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子ども用怒り感情尺度の作成と信頼性・妥当性の検討

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doi: 10.24468/jjbt.16-180

子ども用怒り感情尺度の作成と信頼性・妥当性の検討

武部 匡也

1,2

 岸田 広平

2,3

 佐藤 美幸

4

高橋 史

5

 佐藤 寛

6 要 約 本研究の目的は、児童青年期の感情としての怒りの測定に特化した子ども用怒り感情尺度を作成 し,その信頼性と妥当性を検討することであった。小学4年生∼中学3年生を対象に予備調査(n= 101)および本調査(n=1,088)を実施した。その結果,1因子7項目の子ども用怒り感情尺度が作成 され、「COSMIN」に基づいて検討したところ,十分な信頼性と部分的な妥当性が確認された。また, 性別と発達段階で得点に差が認められ,男女ともに発達段階が上がるにつれて怒りを強く抱く傾向が あること,そして,男子は女子に比べてその傾向が顕著であることが示唆された。さらに,項目反応 理論による項目特性の分析では,子ども用怒り感情尺度は怒りを母平均よりも強く抱いている子ども に対して十分な測定精度を有していた。最後に,子ども用怒り感情尺度が怒りの認知行動療法に関す る研究と実践の発展に貢献する可能性と本研究の限界,そして今後の課題が議論された。 キーワード:怒り 攻撃行動 児童青年 項目反応理論 COSMIN 問題と目的 児童青年期の怒りは、身体的・心理的側面に 重大な悪影響を与える。たとえば、児童青年期 の怒りは高血圧や心拍数増加のリスクを高め (Hauber et al., 1998)、外在化問題や自殺を予 測することが示されている(Kelley et al., 1996; Rydell et al., 2003)。このように、児童青年期 の怒りは後に引き起こされるさまざまな問題の リスク要因であり、予防的な観点から早期介入 の必要がある。 児童青年期の怒りに対する介入として、認知 行動療法の有効性が確認されている(Sukhodolsky et al., 2004)。さらに、児童青年期の怒りと攻 撃行動に対する介入プロトコルも開発されるな

ど(Sukhodolsky & Scahill, 2012)、児童青年期

の怒りに対する認知行動療法には一定の知見が 蓄積されている。

介入研究の知見が蓄積されてきている一方 で、怒りの測定指標は一貫していない。成人の 怒りを測定する代表的な自己記入式の尺度には

State-Trait Anger Expression Inventory (STAXI:

Spielberger, 1988)やAggression Questionnaire

(AQ: Buss & Perry, 1992)があり、その児童青

年用の尺度も開発されている。STAXIにはいく つかの児童青年用の尺度が開発されている(e.g.,

STAXI-CA; del Barrio et al., 2004)。ま た、AQ

をもとにした児童青年用の尺度は、

Hostility-Aggression Questionnaire for Children (

HAQ-C: 坂 井 ら,2000)や Hostility-Aggression

Questionnaire for Students (HAQ-S: 嶋田ら,

1998)が作成されている。さらに、Furlong et al. (2002)は児童青年の学校場面での怒りやす 1 関西大学大学院心理学研究科 2 日本学術振興会特別研究員 3 同志社大学大学院心理学研究科 4 京都教育大学教育学部 5 信州大学学術研究院教育学系 6 関西学院大学文学部  (2017(平成29)年6月12日受理) 〈原 著〉

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さ を 測 定 す るMultidimensional School Anger

Inventory (MSAI)を作成している。そして、

Patient-Reported Outcomes Measurement

Information System (PROMIS)プ ロ ジ ェ ク

トにおいて、8∼17歳を対象にしたPROMIS

Pediatric Anger Scaleが作成されている(Irwin

et al., 2012)。以上をまとめると、STAXI-CA、

HAQ-C/S、MSAI、PROMIS Pediatric Anger

Scaleが、児童青年の怒りを測定できる代表的 な尺度であると言える注1)。 これまでに開発された児童青年期の怒りを測 定する尺度は、感情としての怒りに特化した尺 度であるとは言いがたい。怒りとその周辺概念 を整理した代表的な心理学的モデルにおいて は、感情としての怒り、行動としての攻撃行動、 認知としての敵意といった類似の構成概念を弁 別する重要性が強調されている(e.g.,

Anger-Hostility-Aggressionモデル,Spielberger et al.,

1988; Affect-Behavior-Cognitionモデル,Martin et al., 2000)。怒りとその周辺概念に関連する 尺度を同時に測定し、因子分析を用いて Affect-Behavior-Cognitionモデルを実証したMartin et al. (2000)の貢献は特に大きい。Martin et al. (2000)は怒りに関連する24の自己報告式 尺度を、因子分析を用いて解析した結果、2因 子 構 造(敵 意、攻 撃 行 動;χ2 242)=1516.83, p<.0001, CFI=.84, GFI=.72)よりも3因子構 造(怒り、攻撃行動、敵意;χ2 239)=1056.95, p<.0001, CFI=.90, GFI=.83)の当てはまりが よいと結論づけている。そして、怒りを抱くす べての人が攻撃行動を示すわけではないことを 例として挙げ、感情としての怒りを含めること が怒りとその周辺概念に関する心理学的な理解 を深めることに貢献できることを示している。 また、感情としての怒りや行動としての攻撃 行動などを弁別することには、治療法の選択に おいて非常に重要な意義がある。児童青年の怒 りと攻撃に対する認知行動療法のメタ分析を実 施したSukhodolsky et al. (2004)によると、怒 りに対しては問題解決訓練が最も有効であり (d=1.05)、身体的な攻撃行動に対してはいくつ かの治療要素から構成される折衷的治療(d= 0.75)、もしくはスキル訓練(d=0.67)が最も 有効であった。つまり、怒りと攻撃の問題にお いてそれぞれに対する最適な治療法は異なる。 これらの問題を弁別して測定することは、それ ぞれに対する治療の効果検証を可能にする。さ らに、治療効果検証の積み重ねによる最適な治 療法の検証・確立・精緻化を後押しすること で、弁別されたそれぞれの問題に対して最も効 果的な治療法を選択できるようになる。 しかしながら、上述した既存の尺度では構成 概念の混同が見られるという共通の問題点を抱 えている。たとえば、STAXI-CAの「Trait Anger; 特性怒り」とHAQの「Anger; 短気」に含まれ る項目には、「怒るといじわるなことを言う」 や「よく口げんかする」などといった、明らか に攻撃行動を含意する項目も数多く含まれてい る。この点について、佐藤ら(2007)は、認 知や行動、感情など複数の概念が混在している パーソナリティとしての攻撃性を測定する尺度 の代表例としてAQを挙げており、測定対象と している概念の混同という同様の問題点を指摘 している。STAXIとAQそれぞれの理論的背景 に基づいて開発されたSTAXI-CAとHAQにも、 同様の問題点が指摘できる。また、学校場面で の怒りを測定しているMSAIは、学校で起こり うる怒り喚起場面を項目として提示し、その場 面でどの程度怒るかという怒りの強度を測定し ている。したがって、感情としての怒りを測定 しているというよりも、怒りが喚起されやすい 学校場面を特定しているにすぎない。PROMIS

Pediatric Anger Scaleも怒り感情と攻撃行動の

両方に焦点化された尺度であり、感情と行動を 弁別できていない。すなわち、児童青年期の怒

注1)なお、

STAXI-CAおよびPROMIS Pediatric Anger Scaleの日本語版は作成されていないが、MSAIに は和訳による日本語版が存在する(下田・寺坂,

2012)。また、HAQ-CとHAQ-Sは日本の児童青 年を対象として作成された尺度である。

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りを測定する既存の尺度には、いずれも感情と しての怒りの測定に焦点づけられていないとい う問題点が指摘できる。 感情としての怒りに焦点を当てた尺度の作成 は、認知行動療法の臨床においても大きな意義 を持つ。認知行動療法は、クライエントの抱え る問題を認知・行動・感情・身体反応などに分 類して整理し、治療を行う(ベック,2004)。 感情としての怒りは、パーソナリティとしての 攻撃性の中で攻撃行動や敵意などと混同されて いたため、認知行動的な視点に基づいた概念化 や治療とは齟齬が生じてしまう。DiGiuseppe & Tafrate (2007)は,怒りと攻撃行動を特徴とす る患者(児童青年も含まれる)に対する治療の 多くが攻撃行動に焦点化し、怒りは残遺症状と なって未治療のまま扱われないことを自身の臨 床経験に基づいて指摘している。そして、怒り が残遺した場合、未治療の怒りは攻撃行動の再 発を予測する有力な要因であることも同様に示 唆している。Martin et al. (2000)は感情として の怒りを含めることが臨床的な貢献を果たすと ころまでは言及していないものの、DiGiuseppe & Tafrate (2007)に代表されるような臨床像の 理解とそれに基づいた治療への貢献をもたらす 可能性がある。ただ、治療場面で弁別するため には、アセスメントの段階で怒りと攻撃行動が 混同されずに測定されていることが前提となる。 現状ではこの前提が満たされておらず、治療 ターゲットの選定や治療の効果測定の精査が困 難になるため、有効な治療の発展が妨げられて しまう。以上の問題点を解決するために、パー ソナリティとしてではなく認知行動的視点から の問題理解と治療に貢献できる児童青年期の怒 りを測定する尺度が必要である。 そこで本研究は、児童青年期の怒りの測定に 特化した子ども用怒り感情尺度を作成し、その 信頼性と妥当性の検討を行うことを目的とす る。 方 法 予備調査 本研究では児童青年期の怒りを測定できる尺 度の作成を目指した。そこで、尺度が対象とす る年齢層のうち最も低年齢である小学生の言語 水準で回答できる尺度を作成するため、茨城県 A市の公立小学校に在籍する小学校4∼6年生 101名(平均年齢10.16歳、標準偏差0.92歳; 男子48名、女子53名)を対象として予備調査 を行った。 児童が怒りを抱いたときの気分状態に関する 質問項目を収集するため、「怒った気持ちや、 イライラした気持ちをあらわすことばを、思い つくかぎり書いてください」と教示した後、自 由記述で回答を求めた。それらの回答に加え て、先行研究(Feindler et al., 1993; Speilberger, 1988)の記述から怒りを表す項目の候補を7項 目作成した。これらの項目について、臨床心理 学と児童青年に対する認知行動療法を専門とす る大学院生3名による項目のチェックを行い、 最終的に7項目すべてを選定した。項目のチェッ クは、「①その項目が態度やパーソナリティ、 思考、行動ではなく、怒り感情を記述してい る」、「②その項目が自己評価式尺度の項目とし て適切である。すなわち、回答者がその項目に どのくらいあてはまるか(「ぜんぜんあてはま らない」∼「よくあてはまる」)という点につ いて回答することが、ある程度可能であると考 えられる」、という2点について行った。3名の 評価者全員が上記2点の基準を満たすと判断し た項目を「子ども用怒り感情尺度」暫定版の項 目として採用した。 本調査 調査対象 調査実施の同意が得られた茨城県 A市のある公立小学校3校および公立中学校2 校を対象校とした。小学生4∼6年生の児童715 名、および中学校1∼3年生の生徒418名の計 1,133名を対象とした。そのうち、記入漏れや 記入ミスのあった回答を除いた1,088名の回答

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を分析対象とした(平均年齢11.72歳、標準偏差 1.87歳;男子552名、女子536名、女子49.3%; 有効回答率96.02%;欠損項目の割合2.0%)。 調査材料 ①子ども用怒り感情尺度:予備調 査で選定された怒りに関する7項目を、子ども 用怒り感情尺度の暫定版として用いた。4件法 (「0: ぜんぜんあてはまらない」、「1: あまりあ てはまらない」、「2: すこしあてはまる」、「3: よ くあてはまる」)で回答を求めた。 ② HAQ-C(坂 井 ら,2000);Aggression

Questionnaire (AQ; Buss & Perry, 1992)をもと

に、小学生用として作成された尺度である。AQ と同様に、「敵意」・「言語的攻撃」・「身体的攻 撃」・「短気」の四つを下位尺度として有してお り、信頼性と妥当性ともに十分であることが実 証されている(坂井ら,2000)。本研究では、 収束的妥当性を測定するため、「短気」の尺度 (5項目)のみを使用した。「まったくあてはま らない」∼「とてもよくあてはまる」の4件法で 回答を求めた。 ③HAQ-S(嶋田ら,1998);HAQ-Cと同様 に、AQをもとに中学生用として作成された尺 度である。因子構造はHAQ-Cと同様であり、 信頼性と妥当性ともに十分であることが実証さ れている(嶋田ら,1998)。HAQ-Cと同様に、 「短気」の尺度(6項目)のみを使用した。「まっ たくあてはまらない」∼「とてもよくあてはま る」の4件法で回答を求めた。 実施手続き 調査はクラス単位で行われた。 調査を実施する担任教師には、調査の注意点を まとめた「調査の手引き」を配布し、調査前に 確認したうえで実施するよう求めた。 倫理的配慮 本研究実施時点において、研究 代表者の所属する機関には正式な倫理委員会が 設けられていなかったため、本研究のプロトコ ルは倫理委員会の承認を得ることはできなかっ た。なお、本研究における倫理的配慮は、「倫理 委員会の審査を受ける」という基準を除いて、 Collaborative Institutional Training Initiative (CITI)プログラムの「人を対象とした研究」 (Hicks, 2014)で求められるその他の基準をす べて満たしていた。具体的には研究の実施に先 立って、調査対象者の所属校の学校長に研究の 目的、対象者への倫理的配慮手続き、データの 処理と守秘について書面で説明し、口頭で同意 を得た。対象者への倫理的配慮手続きとして、 回答は強制ではなく任意であること、回答は匿 名であり個人情報は守られること、学校の成績 とは関係がないこと、といった点について調査 実施前に説明した。また、信頼性の検討のため、 2週間の間隔をあけて2回の調査を同様のサン プルに対して実施したが、その際に学校名と学 年、クラス、出席番号を用いて回答は連結され たうえで学校名は任意の記号にコード化され、 連結可能匿名化の手続きを行った。 結 果

COSMIN (COnsensus-based Standards for the

selection of health Measurement INstruments)

に基づいて検討を実施した。まず、研究のサン プルサイズはTerwee et al. (2012)に基づいて 評 価 さ れ た。Terwee et al. (2012)に よ る と、 新たに作成された尺度の信頼性および妥当性の 分析の際に適切とされるサンプルサイズは少な くとも7×項目数かつ100名以上が必要であっ たため、十分なサンプルサイズであることが確 認された。 因子分析 小学生と中学生の有効回答者それぞれについ て、子ども用怒り感情尺度の探索的因子分析と 確認的因子分析を実施した。分析には、R ver. 3.3.1を用い、lavaanおよびpsychパッケージを 使用した。最尤法を用いた探索的因子分析の結 果、スクリープロットの固有値落差を考慮し、 小学生と中学生のいずれも1因子(7項目)が抽 出された(Table 1)。それぞれの項目の因子負 荷量は、小学生で.85∼.92、中学生で.85∼.96、 全体で.85∼.94の範囲であった。 WLSMV推定法を用いた確認的因子分析によっ て1因子モデルの当てはまりを確認したところ、

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Ta bl e 1  尺度項目の記述統計量と項目特性 、 因子負荷量 質問項目 M SD 度数分布 (%) 識別力 境界特性値 欠損 データ数 因子負荷量 0 1 2 3 b1 b2 b3 全体 ( n = 1,088 ) 小学生 ( n = 685 ) 中学生 ( n = 403 ) 怒り感情 ( 7 項目 , α = .95 )   3. 頭にきている 0.78 0.90 625 ( 57.4 ) 281 ( 25.8 ) 111 ( 10.2 ) 71 ( 6.5 ) 2.95 0.20 1.02 1.60 22 .94 .92 .96   2. はら が た っ て い る 0.66 0.91 512 ( 47.1 ) 378 ( 34.7 ) 124 ( 11.4 ) 74 ( 6.8 ) 2.42 − 0.08 0.98 1.61 24 .92 .89 .94   7. むかついている 0.81 0.98 596 ( 54.8 ) 299 ( 27.5 ) 111 ( 10.2 ) 82 ( 7.5 ) 2.13 0.13 1.02 1.59 22 .91 .87 .94   5. カ ッと な っ て い る 0.70 0.93 709 ( 65.2 ) 220 ( 20.2 ) 99 9.1) 60 ( 5.5 ) 2.10 0.43 1.17 1.77 21 .90 .88 .91   4. イラ イラ し て い る 0.55 0.87 539 ( 49.5 ) 317 ( 29.1 ) 131 ( 12.0 ) 101 ( 9.3 ) 1.95 − 0.01 0.89 1.49 20 .89 .87 .91   8. ムッとしている 0.56 0.84 672 ( 61.8 ) 279 ( 25.6 ) 83 7.6) 54 ( 5.0 ) 2.06 0.33 1.27 1.83 29 .89 .85 .91   10. 怒っている 0.63 0.88 632 ( 58.1 ) 293 ( 26.9 ) 100 9.2) 63 ( 5.8 ) 1.61 0.24 1.22 1.85 21 .85 .85 .85 因子負荷量 2 乗和                       5.67 5.35 5.86 累積寄与率 (%) 81.00 76.40 83.80 0 = ぜんぜんあてはまらない 、 1 = あまりあてはまらない 、 2 = すこしあてはまる 、 3 = よくあてはまる

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適合度は十分な値を示していた(CFI=1.00, TLI= .993, RMSEA=.098, [90% CI=.085∼.112])。 因 子負荷量は.85∼.95の範囲であった。各項目の 因子負荷量と閾値を用いて、項目反応理論にお ける項目特性(識別力および境界特性値)を算 出した。項目反応理論を適用するためには1次元 性と局所独立性が前提となるが、上述の因子分 析によって本尺度の1次元性が認められており、 各項目間の残差相関が0.2を超えなかった(加 藤ら,2014)ことを確認したうえで項目特性 値を算出した。その結果、識別力は1.95∼2.95 の範囲であり、各項目の識別力は良好な値を示 した。また、境界特性値はb1が−0.08∼0.43、 b2が0.89∼1.27、b3が1.49∼1.85の範囲であっ た。境界特性値が特に大きい、もしくは小さい 項目は認められず、項目間でも値に大きな差は なかった。 次に、小学生と中学生の母集団間で配置不変 性と測定不変性が保たれているかを確認するた め、多母集団同時分析による確認的因子分析を 実施した(Table 2)。多母集団同時分析のモデ ル比較では、適合が許容範囲内にある最も制約 条件の厳しいモデルを採用する(豊田,2014)。 モデル比較の際に用いられる適合度指標AIC とBICも考慮し、Model 4を採用した。小学生 と中学生の間で因子構造が同一である、そして 因子負荷と観測変数の切片、誤差分散が等しい と仮定できることが示された。 信頼性の検討 信頼性および妥当性の検討ではIBM SPSS ver. 23を用いて分析した。まず、子ども用怒り感情 尺度の内的一貫性を確認するため、クロンバッ クのα係数を算出した結果、小学生ではα=.93、 中学生ではα=.96、全体でα=.95という値が得 られた。次に再検査信頼性を検討するために、 1回目の調査対象者の一部である832名を対象 として2週間後に子ども用怒り感情尺度を再び 実施した(有効回答率98.6%;欠損項目の割合 0.18%)。二元変量効果モデルを用いて級内相 関係数を算出した結果、小学生(n=662)で .80、中学生(n=158)で.84、全体(n=820) で.81と良好な数値を示した(Landis & Koch, 1977)。また、1回目と2回目の合計得点の相関 係数を算出したところ、小学生がr=.67、中学 生r=.73であった。さらに、測定誤差を計算し たところ、小学生で2.99、中学生で3.27、全体 で3.06という値がそれぞれ得られた。 妥当性の検討 子ども用怒り感情尺度は、児童青年が怒りを 抱いたときの気分状態を測定する。内容的妥当 性を担保するための手続きとして、十分な数の 研究協力者から収集された自由記述に基づいて 得られた怒り感情を表す項目に加えて、先行研 究の記述からも項目の候補を作成して追加し Table 2 多母集団同時分析によるモデル比較

χ2 df CFI TLI RMSEA AIC BIC

母集団(小学生、中学生)  Model 1(配置不変モデル) 226.82 28 .968 .953 .114 13479.34 13689.01  Model 2(弱測定不変モデル) 241.06 34 .967 .959 .106 13481.59 13661.30  Model 3(強測定不変モデル) 255.04 40 .966 .964 .099 13483.57 13633.34  Model 4(厳密な測定不変モデル) 274.03 47 .964 .968 .094 13488.56 13603.38  Model 5(全母数が等しいモデル) 324.30 48 .956 .962 .103 13536.83 13646.65 母集団(男子、女子)  Model 1(配置不変モデル) 212.39 28 .972 .958 .110 13562.80 13772.46  Model 2(弱測定不変モデル) 224.26 34 .971 .964 .101 13562.67 13742.39  Model 3(強測定不変モデル) 242.57 40 .969 .968 .096 13568.98 13718.75  Model 4(厳密な測定不変モデル) 262.06 47 .967 .971 .092 13574.47 13689.29  Model 5(全母数が等しいモデル) 268.17 48 .967 .971 .092 13578.59 13688.41

(7)

た。以上の手続きによって抽出された項目につ いて、臨床心理学と児童青年に対する認知行動 療法を専門とする大学院生3名が項目の内容を 確認している。本研究で想定した感情としての 怒りを測定するのに適した項目で構成されてお り、不足がないことが協議のうえで合意され た。 さらに、小学生と中学生の両方において、 1因子が探索的因子分析によって抽出されたこ と、そして1因子構造のモデル適合度が高いこ とが確認的因子分析によって示された。この結 果から、子ども用怒り感情尺度が1因子構造を 有することの妥当性(構造的妥当性)が示され た。 そして、収束的妥当性の検討のため、HAQ-C/S の下位尺度である「短気」を子ども用怒り感情 尺度と同時に測定した。AQの「短気」は怒り (.68)と攻撃行動(.47)に関連が強いことが報告 されている(Martin et al., 2000)。その結果を参 照すると、子ども用怒り感情尺度はHAQ-C/S の「短気」得点と中程度、もしくは強い正の相 関が得られることが分析実施前に予想された。 子ども用怒り感情尺度の合計得点とHAQ-C/S の下位尺度である「短気」の得点の相関係数を 算出した結果、小学生でr=.55、中学生でr=.48 と中程度の正の相関が認められ、仮説が支持さ れた。 性差と発達段階の分析 多母集団同時分析を用いた確認的因子分析を 実施し、本尺度の性別と発達段階(小学生・中学 生)で差が認められるかを検討した(Table 2)。 各モデルの適合度を考慮し、性差においては Model 5を採用した。なお、発達段階において はModel 4を採用している。性別と発達段階の 両方において因子構造が同一であること、そし て尺度得点の平均値を群間で比較可能であるこ とが示唆された。 次に、子ども用怒り感情尺度の得点において 性別と発達段階で差が認められるか検証するた めに、性別と発達段階を要因とする2要因分散 分析を実施した(Table 3)。その結果、性別と発 達段階の交互作用が有意であった、F(1, 1084)= 4.37, p.037, η2.004Bonferroni法を用いた 単純主効果の検定を実施したところ、小学生に おいては男女差が認められなかったものの(p= .47),中学生では男子が女子よりも怒りを強く 抱いていた(p=.001)。また、男子と女子とも に中学生が小学生よりも怒りを強く抱いていた (男女ともに、p<.001)。発達段階が上がるに つれて男女ともに怒りを強く抱く傾向にあり、 男子は女子と比較してその傾向が顕著であっ た。 テスト情報関数 尺度全体の測定精度を表すテスト情報関数を Fig. 1に示す。分析にはR ver. 3.3.1を用い、ltm パッケージを用いた。曲線の形状から、θ=0 付近から2.0付近の研究協力者からは情報量が 多く得られていることが示された。つまり、子 ども用怒り感情尺度は母平均よりも強く怒り感 情を抱いている研究協力者に対して高い測定精 度を有している。一方で、θ<−0.5の範囲では テスト情報量が低くなっており、特性値が母平 均よりもやや低い個人に対しては測定が安定し ないことが示された。 考 察 本研究の目的は、怒りの測定に特化した児童 青年用の怒り感情尺度を作成し、その信頼性と 妥当性を検討することであった。COSMINに 基づいて検討した結果、十分な信頼性と部分的 な妥当性を有していることが示された。 まず、男子は女子よりも怒りを強く抱いてい た。HAQの「短気」を用いた先行研究(坂井ら, 2000; 嶋田ら,1998)では、男女差は認められ なかった。本研究の結果と一致しなかった理由 は、子ども用怒り感情尺度とAQの「短気」の 測定対象の違いである。坂井ら(2000)による と、HAQ-Cに含まれている「すぐにおこる方 だ」と「ちょっとしたことで腹が立つ」の両項 目の「身体的攻撃」に対する因子負荷量がそれ

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ぞれ.35と.30であった。また、嶋田ら(1998) では、HAQ-Sに含まれている「友だちとけん かをすることがある」と「ちょっとしたことで はらが立つ」の両項目の「敵意」因子に対する 負荷量がそれぞれ.36と.30であったことを報 告している。このことから、HAQ-C/Sの「短 気」は怒りを部分的に測定しているが、小学生 では「身体的攻撃」という攻撃行動と、中学生 では「敵意」との測定を弁別できていない可能 性がある。子ども用怒り感情尺度は、HAQの 「短気」と共通する部分が含まれてはいるもの の、怒り感情のみを測定している尺度であり、 測定対象が厳密には異なることから、先行研究 とは異なる結果が得られたと考えられる。 さらに、小学生と中学生の間では得点に差が 認められた。Wittmann et al. (2008)は、9∼11 歳の子どもよりも14∼17歳の子どもの怒りが強 いことを報告している。Wittmann et al. (2008) と本研究では対象年齢に違いはあるが、年齢が 上がるにつれて怒りが高まる傾向は一致してい る。 子ども用怒り感情尺度の作成は、怒りの臨床 研究の発展に大きく貢献することが予想され る。類似の構成概念の混同という怒り臨床研究 の問題点はかねてより指摘されており、それら の概念整理が困難なために、怒りの障害の評価、 治療、そして予防が妨げられているという指摘

もある(Chesney, 1985)。事実、Diagnostic and

statistical manual of mental disorders (DSM-5;

American Psychiatric Association, 2013)におい

ても、児童青年期の怒りを特徴にした診断基準 は非常に限られている。児童青年期の怒りに関 Ta bl e 3  性別と学年別の怒り感情得点の平均と標準偏差 全体 n1,088 ) 小学生 ( n = 685 ) 中学生 ( n = 403 ) 主効果 ( F 値 ) 交互作用 (F 値 ) 4 年生 5 年生 6 年生 1 年生 2 年生 3 年生 男子 ( n = 106 ) 女子 ( n = 98 ) 男子 ( n = 148 ) 女子 ( n = 132 ) 男子 ( n = 92 ) 女子 ( n = 109 ) 男子 ( n = 17 ) 女子 ( n = 17 ) 男子 ( n = 92 ) 女子 ( n = 78 ) 男子 ( n = 97 ) 女子 ( n = 102 ) 性別 発達段階 怒り感情 4.69 ( 5.47 ) 3.30 ( 4.70 ) 2.70 ( 3.61 ) 4.21 ( 5.00 ) 3.65 ( 4.87 ) 4.04 ( 4.95 ) 4.33 ( 4.78 ) 7.35 ( 5.66 ) 6.06 ( 4.19 ) 6.05 ( 6.55 ) 5.69 ( 6.48 ) 8.08 ( 6.49 ) 5.13 (5.54) 8.80 ** 女 < 男 57.77 *** 小 < 中 4.37 * * p < .05; ** p <.01; *** p <.001 Fig.1 子ども用怒り感情尺度のテスト情報関数

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連する診断基準は、代表的なものに反抗挑戦症 や間欠爆発症、重篤気分調節症が挙げられる が、診断を下すために怒りの気分を必要とする 診断基準は、重篤気分調節症のみである。他の 怒りに関連する診断基準は、怒りの気分ではな く、怒りの表出や攻撃行動といった行動面に焦 点づけられている。抑うつや不安と比較して怒 りを特徴とした診断基準が限られているのも、 怒りに関連する概念整理が進まず、基礎研究が 発展していない背景があると考えられる。 また、子ども用怒り感情尺度は、臨床場面に おいても有用性が高い。怒りは主観的な感情体 験であるため(Kassinove & Sukhodolsky, 1995)、 顕在的・客観的に測定が可能な攻撃行動とは異 なり、主観的な自己評定尺度がアセスメントに おいて果たす役割は大きい。子ども用怒り感情 尺度は比較的少ない7項目で、怒りを簡便に測 定することが可能である。そして、特に怒りを 強く抱いている対象者に十分な測定精度を有し ていることから、臨床場面で遭遇する子どもの 怒りの微細な変化を正確に捉えられる。以上の ことから、臨床の基盤となる基礎研究と研究知 見を活かした臨床、双方の発展に大きく貢献で きる尺度である。 次に、本研究の限界と課題について述べる。 第1に、尺度の反応性の問題がある。介入によっ て本尺度の得点が変化するか、今後検討が必要 である。第2に、尺度の妥当性の検討が不十分 である。まず、本研究では弁別的妥当性および 基準関連妥当性が検討されていない。また、併 存的妥当性もHAQの「短気」のみとの検討に とどまっている。基準関連妥当性は確定基準と なる尺度との関連を調べる必要があるが、怒り において確定基準となる尺度は存在しないた め、弁別的妥当性および併存的妥当性の検討も 見据えたいくつかの関連する尺度と同時に測定 するなど、妥当性のさらなる検討を実施する必 要がある。自己報告式の尺度との関連だけでな く、怒りを特徴とする重篤気分調節症や反抗挑 戦症といった精神疾患の診断の有無による比較 という側面からも、尺度の基準関連妥当性の検 討を試みる必要がある。さらに、内容的妥当性 についても、本研究では大学院生のみによる検 討にとどまっているため、その専門性の高さに は疑問が残る。今後は児童青年の怒りや攻撃行 動を専門とする精神科医や臨床心理士を加えて の検討を実施することが求められる。加えて、 異文化間妥当性の問題がある。本尺度は、児童 青年期の感情としての怒りを測定するために作 成された国内外で初めての尺度である。した がって、本尺度によって得られた国内での知見 が、国外の児童青年においても再現されるか今 後検討すべき課題と言える。そして最後に、信 頼性においても解決すべき課題点がある。本研 究では、1回目の調査実施の2週間後に子ども 用怒り感情尺度を再び測定し、信頼性を検証し た。しかしCOSMINを参照すれば、2回目の 測定までに研究協力者の状態が同一かどうかを 何かしらの根拠を元に保証しなければならない。 本研究ではその点が保証できていないため、今 後はアンカー尺度を同時に測定するなどの対応 を施し、本尺度の信頼性を検討していくことが 求められる。以上の点を考慮し、本尺度の反応 性と妥当性、信頼性の検討はより詳細に実施さ れる必要がある。 以上のような限界点はあるものの、児童青年 期の怒りの測定に特化した尺度の作成が、この 年代の怒りや攻撃の問題に関する今後の研究に 与えるインパクトは大きいことが予想される。 これまで感情としての怒り、行動としての攻撃行 動、認知としての敵意といった認知行動的な視点 からモデルが提唱されてきたが(Martin et al., 2000)、そのモデルに基づいた尺度の開発・整 備がなされてこなかった。子ども用怒り感情尺 度は、認知行動的な視点から怒りを測定するも のであり、児童青年期の怒りや攻撃の問題をそ の視点から整理・体系化することに貢献でき る。今後、認知行動的な視点から児童青年期の 怒りや攻撃の問題が整理され、有効な介入法が 開発されることが期待できる。

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文 献

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Development of an Anger Scale for Children and Adolescents

and Examination of Its Reliability and Validity

Masaya Takebe

1,2

Kohei Kishida

2,3

Miyuki Sato

4

Fumito Takahashi

5

Hiroshi Sato

6

1 Graduate School of Psychology, Kansai University

2 Research Fellow of Japan Society for the Promotion of Science

3 Graduate School of Psychology, Doshisha University

4 Faculty of Education, Kyoto University of Education

5 Research Institute, School of Education, Shinshu University

6 Faculty of Humanities, Kwansei Gakuin University

Abstract

The purposes of the present study were to develop the Anger Scale for Children and Adolescents

(ASCA),which was designed to measure the respondents’ self-reported anger, and to investigate and evaluate the reliability and validity of the Anger Scale, based on COSMIN (COnsensus-based Standards for the selection of health Measurement INstruments).A sample of 1,088 children and adolescents completed questionnaires. The results suggest that the Anger Scale for Children and Adolescents has adequate reliability and moderate validity. Additionally, the boys and older respondents reported experiencing anger more often than the girls and younger respondents did. A series of analyses using item response theory revealed that the Anger Scale for Children and Adolescents had good measurement accuracy in those children and adolescents who reported experiencing moderate to severe levels of anger. The applicability of the Anger Scale for Children and Adolescents in cognitive behavioral practice with young clients experiencing severe anger, limitations of the present study, and direction for future research were discussed.

Table 1 尺度項目の記述統計量と項目特性、因子負荷量 質問項目MSD度数分布(%)識別力境界特性値欠損 データ数
Fig.   1  子ども用怒り感情尺度のテスト情報関数

参照

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