平 成 20 年 度
小学校教職経験者10年研修講座
【講義と実習】
理科A(化学領域)資料
「小学校理科における指導の実際」
ゼリーから抽出した合成着色料で毛糸を染める実験平成20年7月30日(水)
9:00~16:30
岩手県立総合教育センター
科学産業教育担当
化学研修室
本日の日程 班-グループ 1班-① 1班-② 2班-③ 2班-④ 3班-⑤ 3班-⑥ 9:00~ 9:45 理科A化学 9:45~10:30 理科A化学 10:45~11:30 理科A化学 11:30~12:15 理科A化学 13:15~14:00 14:00~14:45 15:00~15:45 理科A化学 15:45~16:30 理科A化学 本日の研修内容 Ⅰ 「新学習指導要領」小学校の新しい理科授業 1 小学校の新しい理科の教科目標と新区分 2 小学校の新しい理科の学年目標(A区分のみ) 3 新A区分「物質・エネルギー」の内容 Ⅱ 小学生・高校生の意識調査から見た理科の現状 1 小学校理科の現状 2 高等学校理科の現状 Ⅲ <実習>「水よう液の性質とはたらき」の発展的な学習 Ⅳ 理科(化学領域)における環境教育
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-「新学習指導要領」小学校の新しい理科授業
1 小学校の新しい理科の教科目標と新区分 (小学校学習指導要領解説、文部科学省、2008) (1) 教科目標 自然に親しみ、見通しをもって観察、実験などを行い、問題解決の能力と自然を愛する心情 を育てるとともに、自然の事物・現象についての実感を伴った理解を図り、科学的な見方や考 え方を養う。 <ポイント>「実感を伴った理解」 この「実感を伴った理解」は、次のような三つの側面から考えることができる。 第一に、「実感を伴った理解」とは、具体的な体験を通して形づくられる理解である。児童 が自らの諸感覚を働かせて、観察、実験などの具体的な体験を通して自然の事物・現象につい て調べることにより、実感を伴った理解を図ることができる。これは、自然に対する興味・関 心を高めたり、適切な考察を行ったりする基盤となるものである。 第二に、「実感を伴った理解」とは、主体的な問題解決を通して得られる理解である。自ら の問題意識に支えられ、見通しをもって観察、実験を中心とした問題解決に取り組むことによ り、一人一人の児童が自ら問題解決を行ったという実感を伴った理解を図ることができる。こ れは、理解がより確かなものになり、知識や技能の確実な習得に資するものである。 第三に、「実感を伴った理解」とは、実際の自然や生活との関係への認識を含む理解である。 理科の学習で学んだ自然の事物・現象の性質や働き、規則性などが実際の自然の中で成り立っ ていることに気付いたり、生活の中で役立てられていることを確かめたりすることにより、実 感を伴った理解を図ることができる。これは、理科を学ぶことの意義や有用性を実感し、理科 を学ぶ意欲や科学への関心を高めることにつながるものと考えられる。 (2) 新区分 このような目標を実現するために、対象の特性や児童の構築する見方や考え方などに基づいて、 次のような内容の区分に整理した。 ① A物質・エネルギー 身近な自然の事物・現象の多くは、時間、空間の尺度の小さい範囲内で直接実験を行うこと により、対象の特徴や変化に伴う現象や働きを、何度も人為的に再現させて調べることができ やすいという特性をもっているものがある。児童は、このような特性をもった対象に主体的、 計画的に操作や制御を通して働きかけ、追究することにより、対象の性質や働き、規則性など の見方や考え方を構築することができる。主にこのような対象の特性や児童の構築する見方や 考え方などに対応した学習の内容区分が「A物質・エネルギー」である。なお、本内容区分は、 基本的な考え方において、現行の「B物質とエネルギー」を引き継いでいるものである。 「A物質・エネルギー」の指導に当たっては、実験の結果から得られた性質や働き、規則性 などを活用したものづくりを充実させるとともに、「エネルギー」、「粒子」といった科学の基 本的な見方や概念を柱として、内容の系統性が図られていることに留意する必要がある。 「エネルギー」といった科学の基本的な見方や概念は、さらに「エネルギーの見方」、「エ ネルギーの変換と保存」、「エネルギー資源の有効利用」に分けて考えられる。「粒子」といっ た科学の基本的な見方や概念は、さらに「粒子の存在」、「粒子の結合」、「粒子の保存性」、「粒 子のもつエネルギー」に分けて考えられる。 なお、「エネルギー」、「粒子」といった科学の基本的な見方や概念は、基礎的・基本的な知 識・技能の確実な定着を図る観点から、子どもたちの発達の段階を踏まえ、小・中・高等学校 を通じた理科の内容の構造化を図るために設けられた柱である。② B生命・地球 自然の事物・現象の中には、生物のように環境とのかかわりの中で生命現象を維持していた り、地層や天体などのように時間や空間のスケールが大きいという特性をもったりしているも のがある。児童は、このような特性をもった対象に主体的・計画的に諸感覚を通して働きかけ、 追究することにより、対象の成長や働き、環境とのかかわりなどの見方や考え方を構築するこ とができる。主にこのような対象の特性や児童の構築する見方や考え方などに対応した学習の 内容区分が「B生命・地球」である。なお、本内容区分は、現行の「A生物とその環境」、「C 地球と宇宙」を基本的な考え方において引き継いでいるものである。 「B生命・地球」の指導に当たっては、自然環境の保全に関する態度を養うとともに、「生 命」、「地球」といった科学の基本的な見方や概念を柱として、内容の系統性が図られている ことに留意する必要がある。 「生命」といった科学の基本的な見方や概念は、さらに「生物の構造と機能」、「生物の多 様性と共通性」、「生命の連続性」、「生物と環境のかかわり」に分けて考えられる。「地球」と いった科学の基本的な見方や概念は、さらに「地球の内部」、「地球の表面」、「地球の周辺」 に分けて考えられる。 なお、「生命」、「地球」といった科学の基本的な見方や概念は、基礎的・基本的な知識・技 能の確実な定着を図る観点から、子どもたちの発達の段階を踏まえ、小・中・高等学校を通じ た理科の内容の構造化を図るために設けられた柱である。 2 小学校の新しい理科の学年目標(A区分のみ) (小学校学習指導要領解説、文部科学省、2008) (1) 第3学年 物の重さ、風やゴムの力並びに光、磁石及び電気を働かせたときの現象を比較しながら調 べ、見いだした問題を興味・関心をもって追究したりものづくりをしたりする活動を通して、 それらの性質や働きについての見方や考え方を養う。 (2) 第4学年 空気や水、物の状態の変化、電気による現象を力、熱、電気の働きと関係付けながら調べ、 見いだした問題を興味・関心をもって追究したりものづくりをしたりする活動を通して、そ れらの性質や働きについての見方や考え方を養う。 (3) 第5学年 物の溶け方、振り子の運動、電磁石の変化や働きをそれらにかかわる条件に目を向けなが ら調べ、見いだした問題を計画的に追究したりものづくりをしたりする活動を通して、物の 変化の規則性についての見方や考え方を養う。 (4) 第6学年 燃焼、水溶液、てこ及び電気による現象についての要因や規則性を推論しながら調べ、見 いだした問題を計画的に追究したりものづくりをしたりする活動を通して、物の性質や規則 性についての見方や考え方を養う。 <ポイント>「関係付けながら調べ」→「推論しながら調べ」に変更 「問題を多面的に追究」→「問題を計画的に追究」に変更
3 -3 新A区分「物質・エネルギー」の内容
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-小学生・高校生の意識調査から見た理科の現状
1 小学校理科の現状
「第4回学習基本調査報告書(小学生版)」(Benesse 教育研究開発センター)から
2 高等学校理科の現状 「平成17年度高等学校教育課程実施状況調査結果の概要」(国立教育政策研究所)から 引用URL:http://www.nier.go.jp/kaihatsu/katei_h17_h/h17_h/05001000040007001.pdf P13:「当該科目の勉強が好きだ」 P14:「当該科目の勉強は大切だ」 P15:「当該科目の勉強は、入学試験や就職試験に関係なくても大切だ」
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-「水よう液の性質とはたらき」の発展的な学習
1 はじめに 水溶液の性質や働きの学習で、水溶液には金属を変化させるものがあることを学習する。しかし、 児童の日常生活の中に身近に存在する物質は金属ばかりではない。塩酸や水酸化ナトリウムが金属 以外の物質を変化させるかどうかについて、児童は興味・関心をいだくのではないだろうか。 「学校理科、校門を出でず」という言葉がある。子どもの学びが日常生活と乖離していたのでは、 「確かな学び」とは言えない。学んで習得した知識や技能が日常生活の場面で生かされれば、子ど もはその学んだことの意義に気づき、自分の学びを実感できる。さらに、子どもが日常生活の中で、 学んだことを基にこれまでとは違う見方や考え方ができるようになれば、その学びは深まったと言 えよう。今回の学習指導要領の改訂で、小学校理科の目標に「実感を伴った理解」という文言が付 加された。このことは、授業づくりの過程で、子どもが学んだことを実際の生活場面で活用したり 見直したりする活動を構成することが一層求められるということである。 2 学習活動の概要 東京書籍「新編新しい理科6下」P61<とびだせ!②-2>「酸性やアルカリ性の水溶液は、金 属以外のものもとかすか調べよう。」にいくつかの工夫をした。 (1) 調べる物質の種類を多くした。 児童の目線にあった物質を加え、児童の興味・関心を高めるねらいである。 (2) ゲーム性を取り入れた。 ただ単に、溶けるか溶けないかを調べるだけでなく、予想することで課題に集中させるねらい である。 (3) 反応容器に卵パックを用いた。 試験管の数に限りがあることから、耐薬品性に優れたPET樹脂である卵パックで代用するね らいである。 3 学習活動の実際 (1) 実験の準備 ア グループごとの準備 ・卵パック(10個入り用)1個 ・うすい塩酸(3mol/l)10ml ・うすい水酸化ナトリウム水溶液(3mol/l)10ml ・駒込ピペット2本、ガラス棒2本 (+これらを保持する試験管4本、試験管立て) ・ピンセット2本 ・ビーカー1個(50ml、固形廃棄物回収用) イ 教卓の準備 ・調べる物質 ① 割りばし ② 貝がら ③ シャープペンのしん ④ 人間のつめ ⑤ ティッシュペーパー ⑥ 石 ⑦ たまねぎの皮 ⑧ チョーク ⑨ 輪ゴム ⑩ 卵のから ⑪ 毛糸(2) 実験の手順 ア 準備された11種類の物質の中に、「塩酸で変化するもの」と「水酸化ナトリウム水溶液で変 化するもの」が、それぞれ4種類ずつある。これを予想し、下の図のような「卵パック用シー ト」に記入する。 イ 予想した物質を、卵パックのそれぞれの場所に入れる。 ウ 塩酸を加えて変化の様子を見る。 エ 水酸化ナトリウム水溶液を加えて変化の様子を見る。 オ 必要に応じて、ガラス棒でつついたり、ピンセットでつまんで様子をみる。 カ それぞれの物質の変化について、実験の結果をまとめる。 (3) 実験結果のまとめ 各グループのデータを共有し、結果について一覧表にまとめる。 No 物 質 塩 酸 水酸化ナトリウム水溶液 ① 割りばし ② 貝がら ③ シャープペンのしん (4) 考察 実験結果から考えられることは何かを、それぞれ考える。
酸性やアルカリ性の水溶液がとかすもの
塩 塩 酸 酸 水酸 化 ナ トリ ウ ム 水 溶 液 水酸 化 ナ トリ ウ ム 水 溶 液11
-酸性やアルカリ性の水よう液は、
金属以外のものもとかすか調べよう
。・酸性
・・・・
うすい塩酸
・アルカリ性
・・・・
うすい水酸化ナトリウム水溶液
・右の表の①~⑪
・酸性の水溶液で変化する物質(4つ)
シートに記入
・アルカリ性の水溶液で変化する物質(4つ)
①
卵パックに調べる物質をとってくる。
②
うすい塩酸を加えて、変化するかどうか見る。
③
うすい水酸化ナトリウム水溶液を加えて、変化するかどうか見る。
④
変化がわかりにくい時は、ガラス棒でつついたり、ピンセットでつ
まんでみる。
⑤
実験結果を表にまとめる。
調べる水溶液
調べる物質
予
想
実
験
水酸化ナトリウム水溶液は、大変 危険な薬品です。皮ふにつけたり、 目に入れたりしないように注意し ましょう。手についてしまったら 水道の水でよく洗いましょう。No 物 質 塩 酸 水酸化ナトリウム水溶液 ① 割りばし ② 貝がら ③ シャープペンのしん ④ 人間のつめ ⑤ ティッシュペーパー ⑥ 石 ⑦ たまねぎの皮 ⑧ チョーク ⑨ 輪ゴム ⑩ 卵のから ⑪ 毛糸
・実験結果から何がいえるか。
実験結果
考
察
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-酸性やアルカリ性の水溶液がとかすもの
塩
塩
酸
酸
水酸化ナトリウム水溶液
水酸化ナト
リ
ウム
水溶液
理科(化学領域)における環境教育
1 「物質は循環する。」ことを学ばせる。 引用文献:渋澤文隆『今、始めないと!エネルギー・環境教育』、p109、東京書籍、2008 2 「地球生態系のバランスが重要である。」ことを学ばせる。 引用文献:渋澤文隆『今、始めないと!エネルギー・環境教育』、p92、東京書籍、2008 3 理科(化学領域)のなすべきこと。 (1) 物質文明の光のみでなく、影の部分にも目を向けさせる。 農薬(殺虫剤、除草剤)、化学肥料、医薬品・・・・ (2) できるだけスモールスケールで実験する。 少量の材料で実験→廃棄物も少量 (3) 自然環境の調査等に積極的に参加する。 水質調査、大気汚染度調査15