地が少なくない って改善がはか 動を学生がする 些細な英語の訂 に活動を行わせ
(写真:発表の様
なお、作成 とにすると事前 おくことは、課 あらかじめ学生 オの撮影を行う クやBGMを準備 するといったこ 果的な言語活動
3. おわりに
本論では、筆 年3月)に担当 ーションの授業 うち、出席確認 教育の導入や、
える英語の身に いる。そのよう 英会話学校とも 今後とも問われ 本論のような教 ると思われる。
を持って英語を では一人あたり たわけではない。
していくものと も用いられた英語 いが、これにつ かられることが期 るのは初めてで 訂正を行うこと せた。
様子)
した大判用紙は 前に知らせてあ 課題により集中 生の同意を得た う、会場を通常 備する、授業を他 ことも、良い意 動を行うことを
に
筆者の三重大学在 した三重大学共 業において実践 認とグループ活 英会話学校の につけるための うな状況だから も異なる、「大 れることになる。
教員個人の小さ
用いて活動して 10個程度と、
。これについて 思われる。また 英語の正確さにつ いても繰り返し 期待される。た であったと言うこ はせず、相手に
は、記名の上、一 る。他人にも見 して取り組む動 上で、必要の範 常の教室と異なる 他のクラスの学 意味で発表の緊張 可能にする。
学在任中(2009 共通教育センター 践した英語教育の 活動について報告 増加からも見て 教育があらゆる こそ、小中高等 大学」における英
。この答えを導 な取り組みとそ
ていたが、ブレイ 期待した数の情 ては繰り返し訓練 た、書かれている ついても、改善の し練習することに ただ、このような こともあり、あま に伝えることを念
一定期間掲示す 見てもらうと言っ 動機となる。また 範囲内で写真やビ る場所にする、マ 学生や教職員に公 張感を高め、より
9年4月-20 ー英語Ⅰコミュ の様々な取り組み 告した。小学校英 て取れるように、
る場所で模索され 等学校とも異なり 英語教育のあり方 導き出すためには その報告が重要で
福井 龍太
- 54 - イン 情報 練す る英 の余 によ な活 まり 念頭
るこ って た、
ビデ マイ 公開 り効
12 ニケ みの 英語
、使 れて り、
方が は、
であ
注
筆者
参考
(1)高 (2) (3)科
=T
者メールアドレス
考文献・資料
高橋正夫『英語 Jack C. Rechar Cambridge Uni 科学技術振興機 [http://sc-sm THE+MAKING]
ス:ryutough@gm
料
語教育学概論(改訂 ds, Interchang iversity Press 機構, ザ・メイキ
mn.jst.go.jp/4/
gmail.com
改訂新版)』,金星 ge Third Editio s, 2005.
キング, サイエ 4/series.asp?i_
星堂,2000.
on Student Book
ンスチャンネル _ series_name
k, ル