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地域在住高齢者女性の慢性肩こり有訴に影響を及ぼす因子

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(1)理学療法学 第 46 巻第 6 号 407 ∼ 416 地域在住高齢者女性の慢性肩こり有訴に影響を及ぼす因子 頁(2019 年). 407. 研究論文(原著). 地域在住高齢者女性の慢性肩こり有訴に影響を及ぼす因子* ─「本態性肩こり」における頸胸椎アライメント, 頸部屈筋群持久力,頸部機能に着目して─. 神 田   賢 1)2)# 北 村 拓 也 1)2)3) 金 子 千 恵 4) 井 出 愛 実 1)5) 古 西   勇 2) 渡 辺   慶 2)6) 佐藤成登志 2). 要旨 【目的】地域在住高齢者女性の本態性慢性肩こり有訴に影響を及ぼす因子を比較した。【方法】地域在住 高齢者女性 33 名(有訴群 22 名,無有訴群 11 名,平均年齢 71.1 ± 4.4 歳)を対象に,頭部突出角度(以 下,FHA),上位胸椎前傾角度,頸部屈筋群持久力,頸部機能不全度(NDI)を評価した。 【結果】肩こ り有訴の有無における FHA,上位胸椎前傾角度では,有意な差を認めなかったが,頸部屈筋群持久力で は,有訴群が無有訴群と比較して有意に低い値を示し,頸部機能不全度では,有訴群が無有訴群と比較し て有意に高い値を示した。また,筋持久力においては,肩こり有訴群のオッズ比が有意に高い値を示した。 【結論】地域在住高齢者女性においては,頸部屈筋群持久力は本態性の慢性肩こり有訴に影響を及ぼす因 子となることが示唆された。また,本態性の慢性肩こり有訴は,頸部機能にも影響を与える要因となるこ とが示唆された。 キーワード 慢性肩こり有訴,地域在住高齢者女性,頸胸椎アライメント,頸部屈筋群持久力,頸部機能 不全インデックス. はじめに. 性で腰痛に次ぎ第 2 位,女性では第 1 位と報告されてい 1) る 。過去 20 年の調査結果においても同様な傾向を示.  厚生労働省がまとめている国民生活基礎調査での有訴. しており,多くの国民が肩こりを訴えている現実がある。. 者率(人口千対)を症状別にみると,肩こり有訴者は男.  2004 ∼ 2006 年にかけて,日本整形外科学会による学. *. Factors Associated with Prolonged Neck and Shoulder Pain (Katakori in Japanese) in Community Dwelling Elderly Females: Focus on Cervicothoracic Spinal Alignment, Neck Flexor Muscle Endurance and Neck Disability Index (NDI) 1)新潟医療福祉大学大学院 (〒 950‒3198 新潟県新潟市北区島見町 1398) Masaru Kanda, PT, MPT, Takuya Kitamura, PT, MS, Manami Ide, PT: Graduate School of Niigata University of Health and Welfare 2)新潟医療福祉大学ロコモ予防研究センター Masaru Kanda, PT, MPT, Takuya Kitamura, PT, MS, Isamu Konishi, PT, PhD, Kei Watanabe, MD, PhD, Naritoshi Sato, PT, PhD: Niigata University of Health and Welfare Research Center for Locomotive Syndrome Prevention 3)新潟リハビリテーション大学 Takuya Kitamura, PT, MS: Niigata University of Rehabilitation 4)胎内市福祉介護課 Chie Kaneko, PT: Tainai City Social Service Division 5)新潟リハビリテーション病院 Manami Ide, PT: Niigata Rehabilitation Hospital 6)新潟大学医歯学総合病院 Kei Watanabe, MD, PhD: Niigata University Medical and Dental General Hospital # E-mail: kanda@nuhw.ac.jp (受付日 2018 年 10 月 2 日/受理日 2019 年 7 月 26 日) [J-STAGE での早期公開日 2019 年 10 月 10 日]. 術プロジェクトとして肩こりに関する研究プロジェクト が施行され,国内外でこれまで肩こりに関して報告され てきた診断,病態,治療などに関する論文をもとに,肩 こりの定義や診断,治療体系を構築することを目的とし 2) た調査が行われた 。しかし国内のみならず,海外でも. 愁訴として少なくない肩こりに関する科学的研究は,こ れまでほとんど行われてきていないことが明らかとなっ た. 2)3). 。プロジェクトの報告によると,肩こりは筋肉の. 緊張状態に由来する症状名で,明確な定義を記載したも のは見あたらないとされているが,「後頭部から肩,お よび肩甲部にかけての筋肉の緊張を中心とする不快感, 4)5). 違和感,鈍痛などの症状,愁訴」. と定義しているも. のや, 「肩関節部−項部の間,項部,肩甲骨部および肩 甲間部における“固くなった感じ”,“張っている感じ”, 6) “重苦しい感じ” ,“痛い感じ” 」 と定義して報告してい. るものもある。.

(2) 408. 理学療法学 第 46 巻第 6 号.  肩こりは,「本態性肩こり」,「症候性肩こり」,「心因 性肩こり」に大別される. 7). 。本態性肩こりとは,特別な. 基礎疾患が見あたらないものを指し,多くの危険因子 (不良姿勢,運動不足による筋力低下,不適切な運動, 8) 過労,寒冷,ストレス,加齢)が報告されている 。症. 候性肩こりとは,各科臨床領域における身体疾患に起因 し,特に頸椎疾患,肩関節の機能障害や周囲の筋群の異 常によるものが多いと報告されている. 9). 。心因性肩こり. とは,他の慢性疼痛と同様に,心因性の因子の存在も関 連すると報告されている. 8). 。さらに,精神神経科領域で. は,心身症やうつ病,パニック障害で肩こりを訴えるも のが少なくないとの報告もある. 10). 。身体疾患や心因性. から起因する「症候性肩こり」,「心因性肩こり」とは異 なり, 「本態性肩こり」は明らかな器質的原因のないの 図 1 肩こり症状の部位(文献 3)より許諾をえて転載). が特徴的であり,明らかな基礎疾患を見いだされない場 合には,客観的に評価することはきわめて難しい. 8). と. 報告されている。このことが,肩こりの本質的な原因究 明に至らない要因のひとつとなり,「肩こり有訴」が長. 用いることは,肩こりの複合的な要因を明らかにするの. 期にわたり高い有訴率を示し続けている原因になってい. に有用かもしれない。頸胸椎アライメント評価は,頸部. ると考えられる。つまり,「肩こり」に対する治療・予. 痛との相関や予測因子としての報告. 防プロトコルを確立するには,「肩こり」の病態に対す. 持久力評価(等尺性頸部屈筋持久力テスト. る定量的な評価を行い,その結果に対する介入および効. 部痛の持久力評価として報告されている。頸部機能評価. 果検証を行わなければならない。そのためには,基礎疾. である日本語版頸部機能不全インデックス Neck Disa-. 患の不明瞭な「本態性肩こり」の病態に対する適切な評. bility Index (以下,NDI). 価法を確立させることが重要であると考える。. 認されている。.  これまでの定量的評価による報告は,neck pain と頸.  そこで本研究では,「本態性肩こり」に着目し,上記. 胸椎姿勢に関する報告 13‒15). 11)12). 21). 11). がされており, 13). )は,頸. は,信頼性・妥当性が確. ,や neck pain と筋持久力. の簡便な複数の評価を用い,地域在住高齢者女性の慢性. などがある。しかしながら,複合的. 肩こり有訴に影響を及ぼす因子を比較し,本態性の慢性. な要因が,理学療法士をはじめとした医療従事者の対象. 肩こり有訴に対する治療・予防プロトコル確立の基盤と. とする患者の頸部周囲に痛みや不快感の訴えの背景にあ. することを目的とした。. に関する報告. ると想定すると,単一の評価法を用いての研究で明らか. 対象および方法. にできることには限界があると考える。また,これらの 報告は肩こりと症状がほぼ一致している. 2)16)17). と報告. 1.研究デザイン. されているとはいえ,英語での「neck pain」による報.  本研究は,新潟県胎内市在住の高齢者女性ボランティ. 告であり,「肩こり」での報告ではない。. アを対象とした横断研究である。本研究は新潟医療福祉.  筆者は,これまで青年期女性の慢性肩こり有訴に影響. 大学の倫理委員会で承認(承認番号 18008-180628)を得. を及ぼす因子に関する研究を行い,頸胸椎アライメント. て行った。また,全対象者に研究内容の説明を行い,書. および頸部屈筋群持久力が,慢性肩こり有訴に影響を及. 面で研究への参加の同意を得たうえで実施した。. ぼす因子となること,慢性肩こり有訴は頸部周囲の不快 な主訴だけでなく,ADL にも影響を与える要因となる こと. 18). ること.  本研究の対象の候補者は,体操教室に参加している地. 19). 域在住高齢者女性ボランティア 36 名とした。全対象者. を報告した。しかし山崎によれば,年齢が異. なると肩こりの病態も異なってくる可能性が考えられ る. 20). 2.対象. ,上位胸椎後弯と頸部屈筋群持久力に相関があ. とも報告されており,異なる年齢層による肩こり. に対し,質問紙票にて「肩こりの有無」,「症状の部位」 のアンケート調査を行った。1 年以上の肩こりの症状を. 有訴に影響を及ぼす因子を検証する必要がある。. 有し,その症状の部位が先行研究で定義している部.  地域施設や臨床現場においては,比較的簡便に実施が. 位. 可能な定量的評価法が求められる。頸胸椎アライメン. 下,有訴群)とし,該当しないものを症状のないもの(以. ト,頸部屈筋持久力,頸部機能評価などを組み合わせて. 下,無有訴群)とした。両群とも除外基準として,頸部. 3)22). (図 1)に一致しているものを肩こり有訴者(以.

(3) 地域在住高齢者女性の慢性肩こり有訴に影響を及ぼす因子. 409. 表 1 対象者(地域在住高齢者女性)の基本属性 有訴群(n=22) 年齢(歳). 71.00 ± 4.62. 無有訴群(n=11). p値*. 71.18 ± 4.49. 0.92. 身長(m). 1.53 ± 0.05. 1.53 ± 0.03. 0.80. 体重(kg). 52.83 ± 8.37. 54.64 ± 6.07. 0.53. BMI(kg/m ). 22.52 ± 3.52. 23.55 ± 2.47. 0.40. 肩こり罹患歴平均(年). 17.00 ± 14.99. −. −. 2. * Student’s t test. 図 2 頸胸椎アライメント (FHA,上位胸椎前傾角度). への手術歴,免疫疾患(リウマチ等),上肢への神経症. 図 3 頸胸椎アライメント 評価時の肢位. 状とし,結果,有訴群 22 名,無有訴群 11 名,計 33 名(平 均年齢 71.1 ± 4.4 歳) (表 1)とした。 C7 の高さで統一し,三脚で固定して撮影を行った。座 3.評価項目. 位姿勢は一度体幹伸展をした後「一番楽な座位姿勢で前. 1)基本属性. 方を見てください」と口頭で伝え,その指示に対して対.  基本属性には,質問紙を用い年齢,身長,体重,肩こ. 象者がとった姿勢とした。角度の測定には,米国国立衛. り罹患歴,罹患部位を聴取した。. 生研究所で開発されたパブリック domain であり,画像. 2)頸胸椎アライメント評価. 解析の際に多く用いられるフリーソフトウェア「Image.  頸胸椎アライメント評価には,先行研究で頸部周囲症. J」を使用した。Image J による FHA,上位胸椎前傾角. 状の有訴者に対する姿勢測定に用いられている,頭部突. 度の確定においては,垂線と交わる角度を測定し,それ. 出角度 Forward head angle(耳珠と C7 を結んだ直線. ぞれ 3 回の測定を行いその平均値を代表値とした。. と垂線が交わる角度:以下,FHA)および上位胸椎前. 3)頸部屈筋群持久力評価. 傾角度(C7 と T5 棘突起を結んだ線と垂線が交わる角.  頸部屈筋群持久力評価には,先行研究で頸部周囲症状. 11)23). 度). (図 2)を用いた。測定肢位は座位とし,高さ. の有訴者に対する筋持久力測定に用いられている,等尺 13)24). (図 4)を用いた。測定. 45 cm の椅子に座位姿勢を取らせた(図 3) 。測定方法. 性頸部屈筋持久力テスト. は C7 および T5 棘突起,耳珠にマーカーをつけ,側方. 肢位は背殿位とし,上肢は体側でマットの上に安静に置. よりデジタルカメラ(Everio, 日本ビクター株式会社). き,測定中はマットから離れたり押したりしないように. にて撮影し FHA,上位胸椎前傾角度を確定した。デジ. 指示をした。対象者には,測定肢位をできるだけ長く保. タルカメラの距離は対象者から 2.5 m,高さは対象者の. 持するように指示をし,テスト開始と同時に頭部をマッ.

(4) 410. 理学療法学 第 46 巻第 6 号. し理解してもらったことを確認して記入してもらった。 NDI は 10 の質問項目から構成されており,ADL に関 するものが 7 項目,疼痛に関するものが 2 項目,集中力 に関するものが 1 項目となっている。各質問の点数を 0 ∼ 5 点のリッカートスケールで採点,計 50 点で評価を 行う形式をとっており,点数が高いほど,頸部機能に制 限があるという意味となっている。本研究においては, 図 4 頸部屈筋群持久力評価時の肢位. 点数を%で表し機能評価とした。 4.信頼性の検討  本研究で頸胸椎アライメントと頸部屈筋群持久力の評 価を実施する前に,これらの評価法における級内相関係 数 ICC (1.1)を算出し,本研究における検者内信頼性の 検討を行った。本研究の対象者に含まれていない 8 名の 健常成人に対し,頸胸椎アライメントと頸部屈筋群持久 力それぞれにおける信頼性の評価を行った。頸胸椎アラ イメント(FHA &上位胸椎前傾角度)および頸部屈筋. 図 5 上位頸椎屈曲位 保持の指標. 群持久力の測定を 1 週間の間隔を空け,同じ曜日,時間, 検者にて計 3 回行った。頸胸椎アライメントの評価にお い て は, 先 行 研 究 で も 高 い 信 頼 性 が 確 認 さ れ て お り. 11)25). ,本研究においても FHA において 0.934(95%. 信頼区間:0.806‒0.985),上位胸椎前傾角度においても 0.914(95%信頼区間:0.753‒0.980)と,非常に高い検 者内信頼性を認めた。頸部屈筋群持久力の評価において も,先行研究において高い信頼性が確認されており. 13)24). ,. 本研究においても 0.833(95%信頼区間:0.569‒0.960)と, 非常に高い検者内信頼性を認めた。また,検者間信頼性 においても,ともに先行研究にて確認 図 6 頸部屈曲筋群持久力評価時の上位頸椎屈曲位. 13) 25). されている。. 5.統計解析  まず,各評価項目と肩こり有訴の有無における差異を 検討した。連続変数で正規分布をしている場合はス. トから挙上した姿勢を保持してもらった。測定中の頭部. チューデントの t 検定,正規分布をしていない場合はマ. 保持は,上位頸椎屈曲位に統一して行った。上位頸椎屈. ン・ ホ イ ッ ト ニ 検 定 を 用 い た。NDI に お け る 総 得 点. 曲位を保持するために,先行研究に倣いテスト開始前に. (%)の比較においては,間隔尺度とみなして統計処理. 頭部をマットから離させずに頭部屈曲を行わせ,頸部に. を行った。頸胸椎アライメントと頸部屈筋群持久力の項. 生じたしわにマーカーで印をつけ(図 5),上位頸椎屈. 目間の関連性の分析には,ピアソンの相関係数の検定を. 曲位保持の指標とした。測定中は検者の手を対象者の頭. 用いた。次に,肩こり有訴に影響を及ぼす因子を検討す. 部の下に入れ(図 6),手掌面からわずかに離れる高さ. るために,肩こり有訴の有無を従属変数,FHA,上位. に維持しながら測定を行い,規定とした位置から逸脱し. 胸椎前傾角度,頸部屈筋群持久力を独立変数としたロジ. た場合は,対象者に随時戻すよう指示をした。測定時間. スティック回帰分析を行った。モデル 1 は調整変数を投. は,頭部後面がマットから離れてから,疲労や痛みなど. 入せず,モデル 2 ではモデル 1 で有意なものに,調整変. で頭部が再びマットに着くまでとし,持久時間はストッ. 数として年齢,BMI を投入した。ロジスティック回帰. プウォッチを用いて測定を行った。筋持久力時間測定を. 分析を行う際に,相関係数が 0.9 以上のものがある場合. 行う前に,テスト動作の教育および練習を行い,適切に. は,どちらかを除外して解析を行った。また,NDI の. テストが行えることを確認した。. 結果は無有訴群において点数が「0」となることが想定. 4)頸部機能評価. されるため,解析の説明変数から除外した。統計処理に.  頸部機能評価には,NDI. 21). を用い,全対象者に説明. は SPSS Statistics 22(日本アイ・ビー・エム株式会社).

(5) 地域在住高齢者女性の慢性肩こり有訴に影響を及ぼす因子. 411. 表 2 肩こり有訴の有無における各評価項目の比較 有訴群(n=22) FHA(度). 無有訴群(n=11). 45.36 ± 5.14. p値 0.96*. 45.26 ± 5.22. 0.09*. 上位胸椎前傾角度(度). 32.28 ± 6.44. 27.94 ± 7.76. 筋持久力(秒). 42.50 ± 28.54. 79.42 ± 43.94. < 0.01*. NDI(%). 12.09 ± 7.69. 0. < 0.01§. FHA:頭部前方突出角度,NDI:頸部 ADL 機能不全度 * Student’s t test,§ マン・ホイットニ検定. 表 3 FHA,上位胸椎角度,頸部屈筋持久力の関連 n=33. FHA. 上位胸椎前傾角度. 筋持久力. FHA. ―. ―. ―. ―. ―. ‒ 0.39†. ―. 上位胸椎前傾角度 筋持久力. 0.60†† ‒ 0.26. FHA:頭部前方突出角度 ††: p < 0.01, †: p < 0.05(ピアソンの相関係数で検定). を使用し,すべての検定における有意水準は 5%とした。 結   果. 6.FHA・上位胸椎前傾角度・頸部屈筋群持久力の関連 性(表 3)  全対象者において,FHA と上位胸椎前傾角度(表 3). 1.基本属性の比較(表 1). においては有意な正の相関(r = 0.6:p < 0.01) ,上位.  群間における基本属性の比較においては,群間に有意. 胸椎前傾角度と頸部屈筋群持久力においては,有意な負. な差を示さなかった(年齢:p = 0.92,身長:p = 0.80,. の相関(r = ‒ 0.4:p < 0.05)を示した。しかしながら,. 体重:p = 0.53,BMI:p = 0.40) 。. FHA と頸部屈筋群持久力においては有意な相関(r = ‒ 0.3:p = 0.15)を示さなかった。. 2.有訴群と無有訴群における FHA の比較(表 2)  群間における FHA の比較においては,有訴群で 45.4. 7.肩こり有訴に影響を及ぼす因子の関連(表 4). ± 1.1 度,無有訴群で 45.3 ± 5.2 度と,群間に有意な差.  モデル 1 では,統計的に有意なオッズ比がみられた変. を示さなかった(p = 0.96) 。. 数 は 筋 持 久 力 の み( オ ッ ズ 比:1.033,95%CI:1.004‒ 1.062)であり,FHA および上位胸椎前傾角度では,有. 3.有訴群と無有訴群における上位胸椎前傾角度の比較 (表 2). 意なオッズ比を示さなかった。モデル 1 で有意なオッズ 比がみられた筋持久力に,調整変数として年齢,BMI.  群間における上位胸椎前傾角度の比較においては,有. を投入したモデル 2 においても有意な調整オッズ比を示. 訴群で 32.3 ± 6.4 度,無有訴群で 27.9 ± 7.6 度と,群間. し,1.039(95%CI:1.004‒1.075)であった。. に有意な差を示さなかった(p = 0.09) 。 4.有訴群と無有訴群における頸部屈筋群持久力の比較 (表 2). 考   察  本研究では,地域施設や臨床現場において簡便に実施 が可能な定量的評価として,頸胸椎アライメント評価,.  群間における頸部屈筋群持久力の比較においては,有. 頸部屈筋群持久力評価,頸部機能評価を実施し,「本態. 訴群で 42.5 ± 28.5 秒,無有訴群で 79.4 ± 43.9 秒と,有. 性肩こり」に着目し,地域高齢者女性の慢性肩こり有訴. 訴群の持久力時間が有意に短い値を示した(p = 0.007) 。. に影響を及ぼす因子を比較・検討した。肩こり有訴の有 無における FHA,上位胸椎前傾角度では,有意な差を. 5.有訴群と無有訴群における頸部機能の比較(表 2). 認めなかったが,頸部屈筋群持久力では,有訴群が無有.  群間における頸部機能の比較においては,有訴群で. 訴群と比較して,有意に低い値を示し,頸部機能不全度. 12.1 ± 7.7%,無有訴群で 0%と,有訴群の頸部機能不. では,有訴群が無有訴群と比較して,有意に高い値を示. 全が有意に高い数値を示した(p<0.01)。. した。また,FHA と上位胸椎アライメント角度に有意.

(6) 412. 理学療法学 第 46 巻第 6 号. 表 4 肩こり有訴に影響を及ぼす関連因子 ロジスティック回帰分析 モデル 1. モデル 2. OR(95%CI). p値. AOR(95%CI). p値. 筋持久力. 1.033(1.004 ‒ 1.062). 0.024. 1.039(1.004 ‒ 1.075). 0.027. FHA. 0.996(0.862 ‒ 1.151). 0.957. ―. ―. 上位胸椎前傾角度. 0.899(0.788 ‒ 1.025). 0.111. ―. ―. 従属変数は肩こり無有訴群を 0(基準) ,有訴群を 1 とした. 独立変数は,筋持久力,FHA,上位胸椎前傾角度とした. モデル 1 は調整変数なし,モデル 2 は調整変数として年齢,BMI を投入した. OR(95%CI):オッズ比(95% 信頼区間)AOR(95%CI) :調整オッズ比(95% 信頼区間). な正,上位胸椎角度と頸部屈筋群持久力においては負の. 地域在住高齢者女性の FHA 増加は,慢性肩こり有訴に. 相関を認めた。さらに,筋持久力においては,肩こり有. 影響を及ぼす因子にはならないことが示唆された。. 訴群のオッズ比が有意に低く,FHA および上位胸椎前 傾角度においては,有意なオッズ比を示さなかった。. 3.有訴群と無有訴群における上位胸椎前傾角度の比較  有訴群と無有訴群における上位胸椎前傾角度の比較に. 1.有訴群と無有訴群における基本属性の比較. おいても,群間では有意な差を示さず,筆者による青年.  本研究の結果より,有訴群と無有訴群における基本属. 期女性における研究. 性の比較では,群間では有意な差を示さなかった。した. 有意に大きい)とは異なる結果となった。他の先行研究. がって,地域在住高齢者女性の年齢,身長,体重,BMI. においても筆者の先行研究と同様に,上位胸椎角度の増. などの基本属性は,慢性肩こり有訴に影響を及ぼす因子. 加と頸部痛との相関性. にはならないことが示唆された。しかしながら,本研究. しかしながら,本研究において有意な差を認めなかった. の対象者は体操教室に参加している地域在住の高齢者女. 理由としては,前述の通り本研究の対象者は高齢者であ. 性ボランティアであり,身体能力の高い対象者であっ. り,加齢による脊柱アライメントの変化が強く関係して. た。先行研究でも,健康体操教室での運動に限らず,地. いることが,ひとつの要因として考えられる。また,65. 域の活動に定期的に参加している高齢者は,ある程度の. 歳以上の女性の 2/3 以上は,脊椎圧迫骨折の既往がなく. 移動能力や生活機能が保たれる可能性を報告している. 26). 。. 今後,異なる身体能力や形態での検証が必要である。. 18). (有訴群の上位胸椎前傾角度が. 11). を報告しているものもある。. ても,胸椎の後弯が強く増加している. 30). との報告もあ. る。さらに,若年層と高齢者の女性では,リラックス肢 位において高齢者女性の胸椎後弯が優位に大きい. 31). と. 2.有訴群と無有訴群における FHA の比較. いった報告もされている。つまり,症状の有無にかかわ.  本研究の結果より,有訴群と無有訴群における FHA. らず,上位胸椎前傾角度の増加を生ずる。以上のことか. の比較では,群間では有意な差を示さず,筆者による青. ら,地域在住高齢者女性の上位胸椎前傾角度増加は,慢. 年期女性における研究. 18). (有訴群の FHA が有意に大き. い)とは異なる結果となった。先行研究では,頸椎矢状 面アライメントは年齢,性差,個体差などがある. 27). 性肩こり有訴に影響を及ぼす因子にはならないことが示 唆された。. と. の報告がされている。また,他の FHA に関する研究で. 4.有訴群と無有訴群における頸部屈筋群持久力の比較. は,50 歳以上の非外傷による慢性頸部痛患者は,頸部.  有訴群と無有訴群における頸部屈筋群持久力の比較で. 痛のない対象者と FHA の値は有意差がない. 12). といっ. は,有訴群の持久力時間が有意に小さな値を示し,筆者 18). と同様の結果となっ. た報告もある。さらに,45 歳以上の対象者では,痛み. による青年期女性における研究. の有無にかかわらず頸部の動きに対する固有受容感覚の. た。頸椎の安定性は,20%が骨および靭帯,80%は筋肉. 低下を引き起こす. 28). といった報告もされており,加齢. で占められている. 32). が,高齢者における頸長筋や頭長. による変化が症状の有無にかかわらず,頭部前方偏移姿. 筋の Type Ⅰ筋線維の割合が,斜角筋と比較して減少す. 勢を引き起こす可能性を報告している。加齢による変. る. 化,すなわち胸椎および腰椎の後弯の増強. 29). が頭部前. 33). ,若年者と比較して,高齢者の抗重力筋筋力は低. 下する. 34). といった,加齢との関連に関する報告がされ. 方偏移姿勢を生じることは報告されており,本研究の対. ている。また他の先行研究においては,頸部痛の有無に. 象者も高齢者(平均年齢 71.1 ± 4.4 歳)であり,前述し. よる頸部屈筋持久力に違いはない. た先行研究らと同様の結果となった。以上のことから,. 告や,頸部痛患者では,頸部屈筋の筋力および持久力の. 14)24)35). といった報.

(7) 地域在住高齢者女性の慢性肩こり有訴に影響を及ぼす因子 ‒40). 低下が認められた 36. ,健常者と比較して,等尺性頸 13). 413. のに対し,上位頸椎前傾角度は,わずかではあるが,有. など,痛み. 訴群で 4 度以上大きい(p = 0.09)という結果となった。. との関連に関する報告も多くされている。しかしなが. つまり,地域高齢者女性での頭部の位置(FHA の値). ら,持久力に関しての統一した見解がなされていないと. はほぼ同一であるが,上位胸椎部では,有訴群でわずか. いう課題が残存している。本研究においては後者と同様. ではあるが前かがみ姿勢(slump)が大きいことが推測. の結果となり,有訴群における持久力時間が有意に低い. される。. 値を示す結果となった。頸部痛患者では,タイプⅡ線維.  また,上位胸椎前傾角度と頸部屈筋群持久力において. の割合が多く運動単位の同期性の変化も起こってい. も,有意な負の相関(r = ‒ 0.4:p < 0.05)を示した。. 部屈筋持久力で臨床的に低い値を示した. る. 41). などの報告もある。以上のことから,地域在住高. つまり,上位胸椎前傾角度の増加は,その代償として下 47). を生じ. 齢者女性の頸部屈筋群持久力低下は,慢性肩こり有訴に. 位頸椎の屈曲および上位頸椎伸展角度の増加. 影響を及ぼす因子となることが示唆された。. ていると考えられ,結果,上位頸部屈筋群(頭長筋・頸 長筋上部)の伸長を引き起こした可能性が推測される。. 5.有訴群と無有訴群における頸部機能の比較. 頸椎の角度は,頸長筋などの深部屈筋群の形態や完全性.  有訴群と無有訴群における頸部機能の比較では,有訴. と関連があると報告されている. 群の頸部機能不全が有意に大きな値を示すという結果と. 患者においては,頸部の腹側・背側ともに筋線維のタイ. なった。NDI は,頸部の機能不全度を評価するテスト. プの変性,特にタイプⅠ線維においての変性が生じてい. として,非常に高い信頼性をもつ評価法として認められ. るとの報告. ており. 42)43). ,NDI の日本語版の信頼性・妥当性も認め. 21). 49). 48). 。また,慢性頸部痛. もされており,結果として頸部屈筋群の. 機能低下,特に筋持久力(タイプⅠ線維)に影響が生じ. 。本研究においても,全対象者に頸部の. た可能性が推測される。以上のことから,高齢者女性の. 症状が影響を及ぼす機能評価を行うという主旨を明確に. 頸部屈筋群持久力は,慢性肩こり有訴に影響を及ぼす関. 説明し,理解をしてもらったうえで評価を行った。した. 連因子となることが示唆された。しかしながら,上位胸. がって,無有訴群は肩こり症状がないため,肩こり有訴. 椎前傾角度における値の差はわずかなものであり,今後. が頸部機能には影響を及ぼしていない結果(0%)となっ. さらなる検証が必要である。. られている. た。反対に有訴群では,症状が非常に軽度であった結果 も含め,ほぼ全対象者が肩こり症状は頸部機能に影響が. 7.本研究の限界と課題. あると選択した。よって,機能不全度に差(0 ∼ 24%).  本研究でターゲットとしている対象者は,地域在住の. はあるものの,肩こり有訴群の頸部機能不全度が,無. 高齢者女性であり,肩こり有訴がもっとも高い壮年期や. 有訴群と比較して有意に大きい結果となった。以上のこ. 中年期,男性を対象にした検証を行っていない。また,. とから,地域在住高齢者女性においては,慢性肩こり有. 本研究の肩こり有訴者は症状を訴えてはいるが,医療機. 訴が頸部機能にも影響を与える因子となることが示唆さ. 関の介入が必要なほどの症状ではないため,基礎疾患の. れた。. 有無が不明瞭である。また上述した通り,体操教室に参 加できる比較的身体能力,ADL 機能の高い地域高齢者. 6.肩こり有訴に影響を及ぼす関連因子. に限局していると考えられるため,今後異なる年齢層お.  肩こり有訴に影響を及ぼす関連因子においては,統計. よび医療機関での基礎疾患の有無が確認されている患. 的に有意なオッズ比がみられた変数は筋持久力のみ. 者,または ADL 機能の低い対象者との比較・検証を行. (1.033)であり,FHA および上位胸椎前傾角度では,. い,地域施設や臨床現場において簡便に実施が可能な定. 有意なオッズ比を示さなかった。筋持久力においては,. 量的評価として,妥当性・信頼性を検証していくことが. 調整変数として年齢,BMI を投入しても,有意な調整. 必要とされる。さらに,本研究では対象者に対し,痛み. オッズ比(1.039)を示した。前述したとおり,本研究. の評価(Visual Analogue Scale や Numerical Rating Scale. では FHA,上位胸椎前傾角度ともに,群間で有意な差. 等)を行っていない。したがって,肩こり有訴と痛みの. を示さなかった。先行研究においては,頸椎矢状面アラ. 関連性の検証を行っていない。NDI は,頸部の痛みが. イメントは下位隣接脊椎である胸椎矢状面アライメント. どのように機能に影響を与えるかという評価法であり,. の影響を強く受ける. 44)45). ,頭部の前方移動が増加すれ. ば胸椎後弯増加が推測される. 46). と報告されている。また,. 頭部の前方偏移位置と上位胸椎前傾角度の相関性. 肩こり有訴と痛みの関連性を検証したうえで,NDI を 用いることが必要と考えられる。. 11)47). を報告している先行研究もある。しかしながら,両群の. 結   論. 結果の値を詳細に比較してみると,FHA は両群の平均.  地域在住高齢者女性での肩こり有訴群と無有訴群を比. の差が 0.1 度でほぼ同一(p = 0.96)という結果である. 較し,FHA および上位胸椎前傾角度では,群間に有意.

(8) 414. 理学療法学 第 46 巻第 6 号. な差は認められず,頸部屈筋群持久力では,有訴群が無 有訴群と比較し,頸部屈筋群の持久力が有意に低いこと が明らかとなった。このことから,地域在住高齢者女性 においては,頸部屈筋群持久力が本態性の慢性肩こり有 訴に影響を及ぼす因子となることが示唆された。また頸 部機能不全においても,有訴群が無有訴群と比較し,有 意に大きいことが明らかとなった。このことから,本態 性の慢性肩こり有訴は,頸部周囲の不快な主訴だけでな く,頸部機能にも影響を与える要因となることが示唆さ れた。 利益相反  本研究に関して開示すべき利益相反はない。 謝辞:本研究にご指導,ご協力いただきました社会福祉 法人板額の里ウエルネス中条デイサービスセンター理学 療法士の郷津良太氏,多田葉月氏,ならびに測定にご協 力いただいた新潟医療福祉大学学生の皆様,ご参加いた だきました対象者の皆様に深く感謝申し上げます。 文  献 1)厚生労働省:平成 28 年度国民生活基礎調査の概要 Ⅲ世 帯員の健康状況,1. 自覚症状の状況.http://www.mhlw. go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/index.html (2018 年 5 月 18 日引用) 2)高岸憲二,星野雄一,他:肩こりに関するプロジェクト 研究(平成 16-18 年).日本整形外科学会雑誌.2008; 82: 901‒911. 3)篠崎哲也,大沢敏久,他:肩こり・頚部痛の病態と治療 肩こりの病態―アンケート調査より.臨床整形外科.2007; 42: 409‒412. 4)伊藤達夫:肩こりの診断のポイント.クリニシアン.1997; 44: 495‒498. 5)横田敏勝:漱石の疼痛,カントの激痛.講談社現代新書, 講談社,2000,p. 50. 6)飯島克己,佐々木将人,他:肩こりについての研究(1) ─ 定 義, 外 国 で の 有 無 ─. 日 本 医 事 新 報.1992; 3547: 30‒33. 7)高木克公,井出淳二,他:肩こり.産婦人科治療.2000; 80: 327‒332. 8)森本昌宏:肩こりの臨床:適切な診断と治療のために.近 畿大医誌.2010; 35: 151‒156. 9)松崎雅彦,内尾祐司:肩こりの診断.MB Orthop.2006; 19: 7‒14. 10)清水幸登,植田中子,他:心身症・神経症の肩凝り─肩凝 りの治療が心身症・神経症の認知行動面にもたらす効果に ついて─.心身医学.2001; 41: 645‒646. 11)Lau KT, Cheung KY, et al.: Relationships between sagittal postures of thoracic and cervical spine, presence of neck pain, neck pain severity and disability. Man Ther. 2010; 15: 457‒462. 12)Silva AG, Punt TD, et al.: Head posture and neck pain of chronic nontraumatic origin: A comparison between patients and pain-free persons. Arch Phys Med Rehabil. 2009; 90: 669‒674. 13)Harris KD, Heer DM, et al.: Reliability of a measurement of neck flexor muscle endurance. Phys Ther. 2005; 85:. 1349‒1355. 14)Edmondston S, Björnsdóttir G, et al.: Endurance and fatigue characteristics of the neck flexor and extensor muscles during isometric tests in patients with postural neck pain. Man Ther. 2011; 16: 332‒338. 15)Lee H, Nicholson LL, et al.: Neck muscle endurance, selfreport, and range of motion data from subjects with treated and untreated neck pain. J Manipulative Physiol Ther. 2005; 28: 25‒32. 16)Ferrari R, Russell AS: Regional musculoskeletal conditions: neck pain. Best Pract Res Clin Rheumatol. 2003; 17: 57‒70. 17)飯島克己:肩こりについての研究(1)─定義,外国での有 無─.日本医事新報.1992; 3547: 30‒33. 18)神田 賢,北村拓也,他:青年期女性の慢性肩こり有訴に 影響を及ぼす因子─頚胸椎アライメント,頚部屈筋群持久 力,頚部 ADL 機能に着目して─.日本運動器疼痛学会誌. 2018; 10: 64‒74. 19)神田 賢,北村拓也,他:青年期女性における頚胸椎アラ イメントと頚部屈筋群持久力との関連性.理学療法新潟. 2018; 21: 19‒24. 20)山崎敏生:小児の肩こり.小児科臨床.1993; 46: 1173‒ 1178. 21)Nakamaru K, Vernon H, et al.: Crosscultural Adaptation, Reliability, and Validity of the Japanese Version of the Neck Disability Index. Spine. 2012; 37: E1343‒E1347. 22)Iizuka Y, Shinozaki T, et al.: Characteristics of neck and shoulder pain (called katakori in Japanese) among members of the nursing staff. J Orthp Sci. 2012; 17: 46‒50. 23)Thigpen CA, Padua DA, et al.: Head and shoulder posture affect scapular mechanics and muscle activity in overhead tasks. J Electromyogr Kinesiol. 2010; 20: 701‒ 709. 24)Edmondston SJ, Wallumrod ME, et al.: Reliability of isometric muscle endurance tests in subjects with postural neck pain. J Manipulative Physiol Ther. 2008; 31: 348‒354. 25)Falla D, Jull G, et al.: Effect of Neck Exercise on Sitting Posture in Patients with Chronic Neck Pain. Phys Ther. 2007; 87: 408‒417. 26)征矢野あや子,古畑英子,他:健康体操教室に長期間参加 している地域高齢者の身体機能.身体教育医学研究.2007; 8: 53‒58. 27)Yukawa Y, Kato F, et al.: Age-related changes in osseous anatomy, alignment, and range of motion of the cervical spine. Part 1: Radiographic data from over 1,200 asymptomatic subjects. Eur Spine J. 2012; 21: 1492‒1498. 28)Teng CC, Chai H, et al.: Cervicocephalic kinesthetic sensibility in young and middle-aged adults with or without a history of mild neck pain. Man Ther. 2007; 12: 22‒28. 29)Yang KH, King AI: Mechanism of facet load transmission as a hypothesis for low back pain. Spine. 1984; 9: 557‒565. 30)Hinman MR: Comparison of thoracic kyphosis and postural stiffness in younger and older women. Spine J. 2004; 4: 413‒417. 31)Bartynski WS, Heller MT, et al.: Severe thoracic kyphosis in the older patient in the absence of vertebral fracture: association of extreme curve with age. Am J Neuroradiol. 2005; 26: 2077‒2085. 32)Panjabi MM, Cholewicki J, et al.: Critical load of the human cervical spine: an in vitro experimental study. Clin Biomech. 1998; 13: 11‒17. 33)Cornwall J, Kennedy E: Fiber types of the anterior and lateral cervical muscles in elderly males. Eur Spine J. 2015; 24: 1986‒1991..

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(10) 416. 理学療法学 第 46 巻第 6 号. 〈Abstract〉. Factors Associated with Prolonged Neck and Shoulder Pain (Katakori in Japanese) in Community Dwelling Elderly Females: Focus on Cervicothoracic Spinal Alignment, Neck Flexor Muscle Endurance and Neck Disability Index (NDI). Masaru KANDA, PT, MPT, Takuya KITAMURA, PT, MS, Manami IDE, PT Graduate School of Niigata University of Health and Welfare Masaru KANDA, PT, MPT, Takuya KITAMURA, PT, MS, Isamu KONISHI, PT, PhD, Kei WATANABE, MD, PhD, Naritoshi SATO, PT, PhD Niigata University of Health and Welfare Research Center for Locomotive Syndrome Prevention Takuya KITAMURA, PT, MS Niigata University of Rehabilitation Chie KANEKO, PT Tainai City Social Service Division Manami IDE, PT Niigata Rehabilitation Hospital Kei WATANABE, MD, PhD Niigata University Medical and Dental General Hospital. Purpose: The factors of neck and shoulder pain (NSP), referred to as katakori in Japanese, have yet to be examined well. The aim of this study is to compare the factors of prolonged NSP between those of an asymptomatic control group. The study consisted of community dwelling elderly women and was conducted utilizing simple evaluation tools that can be found in clinical practice. Method: Thirty-three community dwelling elderly female subjects (22 prolonged NSP group, 11 asymptomatic control group, and average age 71 years old) were recruited for this study. Measurements of the cervicothoracic spinal alignment were obtained via forward head alignment (FHA) along with the upper thoracic angle. A lateral photograph was taken of test subjects with a digital camera, also neck flexor muscle endurance was obtained with the neck flexor muscle endurance test. Cervical functional measurements were obtained with the Neck Disability Index (NDI). Results: There was no significant difference in the FHA and the upper thoracic angle between the two groups; however, the cervical flexor muscle endurance of the prolonged NSP group was significantly lesser than the asymptomatic control group. NDI score of the prolonged NSP group was also significantly higher than the asymptomatic control group. The adjusted odds ratio (AOR) of cervical muscle endurance was significantly higher in NSP group. Conclusion: The results of this study indicate that the cervical flexor muscle endurance could be a good factor for the presence of prolonged NSP. NDI score was also significantly higher in the prolonged NSP group; therefore, it also indicates prolonged NSP is not only the symptoms in the neck/shoulder region, but also could affect neck function. Key Words: Prolonged neck and shoulder pain; NSP, Community dwelling elderly women, Cervicothoracic spinalalignment, Neck flexor endurance, Neck disability index.

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