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も く じ KeCoFuプロジェクトの 概 要 各 分 科 会 の 連 携 実 践 平 成 23 年 度 KeCoFu プロジェクト 2

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全文

(1)

プロジェクト

Ke

y

Co

mpetency of

Fu

kushima

Fu

zoku

(2)

KeCoFuプロジェクトの概要

 「KeCoFu プロジェクト」とは…

      

 「自己デザインができる人間」とは…

      

 「自己デザインができる人間」に育みたいキー・コンピテンシーとは…

      

 「KeCoFu プロジェクト」における各校園の研究

      

 「KeCoFu プロジェクト」の推進組織

      

 「KeCoFu プロジェクト」の歩み

      

各分科会の連携実践

 国語科分科会

11

      

 社会科分科会

18

      

 算数科・数学科分科会

25

      

 理科分科会

31

      

 音楽科分科会

37

      

平成 23 年度 KeCoFu プロジェクト

(3)

KeCoFuプロジェクトの概要

 「KeCoFu プロジェクト」とは…

      

 「自己デザインができる人間」とは…

      

 「自己デザインができる人間」に育みたいキー・コンピテンシーとは…

      

 「KeCoFu プロジェクト」における各校園の研究

      

 「KeCoFu プロジェクト」の推進組織

      

 「KeCoFu プロジェクト」の歩み

      

各分科会の連携実践

 国語科分科会

11

      

 社会科分科会

18

      

 算数科・数学科分科会

25

      

 理科分科会

31

      

 音楽科分科会

37

      

平成 23 年度 KeCoFu プロジェクト

 

 図画工作科・美術科・技術科分科会

43

      

 家庭科分科会

51

      

 体育科分科会

59

      

 道徳分科会

65

      

 特別活動分科会

73

      

 外国語活動・英語科分科会

67

      

 保育・生活・低学年分科会

73

      

 個別支援分科会

82

      

(4)

KeCoFuプロジェクトの概要

「KeCoFuプロジェクト」

とは…

 福島大学附属四校園(幼稚園,小学校,中学校,特別支援学校)が,新しい連携の在り

方を目指して立ち上げたのが「KeCoFu プロジェクト」です。その大きな特徴は,校種を超

えて求める人間像を共有していることです。わたしたちは,求める人間に育みたい資質や

能力を KeCoFu(Key Competency of Fukushima Fuzoku)として設定し,同じまなざしで日々

の授業に取り組んでいるのです。

「自己デザインができる人間」

育みたいキー・コンピテンシーとは…

問い続ける力

人間関係をつくる力

自分を見つめる力

未知のものに出合いたい

という思いをもち,自ら

の課題を主体的に解決す

る力

異なる意見や他者の考え

を受け入れ,自分とのか

かわりを見いだし,より

よい関係を創り上げる力

自分の行動や内面を振り

返り,自分らしさを自覚

する力

「自己デザインができる人間」

とは…

「自分を見つめ,自分で生き方を創っていくことができる人間」

・ この自然や社会に生きる一員として,

何をすべきかを考えること

・ 自分にとって,学ぶということにどの

ような意味や価値があるのかを考える

こと

・ 自分のよさや可能性について考えるこ

・ 「なってみたい自分」を思い描くこと

・ その姿に向かって,自分はどのように

したらよいのかを考え,自分で意志決

定を行い,新しい一歩を歩み出すこと

(5)

KeCoFuプロジェクトの概要

「KeCoFuプロジェクト」

とは…

 福島大学附属四校園(幼稚園,小学校,中学校,特別支援学校)が,新しい連携の在り

方を目指して立ち上げたのが「KeCoFu プロジェクト」です。その大きな特徴は,校種を超

えて求める人間像を共有していることです。わたしたちは,求める人間に育みたい資質や

能力を KeCoFu(Key Competency of Fukushima Fuzoku)として設定し,同じまなざしで日々

の授業に取り組んでいるのです。

「自己デザインができる人間」

育みたいキー・コンピテンシーとは…

問い続ける力

人間関係をつくる力

自分を見つめる力

未知のものに出合いたい

という思いをもち,自ら

の課題を主体的に解決す

る力

異なる意見や他者の考え

を受け入れ,自分とのか

かわりを見いだし,より

よい関係を創り上げる力

自分の行動や内面を振り

返り,自分らしさを自覚

する力

「自己デザインができる人間」

とは…

「自分を見つめ,自分で生き方を創っていくことができる人間」

・ この自然や社会に生きる一員として,

何をすべきかを考えること

・ 自分にとって,学ぶということにどの

ような意味や価値があるのかを考える

こと

・ 自分のよさや可能性について考えるこ

・ 「なってみたい自分」を思い描くこと

・ その姿に向かって,自分はどのように

したらよいのかを考え,自分で意志決

定を行い,新しい一歩を歩み出すこと

(6)

「KeCoFuプロジェクト」

における各校園の研究

 福島大学附属四校園の教職員が,同じまなざしで子どもを育てていこうという理念の基,各校

園の教育研究の中で KeCoFu を育んでいます。

附属幼稚園

附属小学校

【研究主題】

「保育を見つめ直す」

−学びの物語を通してのカリキュラム作り−

【育みたい資質や能力】

○ 関心をもつ

○ 熱中する

○ 困難や不確実なことに取り組む

○ コミュニケーションする

○ 責任ある行動をする

附属中学校

【研究主題】

「学び続ける生徒の育成」

【研究概要】

 わたしたちは,子どもたちの「わかる

ようになりたい」「できるようになりた

い」という思いや願いを大切にし,教科

の面白さや学びの楽しさを味わわせなが

ら,「学び続ける生徒」を育成する授業

をしていきたいと考えました。そのため

に,教師一人一人の「自己決定」と「自

律性」を重視する環境を共同研究の中に

取り入れ、日々の授業を充実させようと

実践研究を進めています。

【研究主題】

「今を生き,未来を拓く子どもの育成」

【育みたい資質や能力】

○ あゆみだす力

 「ひと・もの・こと」とのつながりの中で, 豊かに感じ,問いを見いだす力

○ おいもとめる力

 自らの見方や考え方,感じ方を大切にし, 「ひと・もの・こと」とのつながりを深め ながら追究し続ける力

○ いみづける力

 「できるようになった自分」や「まだま だな自分」を見つめ,「なってみたい自分」 に近付こうとする力

附属特別支援学校

【研究主題】

「人間関係を育む授業の在り方」

 キー・コンピテンシーの一つでもある

「人間関係をつくる力」について,焦点化

して研究を進めています。

【目指す児童生徒像】

小学部… 生き生きと意欲をもって生活

する児童

中学部… 自ら考えて取り組み,共に学

び合い,高め合う生徒

高等部… 自ら考え,判断しながら活動

に取り組み成し遂げる生徒

附属四校園で求める人間像

「自己デザインができる人間」

育みたいキー・コンピテンシー

(資質や能力)

問い続ける力/人間関係をつくる力/自分を見つめる力

(7)

「KeCoFuプロジェクト」

における各校園の研究

 福島大学附属四校園の教職員が,同じまなざしで子どもを育てていこうという理念の基,各校

園の教育研究の中で KeCoFu を育んでいます。

附属幼稚園

附属小学校

【研究主題】

「保育を見つめ直す」

−学びの物語を通してのカリキュラム作り−

【育みたい資質や能力】

○ 関心をもつ

○ 熱中する

○ 困難や不確実なことに取り組む

○ コミュニケーションする

○ 責任ある行動をする

附属中学校

【研究主題】

「学び続ける生徒の育成」

【研究概要】

 わたしたちは,子どもたちの「わかる

ようになりたい」「できるようになりた

い」という思いや願いを大切にし,教科

の面白さや学びの楽しさを味わわせなが

ら,「学び続ける生徒」を育成する授業

をしていきたいと考えました。そのため

に,教師一人一人の「自己決定」と「自

律性」を重視する環境を共同研究の中に

取り入れ、日々の授業を充実させようと

実践研究を進めています。

【研究主題】

「今を生き,未来を拓く子どもの育成」

【育みたい資質や能力】

○ あゆみだす力

 「ひと・もの・こと」とのつながりの中で, 豊かに感じ,問いを見いだす力

○ おいもとめる力

 自らの見方や考え方,感じ方を大切にし, 「ひと・もの・こと」とのつながりを深め ながら追究し続ける力

○ いみづける力

 「できるようになった自分」や「まだま だな自分」を見つめ,「なってみたい自分」 に近付こうとする力

附属特別支援学校

【研究主題】

「人間関係を育む授業の在り方」

 キー・コンピテンシーの一つでもある

「人間関係をつくる力」について,焦点化

して研究を進めています。

【目指す児童生徒像】

小学部… 生き生きと意欲をもって生活

する児童

中学部… 自ら考えて取り組み,共に学

び合い,高め合う生徒

高等部… 自ら考え,判断しながら活動

に取り組み成し遂げる生徒

附属四校園で求める人間像

「自己デザインができる人間」

育みたいキー・コンピテンシー

(資質や能力)

問い続ける力/人間関係をつくる力/自分を見つめる力

「KeCoFuプロジェクト」

の推進組織

A 附属四校園協議会

 附属四校園運営かかわる案件を協議する機関であり,KeCoFu プロジェクト会議で決定された内容を確認・ 承認する機関である。

B KeCoFu プロジェクト会議

 KeCoFu プロジェクト運営委員会からの案件についての協議・決定を行う機関である。

C KeCoFu プロジェクト運営委員会

各校園の研究部長や研究委員長で組織され,KeCoFu プロジェクトの推進計画を見直したり,新たな計画 案を作成したりするとともに,上部組織のプロジェクト会議の進行・提案や各校園職員への連絡・通知を行う。

D 附属四校園各分科会

 23年度は,13分科会で編制されており,構成メンバーは,附属四校園教員と大学教員である。随時, 連絡を取り合い,連携実践の検討や参観,事後の協議,実践を基にした事例集の作成を行っている。

E 学校支援対応グループ

 附属四校園を全体的にサポートする組織である。プロジェクト推進に必要な大学教員の講師派遣や大学教 員の協力者依頼,附属四校園教員と大学教員との連絡調整等の窓口となっている。

A 附属四校園協議会(確認・承認機関)

(各学校園正副校園長・附属学校園支援室長)

E 学校支援対応

グループ

人間発達文化学類 (統括:学類長) (窓口:教 授)

附属四校園運営会議(主催:学長)

附属四校園運営協議会(主催:教育担当副学長)

B KeCoFu プロジェクト会議

(協議・決定機関)

(各学校園正副校園長・教務・研究部)

C KeCoFu プロジェクト運営委員会

(企画・立案機関)

(各学校園教育研究部長[4名])

D 附属四校園各分科会

教育研究部 教育研究部 研究委員会 教育研究部 附属幼稚園 附属小学校 附属中学校 附属特別支援学校

福島大学附属四校園

福島大学

相 談 協 議 指 導 要 請 指 導 支 援 講 師 派 遣 コーディネイト 検 証 支 援

(8)

 各校園の研究部長からなる「KeCoFu プロジェクト運営委員会」で運営について立案し,

「KeCoFu プロジェクト会議」で協議して方向性を定め取り組んできました。

○ 各校園の研究についての情報交換

○ 新たな連携の必要性の確認

○ 求める人間像の設定

○ 各校園研究との関連性の明確化

○ 連携実践開始

○ KeCoFu パンフレット作成

○ 連携実践

○ KeCoFu ブックレット作成

○ 組織改編

○ 情報発信・連携の充実(HPの開設,グループメールの活用)

○ 連携実践授業の充実(連携実践を通した成果と課題の明確化,連携実

践報告集の作成,事後研究会の充実)

○ 連携の深化

○ 研究集録作成

○ KeCoFu プロジェクトの見直し

「KeCoFuプロジェクト」

の歩み

19

年度

20

年度

21

年度

22

年度

23

年度

24

年度

(9)

 各校園の研究部長からなる「KeCoFu プロジェクト運営委員会」で運営について立案し,

「KeCoFu プロジェクト会議」で協議して方向性を定め取り組んできました。

○ 各校園の研究についての情報交換

○ 新たな連携の必要性の確認

○ 求める人間像の設定

○ 各校園研究との関連性の明確化

○ 連携実践開始

○ KeCoFu パンフレット作成

○ 連携実践

○ KeCoFu ブックレット作成

○ 組織改編

○ 情報発信・連携の充実(HPの開設,グループメールの活用)

○ 連携実践授業の充実(連携実践を通した成果と課題の明確化,連携実

践報告集の作成,事後研究会の充実)

○ 連携の深化

○ 研究集録作成

○ KeCoFu プロジェクトの見直し

「KeCoFuプロジェクト」

の歩み

19

年度

20

年度

21

年度

22

年度

23

年度

24

年度

各分科会の連携実践

(10)

連携実践ページの見方

○○科分科会

【振り返りページ】

【各分科会】

【成果と課題ページ】

【連携実践概要ページ】

連携実践を振り返って * 今年度の分科会の取り組みに関しての 総括を各自の視点から述べています。 * 参 会 者 の 立 場 として,KeCoFu の視点からの省 察を述べていま す。 * KeCoFuを育むこ とにかかわる教師 の働きかけについ て( )で示してい ます。 * 連携実践授業や分科会の取り組みにお ける成果と課題について述べています。 * 授業者として KeCoFuの視点で振り返 り,自評を述べています。 * 連携実践を通して,KeCoFuにかかわる見 いだしたい点や深めたい点について述べ ています。 * 連携実践授業について,KeCoFuに焦点 を当てて記述しています。 成果と課題 大学の先生から 連携実践の実際 学習活動・内容 教師の働きかけ

川 崎 修 司

宍 戸 寛 昌

金 澤 洋 祐

佐 藤 崇 史

渡 邉 文 暁

小 野 美 花

小 野 周 平

中 村 哲 也

小 学 校 :

中 学 校 :

特別支援学校:

大 学 :

国語分科会として,KeCoFu の3つの力をどう捉えるかを話し合い,各学校で共有していった。  ① 問い続ける力 ・ 疑問をもたせることは,語彙を増やすこととの相乗効果で問い続けることにつながる。 ・ 教師から何をどう問いかけるかが授業における主なかかわりとなる。  ② 人間関係をつくる力 ・ 言葉を通して気持ちが伝わる心地よさを感じさせることが,人間関係をつくる力につながる。  ③ 自分を見つめる力 ・ 思いや気付き,思考や感情を言葉にすることによって,自分自身を見つめることができる。 ・ 自分ができるようになったことを見つめさせることが,自信や安心につながる。 以上のことを踏まえ,授業実践を行った。

平成 23 年度 KeCoFu プロジェクト

国語科分科会

(11)

連携実践ページの見方

○○科分科会

【振り返りページ】

【各分科会】

【成果と課題ページ】

【連携実践概要ページ】

連携実践を振り返って * 今年度の分科会の取り組みに関しての 総括を各自の視点から述べています。 * 参 会 者 の 立 場 として,KeCoFu の視点からの省 察を述べていま す。 * KeCoFuを育むこ とにかかわる教師 の働きかけについ て( )で示してい ます。 * 連携実践授業や分科会の取り組みにお ける成果と課題について述べています。 * 授業者として KeCoFuの視点で振り返 り,自評を述べています。 * 連携実践を通して,KeCoFuにかかわる見 いだしたい点や深めたい点について述べ ています。 * 連携実践授業について,KeCoFuに焦点 を当てて記述しています。 成果と課題 大学の先生から 連携実践の実際 学習活動・内容 教師の働きかけ

川 崎 修 司

宍 戸 寛 昌

金 澤 洋 祐

佐 藤 崇 史

渡 邉 文 暁

小 野 美 花

小 野 周 平

中 村 哲 也

小 学 校 :

中 学 校 :

特別支援学校:

大 学 :

国語分科会として,KeCoFu の3つの力をどう捉えるかを話し合い,各学校で共有していった。  ① 問い続ける力 ・ 疑問をもたせることは,語彙を増やすこととの相乗効果で問い続けることにつながる。 ・ 教師から何をどう問いかけるかが授業における主なかかわりとなる。  ② 人間関係をつくる力 ・ 言葉を通して気持ちが伝わる心地よさを感じさせることが,人間関係をつくる力につながる。  ③ 自分を見つめる力 ・ 思いや気付き,思考や感情を言葉にすることによって,自分自身を見つめることができる。 ・ 自分ができるようになったことを見つめさせることが,自信や安心につながる。 以上のことを踏まえ,授業実践を行った。

平成 23 年度 KeCoFu プロジェクト

国語科分科会

(12)

小学校第2学年 単元名「むかし話を楽しもう」(7/ 18 時間) 【授業概要】  昔話『かさこじぞう』(東京書籍二年下)を読み,場面の様子や登場人物の行動から想像を広げ,じい さまの優しさに深く迫っていく授業を構想した。地蔵にかさや手ぬぐいをかぶせたり,声をかけたりする 行動を根拠にして,じいさまが優しいと考えられる理由を話し合うことで,じいさまがもつ,優しさの意 味を捉えることをねらいとした。 【KeCoFu の視点から】 ○ 問い続ける力  登場人物の行動を自分に置き換えて考えさせることで,より登場人物の行動から想像を広げ,新たな 問いを見いだすきっかけをつくる。 ○ 人間関係をつくる力  自分と置き換える視点で考えた,その子どもらしい言葉での話し合いや,ペアでの意見交換を基に, 互いの考えの理解を促し,より言葉を吟味する話し合いを生み出す。 ○ 自分をみつめる力  教材文の言葉について,自分が同じ言葉を使う生活場面を想起させたり,自分の考えた過程を振り返っ たりする場を設定することで,自分の言葉としての意味付けがあるようにする。

連携実践の実際

学習活動・内容

じいさまはどのくらい優しいのかな。 1 物語の冒頭と結末での場面の大きな変化を とらえ,その理由を確かめる。 2 じいさまの優しさの程度について考えるこ とから,本時の問いを見いだす。 3 じいさまの優しさについて話し合う。 ・ じぞうさまにかさや自分の手ぬぐいを かぶせたことから ・ ぬれてつめたいじぞうさまのかたやら せなやらをなでたことから など 4 本時の学習を振り返り,国語日記を書く。 ○ 物語の冒頭と結末の文章を比較することで,じ いさまの生活振りが好転するという物語の大きな 変化を捉え,その理由について考えることができ るようにする。 ○ じいさまの優しさについて「かさをかぶせるこ となら先生にもできるし,みんなにもできるので は?」と投げかけることで,「自分だったら∼」と, じいさまの行動を自分に置き換える視点で考える ことができるようにする。 (問い続ける力) ○ サイドラインを引いた根拠となる叙述を基にペ アでの意見交換をさせることにより,一人一人が 自分の考えを話す場をつくる。 (人間関係をつくる力) ○ 自分に置き換えて考える視点で話す子どもの発 言を価値付けることで,その言葉に自分らしさが 見えるよさを全体に広げ,話し合いが深まるよう にする。 (人間関係をつくる力) ○ 教材文の言葉と,自分の生活経験の中で使う言 葉とを比べさせる問いかけをすることで,より実 感を伴った言葉として意味付いていくようにす る。 (自分を見つめる力) ○ 国語日記を書いて,学びを振り返らせることに より,本時の学びが意味付いていくようにする。 (自分を見つめる力)

教師の働きかけ

(13)

小学校第2学年 単元名「むかし話を楽しもう」(7/ 18 時間) 【授業概要】  昔話『かさこじぞう』(東京書籍二年下)を読み,場面の様子や登場人物の行動から想像を広げ,じい さまの優しさに深く迫っていく授業を構想した。地蔵にかさや手ぬぐいをかぶせたり,声をかけたりする 行動を根拠にして,じいさまが優しいと考えられる理由を話し合うことで,じいさまがもつ,優しさの意 味を捉えることをねらいとした。 【KeCoFu の視点から】 ○ 問い続ける力  登場人物の行動を自分に置き換えて考えさせることで,より登場人物の行動から想像を広げ,新たな 問いを見いだすきっかけをつくる。 ○ 人間関係をつくる力  自分と置き換える視点で考えた,その子どもらしい言葉での話し合いや,ペアでの意見交換を基に, 互いの考えの理解を促し,より言葉を吟味する話し合いを生み出す。 ○ 自分をみつめる力  教材文の言葉について,自分が同じ言葉を使う生活場面を想起させたり,自分の考えた過程を振り返っ たりする場を設定することで,自分の言葉としての意味付けがあるようにする。

連携実践の実際

学習活動・内容

じいさまはどのくらい優しいのかな。 1 物語の冒頭と結末での場面の大きな変化を とらえ,その理由を確かめる。 2 じいさまの優しさの程度について考えるこ とから,本時の問いを見いだす。 3 じいさまの優しさについて話し合う。 ・ じぞうさまにかさや自分の手ぬぐいを かぶせたことから ・ ぬれてつめたいじぞうさまのかたやら せなやらをなでたことから など 4 本時の学習を振り返り,国語日記を書く。 ○ 物語の冒頭と結末の文章を比較することで,じ いさまの生活振りが好転するという物語の大きな 変化を捉え,その理由について考えることができ るようにする。 ○ じいさまの優しさについて「かさをかぶせるこ となら先生にもできるし,みんなにもできるので は?」と投げかけることで,「自分だったら∼」と, じいさまの行動を自分に置き換える視点で考える ことができるようにする。 (問い続ける力) ○ サイドラインを引いた根拠となる叙述を基にペ アでの意見交換をさせることにより,一人一人が 自分の考えを話す場をつくる。 (人間関係をつくる力) ○ 自分に置き換えて考える視点で話す子どもの発 言を価値付けることで,その言葉に自分らしさが 見えるよさを全体に広げ,話し合いが深まるよう にする。 (人間関係をつくる力) ○ 教材文の言葉と,自分の生活経験の中で使う言 葉とを比べさせる問いかけをすることで,より実 感を伴った言葉として意味付いていくようにす る。 (自分を見つめる力) ○ 国語日記を書いて,学びを振り返らせることに より,本時の学びが意味付いていくようにする。 (自分を見つめる力)

教師の働きかけ

【授業者から】 ○ 問い続ける力の視点から  登場人物を自分に置き換えることによって,子どもたちの考えを引き出していった。初読で得た概念 を揺さぶり,じいさまの優しさの意味に迫る新たな問いを生むことができた。 ○ 人間関係をつくる力の視点から  「自分だったら,∼」という言葉で,一人一人の考えを生むことができた。そして,話し合いの場面では, 互いの関係の付け方の違いに,熱心に耳を傾け合う姿が見られた。 ○ 自分を見つめる力の視点から  自分の生活場面において,教材文中の言葉を使った経験(場面)を想起させることで,実感を伴いな がら,言葉の意味を捉えることができた。 ○ 人間関係をつくる力の視点から  小学校の授業では,子どもの発表の冒頭に「先 生,付け足して言えるよ」「○○くんのとちょっ と似てるよ」と友だちの考えにつなげたり,比 較したりして発言する言葉が必ずついていた。 「人と言葉で分かり合う」ことを目的とした伝 え合いがうまく成立していた。これは「人間関 係をつくる力」のもとになる。まずは,友だち の意見をしっかり聞くことから始まるのではな いかと感じた。 【参会者から(中学校)】 ○ 問い続ける力の視点から  自分はどう思うか,自分だったらどうするかという子どもの意見を共有することで,さらに新しい問 いが生まれ,話し合いが深まった。そして,それによって深くうなずいたり実感を伴った感想を述べた りすることができていた。これらのことから,問い続ける力を育むために「自分だったら」を引き出す 教師の働きかけは大切であることが分かった。 【参会者から(小学校)】 ○ 問い続ける力の視点から  子どもたちには,じいさまが地蔵の雪をかきおとした描写を十分にイメージさせたかった。雪が地蔵 に凍りついている様子を読み取らせることで,「やさしいじいさま」というイメージが,具体的な行動描 写から子どもの心に可視的に刻まれると考えるからである。  「やっと」という言葉に注目した子どもの発言は,全部の地蔵にかさを被せられない問題に出合って, それを何とか自分の手ぬぐいを被せることで解決していくまでのプロセスと,「いちばんしまいのじぞう さま」を心配し,気をもんでいるじいさまの心情や思いやりを読み取ったことが分かる。この発言を生 かして全体にしっかりと捉えさせるために,授業者は読解にかかわるキーワードやキーセンテンスにさ らにこだわっていく必要がある。 【参会者から(大学)】 ○ 人間関係をつくる力の視点から  多くの子どもが自分の考えや気持ちを何とか 言葉にして伝えたいと懸命に話している姿が見 られた。互いに話すこと,伝えることが自由に できる環境は大切であると感じた。  また,友だちの発表を聞き,つなげていく姿 が見られた。互いの考えを受け止めようとする 姿から,人と人とがつながっていく基盤ができ つつあると感じた。 【参会者から(特別支援学校)】

連携実践を振り返って

(14)

中学校第3学年 教材名「生き物として生きる」(5/5時間) 【授業概要】  筆者が考えている「生き物として生きる暮らし方」は,本文中に具体的には書かれていない。  そこで,個人で本文中から読み取ったことを,他者との対話の中に投げ出すことで読み深めていく授業 を構想した。筆者が考えていることは,機械による便利さを享受して生きる暮らし方は認めながら,思い 通りにならないことにも価値があることも考えて生きる暮らし方である。このことを伝え合いを通して読 み解くことをねらいとした。 【KeCoFu の視点から】 ○ 問い続ける力  文章に書かれていないことを文章中の表現を手がかりに考えさせることで,読みの手応えを実感させ, 新たな問いを見いだすきっかけを作る。 ○ 人間関係をつくる力  個人で本文中から読み取ったことを他者との対話の中に投げ出すことで,言葉による分かり合い・通 じ合いを生み出す。 ○ 自分を見つめる力  伝え合いを通して考えたことを,自分の言葉でまとめる場面を設定することで,自己内対話を促す。

連携実践の実際

学習活動・内容

1 筆者が述べていることを確認し,課題を把 握する。  <課題> 筆者が考えている「生き物をよく見つめ, 生き物として生きる暮らし方」はどのよう なものか読み解き,筆者の主張を明らかに しよう 2 筆者の生き物の定義を確認し,「生き物とし て生きる暮らし方」とはどのようなものか, 伝え合いを通して考える。 (生き物の定義) ・ 一つ一つが皆違ってできるような仕組み になっていること ・ 特有の仕組みをもっていること (生き物として生きる暮らし方) ・ 機械による便利さを享受して生きる暮ら し方ではない暮らし方 ・ 不便であることを理解して生きる暮らし 方 3 筆者が考えている「生き物として生きる暮 らし方」とはどのようなものか,伝え合いを 通して考えたことをまとめて書く。 ・ 何でも思い通りにできるものではないの だから,自然に対しても自分に対しても「謙 虚」に生きる暮らし方 ○ それぞれに対して「思い通り」にすることに 肯定的か否定的かを当てはめ,筆者の考え方の 違いを確認する。 ○ 文章に書かれていないことを文章中の表現を 手がかりに考えさせることで,読みの手応えを 実感させ,新たな問いを見いだすきっかけを作 る。 (問い続ける力) ○ 課題解決への見通しをもたせる。 ○ 前時までに学習した部分をもう一度,確認さ せる。 ○ 「生き物として生きる暮らし方」についての練 り上げる場を設定する。 ○ 個人で本文中から読み取ったことを他者との 対話の中に投げ出すことで,言葉による分かり 合い・通じ合いを生み出す。 (人間関係をつくる力) ○ 課題の解決を図り,今回の授業で学んだこと を確認する。 ○ 伝え合いを通して考えたことを,自分の言葉 でまとめる場面を設定することで,自己内対話 を促す。 (自分を見つめる力)

教師の働きかけ

(15)

中学校第3学年 教材名「生き物として生きる」(5/5時間) 【授業概要】  筆者が考えている「生き物として生きる暮らし方」は,本文中に具体的には書かれていない。  そこで,個人で本文中から読み取ったことを,他者との対話の中に投げ出すことで読み深めていく授業 を構想した。筆者が考えていることは,機械による便利さを享受して生きる暮らし方は認めながら,思い 通りにならないことにも価値があることも考えて生きる暮らし方である。このことを伝え合いを通して読 み解くことをねらいとした。 【KeCoFu の視点から】 ○ 問い続ける力  文章に書かれていないことを文章中の表現を手がかりに考えさせることで,読みの手応えを実感させ, 新たな問いを見いだすきっかけを作る。 ○ 人間関係をつくる力  個人で本文中から読み取ったことを他者との対話の中に投げ出すことで,言葉による分かり合い・通 じ合いを生み出す。 ○ 自分を見つめる力  伝え合いを通して考えたことを,自分の言葉でまとめる場面を設定することで,自己内対話を促す。

連携実践の実際

学習活動・内容

1 筆者が述べていることを確認し,課題を把 握する。  <課題> 筆者が考えている「生き物をよく見つめ, 生き物として生きる暮らし方」はどのよう なものか読み解き,筆者の主張を明らかに しよう 2 筆者の生き物の定義を確認し,「生き物とし て生きる暮らし方」とはどのようなものか, 伝え合いを通して考える。 (生き物の定義) ・ 一つ一つが皆違ってできるような仕組み になっていること ・ 特有の仕組みをもっていること (生き物として生きる暮らし方) ・ 機械による便利さを享受して生きる暮ら し方ではない暮らし方 ・ 不便であることを理解して生きる暮らし 方 3 筆者が考えている「生き物として生きる暮 らし方」とはどのようなものか,伝え合いを 通して考えたことをまとめて書く。 ・ 何でも思い通りにできるものではないの だから,自然に対しても自分に対しても「謙 虚」に生きる暮らし方 ○ それぞれに対して「思い通り」にすることに 肯定的か否定的かを当てはめ,筆者の考え方の 違いを確認する。 ○ 文章に書かれていないことを文章中の表現を 手がかりに考えさせることで,読みの手応えを 実感させ,新たな問いを見いだすきっかけを作 る。 (問い続ける力) ○ 課題解決への見通しをもたせる。 ○ 前時までに学習した部分をもう一度,確認さ せる。 ○ 「生き物として生きる暮らし方」についての練 り上げる場を設定する。 ○ 個人で本文中から読み取ったことを他者との 対話の中に投げ出すことで,言葉による分かり 合い・通じ合いを生み出す。 (人間関係をつくる力) ○ 課題の解決を図り,今回の授業で学んだこと を確認する。 ○ 伝え合いを通して考えたことを,自分の言葉 でまとめる場面を設定することで,自己内対話 を促す。 (自分を見つめる力)

教師の働きかけ

【授業者から】 ○ 問い続ける力の視点から  文章に書かれていないことを文章中の表現を手がかりに考えさせた。生徒は,自分で考えて答えを見 つけ出そうとしていた。 ○ 人間関係をつくる力の視点から  読み取ったことを他者との対話の中に投げ出すことで,個人の読みの限界に気付くとともに,自分の 考えを正確に伝えることの難しさに気付き,伝え合いを効果的に生かしていた。 ○ 自分を見つめる力の視点から  考えたことを自分の言葉でまとめる場面を設定することで,既知と未知と今回改めて分かったことと を明確にすることができるなど,考えを整理するきっかけが生まれた。 ○ 人間関係をつくる力の視点から  「生き物として生きる暮らし方とは」につい ての,自分なりの「∼な暮らし方」が多様で, 考えを伝え合うことが楽しかったようだ。 ○ 自分を見つめる力の視点から  授業のまとめの段階で,伝え合いをした上で の自分の考えをまとめる時間を確保することが 大切だと感じた。改めて振り返ることで自分を 見つめる力につながる。 【参会者から(小学校)】 ○ 人間関係をつくる力の視点から  人間関係をつくる上で,言葉による分かり合い・通じ合いは避けては通れない。その点において,本 実践で試みられた伝え合いにおいては,意見の違う考え方に出会ったときの対応が「共通点・相違点の 整理」「賛成・反対,納得できる・できない」にまとめるといったように具体的に示されていた。他者と のよりよい関係を創り上げる力につながると思われる。 【参会者から(中学校)】  この中学3年の国語教材「生き物として生きる」は,説明文というよりも,筆者の意見,考え,主張 を表した意見文,あるいは評論文である。本教材の系統上の位置については,指導書にもあるように, 1年生では,調べたことを正確に伝えるレポート作成。2年生では,事実と意見の違い,根拠を明らか にして意見を伝えることへと進み,3年生の本教材では,理由や根拠を文章の論理的構成,論理の展開 を軸として展開し,説得力のある意見文あるいは意見の主張ができる力を習得していくといった流れと なっている。  私なりに言い換えると,1年生から3年生までの系統的なタテの単元構成は,まず,事実や出来事の 正確な報告を学び,次に,その事実や出来事を依拠しながら,根拠を挙げて意見を伝え,最終学年では, 根拠を挙げて,筋道立てて論理展開を行い,他者や聴き手を納得させるような説得力のある意見文,意 見の主張ができることを目指しているのである。 【参会者から(大学)】 ○ 自分を見つめる姿の視点から  後半の各グループからの発表の中から派生し た話題で「生き物=人間」についてのやりとり からは,生徒自身のやりとりで深まっていった 様子が見て取れた。 ○ 人間関係をつくる力の視点から  自分の考えを伝える・ 相手の話を聞く・伝わ るよう心がける,伝える気持ちをもつことで関 係作りができていく様子が伺えた。 【参会者から(特別支援学校)】

連携実践を振り返って

(16)

 その意味で,国語科教育におけるいわゆる「論理的思考力の指導」は,「根拠づけ」と「筋道立て」の 2つからなっており,この2つの要素を駆使して,説得力のある意見を表明する表現力 (「話すこと」と「書 くこと」双方にかかわる ) を養うことにある。  本教材は,内容面から見ると,現代の最先端,バイオエシックス=生命倫理の問題を扱ったものであり, また,遺伝子操作,優生学的プログラミングといった,人間 ( 人類 ) の将来にかかわる極めて緊迫した論 争的なテーマを取り上げている。この難解なテーマをどう授業で取り上げていくか授業者は頭を悩ますと ころである。  筆者の主張は,かなり大胆であり,反面,根拠づけが曖昧であると私は思うが,その問題設定は実にア クチュアルである。命ある生き物を機械のようにもの=物質として捉え,それに作為を加える支配・操作 することは,生き物である人間の行動としてゆるされることなのか,そして,人間も含む「生き物」の生 命そのものを歪め,破壊する傲慢で自己中心的な行動に他ならないのではないか。今日において大問題と なっている環境破壊,自然破壊も,自然を「もの」として,機械のように「思い通りに」扱い,それを人 間の利便さに利用したことから生じているのであり,「生き物として生きる暮らし」,自然の中の生き物の 一員として徹底した自覚,人類の倫理的自己理解の必要性を筆者は説いている。  金澤教諭の授業から,示唆されたひとつの点として,「生き物」という言葉で表される概念,いいかえ れば「生き物」という言葉の意味が示す「対象の分類・範囲」を押さえておかないと,「生き物」という概念が, 「人間」をも含み,人間より概念の枠が大きい「上位概念」であることをしっかり認識していることが大 切である。この点で,やはりきちつとした概念同士の関係性を理解するための概念学習が必要になってく る。かつては小学校中学年で行われ,国語教材として教科書にも載っていたが,概念学習が今日,国語教 育においてきわめて稀薄となっていることは問題性を感じる。論理的思考力の育成の基本としどうしても 概念学習を逸することできない。  授業後半では,話し合いはかなり錯綜しているが,教材を深く考え読み込もうとする生徒たちの姿勢は はっきりと感じられた。生徒の発言内容は,かなり曖昧な点や言葉の足らない点がある。授業者はこれを どう再組織化するか。授業者の今後の課題といえる。  ひとりの「哲学的」な男子が,「この人 ( 筆者 ) は,生き物と人間を切り離して考えて,生き物の中に 人間があると考えている」と指摘した点は,私にはとても興味深い発言だった。これを私なりに切り返し「発 問」化すれば,次のようになる。「本来的に人間は生き物の中に含まれるが,では,どうして生き物であ るにもかかわらず,人間は人間と生き物と切り離してしまうようになったのか。そしてそこから生まれる 問題性はなにか」  「生き物=生物」あるいは自然における生命体,「( 便利さと不便さを使い分けこと自体 ) 人間が生き物 を「もの」としてとらえているのではないか」という生徒の発言があったが,自然を対象=客体として捉 え作為する人間の思惟のあり方そのものに問題があることへの気付きが見られ,中学3年生の思考力のた くましさに改めて感心した。このことは,筆者がこの文章の中で,「前提」にしている枠組み―「もの―ひと」 「物質―生命」「機械―生命」をも視野に置いた深い読みへとつながっていくと思う。 (中村 哲也) 【成 果】 ○  多様な立場(小学校・中学校・特別支援学校・大学)から意見を出し合うよさを実感することができた。 具体的には,次のような共通認識をもつことができ,それぞれの校種間における垣根を低くすることに貢 献することができた。 ○ 問い続ける力 ・ 気持ちを表す言葉を選んだり,思いを言葉にしたりすることが問い続ける力の育成に効果的だった。 ・ 教師から何を,どう問いかけるかが授業における主なかかわりとなる。 ○ 人間関係をつくる力 ・ 伝え合いの場で言葉を通して気持ちを伝えることが,国語科で求める人間関係をつくる力につながる。 ○ 自分を見つめる力 ・ 思いや気付き,思考や感情を言葉にすることによって,自分自身を見つめることができる。 ・ 自分ができるようになったことを見つめさせることで,児童生徒の顔が生き生きとなった。 【課 題】 ○  付属4校園で育みたい KeCoFu を共有し,それを児童・生徒により一層育んでいくためには4校園の日 常的な連携が求められる。しかしながら,時間的な面から,日常的な連携をすることが難しかった。今後 は連携の効率化を図り,4校園の日常的な連携の在り方を探っていく必要がある。 ○  国語科は,人間関係づくりの根幹をなす言葉を学ぶ教科であるが故に,日常の教育活動全般における児 童・生徒のかかわりの中でも国語科で育まれた力が生かされていると考えられる。国語科の授業以外の教 育活動全般にも目を向け,子どもたちに育まれた力を見取り課題を捉え,国語科の授業に立ち戻って,育 みたい KeCoFu について捉え直していく必要がある。  福島大学附属学校園は,幼稚園,特別支援学校 小学校,中学校からなっているが,四校園が合同して, 言葉の教育,言葉と発達などについて親身に話し合うことは,これまでほとんど皆無だった。以前,小学 校と中学校の「国語」担当の先生方で研究協力ができないか,実践検討会のようなことを試みたことはあっ たけれども,多忙のなかでいつしか頓挫してしまった経験がある。今回,KeCoFu を通して,やっと四校 園が互いに話し合える場ができたことを私は素直に喜びたいと思う。私自身,この夏の KeCoFu の会合を 通して,改めて,子どもの成長発達という縦軸,すなわち「発達の相」から改めて授業実践,教育実践を 焦点化し,考え直すことの重要性ということだった。なかでも,特別支援学校の先生の話を直接うかがう ことで大きな刺激になったと思う。子どもと言葉,人間と言語との関係の本源的ともいえる事柄がそこに はあるように私には思えた。既存の教科教育のレベルを超えた言語教育のあり方,そのヒントについても 深く考えていく契機にもなるだろう。その意味でも,KeCoFu は,これまでの教育実践を根底から揺さぶ る場であってほしい私は心から期待する。 (中村 哲也)

成果と課題

大学の先生から

(17)

 その意味で,国語科教育におけるいわゆる「論理的思考力の指導」は,「根拠づけ」と「筋道立て」の 2つからなっており,この2つの要素を駆使して,説得力のある意見を表明する表現力 (「話すこと」と「書 くこと」双方にかかわる ) を養うことにある。  本教材は,内容面から見ると,現代の最先端,バイオエシックス=生命倫理の問題を扱ったものであり, また,遺伝子操作,優生学的プログラミングといった,人間 ( 人類 ) の将来にかかわる極めて緊迫した論 争的なテーマを取り上げている。この難解なテーマをどう授業で取り上げていくか授業者は頭を悩ますと ころである。  筆者の主張は,かなり大胆であり,反面,根拠づけが曖昧であると私は思うが,その問題設定は実にア クチュアルである。命ある生き物を機械のようにもの=物質として捉え,それに作為を加える支配・操作 することは,生き物である人間の行動としてゆるされることなのか,そして,人間も含む「生き物」の生 命そのものを歪め,破壊する傲慢で自己中心的な行動に他ならないのではないか。今日において大問題と なっている環境破壊,自然破壊も,自然を「もの」として,機械のように「思い通りに」扱い,それを人 間の利便さに利用したことから生じているのであり,「生き物として生きる暮らし」,自然の中の生き物の 一員として徹底した自覚,人類の倫理的自己理解の必要性を筆者は説いている。  金澤教諭の授業から,示唆されたひとつの点として,「生き物」という言葉で表される概念,いいかえ れば「生き物」という言葉の意味が示す「対象の分類・範囲」を押さえておかないと,「生き物」という概念が, 「人間」をも含み,人間より概念の枠が大きい「上位概念」であることをしっかり認識していることが大 切である。この点で,やはりきちつとした概念同士の関係性を理解するための概念学習が必要になってく る。かつては小学校中学年で行われ,国語教材として教科書にも載っていたが,概念学習が今日,国語教 育においてきわめて稀薄となっていることは問題性を感じる。論理的思考力の育成の基本としどうしても 概念学習を逸することできない。  授業後半では,話し合いはかなり錯綜しているが,教材を深く考え読み込もうとする生徒たちの姿勢は はっきりと感じられた。生徒の発言内容は,かなり曖昧な点や言葉の足らない点がある。授業者はこれを どう再組織化するか。授業者の今後の課題といえる。  ひとりの「哲学的」な男子が,「この人 ( 筆者 ) は,生き物と人間を切り離して考えて,生き物の中に 人間があると考えている」と指摘した点は,私にはとても興味深い発言だった。これを私なりに切り返し「発 問」化すれば,次のようになる。「本来的に人間は生き物の中に含まれるが,では,どうして生き物であ るにもかかわらず,人間は人間と生き物と切り離してしまうようになったのか。そしてそこから生まれる 問題性はなにか」  「生き物=生物」あるいは自然における生命体,「( 便利さと不便さを使い分けこと自体 ) 人間が生き物 を「もの」としてとらえているのではないか」という生徒の発言があったが,自然を対象=客体として捉 え作為する人間の思惟のあり方そのものに問題があることへの気付きが見られ,中学3年生の思考力のた くましさに改めて感心した。このことは,筆者がこの文章の中で,「前提」にしている枠組み―「もの―ひと」 「物質―生命」「機械―生命」をも視野に置いた深い読みへとつながっていくと思う。 (中村 哲也) 【成 果】 ○  多様な立場(小学校・中学校・特別支援学校・大学)から意見を出し合うよさを実感することができた。 具体的には,次のような共通認識をもつことができ,それぞれの校種間における垣根を低くすることに貢 献することができた。 ○ 問い続ける力 ・ 気持ちを表す言葉を選んだり,思いを言葉にしたりすることが問い続ける力の育成に効果的だった。 ・ 教師から何を,どう問いかけるかが授業における主なかかわりとなる。 ○ 人間関係をつくる力 ・ 伝え合いの場で言葉を通して気持ちを伝えることが,国語科で求める人間関係をつくる力につながる。 ○ 自分を見つめる力 ・ 思いや気付き,思考や感情を言葉にすることによって,自分自身を見つめることができる。 ・ 自分ができるようになったことを見つめさせることで,児童生徒の顔が生き生きとなった。 【課 題】 ○  付属4校園で育みたい KeCoFu を共有し,それを児童・生徒により一層育んでいくためには4校園の日 常的な連携が求められる。しかしながら,時間的な面から,日常的な連携をすることが難しかった。今後 は連携の効率化を図り,4校園の日常的な連携の在り方を探っていく必要がある。 ○  国語科は,人間関係づくりの根幹をなす言葉を学ぶ教科であるが故に,日常の教育活動全般における児 童・生徒のかかわりの中でも国語科で育まれた力が生かされていると考えられる。国語科の授業以外の教 育活動全般にも目を向け,子どもたちに育まれた力を見取り課題を捉え,国語科の授業に立ち戻って,育 みたい KeCoFu について捉え直していく必要がある。  福島大学附属学校園は,幼稚園,特別支援学校 小学校,中学校からなっているが,四校園が合同して, 言葉の教育,言葉と発達などについて親身に話し合うことは,これまでほとんど皆無だった。以前,小学 校と中学校の「国語」担当の先生方で研究協力ができないか,実践検討会のようなことを試みたことはあっ たけれども,多忙のなかでいつしか頓挫してしまった経験がある。今回,KeCoFu を通して,やっと四校 園が互いに話し合える場ができたことを私は素直に喜びたいと思う。私自身,この夏の KeCoFu の会合を 通して,改めて,子どもの成長発達という縦軸,すなわち「発達の相」から改めて授業実践,教育実践を 焦点化し,考え直すことの重要性ということだった。なかでも,特別支援学校の先生の話を直接うかがう ことで大きな刺激になったと思う。子どもと言葉,人間と言語との関係の本源的ともいえる事柄がそこに はあるように私には思えた。既存の教科教育のレベルを超えた言語教育のあり方,そのヒントについても 深く考えていく契機にもなるだろう。その意味でも,KeCoFu は,これまでの教育実践を根底から揺さぶ る場であってほしい私は心から期待する。 (中村 哲也)

成果と課題

大学の先生から

(18)

星  英 樹

菅 野 信 広

嶺 岸 知 弘

村 上  淳

鶴 巻 厚 保

大 平  健

光井佳代子

初 澤 敏 生

小 学 校 :

中 学 校 :

特別支援学校:

大 学 :

 これまで,社会科分科会においては,生活経験が違う子どもたちにとって,社会的事象に対する理解を積み上げ ていくことが大切であることが見えてきた。  そして,今年度の社会科分科会では,自己デザインができる人間を育んでいく上で,社会的事象に対する理解を 一層深めていくとともに,社会的なものの見方や考え方を身に付けさせていくことも大切ではないかと考えた。  そこで,校種間で「社会的なものの見方や考え方を育む」というの共通のまなざしをもち,3つのキーコンピテ ンシーのかかわりから,次のような点に着目しながら連携実践を行っていきたい。 ○ 社会的事象の選定と出合わせ方(問い続ける力) ○ 話し合いのさせ方(人間関係をつくる力) ○ 社会的事象と自分とのかかわりのもたせ方(自分を見つめる力)

平成 23 年度 KeCoFu プロジェクト

社会科分科会

小学校第6学年 単元名「災害復旧を目指す政治」(8/ 10 時間) 【授業概要】  子どもたちは,災害復旧を目指す政治の働きを学ぶ中で,自分の生活を安全で豊かにするための政治を 行うために税金や議員が必要なことに気付いてきた。前時では,選挙によって議員が選ばれて政治を行う 現在の政治のしくみを,小学校の代表委員会と関連させて学び,選挙のよさを感じ取った。  本時では,選挙で選ばれた議員が,住民の代表として予算を決めていく重要な役割を担っているという 前時の学びと,福島県議会議員の選挙を例に挙げて住民の投票率が年々低くなっているということを比べ る中で,問題意識をもたせた。そして,選挙の投票率が低いことに対する議員や住民の立場からの問題や, 選挙の投票率が低い理由,そしてこれから自分たち住民はどのようにしていけばいいのかなどについて考 えた。 【KeCoFu の視点から】  政治に関して子どもの関心が高い内容や疑問点,自分の生活と関連が深い点などを大切にしながら子ど もの学びに寄り添って授業を構想することで,問い続ける力を育んでいこうと考えた。  また,選挙の在り方や低い投票率に対して,様々な視点や立場から話し合うことで,人によって考えが 様々であることに気付かせ,よりよい人間関係づくりにつながってくると考える。そこで,ペアや小グルー プ,学級全体というように話し合いの場や方法を目的に応じて取り入れた。  さらに,話し合いの中で友だちの考えと関連付けや比較,賛同,反対したりする姿を称賛したり,子ど もたちの考えをつないだり,授業の終末で選挙についての考えの変容をノートにまとめたさせたりして, 自分の考えを深めたり広げたりする機会を設けることで自分を見つめさせ,社会的事象と自分とのかかわ りを明らかにしていこうと考えた。

連携実践の実際

学習活動・内容

選挙の投票率が低いと, 何が問題なのかな。 1 福島県議会議員選挙の投票率の変化のグラ フを提示して,本時の問いをもつ。 2 自分の考えをもつ。 ○ 政治家の立場から ○ 国民の立場から 3 投票率が低いと何が問題なのかについて話 し合う。 ○ 政治の不平等・不公正さ ○ 政治家の独断政治になる危険性 4 本時を振り返り,次時の学習への追究意欲 をもつ。 ○ 福島県の税金の使い道を決めるのは議員であ り,その議員は選挙によって選ばれるという前時 の学習内容を基に,議会や選挙の大切さを話し合 わせた後今回の選挙の投票率や投票率の変化のグ ラフを提示する。その低い投票率から「大人は選 挙をあまり大切に考えていないのではないか」と 考えるであろうY男の考えを称賛して全体に投げ かける。それに賛成や反対する子どもの姿を基に, 問いをもたせる。 (問い続ける力) ○ ペア毎に,県議会議員の考えが載っている資料 を配付して,議員によって考えが違い,それが自 分の生活にも影響することに気付かせることで, 選挙で投票する意味を考えさせる。 (人間関係をつくる力) ○ 現在の政治への国民の参加について,明治時代 等ほかの時代の社会や政治と比べて,投票するこ とのよさを考えるであろう子どもの考え方を称賛 して,歴史の学びを基に,現在の選挙を通して政 治に市民が参加できるよさについて話し合わせ る。 (人間関係をつくる力) ○ 様々な視点で選挙に対する考えを振り返らせる ことで,選挙についての自分の考えをまとめさせ, 自分の変容をしっかり見つめさせるようにする。 (自分を見つめる力)

教師の働きかけ

(19)

星  英 樹

菅 野 信 広

嶺 岸 知 弘

村 上  淳

鶴 巻 厚 保

大 平  健

光井佳代子

初 澤 敏 生

小 学 校 :

中 学 校 :

特別支援学校:

大 学 :

 これまで,社会科分科会においては,生活経験が違う子どもたちにとって,社会的事象に対する理解を積み上げ ていくことが大切であることが見えてきた。  そして,今年度の社会科分科会では,自己デザインができる人間を育んでいく上で,社会的事象に対する理解を 一層深めていくとともに,社会的なものの見方や考え方を身に付けさせていくことも大切ではないかと考えた。  そこで,校種間で「社会的なものの見方や考え方を育む」というの共通のまなざしをもち,3つのキーコンピテ ンシーのかかわりから,次のような点に着目しながら連携実践を行っていきたい。 ○ 社会的事象の選定と出合わせ方(問い続ける力) ○ 話し合いのさせ方(人間関係をつくる力) ○ 社会的事象と自分とのかかわりのもたせ方(自分を見つめる力)

平成 23 年度 KeCoFu プロジェクト

社会科分科会

小学校第6学年 単元名「災害復旧を目指す政治」(8/ 10 時間) 【授業概要】  子どもたちは,災害復旧を目指す政治の働きを学ぶ中で,自分の生活を安全で豊かにするための政治を 行うために税金や議員が必要なことに気付いてきた。前時では,選挙によって議員が選ばれて政治を行う 現在の政治のしくみを,小学校の代表委員会と関連させて学び,選挙のよさを感じ取った。  本時では,選挙で選ばれた議員が,住民の代表として予算を決めていく重要な役割を担っているという 前時の学びと,福島県議会議員の選挙を例に挙げて住民の投票率が年々低くなっているということを比べ る中で,問題意識をもたせた。そして,選挙の投票率が低いことに対する議員や住民の立場からの問題や, 選挙の投票率が低い理由,そしてこれから自分たち住民はどのようにしていけばいいのかなどについて考 えた。 【KeCoFu の視点から】  政治に関して子どもの関心が高い内容や疑問点,自分の生活と関連が深い点などを大切にしながら子ど もの学びに寄り添って授業を構想することで,問い続ける力を育んでいこうと考えた。  また,選挙の在り方や低い投票率に対して,様々な視点や立場から話し合うことで,人によって考えが 様々であることに気付かせ,よりよい人間関係づくりにつながってくると考える。そこで,ペアや小グルー プ,学級全体というように話し合いの場や方法を目的に応じて取り入れた。  さらに,話し合いの中で友だちの考えと関連付けや比較,賛同,反対したりする姿を称賛したり,子ど もたちの考えをつないだり,授業の終末で選挙についての考えの変容をノートにまとめたさせたりして, 自分の考えを深めたり広げたりする機会を設けることで自分を見つめさせ,社会的事象と自分とのかかわ りを明らかにしていこうと考えた。

連携実践の実際

学習活動・内容

選挙の投票率が低いと, 何が問題なのかな。 1 福島県議会議員選挙の投票率の変化のグラ フを提示して,本時の問いをもつ。 2 自分の考えをもつ。 ○ 政治家の立場から ○ 国民の立場から 3 投票率が低いと何が問題なのかについて話 し合う。 ○ 政治の不平等・不公正さ ○ 政治家の独断政治になる危険性 4 本時を振り返り,次時の学習への追究意欲 をもつ。 ○ 福島県の税金の使い道を決めるのは議員であ り,その議員は選挙によって選ばれるという前時 の学習内容を基に,議会や選挙の大切さを話し合 わせた後今回の選挙の投票率や投票率の変化のグ ラフを提示する。その低い投票率から「大人は選 挙をあまり大切に考えていないのではないか」と 考えるであろうY男の考えを称賛して全体に投げ かける。それに賛成や反対する子どもの姿を基に, 問いをもたせる。 (問い続ける力) ○ ペア毎に,県議会議員の考えが載っている資料 を配付して,議員によって考えが違い,それが自 分の生活にも影響することに気付かせることで, 選挙で投票する意味を考えさせる。 (人間関係をつくる力) ○ 現在の政治への国民の参加について,明治時代 等ほかの時代の社会や政治と比べて,投票するこ とのよさを考えるであろう子どもの考え方を称賛 して,歴史の学びを基に,現在の選挙を通して政 治に市民が参加できるよさについて話し合わせ る。 (人間関係をつくる力) ○ 様々な視点で選挙に対する考えを振り返らせる ことで,選挙についての自分の考えをまとめさせ, 自分の変容をしっかり見つめさせるようにする。 (自分を見つめる力)

教師の働きかけ

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区分 事業名 実施時期

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