<翻刻資料>新収資料紹介『西山宗因独吟百韻』の翻 刻
著者 森田 雅也, 雲岡 梓, 吉田 健剛
雑誌名 日本文藝研究
巻 65
号 1
ページ 93‑103
発行年 2013‑10‑10
URL http://hdl.handle.net/10236/11426
本 稿 は︑ 関 西 学院 大 学 図書 館 蔵﹃ 西 山 宗 因 独 吟 百 韻
﹄
︵30714/A−454/2
︶ の翻 刻で ある
︒本 書は
﹃西 山宗 因全 集 第 二巻
連 歌 篇 二﹄⑴
に 収 載さ れ る
﹃﹁ 朝 霧 や﹂ 百 韻﹄ の 異 本で あ る
︒﹃ 西 山宗 因 全 集﹄ の底 本 と な っ た 綿 屋 文 庫 本に は︑ 明石 人丸 山月 照寺 本︑ 沖森 文庫 本の 異本 が存 在 して いる こと は知 られ てい たが
︑昨 年度 関西 学院 大学 に 新収 され た本 書は その 沖森 文庫 本で ある
︒箱 裏に
﹁沖 森 文庫
﹂所 蔵印 があ り︑ 来歴 とと もに 相違 ない
︒端 作と 賦 物を 欠く 点や 本文 の異 同も 同様 であ る︒ なお
︑綿 屋本
・
月 照寺 本・ 本書 の三 本の 前後 関係 は不 明で ある
︒
︻書 誌︼ 底 本 関西 学院 大学 所蔵 本︒ 体 裁 紺色 料紙 巻子 装︒ 一軸
︒箱 入︒ 箱に は﹁ 西山 宗因 独吟 百韻
宗 因自 筆﹂ と墨 書さ れた 紙が 同封 され る︒ 見返 しに は松 が四 本並 び︑ その 上を 鳥が 三羽 群れ 飛ぶ 絵柄 が墨 で描 かれ る︒ これ は三 物﹁ 朝霧 やの ぼり ての 代の 岡の 松/ なが めは 尽ぬ 海づ らの
翻 刻 資料
新 収 資 料 紹 介
﹃ 西 山 宗 因 独 吟 百 韻 ﹄ の 翻 刻
森 田 雅 也 雲 岡
梓 吉 田 健 剛
新 収 資 料 紹 介
﹃ 西 山 宗 因 独 吟 百 韻
﹄ の 翻 刻
九 三
秋
/浦 風に 友よ ぶ千 鳥雁 啼て
﹂に 照応 する とみ ら れ る︒ 寸法
一 五・ 六× 二二 一・
〇︵ 糎︶
︒ 本紙 六枚 貼継
︒ 成立
延 宝二
︵一 六七 四︶ 年七 月一 一日
︒ 題簽
な し︒ 端作
な し︒ 賦物
な し︒ 印記
本 紙な し︒ 箱裏 に﹁ 上野 本町
沖 森蔵
﹂の 印︒ 異本
綿 屋文 庫所 蔵宗 因自 筆巻 子 本﹃
播州 明石 浦 人麿 社法 楽
賦御 何 連 歌 百 韻﹄
︑ 月 照寺 所 蔵 宗 因 自 筆 懐 紙﹃ 賦 御 何 連 歌 百 韻﹄
︻ 凡例
︼ 一︑ 本 稿の 底 本 に は関 西 学 院大 学 所 蔵 本 を 用 い た
︒﹃ 西 山宗 因全 集﹄ の翻 刻に 拠っ て︑ 綿屋 文庫 本︑ 月照 寺 本と 対校 し︑ 異同 を示 した
︒ 一︑ 異本 との 異同 は︑ 該当 箇所 に括 弧︵
︶ を付 して 示 した
︒な お︑ 綿屋 文庫 本を
﹁綿
﹂︑ 月 照寺 本を
﹁月
﹂
と 略記 した
︒ 一
︑翻 刻に 際し ては
︑以 下の 事項 を除 き︑ 原文 の表 記に 従 うこ とを 原則 とし た︒ 一
︑旧 字・ 異体 字は 原則 とし て通 行の 字体 に改 めた
︒ 一
︑本 文に は読 みや すさ を考 慮し
︑適 宜句 読点
・濁 点を 付 した
︒ 一
︑本 文中 の連 歌に は︑ 私に 番号 を付 した
︒ 一
︑端 作・ 賦物
・奥 書は 綿屋 文庫 本に よっ て補 った
︒
新 収 資 料 紹 介
﹃ 西 山 宗 因 独 吟 百 韻
﹄ の 翻 刻
九 四
︻翻 刻︼
︵綿
︑月
・延 宝二 年七 月十 一日 播州 明石 浦 人麿 社法 楽︶
︵ 綿︑ 月・ 賦御 何連 歌︶
宗因 1 朝 霧や のぼ りて の代 の岡 の松 2 な がめ は尽 ぬ海 づら の秋 3 浦 風に 友よ ぶ千 鳥雁 啼て 4 ま 砂地 てら す明 方の 月︵ 月・ 月の 明が た︶ 5 い とは やも むす ぶか 霜の 深き 夜に 6 草 の枕 の行 すゑ の空 7 立 まよ ふ雪 の遠 山あ らは れて 新
収 資 料 紹 介
﹃ 西 山 宗 因 独 吟 百 韻
﹄ の 翻 刻
九 五
8 窓 の外 なる 夕日 しづ けき 9
ウ
軒近 きな らの 広葉 の陰 涼し 10
こ ぬ秋 つぐ るひ ぐら しの 声 11
一 通雨 ふり すさ ぶ道 のべ に 12
袖 にも はら ふ草 むら の露 13
ま せの 内に さく 朝顔 の花 をゝ りて 14
あ かぬ なご りの
︵月
・な ごり は︶ しの ゝめ の月 15
涙 のみ とゞ め置 たる
︵綿
・か ねた る︶ こと の葉 に 16
を くれ じと こそ ちぎ る玉 のを 17
長 から ぬ此 世に かは る人 はう し 18
な らひ もは かな さか へお とろ へ 19
花 の色 にお しま るゝ こそ
︵綿
︑月
・お しま るゝ こそ 猶
︶日 数な れ 20
霞 なが れて ゆく 初瀬 川 21
春 なが らは げし くも ある か山 颪
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﹃ 西 山 宗 因 独 吟 百 韻
﹄ の 翻 刻
九 六
22 す ゞの しの 屋の あれ まさ る比 23
二
一夏 を送 る程 なく 冬籠 24
あ かつ き起 の衣 手の 霜 25
夜 はの 月白 きを みれ ば園 の菊 26
紅 葉み だれ て陰 あら はら し︵ 綿︑ 月・ 陰ま ばら 也︶ 27
入 鹿の 声吹 かへ す山 風に 28
か たへ はき ゆる 岑の うす 霧 29
引 すつ る雲 かと まが ふ瀧 の水 30
岩 ふむ かた はあ ふ人 もな き 31
み 吉野 は身
︵綿
・世
︶の うき 時の あら まし に 32
い かに 桜の この した の庵 33
暮 した る所 を春 のか り枕 34
都 はあ との 霞の みし て 35
遠 から ぬ舟 路も かな しす まの 浦 新
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﹃ 西 山 宗 因 独 吟 百 韻
﹄ の 翻 刻
九 七
36 沖 に見 る!
"
あ ら磯 の波 37
ウ
曇り 日の 影は 時雨 を先 だて ゝ 38
柴 かる おの こ急 ぐ帰 るさ 39
有 つき し栖 とて こそ 小野 の里 40
さ ぞな 嵐も
︵綿
︑月
・あ らし もさ ぞな
︶此 ごろ の秋 41
旅 衣う ちお もひ やる 槌の 音 42
ち ぎり やお なじ 袖に 置露 43
お も影 は夢 と成 にし 空の 月 44
古 き枕 のさ びし かた はら 45
床 の上 に塵 もい く夜 かつ もる らん 46
あ せた る池 には ぶく 水鳥 47
霜 氷い たく さえ たる
︵月
・寒 ぬる
︶朝 朗 48
さ ゝの 葉か しげ 絶!
"
の 道
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﹃ 西 山 宗 因 独 吟 百 韻
﹄ の 翻 刻
九 八
49 山 守に とへ ば奥 には 花も なし 50
春 もつ きぬ と鐘 は入 相 51
一
つれ
"
!と 門 さす 寺や 霞ら ん 52
を はれ ばか へる 法の 場人 53
去 し日 は︵ 綿︑ 月・ 去し 日を
︶し たふ も哀 遠ざ かり 54
夕 暮か けて 送る 江の 舟 55
水 広き 流れ の北 に飛 鴉 56
か た山 ぎは の松 のむ ら立 57
里 はた ゞ有 と計 のう す煙 58
軒 場は 雪や
︵綿
︑月
・雪 や軒 端を
︶う づみ はつ らん 59
あ さ衾 かさ ねて も猶 寒夜 に 60
わ かれ しい もは 夢に だに みず 61
物 おも ふ月 の比 しも 旅に して 62
涙 そへ てや 虫の なく らん 新
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﹃ 西 山 宗 因 独 吟 百 韻
﹄ の 翻 刻
九 九
63 た ふま じき やど りは 秋の あさ ぢふ に 64
風 野分 たつ 陰の 草垣 65
ウ
身を 尽す 賤が 山田 は安 から で 66
岩 関お とす 水の 引!
"
67 夏 しら ぬ砌 とな れる 松の もと 68
入 初る より 室静 也 69
わ らは やみ 今日 や心 ちも まぎ るら し︵ 月・ まぎ るら ん
︶ 70
み だれ し筋 も︵ 綿︑ 月・ 筋を
︶け づる 朝髪 71
移 香も
︵綿
︑月
・は
︶と がむ 計の 衣!
"
に 72
あ だ気 つき ぬる 袖の 粧 73
月 待と いひ てう かる ゝ夕
!"
74 い まだ 暑さ のの こる ころ ほひ 75
秋 の蝉 いま いく 程の 声な らん 76
森 の下 葉の 色ぞ かは れる
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﹃ 西 山 宗 因 独 吟 百 韻
﹄ の 翻 刻
一
〇
〇
77 吹 風は 神も いさ めず ちる 花に 78
霞 もな びく しめ 縄の 末 79
名
水口 の沢 小田 返す 時を えて 80
人 すだ くら し里 とよ む音 81
駅 路の 鈴ふ りは へて いそ がは し 82
東 の方 の︵ 月・ かた は︶ 明ぼ のゝ の雲 83
雪 の中 年の 内よ り春 立て 84
深 山住 居に 誰を 待ら ん︵ 綿・ らし
︶ 85
谷 の戸 も浮 世を かけ し︵ 綿︑ 月・ かく る︶ 一橋 86
か へら ぬ水 にむ かし をぞ みる 87
手 馴 し か︵
﹁か
﹂の 右 に
﹁影 や
﹂と 同 筆 後 補
︶硯 に 影 や︵ 綿・ かげ や硯 に︶ のこ るら ん 88
詩 を嘯 けば 月の さや けさ
︵綿
・月 ぞさ やけ き︶ 89
織 女を
︵綿
︑月
・七 夕を
︶祭 る夜 涼し 天つ 空 新
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﹃ 西 山 宗 因 独 吟 百 韻
﹄ の 翻 刻
一
〇 一
90 雲 井の 庭の 玉と 散露 91
桐 の葉 の風 につ けて も憂 思 92
恋 てふ もの よ秋 よ夕 よ 93
ウ
我 か ら と 知 も 涙 の︵ 月・ 我 か ら の な み だ と 知 も︶ こ ぼれ 添 94
心 のう らを 何た のむ らん 95
待 事の
︵綿
︑月
・待 事は
︶有 べき 老の 末な らで 96
山 柴の 屋に 山郭 公 97
そ ばだ つる 枕に 雨は 過け らし 98
あ けば 先み ん花 の朝 露 99
青 柳の 梢に 風は 治り て 100 春 行川 の鳥 の遠 近
︵ 綿・ 或人 依所 望︑ 染老 筆︒
七 十歳
宗︵ 花押
︶︶
新 収 資 料 紹 介
﹃ 西 山 宗 因 独 吟 百 韻
﹄ の 翻 刻
一
〇 二
註
⑴
﹃ 西 山 宗 因 全 集 第 二 巻 連 歌 篇 二
﹄︵ 八 木 書 店
︑ 二
〇
〇 七 年 八 月
︶ 本 研 究 は
︑ 科 学 研 究 費 基 盤 研 究
︵ C
︶︵ 課 題 番 号
:
2 4 5 2 0 2 5 2︶﹁ 地 方 談 林 俳 諧 文 化 圏 の 発 展 と 消 長
〜 西 鶴 の 諸 国 話 的 方 法 と の 関 係 か ら
〜
﹂ と し て 補 助 を う け た 成 果 の 一 つ で あ る
︒
︵ も り た ま さ や
・ 関 西 学 院 大 学 文 学 部 教 授
︶
︵ く も お か あ ず さ
・ 関 西 学 院 大 学 大 学 院 文 学 研 究 科 博 士 課 程 後 期 課 程
︶
︵ よ し だ け ん ご う
・ 関 西 学 院 大 学 大 学 院 文 学 研 究 科 博 士 課 程 前 期 課 程 二
〇 一 三 年 修 了
︶ 新
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﹃ 西 山 宗 因 独 吟 百 韻
﹄ の 翻 刻
一
〇 三