繊維産地シーズ調査研究分析事業報告書
―― 産地活性化の萌芽(シーズ)を探る ――
平成 14 年度
シーズ(Seeds) …タネ、種子。 この報告書では産地に蓄積された開発、生産、販売面における 技術、ノウハウ、ナレッジ等の各種経営資源をいうはじめに
中小企業総合事業団繊維ファッション情報センターでは、情報調査事業において繊維ファッション 産業の活性化に資するための調査、分析、情報提供等を実施しております。 同事業は、平成 14 年度事業として①繊維製品に関する消費者行動分析調査②繊維産業グローバル 展開調査研究分析③繊維産地シーズ調査研究分析④全国繊維産地概況調査の各 4 テーマについて調 査研究を実施いたしました。 本報告書は上記 4 テーマのうち、「繊維産地シーズ調査研究分析」について、次のワーキンググルー プ(WG)を設置して検討し、結果をまとめたものです。 WG 委員名 所 属 役 職 〇平井 東幸 嘉悦大学 経営経済学部 教授 新保 善正 科学技術振興事業団・研究成果活用プラザ石川 科学コーディネーター 森 幸夫 (株)今治リソースセンター 専務取締役 小野 圭造 丸山 武勇 倉敷ファッションセンター(株) (株)大阪繊維リソースセンター 専務取締役 代表取締役常務 辻村信太郎 (株)浜松ファッション・コミュニティセンター 専務取締役 黒口 宜弘 角田 公雄 (株)繊維リソースいしかわ 国際ファッションセンター(株) 常務取締役 常務取締役 〇座長 わが国の繊維産地が中国等東南アジアからの低コスト製品の輸入増加等に伴い、国内繊維市場での 競争激化及び国際競争力の低下など厳しい状況下にある中で、各産地には優れた素材、加工技術を 有し、高付加価値商品の開発等に意欲的に取組んでいる企業・企業グループが存在しています。 本調査分析報告書は、各産地に存在する特徴ある産地シーズの状況を繊維リソースセンター6 社の 協力を得て調査したものです。産地を越えて連携し、シーズを利用することによる、新しい分野で の高付価値商品の開発及びその将来性と、新たなビジネスのためのネットワーク創りを推進する具 体的な方策を整理するとともに、今後の繊維産地のあり方を提言いたしました。 関係各位におかれましては、本報告書をご活用いただければ幸いに存じます。 平成 15 年 3 月―――目 次―――
Ⅰ. 本調査研究の目的と方法
1
1. 本調査研究の目的
2. 本調査研究の方法
Ⅱ. 現状認識と課題・方向性の提示
2
1. 現状認識と問題抽出
2. 課題・方向性の提示
Ⅲ. シーズを活用した産地間連携と輸出推進の事例
5
1. 技術シーズを活用した商品開発事例
2. 輸出推進マーケティング事例
3. 事例から学ぶべきポイント
Ⅳ. 主要産地における競争力回復の萌芽(産地シーズ)事例
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1. パターンA(ワタ・糸段階の開発)
2. パターンB(織物・編物段階の開発)
3. パターンC(染色・加工段階の開発)
4. パターンD(二次製品段階の開発)
5. パターンE(新しいマーケティング手法の開発)
6. 紹介シーズの問題点・課題
Ⅴ. 今後の新しい繊維産業への提言
12
1.事例から浮かび上がる新しいビジネスのあり方
2.国内外に発信できる高付加価値商品の開発・販売のための理念・要件
3.具体的ビジネスモデルの提唱
Ⅵ. 産地シーズ調査報告書
15
1. ㈱今治繊維リソースセンター 15 2. 倉敷ファッションセンター㈱ 24Ⅰ. 本調査研究の目的と方法
1. 本調査研究の目的
平成 13 年度、中小企業総合事業団・繊維ファッション情報センターは、産地活性化事業の一部と して、コラボレーションの実態とその可能性を調査研究した。今回はこれを更に推し進め、わが国 繊維産業の競争力回復・産地活性化という事業の推進力として具体的に何があるのか、具体的に企 業名・グループ名入りでそれを探った。プレ・リサーチ(予備調査)では、「産地シーズ」は確か に多く存在するものの、前記事業を推進するにはいささか力不足であることも判明した。従って本 報告書の目的は、これら「産地シーズ」の内容を明らかにする一方で、いかなる形に発展すればそ の役割を果たせるかについても提言することである。併せてシーズを活用しようと考えておられる 産地の企業・団体等がアプローチしやすいように、巻末に問い合わせ先名簿を添付した。本報告書 はこのように、関係者が具体的に行動を起こす際の手引き書としての色合いも濃くしたので、幅広 い活用を期待する。2. 本調査研究の方法
本報告書は、繊維リソースセンター連絡協議会メンバーである全国 6 法人、───(株)今治繊維 リソースセンター、倉敷ファッションセンター(株)、(株)大阪繊維リソースセンター、(株)浜 松ファッション・コミュニティセンター、(株)繊維リソースいしかわ、国際ファッションセンタ ー(株)のスタッフが調査員となって、それぞれの管轄エリア中心に各産地に赴き、「産地シーズ」 内容を詳らかに調査したものをベースに、WG メンバーや委託シンクタンク等関係者が分析・研究 を重ねて作成したものである。報告書に掲載した事例はたまたま 64 件だが、これらが産地におけ るシーズの全てでないことは言うまでもない。フィールド・サーベイ(聞き取り調査)過程でも、 更に深く広く「取組み」が進んでいるものの、取組当事者の都合により掲載できなかった事例は少 なくなかった。この点は、第Ⅲ章で紹介する「シーズを活用した産地間連携と輸出推進の事例」で も同様である。 住 所 代表取締役社長 〒794-0033 愛媛県今治市東門町5-14-3 〒711-8555 岡山県倉敷市児島駅前1-46 〒595-0025 大阪府泉大津市旭町22-45 〒432-8036 静岡県浜松市東伊場2-7-2 白尾 喜一 〒920-8203 鈴木 賢二 ㈱浜松ファッション・コミュニティセンター ㈱繊維リソースいしかわ 河合 正照 倉敷ファッションセンター㈱ ㈱大阪繊維リソースセンター 真銅 孝三 繊維リソースセンター連絡協議会メンバー 法 人 名 近藤 寛司 ㈱今治繊維リソースセンターⅡ. 現状認識と課題・方向性の提示
1. 現状認識と問題抽出
――始めに、わが国繊維産業の抱える問題点を以下抽出してみた。
・問題点は以下 3 点に集約される。 ①量的規模縮小に未だ歯止めがかかっていないこと。 ②産地集積が急速に崩壊しつつあること。 ③技術開発基盤も崩壊の危機に瀕していること。 ・問題点発生の主たる理由は以下の通りである。 ①輸入の急増と生産の海外シフト ②繊維製造企業の後継者難と従業員の高齢化 ③国内消費の長期低迷と低価格志向 ④各段階・分野の高コスト体質 ⑤国内流通業界の著しい変化 ⑥金融機関の信用機能低下 ・以上に関連して、最重要認識事項として以下 4 点を取り上げたい。 ①輸入の急増 ②国内生産の減少 ③輸出の低迷 ④世界貿易構造の変化 以下、その状況をもう少し詳しく考察する。 1)輸入の急増 ①85 年プラザ合意後の急激な円高を契機に産業構造の地殻的変動が惹起した。 ・85 年∼01 年の間、 輸 入 466 千トン→1,717 千トンへ 3.7 倍に増大。 国内生産 1,983 千トン→ 994 千トンへ 50.1%に減少。 輸 出 631 千トン→ 434 千トンへ 68.7%に減少。 輸入浸透率 25.6%(全繊維)、47.3%(綿製品) →75.4%(全繊維)、93.9%(綿製品)へ。 (出所:経済産業省「繊維需給表」) ②輸入急増下で海外生産にシフトする大きな流れと、国内生産で頑張る小さな流れに分かれる。 ・アジア近隣諸国からの輸入問題は、日本企業が設立した生産拠点からの輸入が多く占めるな③中国始めアジア近隣諸国の生産・物流基盤の整備と品質向上で日本と海外の格差縮小。内外の 棲み分けができたかに見えるのも束の間、たちまち追いつかれる状況が続いている。 3)輸出の低迷 ①わが国の繊維輸入対繊維輸出のアンバランスが極めて顕著である。 ・量的比較・・・ 1,717 : 434=4:1(千トン、2001 年) ・金額的比較・・ 24,624 : 7,296=3.4:1(百万ドル、2001 年) cf. 米国 80,122:22,122=3.5 対 1(百万ドル、2000 年) イタリア 14,539:25,753=1 対 1.8( ──同上── ) ドイツ 29,714:19,296=1.5 対 1( ──同上── ) フランス 18,487:12,513=1.5 対 1( ──同上── ) ②輸出の長期低迷には以下の理由が考えられる。 ・市場を海外に求めない業界体質 ・脆弱な価格競争力 ・輸出先国の高関税 ・ブランド発信力の欠如 ・輸出牽引車の欠如(かつては総合商社が牽引、主力商品が存在) 4)世界貿易構造の変化
①中国のWTO加盟とクオータの部分的撤廃(Agreement of Textile and Clothing) ・中国、世界の工場から世界の市場へ ・2005 年クオータの全面的撤廃で世界の貿易戦争、更に激化 ②FTA、地域経済統合の急進展
2. 課題・方向性の提示
1)わが国にチャンス到来との認識必要 ①当面、世界は価格戦争が激化しよう。 ②同時に、非価格競争力(品質、デザイン、ブランド、機能、QR等)が問われる時代へ移行し つつある。 2)わが国の強み・弱みの再点検 ①強み(主に非価格競争力) ・テキスタイル開発・加工技術力 ・原糸開発・加工技術力 ・品質・納期管理力・脆弱な情報・ブランド発信力 ・分断された製造工程と長い流通経路及び曖昧なリスク分担 ・商品企画・傾向の同時性・同質性 3)強みの強化と弱みの克服 ①強みの再認識と更なる強化 ・産地間の連携事例に学ぶ 第Ⅲ章で述べるように、産地間連携により、個々の小さな強み(特に川上・川中段階の開発・ 加工技術力)がより大きな強みとなる。 ・産地のシーズの発掘と連携への模索 第Ⅳ章で述べるように、産地に埋もれるシ−ズ(競争力回復の萌芽)を発掘し、産地間連携 に発展させることが必要。 ②弱みの克服(前記 2)−②に対応) ・複数企業による生産・物流面を中心とした共同化追求 ・産地ブランド、企業オリジナルブランドの構築 ・水平/垂直連携、グル−プ化の推進とSCM構築 ・自主企画、直販等の推進・強化 ・人材の育成 4)市場を世界に ───輸出志向の薦め ①輸出のメリット ・商品企画力の向上 ・海外市場傾向の把握 ・決済、デリバリー面でのメリット ・知名度のアップと効果の日本市場への逆輸入 ②輸出の問題点・課題 ・各種リスクの克服(為替、カントリーリスク等) ・販売ルートの設定(代理店、輸出商等)
Ⅲ. シーズを活用した産地間連携と輸出推進の事例
1. 技術シーズを活用した商品開発事例
繊維産地には第Ⅳ章で述べるように、生産・加工技術力───技術シーズを磨き、新素材・新製品 開発に挑戦する動きが少なくない。しかしこれらは特定の企業内・産地内の動きにとどまっている ケースが多い。ところが以下に紹介する事例は、企業・産地の枠を越えて連携の輪が広がっている。 わが国繊維産業の競争力回復と産地活性化の原動力になる可能性を秘めており、その動向が大いに 注目される。 1)(株)イトイテキスタイル(大阪) 同社は毛織物メーカーであるが、海外商品との競合や国内消費低迷等、環境の厳しい時こそ、勝 ち残りのチャンスと、商品開発意欲の旺盛な同社の糸井社長が海外商品との差別化を目指し、数 年前から和紙を原料とした糸・織物の開発に取り組み、海外でも少なからず関心を持たれるよう になった。和紙としての利点(吸水性、保温性の高さ等)はあるものの、更なる付加価値化を目 指し、折からの健康志向の流れから神戸女子大学木村教授との連携により、大部分が日本で採れ る「くま笹」の抗菌性、防臭性に目をつけ、これを和紙に漉き込み、糸、織物、ニット地の開発 に取りかかった。 生産連携先として和紙段階では製紙とスリットは愛媛の川之江の製紙企業に、撚糸は愛知県の撚 糸業者に依頼、製織は自社で、編立ては山形・東京の産地と、地元大阪産地以外の技術・特質を 生かし製品に仕上げている。現在、ハンカチ、スリッパ、靴下、タオル、シーツなどを製品化し て直接百貨店等へ販売をし、健康に適した差別化商品として市場に浸透しつつある。 平成 15 年初頭には、広く業界に呼びかけ「ササ和紙研究会」を立ち上げた。 産地・業種を問わない連携、或いは産地を越えた新しい連携が生まれようとしている。 2)新日本テックス(株)(石川)と木下織物工場(大阪) 新日本テックス㈱は麻で漉いた美濃和紙を 1mm 巾にカットした後、撚りを 300 回ほどかけて作 った糸「カミール」を開発した。この糸の特徴である「吸湿性」「高染色性」に目をつけたのが 大阪の小巾綿織物企業木下織物工場である。同社は和紙の適度のシャリ感とコシを生かしゆかた 用の織物への転用を考え、新日本テックスと連携を取りながら綿糸との併用により、染上げによ る縮みを克服し、ゆかたに適した糸番手の開発も行う等、和紙の特性を生かしたゆかた地を開発 した。 日本の独特の商品であるゆかたも中国を中心とする輸入生地・製品の急増で、これまでゆかた地 の白生地生産・販売を事業の柱としていた大阪小巾綿織物企業も大変な苦境に陥っている。しか し今回の連携で木下織物工場は、差別化商品としてゆかた製品まで手がけるなど、提案型企業へ 変身し消費者に更に一歩近づきたいと考えている。日本ならではの差別化商品として業界から大 いに注目を集めているが、今後の課題である価格面の合理化にも取組んでいる。3)ザ・京都グル−プ(京都) 一社一芸の加工技術力を持った企業が産地を越えてグループを結成し、差別化高付加価値商品を 開発している例である。刺繍、家具インテリア、染加工(いずれも京都)、製織(兵庫・京都)、 編(福島)、縫製(大阪)等、従来は下請的地位にあった企業が立ち上がった。産地シーズ事例 にある株式会社エミュラクサイ(京都)、京都起毛株式会社(京都)もこの商品開発グループを 構成する連携メンバーの一員である。京都府を主な拠点に活動するグループであり、ジャパンク リエーションにも常時出展するなど、注目度の高い商品開発を行っている。 中でも綿素材によるパーマネントプリーツ商品は、福島で綿の編み立てを行い、京都でプリーツ 加工、更に編地を解いてパーマネント状の糸を西脇(兵庫)で製織した後、大阪で縫製をし、ス カート、ブラウスなど多様なプリーツ製品に仕上げている。 また同じ京都府内ではあるが、異業種産地連携メンバーとして家具インテリアメーカーが参加し ている。同社は木を極薄にスライスし、更に 1mm から 2mm 巾の糸状にスリットする。織物メー カーがこれを布状とした後、短冊にカットし織上げをして、一味違った木目調に再現したものを 同社は、ベストなどの衣料向け以外にもカバンの材料として活用している。容易にマネの出来な い商品として評価も高く、シャネル(パリ)からのサンプル引合いがあり、輸出への期待も大き く膨らむ。
2. 輸出推進マーケティング事例
一方、産地企業が上述のシ−ズを活かして、輸出に取り組むケースも散見される。市場を海外に求 める動きは、守勢一辺倒に立たされているわが国繊維産業・産地に、新しい方向性と進路を示唆す るものとして注目に値する。以下はその事例紹介である。 1)佐藤繊維(株)(山形) 同社は 70 年近い社歴を持ち、羊毛の紡績からスタートした会社である。現在は糸だけでなく、 20 台の自社仕様の編機を使い、独創性のある編地づくりにも注力している。 糸はニット向け定番糸からファンシーヤーンの生産にシフトし、最近では綿糸や和紙糸を芯に、 ウール、わたを巻いた糸、または 4 回撚糸のウール糸により軽さ、保温性、柔らかさ、ファンシ ー性などの特性をもつ糸を開発し、同社の セールスポイントとしている。 二次製品にも力を入れ、2000 年より糸の特性を活かした商品を自社企画・自社ブランドとして立 ち上げ、ニューヨークの「FEMM 展」「コーテリー展」などに出展、現在米国の専門店との取引 も始まっている。商品としてはセーター、カーディガン、マフラー、帽子などを展開している。 自社の高度な紡績技術を駆使した糸を開発し、更にはそれを用い自社企画による二次製品まで手 がけ、日本で専門店等に販売すると共に米国向けを主とした輸出にも実績をあげている例である。2)(株)イトイテキスタイル(大阪) 前項でも取り上げた企業である。和紙を原材料とする織物、更には「くま笹」を漉き込んだ和紙 からの製品等で注目されているが、経営者の優れた開発能力によりいくつかの商品で輸出に実績 をあげている。日本よりむしろ欧米で知られている企業といっても良いだろう。 数年前、ウール、綿、シルク、ポリエステル使いの二重織(製造特許取得済)を「RV CLOTH」 と名づけ、リバーシブル服地を開発、これが同社の輸出商品の第一号となった。その後の開発例 として、「ECUME」(エクメ)というブランド名で輸出実績をあげているウォッシャブル・レー ヨンベルベットがある。同社独自のノウハウにより生機を生産、京都の加工場で仕上げている。 また「SILKY POWDER」(シルキーパウダー)の商標名で輸出しているのが、ウール織物にシル クプロテイン加工を施したもので、風合いが良く艶のある商品として好評である。 いずれもヨーロッパ、アメリカ、中国、韓国などのアパレルメーカーに対して輸出している。和 紙による織物でもジョルジオ・アルマーニ(伊)への輸出実績があり、他にポール・スチュアー ト(米)、バレンシアーガ(仏)など有名ブランド・メゾンからの評価も高い。特に 2002 年 9 月、 テキスタイル展としては最も権威のあるプルミエール・ビジョン展(仏)が初めて日本メーカー に門戸を開き、数少ない出展企業の一つとして選ばれ注目された。 経営者の飽くなき開発意欲と長年積み重ねられた技術シーズが、差別化高付加価値商品として実 を結び世界に認められた例である。 3)マウントフジトレ−ディング(山梨) 富士吉田産地のフナクボテキスタイル(船久保国義社長)など織物メーカー同業者 11 社が輸出 振興を目的にグループを結成、独特なマーケティング手法で実績をあげつつある例である。同産 地は撚糸、糸染、製織、仕上げと一貫体制が整っており、従来から繁忙期にスペースを融通しあ うなど企業間連携がよく、短納期をセールスポイントとし、この厳しい状況下で健闘している。 キュプラ/シルク、ポリエステル/レーヨン、ポリエステル/シルクなど長繊維複合先染織物の 婦人服地が得意である。同時にネクタイ生産でも有数の産地であるが、昨今の輸入急増で産地と して危機感をつのらせ、バック、ストールなどへの分野開拓を進めると共に輸出への関心も高ま ってきた。 そのような中で、服地、インテリア、服飾雑貨用途の織物メーカー11 社が輸出を目的とした「マ ウントフジトレーディング」を設立したのである。イタリアのプラトー市の有力インパナトーレ と共同でショールームを同市に開設し、まず婦人服地輸出に取組んでいる。 国内向け商品の輸出転用だけでなく、海外を意識した商品開発に注力している。 グループ連携・短納期体制を活かし、イタリア繊維産地を支えているインパナトーレを活用した 輸出マーケティング例である。
3. 事例から学ぶべきポイント
「商品開発事例」「輸出推進事例」に共通する点は、以下 4 点に集約できよう。 ①素材面や技術面で、個々の産地・企業の持つ伝統・強みといった無形の経営資産を活かした 開発であること。 ②他の産地・企業の伝統・強みを組み合わせ、補完し合って相乗効果を発揮していること。 ③「健康」「環境」といったコンセプトを多かれ少なかれ取り入れると共に、機能面での差別 化も打ち出していること。 ④日本でしか作れない商品に仕立てあげていること。Ⅳ. 主要産地における競争力回復の萌芽(産地シーズ)事例
以下に紹介する産地シーズ 64 事例は、詳細を巻末資料に添付したように、各地の繊維リソースセン ターの調査員が抽出した“国際競争力回復の萌芽”である。先に述べたように産地間連携にもってゆ くことが課題としてあるが、本章では 5 つのパタ−ンに分類してみた。 パターンA:ワタ・糸段階の新商品・新技術の開発 パターンB:織物・編物段階の新商品・新技術の開発 パターンC:染色・加工段階の新商品・新技術の開発 パターンD:二次製品段階の新商品・新技術の開発 パターンE:新しいマーケティング手法(展示会開催、ブランド構築、製品志向、販路開拓、小売 進出、各種コラボレーション、各種提携、共同会社設立等)の開発<合計 64 件>
1. パターンA(ワタ・糸段階の開発)
パターン 切り口 産地 案件名/展開アイテム 課題/今後の展開案など 大阪 1 A 健康 尾州 ・マイナスイオン 練り込み素材・服地、肌着、靴下等 ・グループ外部との連携による分野・販路開拓・品質表示の統一基準の作成や認定マークの設定必要 大阪 7 A,(B) 健康、環境 泉州 ・笹和紙の糸・織物・ハンカチ、スカーフ、靴下等 ・更なる品質改良、商品開発・他社・他業種とのコラボ による生産・販売体制組織化 石川 9 A 環境(糸加工) 石川 ・改良した生分解性繊維・衣料用生地 ・ニッチ 市場、ボディタオル、土木分野等用途拡大・衣料から非衣料へ、アジアが真似の出来ない素材を 石川 10 A 環境(製糸技術) 石川 ・生分解性プラスティック繊維 ・ニーズに最適な素材開発研究を重ね本格的実用化へ 石川 11 A,(E) 製糸技術 石川 ・特殊加工糸開発とQD・カーテン類 ・難燃無漂白、防菌、防臭等ニーズ に対応した原糸開発 石川 13 A,(B) 特殊糸開発 福井 ・炭素繊維強化複合材料・開繊糸、開繊織物等 ・航空機・自動車関連への展開・コンソーシアム結成して、新分野開拓 石川 14 A,(D) 環境(特殊糸開発) 福井 ・越前和紙使用の糸、織編物・靴下、腹巻き、生理用品 ・蚊帳、子供用肌着等の商品化・工程のコストダウンを図りたい 浜松 1 A 環境 三河 ・生分解性繊維・産業資材 ・生分解性プラスチックの物性制御の研究・コスト削減面での行政支援 浜松 2 A 撚糸技術 浜松 ・RT撚糸技術の開発・超高級シルク 靴下等 ・複合糸など新しい糸作り・準備・整理工程における技術の発掘・活用 報告者№ パターンA(ワタ・糸段階の開発)…9件2.パターンB(織物・編物段階の開発)
パターン 切り口 産地 案件名/展開アイテム 課題/今後の展開案など 倉敷 5 B 特殊織物 岡山 ・4軸織機、4軸織物・産業資材、スポーツ等 ・特殊分野、一般分野での商品開発・機能性・快適性高め広く二次製品での用途開発 大阪 3 B 糸差別化 泉州 ・ペーパーヤーン織物・大手アパレルのベターゾーンへの提案 ・商品展開(冬用素材) 大阪 11 B 織布技術 泉州 ・高密度・二重織り等・婦人服地等 ・浜松との連携で染色加工上がり生地まで手掛けたい 大阪 12 B 織布技術 泉州 ・織物製スクリーン ブラインド 等 ・健康シ−ツ、枕、床ずれ防止マット等展開分野開拓 大阪 13 B 素材差別化 泉州 ・和紙繊維入り浴衣地 ・衣類以外にバッグ、小物、寝装品にも展開したい。・シーズのDB化や権利保護・対価の在り方を検討したい。 浜松 3 B 織布技術 浜松 ・カラミふっくら織り等・タオル、綿織物等 ・特殊でユニークな技術との出会いの場づくり 浜松 4 B 織布技術 浜松 ・パナマコール・コーデュロイ ・安定した技術を持つ染色加工業者との取組・川崎市「ものづくり共和国」とのコラボによるPR 浜松 5 B 織布技術 尾州 ・ハイブリッド構造織物 ・他の織物業者への相談・指導 報告者№3. パターンC(染色・加工段階の開発)
パターン 切り口 産地 案件名/展開アイテム 課題/今後の展開案など 今治 1 C 健康 今治 ・抗菌性綿織物・タオル類 ・寝具、ベビー用品、肌着への用途拡大・介護、医療分野での商品開発で6RCの情報交換を 今治 2 C 糸加工 今治 ・形態安定化処理・靴下、タオル類 ・特殊糸を使ったタオル製品やアパレル等への展開・椅子張り、カーシート、リハビリ衣料品への展開 今治 3 C 健康 今治 ・樫備長炭プリント加工・タオル類 ・Tシャツ等の縫製品へのプリント加工・6RCでの広報活動の場設定 今治 4 C 健康 今治 ・いやし波動タオル・タオル類 ・タオル以外の分野での展開・蛍光増白剤を使わない工場との共同開発 今治 5 C プリント技術 今治 ・再現性よいカラー模様・タオル類 ・パイルを持つ織物、ニットへの活用・6RCでの展示会開催等 倉敷 2 C システム(ハード) 岡山 ・織物検反システム・各種織物 ・まず、地域織物メーカーに普及・学会、展示会等を通じて認知度高揚・全国展開 倉敷 3 C 機能アップ(環境) 岡山 ・ノンハロゲン系による難燃化・各種産業繊維資材 ・シリコン系、ホウ素系のを用いた難燃剤の開発 倉敷 4 C 染色加工(織物差別化) 岡山 ・インジゴ染料による染色・Tシャツ、スボン等 ・合繊を含めた各種複合繊維への染色が可能となった・染色加工領域の拡大 大阪 4 C 織物後加工 泉州 ・曇り止め加工等・タオル、衣料用生地等 ・需要開拓、新商品開発・用途開発 大阪 5 C 織物後加工 京都 ・バースト加工 ・起毛素材、婦人服地等 ・受託加工だけでなく、製品化・直接販売に挑戦 ・「ザ・京都」始め企業グループ通じて製品提案 大阪 6 C 刺繍技術 京都 ・伸縮可能な刺繍技術等 ・地方の刺繍業者等との連携で商品開発推進・刺繍による付加価値を認めてくれる顧客の開拓 大阪 9 C 環境、健康 京都 ・生分解性高機能素材・衣料品 ・住宅資材、農業資材等への展開・医療用素材の開発 大阪 10 C,(E) 生産技術(短納期対応) 大阪 ・短納期・小ロット プリント加工・ハンカチ、衣料、インテリア 等 ・賃加工にとどまらず、半製品や生地売りに挑戦・別注製品受注に積極取組 石川 2 C 健康 富山 ・シルクアミノ酸加工・婦人インナー素材等 ・ストッキング、フィットネスユニフォーム、介護衣料等への展開 石川 4 C 健康 富山 ・竹炭等のマイクロカプセル加工・靴下、パンスト等 ・一般肌着、介護用品、資材用品への拡大 石川 12 C 染色加工(差別化) 石川 ・手作り風の染色加工・衣料、寝装、インテリア ・無地、プリントの従来テキスタイルのビンテージ繊意化・更なる機能アップと本格販売へ 浜松 6 C 健康 浜松 ・緑茶カテキンの固定化法・ハンカチ、ひざかけ等 ・フィックス法は、ワーキング、ユニフォーム、ファッション等への展開・架橋法は低コスト・安全性を更に研究 浜松 7 C リサイクル 三河 ・不織布活性化炭シート・壁材 ・全日本リサイクル 工業協同組合等を通じ事業化予定 浜松 8 C 染色加工 浜松 ・絞り塩縮加工・天然繊維の織物 ・リスク負担を含めて、ウール等への展開・プロジェクト・リーダーの育成等RCとして支援研究 浜松 9 C 染色加工(デザイン) 浜松 ・絵柄自由のウォッシュアウト・衣料用生地 ・他産地とのコラボ 拡大し、ALL JAPANに持っていたい 浜松 10 C 染色加工(デザイン) 浜松 ・完全耐久性皺加工・衣料用生地 ・技術そのものの根幹には触れないで欲しい 国際 2 C 染色加工(織物) 桐生 ・シルク を用いた加工・各種糸、織物 ・量産を考えるなら「けば」の輸入必要・医療関連商品にも用途展開研究 報告者№ パターンC(染色加工段階の開発)…22件4. パターンD(二次製品段階の開発)
パターン 切り口 産地 案件名/展開アイテム 課題/今後の展開案など 大阪 8 D 健康 大阪 ・健康研究会・Tシャツ、介護製品 ・消費者ニーズの更なる吸い上げ、商品開発・衣料品以外の企業とのコラボによる販売戦略構築 石川 1 D 機能アップ(軽量化等) 石川 ・炭素繊維による小型電力貯蔵装置 ・更なる試作・実験を経て、用途拡大・全国販売へ 石川 3 D 健康 石川 ・脱臭力強い和紙炭 ・インテリア用品、空気清浄フィルター等用途開発 石川 6 D 環境 石川 ・生分解性繊維の椅子張・各種インテリア製品 ・プロジェクトチーム による本格的な商品開発・張り替え可能なデザインを設計し、需要喚起 石川 8 D 環境 石川 ・生分解性繊維の資材・網、植上ネット 等々 ・公設試験機関との連携強化で効率的な技術開発等・ニーズに最適な素材・製品提案 D,(E) 健康 ・ほつれ難いサポーター等 ・異業種交流で商品開発促進を 報告者№5. パターンE(新しいマーケティング手法の開発)
パターン 切り口 産地 案件名/展開アイテム 課題/今後の展開案など 今治 6 E デザイン 今治 ・デザイナー クラブいまばり・タオル等 ・6RCがコーディネーターとなってデザイナー交流・研修 今治 7 E 生産技術 今治 ・インクジェットでの小ロット対応・タオル、小物、別珍等 ・6RCが素材販売等で仲介役のシステムを・他産地からのプリント柄試作受注 今治 8 E 織布技術 今治 ・6人コラボ による輸出・アパレル、インテリア用生地 ・共同出資会社や展示会出展への行政援助・RCによるグループ化促進 倉敷 1 E 用途開発 岡山 ・綿帆布の用途開発・かばん類、ジーンズ ・広く生活関連二次製品への展開・そのための継続的企画力、ブランド戦略構築必要 倉敷 6 E デザイン 岡山 ・デザイン画を元に商品開発・各種アパレル製品 ・デザイン画、素材、縫製等の情報をデジタル化し、活用の場を広げる仕組みを研究 倉敷 7 E 健康 岡山 ・機能性重視の介護衣料・日被連国産エコマークの推進も ・各産地との交流で必要生地(情報)の収集・調達 大阪 2 E デザイン 京都 ・デザインのデジタルベース 化等 ・生地、アパレル、水着等 ・「和」のデザインをアパレルの「洋」向けに展開 ・データのアレンジ、デジタル化を更に進める 石川 5 E マーケティング (五泉)新潟 ・産地直営の小売店・各種横編みニット製品 ・産地企業の輸出入のお手伝い・素材訴求を含めて更なる差別化・高級化 石川 7 E マーケティング (見附)新潟 ・産地企業の販売会社・レディスニット製品 ・多品種・小ロット・短サイクルシステム構築・素材訴求により差別化、産地ブランド、直営店展開へ 浜松 11 E 輸出 浜松 ・対中国ビジネスチーム ・生地から製品まで展開計画。メンバーの主体的取組カギ・HMC,情報交流等で支援。 国際 8 E 販売手法 富士吉田・ネット通販・各種オーガニックコットン製品等 ・石鹸等用途拡大・異業種連携で産地商品のの発信の仕掛け準備中 国際 11 E,(A) 輸出(糸差別化) 山形 ・独特のニット糸開発。ニット製品は輸出取組 ・ローテクの見直しと、よりオリジナリティある糸、製品開発・前売りに一層注力し収益の向上を 報告者№ パターンE(新しいマーケティング手法の開発)…12件6. 紹介シーズの問題点・課題
1)産地間連携の不足・欠如 既に述べたように、紹介した 64 事例は総じて特定の企業内、或いは産地内活動にとどまってお り、産地を跨がった動きに至っていない。その理由として以下の事項が考えられる。 ①出来れば広げたいと思っているが、その方法がよく分からない。 ②特定の企業内で自己完結的にやれるので、外部に頼ることがあるとすれば、せいぜい拡販のた めの協力程度のものである。 ③特定のグループ内で活動しており、外に広げることはグループ設立の趣旨に反したり、メンバ ーが多くなりすぎて当初の狙いや効果が減少することを危惧する。 2)技術レベルや効果の更なる検証・実証が必要 ①技術的観点からの考評 各シーズは技術的な観点から一層の工夫の余地はないか、或いは類似案件・先行事例がないか 等々、シーズの事業化拡大に向かって、調査や検証が必要と思われる。本プロジェクトのワー キンググループの委員である新保善正氏のコメントを該当調査報告書に添付した。 ②品質表示の基準統一等 「健康」を切り口にしたシーズが多いが、例えばマイナスイオンの効果をうたった商品の品質 表示の統一基準や認定マークの設定が必要との意見も提示された。今後の課題として検討した3)コストアップと資金不足 シーズ開発を更に進め、事業を軌道に乗せるネックとしてコストアップや資金不足を訴える案件 も少なくない。対応策を次章で考察したい。
Ⅴ. 今後の新しい繊維産業への提言
1. 事例から浮かび上がる新しいビジネスのあり方
1)点から線へ、線から面へ これからのわが国繊維産業の方向性の第 1 は、非価格競争力強化を通じて、世界の中で一定のシ ェアと存在感を堅持・拡大することであろう。その原動力は本報告書に取り上げた幾つかのシー ズに見い出せるが、多くが特定の企業内・産地内に埋もれており大きな広がりを持たない。これ ら経営資源、即ち開発・生産・販売等における技術、ノウハウ、ナレッジを企業外・産地外に広 げ、産地間連携にもって行けば、事業が点から線に、線から面に発展しよう。連携の輪が広がれ ば、シーズ自体の深耕とより大きな経済効果が期待できると同時に、わが国繊維産業の競争力回 復と産地活性化が現実のものとなる。 2)自主性の涵養・強化 自主性とは、例えば自主企画の推進、オリジナルブランドの構築、直販等新しい販路の開拓を指 す。事例から浮かび上がる新しいビジネスのあり方の第 2 は、紛れもなく商品企画、製法、マー ケティング等の面で個々の企業の自主性・独自色を涵養・強化することであろう。大量生産・大 量消費を背景に大企業の傘の下での下請生産というこれまでの産業構造が崩壊し、グローバル化 の加速、デフレ経済進行と相まって先行きが極めて不透明なビジネス環境が続く今ほど、個々の 企業の独自性、自主性が求められる時期はない。 3)輸出の推進 連携の輪を広げ自主性を強化することが、競争力回復と産地活性化につながると述べたが、今後 ますます激化する世界の繊維貿易戦争で、わが国が勝ち残るにはこれだけでは十分とはいえない。 重要なことは、世界市場で日本の潜在力や競争力を検証し、開花させ強化することである。中国 のWTO加盟、クオータ撤廃、地域経済統合の進展といった地殻変動が起こり、価格競争の激化 はもとより非価格競争も広がりつつある今こそ、わが国の出番到来・チャンス到来である。輸出 を通じて市場を世界に広げる戦略は、これからのわが国の第 3 の方向性でありビジネスのあり方1)情報公開・発信 シーズを産地間連携に持っていくためには、まずなによりもシーズの内容、開発者名、展開商品 等を他の企業・産地に知って貰わねばならない。当該企業・グループのサイト立ち上げ、産地組 合やリソースセンターのホームペ−ジ・機関紙活用は言うに及ばず、業界紙にアピ−ルする努力 も欠かせない。 2)交流・連携の促進 シーズを広げるには、開発者自ら積極的に他企業・他産地と交流・連携を進めることが大前提と なる。産地間連携、産学官連携、海外との交流・連携等様々な形態があるが、開発者企業・グル ープ単独でこれを進めるのは難しい面もあり、リソースセンターや産地組合、その他公的機関の 助言・支援が望まれる。 3)企画・開発の深耕 シーズの技術水準を引き上げ、用途開発・多品目展開を推進するには、上述の通り他産地企業や 大学、技術・試験研究所等の公設機関との連携を進めることが肝要である。 4)新しいマーケティングの展開 シーズをより大きなビジネスに育て上げるには、以下のマーケティング展開にチャレンジしてみ たい。 ①展示会、商談会、マッチング斡旋会、商品コンテスト等への積極的参加 ②有力小売業とのタイアップ ③産地ブランド戦略の構築 ④キャンペーン展開(業種組合連合会が展開する全国キャンペーンに乗る等) ⑤消費者への直販 5)公的機関や行政の支援について シーズの拡大や事業化は民間の自助努力が大前提だが、コストアップや資金不足に悩む有望プロ ジェクトやモデルケースの円滑な推進に、6 リソースセンターによる支援や行政の資金的補助が 極めて有効な場合もある。
3. 具体的ビジネスモデルの提唱
以上の方策を具体的に推進するのはシーズ開発者自身だが、個々の企業が上述の連携・交流を推進 するのに必要な知識や、マーケティングを実践するノウハウを充分持ち合わせているとは限らない。 各地のリソースセンターや組合等の公的機関がこれを助言・支援することが望まれるが、更に一歩 踏み込んでモデルケースを作り、産地間連携に依る商品開発や輸出を試験的に進めてみてはいかが であろうか。1)モデルケースの設定 モデルケースを以下の 2 分野で作ってみてはどうか。 ①商品企画開発(技術シーズ)での連携モデルケース(2∼3 件) ②輸出対応での連携モデルケース(1∼2 件) 2)モデルケースの展開条件 モデルケースは原則として本報告書で取り上げた 64 シーズから選別・設定するが、その展開に 当たっては以下の条件を備えたい。 ①産地間連携の実現 連携を組むメンバーは当然、産地を跨がった企業(または学・官)であること。 ②原料から製品まで 分野は原料から製品まで、一気通貫的・垂直連携の形が望ましい。 ③発表会・展示会等の開催 出来た製品は、より多くのパ−トナー募集や販売を目的に、発表会・展示会等の場で公表・P Rすること。 ④独自ブランドの構築 先述の各種マーケティングの中でも、特に連携グル−プの独自ブランド構築を試みたい。 ⑤6 リソースセンターや行政の協力・支援 本モデルケースの推進、とりわけ初期段階において 6 リソースセンターが企画開発面やマ−ケ ティング面で協力するとともに、行政の資金的支援の導入を積極的に働きかけるよう要望した い。 3)将来展望 ───終わりに 既に述べた通り、産地間連携がわが国繊維産業の競争力回復と産地活性化の起爆剤になることが 期待されるわけだが、この目的をより効率的に達成する一つの手法として、例えば関係パートナ ーによる共同出資会社の設立がある。但し、これは飽くまで一つの選択肢に過ぎず、連携メンバ ーによるグループ活動のままであっても一向に差し支えない。 要はこうした取組みの推進が、これまでのように中国を中心とするアジア近隣諸国の商品と棲み 分けるだけでなく、繊維先進国である欧米品と棲み分けるための有力な方策となること、そして 世界の繊維産業の中で、わが国が一定の量的規模と存在感を堅持・拡大できる確かな手段になる ことを確信してやまない。
Ⅵ. 産地シーズ調査報告書
1. (株)今治繊維リソースセンター
報告者 № パターン 切り口 案件名/展開アイテム 課題/今後の展開案など 今治RC 1 C 健康 ・抗菌性綿織物 ・タオル類 ・寝具、ベビー用品、肌着への用途拡大 ・介護、医療分野での商品開発で6RCの情報交換を 2 C 糸加工 ・形態安定化処理 ・靴下、タオル類 ・特殊糸を使ったタオル製品やアパレル等への展開 ・椅子張り、カーシート、リハビリ衣料品への展開 3 C 健康 ・樫備長炭プリント加工 ・タオル類 ・Tシャツ等の縫製品へのプリント加工 ・6RCでの広報活動の場設定 4 C 健康 ・いやし波動タオル ・タオル類 ・タオル以外の分野での展開 ・蛍光増白剤を使わない工場との共同開発 5 C プリント技術 ・再現性よいカラー模様 ・タオル類 ・パイルを持つ織物、ニットへの活用 ・6RCでの展示会開催等 6 E デザイン ・デザイナー クラブいまばり ・タオル等 ・6RCがコーディネーターとなってデザイナー交流・研修 7 E 生産技術 ・インクジェットでの小ロット対応 ・タオル、小物、別珍等 ・6RCが素材販売等で仲介役のシステムを ・他産地からのプリント柄試作受注 8 E 織布技術 ・6人コラボ による輸出 ・アパレル、インテリア用生地 ・共同出資会社や展示会出展への行政援助 ・RCによるグループ化促進(今治1)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:今治産地の(株)ヒサオー ②パターン : C 型(染色・加工段階の開発) ③シーズの内容 :天然性抗菌剤を用い抗菌性綿織物及び綿織物の抗菌加工方法の開発 ④シーズの活用者:同上 ⑤展開商品と取組内容: 今治産地の(株)ヒサオーは、平成 8 年に皮膚障害や環境汚染の全くない天然抗菌剤を使用して、 綿織物の長期に亘る抗菌性の持続を可能にする加工技術を開発した。同社は、今治産地の特産品 であるミカンの果皮に含まれるD-リモネンという抗菌成分に着目。愛媛県青果農業協同組合連合 会の協力を得て、色素や不純物を取り除いた無色透明のオレンジオイルWHE を入手し、それを 多孔性マイクロカプセルの中にとじこめ、少しずつ発散させる「オレンジオイル 800-RO」を作 り、カプセルの回りを樹脂で包み、タオルに付着しやすい方法を開発した。 抗菌効果等については、96 年全国繊維好評技術協会の「技術振興賞」を受賞するなど高い評価 を得ている。 また、愛媛県繊維産業試験場との共同研究により抗菌防臭加工のタオル製品「愛のよかん」の 商品化に成功し、産地の特色を生かした商品開発が話題を呼び、地元周辺での土産物店や松山空 港売店などで販売されている。 ⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む) (1) 天然抗菌剤を活用したバスタオル、フェイスタオルなどの水回り品のみでなく、タオルシ ーツ、介助マット、パジャマ、ワンタッチローブ、マクラカバーなど介護、医療分野とか、 ベビー用品、肌着などの商品開発も考えられる。 (2) その際には、タオル生地以外の素材を活用することも求められるため、6 リソースセンタ ーにおける介護、医療分野などの商品開発に関する情報交換をすることは有益ではない か。 報告者名:木村忠司 所属: (株)今治繊維リソースセンター 報告月日 14 年 10 月 15 日(今治2)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:今治産地の大和染工(株) ②パターン : C 型(染色・加工段階の開発) ③シーズの内容 :特殊糸の形態安定化処理とその特殊糸を用いた繊維製品の開発 ④シーズの活用者:今治産地のタオル製造業者他 ⑤展開商品と取組内容: 綿やレーヨン等のセルロース系繊維と水溶性ビニロン等とを複合紡糸し、生地にした後、水溶性ビニロ ン等を溶かしさることにより得られる中空糸などの特殊糸の場合、精錬・染色加工中に、中空部分形成用の 水溶性ビニロン等を溶解除去するため、その段階で、中空部分が潰れて繊維の腰が損なわれ、せっかくの特 性が、最終製品に至るまでに十分に維持できないという問題がある。 また、これらの崇高糸は、繰り返し洗濯に弱く、数回の洗濯でその特性が大きく失われるという問題も あった。 そのため、今治産地の大和染工(株)は、セルロース系の中空糸を染色前段階でチーズ状の糸に対して熱加 工することで、崇高性や柔軟性、速乾性といった特性が長期にわたってそこなわれることのない、優れた特 殊糸の形態安定化処理方法を開発した。現在、靴下を中心にタオルやサマーセーター用の特殊糸の形態安定 化処理を提供している。 ⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む) (1) タスラン(長繊維(フィラメント)の束に強く空気を吹き付け、各繊維に小さなループを作る)糸 に形態安定化処理をすることで、ボリューム感が長期にわたって損なわれない特殊糸を提案してお り、この特殊糸を使ったタオル製品やアパレル、雑貨などの商品開発を研究中である。 (2) また、マイナスイオンが発生する薬剤を使った染色整理加工技術を活用して、椅子に張る布やカー シートへの加工、壁紙の接着剤に応用することによりホルムアルデヒドを除去する加工、老人向け リハビリ用の衣料品への加工などを研究しており、タオル製品以外の新分野進出にも積極的に取組 んでいる。 ⑦備考 綿加工で完全防縮は不可能と言われてきたが、近年木材の加工法を利用する過熱蒸気超高圧法での防縮 法がある。 報告者名:木村忠司 所属: (株)今治繊維リソースセンター 報告月日 14 年 10 月 15 日(今治3)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:今治産地の(株)国分繊維工業 ②パターン : C 型(染色・加工段階の開発) ③シーズの内容 :樫備長炭プリント加工の開発 ④シーズの活用者:同上 ⑤展開商品と取組内容: (株)国分繊維工業は 2002 年、樫備長炭を使った顔料プリント「樫備長炭加工」の開発に成功し た。消臭効果、抗菌防臭効果、遠赤外線効果、マイナスイオンによるリラックス効果などに特徴 があり、耐洗濯性も問題ない。備長炭練りこみの糸などに比べてコストが安くなることも特徴の 一つだ。 マイナスイオン効果などを訴求する備長炭使いの商品が注目されているが、練りこみの糸など では価格が高くなる。「その問題を解決するため、染めの段階などでできないか」と模索したのが 開発のスタート。開発当初は、染め段階で備長炭の効果を付与する方向で進めたが、ムラになる などの問題が生じたため、顔料プリントでの開発を進めることとした。備長炭の粒子と顔料のカ ラーの粒子とでは大きさが大きく違うということから、洗えばすぐに落ちてしまうなどの問題に も様々な工夫により克服し、樫備長炭プリント加工によるバスタオル、フェイスタオルなどの商 品化に成功した。 ⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む) (1) 現在、炭を素材とした商品はシャンプー・石鹸から食べ物に至るまで多数商品化がされて いる。カラーはグレーのみでなく多色対応も可能であり、タオル製品の樫備長炭プリント 加工以外にも、T シャツなどの縫製品へのプリント加工も考えられる。 (2) (株)国分繊維工業は、ピースでのプリント加工であれば他産地からの委託加工を受けたい とも考えており、6 リソースセンターにおける広報活動の場があれば、積極的な利用を希 望している。 報告者名:木村忠司 所属: (株)今治繊維リソースセンター 報告月日 14 年 10 月 15 日(今治4)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:今治産地の宇野タオル(株) ②パターン : C 型(染色・加工段階の開発) ③シーズの内容 :調和のとれた良い水に波動水を使った加工方法による「いやしの波動タオル」を 開発 ④シーズの活用者:同上 ⑤展開商品と取組内容: 今治産地の宇野タオル(株)は、人と自然にやさしい「いやしの波動タオル」を開発し、タオル生地を使っ た各種製品の製造販売を行っている。 波動タオルとは、タオルの生産工程において一切の蛍光増白剤を使わない無蛍光で安全なものとし、仕 上げ加工においては、柔軟剤を使用していない水を霧状に強く吹き付け、時間をかけて糸の中の糊を抜く 「ミスト加工」という特殊加工を施している。また、最終段階の水洗いの際に、特殊セラミックや形態波 動入りのプレートを入れ、調和の取れた良い水にして、その中に「いやしの波動水」を入れることで、吸 水性の良い、優しい肌触りの「いやしの波動タオル」が開発された。生活者の評価としては、使い心地が 良く、特に赤ちゃんやアトピー性皮膚炎など、お肌の弱い方々に喜ばれている。 現在、糸加工の段階でも波動水加工を実施することで、更に効果がアップしている。 ⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む) 宇野タオル(株)は、タオル製品以外の織物などの加工においても波動水を使った加工を行うことで、自然 に調和した良い物が市場に広がることを期待しており、同社と同じ考えを共有し、生産工程において一切 の蛍光増白剤を使わないことのできる工場を保有する企業との共同開発(波動水加工の繊維製品)を希望 している。 ⑦備考 波動という言葉が先走りして波動処理の理論は完全解明はなされていない。 金属イオンが出ることで水質は変化するがこれが良い水かどうかは判定できる装置は現在は無い。 報告者名:木村忠司 所属: (株)今治繊維リソースセンター 報告月日 14 年 10 月 15 日(今治5)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:今治産地の(株)河上工芸所 ②パターン : C 型(染色・加工段階の開発) ③シーズの内容 :パイルを有するタオルに捺染手段によりカラー模様を形成する加工方法 ④シーズの活用者:近藤繊維工業(株)、花椿テリー(株)ほか ⑤展開商品と取組内容: 今治産地の(株)河上工芸所は、パイルを有するタオルに特色インクを用い、かつ、網掛けによ り濃淡をつける捺染手段によって、再現性の良いカラー模様を形成する加工方法を開発した。 例えば、赤色、青色、黄色、それぞれのドットのインクを混在させ、各々の割合を制御するこ とで紫色系を表現しようとした場合、インクのドットはパイルによって正確に目的位置に付き難 く、柄ズレが起きる。したがって、どうしても、ぼけた感じの表現になり再現性が悪い。 そのため、パイルを有るタオルにカラー模様を形成しようとした場合、原画像をカラースキャ ナによって特色分解し、この特色分解により得た色に対応する特色インクを用い、かつ、網掛け により濃淡をつけることによって色が綺麗いで再現性の良いカラー模様を形成することが可能と なった。 ⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む) インクジェット方式に勝るとも劣らない再現性の良いカラー模様で、且つ大量生産可能な捺染 加工方法であり、パイルを有する織物やニット製品など凹凸の有る生地に捺染する手段として活 用できると考える。このシーズの幅広い活用を図るには再現性の良さを他産地にPRする必要が あり、6 リソースセンターにおける展示会等を利用した広報手段を検討してはどうか。 ⑦備考 取り組み内容で、特色インキは特殊インキにされたらどうですか。 特色分解は色分解にされたらどうですか。 報告者名:木村忠司 所属: (株)今治繊維リソースセンター 報告月日 14 年 10 月 15 日(今治6)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:デザイナーズクラブいまばり ②パターン : E 型(新しいマーケティング手法の開発) ③シーズの内容 :今治産地のデザイン関連企業グループによる情報交換と産地間交流 ④シーズの活用者:今治産地のタオル製造業者 ⑤展開商品と取組内容: 今治産地の紋匠デザイン協同組合のメンバーを中心に、デザイナーとデザイン関連企業31 人 が集まり97 年 4 月に任意グループの「デザイナーズクラブいまばり」を発足させた。活動目的 は、若手デザイナーの養成とレベルアップを図るとともに、関連企業などとの交流を進め、広く 情報交換を行い、また他産地のデザイナーとの交流により産地の活性化を図っていくことを目的 としている。 同クラブは、業界団体が進めている産地オリジナル商品の開発及び各種催しへの協力並びに今 治市が進めているファッションタウン構想によるマップの制作などの様々な事業に参加するほ か、独自の商品開発や京都のデザイナーとの「京都&いまばりジョイントタオル展」を開催する など、活発な取り組みを行っている。 ⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む) 産地間のデザイナーの交流によりレベルアップを図ることは重要であると考えており、6 リソ ースセンターがデザイナー等の産地間交流並びにデザイン研修等を進めていくためのコーディ ネート役になることを検討してはどうか。 報告者名:木村忠司 所属: (株)今治繊維リソースセンター 報告月日 14 年 10 月 15 日(今治7)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:新居田物産(株) ②パターン :E 型(新しいマーケティング手法の開発) ③シーズの内容 :インクジェットプリント機 4 台を使った小ロットの受注対応 ④シーズの活用者:新居田物産(株)及び産地内の製織メーカー ⑤展開商品と取組内容: 今治産地の新居田物産(株)は、通常はサンプル作りに使われるインクジェットプリント機を 4 台導入し、美術館や駅、ペットショップ等の売店で販売する各種多様なプリント柄のタオルハン カチを小ロット対応で生産販売しており、その販路は徐々に拡大している。また、一般消費者向 けにも、あなたの選んだ写真を印刷してオリジナルタオルを作る「フォトプリントタオル」をホ ームページなどで提案している。 更には、商品開発する際に、プリント企画の場合だとプリントの型代などの開発コストが高く なることや、プレゼンテーションにも日数を要するため、今治産地の他社からプリント企画の試 作品作りの依頼も受けている。 商品開発においては、プリント柄のタオルハンカチだけでなく、プリント柄によるバックなど の小物類の開発も手がけており、素材もタオル生地だけでなく、別珍コールテンや絹織物を使っ た商品開発を行っている。 ⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む) (1) タオル生地以外の素材(織物やニット生地)を使って商品開発する際に、小ロットで仕入 れることが難しいのが現状である。そのため、6 リソースセンターが素材販売の仲介役を するシステムの検討を希望する。 (2) また、綿や絹、麻などの反物素材であれば、他産地からプリント柄の試作開発の依頼を受 けることも可能である。 報告者名:木村忠司 所属: (株)今治繊維リソースセンター 報告月日 14 年 10 月 15 日(今治8)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:今治産地のテキスタイルデザイナー(織師)の上脇大智、吉原史朗、染師の山本 敏明、竹田圭吾、エンジニアの問谷清、紋匠の諏訪文久の6 人 ②パターン :E 型(新しいマーケティング手法の開発) ③シーズの内容 :6 人のクリエーターのコラボレーションによる海外市場の開拓 ④シーズの活用者:同上 ⑤展開商品と取組内容: 今治タオル産地の製織メーカーである(株)上脇の代表者上脇大智がプロジェクトリーダーとな り、今治産地の製織2 社、染色 2 社、紋匠デザイン 1 社、機械 1 社の気の合う仲間が共同出資を して(有)菱花を設立した。 同社は、「手業」つまり「技能職の“技”そのもの」が、わが国の重要な輸出品になっていくこ とを目指しており、2004 年の独・フランクフルトで開催されるハイムテキスタイル展に出展する 計画だ。 そのため、先ずは平成12 年からジャパン・クリエーションに出展し、優れたジャカード織技術 のレベルアップを図ってきたが、14 年はハイムテキスタイル・ジャパンに出展し、2004 年のハ イムテキスタイル展への効果的な出展のための準備が着々と進んでいる。 提案していく商品としては、ジャカード織でそれも多重織ガーゼ織物の技術を生かした、アパ レル・インテリア用生地を開発している。 ⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む) (1) 今治産地の機能を存続させるためには、製織、染色整理加工などの関連企業のグループ 化・協業化が求められているが、合併などの形態は当面難しい問題があるので、株式の持 ち合いや共同出資による新たな会社の設立という形態でのグループ化等が現実的ではな いかと考えている。そのため、共同出資会社設立や商品開発並びに展示会等へ出展する際 の資金援助を行政が支援できるようなシステムを検討することができないか。 (2) リソースセンターが実施する、集積活性化事業の新商品開発を活用して、グループ化の促 進策を検討したい。 報告者名:木村忠司 所属: (株)今治繊維リソースセンター 報告月日 14 年 10 月 15 日2. 倉敷ファッションセンター(株)
報告者 № パターン 切り口 案件名/展開アイテム 課題/今後の展開案など 倉敷FC 1 E 用途開発 ・綿帆布の用途開発 ・かばん類、ジーンズ ・広く生活関連二次製品への展開 ・そのための継続的企画力、ブランド戦略構築必要 2 C システム (ハード) ・織物検反システム ・各種織物 ・まず、地域織物メーカーに普及 ・学会、展示会等を通じて認知度高揚・全国展開 3 C 機能アップ (環境) ・ノンハロゲン系による難燃化 ・各種産業繊維資材 ・シリコン系、ホウ素系のを用いた難燃剤の開発 4 C 染色加工 (織物差別化) ・インジゴ染料による染色 ・Tシャツ、スボン等 ・合繊を含めた各種複合繊維への染色が可能となった ・染色加工領域の拡大 5 B 特殊織物 ・4軸織機、4軸織物 ・産業資材、スポーツ等 ・特殊分野、一般分野での商品開発 ・機能性・快適性高め広く二次製品での用途開発 6 E デザイン ・デザイン画を元に商品開発 ・各種アパレル製品 ・デザイン画、素材、縫製等の情報をデジタル化し、活用 の場を広げる仕組みを研究 7 E 健康 ・機能性重視の介護衣料 ・日被連国産エコマークの推進も ・各産地との交流で必要生地(情報)の収集・調達(倉敷1)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:丸進工業株式会社 ②パターン :E型(新しいマーケティング手法の開発) ③シーズの内容 :綿帆布の生活関連分野への用途開発(「はんぷ屋」事業部の開設) ④シーズの活用者:丸進工業株式会社 ⑤展開商品と取組内容: 同社は昭和 8 年の創業以来、各種織物製造を続け、現在では 60 台の自動織機で帆布、厚織物といった広幅織 物を製造している。糸から織物まで自社工場にて一貫生産を行うためQCRおよび品質管理にすぐれ、規格もの やリピートものを得意とする。素材としては綿を中心として麻、アクリル、エステルその他複合糸等の撚り糸が 中心である。 同社の位置する倉敷市曽原地域は全国的にも数少ない「帆布」の産地として国産帆布の約 70%を生産してい る。もともとは古代エジプトにおいて、名前の通り船の帆として使われたのがはじまりといわれており、明治に なって鉄道貨物のシート、テントなどの産業資材、また職人の道具袋、牛乳配達袋、学生かばんなどの生活資材 としても大量に使用されていた。しかし近代になって生活様式の変化によりその需要は大きく減少し、トラック の幌など産業資材としての少量の需要が大半を占めている状況であった。 しかし、高付加価値商品の必要性から、帆布の特徴である伝統的な製法で織られており丈夫で生地がへたらな い、また化学繊維に比べると重くてかさばるが綿そのものの自然のぬくもりがある、そして環境にやさしい等を 活かした生活関連商品の企画提案型事業を行う目的で「はんぷ屋」事業部の開設を行った。 既に同社製品は国内有名ブランドのかばん他、ナショナルブランドのトートバッグなどのかばん類、スニーカ ー、ジーンズ・ジャケットなどの衣料品類でも二次製品化されている。現在は自社ブランド「はんぷ屋」でのオ リジナル商品の企画提案、製造販売を試行錯誤しており、「千趣会」などの通販カタログ上での「手作りキット」 的商品提案等の実績がある。 ⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む) 今後、帆布の持つ独特の風合いを生かした各種生活関連二次製品の企画製造販売を行っていきたい。価格面、 数量面からも海外品との競合は考えにくく、ニッチな分野での用途開発、販路開拓に力を入れていきたい。その 為にはまず企画提案を「毎シーズン継続して」行える企画力を持つことが必要不可欠であり、売り先の他に染色 や加工、縫製との取り組みも積極的に行っている。また、販売方法に関してもブランド育成と共に最適な方法を 模索していく必要がある。 報告者名:川東正武 所属:倉敷ファッションセンター株式会社 報告月日:平成 14 年 10 月 30 日(倉敷2)