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市町村保健センターにおける短縮版ペアレント・トレーニングのプログラムの有効性についての検討(3)

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Academic year: 2021

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日本認知・行動療法学会 第44回大会 一般演題 P1-14 148

-市町村保健センターにおける短縮版

ペアレント・トレーニングのプログラムの有効性についての検討( 3 )

○安井 梨恵1)、金 喬2)、米山 直樹3) 1 )宇治田原町保健センター、 2 )関西学院大学文学研究科、 3 )関西学院大学文学部 【目的】 厚生労働省により平成28年に「ペアレント・プログ ラム事業化マニュアル」が作成され、ペアレント・ト レーニング(以下、PT)の市町村への普及が進められ ている。市町村での実施の場合、ファシリテーターは 心理士の他に、保健師や保育士、一般事務職員など多 様な職種が行っている。 市町村では幼児の保護者を対象とするPTを主催する ことが多く、そこではASDへの早期療育として効果が あると考えられている応用行動分析に基づくPTの実施 が望ましいと思われる。しかし、市町村の職員がファ シリテーターを務める場合、他の業務を沢山抱えてい る為、行動理論についての知識を深める時間を確保す ることが困難である。また、同じ理由から職員がPTに 拘束される期間を少なくすることが求められており、 短縮版のPTがこうしたニーズに答えるものとなるので はないかと思われる。 上記のことから、1.行動理論に基づくPTで、2.心理 士以外の職種にも実施しやすく、3.短縮版の有効なプ ログラムを作成することが重要であると考えられる。 報告者は A 町において数年前から短縮版のPTを実施 しており、参加者の精神的健康度の向上などに有効性 が確認されたが、機能分析など子どもの行動の意味を 把握する為の応用行動分析的な知識を説明する時間が 足りず、十分な理解を促すことには困難さが見られた (安井・米山,2018)。そこで、今回は機能分析により 多く時間をかけて実施することとした。過去の実施で はレジュメと口頭説明による講義を行っていたが、よ り効果的な情報提供を目指し視覚的提示が可能なパ ワーポイントを使用した。パワーポイントの作成は、 他の職員での実施しやすさにもつながるという利点も ある。 【方法】 実施期間 X 年10月から X 年+ 1 年 3 月まで月 1 回の頻度で 行った。 参加者 A 町保健センターで開催されている療育教室に通う 未就学児の保護者 6 名を対象とした。 プログラム 「子どもとの関わり方教室」と題し、全 6 回(各回 約 1 時間)で実施した。第 1 回では、発達障がいにつ いての講義を交えオリエンテーションを行った。第 2 回では行動の定義の説明や行動を 3 つに分けるワーク を行い、第 3 回ではABC分析や機能分析について講義 した。第 4 回では機能分析の復習をしてから肯定的注 目について説明した。第 5 回では効果的な指示の出し 方について講義を行った。第 6 回では注目を取り去る (計画的無視)や罰のリスクについて話し、最後に修 了証授与式を行った。 効果の測定 参加前後に参加者の精神的健康度の変化を見るため に「日本語版GHQ12」を用いるとともに、行動論的知 識の獲得度合を測定するために金(2017)の作成した 「KBPAC追加項目」のうち今回のプログラムに合致する 内容のものを10問選択し、効果測定の妥当性を確認す る為内容と合致しない項目も 2 問加え、全部で12問を 使用することとした。また、ビデオによる評定も用 い、実施前後で参加者が子どもに、その子にとって苦 手な課題に従事させる場面を撮影し、評定を試みた。 評定は大学院博士前期課程で応用行動分析に関する研 究に取り組んだことのある有資格者の専門家 2 名がプ ログラムのポイントに沿った行動がとれているかを分 析することとした。 倫理的配慮 参加者に対しては参加前後のアンケートについて、 個人を特定できない形でデータを分析してまとめたも のを学会等で発表することを書面で説明し、署名によ り同意を得た。 【結果】 アンケートの回収率は100%であったが、参加者全員 で 6 名と人数が少数であったため、統計的分析は断念 した。 日本語版GHQ12 参加前後の平均値を比較した。GHQの臨界点は 4 点 以上である。全体の平均は参加前で 4 、参加後は1.3 と減少した。参加者のうち 1 名のみに 1 点の得点の増 加が見られたが、他の参加者には減少が認められた (Fig.1)。 1 名は得点が前後共に 0 点であった。 KBPAC追加項目 全体としては全12問中、平均値が参加前で5.6、参 加後は8.1となっており、得点の増加が見られた。個 別に見ても、参加者の全員の得点に増加が見られた (Fig.2)。

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日本認知・行動療法学会 第44回大会 一般演題 P1-14 149 -ビデオ評定 ビデオの評定者間の一致率は80%。ポイントは全10 項目であり、各評定者の平均値の変化は、評定者 F が 参加前で 7 、参加後は8.8、評定者 G は参加前が7.3、 参加後は8.3であり、両者共に前後の得点の増加が見 られた。しかし、個別の得点では参加者 1 名において 両評定者共に得点が減った者もいた。 【考察】 今回 A 町保健センターで実施したPTは、参加者の精 神的健康度の向上に効果が見られた。 また、KBPAC追加項目の得点が参加前後で全員増加 したことにより、本プログラムによって講義した行動 論的知識が参加者に比較的理解されたことが示され た。特に機能分析の項目への得点の増加が多かったこ とから、プログラムの中で第 3 回にしっかりと時間を 確保して講義し、次の第 4 回で復習をしたことでこれ まで獲得が難しかった部分の解消ができたのではない か と 思 わ れ る。 今 回 の プ ロ グ ラ ム で は 取 り 上 げ な か っ た 項 目 の 2 問 は 前 後 に 得 点 の 変 化 が 見 ら れ な かったことからも、講義による知識の獲得が示唆され た。 ビデオ評定の結果からは、保護者の子どもへの関わ り方を向上させることにも効果があることが確認され た。しかし、ビデオ評定は評定者に親子の様子を同じ ポイントで評定させるが、それぞれの子どもたちの課 題が違うことや、子どもの特性によって合う「効果的 な指示」が異なることなどで、評定の難しさが見られ た。今後ビデオ評定時に「ほめる回数」や「注意する 回数」、「子どもの課題への従事度」なども測ってみる ことが必要なのではないかと考えられる。 今回パワーポイントで実施した本プログラムで応用 行動分析の知識を入れながらも、参加者の理解度が高 かった為、別の実施者にも講義しやすいものが作成で きたと思われる。本研究が地域での普及の一助になる ことが望まれる。 【引用文献】 1 .厚生労働省 国立障害者リハビリテーションセン ター 2016 ペアレント・プログラム事業化マニュア ル.http://www.rehab.go.jp/ddis/こんなとき、どう す る%EF%BC% 9 F/家 族 支 援/ペ ア レ ン ト プ ロ グ ラ ム /?action=common_download_main&upload_id=2199  (参考 2018.8.4) 2 .金喬・米山直樹 2017 ペアレント・トレーニン グの効果測定を目的とするKBPAC追加項目作成の試 み. 日本行動分析学会第35回年次大会発表論文集  69. 3 .安井梨恵・米山直樹 2018 小規模市町における 有効な早期発達支援の在り方についての検討―保健セ ンターにおける短縮版ペアレント・トレーニングのプ ログラムの実践を通して. 関西学院大学心理科学研 究 44 17-22.

参照

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