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幼児の実態を捉えると共に 幼児が自分たちで生活をつくり出す保育の在り方を探り 主体的 に生活する子どもを育むための教育課程及び指導計画を作成する 3 研究の計画 <1 年次 > 主体的に生活する幼児の姿を捉える 教育課程 指導計画を見直す <2 年次 > 主体的に生活する幼児の姿を捉え その要因につ

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Academic year: 2021

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主体的に生活する子どもを育むための教育課程の創造(第二報)

1 研究の動機

本園の近年の幼児の実態として、衣服の着脱や排泄などの、生活習慣が身に付く年齢が遅くなっ てきているという傾向がある。また、「子どもが困らないように」「子どもが困る前に」と、幼児 より先に、いろいろなことを解決しようとする保護者も見られる。その影響からか、大人に言われ たことはできるが、自分で考えて動くことが難しい姿、自分で考えて動くことに不安があるため、 「これをしてもいい?」と一つずつ確認する姿が増えてきたと感じている。さらに、幼児が遊ぶ姿 を見ていると、一見、好きな遊びを楽しんでいるように見えても、自分たちから遊びを生み出した り、広げたり、深めたりする姿が減少し、より遊びを楽しくするためには、どのようにするとよい のか、という、遊びに対する思いの乏しくなってきているように感じている。生活習慣面で困って いる姿が多く見られる幼児は、遊びこむという姿も見られにくいという傾向があるのではないかと 思い、生活習慣や遊びも含めた園生活全体の充実が必要であると考えた。 一方で、教師自身も「主体的に生活することが大切である」ということは分かっているものの、 「主体的」の捉え方が、それぞれの教師によって異なっている。保育をスムーズに進めようとする あまり、教師が幼児の行動を待てずに、先に援助をしていることもある。また、幼児の発達より難 しい保育内容を行うことで、過度な教師の援助が必要となっている場合もある。そのような保育を 行うことで、幼児が自ら考える機会を十分に確保できていないのではないかと考えた。 幼児教育の動向としても、平成 27 年度から「子ども・子育て支援新制度」が実施され、公立・ 私立の幼稚園、認定こども園、保育所などのように、保育施設が多様化している。また、平成 29 年度には新しい幼稚園教育要領が告示された。このように、幼児教育が大きな変革期にある中、日々 の保育を振り返り、保育の質のさらなる向上が求められている。 以上のことから、主体的に生活する幼児の実態を捉えると共に、幼児が自分たちで生活をつくり 出す保育を探る中で、「何ができるようになるか」という身に付けたい力を整理し、その上で「何 を学ぶか」という内容を検討し、「どのように学ぶか」という過程を考えていく。そして、それら を取り入れた教育課程・指導計画を創造しようと考えた。

2 研究の目的

図1 幼児の学びの構図

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- 3 - ○ 幼児の実態を捉えると共に、幼児が自分たちで生活をつくり出す保育の在り方を探り、主体的 に生活する子どもを育むための教育課程及び指導計画を作成する

3 研究の計画

<1年次> ・主体的に生活する幼児の姿を捉える ・教育課程・指導計画を見直す <2年次> ・主体的に生活する幼児の姿を捉え、その要因について探る ・1年次に見直した教育課程・指導計画を実践、検証する ・幼児がより主体的に生活するための行事の在り方について見直す <3年次> ・「保育の手帳」を再構成する

4 研究の方法

○ 「主体的」の定義について、文献等で調べたり、協議を重ねたりし、本園が考える「主体的」 の定義を明確にする ○ 園内研修会や事例、記録などから、主体的に生活する幼児の姿を捉え、その姿が見られるため に大切にしたいものを探る ○ 主体的に生活する幼児を育むための教師の援助や環境構成について考える ○ 教育課程・指導計画と日々の保育を照らし合わせ、主体的に生活する子どもが育まれる保育に ついて探る ○ 教育課程・指導計画を再構成し、「保育の手帳」(本園の教育課程・指導計画など、園全体の 計画を載せたもの)を発刊する

5 研究の内容と成果

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◎1年次の研究から

主体的の定義を明確にする 文献や大学の先生方から教えていただいたことをまとめた結果、「自発」「主体的」の定義を次 のように捉えた。 また、「主体」は、誰もがもっているもの・人との関わりの中で、結果的に見えてくるもの、と いうことが分かり、幼児は、幼稚園という場で教師や友達と関わることによって、主体的に生活す るようになると考えた。 ○主体的に生活する幼児の姿を捉える 1年次には事例を集め、まとめた結果、「主体的に生活する子どもの姿」は、次のような傾向が あるのではないかと考えた。(図2)

◎2年次の研究から

「自発」…すでにある環境を自ら選ぶこと・目的意識が薄く、偶発的であること 「主体的」…自ら考え、進んで行う姿・目的があり、継続的である姿 自発から変容した姿

主体的に

生活する姿

継続して 遊ぶ姿 自分から、 ものや人に 関わろうとする姿 自分の思いを 出す姿 相手に伝えよう、 発信しようとする姿 自分から関わろう とする対象が 広がっていく姿 目的をもって 生活する姿

他者に対するもの

継続・目的のもの

遊びに関わっているもの

図2 主体的に生活する姿の傾向

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- 5 - 2年次も「主体的に生活する子どもの姿」について、事例、園内研修会などから、探り続けたと ころ、1年次に探った「主体的に生活する子どもの姿の傾向」に加え、次のように表せるのではな いかと考えた。(図3) 子どもは日々の生活の中で、対象と対話することで、物事の性質に気付いたり、探求したりする 姿につながる。また、子どもが他者と対話することで、自分の思いを表現しようとしたり、相手の 考えていることを理解しようとしたりする姿につながる。他者と対象が対話する様子を、自分が見 ることで、新たな発見をすることもある。このような対話を繰り返すことで、深い学びになり、深 い学びが主体的に生活する姿へとつながるのではないかと考えた。また、「安心感」「自己有能感」 などの丸の部分は、主体的に生活する子どもを育むために、教師が大切にしたいと考えているもの である。これらは、事例から導き出されたものである。 ○「主体的に生活する子どもの姿」を見出すにあたって 上記のように「主体的に生活する子どもの姿」を見出すまでには、いくつかの過程がある。 ① 保育構想の見直し 本園の保育構想を見直すにあたって、幼稚園教育要領に記載されている資質・能力の3つの柱「個 別の知識及び技能の基礎」「思考力、判断力、表現力等の基礎」「学びに向かう力、人間性等」と 照らし合わせることで、本園が育みたい資質・能力について確認した。 ②幼児の姿を捉える 図3 主体的に生活する子どもの姿

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- 6 - 学年の教師が捉えた幼児の姿を、幼稚園教育要領の5領域を基にした7つの項目に分け、振り返 るようにした。(「健康」の領域を「生活習慣」と「体を動かして遊ぶ」に分け、「表現」の領域 を「音と関わる」こと、「かいたりつくったりする」ことに分けた。) 領域を細かく分けることにより、より細かな視点で幼児の姿を捉えようと考えた。また、それぞ れの項目の幼児の姿が、幼稚園教育要領の「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」のどの姿につ ながっているのかを記載するようにした。到達目標にするわけではなく、各学年で10の姿を用い て幼児の姿を振り返ることで、修了まで、系統立てて育ちを捉えることができるようにした。(図 4) また「幼児の姿」は指導計画の「学びの時を捉えるために」というページにも生かした。「学び の時を捉えるために」というページは、「幼児の姿」と同じ7項目に分けている。以前は「学びを 捉える視点」を記載していたが、今回、「どのように学ぶか」という、教師の配慮を下部に加える ことにした。幼児の到達目標を示したものではなく、幼児が「何を学ぶか」「どのように学ぶか」 5領域をもとにした 7つの項目 「幼児期の終わりまで に育ってほしい姿」 図4 幼児の姿

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- 7 - 「何ができるようになるか」という点についての1年間の流れを記載し、それを見据えることによ って、教師の保育を見直せるような形にした。(図5) ③事例検討 事例は、教師が捉えた「主体的に生活する子どもの姿」について記録し、「主体的に生活する姿 を見出す視点」「主体的に生活する子どもを育むために大切にしたいもの」「主体的に生活する姿 につながる教師の援助の視点」「教育課程と照らし合わせて」という点について考察している。 教育課程と照らし合わせる際には、「ねらい」「内容」「かもしだす雰囲気」「幼児の実態」「教師 の配慮」を、幼児の実態を踏まえた上で見直している。昨年度に見直したものを、今年度さらに見 直し、各学年のつながりも踏まえた上で、文言や形式を変更した。(図6) 「何を学ぶか」 「どのように学ぶか」 「何ができるようになるか」 図5 指導計画「学びの時を捉えるために」

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- 8 - 「かもしだす雰囲気」とは、幼児や教師自身、まわりの環境などから、その時期に漂ってくる雰 囲気を、幼児の気持ちに添った言葉として表現したものである。これを横断的、縦断的に見ること ができるように、一覧にして見直すことも進めた。教育目標に合わせて、時期に合う「かもしだす 雰囲気」を事例や幼児の姿から見直し、各学年、各期の教育課程にも記載するようにした。(図7) ○「主体的に生活する子どもの姿」を見取る評価について 以上のような過程を経て、「主体的に生活する子どもの姿」を探ると、教師は、幼児の姿に変容 があった時に、幼児が「主体的に生活している」と捉えていることが分かった。また、その変容は 図6 (左)現行の教育課程 (中央)平成28年度案 (右)平成29年度案 図7 「かもしだす雰囲気」の一覧表

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- 9 - 1日の中で見られたものではなく、数日、数ヶ月に渡る期間の中での変容に着目していた。幼児の 対象や他者との関係性の積み上げを踏まえた上で、「主体的に生活する子どもの姿」をエピソード として語ることが評価につながると考えた。 幼稚園教育要領には、「幼児理解に基づいた評価の実施」として「指導の過程を振り返りながら 幼児の理解を進め、幼児の一人一人のよさや可能性などを把握し、指導の改善に生かすようにする こと」と記載されている。幼児の主体性を引き出すための評価であり、幼児自身の評定ではない。 教師が、幼児のどのような姿を見て主体的と捉えているのかを探り、その上で、主体的に生活する 幼児の姿が見られるようにするためには、どのような保育をするとよいのかを振り返ることが大切 である。 ○カリキュラム・マネジメントについて 主体的に生活する子どもの姿を探りながら、そのような子どもが育まれるための保育とは、どの ようなものかを考え、保育を見直していく。また、教育課程・指導計画は、保育構想を元にして、 つくっていることを教師同士で共通認識し、全体を包括する視点から、日々の保育の視点まで、様々 な目で、保育を振り返り、次に生かせるようにする。これを続けることが、カリキュラム・マネジ メントにつながると考えている。自分の保育だけでなく、幼稚園全体の保育の質の向上を、組織的 で計画的に進めることが大切であると感じた。

6 次年度に向けて

・主体的に生活する姿についての評価の観点について探る ・「学びの時を捉えるために」「行事の見直し」など、指導計画、資料編の検討を進める。 ・「保育の手帳」として、教育課程・指導計画など、園全体の計画をまとめたものを発刊する。

参照

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