論文を書きましょう!
〜何を書けばいいんですか?
新潟大学医歯学総合病院
魚沼地域医療教育センター
高田 俊範
2019年 6月 1日
TMM講座
医学論文って何?
Paper: an essay or thesis, especially one read at an
academic lecture or seminar or published in an academic
journal.
(New Oxford American Dictionary)
レポートや博士論文、特に学術講演会やセミ
ナーで話されたり、学術誌(医学雑誌)に掲載
された文章
(2004以前)医学部卒業後の研修・専門研修
国 試 合 格→ 仮 入 局 第 二 内 科 入 局 ( 呼 吸 器 ) 2 3 1 4 5 6 7 (卒業後年次) 県立がんセンター 第一生化学教室 第二内科内科認定医
医学博士
呼吸器専門医
8 9 10 大学院または 大学病院 新潟市民病院 第二内科 長岡赤十字病院・厚生連中条病院 初期研修 大学院 出張症 例;
46歳、女性
主 訴;呼吸困難、皮疹
家族歴;特記事項なし
既往歴;特記事項なし
現病歴;
xx年6月下旬、上肢から肩にかけて掻痒と水疱を伴う
皮診と、両手関節に発赤と腫脹がみられた.次第に乾性
咳嗽も出現した.
7月28日、近医神経内科に入院し皮膚筋炎と診断された.
胸部
CTで間質性肺炎も認められた.
肺病変が進行し、呼吸困難も自覚したため、
8月10−12日、ステロイドパルス療法が施行された.
呼吸困難が改善しないため、
12日当科に転院した.
身体所見;身長
147cm、体重 54kg、血圧 110/60 mmHg、脈拍
数
68/分 整、結膜に貧血、黄疸なし、両手指が浮腫状で
落屑あり、チアノーゼあり、心音異常なし、両下肺に
fine cracklesとrhonchiを聴取、腹部異常なし、浮腫なし、
四肢体幹筋力低下あり、上肢腱反射低下.
転院時検査所見
【末梢血検査】 WBC 8700 /ml Neu 84.0 % Eo 0.0 % Bas 0.0 % Lym 10.6 % Mo 6.6 % RBC 398×104 /ml Hb 12.4 g/dl Ht 36.7 % Plt 21.6×104 /ml 【生化学検査】 TP 6.3 g/dl Alb 2.9 g/dl BUN 21 mg/dl Cre 0.4 mg/dl UA 3.9 mg/dl Na 136 mEq/L K 4.5 mEq/L Cl 105 mEq/L Ca 7.1 mg/dl P 2.8 mg/dl AST 350 IU/L ALT 144 IU/L LDH 1680 IU/L ALP 508 IU/L γ-GTP 130 IU/L ChE 4546 IU/L TC 200 mg/dl TG 313 mg/dl CK 568 IU/L 【血清学的検査】 CRP 1.1 mg/dl IgG 2199.5 mg/dl IgA 351.2 mg/dl IgM 261.8 mg/dl C3 60.9 mg/dl C4 24.1 mg/dl CH50 45 U/ml ANA 80 INDEX RF 21.3 IU/ml CEA 33.7 ng/ml CA19-9 12 U/ml 【血液ガス分析】 (O2 3l/min、nasal) PH 7.475 PaCO2 40.8 Torr PaO2 54.4 Torr HCO3- 30.0 mmol/L SaO2 90 %・筋症状の軽いDM (amyopathic DM, ADM) では、
しばしば急速進行性ILDを合併する.このうち3
人に1人は呼吸不全で死亡する.
PM-DMに伴う間質性肺炎
・30〜50%に間質性肺炎(ILD)を合併.
・ADM-ILDは、アジア(特に日本)に多い.
・ADM-ILDには、抗MDA-5抗体が特異的にみら
れる(2005以降).
前医入院時
胸部
CTの推移
6月下旬 7/28
46歳、女性、ADM-ILD
8/12 8/26 皮診 乾性咳嗽 皮膚筋炎診断 神経内科入院 間質性肺炎診断 転院 呼吸不全で死亡 mPSL 1gx3 mPSL 1gx3 mPSL 1gx3 PSL 60mgADM-ILDの治療
1,副腎皮質ステロイド
・ステロイドパルス療法
・高用量ステロイド(プレドニン
1mg/kgなど)
2,免疫抑制薬など
・カルシニューリンインヒビター
(タクロリムス、シクロスポリンなど)
・静注シクロフォスファミド(エンドキサン)、
IVCY
・大量免疫グロブリン療法、
IVIG
・ミコフェノール酸モフェチル(セルセプト)
・その他(血漿交換、リツキシマブ、
JAK阻害薬など)
MMFを6ヶ月以上内服した膠原病関連ILD 125例の
%FVCの変化
J Rheumatology, 2013
本邦の適応は、臓器移植後の拒絶反応とループス腎炎のみ
⇢ PM/DM-ILD, ADM-ILD, SSc-ILDなどには保険診療として
入院時検査所見
【末梢血検査】 WBC 3070 /ml Neu 81.8 % Eo 1.0 % Bas 0.3 % Lym 14.3 % Mo 2.6 % RBC 479×104 /ml Hb 13.4 g/dl Ht 40.0 % Plt 19.3×104 /ml 【生化学検査】 TP 6.8 g/dl BUN 9 mg/dl Cre 0.39 mg/dl UA 4.1 mg/dl Na 139 mEq/L K 3.6 mEq/L Cl 107 mEq/L Ca 8.6 mg/dl P 3.1 mg/dl AST 45 IU/L ALT 29 IU/L LDH 499 IU/L ALP 222 IU/L γ-GTP 19 IU/L TB 0.6 mg/dl CK 171 IU/L CEA 2.9 ng/ml CA125 7 U/ml aldolase 9.1 U/L 【血清学的検査】 CRP 0.30 mg/dl IgG 986 mg/dl IgA 170 mg/dl IgM 202 mg/dl C3 95.2 mg/dl C4 25.5 mg/dl 抗MDA5Ab 91.9 units 【血液ガス分析(室内 気)】 PH 7.444 PaCO2 33.2 Torr PaO2 94.0 Torr HCO3- 22.2 mmol/L BE -1.1 mmol/L AaDO2 14.5 TorrmPSL 1g x 3 → PSL 1mg/kg
+
シクロスポリン
100mg/day
+
1,抗
MDA-5抗体陽性の皮膚筋炎に伴う間質性肺炎に対して、
MMFを含む治療を行った.
2,治療により、肺病変は改善した.
3,治療により、抗
MDA-5抗体価は正常化した.
59歳男性、抗MDA-5抗体陽性ADM-ILD
0(週) 6 10 18
シクロスポリン
PSL