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(1)

「⼈を対象とする医学系研究に

関する倫理指針」の解説

-研究倫理の要件の観点から-国⽴がん研究センター ⼭本精⼀郎 「⼈を対象とする医学系研究セミナー」 於︓量⼦科学技術研究開発機構放射線医学総合研究所, 2016.9.27

1

ICRwebのJCOG臨床試験セミナーおよび、国⽴がん研究センター ⽥代志⾨先⽣の講義より改変 これらの講義はhttp://icrweb.jp/より視聴可能

(2)

 臨床研究に携わる全ての者を対象  統計、倫理など150以上の講義  対象者別コース  基礎編 ●臨床研究者  CRC/DM ●疫学者  倫理審査委員  倫理指針のガイダンス、100以上の臨 床研究施設に公式採用  H28.4.25現在  登録者数52,185人  修了証発行29,595人

• H27年改訂の研究倫理指針の教育義務に対応

• 昨今の臨床研究不正事件に鑑み、ますます重要な役割を担う

臨床研究⼊⾨ICRWEB (HTTP://WWW.ICRWEB.JP)

-⽇本全国に臨床研究教育E-LEARNINGを提供-8

(3)

本⽇の内容

• これまで行われてきた不適切な研究事例 • 研究倫理原則の確立 • 研究が倫理的かどうかをどう判断するか • 臨床研究の8つの倫理要件 • Research Integrity • 被験者保護のためのしくみ • 米国の体制 • 日本の体制

3

(4)

倫理の⾊々

倫理・倫理学

生命倫理・医の倫理

研究倫理

医学研究の要件 ・10人の命を救うために1人の人を殺すことは許されるか? ・他人に迷惑をかけなければ何をしてもよい?(ミル・愚行権) ・友人を匿った時に強盗にウソをつくのはいけない?(カント・例外禁止) ・現在の人間には未来の人間に対する義務があるか? ・植物状態の娘の生命維持装置を親は外してよいか? ・遺伝病の発症前診断が許される条件は?

4

(5)

これまでの不適切な研究事

例から学ぶ

(6)

これまでに⾏われてきた不適切な研究(1)海外

6

第⼆次世界⼤戦中︓ナチス・ドイツの⼈体実験

• ⺠間⼈・捕虜を対象に、超⾼度実験、低体温実験、マラリア実験、断種実 験などの多くの⼈体実験を実施 • 第⼆次世界⼤戦終了後、ニュルンベルグ裁判にて23名(うち医師20名)が 裁かれた • ニューヨーク州のウィローブルック州⽴学校 • 知的障害児を対象に、肝炎ウイルスを接種。 •肝炎ウイルス(A型・B型)による伝播様式の違いを調査 •ガンマ・グロブリンの免疫に対する影響を調べるために、投与群と⾮投与群の 発症割合を⽐較 • 予防法を調べると説明 • ⼦を州⽴学校に預ける選択肢しかない親は、同意せざるを得ず • 研究実施者のソール・クルーグマンは、本研究の成果により、のちにニューヨーク ⼤⼩児科教授に就任

1950年代︓ウィローブロック肝炎研究(⽶)

(7)

これまでに⾏われてきた不適切な研究(2)海外

7

1970年代︓サン・アントニオ避妊研究 (⽶)

• 貧しい⼥性を対象に避妊薬の効果を⾒るランダム化⽐較試験 • プラセボの使⽤について被験者に伝えず • プラセボ群では予想通り望まない妊娠が増えた

1960年代︓ユダヤ⼈慢性疾患病院研究(⽶)

• ニューヨーク州のユダヤ⼈慢性疾患病院 • ⽣きた癌細胞を、免疫応答が低下した末期患者に注射 • 同意なし • C. サザム医師(スローン・ケタリング研究所)がE. マンデル医師と実施 • 1963年に内部告発により発覚。裁判により、両者敗訴 • 敗訴後も、サザムは要職に着任 •研究者間では、サザムの⼈体実験は問題視されていなかった

(8)

これまでに⾏われてきた不適切な研究(3)海外

8

1932-72年︓タスキギー梅毒研究 (⽶)

• 研究の内容 •アラバマ州メイコン郡タスキギー •アフリカ系アメリカ⼈の低所得者の梅毒患者399⼈を対象 •無治療で梅毒の⾃然経過を観察(脊髄穿刺による病状の確認のみ) •交通費、暖かい昼⾷、梅毒以外の病気に対する治療、葬儀代を提供 •17本の論⽂を発表 •⽶厚⽣省・公衆衛⽣局が実施 •1946年より⼀般診療としてペニシリンが使⽤可能となるも使⽤せず •1972年、AP通信およびニューヨークタイムズで報道され、研究中⽌ • 影響 •1974年5⽉、厚⽣省が⼈体実験に関する規制

•1974年7⽉、国家研究法(National Research Act)制定 • その後

•1996年、⽣存者11名と遺族による訴訟が勝利

(9)

これまでに⾏われてきた不適切な研究(4)⽇本

9

1965年︓キセナラミン事件

• 対象は製薬会社興和の社員187名 • 抗ウイルス薬の新薬キセナラミンのプラセボ対照試験 • 社員は上司の指⽰により参加。副作⽤の訴えは無視。副作⽤死亡1名

1982年︓⽇本ケミファ事件

• ⽇本ワイスと⽇本ケミファが鎮痛消炎剤「シンナミン」を共同開発 • ⽇本ケミファは、分担した研究のうち⼀部を⾏わず、データをねつ造 • 副作⽤死亡が3名出ていることを隠蔽

1930年代︓⽇本軍731部隊(関東軍防疫給⽔部)

詳細不明

(10)

近年の⽇本における不適切な臨床研究の事例

2007年︓神⼾市⽴医療センターにおける臨床試験

• 中央市⺠病院において、乳がん患者52名に対して通常とは異なる投与⽅法(投 与量、投与順)による臨床試験を実施(単施設) • 同意書の存在は4名分のみ。うちサインがあるのは1名分(⼝頭同意有) • その後の調査で、⻄市⺠病院についても同意書の存在しない事例が発覚

1998年︓⾦沢⼤学医学部における臨床試験

• 卵巣がん患者を同意を得ずに多施設共同臨床試験に組み⼊れ • 裁判では臨床試験の対象ではなかったと説明 •登録⼀覧表から当該患者を削除(改ざん) • 同時期に、G-CSFの臨床試験が進⾏していた •上記試験の患者の⼤半が、G-CSFの試験に組み⼊れられていた • 判決︓説明義務違反による精神的苦痛を認めた。慰謝料60万円 (朝日新聞2006年4月27日) (毎日新聞2007年7月27日)

(11)

近年の⽇本における不適切な臨床研究の事例

11

2012年︓慶應⼤学における臨床研究

• 肺がん患者26⼈と別の肺疾患の患者5⼈から、事前の同意なく術中に肋⾻から⾻ 髄液を採取 • 倫理審査委員会の承認⼿続きも未完了

2009年︓昭和⼤学の論⽂取り下げ事件

• 2003年にLancet誌に腎疾患に対する単剤 vs 併⽤療法のRCTの結果を発表 • データの信憑性に疑問の声が上がり、Lancet誌が病院に調査を依頼 • 患者データなし、IRB承認なし、⼆重盲検なし • 2009年論⽂取り下げ (読売新聞2009年11月21日) (朝日新聞2012年3月19日)

(12)

近年の⽇本における不適切な臨床研究の事例

12

2013年︓ディオバン問題

•2002年〜東京慈恵医科⼤学がノバルティスファーマ社の降圧剤(ディオバン)と 従来の降圧剤を⽐較する 臨床試験を開始。 その後、千葉⼤学、滋賀医科⼤学、京都府⽴医科⼤学、名古屋⼤ 学で同様の臨床試験が開始される。

•2007年 医学雑誌 Lancet誌にJikei Heart Studyが掲載される。

•2009年 医学雑誌 European Heart Journal誌にKyoto Heart Studyが 掲載される。 → 他の降圧剤と⽐べ脳卒中や狭⼼症の発⽣を低減する効果があると結論。 •2012年 京都⼤学医師が研究論⽂について疑義を指摘。 •2013年2⽉ 京都府⽴医⼤の論⽂がEHJ誌により撤回される。 •2013年3⽉ 元ノバルティス社員が⼤阪市⽴⼤学⾮常勤講師の肩書きで関与 していたことが報道される。 •2013年7⽉ 内部調査が⾏われ、⼈為的データ操作が⾏われていたことが判明。 •2013年8⽉ 厚労省が「⾼⾎圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員 会」設置。 •2013年9⽉ 慈恵医⼤の論⽂がLancet誌により撤回される。 (第1回 高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員 配付資料 2013年8月9日)

(13)

被験者保護と研究倫理

医学研究には悲惨な⼈体実験の歴史がある

被験者を保護していない研究が数多くあった

被験者保護をしていない研究は⾮倫理的である

被験者保護を実践するためにまとめられた概念が研究倫理

13

(14)

医学の進歩のためには、

⼈を対象とした研究が必要

医学の進歩は⼈間を対象とする諸試験を要する研究に根本的に基

づくものである。Medical progress is based on research that

ultimately must include studies involving human

subjects(ヘルシンキ宣⾔ ⼀般原則5、⽇本医師会訳)

臨床試験

とは、「患者を⽤いて⾏われ、かつ、ある特定の医学的条件

に合致する

将来の患者

に対して

最適な治療法

を明らかにすべく企図

された『

計画的実験

』」 (Clinical Trials, Stuart J. Pocock,

1984)

・・・医療の進歩は、最終的には臨床研究に依存せざるを得ない場合

が多い・・

(臨床研究に関する倫理指針 前⽂ 2008年7⽉31⽇改正)

⼈を対象とする医学系研究は、・・・⼈類の健康及び福祉の発展に資する

重要な基盤である。(⼈を対象とする医学系研究に関する倫理指針

2014年12⽉22⽇)

14

(15)

被験者保護のために研究が倫理的である必要

性(

EZEKIEL EMANUEL

臨床研究は医学の発展のために⼀般化可能な知識を開発すること そのための⼿段として、研究の対象として「⼈」を「使う」ことが必要 他⼈の幸福のために「⼈」を「使う」以上、その⼈が搾取される可能性がある 搾取される可能性を最⼩化するために、臨床研究倫理の要件はある

15

臨床研究倫理国際シンポジウムにおける講義より (2008年6⽉20⽇開催、朝⽇スクエア)

(16)
(17)

研究倫理原則の確⽴(1)

17

•ハーバード⼤医学部教授ビーチャーがNEJM誌に発表

•同意を得ず⾏った被験者の⽣命や健康を危険にさらした22研究を要約

•「研究の倫理に関する歴史を変えた」といわれる論⽂

1966年︓“Ethics and Clinical Research”発表(⽶)

•ナチス・ドイツの⼈体実験に関する軍事裁判の判決⽂中に⽰された •医学実験に関する最初のガイドライン

1947年︓ニュルンベルグ綱領

•ニュルンベルグ綱領を受け、世界医師会が医学研究者が⾃らを規制するため に提案 4条︓医学の進歩は、最終的にはヒトを対象とする試験に⼀部依存せざるを 得ない研究に基づく 5条︓被験者の福利に対する配慮が科学的及び社会的利益よりも優先さ れなければならない

1964年︓ヘルシンキ宣⾔

〜ʼ4 5 ʻ50代 ʻ60代 ʻ70代 ʻ32 ʻ72 第⼆次⼤戦 ユダヤ タスキギー サンアントニオ ウィロー

(18)

研究倫理原則の確⽴(2)

18

•タスキギー事件に対する⽶国⺠の批判を受けて、エドワード・ケネディー上院 議員が公聴会を開催 •タスキギー事件、ウィローブロック肝炎研究など様々な事件について検討

1973年︓ヘルスケアおよび⼈対象試験の質に関する公聴会(⽶)

•公聴会の結果を受けて成⽴ •国家研究法の概要 •倫理審査委員会設置の義務化 →研究計画の審査がシステム化 •⼈体実験規則の公布の要求 →被験者保護の法制化(連邦規則45CFR46の制定) •⽣物医学と⾏動医学の研究における被験者保護のための国家委員会 設⽴ →17冊の報告書を刊⾏(その1つがベルモントレポート)

1974年︓国家研究法成⽴ (⽶)

(19)

研究倫理原則の確⽴(3)

19

•研究倫理に関する3つの倫理原則

を提唱

⼈格の尊重

(respect for persons)

善⾏

(beneficence)

正義

(justice)

1979年︓ベルモントレポート(⽶)

•ベルモントレポート作成に関わった、ビーチャム・TL、 チルドレス・JFが

「⽣物医学・医療倫理の諸原則」を発表

•医療倫理に関する4原則

を提唱

⾃律尊重(autonomy) 無危害(non- maleficence)

善⾏(beneficence)

正義・公平(justice)

(20)

Informed consent

Favorable risk/benefit

ニュールンベルグ綱領 1947 ヘルシンキ宣⾔ 1964-2008

Independent review

ベルモントレポート 1979

Vulnerable

Subjects

(Fair subject selection) CIOMS-WHOガイドライン 1982, 1993, 2002

Compensation

ナチの ⼈体実験 タスキギー事件 1931-1972 ウィローブルック事件 1956-1972 アフリカでのワクチン・エイズ薬治験

Scientific validity

Social value (Good of society)

国際的倫理規範と倫理要件

(21)

個別のスキャンダルに対応して作られてきた

必ずしも網羅的・体系的ではない

• 系統的・網羅的・わかりやすく • 何が満たされていれば「倫理的」と⾔えるか︖ • どの順番で考えればよいか︖

研究倫理のフレームワーク

• 研究計画を⽴てる時に何に気をつければよい︖ • IRB委員になった時に何を審査すればよい︖

これまでのガイドラインは・・・

21

(22)

それでは、

研究が倫理的かどうかを

どう判断すればよいのか︖

より具体的な判断規準があれば考えやすい

臨床研究の8つの倫理要件が有⽤

Emanuel EJ, Wendler D, Grady C: What Makes Clinical Research Ethical? JAMA. 2000;283(20):2701-11.

Emanuel EJ, Wendler D, Killen J: What Makes Clinical Research in Developing Countries Ethical? The Benchmarks of Ethical Research. J Infect Dis. 2004;189(5):930-7.

(23)

臨床研究の8つの倫理要件

臨床研究の8つの倫理要件が提唱された経緯

これまで発表された研究倫理原則やガイドラインは、それぞれが

原理・原則を唱えたものであり、実際に研究を審査する際には適

⽤できなかった

2000年、⽶国国⽴衛⽣研究所(

NIH

)の

Emanuelらが

理要件を包括的に7つに整理してJAMAに発表

2004年に8つめの要件を追加

• 臨床研究を通じて(国際的な)医療の均てん化を

8要件の特徴

各ガイドラインから⽀持される

具体的

な倫理要件を抽出

評価の⽬安も提⾔

23

(24)

1 Collaborative

Partnership

コミュニティ(社会・地域)との協調 2 Social

Value

社会的な価値

3 Scientific

Validity

科学的妥当性

4 Fair

Subject Selection

適正な被験者選択 5 Favorable

Risk/Benefit

Ratio 適切なリスク・ベネフィットバランス

6 Independent Review 第三者による独⽴した審査 7 Informed Consent インフォームド・コンセント 8 Respect for Potential and

Enrolled Subjects 被験者および候補者の尊重

Emanuel EJ, et al, 2000年(7要件) 2004年(8要件)

臨床研究 8つの倫理要件

(25)

⼈を対象とする医学系研究に関する倫理指針(以

下統合指針)の8つの基本⽅針(本⽂2⾴)

① 社会的及び学術的な意義を有する研究の実施

② 研究分野の特性に応じた科学的合理性の確保

③ 研究対象者への負担並びに予測されるリスク及び利益の総合

的評価

④ 独⽴かつ公正な⽴場に⽴った倫理審査委員会による審査

⑤ 事前の⼗分な説明及び研究対象者の⾃由意思による同意

⑥ 社会的に弱い⽴場にある者への特別な配慮

⑦ 個⼈情報等の保護

⑧ 研究の質及び透明性の確保

25

(26)

(1)COLLABORATIVE PARTNERSHIP

コミュニティ(社会・地域)との協調

臨床研究は研究成果の恩恵を受けられるコミュニティを対象として⾏わなければなら ない。成果のみの搾取は⾏うべきでない。そのために関係者は協調して研究を⾏わな ければならない。 Partnershipのない研究 • アフリカでエイズ薬の早期治験 → 欧⽶で販売。アフリカでは⾼くて使えない • 欧⽶で抗がん剤の早期治験 → 安全・有効とわかったら⽇本へ • ⾼額な分⼦標的治療薬の開発 → ⼀部のお⾦持ちしか使えない 実践 • 研究を実施したコミュニティで、成果をより多くの⼈が使えるような仕組みを考案 • 研究成果を健康保険のシステムに組み込み、コミュニティで共有する • 早期段階からグローバル開発を⾏い、研究成果の恩恵を受けたい各国が参加 • 研究の計画や実⾏、監督においてもコミュニティが参加 • 対象となる患者集団やその代弁者、諮問委員会、倫理審査委員会、研 究資⾦の⽀援者などの意⾒を聞く

26

8要件目

(27)

(2) SOCIAL (OR SCIENTIFIC) VALUE

社会的/科学的価値

治療の進歩・未来の患者さんに貢献する結果/結論が得られなければならない。 Valueのない研究 • 既にわかっている結論しか出ない︓臨床医・スポンサーの不勉強 • 無秩序/無駄な重複︓“でもしか phase I/II” • 既存薬に⽐べメリットのない(薬価は⾼い)新しい降圧剤の治験

• 学会発表のため・医者の業績作りのための研究(study for doctor)

実践 • プロトコールにValue のあること⼗分記述 • 網羅的/公平な知識(thorough knowledge)とエビデンスに基づく研 究計画 • 標準治療は何か︖を踏まえた研究計画 • 「臨床試験登録」制度 • 研究の管理︓研究者の資格認定 • 限られたリソース(⼈材、研究資⾦等)の有効活⽤と健全な競争

27

(28)

(3) SCIENTIFIC VALIDITY

科学的妥当性

⼀般的に正しいと認められた⽅法に基づく研究でなければならない。 Valid でない研究 • エンドポイントが正しく算出できない • サンプルサイズが⼩さく、(よいとも悪いとも)結論が出ない • データ管理されていない研究 • 「不適格」かどうかのチェックがない • 知識も組織もない中で⾏う研究 • 劣っていることが⾒込まれる対照群を設定したランダム化⽐較試験(“当て ⾺”試験) 実践 • ⽣物統計家の⽀援体制を確保 • データマネージャーによるデータ管理 • 臨床医に対する臨床試験⽅法論・臨床研究の実施法の教育

28

(29)

(4) FAIR SUBJECT SELECTION

適正な被験者の選択

適正に患者を選択していなければならない。

Fair でない被験者選択

社会的弱者への不当な勧誘

︓囚⼈・学⽣・

社員

・病院職員

リスクが⾼すぎる患者の組み⼊れ

ベネフィットが期待できない患者の組み⼊れ

「不適格」がチェックされない臨床試験

科学的根拠なく、不当に対象から排除

実践

適切な適格規準・除外規準の設定

インフォームドコンセントのプロセスの監視

不適格例を登録しない仕組み・適格性の事後チェック

29

(30)

(5) FAVORABLE RISK-BENEFIT RATIO

適切なリスク/ベネフィットバランス

被験者のリスクが最⼩化され、被験者の利益が最⼤化されており、被験者のリスク に⾒合う被験者/社会の利益(バランス)がなければならない。

Favorable でないリスク/ベネフィットの研究

• ⾮専⾨病院での phase I・多施設共同 phase I • 治療変更規準が“ずさん”な試験 • 逸脱/違反がチェックされない臨床試験 • 重篤な有害事象の情報を共有する仕組みを持たない臨床試験 • 適切な中間解析を⾏わないphase III

実践

• 適切な治療⽅法の規定(治療変更規準・⽀持療法含む) • 適切な毒性評価・有効性評価 • 毒性・プロトコール遵守のモニタリング • 有害事象報告システム • 適切な中間解析

30

(31)

ちょっと復習

1は臨床研究を⾏う前提であり、

2-5は研究者⾃らが⽰さなければならない

1. Collaborative Partnership

2. Social Value

3. Scientific Validity

4. Fair Subject Selection

5. Favorable Risk/Benefit ratio

(32)

(6) INDEPENDENT REVIEW

第三者審査

要件(2)〜(5)を満たすように研究者は研究を計画し、それを評価

できる第三者が確認してお墨付を与えなければならない。

適切でないIndependent Review

• 研究者だけによる審査、研究関係者を含めた審査 • 研究⽅法や研究の常識を知らないものだけによる審査 • 形式的な審査、審査規準が決まっていない審査

実践

• 適切な倫理審査委員会による審査 • 倫理審査委員会の整備 • 倫理審査委員会委員の教育、委員にも⾒識が必要 • 倫理審査委員会

• ⽶国では施設毎にInstitutional Review Board(IRB)を設置するのが⼀

般的だが、EUでは国毎に様々な形態のResearch Ethics Committee (REC)が存在する

• 欧⽶ともに、質の担保のために、少数化、国による管理へと移⾏中

(33)

(7) INFORMED CONSENT

インフォームド・コンセント︓IC

要件(2)〜(5)を満たすように研究者は研究を計画し、被験者本

⼈に研究を⾏う意義を理解して参加してもらわなければならない。

適切でないIC

⻑すぎる、短すぎる説明⽂書

(難しくて、構成が悪くて)わかりにくい説明⽂書

形式的な同意取得プロセス

医師患者関係の中で半ば強制的な同意プロセス

実践

適切な説明⽂書

IC の教育/訓練

臨床研究コーディネーター(CRC) による IC⽀援

33

(34)

(8) RESPECT FOR POTENTIAL AND ENROLLED

SUBJECTS

(候補者を含む)被験者の尊重

研究に実際に参加した⼈のみならず、参加する可能性のある⼈も含め、

スクリーニングの段階から研究終了まで保護されなければならない。

被験者の尊重をしていない研究

• 研究について⼗分な説明をしていない • 同意後にも撤回できることをきちんと伝えない • 研究に同意しなかった⼈が何らかの不利益を感じてしまう • 患者の情報を適切に管理しない

実践

• 継続的な被験者保護、例えば • 同意後の撤回の⾃由の保証 • 充分な情報提供 • 新たに判明した情報 • 研究結果のお知らせ • プロトコール治療中⽌後も適切な医療の提供 • プライバシー保護

34

(35)

8要件︓研究倫理・被験者保護のフレームワーク

1. Collaborative

Partnership

• コミュニティ(社会・地域)との協調 2. Social

Value

• 社会的な価値 3. Scientific

Validity

• 科学的妥当性

4. Fair

Subject Selection

• 適正な被験者選択

5. Favorable

Risk/Benefit

ratio • 適切なリスク・ベネフィットバランス

6. Independent Review • 第三者による独⽴した審査 7. Informed Consent

• インフォームド・コンセント

8. Respect for Potential and Enrolled Subjects • 被験者および候補者の尊重

上から順に考える

専門家 市民委員 事務局

35

IRBでの審査

(36)

⼈を対象とする医学系研究

に関する倫理指針

必ず⼀度は読んでください。

ICRWEBからも利⽤可能です。

(37)

⼈を対象とする医学系研究に関する倫理指針(以

下統合指針)の8つの基本⽅針(本⽂2⾴)

① 社会的及び学術的な意義を有する研究の実施

② 研究分野の特性に応じた科学的合理性の確保

③ 研究対象者への負担並びに予測されるリスク及び利益の総合

的評価

④ 独⽴かつ公正な⽴場に⽴った倫理審査委員会による審査

⑤ 事前の⼗分な説明及び研究対象者の⾃由意思による同意

⑥ 社会的に弱い⽴場にある者への特別な配慮

⑦ 個⼈情報等の保護

⑧ 研究の質及び透明性の確保

37

(38)

従来の指針の強調点

① 社会的及び学術的な意義を有する研究の実施

② 研究分野の特性に応じた科学的合理性の確保

③ 研究対象者への負担並びに予測されるリスク及び利益の総合

的評価

④ 独⽴かつ公正な⽴場に⽴った倫理審査委員会による審査

⑤ 事前の⼗分な説明及び研究対象者の⾃由意思による同意

⑥ 社会的に弱い⽴場にある者への特別な配慮

⑦ 個⼈情報等の保護

⑧ 研究の質及び透明性の確保

38

• 研究の方法は科学的に妥当なものですか?

• 倫理審査は受けましたか?

• インフォームド・コンセントを得ましたか?

• プライバシーに十分配慮していますか?

(39)

統合指針で追加された「⽅針」

① 社会的及び学術的な意義を有する研究の実施

② 研究分野の特性に応じた科学的合理性の確保

③ 研究対象者への負担並びに予測されるリスク及び利益の総合

的評価

④ 独⽴かつ公正な⽴場に⽴った倫理審査委員会による審査

⑤ 事前の⼗分な説明及び研究対象者の⾃由意思による同意

⑥ 社会的に弱い⽴場にある者への特別な配慮

⑦ 個⼈情報等の保護

⑧ 研究の質及び透明性の確保

39

• 研究の必要性を十分に説明できますか?

• 研究の必要性は研究対象者のリスクや負担

を上回るものですか?

• 研究対象者の「弱さ」に配慮していますか?

• 研究の結果に責任が持てますか?

(40)

【参考】指針本⽂の関連する規定

研究責任者の責務の1つ(第4-1(2))

「研究責任者は……研究計画書の作成に当たって、研究

対象者への

負担並びに予想されるリスク及び利益を総合

的に評価

するとともに、

負担及びリスクを最⼩化

する対策を

講じなければならない」

研究計画書の記載事項の1つ(第8(1)⑨)

「研究対象者に⽣じる

負担並びに予想されるリスク及び利

益、これらの総合的評価

並びに当該

負担及びリスクを最

⼩化

する対策」

40

(41)

【参考】指針本⽂の関連する規程

代諾で研究を実施できる条件(第13の1(1))

「ア③イ(ア)⼜は(イ)に該当する者(

未成年⼜は同意

能⼒を⽋く成⼈

)を研究対象者とする場合には、

当該者を

研究対象者とすることが必要な理由

41

(ガイダンス92頁)

(42)

【参考】指針本⽂の関連する規程

有識者からの意⾒聴取(第11の2(4))

「倫理審査委員会は、特別な配慮を必要とする者を研究

対象者とする研究計画書の審査を⾏い、意⾒を述べる際

には、必要に応じて

これらの者について識⾒を有する者に

意⾒

を求めなければならない」

⼩児科の医師や看護師のいない倫理審査 委員会で⼩児

対象の研究を判断できるか︖

42

(43)

【参考】指針本⽂の関連する規程

研究者の報告義務(第4の2(3))

「研究者等は、研究の実施の適正性若しくは

研究結果の信頼

性を損なう事実

若しくは情報⼜は損なうおそれのある情報を得

た場合には、速やかに研究責任者⼜は研究機関の⻑に報告し

なければならない」

43

(ガイダンス30頁)

(44)

【参考】指針本⽂の関連する規程

研究責任者の報告・対応義務(第5の2(3))

「研究責任者は、研究の実施の適正性若しくは

研究結果の信

頼を損なう事実

若しくは情報⼜は損なうおそれのある情報を得

た場合には、速やかに研究機関の⻑に報告し、必要に応じて、

研究を停⽌し、若しくは中⽌し、⼜は研究計画書を変更しなけ

ればならない」

合わせて、研究機関の⻑の対応義務(

第6の3(4)

)や倫

理審査委員会の調査・勧告権限(

第11の1(3)

)も規

44

(45)

【参考】指針本⽂の関連する規程

第3章 研究計画書

第9 研究に関する登録・公表

第8章 研究の信頼性確保

第18 利益相反の管理

第19 研究に係る試料及び情報等の保存

第20 モニタリング及び監査

45

モニタリングと監査については、ICRwebの中村健⼀先⽣の講義 「新しい倫理指針に基づくモニタリング・監査の実践」をご覧ください。 http://icrweb.jp

(46)

研究不正

(47)

不正⾏為(捏造)の例

上記研究がASCO(⽶国臨床腫瘍学会)のプレナリーセッションで発表された。 当時、再発⾼リスクの乳癌術後の通常化学療法と⼤量化学療法のランダム化⽐較試験が⽶ 国などでいくつか実施されたが、Bezwodaらによる試験以外は⼤量化学療法が優れていること を証明できなかった。 国際的な⼤規模試験を検討するため、Bezwodaらによる臨床試験について⽶国の研究者が 実地調査を実施。

47

Randomised, controlled trial of high dose chemotherapy (HD-CNVp) versus standard dose (CAF) chemotherapy for high risk, surgically treated, primary breast cancer

(Bezwoda WR. Proc ASCO 18:abstr 4, 1999)

乳がん術後 腋窩リンパ節転移 10個以上 ラン ダ ム 化 通常量化学療法 (CAF療法) N=79例 大量化学療法 (CPA/MIT/VP-16) N=75例

(48)

(続き) THE BEZWODA STUDY

実地調査の結果

• ⽂書によるインフォームド・コンセントなし • 施設の倫理審査委員会での承認記録が存在せず • コントロール群である通常化学療法群の記録が存在せず、⼤量化学療法群 では58例のみ記録が存在 (公表データでは75例)

この不正⾏為について、学会参加者全員にASCOから緊急レポート

を配信

臨床試験における品質保証の重要性が改めて認識された

48

High-dose chemotherapy for high-risk primary breast cancer: an on-site review of the Bezwoda study (Weiss RB, et al. Lancet 2000; 355: 999-1003)

(49)

2

ND

WORLD CONFERENCE ON RESEARCH INTEGRITY

研究公正に関するシンガポール宣⾔

2010年 9⽉22⽇ 51ヶ国参加

1. 公正︓研究者は研究の信頼性に対する責任を負わなければならない。 2. 規則の順守︓研究者は研究に関連する規則および⽅針を認識かつ順守しなけ ればならない。 3. 研究⽅法︓研究者は適切な研究⽅法を採⽤し、エビデンスの批判的解析に基 づき結論を導き、研究結果および解釈を完全かつ客観的に報告しなければならない。 4. 研究記録︓研究者は、すべての研究の明確かつ正確な記録を、他者がその研究 を検証および再現できる⽅法で保持しなければならない。 5. 研究結果︓研究者は、優先権および所有権を確⽴する機会を得ると同時に、 データおよび結果を公然かつ迅速に共有しなければならない。 6. オーサーシップ︓研究者は、すべての出版物への寄稿、資⾦申請、報告書、研究 に関するその他の表現物に対して責任を持たなければならない。著者⼀覧には、すべ ての著者および該当するオーサーシップ基準を満たす著者のみを含めなければならな い。 7.物における謝辞 出版︓研究者は、執筆者、資⾦提供者、スポンサーおよびその他 をはじめとして、研究に多⼤な貢献を⽰したが、オーサーシップ基準を満たさない者の ⽒名および役割に対し、出版物上に謝意を表明しなければならない。

49

⽇本学術会議第2回「科学研究における健全性の向上に関する検討委員会」浅島誠参考⼈資料より

(50)

2

ND

WORLD CONFERENCE ON RESEARCH INTEGRITY

研究公正に関するシンガポール宣⾔

2010年 9⽉22⽇ 51ヶ国参加

8. ピアレビュー︓研究者は、他者の研究をレビューする場合、公平、迅速、厳格な評価を実施し、守 秘義務を順守しなければならない。 9. 利害の対⽴︓研究者は、研究の提案、出版物、パブリック・コミュニケーション、およびすべてのレ ビュー活動における成果の信頼性を損なう可能性のある利害の⾦銭的対⽴およびその他の対⽴を開 ⽰しなければならない。 10. パブリック・コミュニケーション︓研究者は、研究結果の有⽤性および重要性について公開議論を ⾏う場合、専⾨的コメントは当該研究者の認識された専⾨分野に限るものとし、専⾨的コメントと個 ⼈的な⾒解に基づく意⾒とを明確に区別しなければならない。 11. 無責任な研究⾏為の報告︓研究者は、捏造、改ざん、または盗⽤をはじめとした不正⾏為が 疑われるすべての研究、および、不注意、不適切な著者⼀覧、⽭盾するデータの報告を怠る、または 誤解を招く分析法の使⽤など、研究の信頼性を損なうその他の無責任な研究⾏為を、関係機関に 報告しなければならない。 12. 無責任な研究⾏為への対応︓研究施設、出版誌、専⾨組織および研究に関与する機関は、 不正⾏為およびその他の無責任な研究⾏為の申し⽴てに応じ、善意で当該⾏動を報告する者を保 護する⼿段を持たなければならない。不正⾏為およびその他の無責任な研究⾏為が確認された場合、 研究記録の修正を含め、迅速に適切な措置をとらなければならない。 13. 研究環境︓研究施設は、教育、明確な⽅針、および昇進の妥当な基準を通して公正性を促 す環境を構築・維持し、研究公正を⽀援する研究環境を助⻑しなければならなない。 14. 社会的課題︓研究者および研究施設は、その研究に特有のリスクを社会的利益と⽐較検討す る倫理的義務があることを認識しなければならない。

50

⽇本学術会議第2回「科学研究における健全性の向上に関する検討委員会」浅島誠参考⼈資料より

(51)

「⽇本社会学会倫理綱領にもと

づく研究指針(2006.10.12)」

を臨床研究に当てはめてみたら

(52)

1.研究と調査における基本的配慮事項 (1)研究・調査における社会正義と⼈権の尊重 (2)研究・調査に関する知識の確実な修得と正確な理解 (3)調査を実施する必要性についての⾃覚 (4)所属研究機関の⼿続き等の尊重 (5)研究対象者の保護 (6)結果公表時の対象者への配慮 (7)偽造・ねつ造・改ざんの禁⽌、データの厳密な管理 (8)指導者による指導の徹底 (9)過⼤な謝礼の禁⽌など、適切な謝礼の扱い⽅ 「⽇本社会学会倫理綱領にもとづく研究指針(2006.10.12)」をもとに⼭本が独⾃に改変

研究を⾏う際に配慮すべき基本的事項(1)

(53)

2.統計的推測を⾏う研究における配慮事項 (1) サンプリング(研究対象者抽出)の重要性 (2) 虚偽の情報記載の禁⽌ (3) データの保護―対象者特定の防⽌ (4) エラーチェック、推測を⾏いたい⺟集団に対する実際の研究対象者の代 表性の検討 (5) 興味深い知⾒・新しい考察を導くための努⼒ 3.記述的質的調査における配慮事項 (1) 事例調査や参与観察における研究⽬的伝達⽅法の⼯夫 (2) 匿名性への配慮 「⽇本社会学会倫理綱領にもとづく研究指針(2006.10.12)」をもとに⼭本が独⾃に改変

研究を⾏う際に配慮すべき基本的事項(2)

(54)

4.論⽂執筆など研究結果の公表にあたって (1) 他者のオリジナリティの尊重 (2) 先⾏研究の尊重 (3) 引⽤は公開されたものから⾏うのが基本原則 (4) 図表などの「使⽤」許諾の必要性 (5) 投稿規定・執筆要項の遵守 (6) 「⼆重投稿」の禁⽌ (7) 査読内容の尊重 (8) 著作者の権利の理解とその保護 (9) 共同研究を⾏う際にはルールを決め、それを守る

研究を⾏う際に配慮すべき基本的事項(3)

「⽇本社会学会倫理綱領にもとづく研究指針(2006.10.12)」をもとに⼭本が独⾃に改変

(55)

5.研究資⾦の取扱いと委託研究への対応 (1) 研究資⾦は研究に必要な項⽬に⽀出し、⽀出内容を記録する (2) 委託研究を⾏う場合には、委託主と合意内容について契約書を交わし、データや報告書 の内容などに委託を受けた研究者の主体性が極⼒守られるように留意 6.教育・研究におけるセクシュアル・ハラスメント、アカデミック・ハラスメント等 (1) ハラスメントをしないためには、教える者と教えられる者が権⼒的な関係にあることを理解す る、私的な感情を持ち込まない (2) ハラスメントを受けた場合は、相⼿に伝えて解決する可能性を考慮し、それが不可能なら、 所属機関等の規定に従う 7.学会活動 (1) 会員として学会活動に積極的に参加する (2) 積極的に学会誌への投稿や学会報告を⾏う (3) 査読やコメントは研究内容を⾼める観点から 8.社会での活動 • 学問的批判に耐えうる発⾔と批判への誠実な対応

臨床研究を⾏う際に配慮すべき基本的事項(4)

「⽇本社会学会倫理綱領にもとづく研究指針(2006.10.12)」をもとに⼭本が独⾃に改変

(56)

TAKE HOME MESSAGES

・不適切な研究の歴史から、研究倫理や医療倫理は徐々に確⽴

・医学の発展には⼈を対象とした研究は必要不可⽋

・倫理的か否かは、倫理原則や指針等の判断規準に照らして考える

→研究倫理の8要件をフレームワークとして活⽤しよう︕

• Collaborative

Partnership

• Social

Value

• Scientific

Validity

• Fair

Subject Selection

• Favorable

Risk/Benefit

Ratio • Independent Review

• Informed Consent

• Respect for Potential and Enrolled Subjects

56

患者のプライバシー保護 だけが「倫理」ではない

(57)

 臨床研究に携わる全ての者を対象  統計、倫理など150以上の講義  対象者別コース  基礎編 ●臨床研究者  CRC/DM ●疫学者  倫理審査委員  倫理指針のガイダンス、100以上の臨 床研究施設に公式採用  H28.4.25現在  登録者数52,185人  修了証発行29,595人

• H27年改訂の研究倫理指針の教育義務に対応

• 昨今の臨床研究不正事件に鑑み、ますます重要な役割を担う

臨床研究⼊⾨ICRWEB (HTTP://WWW.ICRWEB.JP)

-⽇本全国に臨床研究教育E-LEARNINGを提供-8

(58)

BACK UP

(59)
(60)

⽶国の被験者保護体制(1)

体制

• 連邦規則あり

コモン・ルール

各管理監督機関共通のルール

• NIHの45CFR46 subpart Aが基本

• 新薬開発の監督官庁である⾷品医薬品局(FDA)は21CFR50, 56

• “治験”も臨床試験も臨床研究も基本的に同じルールに基づく

• 管理監督機関あり

• 被験者保護局(OHRP:Office for Human Research Protection)

• 主な業務︓IRB登録、施設の⽶国連邦保証制度(FWA)承認、

監査、教育

• スポンサー(研究費配分機関)

• 研究費の配分条件は施設がFWAをもつこと

• FWA 取り消し → 施設への研究費差し⽌め

• FWA承認のためには、各施設で被験者保護プログラム(HRPP:Human Research

Protection Program)をもつことが必要

• HRPPの内容︓教育、⽅針の策定、⽂書化/⽂書管理、プロトコール審査、試

験の実施、試験のモニタリング、プログラムの評価

60

(61)

⽶国の被験者保護体制(2)

⽶国における「被験者保護」

• 定義︓

Human Subjects Protection is a Shared Responsibility

被験者は

みんな

責任

をもって

守る

もの

• みんなとは(HRPPにおけるkey player)

施設⻑︓

Institutional Officials

IRB委員/委員⻑︓IRB Members/Chair

IRB管理者︓

IRB Administrators

研究者︓

Investigators︓

研究スタッフ︓

Research Stuff

他の内部スタッフ (試験薬係、放射線管理⼠、他)

外部(スポンサー、被験者、規制当局)

61

米国PRIM&R IRBセミナーより

(62)

⽇本の被験者保護体制(1)

体制

規制

治験に関しては、法令の位置づけの「医薬品の臨床試験の

実施の基準に関する省令」(

GCP

)あり

その他の医学研究は、通知の位置づけの

各種倫理指針

管理監督機関(GCP/倫理指針ごとに異なる)

厚⽣労働省、⽂部科学省、経済産業省︖

スポンサー(研究費配分機関)

厚労科研費研究では「臨床試験登録」や「利益相反開⽰」

を義務化

利益相反(Conflict of Interest : CoI)外部との経済的な利益関係等に

よって、公的研究で必要とされる公正かつ適正な判断が損なわれる、 ⼜は損なわれ るのではないかと第三者から懸念が表明されかねない事態

(63)

⽇本の被験者保護体制(2)

⽇本における「被験者保護」

定義

「⼈を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の前⽂よ

り(平成26年12⽉22⽇)

• 研究対象者の福利は、科学的及び社会的な成果よりも優先され なければならず、また、⼈間の尊厳及び⼈権が守られなければなら ない。

GCP/各種指針

研究機関の⻑、研究者/研究代表者、倫理審査委員

会、スポンサー(GCPのみ)の責務を規定

63

(64)

⽇本の被験者保護体制(3)

研究倫理指針ー医学研究にのみ適⽤ー

⼈を対象とする医学系研究に関する倫理指針(厚⽣労働省・⽂部科学省) • ⽬的及び基本⽅針 この指針は、⼈を対象とする医学系研究に携わる全ての関係者が遵守すべき事項を定める ことにより、⼈間の尊厳及び⼈権が守られ、研究の適正な推進が図られるようにすることを⽬ 的とする。全ての関係者は、次に掲げる事項を基本⽅針としてこの指針を遵守し、研究を進 めなければならない。 ① 社会的及び学術的な意義を有する研究の実施 ② 研究分野の特性に応じた科学的合理性の確保 ③ 研究対象者への負担並びに予測されるリスク及び利益の総合的評価 ④ 独⽴かつ公正な⽴場に⽴った倫理審査委員会による審査 ⑤ 事前の⼗分な説明及び研究対象者の⾃由意思による同意 ⑥ 社会的に弱い⽴場にある者への特別な配慮 ⑦ 個⼈情報等の保護 ⑧ 研究の質及び透明性の確保 ヒトゲノム・遺伝⼦解析研究に関する倫理指針(厚⽣労働省・⽂部科学省・経済 産業省) • ⽣殖細胞遺伝⼦を含む研究に適⽤ • 平成25年2⽉8⽇全部改正

64

臨床研究の法制化 について検討中

(65)

ご清聴ありがとうございました。

ICRWEBをぜひご利⽤ください。

オフラインで利⽤できるアプリもあります

参照

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