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損傷した PC 箱桁橋プレキャストセグメント継目部の計測

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Academic year: 2022

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(1)

損傷した PC 箱桁橋プレキャストセグメント継目部の計測

首都高技術株式会社 正会員 ○布施 光弘 首都高速道路株式会社 正会員 山本 泰幹

同 上 佐藤 あすみ 1.はじめに

3 径間連続 PC 箱桁橋と 2 径間連続 PC 箱桁橋の 2 橋からなる橋梁において,径間の 1/4 点付近のセグメント 間継目の下床版に,貫通した目開きが平成 21 年 1 月の定期点検で発見された.本橋梁は,昭和 53 年 7 月に供 用が開始されプレキャストセグメント工法により架設されている.

損傷発見後,直ちに橋梁の監視と目開き幅の経時計測を行うとともに,建設時にセグメント引寄せに使用し た鋼材定着突起のシース孔を利用して,PC 鋼より線を設置する応急対策を行い,安全を確保した.その後,

恒久対策として,目開きが開閉しないように外ケーブルと炭素繊維補強を併用した補修を行った.本報告は,

荷重車による動的載荷試験等を実施することで補修効果を検証した結果について述べるものである.

2.損傷原因の推定と補修方針

損傷が確認された橋梁は,2 層構造となっており,3 径間連続 PC 箱桁橋の上層は,中央支点 2 箇所を固定支 承とし,橋軸方向の水平力を分散している.下層は,乾燥収縮,温度変化の下部構造に対する影響が大きいた め,1 点固定となっている.また,2 径間連続 PC 箱桁橋は,2 点固定であるが,橋軸方向の水平力を適当な比 で橋台と橋脚に分散するように設計されている.

確認された目開きは最大幅1.1mmであり,発生位置は,径間の1/4点付近における正負交番位置のブロック 間継目であった(図-1参照).当該ブロック間継目の隙間は,下床版からウェブへと進展しており,下床版に は,PC鋼材の定着部が継目の両側に配置されている.一部その隣の継目にも目開きが見られる.

目開きが生じた原因は,PC 鋼材の定着部が継目の両側に配置されている影響に加え,上床版と下床版の温 度差の影響,および温度低下時に可動支承の移動拘束が生じている影響により引張応力が生じ,曲げモーメン トの小さな(符号が正・負となる)部分のブロック間継目の下床版に,目開きが発生したものと考えられる

1)

補修工事は,目開き幅が比較的大きい下層から優先して行った.補修にあたっては,継目の目開きの進行を 防ぐため,活荷重で継目が開閉しない補修方針のもと,図-2のような補修工事を行った

1)

補修は,目開きへエポキシ樹脂の充填,外ケーブル補強,炭素繊維補強の順で行う.外ケーブルを配置した とき,当該継目の下床版の応力度は,死荷重時に圧縮状態となる.活荷重および温度差で生じる引張応力に対 しては,炭素繊維補強で負担させるようにした.

3.損傷対応における計測

補修前に目開きに生じたセグメント間継目の安全性が確保されていることを計算にて確認した.それと同時 に,目開きの急激な状態の変化がないかどうかを監視する目的で,図-3測点位置の下床版と側壁の目開きに

図-1 PC 箱桁セグメント間継目の目開き損傷状況

キーワード PC 箱桁橋,プレキャストセグメント,目開き,補修,ひずみ計測,載荷試験 連絡先 〒221-0045 神奈川県横浜市神奈川区神奈川 2-6-4 首都高技術(株) TEL045-461-6159

下床版 目開き

鳥瞰図

目開き 定着部 定着部

下床版

3 径間連続 PC 箱桁橋

土木学会第66回年次学術講演会(平成23年度)

‑295‑

Ⅴ‑148

(2)

対して,目開きを挟むように,π型変位計を設置し,継目の目開きの変化を計測した.計測は,初期計測値を 0.0mmに設定し,損傷発見時より補修工事完了までの間,24 時間監視した.計測システムは,30 分毎にデー タを収集し,収集時に同じ値の出現回数の多いもの(活荷重の影響が少ない状態での計測値)を記録した.異常 な挙動が計測された場合は,リモートセンシングにより緊急報告を行えるようなシステムを構築した.

補修効果を検証するために,20 トン荷重車による動的載過試験を行い,活荷重で目開きが開閉しないこと を確認した.外ケーブル補強によって目開き部が圧縮状態に変化することを検証するためには,目開き部すぐ 脇の下床版と側壁にひずみゲージを設置し計測した.計測は,コンクリートのひずみを連続的に捕らえる必要 があるため,サンプリング周期を 100Hzとする動ひずみ測定器にて実施した.

4.計測結果

図-4に 20 トン荷重車が時速 60km/hで走行したときの 3 径間連続 PC 箱桁橋における下床版の目開き幅の振 幅量を示す.エポキシ樹脂は,当初,目開きの間詰め効果のみを期待していたが,その充填後に動的載荷試験 を行った結果,エポキシ樹脂充填前には,荷重載荷時に図-4,a)のように目開きが 0.2mm程度振幅していた のに対し,図-4,b)の通り,目開きの変動がなくなり,接着(拘束)の効果が見られている.また,外ケーブ ル補強後および炭素繊維補強後においても,目開きの変動は見られない.一般通行車両通過時の目開き幅の振 幅量も計測したが,B 活荷重による曲げモーメントの 4 割程度に相当する最大 48 トンの車両(直近の集約料 金所の軸重計にて計測)が通行した際にも,図-4,c)の通り目開きの変動は見られなかった.2 径間連続 PC 箱桁橋においても同様の結果が得られている.継目すぐ脇の下床版に設置したひずみゲージの計測結果より,

エポキシ樹脂の硬化中にひずみが変化するゲージがあり,外ケーブル補強によってコンクリートに圧縮ひずみ が導入され,外ケーブル緊張後,時間が経過するにつれて全てのゲージが圧縮状態になることが確認された.

5.おわりに

補修工事前後の継目の目開き量の変化量をπ型変位計で計測した結果,計測期間中,目開きの急激な変化は 見られず,補修工事の結果,活荷重や温度変化によって目開きが開閉しないことが確認された.また,補修前 後の各種計測結果の比較により,補修の効果が確認され,本計測は有効なものであった.今回の計測結果から 良好な補修効果が得られたため,引き続き上層も同様の補修方法にて行い,平成 23 年内に全ての補修工事が 完了予定である.

図-2 補修後の目開き状態変化の模式図(側面図) 図-3 計測位置図(側面図)

図-4 下床版の目開き幅の振幅量の計測結果

参考文献 1) 山本泰幹ら,首都高速三ツ沢線南軽井沢PC橋の損傷補修の設計と計測,PC技術協会第19回シンポジウム論文集,2010,10

-0.1mm 0mm 0.1mm 0.2mm 0.3mm 0.4mm 0.5mm 0.6mm 0.7mm

0 10 20 30 40 50 60

車両重量(トン)

損傷発見 応急対策 外ケーブル補強 炭素繊維補強

-0.15 mm -0.10 mm -0.05 mm 0.00mm 0.05mm 0.10mm 0.15mm 0.20mm

0 5 10 15 20 25

sec

-0.1mm 0.0mm 0.1mm 0.2mm 0.3mm 0.4mm 0.5mm

損傷発見時 応急対策後 樹脂充填後 外ケーブル補強 炭素繊維補強

測点1 測点5 測点6

2径間連続PC箱桁 3径間連続PC箱桁

測点1 測点6測点5

測点7 測点8 測点10

09/05/19 0:05

応急対策ケーブル補強後(測点6)

b)下床版の目開き幅振幅量

(3 径間連続 PC 箱桁橋 下層)

振幅量

a)20 トン荷重車載荷重時の目開き幅振幅量

応急対策ケーブル補強後

目開きの変動無し

c)通行車両重量別目開き幅振幅量

(3 径間連続 PC 箱桁橋 測点 6)

:箱桁内面より外部の光が見える目開き

:箱桁内面より外部の光が見えない目開き

目開きの変動無し

《補修後(死・活荷重時)》

外ケーブル補強

炭素繊維補強 継目が開閉しない

既設ケーブル

土木学会第66回年次学術講演会(平成23年度)

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参照

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