高炉スラグ細骨材に石灰石微粉末を内割添加したコンクリートの物性向上効果
名古屋工業大学大学院 学生会員 ○太田 健司 名古屋工業大学大学院 正会員 吉田 亮
竹本油脂株式会社 正会員 齊藤 和秀
JFE
ミネラル株式会社 正会員 吉澤 千秋 中部採石工業株式会社 正会員 牧 宗一郎1.
はじめに近年,コンクリート用材料として使用されている天 然骨材の枯渇や品質低下が社会問題となっており,収 縮低減効果などを有する高炉スラグ細骨材 1)がコンク リート用材料として注目されている.高炉スラグ細骨 材の使用により,コンクリートのフレッシュ性状の低 下が懸念される.一方,石灰石微粉末の添加によりブ リーディング率の低減2)など既往研究がある.
本研究では,フレッシュ性状を改善する目的で高炉 スラグ細骨材と石灰石微粉末を組合せたコンクリート の各種物性向上効果について検討を行った.
2. 実験概要 2.1 使用材料と配合
供試体は普通ポルトランドセメント,高炉スラグ微 粉末
(
比表面積4000 cm
2/g
,石膏無)
,水道水,大井川水 系産陸砂,福山産高炉スラグ細骨材,豊橋市産石灰石 微粉末(
比表面積2800 cm
2/g)
,岡崎産硬質砂岩砕石(Gmax=20 mm)
,高機能タイプAE
減水剤,消泡剤を使用し作製した.石灰石微粉末は細骨材の一部として置 換し,大井川水系産陸砂に対しては,置換量を
25
,50
,100 kg/m
3の3
水準とした.一方,高炉スラグ細骨材に対しては,置換量を
100,200 kg/m
3の2
水準とした.配合とフレッシュ性状を表-1に示す.
2.2 ブリーディング試験
φ
150
×300 mm
のブリキ製の円筒型枠を用い,測定は
JIS A 1123
に準拠して行った.2.3 細骨材の実績率試験
細骨材に対する石灰石微粉末の置換量をコンクリー トの配合と同一として,細骨材の実績率を測定した.
試験は
JIS A 1104
に準拠して実施した.2.4
圧縮強度試験φ
100
×200 mm
の円柱供試体を作製し,材齢7
日まで封緘養生した後,材齢
28
日まで温度20
±3
℃,湿 度60
±5%
の室内で気中養生を行った.試験はJIS A 1108
に準拠して測定を行った.2.5 透気試験
φ
100
×50 mm
の円盤供試体を作製し,材齢7
日まで 封緘養生した後,材齢28
日まで温度20
±3
℃,湿度60
± 5%の室内で気中養生を行った.試験は,負荷圧力を
0.2
~0.3 MPa
とし,水上置換により空気の透気量の測定を行った.
2.6 空隙量測定
供試体は,練上がり直後のフレッシュコンクリート を
5 mm
篩によりスクリーニングし,採取したモルタ ルを使用した.φ100
×50 mm
の円盤供試体を作製し,材齢
7日まで封緘養生した後,材齢 28
日まで温度20
±3
℃,湿度60
±5%
の室内で気中養生を行った.試料 は,円盤供試体の中央部分から一辺5 mm
程度の立方 体をミノとハンマーを用いて採取した.その後,前処 理として,アセトンに24
時間浸漬し化学的乾燥を行っ た後に,乾燥炉を用いて24
時間,40℃で試料の乾燥を
行った.試験は,真空吸水 → 乾燥過程(R.H.80%
,2
週間)
の順に湿度環境を変化させ,質量変化を測定した.3. 石灰石微粉末添加に因る細骨材実績率の向上と硬
化物性および空隙構造への影響圧縮強度試験結果を図
1
に,透気試験結果を図2
に 示す.各図において,石灰石微粉末の細骨材内割添加 によるコンクリート硬化物性への影響を見てみる.天 然骨材,高炉スラグ細骨材のどちらの細骨材において も,石灰石微粉末の添加量の増加に伴い,圧縮強度は 増加し,透気係数は減少する傾向がうかがえる.ただ し細骨材種によってその効果の大小に違いが見られる.N
とL100
,BS
とBS-L100
を比較すると,石灰石微粉 末添加による圧縮強度,透気係数の向上効果は,高炉キーワード:石灰石微粉末,高炉スラグ細骨材,細骨材の実積率,透気係数,圧縮強度,空隙量 連絡先:〒
466-8555
名古屋市昭和区御器所町 名古屋工業大学大学院TEL 052-735-5125
土木学会第68回年次学術講演会(平成25年9月)
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Ⅴ‑583
スラグ細骨材の方が天然骨材より大きいことがわかる.
表
1
に戻り,石灰石微粉末添加による細骨材の実績率 の増加について見ると,100 kg/m
3添加することによる 実績率の増加率はほぼ同程度であるが,実績率の値は 天然骨材の方が高炉スラグ細骨材よりも高い.実績率 の結果からは,高炉スラグ細骨材は歪な形状を持ち骨 材粒子間の充填に余地があることが想像される.その ため石灰石微粉末添加による間詰め効果が硬化物性の 向上により大きく寄与したことが考えられる.空隙量測定結果を図
3
に示す.各棒グラフの内訳は,真空吸水後に
R.H.80%環境にて乾燥したときの質量減
少量から算出した空隙量とその空隙量を真空吸水より 求めた全空隙量から差し引いた空隙量である.石灰石微粉末内割添加による空隙量への影響は,細 骨材種により傾向が異なる.高炉スラグ細骨材に対し ては,石灰石微粉末の添加量の増加に伴い空隙量が減 少するが,天然骨材では大きな変化が見られない.
空隙量と圧縮強度,透気係数および細骨材実績率の 関係を,それぞれ図
4~6
に示す.高炉スラグ細骨材では,空隙量と圧縮強度に負の相関が,透気係数とは正 の相関が明確に表れている.また,空隙径ごとに空隙 量と硬化物性の関係について検討したが,大きな差は 見られなかった.
4. まとめ
石灰石微粉末の内割添加は,高炉スラグ細骨材を使 用したコンクリートの圧縮強度および透気係数を向上 させる.細骨材実績率の増加および空隙量からも,細 骨材粒子間を石灰石微粉末が充填し,組織を緻密にし ていることが推察される.
謝辞:竹本油脂株式会社 小林竜平氏,野田貴寛氏には 実験の実施にあたり多くの御協力を頂きました.ここ に記し深く感謝致します.
参考文献:1)齊藤和秀ほか:収縮低減剤と高炉スラグ 細骨材を使用したコンクリートの性質,コンクリート 工学年次論文集,
2013.7 (
掲載予定)
2
)鶴田昌宏ほか:細骨材の一部を石灰石微粉末で置換 したコンクリートの諸物性,コンクリート工学年次論 文集,Vol.26,No.1,pp.99-104,2004Bq 実績率
C W OS BS LSP OG SP1 消泡剤 (cm3/cm2) (%)
N 60 858 - 2.75 9.9 1.9 19.8 0.17 71.2
L25 55 835 25 1.38 7.0 1.7 19.6 0.13 73.8
L50 51 812 50 1.38 6.6 1.7 19.5 0.11 75.3
L100 44 763 100 2.75 9.8 1.8 20.0 0.07 77.0
BS 60 912 - 2.75 - - 19.0 0.12 62.9
BS-L100 44 811 100 2.75 - - 19.3 0.10 68.4
BS-L200 35 710 200 3.85 6.5 2.8 19.5 0.07 70.9
1.4
BS:高炉スラグ細骨材 LSP:豊橋市産石灰石微粉末 1048
-
60 275 165
- 供試体
種別
C.T (℃) W/B
(%) W/P (%)
スランプ (cm)
単位量(kg/m3) 空気量
(%)
表
1 配合,フレッシュ性状および石灰石微粉末を添加した時の細骨材実績率
図
1 圧縮強度試験結果
図2 透気試験結果
図3 空隙量測定結果
図
4 圧縮強度と空隙量の関係
図5 透気係数と空隙量の関係
図6 実績率と空隙量の関係
0 10 20 30 40 50
1 10 100
0.00 0.04 0.08 0.12 0.16 0.20
圧縮強度(N/m2) 透気係数(×1017m2) 空隙量(ml/ml)
真空吸水によって得る全空隙
乾燥過程R.H.80%で開放される空隙
R² = 0.20 R² = 0.72
R² = 0.15 R² = 0.68
20 30 40 50
0.00 0.05 0.10 0.15 0.20
R² = 0.54
R² = 0.81
R² = 0.98
R² = 0.77 1
10 100
0.00 0.05 0.10 0.15 0.20
R² = 0.15 R² = 0.82
R² = 0.77
R² = 0.79
60 70 80
0.00 0.05 0.10 0.15 0.20
空隙量(ml/ml) 空隙量(ml/ml) 空隙量(ml/ml)
透気係数(×1017m2) 実績率(%)
圧縮強度(N/m2)
天然骨材 ▲:全空隙,△:R.H.80%で開放される空隙 スラグ細骨材 ◆:全空隙,◇:R.H.80%で開放される空隙
土木学会第68回年次学術講演会(平成25年9月)