ダウン症幼児のコミュニケーションの発達における 音楽療法の試み
一 手 猷
F
歌を発達評価の指標として一障害児教育専攻
平 井 イ 邦 子I 問題と目的
言語活動の成立過程を発達的に見た場合は、
健常児は生後
1
年を過ぎた頃から、音声言語理 解、音声言語表出が急速に発達してしだO しか し、ダウン症幼児は音声言語理解の遅れを示し、特に音声言語表出の遅れが著しいD そこで、本 研究では、ダウン症幼児が他者からの働きかけ に対して、身体活動や発声、音声言語表出とい ったコミュニケーション能力が高次化されるこ とを目的とした音楽療法の有効性を検証する口 研究
1
では、一般的に子どもが好む手遊び歌を 使って、健常児を対象に手遊び、歌による評価を 実施し、年齢に応じた音声言語表出、それに動 {件莫倣の発達的様相を明らかにする。研究2で は、研究1での結果をもとに、ダウン症幼児を 対象に、音楽療法を行うことによって、コミュ ニケーションの成立を発達学的アフ。ローチから 考察する。E 研 究
研究
1
手遊び歌を指標としたコミュニケー ションの発達段階について1.研究方法
1
)対象児1.5歳児、 2.0歳児、 2.5歳児、 3.0歳児の 4 群に分けた健常児、計
38
名に対し実施した。2)
実施期間2003年
9
月17日' " ' ‑ ' 9
月27日に実施した。指導教員
星 山 麻 木3)
方法「おはなしゅびさん評価法Jを用いて、コミ ュニケーションの発達の成立を明らかにする ために、年齢群ごとに「動きの再生度J
r
歌詞・発声」の 2項目に分けて、評価法を実施し、
分析した。
4)
評価法の分析基準と得点化「動きの再生度
J
と「歌詞・発声」の 2項目 に対し、それぞれ0'""‑'4点の5段階の評定基 準を設け、各4
点満点として得点化した。2.結果
研究1ではこの手遊び歌を用いて、1.5歳か ら3.0歳児の健常幼児の動作模倣と音声言語表 出の2側面から捉えたコミュニケーションの発 達を明らかにした。健常児群で、研究1に示し たような年齢の増加に応じて高まったことは、
先行研究と一致した。
動作模倣の獲得過程において、各年齢群の中 央値を比較したところ、1.5歳児群と 3.0歳児 群、 2.0歳児群と 3.0歳児群の間において、有 意な差が認められた。
また、音声言語表出の獲得において、各年齢 群の中央値を比較したところ、隣り合った群間 においては、1.5歳児群と 2.0歳児群に、有意 な差が認められた。
3.考察
健常児の各年齢群の「動きの再生度jは、1.5 歳児群から 2.5歳児群の間に、動作模倣は、発
ηノ
ハ 同
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円/ ハ︼
達期の段階に入ることが示唆される。また、音 声言語表出の獲得過程において、語葉数の増加 が顕著に見られるのは、 1歳半を過ぎたころか ら、 2歳ごろまでの間であることが推察される口 動作模倣と音声言語表出の関連性においては、
音声言語表出の発達を高めるためには、動作模 倣を伴う指導のほうが、よりよいと考えられた。
研究2 ダウン症幼児への手遊び、歌を指標と したコミュニケーションの発達における音楽療 法の試み
1.研究方法
1)
対象児M療育園に通園している園児・対象児A
2)
実施期間・実施場所2003 年 9 月 ~2004 年 3 月間隔:週
1回、時間 1回20分程度、回数:23回 M 療育閣の地域交流室で実施した。
3)
方法毎セッションごとに導入部で「おはなしゅび さん評価法
J
を行う口実施方法は、研究1
に 準じて行う。 1セッションで2回実施してお り、 1回目を「第1試行J
、2回目を「第2試 行」とした。また、 M E P AとA S Cの発達 検査をセッション開始時とセッション終了時 に行なうようにした。4) r
おはなしゅびさん評価法Jの得点化 対象児の動作模倣や音声言語表出の反応を分 析するため、研究1に示した分析の基準と得 点化の方法に準じて、得点化した。2.結果
第 1試行、第2試行における「動きの再生 度
J r
歌詞・発声」の合計得点において、 16個 のカテゴリーと評価法実施回数に関して、ノン パラメトリックのフリードマン検定を行なった。その結果、「動きの再生度j、「歌詞・発声」の合 計の各群において、評価法実施の回数の経過に より、評価に有意な差が見られた。
( P < O . O O l )
また、乳幼児のコミュニケーション発達アセス メント
(ASC)
の検査の結果により、「要求伝 達系J
は変化がなかったが、「相互伝達系」と「音 声言語表出」は 1レベルの伸び、「音声言語理 解」は1.5レベノレの伸び、を示した。3.考察
研究 2の結果より、「おはなしゅびさん」のよ うに、動作模倣しながら、合わせて旋律を歌う ことができる乳幼児にあった手遊び歌は、身体 活動や音声言語の発達の促進に有効であること が検証された。
本研究によって、ダウン症幼児のコミュニケ ーションの発達について明らかにすることがで きた。従って、ダウン症幼児の健常児とは異な る特徴が明確になったという点において、有効 で、あったと考えられる。
E 全体考察
音楽療法を用いたセッションをダウン症幼児 に行う場合、対象児の発達段階を把握し、どの ような側面を高めるか目標を明確にし、見通し を立てたセッションが行われる必要がある。今 後の保育や療育の場面において、手遊び歌が、
乳幼児の発達評価の一指標として、有効になる のではないかと考えられる。
今後の乳幼児のコミュニケーションの発達の 把握を行う際には、健常児とダウン症幼児の両 方に手遊び歌を実施することによって、ダウン 症幼児の現段階の発達年齢をより明らかにし、
コミュニケーションの発達を促進するための、
一指標となりうると考えられる。
円︿Un同d
n / ω