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古民家の構法と寸法体系 : 住空間の史的展開過程に関する研究(その13)

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Kobe Shoin Women’s University Repository

Title

古民家の構法と寸法体系

―住空間の史的展開過程に関する研究(その 13)―

The Structural Systems of our old Farmers' Dwellings

Author(s)

島村 昇(Shimamura Noboru)

Citation

生活科学論叢(Review of Living Science)

No.29:1-26

Issue Date

1998

Resource Type

Bulletin Paper / 紀要論文

Resource Version

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Right

(2)

古民家の構法 と寸法体系

住 空 間 の 史 的展 開 過 程 に 関 す る研 究(そ の13)

1.ワ ク ノ ウチ ヅ ク リ以 前 の 構 法 1-1坪 川 家 の 平 面 形 式 1-2モ ヤ の基 本 的 骨 格 1-3セ イ ロ ウ組 み 以 前 の梁 組 み 1-4ア マ 荷 重 との 関係 1-5屋 根 架 構 との 関係 1-6ア マ 根 太 の構 成 手 法 2.ワ ク ノ ウ チ ヅ ク リ以 前 の 寸 法 体 系 2-1全 寸 法 体 系(ヨ コ方 向) 2-2全 寸 法 体 系(タ テ 方 向) 2-3ニ ワ と オエ の 寸 法 体 系 2-4ロ ッポ ンバ ラ シ と問 仕 切 の 関係 2-5ナ カ ノマ とブ ツ マ の 寸 法 体 系 2-6坪 川 家 の 寸 法 体 系 序 加 賀 農 村 住 居 の伝 統 的 な構 法 と され て い る ワ ク ノ ウチ ヅ ク リ(枠 の 内造 り)の 特 色 は 、 オ エ を 囲 む6本 の 主 要 な柱(ロ ッ ポ ンバ ラ シ)と そ の上 に組 ま れ た セ イ ロ ウ(井 籠)組 み と い わ れ る梁 組 み で あ る 。 これ らの構 法 は、 オエ(イ ロ リの あ る 中心 的 な ヒ ロマ)の 発 展 と軌 を 一 に して発 達 した 架 構 方 式 で あ るが 、 そ れ は近 世 を 通 じて(あ る い は も う少 し古 い か も知 れ な い)遂 行 され 現 代 に至 っ て い る 。 本 論 は 、 そ の ワ ク ノ ウチ ヅ ク リ以 前 の構 法 を究 明 す る こ と を 目的 と して い るが 、 構 法 と 同 時 に そ の構 法 に採 用 され て い る 寸 法 体 系 、 す な わ ち古 代 の7尺 間 、 中世 の6.5尺 間 、桃 山 時 代 の6.3尺 間 、6.3尺 内 法 制 、 近 世 の6尺 間 、6尺 内 法 制 等 の寸 法 体 系 の うち どの 寸 法 体 系 を 用 い て い る か を も検 討 す る。 本 来 、 構 法 と寸 法 体 系 は 一 体 的 な もの で あ り、 両 者 を合 わ せ て ワ ク ノ ウチ ヅ ク リ 以 前 の構 法 を追 求 した い。 一1

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1.ワ ク ノ ウ チ ヅ ク リ以 前 の 構 法 1-1坪 川 家 の平 面 形 式 加 賀 に隣 接 す る越 前 地 方 も類 似 の民 家 型 で あ る 。加 賀 か ら南 方 に 山一 つ(大 内 峠)を 越 え た 越 前 の 山裾(現 ・福 井 県 丸 岡 町)に 坪 川 家 が あ る 。 同家 は加 賀 で い え ば 十 村(大 庄 屋)級 の家 柄 で 、 歴 代 の居 住 した家 屋 は 中 世 の様 式 を うか が わせ る古 民 家 で あ る 。 建 設 年 代 は近 世 初 期 と され て い る 国 指 定 重 要 文 化 財 物 件 で あ り、 現 地 公 開 保 存 で あ る[写 真1]。 写真1坪 川 家 の外 観 平 面 形 式 は[図1]に み られ る よ う に、 加 賀 地 方 と同様 の前 面 大 ドマ ・ヒ ロ マ 型 で あ る 。 ヒ ロ マ の オエ 呼 称 も 同様 で あ る。 オ エ 背後 の2列 構 成 も 同 じ形 式 を もっ て い るが 、 当坪 川 家 の場 合 は 左 列 が2段 、右 列 が1段 で 段 数 が異 な る。 ま た 、 左 右 の段 の 間仕 切 は横 に通 らな い 。2列 の 段 数 が 異 っ て家 屋 背 後 に 凸 凹 が で きる の は、 室 の増 殖 に よる もの で あ る 。 そ の意 味 で 当 家 は 当 地 方 の 住 空 間 の発 展 過 程 を も跡 づ け て もい る。 当家 の立 地 は 山裾 で あ る か ら一 方 は 山側 、 他 方 は平 野側 で あ る 。 本 論 第1巻 の 白 山 山 村 住 居 で は 山側 をヤ マ カ タ(山 方)、反 対 の 谷 側 を ハ マ カ タ(浜 方)と 呼 び 、 ヤ マ カ タ を生 活 系 の 空 間 、 ハ マ カ タ を祭 祀 ・儀 礼 系 の 空 間 に当 て て い た が 、 当坪 川 家 の場 合 も 同様 で あ る 。 当 家 の 場 合 は 平 面 の 右 方 が ヤ マ カ タ で あ り、左 方 が ハ マ カ タで あ る 。 し た が っ て 、 当 家 は右 勝 手 の 家(右 方 に 生 活 系 の ミズ ヤ ・タ ナ マ エ(イ ロ リ)・ ナ ン ドが くる)で あ る 。 加 賀 地 方 と 同様 妻 入 り タテ ヤ(縦 屋)造 りで あ る当 家 が前 面 か らニ ワ、 オエ 、 諸 室 と大 き くは タテ方 向 に3つ の 部 分 を縦 列 させ て い るの は、 シモ(下)か ら カ ミ(上)へ の空 間構 成 で あ るが 、 他 方 ヨ コ方 向 に は 上 記 の ヤ マ タ カ とハ マ カ タの 空 間構成 で あ る 。平 面 右 方 の ヤ マ カ タ に は 、 ミズ ヤ 、 イ ロ リ(タ ナ マ エ)、ナ ン ドの生 活 系 の 空 間 が 配 列 され 、 左 方 の ハ マ カ タに はゲ ン カ ンか らオ 一2一

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図1坪 川 家 の平面 形式 工 左 半 分 の客 用 通 路 、 ナ カ ノマ(客 室)、ブ ツ マ が 縦 列 す る。 これ ら は 明 らか に祭 祀 ・儀 礼 系 の 空 間 で あ る。 当 坪 川 家 の特 色 は、 当地 方 の 基 本 的 な空 間構 成 を踏 ま え な が ら も家 格 に応 じた 大 規 模 な住 居 で あ る こ と、 そ の規 模 に応 じた 大 ヒ ロ マ の オエ を有 して い る こ と、 祭 祀 ・儀 礼 系 空 間 が2段 に発 達 して い る こ とで あ る。 前 節 の 高 田家 で は オ エ 背 後 の 諸 室 は改 造 の 結 果 とは い え2室(ブ ツマ とナ ン ド)で あ っ た が 、 当 坪 川 家 で は3室(ブ ッマ 、 ナ カ ノマ 、 ナ ン ド)で あ る。 1-2モ ヤ の基 本 的 骨 格 前 節 の 高 田 家 の モ ヤ は、 ロ ッポ ンバ シ ラ に よ る ワ ク ノ ウチ が 基 本 的 骨 格 で あ っ た 。 家 屋 平 面 の 中央 に構 成 され た ワ ク ノ ウ チ は 、 一 種 の コ アー ・シ ス テ ム(核)構 造 で あ った 。 坪 川 家 にお い て も も ち ろ ん ロ ッ ポ ンバ シ ラ と称 され る オ エ まわ りの太 い柱 は存 在 し、 一 見 高 田 家 と同様 の ワ ク ノ ウチ を構 成 して い る よ う に見 え る が 、 そ れ に先 立 っ て坪 川 家 は さ ら に古 い構 法 と示 唆 す る柱 を も っ て い る。 そ の 柱 は マ タバ シ ラ(股 柱)と 呼 ば れ る太 い柱 で あ る 。 マ タバ シ ラ は そ の名 が 示 す よ うに 、 柱 頂 部 が 二 股 に分 か れ た天 然 の 樹 形 を生 か した柱 で あ る[写 真2]。 マ タバ シ ラの使 用 は 、 当坪 川 家 に 限 らず 古 くは縄 文 時 代 の タテ 穴 住 居 に ま で遡 及 す る古 い柱 の 形 式 で あ る。 も ち ろ ん 、縄 文 時 代 一3

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坪川 家の マ タバ シ ラ 写真2 (註)正 面 ・ウ ラ通 りのマ タバ シ ラ に 当坪 川 家 の よ うに 太 い 柱 が一 般 に使 用 され た とは お も え な いが 、 二 股 の柱 の使 用 は 原 始 住 居 以 来 の構 法 で あ り、 当 坪 川 家 の マ タ バ シ ラ もそ の 流 れ の 中 に あ る 。 マ タバ シ ラ は そ の 柱 の形 状 が 原 始 的 な い しは古 代 的 で あ る だ け で は な く、 柱 の位 置 そ の もの に も原 始 性 な い し古 代 性 が み と め られ る 。 マ タバ シ ラの 位 置 は[図2]に 示 す よ う に、 当 家 の 平 面 上 で は基 本 的 骨 格 を成 す 長 方 形 の4隅 に配 置 され てい る 。本 論 第1巻 で 紹 介 した 白 山 山村 住 居 の 中 に、 セ ン ダチ(先 建 ち)と 呼 ば れ る構 法 が あ り、 そ れ は コマ タ(小 股)と 呼 ばれ る マ タバ シ ラ を長 方 形 平 面 の4隅 に建 て 、 長 辺 方 向 に2本 の タ テ桁 を股 の 間 に乗 せ 、 そ の 上 に ヨコ桁 を渡 す 構 法 で あ っ た 。 当 坪 川 家 の マ タバ シ ラ とタ テ桁 、 ヨ コ桁 の 関係 は ホ ゾザ シ(柄 差 し)に な っ て い て 、 セ ン ダチ の よ う に二 股 の 間 に た だ 乗 せ る だ け の構 法 よ りは か な り発 達 して い る が 、 そ れ は 当 家 の 所 属 す る 時 代 性 に よ る。 天 然 の樹 形 をそ の ま ま と し た マ タバ シ ラ の使 用 、 マ タ バ シ ラ を長 方 形 平 面 の4隅 に配 し、タテ 桁 と ヨ コ桁 を受 け て い る こ と、こ う した構 法 は い う まで もな くワ ク ノ ウチ ヅ ク リ(枠 の 内 造 り)よ りは るか に古 い 構 法 で あ り、 そ の構 法 が 当坪 川 家 の基 本 的 骨 格 を成 して い る こ とが 重 要 で あ る 。 な お 、 当坪 川 家 の マ タバ シ ラ は 現 在3本 で あ り、4本 か ら み る と1本 が 欠 落 して い る 。 欠 落 し て い る1本 は[図2]に よ っ て 明 ら か な よ う に、 ブ ツマ を増 築 した 際 に撤 去 した か 、 ブ ッ マ の た め に当 初 か ら1本 を 欠 い た 形 で 建 設 した か で あ る 。 お そ ら く前 者 で あ ろ う。 4

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図2マ タバ シラ によ るモヤ の基本構 成 (註)0印 が マ タ バ シ ラ 、 □ は 現 存 し な い 。 1-3セ イ ロ ウ組 み 以 前 の梁 組 み 長 方 形 平 面 の4隅 に 配 され る マ タバ シ ラ は 、 当 坪 川 家 の 基 本 骨 格 を成 す い わ ば 基 本 柱 で あ る。 基 本 柱 は タ テ桁 と ヨコ桁 を受 け て全 住 空 間 の基 本 的 構成 をお こ な っ て い る の で あ る。 こ の 観 点 か らみ る と 、 中央 部 に配 され る ロ ッポ ンバ シ ラ も第2次 的 な 架 構 に属 し、 これ を基 本 柱 と区 別 して 主 要 柱 とい っ て も よい[写 真3]、[図3]。 前 節 の高 田 家 で は基 本 柱 が な く、 主 要 性(ロ ッ ポ ン バ シ ラ)が 核 構 造 を成 して い た の は 、 原 始 な い し古 代 の遺 制 と して の 基 本 柱 が不 必 要 に な っ た発 展 段 階 の 構 法 で あ っ た か らで あ る。 そ の 意 味 で 当 坪 川 家 の基 本柱(マ タ バ シ ラ)は 貴 重 な伝 承 部 材 で あ り、 ワ ク ノ ウチ ヅ ク リ発 生 以 前 の構 法 を推 定 させ る に足 る も の で あ る 。ワ ク ノ ウチ ヅ ク リ とそ れ 以 前 の 構 法 を比 較 す る と[図 4]の よ う に、 最 大 の 相 違 は ハ ル モ ン(張 る物)の 有 無 で あ る。 ワク ノ ウチ ヅ ク リが セ イ ロ ウ組 み と もい わ れ る の は 、 タ テ(桁 行)に サ シ モ ン を渡 し、 そ の 上 に ヨ コ(梁 行)に ハ ル モ ン を乗 せ て 丸 太 梁 を井桁 に組 む か か らで あ るが 、 ワ ク ノ ウチ ヅ ク リ以 前 で は サ シモ ンだ け で あ る 。 こ の よ う な梁 組 み の 相 違 は結 局 ア マ の床 を どの よ う に して 支 え る か の 問 題 で あ り、 そ こに構法 5

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図3 {誰)O印 が1マタバ シ ラ、 口 は 現 存 しな いo O印 が ロ ッポ ン バ シ ラ 上 の 発 展 過 程 が 認 め ら れ る 。 ア マ 床 の 主 要 材 は い う まで もな く アマ 捉 太 で あ る が 、 そ の ア マ根 太 を 受 け るの は ア マ桁 で あ る。 ハ ル モ ンの 有 無 に よ りて ア マ 桁 の 本 数 が 変 っ て くる 。[図4〕 に お い て ワ ク ノ ウ チ ヅ ク リの場 含 の ア マ桁 の 本 数 は3本 〔問 端 の タ テ桁 を 入 れ る と5本}で あ る が 、 ワ ク ノ ウチ ヅ ク リ以 前 の ア マ桁 の 本 数 は ユ本(両 端 の タテ桁 を 入 れ る と 呂本)で あ る仁 図4オ エの ヨ コ(梁 行)断 面 にみる主 要架 構材 (ワクノ中チ ヅクリ」肌1前) {ワクノウ子ヅクリ} 一7一

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アマ 桁 の本 数 の 多 少 は と うぜ ん ア マ根 太 の ス パ ン(支 点 間 距 離)の 長 短 に 影 響 す る 。 か りに ロ ッポ ンバ シ ラの柱 間 を1.0問 とす る と、 ワ ク ノ ウチ ヅ ク リの ア マ根 太 の ス パ ン は0.5間 にな るが 、 ワ ク ノ ウ チ ヅ ク リ以 前 で は1.0間 で あ る。 す な わ ち、 ア マ根 太 の ス パ ン は両 者 で は2倍 の差 が 生 ず る。 こ れ は大 き な差 で あ る 。 こ の よ う に大 き な ア マ根 太 の ス パ ンの差 は 、 い っ た い何 を意 味 して い る の か 。 そ れ は アマ 床 に か か る荷 重 の多 少 と ア マ根 太 の ス パ ンの長 さ、 ア マ根 太 の太 さ の 関 係 に帰 結 す る 。 この3者 の 関 係 か らみ る と、 構 法 上 の発 展 過 程 が よ くわ か る。 1-4ア マ荷 重 との 関係 アマ 床 に か か る荷 重 は 時代 と と もに増 加 す る。 も と も と アマ と呼 ば れ る 屋 根 裏 空 間 は屋 根 を架 構 した 際 に生 ず る副 次 的 な 空 間 で あ り、 当 初 か ら収納 空 間 と して造 られ た の で は ない 。 こ れ を力 学 的 に み れ ば 、 アマ 荷 重 は 当 初 は ゼ ロ で あ っ た とい う こ とで あ る 。 しか し、 時 代 が 進 む に つ れ て 屋 根 裏 空 間 を収 納 ・備 蓄 の た め の空 間 と して活 用 す る よ う に な り、 こ こ に ア マ荷 重 が 発 生 し、 そ れ は しだ い に増 加 す る 。 ア マ 荷 重 の増 大 は、 必 然 的 に アマ 根 太 の ス パ ンの 短 縮 化 か アマ 根 太 の 太 さ の増 加 を要 求 す る。 した が っ て 、 ワ ク ノ ウチ ヅ ク リ を特徴 づ け る セ ロ ウ組 み は ア マ 荷 重 を充 分 に 想 定 した梁 組 み で あ り、 か な り発 展 した段 階 の 架 構 方 式 で あ る 。 そ れ に比 べ る と坪 川 家 にみ られ る よ うな ア マ根 太 の スパ ンの 長 い(2.0間 もあ る)架 構 方 式 は 、 と うぜ ん ワ ク ノ ウチ ヅ ク リ以 前 の 架 構 方 式 とい わ ざ る を え な い 。 も ち ろ ん 、 こ の場 合 の アマ 根 太 は相 応 に太 く し な け れ ば な らな い[写 真4]。 写 真4坪 川 家の オエ 上部 の架構 (註)オ エ か ら オ エ ・オ モ テ通 り上 部 をみ る 8

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理 論 的 に は 、 一 定 の ア マ荷 重 が か か っ た場 合 ア マ 根 太 に作 用 す る力 は ス パ ン の2乗 に比 例 し、 これ に抵 抗 す る アマ 根 太 の 強 さ は丸 太 材 と して そ の 径 の4乗 に比例 す る 。 い ま ワ ク ノ ウチ ヅ ク リ の アマ 根 太 の ス パ ン を0.5間 、 坪 川 家 の よ う な ワ ク ノ ウ チ ヅ ク リ以 前 の ア マ根 太 の ス パ ン を2.0間 とす る と、 ス パ ン は4倍 とな り、 アマ 荷 重 を同 一 とす る と4の2乗 で16倍 の 力 が ア マ根 太 に か か る。 こ の16倍 の 力 に対 応 す る た め に は根 太 丸 太 の 径 を2倍 にす れ ば よ い 。 径 を2倍 に す れ ば根 太 丸 太 の 強 さ は2倍 の4乗 で16倍 に な り作 用 力 の16倍 と見 合 うか らで あ る 。 ワ ク ノ ウチ ヅ ク リの 根 太 の径 を6cm(2寸)と す れ ば 、 そ の 倍 の12cm(4寸)径 の根 太 丸 太 を 使 用 す れ ば よい こ と に な る 。 も しアマ 荷 重 が 古 い 時 代 に は半 分 で あ っ た とす る と、 根 太 丸 太 に 作 用 す る力 は8倍(上 記16倍 の 半 分)に な り、 根 太 丸 太 の径 は8の4乗 根 で 、1.68倍 とな り、6㎝(2 寸)径 に対 して10cm(3.3寸)径 を使 用 す れ ば よい こ と に な る 。荷 重 の 減 少 は そ れ ほ ど大 き く影 響 しな い が 、相 応 に太 く しな け れ ば な らな い こ とは事 実 で あ る。 この よ うに 、 ワ ク ノ ウ チ ヅ ク リ以 前 で は アマ 根 太 の ス パ ン は長 く(2.0間 程)、 径 も太 い もの(4 寸 程 度 〉 が必 要 で あ っ た。 ア マ 根 太 も この程 度 の 太 さに な っ て くる と、 そ れ は 根 太 とい う よ りサ ス 尻 を繋 ぎ とめ る サ ス 梁 に類 似 して くる の で あ る。 す な わ ち、 サ ス 梁 の 問 に丸 竹 か厚 板 を渡 して アマ 床 と した 昔 日の 姿 が 浮 び上 っ て くる の で あ る。 1-5屋 根 架 構 との 関係 本 論 第1巻[写 真3-4]な ら び に[図3-7]に 示 した りバ リ当 た り式 の 屋 根 架 構 を振 り返 っ て み る と、前 項 で 述 べ た サ ス 梁 とサ ス 丸 太 の 関 係 が よ くわ か る[図5]。 本 来 サ ス梁 は 屋 根 を 図5バ リ当 た り式 サス組 み の新1日 構 成 す るサ ス丸 太 の サ ス尻 を繋 ぎ止 め る水 平 材 で あ り、2本 の サ ス丸 太 と1本 の サ ス梁 に よ っ て 構 成 さ れ る3角 形 の 平 面 架 構 体 は力 学 的 に 自己 完 結 した構 造 体 で あ り、 こ の3角 形 の平 面 架 構 体 が 柱 と アマ 梁 、 タ テ桁 に よ って 構 成 され る軸 組 の 上 に乗 る 。 何 対 か の3角 形 の サ ス 組 み が 平 行 し 一9

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て タテ桁 の 上 に配 置 され 、 個 々 の サ ス組 み は ヨコサ オ や 頂 部 の ア タマ ギ(頭 木)で タ テ(桁 行) 方 向 に 繋 ぎ止 め られ る。 坪 川 家 の マ タバ シ ラは タ テ桁 を 受 け る 昔 日の マ タバ シ ラ の名 残 りで あ る。 こ れ は バ リ当 た り式 の サ ス 組 み を み る と 自明 で あ るが 、 い ま一 つ 看 過 で き ない の は サ ス 組 み の ピ ッチ(間 隔)で あ る 。 一 般 的 にサ ス 組 み の ピ ッチ は1 .0間 で あ り、 したが って タテ桁 に渡 るサス梁 の ピ ッチ も1.0間 であ る 。 さて 、 サ ス梁 を利 用 して ア マ床 を造 ろ う とす る と、1.0間 ピ ッチ のサ ス 梁 の上 に板 ス ノ コ か 竹 ス ノ コ を渡 して も よい が 、よ り堅 牢 な ア マ床 を造 る た め に は1.0間 ピ ッチ を半 分 の0.5間 ピ ッチ 、あ る い は そ の 半 分 の0.25間 ピ ッチ にサ ス 梁 に代 わ る水 平 材 を 入 れ る と よい 。これ が ア マ 根 太 で あ る 。 した が っ て 、 ア マ根 太 を入 れ た ア マ 床 で は 、 サ ス 尻 を受 け るサ ス 梁 も アマ 根 太 と して 兼 用 さ れ て い るの で あ る 。 そ れ ゆ え 、 サ ス 梁 は アマ 荷 重 を受 け る と同 時 にサ ス尻 か ら く る外 向 きの 力(引 張 力)を も受 け る1本2役 の材 で あ る。 こ の 点 、 ア マ根 太 は アマ 荷 重 を受 け る だ け で あ る 。 い ず れ に して も、 この よ う に して 屋 根 架 構(小 屋 組)は た ん に カヤ 葺 きの 屋 根 を 支 え る だ け の構 造 体 か ら アマ 床 を も支 え る構 造 体 に 変 身 した。 この よ うな架 構 方 式 の発 展 は 、 い うま で も な く実 生 活 上 の 要 求 に よ っ て促 進 さ れ た もの で あ る が 、 これ を住 空 間 論 的 視 点 か らみ る と多 大 の 発 展 で あ る。 す な わ ち、 モ ヤ上 部 に ア マ 床 が 造 られ る とい う こ とは 、 モ ヤ の床 面 積 を倍 増 させ る と い う こ とで あ り、住 空 間 の立 体 的利 用(多 層 化) へ の 途 で あ っ た とい え る 。 しか し、 実 の と こ ろ そ の 背 景 に は カ ヤ 葺 き屋 根 を地 に伏 せ た形 の ネ ブ キ の 時 代 、 す な わ ち屋 根 だ け の 建 物 の 中 で の 生 活 の 時代 が 何 百 年 、 否 何 千 年 を経 過 して い る とい う こ と で あ る 。 そ の 時 代 の 空 間 体 験 に根 ざ して い る こ とを忘 れ る こ とは で き な い 。 1-6ア マ根 太 の 構 成 手 法 屋 根 裏 空 間 が た ん な る 空 間 と して存 在 した昔 日か ら、 ア マ床 を張 っ た 利 用 可 能 な屋 根 裏 、 い わ ば2階 の創 出 は、 以 上 の よ う にサ ス 渠 の 存 在 が前 提 と され るが 、 そ れ を補 強 して 一一定 の ア マ荷 重 に耐 え られ る ア マ床 とす る に際 して の ア マ根 太 の 役 割 りは 大 で あ る 。 坪 川 家 の ア マ 根 太 は[写 真5]に み る よ う に、 偏 平 な角 材 と小 丸 太 を交 互 に約1.5尺(45cm) ピ ッチ に渡 して い る 。 アマ 根 太 の ス パ ン は先 に述 べ た よ う に2.0間 で あ る。 よ くみ る と、 小 丸 太 は1本 の と こ ろ も あ る が2本 を縄 で 巻 きつ け て1本 の根 太 と して使 用 して い る とこ ろ もあ る 。 こ れ は1種 の 合 成 渠 理 論 の 応 用 で あ る。 今 日の 住 宅 建 築 に お い て は 、根 太 はL5寸(4.5cm)×2.0寸(6.Ocm)程 度 の 角 材 を1.0尺(30 cm)ピ ッチ に 渡 す 。 ス パ ン は3.0尺(90cm)で あ る 。 この よ う な 現 代 の 根 太 工 法 と坪 川 家 の ア マ 根 太 の工 法 を比 較 す る とそ の差 が よ くわ か る と同 時 に ア マ根 太 に秘 め られ た 歴 史 性 に行 き着 く。 根 太 工 法 の 差 異 は 、(1)坪川 家 の 根 太 ス パ ン は2.0間 で 現 代 の3,0尺(0.5問)の4倍 も あ る 。(2) 坪 川 家 の 根 太 材 は平 偏 で 幅 広 の 角 材 と小 丸 太 の2種 が 使 用 され て い て 、 同 サ イズ で は な い 。(3)根 一10一

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写真5坪 川 家 のアマ根 太の 構成 太 の ピ ッチ は ほ ぼ 等 しい 。(1)の根 太 ス パ ン2.0間 は 、根 太 と して は 実 に長 い ス パ ン で あ る。 これ は ワ ク ノ ウチ ゾ ク リ に な る と半 分 の1.0間 程 度 に短 縮 さ れ る。 そ れ を可 能 に した の は セ イ ロ ウ組 み のハ ル モ ン で あ る こ と は先 に述 べ た 。 した が って 、 坪 川 家 は ワ ク ノ ウ チ 以 前 のハ ル モ ンの ない 時 代 の工 法 を採 っ て い る とい え る 。 ま た 、2.0間を1ス パ ンで 渡 す とい う工 法 は 、 当 時 で は 常 套 の 手 法 で あ り、 間 口(梁 行)2.0間 の 一 般 庶 民 農 家 が そ の 工 法 を採 っ て い た こ とを推 定 させ る。 坪 川 家 は最 上 層 の 農 家 で あ る か ら、 間 口(梁 行)長 さ も4.0間 と大 きい が 、 こ の 間 口 長 さ は 一 般 庶 民 農 家 の2軒 分 と考 え て よ い。 ち な み に、 サ ス 組 み に よ る カヤ 葺 きの 間 口(梁 行)長 さ は 、 白 山 山 村 住 居 で は4,0間 が 最 大 で あ っ た 。 そ れ以 上 の 間 口(梁 行)長 さ を もつ 場 合 は 、板 葺 き に移 行 して い た。 この 知 見 か ら坪 川 家 は カ ヤ 葺 きの最 大 間 口長 さに 達 して い る とい え る。 (2)根太 材 が 平 角 材 と小 丸太 の2種 を併 用 して い る こ と か ら、 当 時 の 一 般 庶 民 農 家 で は小 丸 太 材 を使 用 して い た とみ られ る 。 坪 川 家 の よ う な最 上 層 農 家 で あ っ た れ ば こ そ平 角材 も使 用 し得 た の で あ る 。 2.ワ ク ノ ウ チ ヅ ク リ以 前 の 寸 法 体 系 2-1全 寸 法 体 系(ヨ コ方 向) 坪 川 家 の 構 法 や工 法 に は そ れ 以 前 の形 式 が 多 く含 まれ て い る 。 そ れ は伝 承 性 で あ る 。 構 法 に お け る伝 承 性 の 要 点 は 、全 平 面 の 骨 格 を成 す 長 方 形 平 面 の4隅 に マ タバ シ ラ を建 て て い る こ とで あ っ た(4本 の う ち、 背 面(ナ ン ド)・ オ モ テ通 りの1本 は 欠 落)。 工 法 にお け る 伝 承 性 の 要 点 は オ エ 上 部 が ワ ク ノ ウチ ゾ ク リ以 前 の 架 構 方 式 で 、 ハ ル モ ン が な くア マ根 太 は2.0間 ス パ ン と さ れ 一11一

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坪川家のモヤ寸法詳細

図6

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丸 太 材 の使 用 が み と め られ る こ とな どで あ る。 そ の他 、柱 、桁 、 梁 等 の 構 造 材 に は多 くの 伝 承 性 が み とめ られ るが 、 他 方 で は坪 川 家 の建 造 さ れ た 時 代 の 時代 性(当 時 の 現代 性)も 含 まれ て い よ う。 坪 川 家 に限 らず す べ て 古 民 家 は、 常 に伝 承 性 と時 代 性 を合 わせ もっ て い る。 ま た 、 そ の 間の 寛 合 関係 も生 ず る で あ ろ う。 全 体 の 平 面 形 式 につ い て は前 節 の 初 め に述 べ て い るの で 、本 節 で は 寸 法 体 系 を軸 に して そ の 間 の 状 況 をみ て い く。 まず 最 初 に マ タバ シ ラ に よ って 構 成 され る全 寸 法 体 系 で あ る。 全 寸 法 体 系 も と うぜ ん タ テ(桁 行)方 向 と ヨ コ(梁 行)方 向 の 両 者 に つ い て検 討 しな け れ ば な ら な い が 、 も っ と も明 快 な寸 法 体 系 を示 す の は ヨ コ方 向 で あ る 。[図6]に 示 す よ う に、 ヨ コ方 向 の 寸 法 は オ エ 通 りの 内 々 が7,265 ㎜(23.98尺)、 同 じ くニ ワ通 りが7,255㎜(23.94尺)、 正 面 通 りが7,265㎜(23 .98尺)で あ る。 と くに オ エ 通 り と正 面 通 りは完 全 に一 致 し、7,265㎜(23.98尺)で あ る。 ニ ワ通 り との 差 は10㎜(3 分)に す ぎ な い。 こ れ に よ っ て、 ヨ コ方 向 の 寸 法体 系 は オ モ テ 通 りと ウ ラ通 りの 柱 の 内 法 寸 法 を24.0尺 と して い る こ とが わ か る。24.0尺 は6.0尺 間 の4.0間 分 に相 当 す る か ら、 い ち お う6.0尺 の 内 法 制 に よ っ て 4.0間 と して い る とい え る。 この 際 、 注 意 す べ き点 が2点 あ り、 第1点 は1尺 の実 長 が 今 日の303 ㎜ と同 じで あ る とい う こ と、 した が っ て他 の寸 法 もメ ー トル 法 か ら尺 寸 法 に換 算 す る 場 合 に303 ㎜ を1尺 とす る こ と が で き る とい う こ とで あ る 。 ち な み に、 上 記 の7,265㎜(24.0尺)か ら1尺 の値 を求 め る と302.71㎜ と な る 。 そ の 第2点 は、 柱 サ イ ズ と寸 法 体 系 の 関 係 で あ る 。 内 々寸 法 を24.0尺 とす る オ モ テ通 り とウ ラ 通 りの1対 の柱 の サ イ ズ は ま ち ま ち で あ り、真 々 寸 法 も異 っ て くる。 か りに柱 の 真 々寸 法 を求 め る と 、正 面 通 りで は24.0尺+315㎜ 、 ニ ワ 通 りで は24.0尺+343㎜ 、 オ エ 通 りで は24.0尺+265㎜ で あ る 。 つ ま り柱 サ イ ズ(見 付 け 幅)の 差 が 影 響 し、315㎜ 、343㎜ 、265㎜ と不 同 に な る 。 最 大 の343㎜ と最 小 の265㎜ の 差 は78㎜(2.6寸)に も な る 。 した が っ て 、 ヨ コ方 向 の 寸 法 体 系 は と う て い真 々制 と考 え る こ とは で きな い 。 柱 サ イ ズ の異 な る柱 列 は 、 一 見 真 通 しに した 方 が 分 り よい よ う に お も え る が 、 そ の 場 合 に は柱 面 は 揃 わ ず 凹 凸 す る。 当坪 川 家 で は ヨ コ方 向 で は 内 面 通 し と して 内部 空 間 を重 視 して お り、 柱 面 の 凹 凸 は外 側 に 逃 が して い る。 そ の た め 外 側 の柱 面 はか な りの 凹 凸 を生 じる結 果 に な る 。 そ の も っ と も顕 著 な箇 所 は ニ ワ ・ウ ラ通 り部 分 で あ る 。 この 部 分 で は10cmか 、 そ れ 以 上 外 へ は み 出 して い る 。 柱 の外 面 が 大 き く凹 凸す るの は オ モ テ 通 り よ り も ウ ラ通 りの 方 で あ るが 、 ウ ラ通 りは ヤ マ カ タ (ウ ラ 方)に 面 し、 オモ テ 方 よ り も人 目 につ か な い 側 で あ る 。 ま た 、 オモ テ通 りウ ラ通 りい ず れ もそ れ ぞ れ の 外 側 に ピサ シが 約0.5間 幅 で つ き外 か らは 見 え な い 。 しか し、 そ れ よ り も重 要 な の は、 柱 の上 に渡 る タテ 桁 で あ る。 タ テ桁 は柱 面 の よ う に 凹 凸 す る こ とが 許 され ず 、 直 線 的 に通 ら ね ば な らな い 。 タ テ桁 は柱 の 内 面 か ら約1.0尺 の 位 置 を外 面 と して 通 る 。 一13一

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柱 内 々 寸 法 は24.0尺 で あ っ た が 、 タ テ 桁 を 含 め る と両 外 に1.0尺 を 加 え て 都 合26.0尺 と な り 、 こ の 寸 法 は 中 世 に お こ な わ れ た6.5尺 間 の4,0間 分 で あ る 。 柱 サ イ ズ が 異 る た め ヨ コ 方 向 の 寸 法 は 通 りの よ い タ テ 桁 で お さ え 、 そ の 全 幅 を26.0尺(6.5尺 間 の4.0間)と し て い る の で あ る 。 こ の 場 合 は 、 い わ ば6.5尺 の 外 法 制 で あ る 。 外 法 制 と は 一 見 奇 異 に 感 じ ら れ る が 、 実 は 理 に か な っ て い る の で あ る 。 そ れ は 屋 根 を 構 成 す る サ ス 尻 の 幅 を 意 味 し て い る か ら で あ る 。 な お 、 ナ カ 通 りの 柱 列 は 内 法 寸 法24尺 の 真 中 に 真 通 し と し て い る 。 オ エ 通 り で は3,475㎜ と3,4 90㎜ の 差 、 す な わ ち15皿nの 誤 差 、 ニ ワ 通 り で は3,505㎜ と3,465㎜ の 差 、 す な わ ち40㎜ の 誤 差 、 正 面 通 り で は3,525㎜ と3,510㎜ の 差 、 す な わ ち15㎜ の 誤 差 で あ る 。 ち な み に 、 ナ ン ド部 分 で は 柱 内 面 か ら柱 真 ま で が3,640㎜(12.01尺)で 、 内 々24.0尺 の 中 央 に 柱 真 を 置 い て い る こ と が わ か る 。 2-2全 寸 法 体 系(タ テ 方 向) 次 に タ テ(桁 行)方 向 の 寸 法 体 系 に つ い て み る 。 タ テ 方 向 の 寸 法 と し て 、 ま ず2本 の マ タ バ シ ラ の 柱 真 々 寸 法 を 求 め る と13,551㎜(44.72尺)と な り 、6.5尺 問 の 倍 数 に な ら な い 。44.72尺 は6.5 尺 間 で は6.88間 で あ る 。 ほ ぼ6.5尺 間 の7.0問 と い え る が 正 確 で は な い 。 しか し 、 ヨ コ 方 向 で お こ な っ た と 同 じ よ う に 、 今 度 は ヨ コ 桁 の 外 面 で お さ え る と13,779㎜(45.47尺)と な り 、 こ れ は 正 確 に6.5尺 間 の7.0間 に 当 た る 。 こ の 場 合 は 妻 側 の サ ス 尻(オ イ ザ ス 尻)間 の 距 離 で あ る 。 前 項 の ヨ コ 方 向 と 同 様 本 項 の タ テ 方 向 で も 寸 法 は 柱 真 で 求 め て も 意 味 が な く、 柱 を 通 し て 架 け 渡 さ れ る 桁 の 外 面 に よ っ て 求 め る と正 確 な7.0間 が 求 ま る 。さ て 、タ テ 方 向 の 全 長 が7.0問 と し て 、 ニ ワ 通 り と オ エ 通 り は ど の よ う に 位 置 づ け られ て い る の か 。 こ の 場 合 も柱 真 々 の 寸 法 は あ ま り意 味 が な い が 、 か り に 柱 真 々 の 寸 法 を2本 の マ タバ シ ラ を 含 む ウ ラ 通 り に お い て 求 め て み る と 、 正 面 ・ニ ワ 通 り間 は3,963㎜(13.08尺)、 ニ ワ ・オ エ 通 り 間 は5,660㎜(18.68尺)、 オ エ ・ナ ン ド通 り 問 は3,965皿 皿(13,09尺)と な る 。 こ の 結 果 を み る と 、 正 面 ・ニ ワ 通 り間(13.08尺)と オ エ ・ナ ン ド通 り 問(13.09尺)は 、 か な り正 確 に6.5尺 間 の2.0間(13.0尺)に な っ て い る よ う に み え る が 、 ニ ワ ・オ エ 通 り 間 は3.0間 分 (19.5尺)な け れ ば な ら な い と こ ろ18.68尺 し か な い 。 つ ま り0.82尺(24.8cm)不 足 す る 。0.82尺 は 誤 差 と す る に は 大 き す ぎ る 。 前 項 の ヨ コ 方 向 で は 、 柱 の 内 々 寸 法24.0尺 や タ テ 桁 の 外 々 寸 法26.0尺 は 真 々 寸 法 の よ う な 建 築 技 術 的 寸 法 で な く、 前 者 で は 各 室 の 有 効 幅 を 決 定 し 、 後 者 で は ア マ の 有 効 幅 を 決 定 し て い た 。 い わ ば 生 活 寸 法 に よ る 決 定 法 で あ っ た 。 い ま の 場 合 も こ の 生 活 寸 法 に よ っ て み る と 、 正 面 ・ニ ワ 通 り 問 は ヨ コ 桁 の 外 面(床 面 で は ゲ ン カ ン の 敷 居 外 面)か ら オ エ の 上 り 枢 ま で(ド マ 部 分 の 奥 行) が3,930㎜(12.97尺)、 ニ ワ ・オ エ 通 り 間 は 上 り枢 か ら オ エ ・ナ カ ノ マ 境 の 敷 居(オ エ か ら み て 外 面)ま で が5,904㎜(19.49尺)、 オ エ ・ナ ン ド通 り 間 は 敷 居 か ら背 後 の ヨ コ 桁 外 面(床 面 で は ナ ン ドの 敷 居 や 無 目 の 外 面)ま で が3,945㎜(13.02尺)と な る 。 以 上 に よ っ て ニ ワ ・オ エ ・ナ ン ドの 一14一

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奥 行 寸 法 は 正 確 に13.0尺 、19.5尺 、13.0尺 と み と め ら れ 、 そ れ ら の 総 和 は タ テ 方 向 の 全 長45.5尺 に 一 致 す る 。 す べ て6.5尺 間 に よ っ て お り、 ニ ワ 奥 行2.0間 、 オ エ 奥 行3.0間 、 ナ ン ド奥 行2.0間 、 全 奥 行7.0間 と な る 。 2-3ニ ワ とオエ の寸 法 体 系 全 寸 法 体 系 は以 上 の よ うで あ るが 、 以 下 各 室 の寸 法体 系 に言 及 す る 。 ま ず は 住 空 間 の最 前 面 に 位 置 す る ニ ワ部 分 で あ る 。 ニ ワ部 分 は 前2項 で 述 べ た よ う に ヨ コ方 向26.0尺 、 タ テ 方 向13.0尺 で 6.5尺 間 の4.0間 ×2.0間 が モ ヤ 部 分 で あ る。 こ れ に 対 して 、 左 方 に ウ マ ヤ 、 前 面 か ら右 方 に か け て ピサ シが 附 加 され て い る 。 附 加 され た 部 分 は お よそ0.5間 か ら1.5問 の 幅 で あ るが 、 寸 法 体 系 と して は大 き な意 味 を も た な い 。 た だ 、左 方 の ウマ ヤ 部 分 は モ ヤ か ら1.5間 を突 き出 す の で 、 モ ヤ の屋 根 をそ の ま ま葺 き下 ろ す と軒 高 さが 足 りず 、小 さ な棟 をモ ヤ か ら直 角 に 出 して ッ ノ ヤ(角 屋) と して い る。 ツ ノ ヤ の屋 根 も入 母 屋 造 と し、家 格 を示 して い る 。 ニ ワ につ づ い て広 い板 間 の オ エ が あ る。 ニ ワ と オエ の境 には 建 具 が 入 らず 吹 放 しで あ る 。 高 田 家 で は この 部 分 に板 戸 が 入 っ て い た が 、 吹 放 しの 方 が 古 い形 式 で あ る 。 さて 、 オ エ も前2項 で 述 べ た よ う に ヨ コ 方 向26.0尺 、 タ テ方 向19.5尺 で6.5尺 間 の4.0間 ×3.0間 が モ ヤ 部 分 で 、左 方 に 約 0.5問 、 右 方 に 約0.5∼1.0間 幅 の ヒサ シが つ く。 約1.0間 幅 の ヒサ シ部 分 に は折 半 した形 で さ ら に 1.5尺 幅 の タナ 置 場 を突 き出 して い る[写 真6]。 写 真6坪 川 家 の タナ置場 この よ うに 、右 ヒサ シ の 突 き 出 し幅 は左 ピサ シ よ り大 き く凹 凸 が激 しい 。 これ は こ の 部 分 の 増 築 過 程 を示 して い る。 そ の 増 築 過 程 は イ ロ リ との 関係 に あ る。 オ エ は 全 住 空 間 の 中心 的 な 室 で あ る が 、 そ の室 の さ らに 中心 に な る の が イ ロ リで あ る。 オ エ 全 体 か らみ る と、 イ ロ リが右 方 に偏 心 して い る は 、 当 家 が 右 勝 手 の 家 だ か らで あ る 。 一15一

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オエ に お け る イ ロ リの位 置 は[図7]に 示 す よ う に、 オ エ の 右 方 半 分 の領 域 に入 っ て い る。 当 家 も他 の事 例 と 同 じよ う に 、 ロ ッポ ンバ シ ラに よ っ て オ エ の モ ヤ 部 分 が 構 成 され 、 そ の モ ヤ に左 ピサ シ と右 ピサ シが つ い て オ エ を拡 幅 して い る が 、 オエ の 中 央 お の び モ ヤ と ヒサ シの 問 に は上 部 に小 壁 が あ る 。小 壁 はサ シ モ ン と アマ 桁 の 問 を束 立 て に し土 壁 と した も の で 、 と くに 中央 の小 壁 は オエ を右 方 の ハ マ カ タ(オ モ テ 方)と 左 方 の ヤ マ カ タ(ウ ラ方)に 区 切 る役 割 を も もっ て い る 。 ウ ラ方 の イ ロ リか ら立 ち昇 る煙 が オモ テ方 へ 流 れ な い た め の 配 慮 で もあ ろ う。 図7オ エ にお け るイ ロ リの位置 (註)イ ロ リの 寸 法 は 、 イ ロ リブ チ の 外 々 寸 法(フ チ 幅 は90皿)。 この 場 合 の柱 間 寸 法 は 、 真 々寸 法 で あ る また 、 イ ロ リ とニ ワ の 間 に は板 壁 に よ っ てL型 に囲 っ た マ キ 置 場 が 設 け ら れ て お り、 こ の 板 壁 は マ キ置 場 を 区 画 す る と同 時 にゲ ンカ ンか らの風 を遮 ぎる カ ザ ガ キ(風 垣)の 役 割 を も果 して い る 。 この よ う に小 壁 や 板 壁 に よ っ て半 ば 区 画 され た オ エ の右 半 分 、 す な わ ち オ エ の ウ ラ方 は 今 日 で い え ば立 派 な ダ イ ニ ング ・リ ビ ング ル ー ム(DL)で あ る 。 そ して 今 日の マ ン シ ョン な どで お こな わ れ る キ ッチ ン の リ フ ォ ー ムが 当 家 に お い て も行 わ れ て い る 。 そ の リフ ォ・一ム は タ ナ マ エ と よば れ る部 分 で あ る。 こ こ は イ ロ リの 座 で い え ば 主婦 の座 で あ り 火 まわ り台 所 に当 た る場 所 で あ る。 タ ナ マ エ の 寸 法 は イ ロ リ ブ チ か ら右 ヒサ シ まで が6.4尺 で 、 本 来存 在 した で あ ろ う壁 厚 を差 し引 く と約6.0尺 とな る。 こ れ が も との タナ マ エ の 幅 で あ る。 タ ナ マ エ 幅 の1.0間 は他 の 事 例 に もみ ら れ る と こ ろ で あ る。 一16一

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し か し 、 当 坪 川 家 で は こ の1,0間 か ら さ ら に2.6尺 分 ピ サ シ を外 へ 延 ば し て タ ナ マ エ を 拡 幅 し て い る 。 も と の6.4尺 に2.6尺 を加 え る と9.0尺 に な り 、6.0尺 間 の1.5間 分 に な る 。 そ し て 、 さ ら に タ ナ 置 場1.5尺 分 が 外 へ 突 き 出 さ れ て 、 タ ナ マ エ の 有 効 幅 を 確 保 し て い る 。 こ の 点 、 オ モ テ 方 の 左 ヒ サ シ に は こ の よ う な リ フ ォ ー ム は な さ れ て い な い 。 ま た そ の 必 要 性 も な か っ た 。 台 所(タ ナ マ エ)の リ フ ォ ー ム は 古 今 を 通 じ て の 住 要 求 で あ る 。 2-4ロ ッポ ンバ シ ラ と間 仕 切 の 関係 オエ の次 に は諸 室(ナ ン ド、 ナ カ ノ マ 、 ブ ッマ)が くる 。 こ の う ち ナ ン ド とナ カ ノマ は オ エ と 接 し、否 応 な くオエ の主 要柱 で あ る ロ ッポ ンバ シ ラ(オ エ 通 りの3本 の柱)と の 関係 が 生 じて く る。 と くに3本 の 中央 の柱(上 大 黒 柱)と の 関 係 が 注 目 され る 。上 大 黒 柱 は オエ 、 ナ ン ド、 ナ カ ノマ の3室 の 交 点 に位 置 す る柱 で あ る か らで あ る。 上 大 黒 柱 と3室 の 関係 をみ る前 に 、 上 大 黒 柱 を含 む ロ ッポ ンバ シ ラ に つ い て ふ れ て お く。 す で にみ た よ う に、 ロ ッポ ンバ シ ラ は ワ ク ノ ウチ を構 成 す る主 要 な柱 で あ っ た が 、 当坪 川 家 に お い て も主 要 柱 で あ る こ と に相 違 は な い 。た だ 、坪 川 家 の 場 合 は ロ ッ ポ ンバ シ ラ に架 け 渡 され る 、 タテ 、 ヨ コ の梁 組 み の うち ヨ コの 梁(ハ ル モ ン)が な い の で 前 ワ ク ノ ウチ とで もい うべ き構 法 で あ るが 、 タ テ の梁(サ シモ ン)は 渡 る の で ロ ッポ ンバ シ ラ の 力 学 的重 要 度 は変 ら な い。 高 田家 に お い て もみ られ た よ う に、 ロ ッポ ンバ シ ラ は太 くい か に も多 雪 な地 域 の 堅 牢 さ をお も わ せ た が 、 当 坪 川 家 の 場 合 も同様 で あ る。 ロ ッポ ンバ シ ラ は6本 が す べ て太 い サ イ ズ を も って い るが 多 少 の 差 は あ り、 こ こ に柱 の 序 列 が 定 め られ て い た 。 そ の 序 列 は オエ(あ るい は ニ ワ)か ら み る柱 正 面 の 見 付 け 幅 に よ り、 太 い 順 に(1)オエ 正 面 中央 の柱(上 大 黒 柱)、(2)オエ 正 面 オ モ テ 方 の 柱 、(3)オエ 正 面 ウ ラ 方 の柱 、(4)ニ ワ正 面 中央 の柱(下 大 黒 柱)、(5)ニワ正 面 オ モ テ方 の柱 、(6)ニワ 写真7大 き くくび れ た変 形柱 (註)ニ ワ通 り ウ ラ 方 の ロ ッ ポ ンバ シ ラ 一17一

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正 面 ウ ラ 方 の 柱 の 順 で あ る 。 い ま 坪 川 家 の ロ ッ ポ ン バ シ ラ を 上 の 順 に 実 際 の サ イ ズ を 並 べ る と 、(1)300㎜ 、(2)280㎜ 、(3)250 ㎜ 、(4)285㎜ 、(5)310㎜ 、(6)375㎜ で あ る 。(1)∼(3)は 定 石 通 り で あ る が 、(4)∼(5)は か な り乱 れ て い る よ う に み え る が 、 こ れ は 床 面 レベ ル の サ イ ズ で あ り、(5)、(6)は 高 さ に よ っ て サ イ ズ の 異 る 変 形 柱 で あ り 、 通 直 性 の よ い 整 形 柱 よ り格 を低 く み て い る の で あ ろ う[写 真7]。 そ れ に し て も 、 こ れ ら の ロ ッ ポ ン バ シ ラ は 太 く1.0尺(30cm)前 後 で あ る 。 お そ ら く当 時 の 最 上 層 住 居 の ロ ッ ポ ン バ シ ラ は 尺 角(1尺 角 の 柱)が 想 定 さ れ て い た の で あ ろ う 。 ち な み に 、 現 存 す る3本 の マ タ バ シ ラ も 同 程 度 の 尺 角 級 の 柱 を 使 用 して い る 。 逆 に い え ば 、 ロ ッ ポ ン バ シ ラ は 基 本 柱 の マ タ バ シ ラ と 同 程 度 の 重 要 度 を も っ て 扱 わ れ て い る の で あ る 。 さ て 、 オ エ 正 面 の 中 央 に 位 置 す る ロ ッ ポ ン バ シ ラ の1本(上 大 黒 柱)は 、 オ エ 、 ナ ン ド、 ナ カ ノ マ の3室 の 交 点 に 立 ち3室 の 間 仕 切 を 兼 ね る た め[図8]に み る よ う に3本 の 敷 居 が 差 し 込 ま れ る[写 真8]。 敷 居Aは オ エ と ナ カ ノマ 、 敷 居Bは オ エ と ナ ン ド、 敷 居Cは ナ ン ドと ナ カ ノ マ の 間 の 敷 居 で 、 い ず れ に も2枚 引 違 い の板 戸 が 入 る。 一 見 して分 る よ う に 、敷 居 幅 が 異 る。 最 大 は敷 居Aの200㎜ 、 次 が 敷 居Cの143㎜ 、 最 小 が敷 居Bの136㎜ で あ る。 この よ う な敷 居 幅 の差 で 特 徴 的 な こ と は 、 オ エ ・ナ カ ノマ 境 の 敷 居Aが 最 大 幅 に な って い る こ とで あ る。 他 の2本 は大 差 が な く細 い 。 こ れ は オ エ か らナ カ ノ マ(客 室)へ の 客 の動 線 を配 慮 し て い る の で あ り、 一 種 の 格 式 で あ る 。 そ れ に 比べ る とナ ン ド(寝 室)へ の動 線 は 家 族 で あ り、格 式 を考 え る必 要 が な い。 これ が 敷 居B.Cの 細 い理 由 で あ る 。 次 に 敷 居 の溝(2本)と ヒバ タ(樋 端:敷 居 断 面 の 凸部 分 、3筋)の 寸 法 構 成 をみ る と、 オ エ や ナ カ ノ マ か らみ え る 内 ヒバ タ(当 該 室 側 の ヒバ タ)は 広 く(54∼78㎜)ナ ン ドか らみ え る 内 ヒバ 一18一

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上 大 黒柱 とオ エ、ナ ン ド、ナ カノマ の敷居 の 関係 写真8

(註)ナ ン ドか ら上大 黒柱 の脚部 をみ る。

図9坪 川 家 ナ ン ドの寸 法詳細

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タ は(14∼16㎜)で 極 端 に 狭 い 。 客 の 目 に 触 れ る ヒバ タ は 広 く し て 板 戸 の 裾 の 納 ま り を 立 派 し て い る 。 こ れ も 格 式 で あ る 。 た だ し、 敷 居 幅 の 大 小 に か か わ ら ず 、 中 ヒ バ タ(中 央 の ヒ バ タ)の 中 心 線 が 柱 の 真 に 一 致 す る よ う に 敷 居 を 入 れ て い る 。 も っ と も そ れ に は 多 少 の 狂 い が あ り、敷 居A、 Bは 完 全 に 一 致 す る が 敷 居Cで は10㎜ の ず れ が あ る 。 い ず れ に し て も オ エ や ナ カ ノ マ に 比 べ て ナ ン ドは 格 の 低 い 室 と 考 え ら れ て い る 。 現 在 で は ナ ン ドに は 畳 が 敷 き つ め ら れ て い る が 、 も と は 板 間 で あ っ た と考 え ら れ る 。 そ れ は ナ カ ノ マ や ブ ッ マ が 畳 の 敷 きつ め を前 提 と し た 寸 法 体 系(6,0尺 内 法 制)を と っ て い る の に 、 ナ ン ドに は そ れ が み と め ら れ な い か ら で あ る 。 ち な み に 、 ナ ン ドの 寸 法 詳 細 を 図 示 す る と[図9]の よ う に な り、 ヨ コ 方 向 の 内 々 寸 法 を み て もA4,642㎜(15.32尺)、B4,575㎜(15.10尺)と 異 な る 、 タ テ 方 向 の 内 々 寸 法 も一3,855㎜(12.72尺)、B3,655㎜(12.06尺)、C3,795㎜(12.52尺)と ま ち ま ち で あ る 。 と う て い 畳 は 入 ら な い 。 無 理 に 畳 を 入 れ よ う と す れ ば 、 畳 サ イ ズ に よ る 調 整 の 他 、 室 内 に 出 張 っ た 柱 の と こ ろ で は 畳 を 欠 き落 さ ね ば な ら な い[写 真9]。 しか し、坪 川 家 の 建 設 され た当 時 、ナ ン ドが 板 問 で あ っ て もそ れ は 充 分 に立 派 な こ とで あ っ た。 た い て い の 民 家 の ナ ン ドは ま だ土 座 で あ っ た か ら で あ り、 ナ ン ドとい う寝 室 が あ っ た か ど う か も 疑 わ しい 時代 だか らで あ る。 ま た 、 ナ ン ドの 大 き さそ の も の と当 家 の 家 格 を示 して い よ う。 す な わ ち 、 当 家 の ナ ン ド規 模 は、 お よそ16尺 ×13尺(11.6畳)で あ る 。 当 時 の庶 民 の ナ ン ドは 、 た と え そ れ が あ っ た と して も、2∼3畳 程 度 で あ った だ ろ う。 2-5ナ カ ノ マ と ブ ッ マ の 寸 法 体 系 ナ ン ドに は太 い ロ ッポ ンバ シ ラが 突 き 出 して い たが 、 ナ カ ノマ も同様 で あ る 。 しか し、 ナ カ ノ マ は オ エ か らブ ツマ に至 る ハ レの 動 線 の 通 る と こ ろ で もあ り、 ま た ブ ツ マ の 前 室 で 仏 事 時 に は ブ 一20一

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ツマ と一 体 的 に使 用 され る 等 、 ナ ン ド(寝 室)に 比 べ る と格 の 高 い 室 で あ る。 そ の た め こ の 室 は ナ ン ドと異 り、 早 くか ら タ タ ミが 敷 きつ め られ てい た可 能性 が つ よ い 。 そ れ に 、 ナ カ ノマ 通 り は ナ ン ド通 りと柱 列 が 通 らず 、 ブ ッマ を後 に突 き出 して増 築 す る際 に 同 時 に手 を 入 れ た 可 能 性 もつ よい 。 つ ま り、 ブ ツマ と 同様 タ タ ミ敷 きを想 定 して い る と考 え られ る。 そ こ で 、 ナ カ ノ マ の 寸 法 体 系 をみ る と[図10]の よ う に な り、 ヨ コ 方 向 は 内 々5,540㎜(14.98尺)で15.0尺 とみ な し う る 。 15.0尺 は6.0尺 の2.5間 分 に相 当 す るか ら、 ヨ コ方 向 に つ い て は6.0尺 の 内 法 制 と考 え て よ い 。 こ れ は 明 らか に タ タ ミの 敷 きつ め を想 定 した寸 法体 系 で あ る 。な お か つ6.0尺 間が 使 用 さ れ て お り、 近 世 的 寸 法 体 系 が 使 用 さ れ て い る 。全 寸 法 体 系 が 中 世 の6.5尺 間 を使 用 して い る の と比 較 す る と、 こ の 部 分 が 新 し く改 造 さ れ た こ とが 寸 法 体 系 か ら も わ か る 。 図10坪 川家 ナ カノ マの寸 法詳 細 次 に タ テ 方 向 の 寸 法 を み る と 、 オ エ 通 りの 柱 面 が 揃 っ て い な い の で と う ぜ ん 内 々 寸 法 は 異 っ て く る 。Aの 寸 法 は2,837㎜(9.36尺)、Bは2,762㎜(9.12尺)、Cは2,803nm(9.25尺)、Dは2,772㎜ (9.15尺)で あ る 。 す べ て9.0尺 を 少 し上 ま わ っ て お り、 超 過 分 の 最 大 はAの3.6寸 、 最 小 はBの 1.2寸 で あ る 。 現 在 で は6.0尺 よ り少 し 長 い タ タ ミ を 入 れ て 、 柱 の 出 張 る と こ ろ で は 、 ナ ン ド と 同 一21一

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様 タ タ ミ を 欠 き 落 して い る 。 し た が っ て 、 タ テ 方 向 に つ い て は 完 全 な6.0尺 の 内 法 制 と い え な い が 、 た と え ば オ エ 側 の 凹 凸 す る 柱 に そ っ て 上 記 のB寸 法(9,12尺)の 超 過 分1.2寸 幅 の タ タ ミ ヨ セ(畳 寄 せ)を 入 れ れ ば 、 A∼D各 所 の 内 々 寸 法 は す べ て9.0尺(6.0尺 間 の1.5間)と な る 。 こ の よ う に 考 え る と 、 タ テ 方 向 が6.0尺 の 内 法 制 に な っ て い な い の は 、 オ エ 通 り の 太 い ロ ッ ポ ン バ シ ラ の せ い で あ り 、6.0尺 の 内 法 制 を指 向 し て い る も の と み られ る 。 以 上 の よ う に 、 ナ カ ノ マ は ヨ コ 方 向 で は 完 全 な6.0尺 内 法 制 で あ る が 、 タ テ 方 向 で は オ エ 通 り の 柱 列 の 関 係 で そ れ を 実 現 す る こ と は で き な い が 、や は り6.0尺 内 法 制 を 想 定 し て い る と い え る 。 次 の ブ ツ マ に な る と 、 そ の こ と が 明 確 に な る 。 図11ジ ョ ウ ダ ン の 寸 法 詳 細 (ナ カ ノ マ)(ブ ツマ) (ジ ョ ウ ダ ン ノマ) (畳) ⊥ ⊥__」 16385 上1 248(8.2寸) (註)敷 居 の 溝 の 深 さ は4㎜ ブ ツ マ は も っ と も 格 の 高 い 室 で あ る 。 そ の た め ブ ッ マ は ナ カ ノ マ よ り 一 段 高 く床 が 上 げ ら れ て い る[図11]。 ナ カ ノ マ の タ タ ミ 面 か ら 敷 居 が50㎜ 上 り、 さ ら に ジ ョ ウ ダ ン ガ マ チ(上 段 枢)が 76㎜ 上 る 。 し た が っ て 、 ブ ツ マ の タ タ ミ面 は ナ カ ノ マ の タ タ ミ面 よ り都 合126㎜(4.2寸)上 り と な る 。 そ の た め ブ ツ マ は ま た ジ ョ ウ ダ ン ノ マ(上 段 の 間)と も 呼 ば れ る 。 ブ ツ マ の 寸 法 詳 細 は[図12]の よ う で あ る が 、 ヨ コ 方 向 は ナ カ ノ マ 側 で は 内 々4,549㎜(15.Ol 尺)、 ブ ッ ダ ン ノ マ(仏 壇 の 間)側 で は 内 々4,559㎜(15.05尺)で15.0尺 と み な せ る 。15.0尺 は6.0 尺 間 の2.5間 分 で あ る か ら 、ナ カ ノ マ と 同 様6.0尺 内 法 制 を と っ て い る こ と が わ か る 。タ テ 方 向 は 、 押 板 側 で は 内 々2,700m(8.91尺)、 反 対 側 で は 内 々2,705㎜(8.92尺)で9.0尺 と み な す こ と が で き る 。(こ の 場 合 、 ブ ツ ダ ン ノ マ の 畳 寄 せ(幅23㎜)を 入 れ る と 、 さ ら に 精 度 の 高 い9.0尺 と な る) 9.0尺 は6.0尺 間 の1.5間 に 相 当 す る 。 タ テ 、 ヨ コ と も6.0尺 間 を 使 用 し て い る 。 以 上 の よ う に 、 ブ ツ マ は ヨ コ 方 向 、 タ テ 方 向 と も に6.0尺 内 法 制 を と っ て お り、 そ の 結 果 は か な りの 精 度 を も っ て 確 認 す る こ と が で き る 。 し た が っ て 、 ナ カ ノ マ 、 ブ ツ マ の2室 は6.0尺 内 法 一22一

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図12ブ ツ マ(ジ ョ ウ ダ ン ノ マ)の 寸 法 詳 細 4549(15、01尺) (註)敷 居 の溝 の 深 さ は4皿 制 で タ タ ミ の 敷 き つ め を 前 提 と し た 寸 法 体 系 に よ っ て い る と い え る 。 2-6坪 川 家 の古 寸 法 体 系 以 上 、 坪 川 家 の住 空 間 の 成 り立 ち を 寸 法 体 系 を軸 と して み て きた が 、 寸 法 体 系 は 室 の重 要 度 を 反 映 し、 ま た歴 史性 を も と どめ て い た 。 本 項 で は 、 そ う した事 実 を論 理 的 に要 約 し、 住 空 間史 理 解 の一 助 と した い 。 そ の際 、 最 初 に採 りあ げ ね ば な ら ない の柱 の 問 題 で あ る。 坪 川 家 の 柱 は 大 別 す る と3種 に な る 。 第1種 は マ タバ シ ラ と呼 ばれ る 太 い 基 本 柱 で4本(現 状 で は1本 欠 落)、第2種 はや は り太 い主 要柱 で ロ ッポ ンバ シ ラ と呼 ばれ る柱 が6本 、 都 合10本 の柱 が 当家 の 骨 格 を 形 づ くる。 第3種 は 間仕 切 や ヒサ シ を受 け る 多 数 の 柱 で 、 こ れ らは や や細 目 で あ る 。 3種 の柱 の う ち 、もっ と も古 い 時 代 の柱 の 意 味 を伝 承 して い る の は第1種 の マ タバ シ ラで あ る 。 マ タバ シ ラ は頂 部 の 股 に桁 を渡 して 架構 した原 始 ・古 代 の柱 の 名 残 りだ か らで あ る。 そ の次 は 第 2種 の ロ ッポ ンバ シ ラ で あ る。 こ れ は マ タバ シ ラ構 法 を よ り堅 固 にす る た め に家 屋 の 中央 部 に核 構 造 体 と して 開発 され た架 構 で 、 ワ ク ノ ウ チ ヅ ク リ に発 展 し現 代 に至 る 。 一23一

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したが っ て 、寸 法 体 系 も こ れ らの 基 本 柱(4本)と 主 要 柱(6本)の 配 置 手 法 か ら判 明 す る が 、 これ ら の柱 は太 く また 不 整 形 な もの が 多 い 。 柱 の サ イ ズ や 形 状 は必 ず し も今 日の 柱 の よ う に 通 直 性 の あ る正 方 形 断面 の も の で は な い 。 お も うに 、柱 材 に も歴 史 が あ り、(1)自然 木 の 中 な か ら比 較 的 通 直 性 の あ る もの を選 び、 そ の ま ま利 用 した 自然 柱 、(2に れ に チ ョ ンナ(手 斧)研 りな ど に よ り多 少 手 を加 え て整 形 した半 加 工 法 、(3)完全 に加 工 した 通 直 で正 方 形 断 面 の 完 全 加 工 柱 とい っ た 概 略 の 経 過 で あ る 。 坪 川 家 の場 合 は 、② の 半 加 工 柱 で あ る。 した が って 、 柱 は も との 樹 形 を残 して お り、 柱 断 面 の サ イズ 、 形 状 は そ れ ぞ れ の柱 に よ って 異 る だ け で な く、 同一 の柱 に お い て も高 さ に よ っ て異 る。 また 、 柱 が 全 体 に湾 曲 して柱 の軸(中 心 線)が 通 ら ない 場 合 もあ る。 この よ う な傾 向 は と くに第 1種 の マ タバ シ ラに顕 著 で あ り、柱 材 と して も古 い 来 歴 を と どめ て い る 。 この よ う な不 整 形 な柱 は寸 法 体 系 を考 え る上 で 不 都 合 で あ る が 、本 節 に お い て み て きた よ う に、 た と え ば床 面 レベ ル の横 断 面 で み る とか な り正 確 な寸 法 体 系 が み とめ ら れ る 。 しか し、 そ の 場 合

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で も柱 サ イ ズ や形 状 の相 違 が 影 響 して分 りに くい場 合 が 生 じる。 そ こで 、柱 を完 全 加 工 柱 と して サ イ ズ や 形 状 を統 一 して 坪 川 家 の寸 法 体 系 を再 確 認 して お きた い。 さて 、 坪 川 家 の寸 法 体 系 を整 合 的 に理 解 す る た め に 、 マ タバ シ ラ と ロ ッポ ンバ シ ラ をす べ て 尺 角 とす る[図13]。 歴 史 的 に も来 歴 の 古 い 基 本 柱 ・マ タ バ シ ラ を長 方 形 平 面 の4隅 に 建 て る。 長 方 形 の 短 辺 が 間 口 で あ り、長 辺 が 奥行 で あ る。柱A、B、C、Dは す べ て 長 方 形 の 内 側 に建 て る。 短 辺 は6.5尺 問 の4.0間(26.0尺)、 長 辺 は 同 じ く6.5尺 間 の7.0間(45.5尺)と さ れ て い る 。 つ ま り、坪 川 家 の モ ヤ は6.5尺 問 を使 用 した4.0間x7.0間 の大 き さで あ る 。 中 世 の6.5尺 問 の使 用 が 時 代 性 を感 じさせ る が 、 ヨ コ(梁 行)方 向 、 タ テ(桁 行)方 向 と も に外 々 寸 法 で あ る。 この よ う に 、建 設 す る土 地 を 一 定 の 寸 法 に よっ て 区 画 し、建 物 と な る 架 構 体 は す べ て そ の 中 に 納 め る 手 法 は後 の真 々 制 や 内法 制 よ り古 い建 設 手 法 とみ られ る。 す な わ ち、 外 法 制 → 真 々制→ 内 法 制 の発 展 過 程 が 跡 づ け ら れ る 。古 代 か ら さ ら に古 い 原 始 の 人 々 は 、住 居 の敷 地 を決 定 す れ ば 、 そ の 区 画 線 の 中 へ柱 を建 て た。 柱 の 中心 を 区 画 線 の 上 に 乗 せ る とい う よ う な煩 雑 な こ と は しな か っ た で あ ろ う 。 真 々 制(材 の真 通 し)は 架構 が 高 度 化 した 場 合 に生 ず る寸 法 体 系 で あ る。 4.0間X7.0間 の 長 方 形 の モ ヤ は 、 以 上 の よ う に柱 の 配 置 手 法 と して は 古 代 的(外 法 制)、寸 法 と して は 中世 的(6.5尺 間)で あ る。 両 者 を合 わ せ た 寸 法 体 系 は、 した が っ て古 代 ・中 世 的 と い わ ね ば な ら な い 。 次 に モ ヤ 中央 部 に配 置 され る ロ ッポ ンバ シ ラ で あ る 。 ロ ッポ ンバ シ ラ は全 住 空 間 の 中心 とな る オ エ を囲 む主 要 柱 で あ り、奥 行 長 さは6.5尺 間 の3.0間 で あ る 。この 場 合 の3.0問 も外 法 制 で あ る 。 モ ヤ の 全 奥 行 長 さ7.0間 か ら こ の3.0問 を引 い た 残 り4.0間 は折 半 さ れ て2.0間 は 前 の ニ ワ に他 方 の 外 面 図14モ ヤ に附加 された ピサ シ と室 の寸 法体 系 16駅 隻16.。 尺 盆

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2.O聞 は後 の ナ ン ドに配 され る。 オ エ は3沿 岡 の 奥 行 畏 さ を も ウ て 、 ち ょ う ど 巾 央 に位 置 す る こ と に な る 。 全 体 と して は 、 前 か ら2.O間(ニ ワ)、3.O聞(オ エ)、2.O問(ナ ン ド)の3穀 構 成 で 、 言1' 7.O聞 と な る。 問1コ長 さが4.O問 と畏 い 当 坪 川 家 で は ナ ン ド部 分 が 言列 に な り、 ウ ラ方 に は本 来 の ナ ン ドが 設 け られ て い る が オモ テ 方 は ナ カ ノマ 、 ブ ツ マ の ハ レ系 の2室 が縦 列 す る。 ブ ツマ は モ ヤ よ り突 き 出 し増 築 され て い る。 ナ ン ドは 旧 来 の 寸 法 体 系 に含 まれ て い る が 、 ナ カ ノマ 、 プ ツ マ は6.O尺 の 内 法 制 に よっ て い る。 当 時 と して は先 進 的 な寸 法 体 系 で あ り、 こ の 寸 法 体 系 の採 用 もナ カ ノ マ 、 プ ッマ の 改 造 を裏 づ け て い る[図1尋]章 な お 、 両 側 に つ く ピサ シの 帽 は3.O尺(側 柱 外 而 ま で)で あ 葛。 内法 制 の5.O尺 問 や ヒサ シ幅9.0尺 な ど をみ て い る と、 この あ た り には 応.O尺閲 が 使 用 され お ㌦6.5尺 間 か ら新 時 代{近 世 初 期)へ の 寸 法 的 推 移 を うか が う こ とが で きる 。 一26-一

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