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実験力学 Vol.17 No.2

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実験力学 Vol. 17, No. 2 pp.97―102(2017 年 6 月)

複数カメラを用いたサンプリングモアレ法による

柔軟物体表面形状の高解像度振動計測

岩 佐 貴 史

,青 木 友 宏

**

,天 本 拓 哉

**

High–Resolution Vibration Measurement of Flexible Object Surface Shape

using Sampling Moiré Method with Multiple Cameras

Takashi IWASA, Tomohiro AOKI and Takuya AMAMOTO

A non-contact full–field surface shape measurement method capable of expanding the measurement region with maintaining high accuracy and high spatial resolution was constructed in order to precisely capture dynamic behavior of the flexible object surface. The constructed measurement method incorporates a connection measurement method into a sampling moiré method with two reference planes. Utilizing the advantage of the high spatial resolution of the sampling moiré method, a wiener filter is spatially applied to remove a white Gaussian noise appearing on the measured data. A surface shape measurement of the vibrating membrane was conducted by the constructed measurement system with two synthesized digital cameras, and two measured data were connected to reproduce the full-field surface shape of the vibrating membrane. The results showed that the constructed measurement system can appropriately capture the mode shape as well as the full-field surface shape of the vibrating membrane with high spatial resolution. This paper offers an effective method to capture a high–resolution surface shape of the vibrating flexible objects.

Keywords: Shape measurement, High–resolution, Connection measurement, Vibrating flexible object, Sampling moiré method 1.緒 論 格子投影法は計測対象物に投影した格子画像を位相解 析し,計測対象物の 3 次元形状を復元する能動的画像計測 法の一つである1-3).格子投影法は撮影画像の画素毎に 3 次 元位置座標が得られるため,空間分解能に極めて優れ計測 対象物の広域的な形状のみならず局所的な形状も一度に取 得できるといった特徴がある.また,位相解析にサンプリ ングモアレ法 4)を適用すれば計測対象物の動的な挙動も取 得することができ,薄膜のような極めて柔軟で常時静止状 態を維持することが困難な計測対象物でも非接触でその表 面形状を取得することができるといった利点がある.特に, 膜面の任意の場所で発生し消滅していく皺の動的な変形挙 動や折り目のような局所的な変形を含む薄膜全体の挙動の 計測には,薄膜の大きさとは関係なく 1mm 程度以下の空 間分解能が望まれるが,このような条件を満たす計測法の 一つとして期待される. しかし,格子投影法は画像計測法の一つであることから 空間分解能は基本的にデジタルカメラの解像度に依存する. そのため,計測範囲が広くなるほど空間分解能は劣化し, 計測データを高い空間分解能で取得するにはデジタルカメ ラの解像度を増やすことが必要となる.ところが,デジタ ルカメラの解像度には限界があり,計測データの空間分解 能を必ずしも要求条件を満たすように改善できるとは限ら ない.そこで,デジタルカメラの解像度に関係なく計測デ ータの空間分解能を改善する方法として,計測対象物を複 数の小領域に分けて計測し,取得した計測データを結合す ることで空間分解能を高めることが考えられる 5).この方 法は,低スペックで安価なデジタルカメラを複数台利用す ることで実現可能であり,計測機器のスペックに依存せず 簡易的に空間分解能を向上できるといった利点がある. 本研究では,柔軟な計測対象物の動的な変形形状を広域 的にも局所的にも高い空間分解能と高い計測精度を維持し たまま取得できる計測システムを構築するため,上記の結 合計測法をサンプリングモアレ法による格子投影法に適用 し,その有効性を検証した.構築した計測システムは,基 準面を利用した格子投影法に結合計測法を組み合わせるこ とで,取得した計測データを座標変換することなく容易に 結合できる計測システムである.また,格子投影法の高い 空間分解能を活かしたノイズ除去法として空間方向に 2 次 元 wiener filter を適用する方法6)を採用し,計測時に生じる 白色ガウスノイズを周波数帯域に関係なく除去できるよう にした.本論文は構築した計測システムを用いて厚さ 25 μm のポリイミドフィルムの動的な変形形状と振動モード を計測し,その有効性について検証した結果を報告する. 原稿受付 2017 年 3 月 3 日 * 正会員 鳥取大学(〒680-8552 鳥取市湖山町南 4-101) ** 97

(2)

岩佐,青木,天本:複数カメラを用いたサンプリングモアレ法による柔軟物体表面形状の高解像度振動計測 98

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実験力学 Vol. 17, No. 2(2017 年 6 月)

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岩佐,青木,天本:複数カメラを用いたサンプリングモアレ法による柔軟物体表面形状の高解像度振動計測

Fig. 4 Time history on displacement response of membrane at center point (x = −0.07 mm, y = 0.24 mm) 以上より,サンプリングモアレ法による格子投影法に同 期カメラを利用して結合計測を行った結果,格子投影法特 有の高い空間分解能を維持したまま計測範囲を拡大でき, 振動する薄膜の表面形状を広域的にも局所的にも高い空間 分解能で取得できることがわかった.一方,格子投影法の 計測結果には計測ノイズが観測され,時刻歴波形に及ぼす 影響は小さいものの膜面形状を検討する際には適切な除去 が必要であることがわかった. 3.2 ノイズ除去法の検討 格子投影法で生じる時間方向のノイズ特性を明らかに するため,静止状態にある薄膜を 1 秒間計測し z 軸座標値 のノイズ特性について検討した. Figs. 5, 6 に Camera 1 の原点近傍の計測点(x = −0.07 mm, y = 0.24 mm)で取得した z 軸座標値の正規確率プロットとピ リオドグラムパワースペクトル密度推定値(以下,単に PSD と記す)を示す.Fig. 5 より,計測ノイズは正規確率プロ ット上で直線近傍に分布しており概ね正規分布に従って発 生していることがわかる.標準偏差は 0.35 mm であること から,今回の計測では投影した格子間隔 15mm,z 軸方向の 計測レンジ 0.04m の条件の下,0.35mm の計測精度で薄膜 の変形形状を取得できていることがわかる. また,Fig. 6 より計測ノイズの強度は全周波数帯におい て概ね等しく,格子投影法で生じる計測ノイズは時間方向 に白色性とガウス性を備えていることがわかる.通常,こ のような白色ガウスノイズを取り除くには FFT によるロー パスフィルター等が考えられるが,これらの方法は周波数 帯域によって計測ノイズの除去効果が異なるといった問題 がある.そこで,今回は空間方向にノイズを除去する方法 を適用し,その有効性について検証する. Fig. 3 にみられるように格子投影法の計測ノイズは空間 方向でも観測され,過去の研究によりその分布特性も概ね 白色ガウスノイズに従うことが報告されている 6).著者等 はこの計測ノイズの空間分布特性と格子投影法特有の空間 分解能の高さに着目し,2 次元 wiener filter を適用すること でワンショットで取得した格子投影法の計測結果から計測 ノイズを適切に取り除けることを示した 6).本研究では, この方法を連続撮影した形状計測データに適用し,今回の 結合計測への有効性を検証する.なお,2 次元 wiener filter を適用しても,その結果は画素毎に出力されるため空間分 解能は劣化しない. x, y 軸座標値に生じる計測ノイズに関 しては計測結果を時間方向に平均処理することで取り除い た.これは,格子投影法の計測結果が撮影画像の画素毎に 得られ,x, y 軸座標値は時間方向に常に一定であることを 考慮したものである.

Fig. 5 Normal probability plot of measurement noise at center point (x = −0.07 mm, y = 0.24 mm)

Fig. 6 Periodogram power spectrum density estimate of measurement nose at center point (x = −0.07 mm, y = 0.24 mm)

Fig. 7 に原点近傍の計測点(x = −0.07 mm, y = 0.24 mm)で wiener filter によって除去されたノイズの PSD と Fig. 6 の 結果を比較したものである.図はいずれも Camera 1 の結果 を比較している.ノイズ除去は Matlab ver. 2016 を用いて行 い,使用した関数は wiener2 である.Mask size は過去の研 究6)を参考に 14 × 14 pixel とした.図より,wiener filter に

よって除去されたノイズの周波数特性は Fig. 6 の結果とよ く一致しており,全周波数帯域にわたって適切にノイズが 除去されていることがわかる.Fig. 8 は同一計測点におけ る wiener filter 適用後の時刻歴波形である.Fig. 4 と比較す ると wiener filter を適用することで細かなノイズが取り除 かれていることがわかる.Fig. 9 は wiener filter 適用後の薄 膜の断面形状を示しており,Fig. 3 の結果からノイズを取 り除いた結果である.図より,空間方向に wiener filter を適 用することで断面形状は滑らかとなり,Camera 2 の結果と もよく一致している.特に,Fig.3 (a)で観測された局所的な 変形形状(30 mm < x < 50 mm)を残しつつ薄膜全体の広域 的な変形挙動をも同時に取得できており,高い空間分解能 を維持しつつ計測範囲が拡大できる本計測システムの有効 性が確認できる.前節で求めた方法で結合誤差を計算した ところ 0.192 mmRMS となり,結合誤差は 45 %程度改善さ れていることがわかった.これより,wiener filter によるノ イズ除去法は動的な結合計測法においても有効に機能して いることがわかる.

Fig. 7 Periodogram power spectrum density estimate of measurement noise at center point (x = −0.07 mm, y = 0.24 mm)

Fig. 8 Time history on displacement response of membrane at

center point (x = −0.07 mm, y = 0.24 mm)

(a) Cross sectional shape in x direction (y <0.5mm)

(b) Cross sectional shape in y direction (x<0.5mm) Fig. 9 Cross sectional shape of membrane

4.薄膜の振動モード形状 4.1 振動モードの抽出 次に,計測データから薄膜の振動モードを抽出し,構築 した計測システムの有効性を検証する.今回の計測ではイ ンパクトハンマーと計測装置で同期をとっておらず正確な 伝達関数が得られていない.そこで,z 軸座標値の時刻歴 波形を用いて簡易的に振動モードを抽出した. 一般に,任意の時刻歴波形 x(t)のフーリエ級数展開は,

( )

∞ −∞ = = n t in ne X t x ω (2) と表され,Xnはフーリエ係数,ω は基本角周波数である. フーリエ係数 Xnは複素数であることから,その位相を φn とすると Eq. (2)は以下のように展開できる.

( )

(

)

(

)

( ) ( )

[

]

(

)

∞ = ∞ = − − − ∞ = − − ∞ = − − − + = + + = + + = + + = 1 0 1 0 1 0 1 0 cos 2 2 1 2 n n n n t n i t n i n n t in i n t in i n n t in n t in n t n X X e e X X e e X e e X X e X e X X t x n n n n ϕ ω ϕ ω ϕ ω ω ϕ ω ϕ ω ω (3) これより x(t)の n 次の振動モードの大きさは

(

n

)

n n X n t A =2 cos ω −ϕ (4) で与えられる.本研究では,格子投影法で計測した全計測 点における z 軸座標値の時刻歴波形をフーリエ変換し,フ ーリエ係数 Xnを求めた.そして,Eq. (4)を用いて振動モー ドの大きさ Anを全計測点で求め,その空間分布を n 次の振 動モードとした. Fig. 10 に Fig. 8 の時刻歴波形の PSD を示す.図より,今 回の計測では薄膜の共振周波数は 2.0 Hz にあることがわか る.そこで,一次共振周波数の 2.0 Hz と高次周波数の 8.0 Hz に着目し,Eq. (4)を用いて薄膜の振動モードを計算した. 2 Hz 8 Hz

Fig. 10 Periodogram power spectrum density estimate of Fig. 8 100

(5)

Fig. 4 Time history on displacement response of membrane at center point (x = −0.07 mm, y = 0.24 mm) 以上より,サンプリングモアレ法による格子投影法に同 期カメラを利用して結合計測を行った結果,格子投影法特 有の高い空間分解能を維持したまま計測範囲を拡大でき, 振動する薄膜の表面形状を広域的にも局所的にも高い空間 分解能で取得できることがわかった.一方,格子投影法の 計測結果には計測ノイズが観測され,時刻歴波形に及ぼす 影響は小さいものの膜面形状を検討する際には適切な除去 が必要であることがわかった. 3.2 ノイズ除去法の検討 格子投影法で生じる時間方向のノイズ特性を明らかに するため,静止状態にある薄膜を 1 秒間計測し z 軸座標値 のノイズ特性について検討した. Figs. 5, 6 に Camera 1 の原点近傍の計測点(x = −0.07 mm, y = 0.24 mm)で取得した z 軸座標値の正規確率プロットとピ リオドグラムパワースペクトル密度推定値(以下,単に PSD と記す)を示す.Fig. 5 より,計測ノイズは正規確率プロ ット上で直線近傍に分布しており概ね正規分布に従って発 生していることがわかる.標準偏差は 0.35 mm であること から,今回の計測では投影した格子間隔 15mm,z 軸方向の 計測レンジ 0.04m の条件の下,0.35mm の計測精度で薄膜 の変形形状を取得できていることがわかる. また,Fig. 6 より計測ノイズの強度は全周波数帯におい て概ね等しく,格子投影法で生じる計測ノイズは時間方向 に白色性とガウス性を備えていることがわかる.通常,こ のような白色ガウスノイズを取り除くには FFT によるロー パスフィルター等が考えられるが,これらの方法は周波数 帯域によって計測ノイズの除去効果が異なるといった問題 がある.そこで,今回は空間方向にノイズを除去する方法 を適用し,その有効性について検証する. Fig. 3 にみられるように格子投影法の計測ノイズは空間 方向でも観測され,過去の研究によりその分布特性も概ね 白色ガウスノイズに従うことが報告されている 6).著者等 はこの計測ノイズの空間分布特性と格子投影法特有の空間 分解能の高さに着目し,2 次元 wiener filter を適用すること でワンショットで取得した格子投影法の計測結果から計測 ノイズを適切に取り除けることを示した 6).本研究では, この方法を連続撮影した形状計測データに適用し,今回の 結合計測への有効性を検証する.なお,2 次元 wiener filter を適用しても,その結果は画素毎に出力されるため空間分 解能は劣化しない. x, y 軸座標値に生じる計測ノイズに関 しては計測結果を時間方向に平均処理することで取り除い た.これは,格子投影法の計測結果が撮影画像の画素毎に 得られ,x, y 軸座標値は時間方向に常に一定であることを 考慮したものである.

Fig. 5 Normal probability plot of measurement noise at center point (x = −0.07 mm, y = 0.24 mm)

Fig. 6 Periodogram power spectrum density estimate of measurement nose at center point (x = −0.07 mm, y = 0.24 mm)

Fig. 7 に原点近傍の計測点(x = −0.07 mm, y = 0.24 mm)で wiener filter によって除去されたノイズの PSD と Fig. 6 の 結果を比較したものである.図はいずれも Camera 1 の結果 を比較している.ノイズ除去は Matlab ver. 2016 を用いて行 い,使用した関数は wiener2 である.Mask size は過去の研 究6)を参考に 14 × 14 pixel とした.図より,wiener filter に

よって除去されたノイズの周波数特性は Fig. 6 の結果とよ く一致しており,全周波数帯域にわたって適切にノイズが 除去されていることがわかる.Fig. 8 は同一計測点におけ る wiener filter 適用後の時刻歴波形である.Fig. 4 と比較す ると wiener filter を適用することで細かなノイズが取り除 かれていることがわかる.Fig. 9 は wiener filter 適用後の薄 膜の断面形状を示しており,Fig. 3 の結果からノイズを取 り除いた結果である.図より,空間方向に wiener filter を適 用することで断面形状は滑らかとなり,Camera 2 の結果と もよく一致している.特に,Fig.3 (a)で観測された局所的な 変形形状(30 mm < x < 50 mm)を残しつつ薄膜全体の広域 的な変形挙動をも同時に取得できており,高い空間分解能 を維持しつつ計測範囲が拡大できる本計測システムの有効 性が確認できる.前節で求めた方法で結合誤差を計算した ところ 0.192 mmRMS となり,結合誤差は 45 %程度改善さ れていることがわかった.これより,wiener filter によるノ イズ除去法は動的な結合計測法においても有効に機能して いることがわかる.

Fig. 7 Periodogram power spectrum density estimate of measurement noise at center point (x = −0.07 mm, y = 0.24 mm)

Fig. 8 Time history on displacement response of membrane at

center point (x = −0.07 mm, y = 0.24 mm)

(a) Cross sectional shape in x direction (y <0.5mm)

(b) Cross sectional shape in y direction (x<0.5mm) Fig. 9 Cross sectional shape of membrane

4.薄膜の振動モード形状 4.1 振動モードの抽出 次に,計測データから薄膜の振動モードを抽出し,構築 した計測システムの有効性を検証する.今回の計測ではイ ンパクトハンマーと計測装置で同期をとっておらず正確な 伝達関数が得られていない.そこで,z 軸座標値の時刻歴 波形を用いて簡易的に振動モードを抽出した. 一般に,任意の時刻歴波形 x(t)のフーリエ級数展開は,

( )

∞ −∞ = = n t in ne X t x ω (2) と表され,Xnはフーリエ係数,ω は基本角周波数である. フーリエ係数 Xnは複素数であることから,その位相を φn とすると Eq. (2)は以下のように展開できる.

( )

(

)

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∞ = ∞ = − − − ∞ = − − ∞ = − − − + = + + = + + = + + = 1 0 1 0 1 0 1 0 cos 2 2 1 2 n n n n t n i t n i n n t in i n t in i n n t in n t in n t n X X e e X X e e X e e X X e X e X X t x n n n n ϕ ω ϕ ω ϕ ω ω ϕ ω ϕ ω ω (3) これより x(t)の n 次の振動モードの大きさは

(

n

)

n n X n t A =2 cos ω −ϕ (4) で与えられる.本研究では,格子投影法で計測した全計測 点における z 軸座標値の時刻歴波形をフーリエ変換し,フ ーリエ係数 Xnを求めた.そして,Eq. (4)を用いて振動モー ドの大きさ Anを全計測点で求め,その空間分布を n 次の振 動モードとした. Fig. 10 に Fig. 8 の時刻歴波形の PSD を示す.図より,今 回の計測では薄膜の共振周波数は 2.0 Hz にあることがわか る.そこで,一次共振周波数の 2.0 Hz と高次周波数の 8.0 Hz に着目し,Eq. (4)を用いて薄膜の振動モードを計算した. 2 Hz 8 Hz

Fig. 10 Periodogram power spectrum density estimate of Fig. 8 実験力学 Vol. 17, No. 2(2017 年 6 月)

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伊藤,野田,長:高分子材料の熱粘弾性特性に及ぼす測定周波数の影響 4.2 計測結果 Figs. 11, 12 に振動モードの計算結果を示す.図の振動モ ードは最大値で正規化している.図に示すように一次の振 動モードは中央で最大となる太鼓モードとなり,高次の振 動モード(8.0 Hz)は鞍型のモードとなっていることが確 認できる.一般に,高次モードは低次モードと比べて波長 が短く複雑な形状となるため抽出できる振動モードは計測 点数に依存する.格子投影法は空間分解能が高いため,そ のような複雑なモード形状であっても容易に取得すること ができる.また,今回構築した計測システムを用いれば空 間分解能を維持したまま計測範囲が拡大できるため,これ までカメラの撮影範囲の制約で部分的にしか取得できなか ったモード形状であっても全視野で取得することができ, その有効性が確認できる.

Fig. 11 Vibration mode of membrane at 2Hz

Fig. 12 Vibration mode of membrane at 8Hz

5.まとめ 2 台のデジタルカメラを同期させたサンプリングモアレ 法による振動計測システムを構築し,その有効性を薄膜の 振動応答を計測することで検証した.本研究で得られた知 見を以下にまとめる. (1) 基準面を利用したサンプリングモアレ法と結合計 測法とを組み合わせることで複数の計測データを 座標変換することなく簡易的に結合でき,高い空間 分解能と計測精度を維持したまま計測範囲を拡張 できることを示した. (2) サンプリングモアレ法の高い空間分解能を活かし たノイズ除去法として空間方向に 2 次元 wiener filter を適用し,振動計測で生じる白色ガウスノイ ズを周波数帯域に関係なく適切に除去できること を示した.また,wiener filter を適用することで計測 データの結合精度も改善できることを示した. (3) サンプリングモアレ法の計測データから振動モー ドを抽出することで複雑なモード形状であっても 今回構築した計測システムを用いれば高い空間分 解能で取得できることを示した.これにより,これ までデジタルカメラの撮影範囲の制約で部分的に しか取得できなかったモード形状であっても全視 野で取得することができる. 謝 辞 本研究は,JSPS 科研費 JP26249131,JP15K06594 の助成 を受けたものである. 参 考 文 献

1) Lehmann M, Jacquot P, Facchini M: Shape Measurements on Large Surfaces By Fringe Projection, Experimental Techniques, 23-2 (1999), 31-35.

2) Xie H, Shang H, Dai F, Li B, Xing Y: Phase shifting SEM moiré method, Optics & Laser Technology, 36-4 (2004), 291-297. 3) Tay C.J, Thakur M, Quan C.G: Grating projection system for

surface contour measurement, Appl Optics, 44-8 (2005), 1393-1400.

4) Ri S, Fujigaki M, Morimoto Y: Sampling Moiré Method for Accurate Small Deformation Distribution Measurement,

Experimental Mechanics, 50-4 (2010), 501-508.

5) Iwasa T, Harada T: A Precise Connection Method for Surface Shape Data Measured by the Grating Projection Method, Transactions of

the Japan Society for Aeronautical and Space Sciences, 59-4

(2016), 251-257.

6) Iwasa T, Tanaka H, Fujigaki M: Random Error Reduction Method for One-shot Shape Measurement using the Grating Projection Method, Transactions of the Japan Society for Aeronautical and

Space Sciences, 58-6 (2015), 337-344.

7) Fujigaki M, Morimoto Y: Development of Modifiable Software for Full-field Measurement, Journal of JSEM, 8-4 (2008), 323-326. (In Japanese)

8) Fujigaki M, Morimoto Y: Shape Measurement with Grating Projection Using Whole-Space Tabulation Method, Journal of

JSEM, 8-4 (2008), 402-408.(In Japanese)

9) Kaneko K, Fujigaki M, Murata Y: Proposal for Precision Prediction Method for Depth Measuring Microscope Using Grating Projection Method, Journal of JSEM, 15-3 (2015), 210-216.(In Japanese)

高分子材料の熱粘弾性特性に及ぼす測定周波数の影響

伊 藤 寛 明

,野 田 悟

**

,長 秀 雄

**

Influence of Measuring Frequency on Thermo-Viscoelastic

Properties of Polymers

Hiroaki ITO, Satoru NODA and Hideo CHO

In this study, to investigate the influence of the measuring frequency on thermo-viscoelastic properties of polymers, dynamic mechanical analyses (DMA, 0.01-0.1 Hz and 0.5-10 Hz) and immersion ultrasonic testing (1-5 MHz) were carried out. In the ultrasonic testing, loss tangent (tan δ) was derived from the phase velocity and attenuation coefficient. The frequency dispersion curves of tan δ measured at several temperatures were incorporated in a single curve (the master curve) by shifting datasets parallel to the logarithmic frequency axis. That is, it was able to estimate the thermo-viscoelastic properties of a soft epoxy resin by applying the time-temperature superposition principle. As a result of comparing both master curves of tan δ obtained by the ultrasonic testing and DMA testing, they were identical qualitatively, but the difference appeared in the viscosity behavior.

Keywords: Thermo-viscoelasticity, Time-temperature superposition principle, Dynamic mechanical analysis,

Immersion ultrasonic testing, Loss tangent

1.緒 論

高分子材料や複合材料の熱粘弾性特性の評価には,一般 的に動的粘弾性試験(DMA 試験)が用いられるが,その他 の評価手法として静的試験(クリープ試験,応力緩和試験) や超音波試験などがある.各々の試験の測定周波数は, DMA 試験は 1~100 Hz 程度,超音波試験は 10 kHz~10 MHz 程度と大きく異なるが,被測定物が熱レオロジー的に単純 であれば,各試験によって得られた緩和弾性率に対して時 間(周波数)-温度換算則1), 2) が一般的に適用できること から,測定手法に関わらず得られる熱粘弾性特性は同一の 結果を示すことが報告されている 3).そのため,例えば高 分子材料のホットエンボス成形や BGA パッケージの成形 などのように,実際には静的負荷により実施される現象に 対しても DMA 試験から得られた熱粘弾性特性を用いて成 形性が評価されている4), 5) しかしながら,静的試験,DMA 試験,超音波試験では, 測定周波数が大きく異なることから,試験中に材料に付与 されるひずみ量,ひずみ速度が異なる.一般的に粘弾性挙 動は,一般化 Maxwell モデル,または一般化 Voigt モデル によって近似され,いずれの粘弾性モデルも複数のバネと ダッシュポットで表現されている 1), 2).ここで,ダッシュ ポットは変形速度(ひずみ速度)に依存した抵抗力(粘性) を表現しており,高ひずみ速度域での試験において粘性係 数 η が増加する可能性は十分考えられる.つまり,各試験 によって得られる粘弾性特性はひずみ速度(測定周波数) の影響を受けて非線形性を示す可能性がある. Omata ら 6)は,自動車用タイヤの摩擦特性と粘弾性特性 との関係を明らかにするため,3 種類のゴム材料に対して, 超音波表面反射法による粘弾性特性の評価を行い,得られ た粘弾性特性を DMA 試験結果と比較している.その結果, 両試験から得られた粘弾性特性(損失正接:tan δ)は類似 した傾向を示すものの,tan δ の値は一致しておらず,その 原因はそれぞれの試験における振動振幅の違いによると考 察している.さらに,著者らの研究グループでは,ガラス 材料の熱粘弾性特性を静的クリープ試験,および DMA 試 験(周波数範囲:0.01~0.2 Hz)によって評価したところ, 両試験から得られたシフトファクタは一致するものの,緩 和弾性率のマスターカーブには差異が生じることを報告し ている 7).以上のように,広範囲に測定周波数を変化させ た場合には,高分子材料やガラスの熱粘弾性特性は測定周 波数(ひずみ速度)の依存性を示す報告があるが,同様の 報告例は数少なく,統一的な見解がなされていないのが現 状である. そこで,本研究では,供試材にアクリル樹脂,軟質エポ キシ樹脂を用い,測定周波数範囲の異なる 2 種類の DMA 試験,および超音波試験を行うことで,広範囲に測定周波 数を変化させて熱粘弾性特性を評価し,得られた熱粘弾性 特性の測定周波数依存性を調査することを目的とする.具 体的には,アクリル樹脂に対し,0.01~0.1 Hz(低周波数) および 0.5~10 Hz(高周波数)での DMA 試験を行い,DMA 試験における測定周波数依存性を確認する.また,軟質エ ポキシ樹脂に対して,液中超音波試験(1~4 MHz)と DMA 試験(0.5~10 Hz)を実施し,より広範囲に測定周波数を変 化させた際の熱粘弾性挙動を調査する. 原稿受付 2017 年 3 月 16 日 * 正会員 近畿大学工学部(〒739-2116 広島県東広島市高 屋うめの辺 1) ** 青山学院大学理工学部(〒252-5258 神奈川県相模原市中 央区淵野辺 5-10-1) 102

Fig. 5  Normal probability plot of measurement noise at center  point (x = −0.07 mm, y = 0.24 mm)
Fig.  7  Periodogram power spectrum density estimate of  measurement noise at center point  (x =  −0.07 mm, y =  0.24 mm)
Fig. 11  Vibration mode of membrane at 2Hz

参照

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