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Citrobacter Bethesdaの一集団感染例について

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一14.一 食 物 学 会 誌 ・第8号

Citrobacter

Bethesdaの

一 集 団 感 染 例 に つ い て

第一章 緒

Citrobacter Bethesdaと は 前 の 名 をBethesda paracoliと 称 し, Arizona Paracoli and Ballerup paracoli等 と共 にKauffmannの 所 謂Paracoli groupに 隷 属 す る食 中 毒 菌 群 の 一 種 で あ る。 抑 々本 菌 は1644年,米 国 のBethesdaの 海 軍 病 院 で コ ーン プ ッ デ ィ グ が 原 因 食 となつ て集 団 食 中 毒 が 勃 発 した 際,そ の 原 因菌 と して,始 め て 分 離 採 取 され た も の で あ る。 そ して 本 菌 に 就 い て はBethesdaの 米 国 海 軍 々 医学 校 のBarnes&Cherry氏 等 に よつ て 研 究 さ れ,1949年 に 発表 され て い るが,更 に 一 方Edward &Bruner氏 等 も独 立 に 本 菌 に関 す る血 清 学 的 研 究 を 遂 げ,彼 等 が,1948年 に 初 め て 本 菌 にBethesda paracoliな る 名 称 を 附 して 発 表 して い る 。 爾 来 本 菌 はKauffma1111の 腸 内 細 菌 分 類 表 に も収 載 され,人 や 動 物 の 胃腸 炎 や 食 中 毒 の 原 囚 菌 と して 認 め られ つ つ あ る菌 で あ る 。 本 邦 に 於 い て も,既 に1955年,静 岡 県=衛生 研 究 所 に 於 い て,本 菌 に よ る 食 中 毒 が 推 定 され,又 京 都 に 於 い て は1954年,京 都 府 下 亀 岡 保 健 所 管 内 に於 い て,発 熱 下 痢 を 主 徴 とす る一 婦 人(山 田 某)が,Paratyphus (S.paratyphi B),の 疑 い で,同 地 区 伝 染 病 院 に 収 容 され た 際 に,同 患 老 の 流 血 中 に 検 出 され た 一 桿 菌(亀 岡 保 健 所 に 於 い て,S. paratyphi Bと し て分 離)が, 京 都 府 衛 生 研 究 所 に 送 附 され,之 が 精 査 の 結 果,該 菌 はBethesda paracoliで あ る こ とを 確 認(平 田)し て報 告 した 。 因に 著 者(平 田)は 当亀 岡 保 健 所 に 於 い て分 離 され た上 記 の 菌 と,同 患 者 との 因果 関係 に就 い て 尚 ほ 詳 細 に 研究 す る 筈 で あつ た が,該 患 者 の 疾 病 原 因 菌 と して 推 定 さ れ た,上 記 分 離 菌 が,法 定 伝 染 病 々原 菌 に 属 さ な いBethesda paracoliで あ る報 告 に よつ て,所 轄 保 健所 は 当患 者 を行 政 的 に 解 除 退 院 せ し 栄本 学 教 授,医 博 撒 本 学 食 物 学 科 四 回 生 在 学 中 死 去 め た た め,爾 後 の 実 験 材 料 が 得 られ ず.唯 だ,同 患 老 の 第10病 日 の 血 清 と 同 患 者 血 中 か らの 上 記 分 離 菌 と の 間 に 於 け るWida1-reactionの み を 吟 味 し得 た に 過 ぎ な か つ た が,そ れ で も 同 反 応 は 患 者 血 清1280倍 稀 釈 度 迄 の 高 度 陽 性 を 示 し た の で,当 患 老 が 該 分 離 菌 に 因 る急 性 胃 腸 炎 で あ っ た で あ ら う こ とは 推 定 出 来 た 。 更 に 又 1955年(9月9日 屈 出),京 都 市 立 貞 教 小 学 校 に 於 て

118名 の 所 謂Bethesda paracolial food poisoning

が,勃 発 し た こ とを 立 証 す る 研 究 が 京 都 市 衛 生 研 究 所

業 績 第13号 に 報 じ られ て い る 。 而 も 亦 厚 生 省 に あ つ て

も 既 に1955年 の 全 国 食 中 毒 事 件 録 に,我 国 に 於 け る 所

謂paracolial food poisonigは 全 食 中 毒 件 数 の 約6%

を 占 む る と も 報 告 し て い る 。 こ の よ うにBethesda

paracoliや 他 のparacoli groupの 菌 類 が,食 中=r__-tom

や 胃 腸 炎 の 原 因 を な す こ と の あ る は 最 早 否 定 出 来 な い も の で あ ら う と 思 う。 尚 ほBethesda paracoliを ま前 にこも 述 べ た よ う に 最 近 名 称 の 変 更 が あ つ た こ とを 一 言 薙 に 附 記 し て お く, 即 ち,1956年p`Kauffmannの 発 表 し た 腸 内 細 菌 国 際 分 類 表1956年 度 版 を 見 る に,彼 れ はBethesda菌 を か

つ てWerkman and Gillen等 が 命 名

したCitrobact-erのgroup中 に,か のBallerup Paracoliと 共 に 一・

括 編 入 し て い る 。 即 ち.従 前Kauffmann自 身 に よ

つ て 系 統 付 け られ たparacoli groupも 更 に 三 転 し

て,Arizona paracoliをGenus Arizonaと し て 独

立 せ し め,一 方 前 記Bethesda paracoli and Sallerup

paracoliをCitrobacter groupに 一 括 した の で あ る 。 従 つ て1956年 以 降,Bethesda paracoliはCitroba-cter Bethesdaと 呼 称 す る こ と に な つ た も の で あ る 。 尚 ほ 本 菌 を 別 途 にFreundii Bethesda(Kauffmann) と も 呼 ん だ 。 著 老 等 は1958年8月,平 田 の 指 導 す る 京 都 市 内 一 綜 合 病 院 の 臨 床 検 査 所 に 於 い て,同 病 院 炊 事 場 従 業 員 及

(2)

び 一 部 看 護 学 院 学 生 間 に散 発 した 下 痢 患 者 の 検 使 に当 り,対 ∼ 抗 因 子 血 清 及 び 培 養上 の 性 質 か ら見 てCitro-bacter Bethesdaと 思 惟 され る菌 を 分 離 した 。そ こで 時 を 移 さず 内 邦 協 議 の 結 果,同 給 食課 全 員 及 び 初 発 患 者 を 出 した 看 護 学 院 内 グル ー プ の全 人 員 に 就 い て 一一斉 検 便 を 実 施 し,全 給 食 課 員(事 務職 員 に 至 る迄)と, 一 部 前 記 グル ー プ 内 学 生 中 に 更 に又 前 記 同 様 のCitr -obacter Bethesda group と思わ れ る菌 株 を 検 出 し た 。 そ こで,院 内 対 策 は 院 長 に一一任 し,吾 々は 当 該 分 離 菌 につ い て精 密 検 査 を 企 図 した ので,そ の実 施 成 績 を 綜 括 し,葱 に 報 告 せ ん とす る も ので あ る。 尚 ほ,本 研究 は,当 の 目的 菌 が 食 中毒 菌 群 の ・一種 で あ る と ころ か ら著 者 の 一 人,故 松 本 珠 美(当 大 学 食 物 学 科 四 回 生)に1959年 度 卒 業 論 文 の 論 題 と して 提 供 し,平 田 指 導 下 に実 験 実 施 中で あ つ た もの で あ るが, 同 君 は 当実 験 の 完 結 前 に して 不 幸 に も急 逝 他 界 した の で 平 田研 究 指 導 グ ル ー プの 他 の 学 友 諸 姉 と共 に本 題 に 関 す る末 完 部 を 仕 上 げ,全 実 験 を 完 了 し.こ こ に彼 れ の 学 友 と共 に之 を 発 表 す る機 会 を 得 た も の で あ る。 傍 て本 著 を 故 松 本 珠 美 君 の 霊 前 に捧 げ,慰 して 以 つ て 同 君 の 冥 福 を 祈 る も ので あ る。 第 二 章 初 発 患 者 よ り の 菌 検 索 当 院 の 看 護 学 院 学 生 間 に 二,三 の 下 痢 患 者 が 発 生 し た と こ ろ か ら,係 員 よ り夫 等 患 者 に つ い て,検 便 を 要 望 し て 来 た こ とが 著 者 等 の 本 事 件 に タ ッ チ し た 端 緒 と な つ た も の で あ る が.そ の 検 査 を 当 病 院 附 属 細 菌 検 査 所(京 都 府 指 定 細 菌 検 査 所)に 於 い て,行 つ た 結 果,

SS-agar. and Endo-agar p1ateにSalmonella or

ShigeUa like cololly多 数 を 認 め た 。 そ こ で,吾 々

は 之 等 の 菌 に つ い て,そ の 種 属 を 明 確 に す る 必 要 か ら,先 づ 該 分 離 菌 の 確 認 培 養 検 査 を 試 み た 結 果,当 分 離 菌 は,(a)KL-agar(一/AG),(b)H2S(十) (c)Indol-R(一),(d)V. P-R(一),(e)M.... (十),(f)Semi-agar(十Mobility)等 の 成 績 を 得 た 。 以 上 の 成 績 か ら 見 る と 当 分 離 菌 はShigella group の 菌 で は な い がSalmonella groupの 菌 か 或 は 所 謂

Citrobacter or Arizolla groupの 菌 で あ る こ とが 判

つ た 。 傍 てi著 老 は、当 分 離 菌 を 更 にSerologica1に 検

討 す る こ と と し て,北 研 製 の 抗 因 子 血 清 群 を 入 手 し,

之 を 以 て,上 記 分 離 菌 に つ い て,Slide ag91utination

testを 実 施 し た と こ ろ.当 分 離 菌 はParatyphi(A

a-nd B>seraに 殆 ど 陰 性,他 のSalmonella

grouP'S-sera or Shigella group'a-seraに も 陰 性, Arizona

and Ballerup's-seraに も 陰 性 に し て,独

りBethe-sda's-seraに の み 強 度 に 陽 性 反 応 を 顕 わ した 。 即 ち, 叙上 の 成 績 を 綜 合 考 察 す るに 著 老 等 が,前 記 下 痢 患 老 か ら,検 出 した 容 疑 菌は,Bethesda菌 で,あ る こ と を 知 つ た 。 抑 々 Bethesde菌 種 は 緒 論 で も述 べ た 如 く,元 々 集 団 食 中 毒 患 老 か ら,そ の 原 因菌 と して,米 国Beth-esdaの 海 軍 病 院 に於 い て 発 見 され た も の で あ り,而 も本 邦 に 於 い て も,前 述 の 如 く,既 にBethesda菌 に よ る一,二 の 食 中 毒事 件 や 急 性 胃腸 炎 等 の 実 例 報 告 もあ る こ とで あ り,上 記 分 離 菌 と,該 初 発 愚者 との 因 果 関 係 を 究 明 す る こ とは,今 回 の 此 の発 症 現 場,即 ち事 業 場 の性 格 上,重 大な 意 義 を 持 つ の で,平 田は 病 院 側 と相 図 り,次 の 表1の 如 く各 分 離 菌 と,夫ft同 名 の 初 発 患 者 血 清 とのWidal-reactionをtestす る こ とに した 。 表 1. 初 発 患 者 血 清 と 同 名 菌 株 と の 凝 集 反 応 試 験 (Wida1-reactiontest)

供試

度績 供 α 釈成 及脳 患老 血清(14病 日)の 稀釈度 及 び 凝 集 価

No. .AIL・菌 「囎 睡 〃2菌:No.2 血 清 〃3菌:No。3 血 清 〃4菌:No4 血 清 〃5菌:No.5一 血 清 〃6菌:No.6 血 清 0 措 柵 40 一 〇 0 冊 惜 80 十 + ﹁冊 十 一{一一 一F一 160 十 十 sao 十 土 十i十 十 土 一f一 十 土 十 ぴ⑩ ; ﹁ ± 一1-一 土 1280 土 対照 (註)Agglutinogenと し て は 各 菌 共 生 菌 を 用 い た 。 上 表 を 見 るに,各 供 試 血 清 は,失 々の 分 離 同 名 菌 に対 し320∼1280倍 の 高 度 凝 集 価 を 示 し て い る。 此 の事 実 か ら按 ず る と,各 分 離 菌 は,夫h対 患 者 との 間 にご抗 原 的 作 用 の あ つ た も の と考 え られ,従 つ て.対 病 的 原 因 を 成 した と も見 て 差 支 な か ら う。以上 の 見 知か ら,病 院 側 と して も万 全 を 期 し,当 初 患 者 を 出 した 給 食 課 の全 職 員 と.学 院 の そ のClass-mateを 対 象 に,上 記 分 離 菌 を 目標 に,次 の 一 斉 保 菌 検 査 を 企 図 実 施 した 。

第三章 一斉保菌検査 の成績 について

分 離 培 養 基 並 分 離 培 養=日 本 栄 研 製 品 の SS-agar

and Endo-agar plateを 準 備 し,検 査 は 直 採 法 を 以 て

検 便 す る こ と と し.夫 々 準 備 の 上 記 培 地 のPlateに

塗 抹 培 養 し て 日 的 菌 の 検 出 に つ と め た 。

著 者 等 は 前 述 の 如 く,本 事 件 の 端 緒 を つ く つ た 二,

三 初 発 下 痢 患 者 の 検 便 に よ つ てCitrobacter Bethsda

(3)

一16一 ShigellaやSalmonella菌 は 之 を 実 験 的 に 全 く否 定 し 得 た の で あ つ た 。 而 し叙 上 の 如 くBethesda菌 の 検 出 は,今 日,本 菌 が 食 品 衛 生 上,食 中 毒 菌 と し て 軽 視 出 来 な い 事 例 報 告 が あ る の で,今 回 の 一 斉 保 菌 検 査 を 企 図 した の で あ る か ら,著 老 等 は 先 づBethesda菌 を 専 ら 検 査 の 対 象 と し た こ と は 勿 論 で あ る が,而 し 一 応 は 念 の た め に 他 の 一 般 腸 内 病 原 菌 の 存 否 に も 注 意 す る こ と と し た 。 而 し て 当 一 斉 検 査 に 於 い て も,頭 初 に 手 掛 け た 初 期 患 者 検 便 に 於 い て 検 出 し た と き と 同 様 にShigellaや Sa11110nella菌 を 否 定 し,次 に 掲 示 す る 諸 性 状 を 特 徴 と す る菌(Bethesda)を 給 食 課 被 検 老 全 員 と,対 象 に な つ た 学 院 内 学 生 の 一一部 に 一・様 に 分 離 し,所 謂 上 記 Bethesdaの 健 康 保 菌 者 を 検 出 し た 。 尚 ほ 当 分 離 菌 の 確 認 試 験 に は, (1)確 認 培 養 基 と し て …(a}KL-agar(栄 研) (bl SM-agar(栄 研),{c)Cit.-agar(栄 研) {a)Semi-agar(自 製)等 を 使 用 し 検 査 した 。 又 (2)生 化 学 的 検 査 と し て は …(a)lndoi-reaction {bl V.P-reaction,{c}M. R・reaction等 を 実 施 した 。 尚 ほ Serological testと し て は,前 述 の 如 く,最

初Slide-agglutination testに よ つ てShigella and

Salmonellaを 否 定 し 得 た の で,こ ん ど はParacoli

group,santiseraを 準 備 し, Slide agglutination test

を 実 施 した 。 而 し て 夫 等 各 実 験 の 結 果 は 次 頁 の 表 に 示 す 如 く で あ っ た 。 次 頁 の 表 に 見 る 如 く,今 回 の 一 斉 検 便 に よ つ て 分 離 し た2.3名 か ら の 分 離Bethesda菌 は 糖 分 解 能 に 多 少 の 変 異 性 状 は 散 見 され る もSerologica1に は,夫 々 の Antigenicityが,初 期 患 者 よ り の 分 離 菌 と 相 等 し く

Citrobacter Bethesdaの 夫 れY' 致 す る も の で あ

る こ と を 確 認 し た 。 従 つ て 前 記2,3名 か ら の 分 離 菌 Citrobacter Bethesdaを ま,恐 ら く,そ の 伝 染 源 を 一 に し た の で あ ら う と思 考 す る 。

第四章 本集団感染に対する卑見

前 章 の 実 験 成 績 に よつ て,今 回 の 二 ・三 当 初 患 者 よ り分 離 したCitrobacter Bthesdaは 全 患 老 血 清 との 間 に 強 度 のAgglutinationを 発 呈 し而 もそ の 同 血 清 の 分 離菌 に 対 す るAgglutinin titerは320∼1280倍 め 高 価 を 呈 した が,こ の よ うな 事 実 か ら見 て,分 離 菌 が 同 患 者 に 対 し て 抗 原 的に 作 用 の あ つ た こ とは 明 瞭 で あ り 従 つ て,一 一一時 性 の 菌 前1症の あ つ た も の と推 定 す る に 難 くな い の で あ る。 他 方 又,Bethesda菌 が 食 中 毒 や 急 性 f」腸 炎 の 原 囚 を な した 事 例 報 告 も 既 に 本 邦 に 於 い て も 平 田 及 び他 の 同 好 者 に よ り専 門 誌 に 報 ず る と ころ で あ 食 物 学 会 誌 ・第8号 り,今 回 の 初 期 下 痢 患 者 も分 離 菌Bethesdaが 原 因 を 成 した も の で あ つ た ら うこ とは 容 易 に 首 肯 出 来 よ う。 叙 上 の 各 考 察 を 綜 合 した 結 果 が,契 機 とな つ て 前 章 の_.保 菌 検 査 が 施 行 さ れ た の で あ るが,そ の 結 果, 既 述 の 該 初 期 患 者 を 出 し たSectionの 全 部 員 及 び 学 生 の 方 で は,そ の 初 期 患 者 の 出 たClaSSmate中 の2, 3名 か ら,頭 初 の分 離 菌 と性 状 を一 致 す る菌 を 分 離 し た ので あ る 。 而 し て 之等 分 離 菌 の 先 駆 感 染 が 炊 事 場 従 業 員 に あ つ た で あ ら う こ とは 同 保 菌 者 の 発 生 が 同Se-ctionに 早 く出 て 居 る こ と,及 び 時 を 措か ず 実 施 した 前 述 一 斉 検 便 の 結 果,既 に 同Section総 員 がBethe-sda菌 保 有 者 とな つ て い た こ と等 か ら按 じ,推 定 し得 る と ころ と思 う。 そ の よ うな 経 緯 の下 に炊 事 場 の 頭 初 患 者,保 菌 者 に排 泄 され た 該菌 が 手 指 汚 染 等 を 経 て,次 か ら 次 え と種 々の 飲 食 物 を 汚 染 し,新 し く感 染 が 成 立 し て 次 第 に 拡 大 され,同SectiOnの 全 員 が 急 速 に 侵 さ れ,ま つ 同 菌 に よ る保 菌 者 状 態 に た ち 至 った と信 ず るが,惟 うだ に実 に 戦iも の で あ る。

第五章 綜括並 に結論

叙 上 の 各 章 を綜 合 し今 回 の 院 内 給 食 課 内一 部 職 員 及 び 同 院 看 護 学 院 内 の 一・部 学 生 間 に 散 発 した 保 菌 者 又 は 下 痢 患 者 がCitrobacter Bethesdaに よ る 胃腸 炎 に基 くも の で あ つ た ら う こ とは 疑 え な い と信 ず る。 然 し他 面 前 記 の 如 く一 斉 検 便 に 於 い て,前 記 給 食 課 総 員 が 一 人 の 例 外 も な くCitrobacter Bethesdaの 保 菌 者 で あ つ た こ とか ら按 じ,同 院 内 に 集 団 下 痢 又 は 集 団 食 中毒 等 の 事 件 勃 発 を 見 な か つ た こ とは 実 に 幸で あ つ た と思 う。 恐 ら く二,三 頭 初 のBethesda菌 保 有 者 や 下 痢 患 者 発 生 後 の 処 置 が,幸 い に も こ の 発 生 現 場 が 病 院 で あ つ た た め に,適 正 且 つ 迅 速 に,而 も厳 密 な注 意 の 下 に 遂 行 され,当 分 離 菌 も病 原 菌 と しては 周 知 の 如 く所 謂 弱 毒 性 菌 種 で あ り,更 に 加 え て,時 を 措 か ず 該 保 菌 者 は 総 員 に 対 しCM治 療 が,厳 密 周 到 な注 意 の 下 に 徹 底 的 に 断行 され た こ と も爾 後 爆 発 的 発 症 を 見 ず して 総 て が 夫 前 に 喰 い 止 め られ た の で あ つ た ら う と思 考 す る 。 この よ うにこ多 数 のBethesda保 菌 者 を病 院 給 食 課 に 出 しな が ら,そ して 正 常 者 とは 違 い 一 般 に 体 力 の 弱 い 患 者 の 集 団 生 活 の 場 で あ る病 院 で あ る に もか か わ らず 而 も亦,弱 毒 性 菌 とは 云 うも の の 集 団 勃 発 の恐 れ 濃 厚 な る要 素 を 多 分 に持 つ 此 の よ うな 消化 器 伝 染 病 々原 菌 保 有 者 が,場 所 も あ ら うに 病 院 の 給 食 課 の全 員 に あ つ て,単 に 夫 れ が 保菌 者 と云 うだ け で 終 息 を見 た こ とは 極 め て 珍 しい 事 例 で は な か ら うか と思 う。1959年6月 22日 京 都 市 内 「大 江 戸 」 の 仕 出 「ち ら しず し」(折 詰)

(4)

表Q 分 離菌 の生化 学 的並 免疫 学的性 状試 験

Kind

oftests

No. of lsotated¥

Strain\

Biological and Biochemical Characteristics

KL agar No, x 2 3 4 5 s 7 8 9 10 11 12 13 14 1s 16 17 18 Z9 20 21 22 23 一/AG 一/AG 一/AG

S/M

agar

+/+

+/+

一/+ 一/AG-/干 一/AG 一/干 一/AGE-/+ 一/AG 一/AG -/AG 一/AG 一/AG 一/AG 一/AG 一一/AG 一/AG 一/AG 一/AG 一jAG 一/AG 一/AG 一/AG 一/AG 一jAG

+/+

一/+

+/+

一/午 一/+

+/+

+/+ 一/+ 一/+ 一/+ 一/+ 一/+ 一/午

+/+

一/+ 一/+ 一/+ Cit. agar 十 一}一 十 十 十 十 十 一F 十 十 十 一F一 十 十 一1一 十 十 十 十 十 十 十 十 Mobment. Semi-agar 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 一f一 十 十 十 十 十 十 十 十 H2S 十 一1一 十 一f一 十 十 一F一 十 十 一F一 一1一 十 一1一 十 十 一1一 十 十 一f一 十 十 一一1一 十 Indol -r . P 乳 肌 一

M.R -r . 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 一 十 十 十 一f一 Slide Agglutination-test Bethes-da } 什 惜 柵 柵 冊 柵 冊 珊 帯 柵 柵 柵 柵 鼎 惜 Balle-rup L Arizona (註)分 離 及 び 鑑 別培 地 は 全 部栄 研 製 品 を 使 用 し,又 因 子 血 清 は 総 て北 研 製 品を 用 い た 。 そ の 他 一 般 術 式 は 厚 生 省 衛 生 検 査 指 針 に 準 拠 した 。 尚ほ 糖 分 解 試 験 で は 供 試 菌 株 中 に 変 異 性 状 ・を 顕 して い る も のが 散 見 され た が,此 の 糖 分 解 性 変 異 は不 断 よ くあ る こ とで あ る 。

(5)

一18一 が 原 因 食 とな つ て,314名(喫 食 者 数 七 百 数 拾 名)の 集 団 食 中 毒 が勃 発 した そ の 原 因 物 質 が,Citrobacter Bethesdaで あ つ た と京 都 市 衛 生 局 の 発 表 を 見 た とき 私 は 言い 知れ ぬ 冷 寒 を 脊 筋 に 感 ぜ ざ るを 得 なか つ た 。 (結 論) 即 ち,著 者 等 は1958年 初 夏 京 都 市 内 一 綜 合 病 院 細 菌 検 査 所 に 於 い て,同 病 院 に 勃 発 したBethesda菌 の 集 団 感 染 事 件 に遭 遇 した,本 事 件 は, 1.最 初 に 病 院 給 食 課 職 員 及 び 同 病 院 併 設 の 看 護 学 院 の 学 生 等 両 部 門 の一 部 数 名 に 急 性 下 痢 患 者 が あ り 検 便 の 結 果 夫 等 の 患 者 か ら,SS-agar and agar plateに Shigella or Salmonella like Colony多 数 を 認 めた の で,夫 等菌 の 所 属 を 遂 求 し,爾 後 の 憂 を 除 くこ とに 努 力 した 。 2.然 し前 項 の 容 疑菌 は 精 密 検 査 の 結 果,KL-agar= 一/AG(稀 に 十/AGの 変 異 株), H2S=陽 性, M. S-agar=十/十 又 は 一/十, Cit,‐agar=十a V P-R=陰 性,MR-R=陽 性, Semiagar=十, (即 ちMobility)等 の 成 績 を 見 た 。 3。従 つ て分 離 菌 は 総 てShigellaを 否 定 し得 た 。 4.実 にご全 分 離 菌 はSerologicalにSalmonellaを 否 定 し,Citrobacter Bethesdaで あ る こ とを 同 定 し 得 た 。 5.尚 ほ,頭 初 下 痢 患 者 よ りの 分 離 菌 は,夫 々同 名 患 者 血 清 との 間 に 強 度 のAgglutinatio11を 呈 した 。 分 離 菌 株 に,対 す る 同 名 患 者 血 清 のAgglutinin titer は320∼1280倍 の 高 度 に認 め られ た 。 従 つ て 分 離 菌 と患 者 血 清 との 間 に 於 け る Wida1-reaction は 強 度 の 陽 性 反 応 と謂 ひ得 る。 6.叙 上 の 成 績 を 綜 合 の 結 果,同 院 給 食課 総 員 及 び 頭 初 患 者 を 出 し た 学 院 学 生 のClass-mate等 に つ い て一 斉 検 便 を 実 施 し た 結 果,同 給 食 課 全 職 員 と 前 記 初 期 患 者 を 出 した 学 生 のClass-mate中 の 数 名 か らCitrobacter Bethesdaの 健 康 保 菌 者 を 発 見 した 。 此 の 総 数 は 両 部 門 合 し て 同 時23名 に達 し 食 物 学 会 誌 ・第8号 た 。 然 して 分 離 菌 の 同 定 には 頭 初 患 者 よ りの 分 離 菌 の 同 定 法 に 準 じた 。 7.著 者 等 は 分 離 菌 の 同 定 に 使 用 した 分 離 培 養 基 及 び 確 認 培 養 基 を 総 て 日本 栄 研 製 とし,因 子 血 清 は 北 研 製 品 と した 。 8.全 保 菌 老 は 同 病 院 長 の 指 示 に よ つ て 時 を 措 か ず 厳 密 周 到 な 注 意 の下 にCM治 療 が 実 施 され て, 完 全 治 癒 が 期 せ られ,そ して 保 菌 者 は 全 員 の 無 菌 が 確 認 され て 解 放 され た 。 尚ほ 同 施 療 期 間 に は 新 た に 保 菌 者 及 び 同 患 者 を 各 部 員 や 一 般 入 院 患 者 中 か ら一 名 も 出 さず に 一 応 初 期 の 目的 を 達 し完 全 に 封 じ得 た こ とを 此 の 上 な き 喜 び とす る も ので あ る 。(1959年7月), 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 1 ⊥ -⊥ 2 3 4 5 1 ⊥ 1 ⊥ ■ ⊥ 1 1

参 考 文 献

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参照

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