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Vol.6 , No.2(1958)018齋藤 彦松「唐代五輪塔の研究」

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Academic year: 2021

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唐 代 五 輪 塔 の 研 究 ( 齋 藤 ) 一 〇 八

一、 序 唐 代 密 教 は 多 く の 密 典 法 軌 を 繹 述 す る 事 に 擦 つ て 形 成 さ れ て 行 つ た。 そ れ 等 の 中 に、 方、 圓、 三 角、 牛 月、 賓 珠 の 五 種 の 圖 形 と、 そ れ を 形 式 上 の e le bp enet と し て 構 成 さ れ た 五 輪 塔 圖 形 が 含 ま れ て い る が、 唐 代 に は 立 禮 五 輪 塔 も 存 在 し た。 其 の 存 在 形 式 を 論 究 し、 更 に 五 輪 塔 の 原 形 を 追 究 せ ん と し た の が 此 の 研 究 で あ る。 二、 唐 代 密 教 に 於 け る 牽 都 婆 の 形 式 唐 代 及 日 本 の 密 教 に 重 要 な 地 位 を 占 め た 儀 軌 に ﹁破 地 獄 三 種 悉 地 法 ﹂ ( ﹁ 破 地 獄 軌 ﹂ と ﹁三 種 悉 地 軌 ﹂ ) が あ る。 ﹁ 破 地 獄 軌 ﹂ に ﹁ 率 都 婆 ﹂ を 読 明 し て ﹁ 鍵 宇 攣 成 率 都 婆。 方 圓 三 角 牛 月 團 形。 地 永 火 風 塞 五 大 所 成 故。 此 牽 都 婆 攣 成 摩 詞 毘 盧 遮 那 如 來。 ﹂ と 記 し て い る。 是 を 圖 式 化 す る と v am↓ 掻 諜 購 { ( 評 駒 )愚 呉 涛 歯 莇 出 丼 (慰 斗 )凝 遍 佃 油 金 漏 海 汐}= (暴 萌 )↓ 汗 釦 登 潟 と な る。 從 つ て 唐 代 密 教 に 於 け る ﹁ 率 都 婆 ﹂ と は 現 在 日 本 で ﹁ 五 輪 塔 ﹂ と 構 さ れ て い る も の で あ る 事 が 明 解 さ れ る。 ﹁三 種 悉 地 軌 ﹂ に は、 方 圓 三 角 牛 月 寳 珠 の 各 輪 圖 形 と そ れ を 積 上 げ た 五 輪 塔 圖 形 が 含 ま れ て い る。 三、 牽 都 婆 鈴 承 和 六 年 ( 唐 開 成 四 年 A. D. 8 3 9 ) 麟 朝 し た 入 唐 僧 圓 行 の ﹁ 震 巖 寺 和 倫 請 來 法 門 道 具 等 目 録 ﹂ (大 正 藏 五 五p. 10 73 0 ) に ﹁ 牽 都 波 鈴 一 ﹂。 承 和 十 四 年 ( 唐 大 中 元 年 A. B. 84 7 ) 蹄 朝 の 恵 運 の 請 來 と し て 奉 都 婆 鈴 言 ﹂ ( 安 詳 寺 費 財 帳 寺 誌 四 p. 60 佛 全 一 二〇 ) が 在 る。 是 に 擦 つ て 李 安 初 期 に、 唐 よ り ﹁ 牽 都 婆 鈴 ﹂ が 少 く と も ﹁ 二 口 ﹂ は 請 來 さ れ て い る 事 が 知 れ る。 猫 鈷 鈴、 三 鈷 鈴、 五 鈷 鈴、 蜜 珠 鈴 等 が そ れ ぞ れ、 猫 鈷、 三 鈷、 五 鈷、 寳 珠 を 金 剛 鈴 に 頂 す る と こ ろ か ら ﹁率 都 婆 鈴 ﹂ は 當 然、 率 都 婆 ( 五 輪 塔 ) を 頂 い た 金 剛 鈴 で あ つ た と 推 定 す る。 是 等 に 相 當 又 は 類 す る 貴 重 な 遣 品 と し て、 醍 醐 寺 寳 物 第. 一 〇 號 の ﹁ 白 銅 傘 都 婆 鈴 ﹂ は 改 め て 注 目 せ ね ば な ら な い。 総 高 十 七 糎、 頂 部 の 五 輪 塔 の み 高 三 六 糎、 鈴 鐙 外 周 に は 五 大 明 王 坐 像、 口 縁 ( 底 部 ) は 五 花 形 を 爲 し 更 に 二 十 五 の 小 刻 み が 在 る。 五 輪 塔 の 地 輪 は 一 ・ 一 糎 正 方 の 正 六 面 膿 で 火 輪 は 三 角 錐 形、 室 輪 は 蓮 蕾 形 と 成 つ て い る 黙 は 特 に 注 意 を 要 す る。 日 本 現 存 牽 都 婆 鈴 は(1) 表 に 列 記 し た。 四、 唐 代 五 輪 塔 の 存 在 形 式 と 其 の 名 構 形 式 が 睨 瞭 な 現 存 五 輪 塔 を 時 代 排 列 す る と、 第 一 が 前 記 し た 醍 醐 寺 ﹁ 牽 都 婆 鈴 ﹂ で、 第 二 も 醍 醐 寺 で 御 影 堂 僥 趾 土 壇 よ り 慶 長 十 一 年 A. B. 1 0 85 に 掘 出 さ れ た ﹁ 銅 彩 色 五 輪 搭 ﹂ で あ る。 ﹁懸 徳 二 季 乙 丑 七 月 日 ﹂ A. B. 1 0 85 の 刻 銘 を 有 す る 石 櫃 の 中 に 納 め ら れ て い た。 其 の 形 は ﹁ 醍 醐 寺 新 要 録 三 ﹂ に ﹁ 循 石 積 ポ リ 出 ス 中 二 銅 ノ 五 輪 ア リ、 火 輪 ハ 非 如 常、 皆 三 角 也、 誠 叶 理 者 也 ﹂ と 記 し て い る と こ ろ か ら、 此 の 第 二 の 五 輪 塔 も 三 角 錐 火 輪 で 在 つ た 事 が 肯 け る。 第 三 の 岩 手 縣 中 尊 寺 繹 尊 院 墓 地 の ﹁ 仁 安 四 年 □ 丑 四 月 二 十 三 日 檀 圭 □ □ ﹂ A. B. 1 1 6 0 の 刻 銘 を 持 つ 五 輪 石 塔 に な る と、 第 二 よ り 八 十 三 年 後 で、 火 輪 は 既 に 四 角 錐 的 に 攣 形 し て 居 る。 現 存 立 睦 五 輪 搭 中、 十 一 世 期 頃 迄 の も の が 三 角 錐 火 輪 で あ る 事 は、 九 世 期 前 牛 に 唐 よ り 請 來 の 傘 都 婆 鈴 の 五 輪 塔 が 三 角 錐 火 輪 で 在 つ た 事 を 推 定 せ し め る。 更 に 此 の 事 が 密 典 儀 軌 に 適 懸 す る 事 か ら、 唐 代 五 輪 塔 の 火 輪 は 三 角 錐 形 で あ つ た と 推 定 す る。 全 鐙 形 式 と

(2)

-419-し て は ﹁率 都 婆 鈴 ﹂ の 他 に ﹁舎 利 容 器 ﹂ と し て 軍 猫 の 形 式 で も 存 在 し た と 推 定 し 得 る。 不 塞 誰 ﹁ 寳 悉 地 成 佛 陀 羅 尼 経 ﹂ に、 舎 利 塔 と し て 次 の 順 序 で 五 種 の 形 式 を 掲 げ て い る。 五 輪 塔、 多 賓 塔、 三 股 塔、 五 股 塔、 猫 股 塔 で、 此 の 内 初 出 の ﹁ 五 輪 塔 ﹂ の 形 式 は 明 示 し て な い が、 他 の 四 種 の 形 式 の 外 に 五 輪 塔 な る 形 式 を 推 定 す る な ら ば、 唐 代 密 教 に は 前 述 し た ﹁ 傘 都 婆 ﹂ と 同 一 形 式 の も の に ﹁ 五 輪 搭 ﹂ な る 形 式 名 構 も 用 い た と 解 せ ら れ る。 同 じ く 不 塞 謬 な る ﹁供 養 十 二 大 威 徳 天 報 恩 品 ﹂ に も ﹁ 五 輪 搭 ﹂ な る 語 が 用 い て 在 る と こ ろ か ら、 不 塞 系 で の ﹁ 五 輪 塔 ﹂ と、 善 無 畏 系 の ﹁牽 都 婆 ﹂ と は 同 一 形 式 の 所 謂 五 輪 搭 で 在 つ た と 解 す る。 爾 系 密 教 を 融 合 せ る 目 本 密 教 で、 李 安 初 期 に 既 に ﹁ 毘 鷹 遮 那 五 輪 率 都 婆 ﹂ (安 群 寺 資 財 帳 聯 誕 鶏 霞 鴎 ) な る 名 構 の 存 し た 事 に 擦 つ て も 知 ら れ る。 五、 五 輪 塔 各 輪 原 形 四 角 錐 形 火 輪 の 源 流 に 三 角 錐 火 輪 が 位 置 す る 事 は、 五 輪 塔 各 輪 原 形 が 方 圓 三 角 牛 月 賓 珠 で あ る 事 を 決 定 的 に し て い る。 猶 本 項 に 關 し て は 本 誌 通 巻 第 九 號 一 六 四 頁 の 拙 稿 ﹁ 佛 教 美 術 に あ ら わ れ た 古 代 婆 羅 門 教 祭 火 櫨 形 の 美 術 史 的 研 究 ﹂ の 参 照 を 望 む。 唐 代 五 輪 塔 の 研 究 ( 齋 藤 ) 一 〇 九

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