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ビクトリア大学での在外研究

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Academic year: 2021

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ウルフソン・カレッジ内の宿舎フックスハウス

海外レポート

英国ケンブリッジでの在外研究

人文学部准教授 福 田 慎 司

一年間の在外研究を終えて既に半年以上が過ぎよ うとしていますが、いまだに知らず知らずのうちに ケンブリッジでの思い出にひたっている時がありま す。私にとってケンブリッジでの日々が、研究の面 でも私生活の面でも本当に充実したものだったから だと思います。

ケンブリッジ

ケンブリッジ市は、ロンドンから北北東へ電車で 約1時間の距離にある、ケンブリッジ大学を中心と する人口約15,0人の学園都市です。ケンブリッ ジ大学は19年の創立で80年以上の歴史があり、

中世を感じさせる街の中心部を歩くと、ニュートン やダーウィンがケンブリッジで過ごした時代へタイ ムスリップしたような気さえします。

ケンブリッジ大学ウルフソン・カレッジ

ケンブリッジ大学は31のカレッジで構成されてい ますが、私はそのうちの一つ、ウルフソン・カレッ ジのヴィジティング・フェローとして所属し、2 年9月から一年間過ごしました。このウルフソン・

カレッジは自ら「ケンブリッジ大学の中で最も国際 的なカレッジ」と呼んでいるくらい、実に様々な国 からの研究者や学生がいる場所でした。

私はカレッジの敷地内にあるアカデミック・ヴィ ジター用の宿舎フックスハウスで一年間過ごしまし たが、私のように一年間続けてカレッジに住む研究 者はあまりおらず、同じ宿舎の研究者もだいたい3 か月くらいで入れ替わる感じでした。そのおかげで イギリス、アメリカ、カナダ、フランス、スイス、

ルーマニア、ポーランド、ウガンダ等様々な国から 来た研究者達と共同使用のキッチンでお茶を飲みな がらざっくばらんに交流することができました。彼 らの多様なものの見方を知り、度々目からウロコが

落ちるような経験をしました。

ケンブリッジ大学ではカレッジで寝食をともにす る学生が多いので、卒業しても仲間意識やカレッジ への帰属意識が大変強いようでした。私もせっかく カレッジ内で生活をしているので、できるだけ学生 や教員と同じように生活してみることにしました。

昼食や夕食をなるべくカレッジのカフェテリアでと るようにしていると、段々と研究者や学生の知り合 いも増え、カレッジの一員としての仲間意識も芽生 えました。

ウルフソン・カレッジでは学期中にフォーマル ホールディナーといって教員や学生がガウンやスー ツを着て、一緒にディナーを食べる機会が週に二度 あります。カレッジのプレジデントやフェロー、専 攻の違う学生や世界各国から集まってきている研究 者達といろいろな話をしながら食事をするのですが、

相手の英語を聞き漏らさないように毎回緊張して食 事をしたのも今となっては良い思い出です。

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フォーマルホールディナーの様子

CUS の建物 カレッジの各部屋にはテレビを置けなかったので、

何か大きなイベントがあると、カレッジ中央にある クラブルームにスクリーンを張ってテレビ放映をし ていました。私の滞在中に、ケンブリッジ大学対オッ クスフォード大学のボートレース、女王陛下在位6 周年の記念行事やロンドンオリンピックがあり、そ の時はここに集まり、スクリーンに映し出された映 像を見ながらビール片手に談笑しました。なお、カ レッジ内にはバーもあり、毎日午後9時から午前0 時まで営業していました。

研究生活

文献を調べたり論文を執筆したりする時にはよく 図書館を利用しました。大学全体、各学部、各カレッ ジ等にそれぞれ図書館があり、ケンブリッジ大学全 体ではその数は10以上にもなります。ウルフソン・

カレッジの図書館は24時間いつでも利用できました。

私も集中して原稿を書く時などはよく利用しました。

なお、大学の試験期間中には朝6時から勉強してい る学生もいました。

また、私はケンブリッジ大学のランゲージ・セン ターにも所属し、博士課程の学生達とアカデミッ ク・イングリッシュを研究する機会を得ることがで きました。私の研究テーマの一つが、英語を母語と しない学習者がスピーキングスキルを効果的に身に 着けるにはどうすべきか、ということですので、留 学生も数多いケンブリッジ大学では研究対象に事欠 かず恵まれた環境でした。

また、研究対象の一つとしてケンブリッジ・ユニ オン・ソサイエティー(CUS)という大学のパブリッ

ク・スピーキングの団体にも所属しました。この CUSは15年 の 創 立 時 か ら 様 々 な 問 題 に つ い て ディベートをしています。学期中は毎週木曜日の午 後7時から2時間30分間くらいディベートが行われ ます。前半は学生が、そして後半はトピックによっ て毎回関連のゲストを呼んでディベートをしていま した。政治に関する問題の時は現職の国会議員を呼 んだり、人種差別問題の時はブラックパンサーの トップを呼んだりと、毎回様々なゲストが来ること に驚きました。

また、CUSではディベート以外にも有名なゲス トスピーカーを招いて講演をしてもらうことも数多 くありました。アメリカのテレビ番組『スタートレッ ク』の艦長役の俳優や、ミスユニバース世界大会出 場者、ノーベル平和賞受賞者などの話も聞きました が、映画好きの私は昔07役をしていたロジャー・

ムーアのスピーチを間近で聞くことができたのが最 も嬉しかったことでした。余談ですが、彼の講演中 に聴衆の中にいた学生の携帯電話が鳴ってしまいま した。みんながハッと息をのみ静まりかえった瞬間 にロジャー・ムーアは「もし私への電話なら、今は いないって言っておいて」と、とっさに機転の利い たコメントで会場を沸かせました。84歳になっても 映画の中のジェームス・ボンドのままでした。

CUSでは、聴衆を説得させるために論理的に話 すことはもちろん、うまくユーモアを使っている例 を数多く目の当りにできたことが、スピーチの研究 において大きな収穫でした。

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ケンブリッジ・スピーカーズ・クラブ

もう一つ私がスピーチの研究・実践の場として選 んだのが、ケンブリッジ市民に開放されているケン ブリッジ・スピーカーズ・クラブ(CSC)でした。

このクラブでは会員が2週間に一度ホテルの会議室 に集まり、2時間ほどスピーチや論評などをします。

私はケンブリッジ に 着 い て 早 々 にCSCの ミ ー ティングを見学に行ったのですが、当然ながら会員 のほとんどがネイティブスピーカーで、早口の英語 でスピーチをするので内容が理解できずに困りまし た。しかし、日本人で入会する人が珍しいというこ とで、会員の皆さんに毎回温かく接していただき、

半年後にはCSC内のスピーチコンテストにも出場 させていただくことができました。

最 後 に

ケンブリッジ滞在中、様々な機会を見つけては積 極的に英語で話すようにしていました。もちろん私 の英語の理解力不足で困ったことも多々ありました が、結局はお互いが相手の気持ちを分かろうとする ことで大半は解決できました。ケンブリッジで過ご したことで人と人とのコミュニケーションの大切さ を心から理解できた気がします。

この一年間に数多くの貴重な体験をすることがで きました。私の在外研究に関していろいろと支えて くださった本学関係者の皆様にこの場をお借りして 深くお礼申しあげます。

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海外レポート

ビクトリア大学での在外研究

経済学部准教授 栗 田 高 光

1年の夏より一年間、私はカナダのビクトリア 大学で在外研究を行いました。ビクトリアは、カナ ダ西部ブリティッシュ・コロンビア州の州都であり、

先年冬季五輪が開催されたバンクーバーにほど近い ところに位置しています。イギリス文化が息づくカ ナダ西部の街、ビクトリア。本稿では、ビクトリア の街や大学の雰囲気、私の研究概要などについて報 告したいと思います。

ビクトリア

北米大陸の開拓とともに発展をしてきた港町。

ヨーロッパの名所と比べると歴史が浅いことは否め ませんが、それを補って余りある魅力がビクトリア には詰まっています。白いヨットが陽の光を浴びて 輝くインナーハーバー、その奥に聳え立つ優美な州 議事堂、その横に落ち着きをもって鎮座するエンプ レス・ホテル、色とりどりの花々が咲き誇る遊歩道、

活気溢れるマーケット。ビクトリアの中心部は、天 気が良ければさながら絵画のような世界です。

一方、こうした華やかな街の中心部から少し歩く だけで、豊かなカナダの自然を感じさせる空間にめ ぐり会えます。街の南に位置する、生い茂る森のよ

うなビーコンヒル公園を抜けると、太平洋につなが る入り江が見えてきて、荒涼とした雰囲気漂う海岸 線にぶつかります。オグデン・ポイントと呼ばれる 灯台に続く小道を進むと、そのさきにはアザラシが 遊ぶ海原が広がっていきます。海の向こうには、ア メリカ西部に連なるオリンピック山脈の峰々が。バ ンクーバーにつながるこの海峡を北回りに上ってい くと、神々しく輝く氷河の故郷に辿り着く―そんな 思いがふとこみ上げてくる、カナダらしい自然。あ りきたりの表現ですが、魅力ある人工物と豊かな自 然が見事に調和している街、それがビクトリアと言

ビクトリアの海岸線

インナーハーバーの風景

ビクトリア中心部にある可愛らしいオブジェ

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ビクトリア大学の入口 えるでしょう。

私たち家族は、マーケットへの買い物のついでに よく散歩をしました。ビクトリアはコンパクトな街 ですから、歩いて回るのが一番です。地図を片手に 大きな通りから細い小道まで、歩き尽くした感があ ります。ビクトリアでは、親切で心優しき人々にも 数多くめぐり会いました。私たちにとって、第二の 素晴らしき故郷ができた気分です。

ビクトリア大学

カナダ西部を代表する総合大学。ビクトリアの北 東部に位置する巨大なキャンパスには、街中からバ スが頻繁に出ており、通学・通勤に不便を感じさせ ません。キャンパス内には大きな環状の道路が作ら れており、ここをバスが移動して目的の建物近くま で乗客を連れていってくれます。経済学部は環状道 路わきの赤茶色をしたビルに入っており、私個人の 研究室もその中にありました。眺めの良い快適な研 究室を一年にわたり自由に使わせてもらい、本当に 有難かったです。経済学部のカール・モスク教授が 私の受入れ教員であり、就労ビザの手続きや住い探 しなど公私にわたりお世話になりました。モスク先 生のご支援がなければ、こんなに充実した在外研究 生活を送れなかったと思います。モスク先生には深 く感謝しております。

経済学部の研究室や施設は一つのフロアにまと まっているので、多くの教員の方々とすぐに親しく なりました。特に、専門分野が近い方々とは、お互 いの研究内容について議論が盛り上がったことが何 度もありました。また、経済学部のクリスマスパー ティーにも招待をしていただき、家族ぐるみで親し くしてもらいました。カナダやアメリカのみならず、

ヨーロッパやアジアの国々出身の教員も多く、パー ティーでは色々な国の料理が持ち込まれ、国際色豊 かな雰囲気でした。休憩時間にバドミントンを一緒 にするなど、教員や大学院生の人たちとスポーツも 一緒に楽しみました。

学期中に開催される経済学部のセミナーは、私に とって大変有意義なものでした。学内外の研究者が 最新の研究成果を発表するセミナーは、研究を進め ていく上でいい刺激になりました。私と研究分野が 近い内容の発表では、質疑や議論を通じて得るとこ

ろが実に大きかったです。

ビクトリア大学は規模の大きな大学ですから、

キャンパス内では多数の研究者や職員、学生が行き かいます。芝生に寝転がって語り合う若者、コーヒー を手元に読書にふける教授、お昼時に人で溢れるカ フェテリア。いかにも北米圏の大学らしいキャンパ スライフが感じられました。語学学校も併設されて いて、時期によっては日本からの語学留学生も多数 いました。キャンパスですれ違う若者から日本語の 会話が聞こえてくると、福大の学生の皆さんを思い 出し、声をかけて応援したい気分になりました。

これまでと同様、経済時系列分析を中心とした研 究に取り組みました。まず実証面では、マクロ経済 や国際金融における諸現象について理解を深めるた め、様々な経済時系列データの分析を行いました。

経済の時系列データは確率トレンドによって非定常 な動きを示すことが多いので、共和分解析の手法な どを活用し、非定常性に配慮しながら説明力の高い モデルを推計しました。また、時系列データに構造 変化が起きている場合の対処法などについても、既 存の研究成果を踏まえつつ考察を行いました。

日本のみならず諸外国の時系列データも分析し、

インフレーションや金融政策に関して興味深い分析 結果を得ることができたのは、実証研究を今後さら に進めていく上で有益であったと思っています。ま た、為替レートについても、その時系列データを非 定常性や分散不均一性などに配慮して分析し、デー タが有する動学的特性などをかなり明らかにするこ

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とができたと思います。

共和分解析に必要な統計理論についても、実証研 究に役立つと思われる観点から、多面的に研究を進 めていきました。モンテカルロ・シミュレーション 等によって検定量の小標本特性などを調べつつ、そ の数学的な証明等を模索しました。現在もこの方向 の研究を継続して行っています。

ビクトリア大学では、二回にわたりセミナーを開 催し、研究発表を行いました。忙しいなか多くの先 生や学生の皆さんが出席して下さり、有益なコメン トや示唆に富む質問を数多くしてくれました。頂い たコメントのうちの幾つかは、その後、私が研究方 針を定めていくにあたり大変参考になりました。振 り返ると、実に有意義な研究発表であったと思いま す。

ビクトリアからバンクーバーへ行くには?

ここで話題を変えて、ビクトリアとバンクーバー を結ぶ交通機関についてお話ししたいと思います。

冒頭で述べたように、ビクトリアはバンクーバーに 近いのですが、両都市間には海峡があります。この ため、移動は小型飛行機かフェリーということにな ります。飛行機は速いですが値がはりますので、通 常はフェリーを利用することになりますね。ガイド ブックでは、フェリーと民間バスがセットになった サービスがよく紹介されています。民間バスがフェ リー内に直接乗り入れてくれるので、荷物が多い場 合は大変便利です。でも、値段を考えるなら市バス を利用した方がお得です。つまり、ビクトリア・バ ンクーバー市内は市バスをそれぞれ利用し、海峡を わたるフェリーには歩いて乗り込む、という利用の 仕方です。ビクトリアとバンクーバーを訪問される 際は、目的に応じて交通機関を使い分けるといいと 思います。

おわりに

ビクトリアでの一年間の在外研究は、本当に充実 したものでした。研究を進めたのみならず、休日を 利用してカナダの色々な地域を訪問することができ、

カナダ経済全体についても理解を深めることができ たと思います。このような実り多き在外研究の機会 を与えていただいた福岡大学関係者の皆様全員に、

この場をお借りして厚く御礼を申し上げたいと思い ます。また、モスク先生をはじめビクトリア大学関 係者の皆様にも、深く感謝申し上げます。この在外 研究で得た経験や知見を基に、今後さらに教育・研 究に頑張っていきたいと思います。

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参照

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