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「Visual Basic でわかるやさしい

有限要素法の基礎」

サンプルページ

この本の定価・判型などは,以下の URL からご覧いただけます. http://www.morikita.co.jp/books/mid/092001 ※このサンプルページの内容は,初版 1 刷発行当時のものです.

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本書に掲載されている実行プログラムとサンプルデータ は下記の URL からダウンロードできます. http://www.morikita.co.jp/soft/92001/ 本書の内容に関する質問は,[email protected] まで書籍名をご記入 の上,お送り下さい.また,本書の範囲を超える質問にはお答えできません ので,あらかじめご了承ください.  また,本書掲載のプログラムを利用した結果について,著者,出版社とも 一切責任を負わないことをご承知おきください. 本書に掲載されている会社名,製品名は,一般に各社の 登録商標または商標です. ■本書の無断複写は,著作権法上での例外を除き禁じられています. 複写される場合は,その都度事前に (株) 日本著作出版権管理システム (電話 03-3817-5670,FAX 03-3815-8199) の許諾を得てください.

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まえがき

本書は,有限要素法(FEM:Finite Element Method)の基礎をしっかりと学びたい という工学系学生およびエンジニアのために,主として構造強度問題に焦点を当てて 書かれたものである. 有限要素法は,現在では,強度設計や構造解析には欠くことのできないシミュレー ション技術となっている.優れた汎用有限要素法ソフトを利用して効率よく設計業務 を進めることは,ものづくりの現場では当然のこととして行われている.しかしなが ら,汎用ソフトの多くは,高機能であるために数多くの難解な命令を有しており,そ の意味をすべて理解して利用することはかなり難しい.おそらく,多くのユーザーは, 命令の意味がよくわからない場合にはソフトが指示した値のままに利用しているのが 実態ではないだろうか.また,FEMソフトを利用するに際して,境界条件の設定の 少しの違いが解析結果の大きな違いを招くというような経験をし,どちらが正しい解 析結果なのかと迷うユーザーも少なくないだろう. このような事態に適切に対処するには,やはりFEMの解析原理を理解し,同時に FEMプログラムの内容を知っておくことが重要である.マニュアルだけではFEMの 奥深さを知ることはできないのである.また,FEMをブラックボックスとして利用 するだけと割り切って使うこと以外に,ある特定のモデルに特化したプログラムを作 成したい,あるいは特別な機能を付与してFEMを利用したいというユーザーの要望 も根強い. そこで,本書は,平面トラスから平面弾性問題に至るまでVisual Basic 2008に基づ く6種類の解析プログラムおよび自動要素分割プログラムの公開と解説を行い,FEM を初めて学ぼうとする者が,実際にそのプログラムを試しながらFEMの基本原理や プログラム作成の鍵となる部分を理解できるようにすることを目的とした.FEMを 活用している人の多くは,まずFEMソフトを使ってからその中身を理解するという 道筋をたどっている.本書を用いればそのような利用法も可能である.FEMの理解 には,マトリックス演算,代数学,数値計算などの多くの数学的知識を必要とするが, 本書ではこれらについても丁寧に記述し,関連書を参照せずに済むよう配慮した. また,汎用FEMソフトでは,自動要素分割や解析結果を図で表示することが当然 のこととして行われている.本書で示したプログラムも,それらの汎用ソフトとほぼ 同様な機能を持っており,変形図や応力などを目に見える具体的な形で表示するプ ログラムが用意されている.しかも,作図の基本的な考え方や応力のコンターマップ (等高線による色の塗り分け)の作成法も詳しく説明している.このために,ブラック ボックスとして使われることの多いFEMプログラムの内部が少しは透けて見え,本

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ii まえがき 書は汎用プログラムの内部理解のための参考書ともなり得る.なお,プログラム言語 には,プログラム経験が浅くても容易にウィンドウズプログラムを作成可能なVisual Basic 2008を用いた. 本書は,過去10年間にわたる有限要素法の講義や研究活動における結果をまとめ たものである.必ずしも有限要素法を専門としない筆者が浅学非才を省みずに執筆し たために,数多くの誤りを含んでいるのではないかとおそれている.読者諸氏に遠慮 ないご指摘をお願いしたい.また,本書は,有限要素法のほんの入り口の部分を記述 しているに過ぎない.現在,有限要素法は,動的問題,弾塑性問題,非線形問題,逆 問題など多くの分野にわたって利用されており,計算力学を支える中心的な解析法と 言っても過言ではない.読者の方々が,本書を踏み台にしてこれらの分野の問題に立 ち向かっていただけるのであれば,著者はこれに過ぎる喜びはない. なお,作成プログラムの一部(スカイライン法など)は,戸川隼人先生(サイバー大 学教授)のアルゴリズムを参考にさせていただいた.戸川先生には本書の推薦文まで お寄せいただいた.ここに記して深甚なる謝意を表したい.また,有限要素法の講義 の機会を与えて下さった上野 誠 茨城高専名誉教授に深く感謝いたします.さらに, 日頃から研究室でFEMの計算に協力してくれている学生諸君,本書執筆の参考にさ せていただいた参考書の著者の方々にこの場を借りて厚く御礼申し上げます.最後に 執筆の支えとなった家族(妻和子,長男正人,長女宏美)に心より感謝します. 2008年12月 堀辺 忠志 単位の換算   本書は,力の単位として,国際単位系 (SI 単位) と工学単位 kgf とを併 用している. それらの間には,     ・1kgf=9.8N,     ・1kgf/mm2=9.8× 106N/m2=9.8MPa     ・21,000kgf/mm2=206× 103N/mm2=206GPa などの関係がある.  

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目

次

第 1 章 有限要素法への準備 1.1 有限要素法の考え方... 1 1.2 マトリックス,ベクトルの表示方法... 2 1.3 マトリックスの演算... 4 1.4 逆マトリックス... 6 1.5 逆マトリックスの数値計算... 8 1.6 マトリックス式の微分... 9 演習問題1... 11 第 2 章 平面トラスで学ぶ有限要素解析の基礎 2.1 ばねの力と変位... 12 2.2 複合ばね... 14 2.3 境界条件の導入... 17 2.4 平面トラスの要素剛性方程式... 18 2.5 平面トラスの解析例... 22 2.6 トラス要素の軸力と応力... 24 2.7 剛性マトリックスの性質... 26 演習問題2... 28 第 3 章 平面トラスの有限要素解析プログラム 3.1 プログラムの流れ... 30 3.2 Gaussの消去法... 32 3.3 プログラムリストおよび解説... 35 3.3.1 フォームの構造 37 3.3.2 プロシージャ 読み込み 38 3.3.3 プロシージャmaketk, bound, gauss 41 3.3.4 プロシージャoutput1 43 3.3.5 プロシージャdeform 46 3.4 作図のためのスケール設定... 49 3.5 グラフィックメソッド... 52 3.6 実行例... 53 3.7 変位拘束設定について... 55

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目 次 vii 演習問題3... 56 第 4 章 立体トラスの有限要素解析 4.1 要素剛性マトリックス... 57 4.2 軸 力... 60 4.3 バンドマトリックス法... 61 4.4 拘束条件のバンドマトリックス内での処理... 64 4.5 入力データ... 65 4.6 立体トラスの解析例... 65 4.7 立体トラスFEMプログラム... 68 4.7.1 フォームの構造とプログラムの構成 69 4.7.2 プロシージャinputdata 71 4.7.3 プロシージャmaketk 74 4.7.4 プロシージャband, bound 76 4.7.5 プロシージャbandmatrix 77 4.8 立体(3次元)トラスの要素分割図,変形図... 79 4.9 スケーリング... 81 演習問題4... 82 第 5 章 平面ラーメンの有限要素解析 5.1 はりの曲げ変形理論 ... 84 5.2 はり要素の剛性方程式... 87 5.3 要素剛性方程式の全体座標系への変換... 91 5.4 局所座標による解析結果の表示... 94 5.5 分布荷重を受けるときの外力の扱い... 95 5.6 弾性境界条件(半剛接)について... 97 5.7 はりの例題 ... 99 5.8 平面ラーメンFEMプログラム... 102 5.8.1 フォームの構造とプログラムの構成 102 5.8.2 平面ラーメン解析プログラムの入力データ 105 5.8.3 プロシージャfmtk 105 5.9 FEMプログラムによる解析例... 108 5.10 ラーメン構造物のCastiglianoの定理を用いた解析... 115 演習問題5... 117

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viii 目 次 第 6 章 弾性理論の基礎 6.1 応 力... 120 6.2 変位とひずみ... 121 6.3 応力とひずみの関係... 124 6.3.1 フックの法則 124 6.3.2 仕 事 129 6.4 釣り合い方程式と仮想仕事の原理... 131 6.4.1 釣り合い方程式 131 6.4.2 仮想仕事の原理 133 6.5 最小ポテンシャルエネルギーの原理... 135 6.6 主応力... 137 演習問題6... 139 第 7 章 平面弾性問題の有限要素解析 7.1 連続体に対する有限要素法... 142 7.2 三角形要素に基づく平面弾性問題の剛性方程式... 143 7.3 等価節点力... 149 7.4 要素間の変位の連続性... 150 7.5 その他の要素... 151 7.6 入力データ作成に関する注意... 153 7.7 平面応力問題および平面ひずみ問題解析プログラムの入力データ... 154 7.8 平面弾性問題FEMプログラム... 157 7.8.1 フォームの構造とプログラムの構成 158 7.8.2 プロシージャinputdata 161 7.8.3 プロシージャfmtk 163 7.8.4 プロシージャoutput1 166 7.9 スカイライン法... 172 7.10 境界条件の処理... 176 7.11 スカイライン法の右辺の計算... 179 7.12 スカイライン法に基づく解析プログラムの概要... 182 演習問題7... 184 第 8 章 プリ・ポストプロセッシング 8.1 三角形,四角形要素の等高線および応力コンターマップの作成法... 185 8.2 色塗りについて... 189

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目 次 ix 8.3 自動要素分割... 194 8.4 メッシュ基本データの生成法について... 196 8.5 自動要素分割プログラムとFEM解析の実行例... 199 8.5.1 メッシュ基本データの読み込み 200 8.5.2 荷重設定,拘束条件設定 203 8.6 4節点アイソパラメトリック要素の剛性マトリックス... 205 8.7 Gaussの数値積分法... 209 8.8 4節点アイソパラメトリック要素に基づく解析プログラム... 210 8.8.1 プロシージャfmtk 211 8.9 4節点アイソパラメトリック要素による解析プログラムのデータ.... 214 8.10 解析例... 216 演習問題8... 218 付録 コレスキー法 219 演習問題解答 222 参考文献 231 索  引 232 コラム目次   ニュートンに消された男... 29 ラーメン =\ 拉麺... 119 単位の選び方... 119 FEMが考え出されたのはいつか? ... 141 弾性理論と数学者... 141 FEMと材料力学... 184  

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第

2

章

平面トラスで学ぶ

有限要素解析の基礎

本章では,簡単な力学モデルで表現できる平面トラス (plane truss) を対象にして,有限要素 法による解析手順を考える.トラスという簡単なモデルを扱っているが,要素剛性マトリック スの重ね合わせ,拘束条件の処理および節点変位からの応力計算など,FEM のすべての基本手 順が解説されている.このため,4 章以降の FEM 定式化を理解するには本章の理解が不可欠で ある. さて,平面トラスとは,図 2.1 のように,三角形を基本とし,骨組部材を平面的に組み合わ せたものと定義されている.このとき,部材はピン接合され,接合部は自由に回転できるとい う仮定を設けている (このようなピン接合を滑節 (pin joint) という.実際の構造ではトラス要素 はガセット板と呼ばれる部品で接合されているが,解析を単純化するためにピン結合で扱うこ とが多い).このため,各部材は曲げに対する抵抗は示さず,部材方向に沿った引張りや圧縮の 軸力のみを受け持つという力学的性質を有する.したがってトラス要素の力学的な挙動は「ば ね」とまったく同一である. トラス構造は,三角形を基本とするために耐荷重性能が高く,また,形が崩れにくいという 特性をもつことから,鉄橋や家屋の屋根組みなどに広く用いらている.以下,トラス要素を必 要に応じて「ばね」と呼びながら FEM による取り扱いを考えよう. 図 2.1 平面トラスの例

2.1

ばねの力と変位

図2.2のようなばね(ばね定数はk)に力fが作用し,変位をuとすれば,一般に f = ku (2.1) の関係が成立する.これをフックの法則(Hooke’s law)という.また,このように外 力fと変位uが比例的に変化する物体を弾性体(elastic body)と呼んでいる. 次に,議論を一般化するため,図2.3のようにばね要素(element) の両端1, 2 (こ れを有限要素法では,通常,節点(node)と呼ぶ)において,それぞれ外力f1, f2と変

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2.1 ばねの力と変位 13 図 2.2 ばね 図 2.3 ばね要素 位u1, u2が与えられているときの式(2.1)の関係を求めてみよう. はじめに,節点1における力の釣り合い式は f1= k(u1− u2) (2.2) となる.同様に,節点2では f2= k(u2− u1) (2.3) または, f2=−k(u1− u2) である.式(2.2)と式(2.3)をまとめて,マトリックス表現すると  f1 f2  =  k −k −k k   u1 u2  (2.4) となる.ここで,  f1 f2  → {f},  k −k −k k  → [K],  u1 u2  → {u}

とおき,{f}:節点力ベクトル(nodal force vector),{u}:節点変位ベクトル(nodal displacement vector),[K]:剛性マトリックス(stiffness matrix)と呼ぶ.式(2.4)は, 上の表現式を用いると {f} = [K]{u} (2.5) とも示される.式(2.5)は,式(2.1)の関係をマトリックスを用いてより一般的に表現 した式である. 式(2.4)あるいは式(2.5)において,変位u1, u2を与えて外力f1, f2を求めることは できるが,その逆に,外力f1, f2を与えて変位u1, u2を求めることは,[K]の逆マト リックスが存在しない(このとき,[K]は特異マトリックス(singular matrix)である という)ためできない.このことは,与えた外力f1, f2の値に対応する変位u1, u2が 無数に存在することに対応する. 例題2.1 剛性マトリックス [K] の逆マトリックスが存在しないことを示せ.

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第

4

章

立体トラスの有限要素解析

本章では,図 4.1 のような 3 次元の広がりを持つ立体トラスを考える.この場合の節点にお ける変位や力は,3 方向を持つベクトルとなるので要素剛性マトリックスの大きさが 6 行 6 列 になる.これ以外は平面トラスとまったく同じ手順で定式化される. また,立体トラスをディスプレイ上に表現するための投影法についても扱い,3 次元図形を 平面上に表示する方法を解説する.この投影表示を行うことで,解析結果をビジュアルに表現 することが可能となる. 図 4.1 立体トラスの例

4.1

要素剛性マトリックス

平面トラスの場合と同じく,全体座標系(x, y, z)と部材軸方向にx¯軸をとった局所 座標系(¯x, ¯y, ¯z)を図4.2のように定義する.なお,この場合のy, ¯¯ z軸の方向はx¯軸に 垂直な面内で直交するようにとれば,さしあたって,どこを向いてもよいものとする. さて,全体および局所座標軸の方向余弦は次式(4.1)のようになっているものとする. x y z ¯ x l1 m1 n1 ¯ y l2 m2 n2 ¯ z l3 m3 n3 (4.1) このとき,x軸とx¯軸とのなす角をθx¯xなどとすると,l1, · · · , n3は l1= cos θx¯x, · · · , n3= cos θz¯z (4.2) と表される.

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58 第 4 章 立体トラスの有限要素解析 図 4.2 立体トラスの座標系 両端点の節点番号をi, j,節点変位を(ui, vi, wi),(uj, vj, wj),節点力を(fxi, fyi, fzi), (fxj, fyj, fzj)とすると,局所座標で表した力と変位の関係は,平面トラスの結果を参 考にマトリックス表示すると,                        ¯ fxi ¯ fyi ¯ fzi ¯ fxj ¯ fyj ¯ fzj                        =             k 0 0 −k 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 −k 0 0 k 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0                                    ¯ ui ¯ vi ¯ wi ¯ uj ¯ vj ¯ wj                        (4.3) となる.または { ¯f } = [ ¯K]{¯u} (4.4) と表わされる.一方,局所座標での力成分f¯xi, · · · , ¯fzjと全体座標での力成分 fxi, · · · , fzjとの関係は,式(4.1)より                        ¯ fxi ¯ fyi ¯ fzi ¯ fxj ¯ fyj ¯ fzj                        =             l1 m1 n1 0 0 0 l2 m2 n2 0 0 0 l3 m3 n3 0 0 0 0 0 0 l1 m1 n1 0 0 0 l2 m2 n2 0 0 0 l3 m3 n3                                    fxi fyi fzi fxj fyj fzj                        (4.5) または { ¯f } = [T ]{f } (4.6) となる.ここで[T ]は座標変換マトリックス(transformation matrix)である.変位 成分についても同様な関係が成り立ち, {¯u} = [T ]{u} (4.7)

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4.1 要素剛性マトリックス 59

である.ここで,

{u} = ui vi wi uj vj wjt, {¯u} = ¯ui ¯vi w¯i u¯j v¯j w¯jt とする. 式(4.6),(4.7)を式(4.4)に代入し,{f}について求めると {f} = [K]{u} (4.8) ここで, [K] = [T ]t[ ¯K][T ] (4.9) であり, [T ]−1= [T ]t (4.10) の関係を利用した.式(4.9)を具体的に計算すると,l1→ l, m1→ m, n1→ nと置き 換えて [K] = k             l2 lm ln −l2 −lm −ln lm m2 mn −lm −m2 −mn ln mn n2 −ln −mn −n2 −l2 −lm −ln l2 lm ln −lm −m2 −mn lm m2 mn −ln −mn −n2 ln mn n2             (4.11) を得る.この式(4.11)が全体座標で表した立体トラスの要素剛性マトリックスである. ここで,l, m, nは全体座標に関する部材軸の方向余弦であるから,図4.3より,座 標軸方向への投影長さをlx, ly, lz,要素長さをLとして, l = lx/L, m = ly/L, n = lz/L (4.12) より計算できる.なお,式(4.9)には,y, ¯¯ z軸の方向余弦が含まれていないからy, ¯¯ z軸 図 4.3 立体トラス要素の方向余弦

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60 第 4 章 立体トラスの有限要素解析 は計算に関与しないことがわかる.全体剛性方程式を得るには,式(4.8)で得られた 要素剛性方程式を平面トラスの場合と同様に重ね合わせれば良い. 例題4.1 式 (4.10) を証明せよ. 解答 第 2 章の【例題 2.7】と同じ手順で証明できる. 例題4.2 式 (4.9) のマトリックスの掛け算を実際に行って式 (4.11) を導け. 解答 労をいとわず計算すればよい.説明は省略.

4.2

軸 力

節点変位より要素軸力を求めることを考える.いま,図4.4のように各座標軸とα, β, γの角をなし,i, j 節点を持つ要素の方向余弦は, 図 4.4 トラスの節点力

l = cos α, m = cos β, n = cos γ (4.13) となる.この要素の軸剛性をk (= AE/L,L:要素長さ,A:断面積,E:ヤング率) とすれば,節点j に作用している外力は,式(4.8)より次のように表される. fxj= kl2(uj− ui) + klm(vj− vi) + kln(wj− wi) fyj= klm(uj− ui) + km2(vj− vi) + kmn(wj− wi) fzj= kln(uj− ui) + kmn(vj− vi) + kn2(wj− wi)        (4.14) これらの節点外力の軸方向への成分をとれば軸力成分Sijを得るから Sij= fxjl + fyjm + fzjn (4.15) となる.式(4.14)を(4.15)に代入し,l2+ m2+ n2= 1の関係を用いると Sij= kl(uj− ui) + km(vj− vi) + kn(wj− wi) (4.16)

(16)

第

7

章

平面弾性問題の有限要素解析

本章では,平面弾性問題 (平面応力,平面ひずみ) の有限要素法による扱いを述べる.はじめ に,剛性方程式の誘導法として,全ポテンシャルエネルギー最小の原理を用い,要素の変位関 数には一定ひずみ,あるいは一定応力の三角形要素を考える.続いて,剛性方程式の解法とし てメモリ使用効率のよいスカイライン法を詳述し,このスカイライン法に基づいたプログラム の作成法ならびにその作成例を示す.

7.1

連続体に対する有限要素法

1.1節で述べたように,有限要素法は,連続体を要素に分割して要素ごとの挙動を簡 単な近似関数で表し,それらの要素を再構成して問題を解く,という手法である(図 7.1参照).そして,この方法に基づいて考えてきたトラスやラーメンなどの1次元問 題では,特に問題なく正しい解が得られた.この理由には,変位の挙動を表す変位関 数(たとえば,式(5.12))が支配方程式を厳密に満たすように選ばれたことが挙げられ る.一方,2または3次元の広がりを持つ連続体を有限要素法で扱う場合には,支配 方程式を完全に満たす変位関数を選ぶことが難しい.そこで, • 要素分割による形状の近似 • 変位関数の近似 などの近似を導入して問題を解くという方法を考える.この方法によって得られる解 は近似解に過ぎないだろうが,要素分割をより細かくあるいは変位関数の近似度を上 げれば,近似があったとしても正しい解に近づいていくということは,直感的に理解 できると思う.この点においては,有限要素法は差分法(finite difference method)と 同じようにとらえることができる.ただし,物体形状の再現性,境界条件の扱いなど に関しては有限要素法が優れており,この優位な点がその利用を大きく広めたともい える.

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7.2 三角形要素に基づく平面弾性問題の剛性方程式 143

7.2

三角形要素に基づく平面弾性問題の剛性方程式

平面応力問題に関する有限要素法の定式化を,領域を三角形要素に分割した場合の もとで考える. はじめに,図7.1のように弾性体を三角形要素の集合体に分割したとする.したがっ て,この三角形一つ一つが,これまでに説明してきたトラスやラーメンの要素に相当 するものと考えることができる.そして,三角形の頂点を節点とし,この点での変位 や力をそれぞれ節点変位および節点力とする.この様子を図7.2に示す.3節点の節 点番号を反時計回りに(i, j, k)と定め,節点変位や節点力のx, y成分を添え字で区別 することにする.それらの節点変位と節点力をベクトルで表すと {δ} =                        ui vi uj vj uk vk                        , {f} =                        fxi fyi fxj fyj fxk fyk                        (7.1) となる. さて,図7.2の三角形要素内部の点 (x, y)におけるx 方向およびy方向変位をそ れぞれu(x, y),v(x, y)とし,この変位が次のようにx, yの1次関数で表されるもの と仮定する. u = α1+ α2x + α3y, v = α4+ α5x + α6y (7.2) ここで,α1, · · · , α6は定数である.式(7.2)は,要素の内部での変位の様子をx, yの1 次関数で近似したものであり,変位関数(displacement function)と呼ばれている.こ の変位関数の近似式は,実際の変位の様子はより複雑であろうが,細かい要素分割の 図 7.2 三角形要素

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144 第 7 章 平面弾性問題の有限要素解析 もとでは,式(7.2)のような粗い近似でもそれほど的外れではないという考えに基づ いている.なお,式(7.2)は,全体座標での表現式であることにも注意されたい. 式(7.2)を3個の節点i, j, kにおいて考えると, ui= α1+ α2xi+ α3yi, vi= α4+ α5xi+ α6yi, uj= α1+ α2xj+ α3yj, vj= α4+ α5xj+ α6yj, uk= α1+ α2xk+ α3yk, vk= α4+ α5xk+ α6yk        (7.3) ここで,(ui, vi), (uj, vj), (uk, vk)は,それぞれの節点におけるx, y方向変位である. 式(7.3)は,        ui uj uk        =     1 xi yi 1 xj yj 1 xk yk            α1 α2 α3       ,        vi vj vk        =     1 xi yi 1 xj yj 1 xk yk            α4 α5 α6        (7.4) と表される.これより,        α1 α2 α3        =     1 xi yi 1 xj yj 1 xk yk     −1       ui uj uk        = 1 2A     xjyk− xkyj xkyi− xiyk xiyj− xjyi yj− yk yk− yi yi− yj xk− xj xi− xk xj− xi            ui uj uk        (7.5)        α4 α5 α6        = 1 2A     xjyk− xkyj xkyi− xiyk xiyj− xjyi yj− yk yk− yi yi− yj xk− xj xi− xk xj− xi            vi vj vk        (7.6) ここで A =1 2 .. .. .. .. 1 xi yi 1 xj yj 1 xk yk .. .. .. ..= 1 2 , (xj− xi)(yk− yi)− (xk− xi)(yj− yi) -(7.7) であり,これは図7.2の三角形の面積を表している. 例題7.1 式 (7.7) が図 7.2 の三角形の面積を表すことを示せ.また,(i, j, k) が時計回りに定 められていれば,A が負になることを確かめよ. ヒント :図7.3 は,節点 i を原点に座標移動した図であり,面積 A は,A =1 2r1r2sinθ である. そして,θ = θ2− θ1に着目してA を求めればよい.

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索  引

あ 行 アイソパラメトリック要素 152 アフィン変換 49 応力テンソル 120 応力不変量 138 か 行 Gaussの消去法 32 Gaussの数値積分法 209 重ね合わせ 14 Castiglianoの定理 115 仮想仕事の原理 133 仮想変位 133 片持ちはり 99 滑節 12 CALCOMP 52 逆マトリックス 7 局所座標 19 グラフィック座標 49 グリーンの定理 134 計算力学 1 剛節 84 剛性マトリックス 13 後退代入 33 剛体変位 17 合同変換 21 コーシーの式 133 コレスキー法 173, 219 コンターマップ 185 さ 行 最小ポテンシャルエネルギーの原理 135 作図のためのスケール設定 49 座標変換マトリックス 21, 93 差分法 142 自動分割 194 主応力 137 主軸 137 スカイライン法 172 スケーリング 81 スパース性 31 節点 12 前進消去 33 全体座標 19 せん断力線図 94 た 行 縦弾性係数 86, 124 単位マトリックス 3 弾性定数マトリックス 126 断面 2 次モーメント 86 直投影法 80 直交マトリックス 22 適合モデル 150 適合要素 1 転置マトリックス 3 投影 80 投影面 80 等価節点力 96 等価節点力 (三角形要素) 149 等高線 185 等測投影図 81 特異マトリックス 13 な 行 内挿関数 89 内挿関数 (4 節点アイソパラメトリック要 素) 206 内挿関数 (三角形要素) 145 2次形式 10 は 行 掃き出し法 56 はり 84 半剛節 97 バンド幅 28

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索 引 233 バンドマトリックス法 61 ひずみエネルギー密度関数 129 ひずみ−変位マトリックス 146 ピボット 33 フックの法則 12, 124 物体力 131 ブロック分割法 194 平面応力 126 平面トラス 12 平面トラスの要素剛性方程式 18 平面ひずみ 126 ベルヌーイ・オイラー (Bernoulli-Euler) の 仮定 84 変位関数 143 ポアソン比 124 Polygon関数 186 ま 行 曲げモーメント線図 94 マトリックスの積 4 マトリックスの対称性 26 ミーゼス応力 157, 182 モールの応力円 138 門型ラーメン 111 や 行 ヤコビアン 206 余因数 7 要素間の変位の連続性 150 横弾性係数 125 4節点アイソパラメトリック要素 205 ら 行 ラーメン 84 両端単純支持はり 109 論理座標 49

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VisualBasic でわかるやさしい有限要素法の基礎 © 堀辺忠志 2008 2008 年 12 月 25 日 第 1 版第 1 刷発行 【本書の無断転載を禁ず】 著  者 堀辺忠志 発 行 者 森北博巳 発 行 所 森北出版株式会社 東京都千代田区富士見 1-4-11(〒 102-0071) 電話 03-3265-8341 / FAX 03-3264-8709 http://www.morikita.co.jp/ 日本書籍出版協会・自然科学書協会・工学書協会 会員 JCLS <(株)日本著作出版権管理システム委託出版物> 落丁・乱丁本はお取替えいたします 印刷 / モリモト・製本 / ブックアート

Printed in Japan/ ISBN978-4-627-92001-9

1980 年 3 月 東京大学大学院工学系研究科舶用機械工学専攻修士課程修了 1980 年 4 月 茨城工業高等専門学校機械工学科助手 1991 年 1 月 茨城工業高等専門学校機械工学科助教授 2000 年 4 月 茨城大学工学部機械工学科助教授 2007 年 4 月 茨城大学工学部機械工学科准教授 現在に至る 博士(工学) 本書のサポート情報などをホームページに掲載する場合があります. 下記アドレスにアクセスしご確認下さい. http://www.morikita.co.jp/support/

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図

図 7.1 要素分割

参照

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