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小次郎講師の実践チャート分析第21回

「2016年、新春相場の注目ポイント！」

まずは米ドル/円。2014年の後半、大幅に円安になったものの、2015 年は終わってみれば横這いの1年となった。(12月29日現在)

120円からスタートして、120円で終わったという1年でしたね。

途中一時的に125円台まで円安になったが、続かなかった。 ということで大きなトレンドは発生していない。

ですね。

価格に1番大きく影響を与えた材料は何だったかだよ。チャートを見れ ば、どの出来事が価格をどれだけ動かしたかはすぐわかる。 6月まではいい感じの上昇相場だったんですけどね。 こちらは日経225先物の日足チャート。 6月の天井を7月と8月に挑戦し、結局それを更新することが出来ずの下 落。これがトリプル天井を形成し、その後の下げムードを決定づけた。 今度は何が2015年の1番のニュースだったかをチャートから読み取 り、その影響を探りたい。 1番のニュースとは？ なるほど。

こうやって見ると、2015年後半は苦労の連続だったことがわかる。 まずは7月にギリシャ問題。

ギリシャがデフォルトするんじゃないかとか、ユーロを離脱するんじゃ ないかと騒がれましたね。国民投票まで行われた。

そうだね。それから上げるときはゆっくりなのに、下げるときは急落と いう相場の特徴を今年ほど感じさせる年はなかった。 長く積み上げた相場が一瞬で崩れる。 いやあピンチの連続ですね。 映画のサスペンスドラマを見ているようだ。現実だけに怖いです。 ですね。 講師、VWのCO2排出量不正問題は大きなニュースですが、日本では東 芝の不正もありましたが世界の株価には影響してないですよね。 ドイツの一企業の問題が何故、世界の株価を動かすところまでいったん ですか？ ドイツで起こったということが衝撃だったのだよ。 ユーロで唯一景気が良かったのがドイツ。そのドイツの主要産業は自動 車。その代表企業がVW。日本ではいえばトヨタに当たる。 そこで不正が行われたということで、ユーロの中でのドイツに対する信 頼が大きく損なわれた。 人民元の切り下げから中国株が下がり、その影響で世界同時株安という 恐ろしい状態になりました。すわ世界恐慌勃発かとまで騒がれました。 その余波が収まらないうちに9月にはVW（フォルックスワーゲン）シ ョック。

ユーロが発足して以来、経済政策の舵取りはドイツが主導権を取ってい た。そして結果として、景気が良くなったのはドイツだけという現状に ユーロ加盟国は皆不満を持っていた。 なるほど。そこへこの不祥事で、「やっぱりドイツは汚い国だ」となっ たわけですね。 ユーロにおいてドイツのリーダーシップが大きく失墜した事件だった。 それは難民問題という一致団結して取り組まなければいけない大きな問 題を抱えている現在のユーロにとって、致命的な話。 つまりVWの問題はドイツの問題であり、ユーロの問題なのだよ。 なるほど。 そして2015年後半に起こった問題はなにひとつ解決していない、とい うことも頭に入れておかなければいけない。 確かに。ギリシャ問題も今でこそ大きくは取り上げられなくなりました が、何も進展していないですよね。

8月24日というのは長い下ヒゲを付けている日ですね。 実体は前日の方が長いのでそちらの方が目につきますが、高値と安値の 差、つまり1日の最大値動きとしては確かに8月24日が一番ですね。 マスコミは本当に移り気で、新しいニュースが出ると、過去のニュース は忘れさられるが、忘れられるということとそれが解決してということ は全然別物。実は根本的な解決はなんらしていない。 ですね。 こうやって振り返ってみると、8月に起こった中国発の世界同時株安が 今年最大のニュースだったことがわかる。 1日の動きとして最大は8月24日の値動き。

このようにチャートからそのニュースの影響力を見抜くことが出来る。 いろいろな銘柄でやってごらん。NYダウを見ても同様。8月24日が最 大の値動き。

なるほど、VWのショックより中国ショックの方がドイツにおいても大 きかったということですね。 ということで、2015年の最大のニュースは8月の中国ショックに決定。 とすると重要なのはそれが解決したのかどうかということ。 それをどう見抜くか？ DAXというのはドイツの平均株価。こちらも8月24日が最大。

教えてください。 コモディティ！？ 中国のGDPの発表を見ても6.9％などと、当たり障りのない数字を発表 して信頼性がない。 そして中国の株価も政府の強烈な空売り規制で、売買が大幅減少した。 ということで株価を見ても中国の実態はわからない。 しかし、コモディティの価格を見れば中国の経済が立ち直ったのかどう かがわかるのだよ。 中国の景気はコモディティの価格を見ればわかる。

すごい下げ方ですね。株が下がった7月8月にも下げてますが、11月か ら再度下げだし、現在も下げトレンドが変わってませんね。 こちらはCRB指数。世界を代表する商品指数だ。これを見ると2015年 はコモディティ大暴落の年だということがわかる。 株式投資家もFX投資家も、コモディティを見なければ真実がわからな い。原油が下がっているというニュースはテレビや新聞で耳にすると思 うが、今年のコモディティの下げは原油だけでなく、ありとあらゆる銘 柄が売りに売られた1年だった。

確かに。 原油の事だけで言うと、シェールガスの影響などと言われるが、昨年の 半ばには100ドルを超えていたものが、一気に30ドル台まで下げるとい う異常事態はシェールガスだけでは説明出来ない。 やはり需要が大幅に落ちている。それが世界の需要を近年支えてきた中 国の停滞によるものとわかる。だからこそ、原油だけでなく全てのコモ ディティの下落につながったわけだ。 つまりコモディティ価格が下がっている間は中国の需要の減退＝中国経 済の悪化を象徴しているということですね。 そうだ。為替で言えば、資源国通貨、例えば南アランド、豪ドル、NZ ドル、カナダドルなどもその影響を受ける。 コモディティ価格が下がっている限り、下降トレンドが続き、上がった としても戻り売り基調から脱することは難しい。 新興国通貨も似たようなものですね。

そうだね。そして株価も、この状態が続く限り、何かあれば暴落しやす いということを頭に入れておかければいけない。 そして、どこで中国経済が底を打つか、そして立ち直りの兆しが見える か、それが投資家にとって最大のテーマであり、それらが全てコモディ ティ価格を見ていればわかる。 なるほど、株式にも為替にもコモディティ価格が影響するんですね。 常にその３つを見比べる必要があるが、今くらい、それが大事なことは ない。 そして、今やコモディティ価格の下げは逆Cカーブになってきている。 下げが加速しているということですね。 これは下げの末期に起こる現象。ということは下げ止まりが近い可能性 もある。 おっと、それはチャンスだ。

と、うかつに捉えてはいけない。 逆Cカーブで下げ出すと、底なしになることがある。もうそろそろ下げ 止まるなどと安易に捉えて仕掛けるとそこでやられてしまう。 買いで我慢している人も同様。もうそろそろ下げ止まるだろうと安易に 考えていると命取りになる。損切りの決断は大事。 なかなか決断出来ないですけどね。 損切りすると価格が上がり出しますから。 それが相場。買方が損切りしない限り下げ続ける。損切りしたら下げ止 まる。だから、損切りした後、下げ止まるかも、と思っても損切りしな ければいけない。 なるほど。 あくまで買うのは下げ止まって、本格的に上げだしてからにするべき。 これだけ下がった相場なのだから、上げだしたら上げ幅は大きい。 ということは、来年はコモディティに大きなチャンスがくるかもしれま せんね。

そしてコモディティの底打ちが株式を安心して買える。 為替において資源国を安心して買えるという状態に切り替わるわけだ。 コモディティの中でも日本の商品取引所に上場されている銘柄だけでな く、銅、鉄鉱石、アルミ、ニッケル、天然ガスなどの価格動向を見て欲 しい。それらを加えれば世界の景気の反転が正しく読み取れる。 了解です。 コモディティを制するものが投資を制するということですね。 今は特にそうだ。 それを意識すば2016年相場を制することが出来るぞ。 ありがとうございました。 ということで本日はここまで。 読者の皆さん、2015年はお世話になりました。 2016年もよろしくお願いします。 来年もよろしくお願いします。