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運動イメージ方法が脊髄前角細胞の興奮に及ぼす影響と慢性期片麻痺患者への介入効果の検討

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運 動 イ メ ー ジ 方 法 が 脊 髄 前 角 細 胞 の 興 奮 に 及 ぼ

す 影 響 と 慢 性 期 片 麻 痺 患 者 へ の 介 入 効 果 の 検 討

2018

吉 備 国 際 大 学

保 健 科 学 研 究 科

保 健 科 学 専 攻

D311502 竹 中 孝 博

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目 次 省 略 文 字 等 の リ ス ト ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 3 序 章 序 論 ( 総 合 ) 1. 研 究 の 背 景 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 5 2. F 波 に つ い て ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 7 3. 研 究 の 目 的 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 8 4. 研 究 意 義 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 8 第 1 章 運 動 イ メ ー ジ 課 題 が 脊 髄 前 角 細 胞 の 興 奮 性 に 及 ぼ す 影 響 ‐ 手 の 肢 位 の 違 い に よ る 分 析 − ( 研 究 1 ) 第 1 節 序 論 ・ 背 景 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 0 第 2 節 方 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 0 第 3 節 結 果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 3 第 4 節 考 察 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 5 第 5 節 限 界 と 課 題 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 8 第 2 章 質 感 認 知 を 取 り 入 れ た 運 動 イ メ ー ジ が 脊 髄 前 角 細 胞 に 及 ぼ す 影 響 の 検 討 ( 研 究 2) 第 1 節 序 論 ・ 背 景 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 0 第 2 節 方 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 1 第 3 節 結 果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 3 第 4 節 考 察 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 4 第 5 節 限 界 と 課 題 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 6 第 3 章 野 球 未 経 験 者 が 野 球 ボ ー ル の 質 感 認 知 を し な が ら の 把 持 運 動 イ メ ー ジ は 脊 髄 前 角 細 胞 の 変 化 に 影 響 を あ た え る か ( 研 究 3) 第 1 節 序 論 ・ 背 景 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 8 第 2 節 方 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 8 第 3 節 結 果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 3 0

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第 4 節 考 察 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 3 1 第 5 節 限 界 と 課 題 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 3 2 第 4 章 過 去 の 経 験 に 基 づ く も う 一 度 や り た い と 願 う 作 業 の 運 動 イ メ ー ジ を 利 用 し た 片 麻 痺 患 者 に 対 す る 介 入 研 究 ( 研 究 4) 第 1 節 序 論 ・ 背 景 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 3 5 第 2 節 方 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 3 6 第 3 節 結 果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 4 0 第 4 節 考 察 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 4 7 第 5 節 限 界 と 課 題 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 5 0 終 章 第 1 節 結 論 ( 総 合 )・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 5 1 謝 辞 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 5 3 参 考 文 献 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 5 4

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定 義 , 略 語 文 字 等 の リ ス ト

本 研 究 で 使 用 す る 用 語 の 定 義 , 省 略 文 字 は 以 下 の も の と す る . 用 語 の 定 義 運 動 イ メ ー ジ : 実 際 に 運 動 を 遂 行 す る こ と な く 行 為 を 心 的 に 表 象 す る 能 力 F/M 振 幅 比 : 手 関 節 部 で 正 中 神 経 を 最 大 上 刺 激 し , 16 回 の 刺 激 で 得 ら れ た F 波 の 平 均 振 幅 を 求 め , 同 時 に 記 録 さ れ た M 波 と の 振 幅 比 を 計 算 し た も の 省 略 語

CI 療 法 : Constraint Induced Movement Therapy MI: motor imagery( 運 動 イ メ ー ジ )

ME: motor execution ( 運 動 実 行 )

SMA: supplementary motor area ( 補 足 運 動 野 ) vPMC: ventral premotor cortex ( 腹 側 運 動 前 野 ) dPMC: dorsal premotor cortex ( 背 側 運 動 前 野 ) M1: Primary motor cortex ( 一 次 運 動 野 )

PMC: Premotor cortex( 運 動 前 野 )

TMS: Transcranial magnetic stimulation ( 経 頭 蓋 磁 気 刺 激 法 ) MIQ: Movement Imagery Questionnaire

MIQ-R: Movement Imagery Questionnaire -revised CM 関 節 : carpometacarpal joint

fMRI: functional magnetic resonance imaging

COPM: Canadian Occupational Performance Measure ( カ ナ ダ 作 業 遂 行 測 定 ) Brs: Brunnstrom stage

VAS: visual analogue scale MAS: modified Ashworth scale

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学 位 論 文 の 基 礎 と な る 原 著 【 研 究 1】 竹 中 孝 博 , 中 角 祐 治 : 運 動 イ メ ー ジ 課 題 が 脊 髄 前 角 細 胞 の 興 奮 性 に 及 ぼ す 影 響 — 手 の 肢 位 の 違 い に よ る 分 析 − 総 合 リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 2017.6.16 採 択 済 み 受 付 番 号 17031 【 研 究 2】

Takahiro Takenaka , Yuji Nakazumi:Influence of Motor Imagery Incorporating Material Perception on Spinal Anterior Horn Cells International Journal of Neurorehabilitation 2017,4:2 DOI: 10.4172/2376 -0281.1000263

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序 論 ( 総 合 ) 1. 研 究 の 背 景 厚 生 労 働 省 に よ る 医 療 費 の 動 向 調 査 1 )に お い て 平 成 27 年 度 の 日 本 の 推 計 平 均 在 院 日 数 は 30.5 日 で あ り ,在 院 日 数 の 短 縮 化 が 進 ん で き て い る .そ の 短 い 入 院 期 間 中 に 効 果 的 な リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン を 提 供 す る こ と は 重 要 な 課 題 で あ る . 現 在 , 脳 卒 中 な ど で 錐 体 路 が 障 害 さ れ た 患 者 に 対 し て , 機 能 の 再 獲 得 を 目 指 し た 様 々 な 取 り 組 み が な さ れ て い る . 最 近 は , 川 平 法 ( 反 復 促 通 療 法 )2 )Constraint

Induced Movement Therapy(CI 療 法 )3 )や ミ ラ ー セ ラ ピ ー4 )で ,慢 性 期 で も 麻 痺 を 改

善 さ せ る こ と が で き た と い う 報 告 が 散 見 さ れ る . た だ し , こ れ ら の 方 法 は 麻 痺 し た 手 を 反 復 し て 使 用 し た り , 鏡 の 錯 視 で 思 考 を 混 乱 さ せ て し ま う こ と が あ り , 適 応 で き る 患 者 が 限 ら れ る . 一 方 , 激 し い 身 体 活 動 を 伴 わ な い 運 動 イ メ ー ジ 法 ( 訓 練 ) は 身 体 的 リ ス ク が 少 な く , 実 際 の 運 動 に 類 似 す る 学 習 効 果 が あ る と さ れ て お り リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン の 分 野 に 応 用 さ れ て き て い る .

運 動 イ メ ー ジ (motor imagery: 以 下 MI) と 運 動 実 行 ( motor execution : 以 下 ME) は 同 様 の 神 経 機 構 を 共 有 し て お り , Jeannerod5 )は ,MI と ME と の 間 の 機 能

的 同 等 性 の 概 念 を 提 唱 し て い る .

現 在 様 々 な 先 行 研 究 に お い て MI 中 に は ME の 神 経 ネ ッ ト ワ ー ク で あ る 皮 質 と 皮 質 下 領 域 の 活 性 化 が 認 め ら れ る と さ れ て い る . 皮 質 の 運 動 関 連 領 域 は 補 足 運 動 野 (supplementary motor area : 以 下 SMA ) と 腹 側 運 動 前 野 ( ventral premotor cortex: 以 下 vPMC)・ 背 側 運 動 前 野 ( dorsal premotor cortex : 以 下 dPMC) と 一 次 運 動 野 (Primary motor cortex : 以 下 M1) で あ る . ま た こ れ ら の 運 動 関 連 領 域 は フ ィ ー ド バ ッ ク ル ー プ に よ っ て 小 脳 及 び 大 脳 基 底 核 と 密 接 に 結 び つ き MI と ME の 両 方 で 活 性 化 が 認 め ら れ る . そ の 他 ,MI と ME に 関 連 す る 領 域 と し て 頭 頂 葉 が 含 ま れ る 6 ). 頭 頂 葉 は MI 中 に 空 間 的 な 課 題 の 要 求 が 増 加 す る の に 相 関 し て 活 動 が 増 加 す る こ と が 認 め ら れ て い る 7 ). 一 方 ,M1 が 興 奮 し て い る か ど う か は 現 在 議 論 が 続 い て い る 8 , 9 ). ま た , イ メ ー ジ す る 内 容 に よ っ て 興 奮 す る 部 位 が 違 う と さ れ , 系 列 動 作 ( 例 え ば 手 指 を 順 番 に 対 立 さ せ た り 全 身 運 動 な ど ) は SMA が 興 奮 し , 道

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具 を 介 す な ど 道 具 に 対 し て 目 標 的 に 手 を 伸 ば す 動 作 の イ メ ー ジ は 運 動 前 野 (premotor cortex: 以 下 PMC)が 興 奮 す る 1 0 , 11 ). す な わ ち Task に よ っ て 変 わ る と

さ れ て い る . 近 年 は TMS や 誘 発 筋 電 図 を 用 い て 研 究 が な さ れ 皮 質 脊 髄 路 や 脊 髄 運 動 細 胞 の 興 奮 に 関 し て は Task 依 存 や 個 人 差 が 大 き い 9 )と さ れ , MI に よ っ て 興 奮 す る か 否 か に 関 し て 一 致 し た 見 解 が さ れ ず 論 議 さ れ て い る .し か し な が ら 現 在 の 所 , 共 通 し て い る 基 盤 と し て は 運 動 野 や 皮 質 脊 髄 路 よ り も 上 位 の プ ロ グ ラ ム 領 域 は MI に よ っ て 活 動 す る と さ れ て い る . MI 課 題 に お け る 脊 髄 前 角 細 胞 の 興 奮 に 関 し て , Suzuki ら 1 2 )は ,MI 中 の 脊 髄 神 経 機 能 の 興 奮 性 増 大 に は , 大 脳 皮 質 か ら の 下 行 性 線 維 の 影 響 を 報 告 し て い る . 錐 体 路 か ら の 影 響 と し て ,Luft ら 1 3 ) Lotze ら 1 4 )が ,MI に よ り SMA, PMC, 小 脳 ,

大 脳 基 底 核 の 活 動 が み ら れ た と 報 告 し て お り ,SMA, PMC, 小 脳 , 大 脳 基 底 核 が , そ れ ぞ れ M1 に 投 射 し , M1 か ら 皮 質 脊 髄 路 を 介 し て 脊 髄 前 角 細 胞 の 興 奮 性 を 増 加 さ せ て い る . ま た 錐 体 外 路 か ら の 影 響 と し て ,M1, SMA , PMC, 小 脳 は 延 髄 網 様 体 に 投 射 ,さ ら に 小 脳 に 関 し て は 赤 核 に も 投 射 す る こ と か ら ,延 髄 網 様 体 路 , 赤 核 脊 髄 路 を 介 し て 脊 髄 前 角 細 胞 の 興 奮 性 を 増 加 さ せ て い る と 考 え ら れ て い る. こ の よ う に イ メ ー ジ に よ っ て 脊 髄 前 角 細 胞 が 興 奮 す る こ と が 徐 々 に 明 ら か に な っ て き て い る . 臨 床 場 面 に お い て 脳 イ メ ー ジ ン グ 装 置 を 利 用 し た 検 証 は 困 難 な 場 合 が 多 い . ま た MI で 皮 質 機 能 の 興 奮 性 が 増 加 し て も , 脊 髄 神 経 機 能 の 興 奮 性 に 変 化 が な け れ ば MI を リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン の 治 療 技 術 と し て 臨 床 応 用 す る の は 困 難 で あ る と 考 え る . 脳 卒 中 ガ イ ド ラ イ ン 2015 に て グ レ ー ド B の 川 平 法 ( 反 復 促 通 療 法 ) の 理 論 背 景 と し て は , 片 麻 痺 は 大 脳 皮 質 あ る い は 運 動 野 か ら の 軸 索 の 損 傷 が 原 因 で 生 じ て い る こ と か ら , 病 巣 が 神 経 の 細 胞 体 を 損 傷 す る 大 脳 皮 質 あ る い は 軸 索 を 損 傷 す る 放 線 冠 や 内 包 で あ っ て も , そ の 回 復 に は 大 脳 皮 質 か ら 脊 髄 前 角 細 胞 ま で の 神 経 路 の 再 建 ・ 強 化 が 欠 か せ な い と さ れ て い る . 今 回 , 脊 髄 神 経 機 能 と く に 脊 髄 前 角 細 胞 の 興 奮 性 に 与 え る MI の 影 響 に つ い て F 波 を 用 い て 検 討 す る . 脊 髄 前 角 細 胞 の 興 奮 電 位 の 評 価 に は , 被 験 筋 の 支 配 神 経 を 経 皮 的 に 電 気 刺 激 す る 事 で 被 験 筋 か ら 導 出 さ れ る 誘 発 筋 電 図 の H 波 ,F 波 が 用 い ら れ る .特 に 上 肢 で は H 波 は 安 定 し て 得 ら れ る 筋 が 限 ら れ て お り 1 5 ),F 波 の 利 用 が 一 般 的 で あ る .F 波 は 比 較 的 簡 便 に 測 定 可 能 で あ る メ リ ッ ト も あ る た め 介 入 効 果 の 検 証

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を 行 っ て い き た い .

2. F 波 に つ い て

F 波 と い う 名 称 は 1950 年 に Magladery and McDougal が 長 潜 時 反 応 を F 波 ( 足 内 在 筋 Foot Muscles か ら 記 録 し た た め Foot Wave の 意 味 で F 波 と 呼 ん だ ) と 命 名 し た 最 初 の 報 告 以 来 , そ の 後 , 足 に 限 ら ず 全 身 の 神 経 か ら 記 録 さ れ る こ と が 分 か っ て き た . 最 近 の 筋 電 計 を 用 い れ ば , こ の F 波 は 容 易 に 記 録 で き る た め 臨 床 的 に も 広 く 用 い ら れ る よ う に な っ た . F 波 は 運 動 神 経 線 維 が 刺 激 さ れ , そ の 部 位 か ら の 逆 行 性 イ ン パ ル ス に よ り 脊 髄 前 角 運 動 ニ ュ ー ロ ン の 再 発 火 を 起 こ し , 順 行 性 イ ン パ ル ス を 生 じ た 結 果 も た ら さ れ る 複 合 筋 活 動 電 位 で あ る . た だ し こ の 再 興 奮 は す べ て の ニ ュ ー ロ ン で 生 じ る わ け で は な い . ま た 再 興 奮 す る ニ ュ ー ロ ン で も 毎 回 再 興 奮 し て い る わ け で は な く , 同 一 の ニ ュ ー ロ ン で は 10〜 100 回 に 1 回 程 度 し か 再 興 奮 が 起 こ ら な い .そ の た め 表 面 電 極 で 記 録 し た 場 合 は 1 回 の 刺 激 で は せ い ぜ い 数 個 の 運 動 単 位 の 再 興 奮 が 記 録 さ れ る こ と に な り , 刺 激 ご と に 潜 時 ・ 振 幅 ・ 波 形 が 異 な る . M 波 は 複 合 筋 活 動 電 位 と 呼 ば れ る よ う に ,正 常 で は 数 百 個 の 運 動 単 位 を 有 す る 筋 の す べ て の 活 動 電 位 の 総 和 を 表 面 で 記 録 し た も の だ が ,F 波 は 数 個 の 運 動 単 位 電 位 波 形 が 識 別 で き る .こ の よ う な 理 由 か ら F 波 の 振 幅 は M 波 の 1 な い し 5%に 過 ぎ ず , 波 形 は 多 相 性 で 一 定 せ ず ,試 行 ご と の 潜 時 の ば ら つ き が 大 き い .し か し 正 常 で は 10 回 程 度 刺 激 す れ ば F 波 の 最 小 潜 時 は ほ ぼ 一 定 と な り 再 現 性 は 極 め て 良 好 で あ る .す な わ ち 10 回 刺 激 す れ ば そ の う ち 少 な く て も 1 回 は 最 速 の 運 動 神 経 線 維 が , 逆 行 性 刺 激 に よ っ て 興 奮 を 生 じ て い る .F 波 最 小 潜 時 は , 運 動 ニ ュ ー ロ ン の 逆 行 性 刺 激 に よ る 興 奮 確 率 に 依 存 し て い る 点 が 他 の 神 経 伝 導 検 査 と 異 な っ て い る . F 波 振 幅 の 程 度 は 与 え ら れ た 刺 激 に よ っ て 再 発 火 す る 脊 髄 前 角 細 胞 の 数 に 比 例 す る .振 幅 は 波 形 に よ り 様 々 で あ る た め そ の 値 は 一 致 し な い が ,最 大 M 波 振 幅 に 対 す る 平 均 F 波 振 幅 の 値 ( F/M 振 幅 比 )の 正 常 値 は あ る 程 度 で 一 致 す る .そ の た め 臨 床 検 査 と し て 用 い る こ と が 可 能 で あ る .F/M 振 幅 比 が 5%以 上 の 場 合 は 通 常 , 上 位 運 動 神 経 障 害 が 存 在 す る と 言 わ れ て お り F 波 振 幅 は 痙 縮 の 評 価 と し て も 用 い ら れ て い る .

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3. 研 究 の 目 的 川 平 法 や CI 療 法 な ど は 麻 痺 し た 手 を 反 復 し て 使 用 し 神 経 路 の 強 化 を 行 う が , 全 く 動 か せ な い 患 者 に 適 応 は 困 難 で あ る . 重 度 の 麻 痺 患 者 や 安 静 制 限 に よ っ て 運 動 が 出 来 な い 患 者 に 対 し て は ま ず は イ メ ー ジ 訓 練 に よ っ て 大 脳 皮 質 か ら 脊 髄 前 角 細 胞 ま で の 神 経 路 の 再 建 ・ 強 化 を 目 指 す 事 が 重 要 と 考 え る た め , 本 研 究 に て 手 の 肢 位 や イ メ ー ジ す る と き の 質 感 認 知 , 更 に 情 動 に 関 わ る 動 作 を 含 む イ メ ー ジ を し た 時 な ど , さ ま ざ ま な 運 動 イ メ ー ジ 方 法 の 違 い が 脊 髄 前 角 細 胞 を 効 率 的 に 変 化 さ せ る か を 検 討 し , イ メ ー ジ 訓 練 に お け る イ メ ー ジ の 効 率 的 な 想 起 方 法 を 明 ら か に す る 事 を 目 的 と し , 最 終 的 に は 慢 性 期 片 麻 痺 患 者 へ の 介 入 効 果 の 検 討 を 行 っ て い く . 4. 研 究 意 義 イ メ ー ジ に よ っ て 脊 髄 前 角 細 胞 が 興 奮 す る こ と は 明 ら か に な っ て き て い る が リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 場 面 に お け る , イ メ ー ジ す る 内 容 や 訓 練 頻 度 な ど の 方 法 論 は 確 立 さ れ て い な い . 臨 床 場 面 で は 脳 イ メ ー ジ ン グ 装 置 で の 検 証 は 困 難 な 場 合 が 多 い た め , 簡 便 に 測 定 で き る 誘 発 筋 電 計 を 用 い て 脊 髄 前 角 細 胞 の 変 化 を 測 定 し 各 個 人 に 合 わ せ た オ ー ダ ー メ イ ド な リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 方 法(運動イメージ訓 練 方 法 )を 提 言 し ,麻 痺 の 改 善 に 寄 与 す る 事 が で き る と 考 え て い る . 新 し い 麻 痺 治 療 介 入 と し た い .

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第 1 章

運 動 イ メ ー ジ 課 題 が 脊 髄 前 角 細 胞 の 興 奮 性 に 及

ぼ す 影 響 ‐ 手 の 肢 位 の 違 い に よ る 分 析 ‐

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第 1 節 序 論 ・ 背 景 手 の 肢 位 の 違 い で の 脊 髄 神 経 機 能 の 興 奮 の 検 討 は ,回 外 位 と 機 能 的 肢 位 の 比 較 で , 機 能 的 肢 位 で 記 録 し た F 波 振 幅 が 増 高 す る と の 報 告 が あ る 1 6 )ADL は 機 能 的 肢 位 で 行 う こ と が 殆 ど で あ り 手 の 肢 位 で 脊 髄 神 経 機 能 の 興 奮 が 増 大 す る と い う 事 は 大 変 興 味 深 い が ,MI の 際 の 手 の 肢 位 の 違 い に よ る 脊 髄 神 経 機 能 の 興 奮 は ま だ 明 ら か に さ れ て い な い . こ れ ら を 踏 ま え , 効 率 的 な 脊 髄 神 経 機 能 の 興 奮 を 更 に 明 ら か に す る 事 は , 効 果 が 得 ら れ る MI 方 法 を 確 立 し , リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 技 術 に 応 用 し て い く 事 が 重 要 で あ る と 考 え る . 本 研 究 で は MI が , 骨 格 筋 に 伝 え る す べ て の イ ン パ ル ス に と っ て 最 終 共 通 路(Sherrington) を な す 脊 髄 前 角 細 胞 の 興 奮 を 効 率 的 に 高 め る 方 法 を 手 の 肢 位 の 違 い で 検 討 し た . 第 2 節 方 法 1. 対 象 本 研 究 の 目 的 と 方 法 を 文 章 に て 説 明 し , 理 解 を 得 て 協 力 を 申 し 出 た 健 康 成 人 で , エ デ ィ ン バ ラ 利 き 手 テ ス ト を 用 い て 右 利 き 手 者 と し て 選 出 さ れ た 34 名 (男 性 11 名 , 女 性 23 名 ), 平 均 年 齢 ±標 準 偏 差 は 28.4±8.7 歳 で あ る . 2. 方 法 ま ず 個 人 の イ メ ー ジ 能 力 ( 心 的 イ メ ー ジ 回 転 統 御 能 力 ) を 評 価 す る た め ,WEB ア プ リ の Neuro Orthopaedic Institute Australasia の Recognise Online を 用 い て , 手 の メ ン タ ル ロ ー テ ー シ ョ ン 課 題 を 行 っ た . こ の WEB ア プ リ は 右 手 と 左 手 の 画 像 が ラ ン ダ ム に 1 画 像 ず つ 計 20 画 像 表 示 さ れ , 被 験 者 は 表 示 さ れ た 画 像 の 手 が 右 手 か 左 手 か を 判 別 し 回 答 す る も の で あ る . 右 手 画 像 表 示 , 左 手 画 像 表 示 の そ れ ぞ れ で の 平 均 回 答 時 間 と 平 均 正 答 率 を 測 定 し た . 次 に 脊 髄 前 角 細 胞 の 興 奮 性 の 測 定 と し て 日 本 光 電 社 製 の 誘 発 筋 電 計 MEB-9402 を 使 用 し F 波 の 導 出 を 行 な っ た . こ の 時 , 被 験 者 は 椅 子 座 位 で , 肩 関 節 内 外 旋 中 間 位 ・ 軽 度 屈 曲 位 , 肘 関 節 約 60 度 屈 曲 位 で 台 の 上 に 前 腕 と 手 を 置 い た . そ し て , 木 村 1 7 )の 方 法 に 従 い ,手 関 節 部 で 正 中 神 経 を 最 大 上 刺 激 し ,右 短 母 指 外 転 筋 か ら ベ リ

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ー テ ン ド ン 法 で F 波 を 導 出 し た .刺 激 間 隔 は 1 Hz で ,連 続 し た 16 回 の 記 録 を 行 っ た . バ ン ド パ ス は , 1Hz か ら 3 KHz と し た . そ し て , 16 回 の 刺 激 で 得 ら れ た F 波 の 平 均 振 幅 を 求 め ,同 時 に 記 録 さ れ た M 波 と の 振 幅 比 を 計 算 し た .以 下 ,こ の 値 を F/M 振 幅 比 と し て 分 析 項 目 と し た .な お ,F 波 の 記 録 と 測 定 は 研 究 者 一 人 で 行 っ た . 最 初 に 図 1a に 示 す よ う な 前 腕 回 外 位 で 安 静 時 の F 波 を 導 出 し た . 以 下 こ れ を イ メ ー ジ 前 安 静 と す る . 次 に 図 1b に 示 す よ う な 前 腕 回 外 位 の 安 静 肢 位 で 手 掌 面 に テ ニ ス ボ ー ル を 置 い た 状 態 で , 最 大 強 度 の 手 指 の 等 尺 性 収 縮 イ メ ー ジ , す な わ ち ボ ー ル を 強 く 握 る 様 な イ メ ー ジ を 行 い な が ら F 波 を 導 出 し た . こ の 課 題 名 を 回 外 位 運 動 イ メ ー ジ と す る . 次 に 図 1c に 示 す よ う な 前 腕 回 内 位 で テ ニ ス ボ ー ル 上 に 手 を 置 く 機 能 的 肢 位 の 状 態 で , 最 大 強 度 の 等 尺 性 収 縮 イ メ ー ジ を 行 い な が ら F 波 を 導 出 し た .こ の 課 題 名 を 機 能 的 運 動 イ メ ー ジ と す る . な お , 回 外 位 運 動 イ メ ー ジ 課 題 と 機 能 的 運 動 イ メ ー ジ 課 題 は ラ ン ダ ム に て 施 行 し た . 図 1 各 課 題 の 肢 位

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a : 前 腕 回 外 , 手 関 節 中 間 , 手 指 内 外 転 中 間 位 , 中 手 指 節 間 関 節 中 間 , 指 節 間 関 節 軽 度 屈 曲 位 . b : 図 1 - a と 同 様 の 肢 位 で 手 掌 面 に テ ニ ス ボ ー ル を 置 い た 状 態 で あ る . c : 前 腕 回 内 , 手 関 節 中 等 度 背 屈 ・ 橈 尺 屈 中 間 , 拇 指 対 立 位 , そ の 他 の 指 も 中 手 指 節 間 関 節 で 軽 度 外 転 ・ 軽 度 屈 曲 位 , 指 節 間 関 節 は 中 等 度 屈 曲 位 . 実 際 は , テ ニ ス ボ ー ル に 沿 っ て 手 を 置 き , 縦 横 の ア ー チ を 形 成 す る よ う に し た . 各 運 動 イ メ ー ジ 課 題 直 後 に , イ メ ー ジ 想 起 能 力 の 鮮 明 度 評 価 と し て Hall ら 1 8 )

作 成 し た Movement Imagery Questionnaire(MIQ) の 改 良 版 で あ る Movement Imagery Questionnaire -revised(MIQ-R)1 9 )を 用 い て ,評 価 ス ケ ー ル で あ る 筋 感 覚 的

運 動 イ メ ー ジ 尺 度 の 7 件 法( 1:感 じ る の は と て も 難 し い ,2:感 じ る の は 難 し い , 3 : 感 じ る の は や や 難 し い , 4 : ど ち ら で も な い , 5 : 感 じ る の は や や や さ し い , 6 : 感 じ る の は や さ し い ,7 : 感 じ る の は と て も や さ し い ) を 使 用 し ( 図 2 ), 各 運 動 イ メ ー ジ 課 題 に 対 す る イ メ ー ジ 想 起 の 鮮 明 性 を そ れ ぞ れ 測 定 し た . 運 動 イ メ ー ジ 課 題 中 は , 手 指 を 動 か す 事 を 禁 止 し て 力 を 入 れ な い よ う に 口 頭 で 指 示 し , 開 始 時 に 力 が 入 っ て い な い こ と を 筋 電 計 の 波 形 を 目 視 で 確 認 し て か ら 測 定 を 行 っ た . そ し て , 図 1b,1c の 肢 位 で そ れ ぞ れ イ メ ー ジ を 行 わ な い 安 静 時 の F 波 測 定 も 記 録 し た . こ れ ら を そ れ ぞ れ 課 題 名 と し て 回 外 位 安 静 と , 機 能 的 安 静 と す る . 図 2 イ メ ー ジ 想 起 能 力 の 鮮 明 度 評 価 3. 分 析 方 法 統 計 処 理 は ,一 元 配 置 分 散 分 析(ANOVA)と 多 重 比 較( TukeyHSD 法 )を 用 い , イ メ ー ジ 前 安 静 , 回 外 位 安 静 , 機 能 的 安 静 , 回 外 位 運 動 イ メ ー ジ , 機 能 的 運 動 イ メ ー ジ の そ れ ぞ れ に お け る F/M 振 幅 比 に つ い て 比 較 を 行 っ た .イ メ ー ジ 想 起 能 力 の 評 価 は Wilcoxon 検 定 を 行 い , 解 析 は SPSS Statistics24.0 を 用 い て 有 意 水 準 を 5 %未

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満 と し た . 4. 倫 理 的 配 慮 研 究 へ の 参 加 は 自 由 意 志 で あ り な ん ら 強 制 さ れ な い こ と , 参 加 に 同 意 し な い 場 合 で も , 不 利 益 を こ う む る こ と は 一 切 な い こ と を 約 束 す る . ま た , 研 究 の い か な る 段 階 で も , 被 験 者 の 自 由 意 志 に も と づ き , 研 究 を 中 止 し た り , 同 意 を 撤 回 で き た り す る こ と を 文 書 で 周 知 す る . 研 究 で 使 用 す る 筋 電 図 検 査 は F 波 導 出 時 に 手 首 の 神 経 に 電 気 刺 激 を 与 え て 記 録 を 行 う .F 波 は 臨 床 検 査 と し て 一 般 的 な も の で あ り 危 険 性 は 極 め て 低 い も の で あ る が 強 い 痛 み を 自 覚 す る こ と が あ る た め , 不 快 感 を 訴 え ら れ た 場 合 は す ぐ に 中 止 し 研 究 機 関 の 長 及 び 研 究 倫 理 委 員 会 に す み や か に 報 告 す る こ と と し た . こ の 研 究 で 得 ら れ た デ ー タ は , 本 研 究 の 目 的 以 外 で 使 用 す る こ と は な い . 研 究 に 関 す る 資 料 は , 研 究 責 任 者 以 外 の 目 に 触 れ る こ と が な い よ う に , 厳 重 に 管 理 ・ 保 管 し , 本 研 究 終 了 後 に 削 除 ・ 破 棄 す る . な お , 本 研 究 は 筆 者 の 所 属 す る 平 成 医 療 短 期 大 学 の 倫 理 審 査 ( 第 H27-25) で 承 認 さ れ て い る . 第 3 節 結 果 事 前 に 行 っ た メ ン タ ル ロ ー テ ー シ ョ ン 課 題 で は , 右 手 の 画 像 の 平 均 正 答 率 と 標 準 偏 差 は 84.71±13.08% ,左 手 の 画 像 が 86.76±15.90% で あ り ,全 て 右 利 き 手 の 被 験 者 で あ っ た が , 正 答 率 に 有 意 な 左 右 差 は 認 め な か っ た . さ ら に , 一 つ の 画 像 に 対 す る 平 均 回 答 時 間 と 標 準 偏 差 は 右 手 の 画 像 で 平 均 1.86±0.62 秒 , 左 手 の 画 像 で 平 均 1.90±0.63 秒 で あ り , 回 答 時 間 も 有 意 な 左 右 差 は 認 め な か っ た . 著 し く 正 答 率 が 低 い 者 や 回 答 時 間 が 遅 延 し た 被 験 者 は 認 め な か っ た . 1. F/M 振 幅 比 に つ い て 各 課 題 で の F/M 振 幅 比 と 標 準 偏 差 は 以 下 の 結 果( 表 1 )と な っ た .ま た ,一 症 例 か ら 得 ら れ た 波 形 を 参 考 の た め 図 3 に 提 示 す る .

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表 1 各 課 題 の F / M 振 幅 比 と 多 重 比 較 に よ る p 値 の 内 訳 回 外 位 安 静 の 状 態 で 運 動 イ メ ー ジ を 行 っ て も F / M 振 幅 比 の 増 加 に 差 は 無 い が ,機 能 的 安 静 の 状 態 で イ メ ー ジ を 行 う と 有 意 に 向 上 し た . 分 散 分 析 で の グ ル ー プ 間 の 有 意 確 率 は p=0.000 で あ り , Levence 検 定 に て 0.127 と な り 等 分 散 し て い る こ と を 確 認 し た .TukeyHSD 法 を 用 い た 多 重 比 較 で は ,イ メ ー ジ 前 安 静 と 回 外 位 安 静 の F/M 振 幅 比 の 比 較 に お い て 差 が な く ,ボ ー ル に よ る 手 掌 面 へ の 皮 膚 刺 激 の 関 与 は 認 め な か っ た . 回 外 位 安 静 と 機 能 的 安 静 で の 比 較 に お い て ,肢 位 が 異 な る 安 静 状 態 で は F/M 振 幅 比 に 差 を 認 め ず , さ ら に 回 外 位 運 動 イ メ ー ジ と 機 能 的 運 動 イ メ ー ジ と の 比 較 で も 差 を 認 め な か っ た . 回 外 位 安 静 と 回 外 位 運 動 イ メ ー ジ の 比 較 で は 同 一 肢 位 で の イ メ ー ジ に よ る F/M 振 幅 比 の 増 加 に 統 計 的 な 差 は な い が, 機 能 的 安 静 と 機 能 的 運 動 イ メ ー ジ の 比 較 に お い て は イ メ ー ジ に よ っ て 有 意 に F/M 振 幅 比 の 増 加 を 認 め た .

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図 3 : 各 課 題 時 の F 波 測 定 の 結 果 F 波 測 定 の 一 例 で あ る . 初 め に M 波 が 出 現 し そ の 後 F 波 の 出 現 を 認 め る . 機 能 的 運 動 イ メ ー ジ が も っ と も F 波 振 幅 が 大 き い こ と が 分 か る . 2. イ メ ー ジ 後 の 鮮 明 性 評 価 に つ い て M I Q-R の ス ケ ー ル を 用 い た 各 イ メ ー ジ の 鮮 明 性 評 価 で は ,回 外 位 運 動 イ メ ー ジ で 中 央 値 3( 感 じ る の は や や 難 し い ) 四 分 位 範 囲 3-4 で あ り , 機 能 的 運 動 イ メ ー ジ で は 中 央 値 4( ど ち ら で も な い ) 四 分 位 範 囲 3-5 と い う 結 果 で あ り , 回 外 位 の 方 が イ メ ー ジ し 難 い 事 が 分 か っ た (p=0.000). 第 4 節 考 察 脊 髄 前 角 細 胞 の 興 奮 性 の 評 価 に は , 被 験 筋 の 支 配 神 経 を 経 皮 的 に 電 気 刺 激 す る こ と に よ っ て 被 験 筋 か ら 導 出 さ れ る H 波 ,F 波 が 用 い ら れ る .上 肢 で は H 波 は 安 定 し て 得 ら れ る 筋 が 限 ら れ 1 5 )F 波 が 一 般 的 で あ る . 通 常 , 健 常 者 か ら H 波 は ヒ ラ メ

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筋 , 橈 側 手 根 屈 筋 か ら し か 記 録 が で き な い が , 今 回 の 分 析 で は , 人 間 の 手 の 機 能 と し て 特 に 重 要 で あ る ピ ン チ 動 作 に 繋 が る 母 指 対 立 に 働 く 筋 に つ い て 分 析 の 対 象 と し た た め F 波 を 用 い た . な お , F 波 は , 運 動 神 経 に 最 大 上 の 電 気 刺 激 を 加 え る と 全 て の 運 動 神 経 が 発 火 し , そ の イ ン パ ル ス は 順 行 性 伝 導 と 同 時 に 逆 行 性 に も 軸 索 を 伝 導 し 上 行 す る . そ し て 通 常 不 応 期 で あ る に も 関 わ ら ず , 一 部 の 脊 髄 前 角 細 胞 で は , 逆 行 性 イ ン パ ル ス に 対 し て 軸 索 小 丘 で 再 発 火 す る こ と で 順 行 性 活 動 電 位 を 生 じ 筋 ま で 伝 導 し て 複 合 筋 活 動 電 位 と し て 記 録 さ れ る .F 波 の 波 形 は 刺 激 毎 に 異 な る の が 特 徴 で あ り ,そ の 振 幅 は 脊 髄 前 角 細 胞 の 興 奮 性 を 反 映 し て い る 2 0 )と さ れ て い る .パ ラ メ ー タ ー と し て は 刺 激 に 対 す る 脊 髄 前 角 細 胞 の 発 火 頻 度 を 示 す「 出 現 頻 度 」,末 梢 神 経 全 長 の 神 経 伝 導 障 害 を 評 価 す る「 潜 時 」,刺 激 に よ っ て 再 発 火 す る 脊 髄 前 角 細 胞 数 と そ の 支 配 筋 線 維 数 に 比 例 す る 「 振 幅 」 が あ る . 振 幅 は 脊 髄 前 角 細 胞 で 再 発 火 す る 筋 線 維 数 に 影 響 さ れ る が 脊 髄 前 角 細 胞 で の 再 発 火 は 1 つ で あ る と は 限 ら ず , 複 数 の 筋 線 維 か ら 出 現 し た F 波 は 時 間 を 異 に し て 各 々 重 な り 複 合 電 位 と し て 記 録 で き る .そ の た め 一 般 的 に 波 形 毎 ,被 験 者 毎 に 様 々 で あ る た め ,最 大 上 刺 激 の M 波 を 基 準 に し た 平 均 F 波 振 幅 の 値 ( F/M 振 幅 比 ) の 正 常 値 は 再 現 性 を 有 す る .そ の た め に , 臨 床 検 査 で は F/M 振 幅 比 を 用 い る こ と が 多 い 2 1 ) 出 現 頻 度 は 全 刺 激 に 対 し て 何 回 F 波 が 記 録 で き た か を 割 合 で 示 し た も の で あ る が , F 波 記 録 中 に 随 意 収 縮 を 行 わ せ た 場 合 に 出 現 頻 度 は 増 加 し , Suzuki ら 2 2 )の 研 究 で は 軽 度 の 等 尺 性 収 縮 (20%MVC 程 度 ) で 既 に 100%近 い 出 現 頻 度 を 認 め た と 述 べ て い る た め 詳 細 な 変 化 を 検 討 で き る と は 考 え に く い . こ の こ と か ら も 本 研 究 で 述 べ る 手 の 肢 位 の 違 い で の 運 動 イ メ ー ジ 課 題 を 行 う 検 討 で は F/M 振 幅 比 で 分 析 す る こ と が 重 要 で あ る . F 波 導 出 前 に 行 っ た メ ン タ ル ロ ー テ ー シ ョ ン 課 題 は 反 応 時 間 が 遅 い ほ ど 運 動 イ メ ー ジ の 想 起 能 力 が 低 い 2 3 )と さ れ て い る .今 回 の 被 験 者 に は ,著 し く 反 応 時 間 が 遅 れ て い る 者 は い な か っ た の で , 全 例 統 計 解 析 に 加 え た . 今 回 得 ら れ た 結 果 と し て , 回 外 位 で イ メ ー ジ す る よ り も 機 能 的 肢 位 で ボ ー ル を 握 る 運 動 の イ メ ー ジ を す る こ と に よ っ て , 脊 髄 前 角 細 胞 の 興 奮 性 が 増 大 す る こ と を 確 認 し た . こ の 促 通 現 象 が 生 じ る 生 理 学 的 メ カ ニ ズ ム と し て , 機 能 的 肢 位 で は 母 指 が 対 立 位 に あ る こ と か ら 短 母 指 外 転 筋 は 短 縮 し , 母 指 内 転 筋 は 伸 張 さ れ て い る こ と か ら , 筋 紡 錘 や ゴ ル ジ 腱 器 官 か ら の 伸 張 反 射 促 進 や 自 原 性 抑 制 , 相 反 抑 制 の 減 弱 は 考

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え に く く ,母 指 CM 関 節 が 掌 側 外 転 位 と な る こ と で CM 関 節 周 囲 の メ カ ノ レ セ プ タ ー か ら の 入 力 が 脊 髄 レ ベ ル で 変 化 す る こ と が 考 え ら れ る . さ ら に , 機 能 的 肢 位 を と る こ と で 発 生 す る 深 部 覚 が , 小 脳 に 蓄 え ら れ た 運 動 記 憶 と 照 合 さ れ て , 前 頭 葉 や 基 底 核 へ の フ ィ ー ド フ ォ ー ワ ー ド 2 4 )を 変 化 さ せ ,錐 体 路 や 錐 体 外 路 か ら の 下 行 性 入 力 が 脊 髄 前 角 細 胞 や 周 囲 の 介 在 ニ ュ ー ロ ン に 影 響 を 及 ぼ し て い る 可 能 性 も 推 定 さ れ る . ま た , イ メ ー ジ の 鮮 明 性 評 価 の 結 果 か ら , 機 能 的 運 動 イ メ ー ジ の ほ う が 回 外 位 運 動 イ メ ー ジ よ り 想 起 し や す い こ と が 判 明 し て お り , 物 を 掴 む な ど の 日 常 動 作 で 行 わ れ る 母 指 が 対 立 位 に 近 い 動 き を イ メ ー ジ す る ほ う が , 脊 髄 前 角 細 胞 の 興 奮 性 を 高 め る と 考 え ら れ る . こ の こ と は , 頭 頂 葉 で 認 識 さ れ る 体 性 感 覚 が 運 動 野 や 基 底 核 に 影 響 し て い る 可 能 性 も 考 え ら れ る . 運 動 イ メ ー ジ と 運 動 実 行 は 同 様 の 神 経 機 構 を 共 有 し て お り , 両 者 の 機 能 的 同 等 性 の 概 念 が Jeannerod5 )に よ っ て 提 唱 さ れ た 以 降 , 現 在 様 々 な 先 行 研 究 に お い て 運 動 イ メ ー ジ 中 に は , 運 動 実 行 の 神 経 ネ ッ ト ワ ー ク で あ る 皮 質 と 皮 質 下 領 域 の 活 性 化 が 認 め ら れ る と 報 告 さ れ て い る . 皮 質 の 運 動 関 連 領 域 は 補 足 運 動 野 と 腹 側 運 動 前 野 ・ 背 側 運 動 前 野 と 一 次 運 動 野 で あ り , フ ィ ー ド バ ッ ク ル ー プ で 小 脳 及 び 大 脳 基 底 核 と 結 び つ き ,運 動 イ メ ー ジ と 運 動 実 行 の 両 方 で 活 性 化 が 認 め ら れ る .そ の 他 ,MI と ME に 関 連 す る 領 域 と し て 頭 頂 葉 が 含 ま れ る 6 ). 頭 頂 葉 は 運 動 イ メ ー ジ 中 の 空 間 的 な 課 題 要 求 に 相 関 し 活 動 が 増 加 す る 7 )こ と が 知 ら れ て い る . ま た , イ メ ー ジ す る 内 容 で 興 奮 す る 部 位 が 異 な り , 系 列 動 作 ( 手 指 を 順 番 に 対 立 さ せ た り 全 身 運 動 な ど ) は 補 足 運 動 野 が 興 奮 し , 道 具 に 対 し て 目 標 的 に 手 を 伸 ば す 動 作 の イ メ ー ジ は 運 動 前 野 が 興 奮 す る 1 0 , 11 )と さ れ て い る . 経 頭 蓋 磁 気 刺 激 に よ る 誘 発 筋 電 位 を 用 い た 研 究 9 )で , 皮 質 脊 髄 路 や 脊 髄 運 動 細 胞 の 興 奮 性 は 課 題 依 存 や 個 人 差 が 大 き い が , 運 動 野 や 皮 質 脊 髄 路 よ り も 上 位 の プ ロ グ ラ ム 領 域 は 運 動 イ メ ー ジ で 活 性 化 す る 2 5 )と 考 察 さ れ て い る . 運 動 イ メ ー ジ の F 波 に 及 ぼ す 影 響 に つ い て は ,鈴 木 ら の グ ル ー プ 2 6 - 3 1 )が 精 力 的 に 研 究 し て い る . 安 静 時 の 導 出 と 比 較 し て 運 動 イ メ ー ジ 中 は F 波 出 現 頻 度 が 高 く , 直 後 ,5 分 後 ,10 分 後 ,15 分 後 の 出 現 頻 度 は 安 静 時 と 比 較 し て 差 異 を 認 め な か っ た と 報 告 し て い る . ま た , 等 尺 性 収 縮 に よ る 母 指 対 立 運 動 イ メ ー ジ に つ い て , 収 縮 強 度 を 最 大 収 縮 の 10%と 50%条 件 で 比 較 し た と こ ろ , 50%で 有 意 に 増 加 し た が , 30%と 50%条 件 で は 両 者 に 差 は な く , イ メ ー ジ す る 強 度 は 30%で 十 分 で あ る と し て い る .

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性 差 の 検 討 で は , 差 は 認 め な い と さ れ て い る . 視 覚 の 有 無 に つ い て は , 安 静 時 と 比 べ 共 に F/M 振 幅 比 は 増 加 す る が 開 眼 と 閉 眼 で 差 は な い と 報 告 さ れ て い る . 運 動 イ メ ー ジ の 際 に , 被 験 者 自 身 の 手 の 肢 位 の 違 い に よ る 脊 髄 神 経 機 能 の 興 奮 は ま だ 明 ら か に さ れ て い な い . 日 常 生 活 動 作 は 機 能 的 肢 位 で 行 う こ と が 殆 ど で あ り , こ の 肢 位 で 脊 髄 前 角 細 胞 の 興 奮 性 が 増 大 す る と い う 事 を 踏 ま え , 効 果 が よ り 得 ら れ や す い 運 動 イ メ ー ジ の 方 法 を 見 出 し , リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 技 術 に 応 用 し た い と 考 え て い る . 片 麻 痺 患 者 の 運 動 療 法 を 行 う に は , そ れ ぞ れ の 患 者 の 全 体 像 を 把 握 し て , 個 別 に 対 応 す る 必 要 が あ る .臨 床 場 面 で は 脳 イ メ ー ジ ン グ 装 置 で の 検 証 は 困 難 な 場 合 が 多 い . ま た 運 動 イ メ ー ジ で 皮 質 機 能 の 興 奮 性 が 増 加 し て も, 脊 髄 神 経 機 能 に 変 化 が な け れ ば 運 動 イ メ ー ジ を 治 療 技 術 と し て 臨 床 応 用 す る の は 困 難 で あ る . 本 研 究 の 臨 床 的 意 義 は , 手 が 動 か せ な い 重 度 の 片 麻 痺 患 者 や 安 静 を 指 示 さ れ て い る 患 者 , ギ ブ ス 固 定 中 の 患 者 に 対 し て も 手 を 動 か す イ メ ー ジ 法 ( 訓 練 ) を 施 行 で き る こ と に あ る . し か し , 運 動 イ メ ー ジ の 具 体 的 な 方 法 に 関 す る 研 究 は 少 な く , 本 研 究 の 結 果 か ら た だ 単 に イ メ ー ジ さ せ る だ け で は 不 十 分 で , 機 能 的 な 手 の 肢 位 を 意 識 し て 行 う こ と が 効 率 的 に 脊 髄 前 角 細 胞 の 興 奮 性 を 高 め る こ と が で き る と い う 根 拠 と な り う る 基 礎 的 研 究 と な っ た こ と で 本 研 究 の 意 義 は 高 い と 考 え る . 第 5 節 限 界 と 課 題 今 回 の 研 究 の 限 界 と し て , 健 常 成 人 の デ ー タ で あ る こ と が あ げ ら れ る . そ し て F 波 導 出 時 に 口 頭 で 随 意 的 な 筋 収 縮 を 行 わ な い よ う 説 明 し , 検 者 が 目 視 に て 事 前 の 波 形 の 確 認 , な ら び に 出 現 頻 度 を 分 析 項 目 に 含 め な い な ど の 工 夫 は 行 な っ た が 限 界 が あ る . ま た 短 母 指 外 転 筋 を 対 象 と し た 検 査 で あ り 筋 電 図 測 定 時 に 母 指 以 外 の 示 指 か ら 小 指 に 筋 収 縮 が 生 じ た と し て も そ れ が 関 連 す る の か ど う か は 明 ら か で な い . 本 研 究 に て 効 率 的 に 脊 髄 前 角 細 胞 を 興 奮 さ せ る 手 法 は 明 ら か に な っ た が , イ メ ー ジ 内 容 の 具 体 的 な 方 法 論 は 今 後 の 課 題 で あ る . 今 後 多 く の 錐 体 路 障 害 例 で , 機 能 的 肢 位 で の イ メ ー ジ 介 入 を 行 い , そ の 有 用 性 を 検 証 し て 行 き た い .

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2 章

質 感 認 知 を 取 り 入 れ た 運 動 イ メ ー ジ が 脊 髄 前 角

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第 1 節 序 論 ・ 背 景

研 究 1 の 結 果 か ら , 運 動 を イ メ ー ジ す る 際 は , 被 験 者 自 身 の 手 の 肢 位 が 重 要 で あ る こ と が 判 明 し た . 更 に ,MI を よ り 効 果 的 に 働 か せ る に は 「 physical : 身 体 」 「environment : 環 境 」「 task : 課 題 」「 timing : タ イ ミ ン グ 」「 learning : 学 習 」 「emotion: 情 動 」「 perspective: 志 向 性 」 の 7 つ の 要 素 か ら な る PETTLEP モ デ ル を Holmes ら 3 2 )が 提 唱 し て お り ,単 に 運 動 を イ メ ー ジ す る 指 示 の み で は 不 十 分 と さ れ て い る .PETTLEP モ デ ル に お け る 「 environment: 環 境 」 に 相 当 す る 要 因 と し て 体 性 感 覚 , 視 覚 , 聴 覚 な ど の 外 部 か ら の 合 図 が MI の 鮮 明 さ に 影 響 を 及 ぼ す と さ れ る . MI を 鮮 明 に す る た め に は 多 様 な 感 覚 モ ダ リ テ ィ を 通 じ た 刺 激 の 影 響 を 考 慮 す る 必 要 が あ る . 我 々 は 日 常 生 活 に お い て , あ る 素 材 を 見 た だ け で そ の 素 材 を 触 ら な く て も 触 っ た 感 じ を イ メ ー ジ す る こ と は 可 能 で あ る . 素 材 は そ の 物 質 特 性 を 利 用 し て 特 有 の 用 途 に 使 用 さ れ , 日 常 生 活 に お い て 意 味 の あ る 機 能 と も 結 び つ い て い る . 例 え ば コ ッ プ は ガ ラ ス や 陶 器 , 金 属 な ど を 用 い て 作 ら れ , 布 や 革 で 作 ら れ る こ と は , ほ と ん ど な い . 素 材 の も つ 質 感 は 感 覚 的 な 印 象 か ら 機 能 的 な 意 味 ま で 幅 広 く 含 む 生 物 学 的 に 重 要 な 情 報 源 と な っ て い る . 質 感 に 関 す る 情 報 の 獲 得 は 生 後 の 発 達 の 過 程 に お け る 学 習 の 要 素 が 大 き い と さ れ る 3 3 ).リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン の 場 面 に お い て 物 を 握 る な ど の 運 動 を イ メ ー ジ す る 際 に ,そ の 物 の 持 つ 質 感 ま で を イ メ ー ジ す る こ と が , よ り リ ア ル で 鮮 明 な 運 動 の イ メ ー ジ を 賦 活 さ せ る と 筆 者 は 考 え て い る . す で に 多 く の 先 行 研 究 に お い て MI に よ っ て 中 枢 神 経 機 能 が 興 奮 す る と さ れ , ま た 脊 髄 神 経 機 能 も 興 奮 す る こ と が 明 ら か と な っ て き て い る 3 4 ) 素 材 知 覚 に 関 し て は ,Cant ら 3 5 , 3 6 ) fMRI 計 測 に よ り 腹 側 視 覚 経 路 が 関 係 す る こ と を 示 し て い る . さ ら に . 手 指 運 動 に お い て 把 持 す る 物 の 知 覚 を イ メ ー ジ し て 握 る こ と に よ り ,脳 血 流 量 は 増 加 す る と 報 告 が あ る 3 7 ).一 方 ,把 持 す る 物 品 の 触 覚 を 想 起 し な が ら イ メ ー ジ す る こ と に よ る 脊 髄 神 経 機 能 の 興 奮 に 変 化 を 及 ぼ す の か を 検 討 し た 報 告 は な い .そ こ で 本 研 究 で は ,MI 時 の 脊 髄 神 経 機 能 の 興 奮 性 変 化 を ,F 波 を 用 い て 検 討 し , 質 感 や 触 感 を 想 起 し な が ら イ メ ー ジ す る こ と に よ る 脊 髄 前 角 細 胞 の 影 響 を 検 討 し た .

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第 2 節 方 法 1. 対 象 対 象 者 は , 健 康 成 人 で 現 役 の 野 球 投 手 と し , 本 研 究 の 目 的 と 方 法 を 口 頭 と 文 章 で 説 明 し た 後 , 協 力 を 申 し 出 た 者 . 全 例 右 利 き 男 性 と し , 右 投 げ 投 手 14 名 , 平 均 年 齢 ± 標 準 偏 差 20.6±3.67 歳 で あ る . 2. 方 法 ま ず 個 人 の イ メ ー ジ 能 力 ( 心 的 イ メ ー ジ 回 転 統 御 能 力 ) の 評 価 と し て 手 の メ ン タ ル ロ ー テ ー シ ョ ン 課 題 を 行 っ た . 使 用 し た の は WEB ア プ リ の Neuro Orthopaedic Institute Australasia の Recognise Online を 用 い て 測 定 を 行 っ た . こ れ は 手 の 画 像 が 右 手 と 左 手 の ラ ン ダ ム に 20 個 提 示 さ れ 判 別 回 答 す る も の で あ る . そ の 時 の 左 右 手 の 画 像 そ れ ぞ れ の 平 均 正 答 率 と 平 均 回 答 時 間 を 測 定 し た . 次 に 脊 髄 前 角 細 胞 の 興 奮 性 の 測 定 と し て 日 本 光 電 社 製 の 誘 発 筋 電 計 MEB-9402 を 使 用 し F 波 の 導 出 を 行 な っ た . こ の 時 , 被 験 者 は 椅 子 座 位 で , 肩 関 節 内 外 旋 中 間 位 ・ 軽 度 屈 曲 位 , 肘 関 節 約 60 度 屈 曲 位 で 台 の 上 に 前 腕 と 手 を 置 い た . そ し て , 木 村 1 7 )の 方 法 に 従 い ,手 関 節 部 で 正 中 神 経 を 最 大 上 刺 激 し ,右 短 母 指 外 転 筋 か ら ベ リ ー テ ン ド ン 法 で F 波 を 導 出 し た .刺 激 間 隔 は 1 Hz で ,連 続 し た 16 回 の 記 録 を 行 っ た . バ ン ド パ ス は , 1Hz か ら 3 KHz と し た . そ し て , 16 回 の 刺 激 で 得 ら れ た F 波 の 平 均 振 幅 を 求 め ,同 時 に 記 録 さ れ た M 波 と の 振 幅 比 を 計 算 し た .以 下 ,こ の 値 を F/M 振 幅 比 と し て 分 析 項 目 と し た .な お ,F 波 の 記 録 と 測 定 は 研 究 者 一 人 で 行 っ た . 測 定 は ま ず 安 静 時 の F 波 を 測 定 す る た め ,ボ ー ル の 上 に 軽 く 手 を 置 い て 母 指 対 立 位 で あ る 機 能 的 肢 位 と し た 状 態 で 測 定 を 行 っ た . そ の 後 以 下 の MI 課 題 を ラ ン ダ ム で 行 っ た . 課 題 1: ボ ー ル の 上 に 軽 く 手 を 置 い て 母 指 対 立 位 で あ る 機 能 的 肢 位 と し た 状 態 で 最 大 収 縮 の 等 尺 性 収 縮 で の 把 持 す る イ メ ー ジ を 行 い ,F 波 を 導 出 し た . 課 題 2: 公 式 野 球 ボ ー ル の 上 に 軽 く 手 を 置 い て 母 指 対 立 位 で あ る 機 能 的 肢 位 と し た 状 態 で 最 大 収 縮 の 等 尺 性 収 縮 イ メ ー ジ を 行 い , イ メ ー ジ す る 際 に ボ ー ル の 縫 い 目 や ボ ー ル の 素 材 を 知 覚 し て も ら い な が ら 把 持 す る イ メ ー ジ を 行 い ,F 波 を 導 出 し た . な お , 課 題 1 と 課 題 2 の ボ ー ル の 直 径 は 同 様 で あ る が , 課 題 1 の ボ ー ル に は 縫 い 目 が な い も の と し た .( 図 4)

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図 4 各 課 題 の 肢 位

研 究 1 と 同 様 に 各 課 題 直 後 に ,イ メ ー ジ 想 起 能 力 の 鮮 明 度 評 価 と し て Hall ら 1 8 , 1 9 )

が 作 成 し た Movement Imagery Questionnaire -revised(MIQ-R)を 用 い て , 評 価 ス ケ ー ル で あ る Kinesthetic Imagery Scale の 7 件 法 で 測 定 し た .

な お ,MI 課 題 中 は , 手 指 を 動 か す 事 を 禁 止 し て 力 を 入 れ な い よ う に 口 頭 で 指 示 し , 開 始 時 に 力 が 入 っ て い な い こ と を 筋 電 計 の 波 形 で 確 認 し て か ら 測 定 を 行 っ た . 3. 分 析 方 法 一 元 配 置 分 散 分 析 (ANOVA ) と 多 重 比 較 ( TukeyHSD 法 ) を 用 い , 安 静 時 , 課 題 1 ,課 題 2 の そ れ ぞ れ に お け る F/M 振 幅 比 に つ い て 比 較 を 行 っ た .イ メ ー ジ 想 起 能 力 の 評 価 は Wilcoxon 検 定 を 行 い ,解 析 は SPSS Statistics21.0 を 用 い て 有 意 水 準 を 5%未 満 と し た . 4. 倫 理 的 配 慮 研 究 へ の 参 加 は 自 由 意 志 で あ り な ん ら 強 制 さ れ な い こ と , 参 加 に 同 意 し な い 場 合 で も , 不 利 益 を こ う む る こ と は 一 切 な い こ と を 約 束 す る . ま た , 研 究 の い か な る 段 階 で も , 被 験 者 の 自 由 意 志 に も と づ き , 研 究 を 中 止 し た り , 同 意 を 撤 回 で き た り す る こ と を 文 書 で 周 知 す る .

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研 究 で 使 用 す る 筋 電 図 検 査 は F 波 導 出 時 に 手 首 の 神 経 に 電 気 刺 激 を 与 え て 記 録 を 行 う .F 波 は 臨 床 検 査 と し て 一 般 的 な も の で あ り 危 険 性 は 極 め て 低 い も の で あ る が 強 い 痛 み を 自 覚 す る こ と が あ る た め , 不 快 感 を 訴 え ら れ た 場 合 は す ぐ に 中 止 し 研 究 機 関 の 長 及 び 研 究 倫 理 委 員 会 に す み や か に 報 告 す る こ と と し た . こ の 研 究 で 得 ら れ た デ ー タ は , 本 研 究 の 目 的 以 外 で 使 用 す る こ と は な い . 研 究 に 関 す る 資 料 は , 研 究 責 任 者 以 外 の 目 に 触 れ る こ と が な い よ う に , 厳 重 に 管 理 ・ 保 管 し , 本 研 究 終 了 後 に 削 除 ・ 破 棄 す る . な お , 本 研 究 は 筆 者 の 所 属 す る 平 成 医 療 短 期 大 学 の 倫 理 審 査 ( 第 H27-25) で 承 認 さ れ て い る . 第 3 節 結 果 事 前 に 行 っ た 個 人 の イ メ ー ジ 能 力 ( 心 的 イ メ ー ジ 回 転 統 御 能 力 ) の 評 価 で は 右 手 の 画 像 の 平 均 正 答 率 が 89.29±10.72% , 左 手 の 画 像 の 平 均 正 答 率 が 85.71±7.56% で あ り , 全 て 右 利 き 手 の 被 験 者 で あ っ た が , 正 答 率 の 左 右 差 に 有 意 差 は 認 め な か っ た . さ ら に , 一 つ の 画 像 に 対 す る 平 均 回 答 時 間 は 右 手 の 画 像 で 平 均 1.28±0.31 秒 , 左 手 の 画 像 で 平 均 1.31±0.30 秒 で あ り ,回 答 時 間 も 左 右 差 に 有 意 差 は 認 め な か っ た . 著 し く 正 答 率 が 低 い 者 や 回 答 時 間 が 遅 延 し た 被 験 者 は 認 め な か っ た . 1. F/M 振 幅 比 に つ い て 各 課 題 で の F/M 振 幅 比 と 標 準 偏 差 は 以 下 の 結 果 ( 表 2) と な っ た . 表 2 各 課 題 の F / M 振 幅 比 と 多 重 比 較 に よ る p 値 の 内 訳 安 静 時 と 比 較 し て 課 題 1 , 課 題 2 と も F / M 振 幅 比 が 有 意 に 増 加 し た が , 更 に 課 題 1 よ り も 課 題

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2 で は 有 意 に 向 上 し た . 分 散 分 析 で の グ ル ー プ 間 の 有 意 確 率 は p=0.000 で あ り , Levence 検 定 に て 0.721 と な り 等 分 散 し て い る こ と を 確 認 し た .TukeyHSD 法 を 用 い た 多 重 比 較 で は , 安 静 時 と 課 題 1 の F/M 振 幅 比 の 比 較 に お い て , 等 尺 性 収 縮 の イ メ ー ジ に よ っ て 有 意 に F/M 振 幅 比 の 増 加 を 認 め た .ま た ,安 静 時 と 課 題 2 の F/M 振 幅 比 の 比 較 に お い て も 同 様 に , イ メ ー ジ に よ っ て 有 意 に F/M 振 幅 比 の 増 加 を 認 め た . 課 題 1 と 課 題 2 の 比 較 で は ,イ メ ー ジ す る 際 に ボ ー ル の 縫 い 目 や ボ ー ル の 素 材 を 知 覚 し て も ら い な が ら 把 持 す る 課 題 2 の イ メ ー ジ を す る ほ う が ,F/M 振 幅 比 は 有 意 に 増 大 し て い た . 2. イ メ ー ジ 後 の 鮮 明 性 評 価 に つ い て 各 イ メ ー ジ の 鮮 明 性 評 価 で は , 課 題 1 で 中 央 値 4.5 で あ り , 課 題 2 で は 中 央 値 3 と い う 結 果 で あ り , 統 計 的 な 有 意 差 は な か っ た . 第 4 節 考 察 日 常 に お け る 触 覚 の 質 感 認 知 は , 必 ず 視 覚 情 報 が 事 前 に も た ら さ れ , 前 も っ て 触 れ る 対 象 の 情 報 を 知 識 と し て 知 っ て い る 必 要 が あ る . 今 回 の 対 象 者 で あ る 野 球 投 手 は 毎 日 ボ ー ル に 触 れ , 視 覚 認 知 に 必 要 な 事 前 情 報 は 充 分 に あ る と 考 え ら れ る . ま た 投 手 は 投 球 動 作 に お い て ボ ー ル の 縫 い 目 や 素 材 の 質 感 な ど の 触 感 覚 を 気 に す る た め , よ り 縫 い 目 に 注 意 が 喚 起 し 易 く , 質 感 認 知 を 促 し 易 い と 考 え ら れ る .Klatzky ら 3 8 ) は , 表 面 の 凸 凹 や 滑 ら か さ と い っ た 特 定 の 視 覚 情 報 が , 触 り た く な る と い う 衝 動 を 喚 起 す る と し て お り , こ の こ と か ら も , よ り ボ ー ル を 把 持 す る 際 に 縫 い 目 の 質 感 認 知 を し な が ら MI を 惹 起 で き る と 考 え ら れ る こ と か ら 被 験 者 を 野 球 投 手 と し た . 脊 髄 前 角 細 胞 の 興 奮 性 の 評 価 は , 被 験 筋 の 支 配 神 経 を 経 皮 的 に 電 気 刺 激 す る こ と に よ っ て 被 験 筋 か ら 導 出 さ れ る H 波 ,F 波 が 用 い ら れ る .上 肢 で は H 波 は 安 定 し て 得 ら れ る 筋 が 限 ら れ 1 5 )F 波 が 一 般 的 で あ る . な お , F 波 は , 末 梢 神 経 に 加 え ら れ た 電 気 刺 激 に よ る イ ン パ ル ス が 逆 行 性 に 上 行 し , 脊 髄 前 角 細 胞 に 達 し た 後 に , 順 行 性 に 下 行 す る 興 奮 が 生 じ た 場 合 に 記 録 さ れ る 複 合 筋 活 動 電 位 で あ る .F 波 の 波 形 は

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刺 激 の 度 に 変 化 し ,そ の 振 幅 は 脊 髄 前 角 細 胞 の 興 奮 性 を 反 映 し て い る 2 0 )と さ れ て い る . 振 幅 は 波 形 ご と で 様 々 で 一 致 し な い た め , 最 大 M 波 振 幅 に 対 す る 平 均 F 波 振 幅 の 値 を F/M 振 幅 比 と し て 分 析 し た . F 波 導 出 前 に 行 っ た メ ン タ ル ロ ー テ ー シ ョ ン 課 題 は 反 応 時 間 が 遅 い ほ ど MI の 想 起 能 力 が 低 い 2 3 )と さ れ て い る .今 回 の 被 験 者 に は ,著 し く 反 応 時 間 が 遅 れ て い る 者 は い な か っ た の で , 全 例 統 計 解 析 に 加 え た . 今 回 得 ら れ た 結 果 と し て , た だ 単 に ボ ー ル を 握 る イ メ ー ジ で も , 質 感 認 知 を し な が ら ボ ー ル を 握 る 運 動 の イ メ ー ジ を し て も , 脊 髄 前 角 細 胞 の 興 奮 性 が 増 大 す る こ と を 確 認 し た . そ し て , た だ 単 に ボ ー ル を 握 る イ メ ー ジ だ け よ り も 質 感 認 知 を し な が ら イ メ ー ジ を し た 方 が , 促 通 効 果 が 大 き い こ と が 確 認 で き た . こ の 促 通 現 象 が 生 じ る 生 理 学 的 メ カ ニ ズ ム と し て ,事 前 の 視 覚 情 報 が 触 れ た 時 の 触 覚 の 質 感 を 推 測 さ せ , さ ら に 実 際 に 触 れ る こ と で 触 覚 か ら の 感 覚 情 報 に よ っ て よ り リ ア ル に 握 る イ メ ー ジ が 惹 起 さ れ た と 考 え る . ま た 小 脳 に 蓄 え ら れ た 運 動 記 憶 と 照 合 さ れ て , 前 頭 葉 や 基 底 核 へ の フ ィ ー ド フ ォ ー ワ ー ド 2 4 )を 変 化 さ せ ,錐 体 路 や 錐 体 外 路 か ら の 下 行 性 入 力 が 脊 髄 前 角 細 胞 や 周 囲 の 介 在 ニ ュ ー ロ ン に 影 響 を 及 ぼ し て い る 可 能 性 や , 頭 頂 葉 で 認 識 さ れ る 体 性 感 覚 が 運 動 野 や 基 底 核 に 影 響 し て い る 可 能 性 も 考 え ら れ る . し か し な が ら イ メ ー ジ の 鮮 明 性 評 価 の 結 果 か ら は , 差 は み ら れ て い な い . 質 感 認 知 を し な が ら の イ メ ー ジ 想 起 は , 握 る イ メ ー ジ だ け で な く 縫 い 目 の 質 感 ま で を 感 じ な が ら イ メ ー ジ を 鮮 明 に 想 起 す る の は 難 し い こ と が 判 明 し た . 脳 卒 中 片 麻 痺 患 者 は ,運 動 や 感 覚 障 害 に よ り 知 覚 情 報 を 認 知 し に く く な っ て お り , 体 と 環 境 と の 相 互 作 用 シ ス テ ム が 崩 れ る た め , 運 動 療 法 を 行 う に は , そ れ ぞ れ の 患 者 の 全 体 像 を 把 握 し て , 個 別 に 対 応 す る 必 要 が あ る . 臨 床 場 面 で は 脳 イ メ ー ジ ン グ 装 置 で の 検 証 は 困 難 な 場 合 が 多 い . ま た MI で 皮 質 機 能 の 興 奮 性 が 増 加 し て も , 脊 髄 神 経 機 能 に 変 化 が な け れ ば MI を 治 療 技 術 と し て 臨 床 応 用 す る の は 困 難 で あ る . 今 回 行 っ た 質 感 認 知 を 利 用 し た MI は , 脊 髄 前 角 細 胞 が 促 通 さ れ る こ と が 示 さ れ た .MI を 効 率 的 に 働 か せ る た め に は 多 様 な 感 覚 モ ダ リ テ ィ を 通 じ た 刺 激 を 考 慮 す る 必 要 が あ る こ と が あ る 事 が 明 ら か と な っ た .

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第 5 節 限 界 と 課 題 今 回 の 研 究 の 限 界 と し て , 本 デ ー タ で 得 ら れ た 結 果 は 現 役 野 球 投 手 に 対 し て の デ ー タ で あ る . そ の た め , 本 研 究 で 明 ら か に な っ た 質 感 認 知 を し な が ら MI を 行 う こ と で 脊 髄 前 角 細 胞 の 興 奮 が 変 化 す る 事 が , 全 て の 人 に と っ て 共 通 な 見 解 で あ る か は 不 明 で あ る . ま た , 本 研 究 で 使 用 し た ボ ー ル は , 直 径 は 同 じ で あ る が 縫 い 目 の 無 い ボ ー ル と , 公 式 野 球 ボ ー ル で の 比 較 の た め , 公 式 野 球 ボ ー ル の 縫 い 目 か ら の 接 触 刺 激 入 力 が ど れ ほ ど 影 響 し て い る の か は 明 ら か に 出 来 な い . 測 定 方 法 に 関 し て は ,F 波 導 出 時 に 口 頭 で 随 意 的 な 筋 収 縮 を 行 わ な い よ う 説 明 し , 検 者 が 目 視 に て 事 前 の 波 形 の 確 認 , な ら び に 出 現 頻 度 を 分 析 項 目 に 含 め な い な ど の 工 夫 は 行 な っ た が 限 界 が あ る . ま た 短 母 指 外 転 筋 を 対 象 と し た 検 査 で あ り 筋 電 図 測 定 時 に 母 指 以 外 の 示 指 か ら 小 指 に 筋 収 縮 が 生 じ た と し て も そ れ が 関 連 す る の か ど う か は 明 ら か で な い . 今 後 , 野 球 未 経 験 者 に 対 し て 調 査 し 同 様 の 効 果 が あ る か 調 査 す る こ と が 課 題 で あ る .

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3 章

野 球 未 経 験 者 が 野 球 ボ ー ル の 質 感 認 知 を し な が

ら の 把 持 運 動 イ メ ー ジ は 脊 髄 前 角 細 胞 の 変 化 に

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第 1 節 序 論 ・ 背 景 現 在 , さ ま ざ ま な 先 行 研 究 に お い て 運 動 を イ メ ー ジ し た 際 に , 脊 髄 前 角 細 胞 が 興 奮 す る こ と が 明 ら か に な っ て き て い る . 筆 者 の 研 究 で は 研 究 1 に て ボ ー ル を 把 持 す る MI の 際 に , 実 際 の 被 験 者 自 身 の 手 の 肢 位 の 違 い で の 検 討 を 回 外 位 と 機 能 的 肢 位 で 比 較 検 討 を 行 い , 機 能 的 肢 位 で の MI の 時 が よ り 効 率 的 に 脊 髄 前 角 細 胞 の 興 奮 が 得 ら れ る こ と を 述 べ た . さ ら に 研 究 2 に て 把 持 イ メ ー ジ を す る 際 に , 把 持 す る 野 球 ボ ー ル の 縫 い 目 や 素 材 を 知 覚 し な が ら MI を 行 う こ と が , 脊 髄 前 角 細 胞 の 興 奮 が 得 ら れ る こ と が 明 ら か と な っ た . し か し , 対 象 が 現 役 野 球 投 手 で あ っ た た め 課 題 特 異 的 な 作 用 が 働 い て い る 可 能 性 が 考 え ら れ る . す な わ ち , 野 球 の 投 手 は 毎 日 ボ ー ル に 触 れ 視 覚 認 知 に 必 要 な 事 前 情 報 は 充 分 に あ る と 考 え ら れ , ま た 投 手 は 投 球 動 作 に お い て ボ ー ル の 縫 い 目 や 素 材 の 質 感 な ど の 触 感 覚 を 気 に す る た め , よ り 縫 い 目 に 注 意 が 喚 起 し 易 く ,質 感 認 知 を 促 し 易 い と 考 え ら れ る .同 様 の 方 法 で 野 球 の 未 経 験 者 が , 把 持 す る ボ ー ル の 素 材 や 縫 い 目 な ど の 質 感 認 知 を し な が ら の 把 持 イ メ ー ジ が , 野 球 選 手 と 同 様 に 脊 髄 前 角 細 胞 の 興 奮 が み ら れ る か は 不 明 で あ る . そ こ で 本 研 究 で は 研 究 2 と 同 様 の 方 法 で , 対 象 者 を 野 球 の 未 経 験 者 と し 脊 髄 前 角 細 胞 の 興 奮 性 変 化 を 検 討 し た . 第 2 節 方 法 1. 対 象 対 象 者 は , 健 康 成 人 で 野 球 未 経 験 者 で あ り 整 形 外 科 的 既 往 , 並 び に 神 経 疾 患 の 既 往 の 無 い 者 と し , 右 利 き 手 の 22 名 , 平 均 年 齢 ±標 準 偏 差 20.05±0.95 歳 , 男 性 4 名 , 女 性 18 名 で あ る . な お , 右 利 き て の 判 定 は , 事 前 に エ デ ィ ン バ ラ 利 き 手 テ ス ト を 用 い て 右 利 き 手 を 判 定 し た . 本 研 究 の 目 的 と 方 法 を 口 頭 と 文 章 で 説 明 し た 後 , 協 力 を 申 し 出 た 者 と し た . 2. 方 法 研 究 2 と 同 様 に , ま ず 個 人 の イ メ ー ジ 能 力 ( 心 的 イ メ ー ジ 回 転 統 御 能 力 ) の 評 価 と し て 手 の メ ン タ ル ロ ー テ ー シ ョ ン 課 題 を 行 っ た . 使 用 し た の は WEB ア プ リ の

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Neuro Orthopaedic Institute Australasia の Recognise Online を 用 い て 測 定 を 行 っ た . そ の 時 の 左 右 手 の 画 像 そ れ ぞ れ の 平 均 正 答 率 と 平 均 回 答 時 間 を 測 定 し た . 次 に 脊 髄 前 角 細 胞 の 興 奮 性 の 測 定 と し て 日 本 光 電 社 製 の 誘 発 筋 電 計 MEB-9402 を 使 用 し F 波 の 導 出 を 行 な っ た . こ の 時 , 被 験 者 の 肢 位 は 研 究 2 と 同 様 と し , 木 村 1 7 )の 方 法 に 従 い , 手 関 節 部 で 正 中 神 経 を 最 大 上 刺 激 し , 右 短 母 指 外 転 筋 か ら ベ リ ー テ ン ド ン 法 で F 波 を 導 出 し た .刺 激 間 隔 は 1 Hz で ,連 続 し た 16 回 の 記 録 を 行 っ た . バ ン ド パ ス は , 1Hz か ら 3 KHz と し た .そ し て ,16 回 の 刺 激 で 得 ら れ た F 波 の 平 均 振 幅 を 求 め ,同 時 に 記 録 さ れ た M 波 と の 振 幅 比 を 計 算 し た .以 下 ,こ の 値 を F/M 振 幅 比 と し て 分 析 項 目 と し た . な お ,F 波 の 記 録 と 測 定 は 研 究 者 一 人 で 行 っ た . 測 定 は ま ず 安 静 時 の F 波 を 測 定 す る た め ,ボ ー ル の 上 に 軽 く 手 を 置 い て 母 指 対 立 位 で あ る 機 能 的 肢 位 と し た 状 態 で 測 定 を 行 っ た . そ の 後 以 下 の MI 課 題 を ラ ン ダ ム で 行 っ た . 課 題 1: ボ ー ル の 上 に 軽 く 手 を 置 い て 母 指 対 立 位 で あ る 機 能 的 肢 位 と し た 状 態 で 最 大 収 縮 の 等 尺 性 収 縮 で の 把 持 す る イ メ ー ジ を 行 い ,F 波 を 導 出 し た . 課 題 2: 公 式 野 球 ボ ー ル の 上 に 軽 く 手 を 置 い て 母 指 対 立 位 で あ る 機 能 的 肢 位 と し た 状 態 で 最 大 収 縮 の 等 尺 性 収 縮 イ メ ー ジ を 行 い , イ メ ー ジ す る 際 に ボ ー ル の 縫 い 目 や ボ ー ル の 素 材 を 知 覚 し て も ら い な が ら 把 持 す る イ メ ー ジ を 行 い ,F 波 を 導 出 し た . な お , 課 題 1 と 課 題 2 の ボ ー ル の 直 径 は 同 様 で あ る が , 課 題 1 の ボ ー ル に は 縫 い 目 が な い も の と し た . 研 究 1 と 同 様 に 各 課 題 直 後 に ,イ メ ー ジ 想 起 能 力 の 鮮 明 度 評 価 と し て Hall ら 1 8 , 1 9 )

が 作 成 し た Movement Imagery Questionnaire -revised(MIQ-R)を 用 い て , 評 価 ス ケ ー ル で あ る Kinesthetic Imagery Scale の 7 件 法 で 測 定 し た .

な お ,MI 課 題 中 は , 手 指 を 動 か す 事 を 禁 止 し て 力 を 入 れ な い よ う に 口 頭 で 指 示 し , 開 始 時 に 力 が 入 っ て い な い こ と を 筋 電 計 の 波 形 で 確 認 し て か ら 測 定 を 行 っ た . 3. 分 析 方 法 一 元 配 置 分 散 分 析 (ANOVA ) と 多 重 比 較 ( TukeyHSD 法 ) を 用 い , 安 静 時 , 課 題 1 ,課 題 2 の そ れ ぞ れ に お け る F/M 振 幅 比 に つ い て 比 較 を 行 っ た .イ メ ー ジ 想 起 能 力 の 評 価 は Wilcoxon 検 定 を 行 い ,解 析 は SPSS Statistics21.0 を 用 い て 有 意 水 準 を 5%未 満 と し た .

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4. 倫 理 的 配 慮 研 究 へ の 参 加 は 自 由 意 志 で あ り な ん ら 強 制 さ れ な い こ と , 参 加 に 同 意 し な い 場 合 で も , 不 利 益 を こ う む る こ と は 一 切 な い こ と を 約 束 す る . ま た , 研 究 の い か な る 段 階 で も , 被 験 者 の 自 由 意 志 に も と づ き , 研 究 を 中 止 し た り , 同 意 を 撤 回 で き た り す る こ と を 文 書 で 周 知 す る . 研 究 で 使 用 す る 筋 電 図 検 査 は F 波 導 出 時 に 手 首 の 神 経 に 電 気 刺 激 を 与 え て 記 録 を 行 う .F 波 は 臨 床 検 査 と し て 一 般 的 な も の で あ り 危 険 性 は 極 め て 低 い も の で あ る が 強 い 痛 み を 自 覚 す る こ と が あ る た め , 不 快 感 を 訴 え ら れ た 場 合 は す ぐ に 中 止 し 研 究 機 関 の 長 及 び 研 究 倫 理 委 員 会 に す み や か に 報 告 す る こ と と し た . こ の 研 究 で 得 ら れ た デ ー タ は , 本 研 究 の 目 的 以 外 で 使 用 す る こ と は な い . 研 究 に 関 す る 資 料 は , 研 究 責 任 者 以 外 の 目 に 触 れ る こ と が な い よ う に , 厳 重 に 管 理 ・ 保 管 し , 本 研 究 終 了 後 に 削 除 ・ 破 棄 す る . な お , 本 研 究 は 筆 者 の 所 属 す る 平 成 医 療 短 期 大 学 の 倫 理 審 査 ( 第 H27-25) で 承 認 さ れ て い る . 第 3 節 結 果 事 前 に 行 っ た 個 人 の イ メ ー ジ 能 力 ( 心 的 イ メ ー ジ 回 転 統 御 能 力 ) の 評 価 で は 右 手 の 画 像 の 平 均 正 答 率 が 87.27±9.85% , 左 手 の 画 像 の 平 均 正 答 率 が 85.27±13.17% で あ り , 全 て 右 利 き 手 の 被 験 者 で あ っ た が , 正 答 率 の 左 右 差 に 有 意 差 は 認 め な か っ た . さ ら に , 一 つ の 画 像 に 対 す る 平 均 回 答 時 間 は 右 手 の 画 像 で 平 均 1.39±0.48 秒 , 左 手 の 画 像 で 平 均 1.34±0.40 秒 で あ り ,回 答 時 間 も 左 右 差 に 有 意 差 は 認 め な か っ た . 著 し く 正 答 率 が 低 い 者 や 回 答 時 間 が 遅 延 し た 被 験 者 は 認 め な か っ た . 1. F/M 振 幅 比 に つ い て 各 課 題 で の F/M 振 幅 比 と 標 準 偏 差 は 以 下 の 結 果 ( 表 3) と な っ た .

表 1   各 課 題 の F / M 振 幅 比 と 多 重 比 較 に よ る p 値 の 内 訳   回 外 位 安 静 の 状 態 で 運 動 イ メ ー ジ を 行 っ て も F / M 振 幅 比 の 増 加 に 差 は 無 い が ,機 能 的 安 静 の 状 態 で イ メ ー ジ を 行 う と 有 意 に 向 上 し た . 分 散 分 析 で の グ ル ー プ 間 の 有 意 確 率 は p=0.000 で あ り , Levence 検 定 に て 0.127 と な り 等 分
図 3 : 各 課 題 時 の F 波 測 定 の 結 果   F 波 測 定 の 一 例 で あ る . 初 め に M 波 が 出 現 し そ の 後 F 波 の 出 現 を 認 め る . 機 能 的 運 動 イ メ ー ジ が も っ と も F 波 振 幅 が 大 き い こ と が 分 か る .   2
図 4   各 課 題 の 肢 位
表 3   各 課 題 の F / M 振 幅 比 と 多 重 比 較 に よ る p 値 の 内 訳 安 静 時 と 比 較 し て 課 題 1 , 課 題 2 と も F / M 振 幅 比 が 有 意 に 増 加 し た が , 課 題 1 と 課 題 2 で は 有 意 な 差 を み と め な か っ た .   分 散 分 析 で の グ ル ー プ 間 の 有 意 確 率 は p=0.008 で あ り , Levence 検 定 に て 0.054 と な り 等 分 散 し て い る
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参照

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