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産業トピックス

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Academic year: 2021

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平成20 年(2008 年)7 月 16 日 ~住宅市場調整、金融不安、物価高により景気下振れリスク強まる~ 1.実体経済の動向 1)住宅市場 住宅着工の減少が 続く一方、販売には 安定化の動きも 住宅市場では、5 月の住宅着工が年率 97.5 万戸と約 17 年振りの水準に 落ち込むなど、厳しい供給調整が続いている。一方、需要サイドでは、 住宅販売の減少テンポが新築、中古ともに鈍るなど、足元で安定化の動 きも見られる(第1図)。 第 1 図:住宅販売戸数

(資料)米商務省、National Association of REALTORS のデータより三菱東京UFJ銀行経済調査室作成

400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 2000 00 01 02 03 04 05 06 07 08 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 新築 中古(右) (年) (年率、千戸) (年率、千戸) 住宅販売の急激な落ち込みにブレーキがかかってきたのは、住宅価格 の下落やローン金利の低下によって住宅が購入しやすくなり、値ごろ感 から一部に購買意欲が出てきたことが一因とみられる。もっとも、最近

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住宅販売がこのま ま底打ちに向うか は不透明 の住宅ローン金利の上昇により、住宅取得可能指数(注)は低下に転じてお り、購買環境は再び悪化している(第 2 図)。また、住宅価格の下落は 一方で、価格の先安感から住宅の買い控えにつながっている面もある。 住宅販売が本格的に上向くには住宅価格の見通しが明るくなる必要があ るが、足元の在庫状況などをみる限り、それには時間がかかりそうだ。 住宅販売の先行指標である購入用の住宅ローン申請件数も依然、弱含ん だままであることから、住宅販売がこのまま底打ちに向うと判断するに はまだ材料不足である。 (注)中位価格の住宅を購入するために頭金20%で住宅ローンを組んだ際、その元利支払額が 収入の25%となる所得を 100 として、現在の所得を指数化したもの。指数が下がるほど、 住宅の購入が困難になることを示す。

第 2 図:住宅取得可能指数 (Housing Affordability Index)

(資料)National Association of REALTORS のデータより三菱東京UFJ銀行経済調査室作成

90 100 110 120 130 140 150 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08(年) (5月) (2)雇用・消費 雇用情勢は引続き悪化している。6 月の非農業雇用者数は前月比▲6.2 万人。過去の景気後退期と比べると減少幅は小幅だが、6 ヵ月連続でマイ ナスとなった。失業率は前月と同じ5.5%で、前月の大幅上昇(0.5%、単 月では1986 年 2 月以来の大きさ)が異常値でなかったことが確認された。 新規採用の動きが鈍っているため、いったん失業すると早期の再就職が 難しくなってきており、失業期間(中央値)は足元で急速に長期化して いる(第 3 図)。こうした雇用・所得環境の悪化に加え、住宅価格下落 による逆資産効果や物価上昇が個人消費を圧迫している。 雇用環境の悪化に 伴い、失業期間が長 期化

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戻し減税が個人消 費を下支え 第 3 図:失業率と失業期間 (資料)米労働省のデータより三菱東京UFJ銀行経済調査室作成 1 2 3 4 5 6 7 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 (年) 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 失業率 失業期間 (中央値、右目盛) (週) (%) こうした中、唯一、足元の消費を支えているのが戻し減税である。米 商務省によると、4 月に 233 億ドル(年率)、5 月に 5771 億ドル(同) が還付され、同期の所得を大きく押し上げた。4-5 月平均の可処分所得は 1-3 月期比年率 15.2%増と、減税がなかった場合の同 3.0%を大きく上回 った。このうちどの程度が消費に回ったかであるが、税還付が本格化し た5 月の貯蓄率が 5.0%に跳ね上がったことから、多くは貯蓄に回ったこ とが窺われる。仮に、減税を除いた所得から消費、貯蓄に回る割合が1-3 月期平均と変わらないとすると、4-5 月に還付された減税のうちわずか約 15%しか消費に回らなかった計算になる。それでも、減税規模が大きい だけに消費の押上げ効果は無視できないものがある。上記前提に立つと、 4-5 月平均の消費の伸びは、減税がなかった場合に比べ 1.8%押し上げら れている(表)。 表:戻し減税の影響試算 (資料)米商務省のデータより三菱東京UFJ銀行経済調査室作成 (10億ドル、年率) 1-3月 4月 5月 4-5月 可処分所得 10497.4 10574.4 11174.7 10874.6 (前月(期)比年率、%) (5.1) (4.6) (94.0) (15.2) 減税額 --- 23.3 577.1 300.2 可処分所得 (除く減税) --- 10551.1 10597.6 10574.4 (前月(期)比年率、%) --- (1.9) (5.4) (3.0) 消費支出 10053.7 10133.0 10210.4 10171.7 (前月(期)比年率、%) (4.8) (5.0) (9.6) (4.8) 消費支出 (除く減税) --- 10105.1 10149.6 10127.4 (前月(期)比年率、%) --- (1.6) (5.4) (3.0) 貯蓄額 43.8 39.7 555.7 297.7 (貯蓄率、%) (0.4) (0.4) (5.0) (2.7) 通常分 --- 44.0 44.2 44.1 減税分 --- -4.3 511.5 253.6 減税のうち貯蓄した割合 (%) --- -18.6 88.6 84.5 同、消費した割合 (%、累計) --- 119.8 14.8 ---(注) 減税分を除いた貯蓄率、消費性向を<1-3月>と同じと仮定して試算

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3)企業活動 企業活動は低調な がら、家計部門に比 べると底堅い 生産減少で設備稼 働率も低下 企業部門は、家計部門に比べると底堅さを維持している。6 月の ISM 製造業景況指数は前月比+0.6 ポイントの 50.2 と、5 ヵ月振りに好不調の 分かれ目となる 50 を上回った。好調な輸出が底堅さの一因とみられる。 一方、非製造業指数は3 ヶ月振りに 50 を小幅割り込み、緩やかな低下基 調を確認した。輸出の下支えが小さい非製造業部門では、資源価格上昇 によるコスト増の悪影響がより強く出ているとみられる(第4 図)。 第 4 図:ISM 景況指数

(資料)The Institute for Supply Management のデータより三菱東京UFJ銀行経済調査室作成 40 45 50 55 60 65 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08(年) 製造業 非製造業 5 月の鉱工業生産は、公益事業(電力)を中心に前月比▲0.2%と 4 月 (同▲0.7%)に続き 2 ヵ月連続で減少した。4-6 月平均でも前期比マイ ナスは必至である。生産減少で設備稼働率も低下基調にあり、5 月は 79.4%に低下。長期平均(81.0%)からの下振れが目立ってきた(第 5 図)。 第 5 図:鉱工業設備稼働率 (資料)FRB のデータより三菱東京UFJ銀行経済調査室作成 72 74 76 78 80 82 84 86 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08(年) (%) 1972-2007年の平均 81.0%

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4)物価 川上の物価上昇圧力は引続き強い。6 月の ISM 仕入れ価格指数をみる と、製造業では 91.5 と 1979 年 7 月以来の水準に上昇。非製造業も 84.5 と1997 年の統計開始以来の最高を更新した(第 6 図)。回答企業からの コメントをみると、企業にとってコスト高が経営上の大きな問題になっ てきていることがわかる。今のところ川下の物価は総じて安定している が、コスト高に耐えられなくなった企業を中心に、川下への価格転嫁の 動きが徐々に広がりつつあり、先行きについては予断を許さない状況に ある。 川上の物価上昇圧 力は引続き強い 製造段階では、川下 へ の 価 格 転 嫁 が 徐々に進む 6 月 11 日に発表された地区連銀景況報告(ベージュブック)では、「小 売段階ではまちまちだが、製造段階では価格転嫁が徐々に進んでいる」 という報告が複数の地区連銀から寄せられた。実際、生産者物価では中 間財、最終財ともにエネルギー、食料を除いたコア部分の上昇率がジリ ジリと高まっている。 なお、ダラス連銀からは「価格上昇のリスクを回避するため、一部の 企業は原材料在庫を積み増している」との報告があった。これは、企業 の期待インフレ率が高まり、仮需が発生していることを示す動きである (こうした動きが広まれば、物価上昇圧力が一段と強まるだけでなく、 在庫投資の変動を通じて景気の振幅が大きくなることが懸念される)。 このように、資源価格の高騰は、企業収益を圧迫するだけでなく、企業 の調達行動などにも影響を及ぼし始めている可能性がある。 第 6 図:ISM価格指数

(資料)The Institute for Supply Management のデータより三菱東京UFJ銀行経済調査室作成 30 40 50 60 70 80 90 100 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 (年) 製造業 非製造業

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2.金融動向 1)金融政策 連邦準備制度理事会(FRB)は 6 月 24-25 日に開かれた連邦公開市場委 員会(FOMC)で FF 金利の誘導目標を 2%に据え置いた(第 7 図)。FOMC の声明文では「景気の下振れリスクは残っているものの、幾分、軽減し たようだ」と前回 4 月の FOMC から景気の見方を上方修正した。一方、 物価については、「インフレ、インフレ期待の上振れリスクが増した」 として警戒を強めている。ただし、年後半から来年にかけてインフレの 緩和を見込むなど、事前の予想に比べるとタカ派色が薄い内容となって おり、これをうけて市場では早期の利上げ観測が後退した。 6 月の FOMC 声明 文は予想よりタカ 派色が薄い内容 FRB はインフレ期 待の安定を最重視 資源価格とそれ以外の品目の価格差が大きく開いてしまったため、今 後、資源価格が大幅に下がらない限り、コストが増加した分を販売価格 に転嫁する動きが強まることはある程度避けられない。その分、コア物 価には上昇圧力がかかることになる。この点、コーンFRB 副議長は 6 月 11 日の講演で「物価が一時的に....ある程度上昇することは容認する」と発 言しており、今後、コア物価が多少、強含んだからといって、FRB が景 気や金融市場の動向を無視して即座に利上げする可能性は低いとみられ る。しかし、一方で副議長は「それにはインフレ期待の安定が大前提だ」 とも述べている。FRB は価格転嫁の動きを通じてインフレ期待が高まり、 資源価格の高騰がホームメード・インフレ(国内要因によるインフレ) へ繋がっていくことを強く警戒しており、当面、インフレ期待の安定を 最優先する政策運営を続けると見られる。 第 7 図:FF 金利の推移 (資料)FRB のデータより三菱東京UFJ銀行経済調査室作成 0 2 4 6 8 10 1990年 1月 1991年 1月 1992年 1月 1993年 1月 1994年 1月 1995年 1月 1996年 1月 1997年 1月 1998年 1月 1999年 1月 2000年 1月 2001年 1月 2002年 1月 2003年 1月 2004年 1月 2005年 1月 2006年 1月 2007年 1月 2008年 1月 (%) FF金利誘導目標

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2)株価と長期金利の動向 ダウ平均株価は5 月 2 日に年初来高値(13058 ドル)をつけた後、徐々 に下げ足を強め、6 月下旬には 3 月につけた直近安値を下回った。金融機 関の損失拡大への懸念から金融株が大きく下落。これが下げを主導した。 足元では、GSE(政府支援住宅金融機関)の経営不安から金融市場が再 び動揺しており、これに原油高による景気の先行き不安などが加わって、 株価は軟調に推移している。 金融不安がくすぶ り、株価は軟調推移 過度な利上げ織り 込みの剥落で金利 は低下 長期金利はインフレ懸念の高まりを反映しジリ高で推移。6 月中旬には 昨年末以来となる 4.2%台に上昇した。FRB 高官のタカ派発言等により、 その時点で市場は年内 3 回の利上げをフルに織り込んでいたが、「市場 は利上げを織り込みすぎ」という一部の報道、さらには、FOMC の声明 文が思ったほどタカ派的でなかったことなどから、早期利上げ観測が後 退。市場金利は短期中心に低下に転じ、10 年債利回りも 4%を下回った。 足元では、GSE の経営不安や政府による支援などの動きをめぐって、値 動きの荒い展開となっている(第8 図)。 第 8 図:株価、長期金利の推移 (資料)Bloombergより三菱東京UFJ銀行経済調査室作成 11000 11500 12000 12500 13000 13500 14000 14500 200 7年 7 月 200 7年 8 月 200 7年 9 月 20 07 年 1 0月 20 07 年 1 1月 20 07 年 1 2月 200 8年 1 月 200 8年 2 月 200 8年 3 月 200 8年 4 月 200 8年 5 月 200 8年 6 月 200 8年 7 月 (ドル) 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 5.5 6.0 (%) 株価(NYダウ) 長期金利(米国債10年物利回り、右目盛) 照会先:経済調査室 (次長 佐久間) TEL:03-3240-3204 E-mail: [email protected] 当資料は情報提供のみを目的として作成されたものであり、金融商品の売買や投資など何らかの行動を 勧誘するものではありません。ご利用に関しては、すべてお客様御自身でご判断下さいますよう、宜し くお願い申し上げます。当資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成されていますが、当室はそ の正確性を保証するものではありません。内容は予告なしに変更することがありますので、予めご了承 下さい。また、当資料は著作物であり、著作権法により保護されております。全文または一部を転載す る場合は出所を明記してください。また、当資料全文は、弊行ホームページhttp://www.bk.mufg.jpでもご覧 いただけます。

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