9. 当院で経験した胆管拡張のない膵・胆管合流異常の治療成績
静岡県立こども病院 小児外科 三宅 啓、福本弘二、野村明芳、山田 進、金井理紗、牧野晃大、漆原直人 背景 2015 年に膵・胆管合流異常研究会より発表された先天性胆道拡張症(CBD)の診断基準では、CBD は胆管拡張に膵・胆管合流異常(合流異常)を伴うものとされた。また、胆管拡張は年齢ごとに基準 を設けて超音波、CT、MRCP など胆管内圧の上昇を来さない手法を用いて計測された胆管径によ って診断することとされた。小児期に発見される合流異常の多くは胆管拡張を伴う CBD である が、稀に胆管拡張を伴わない症例も経験する。当院で経験した胆管拡張を伴わない膵・胆管合流 異常の臨床的特徴及び治療成績を報告する。 対象 1990 年から 2019 年までに当院で治療を行った胆管拡張を伴わない合流異常の 7 例。胆管拡張は 2015 年の膵・胆管合流異常研究会の診断基準に基づいて後方視的に診断を行った。 結果 7 例の発症時の平均年齢は 1 歳から 8 歳(平均 4.1 歳)、全例が腹痛や高アミラーゼ血症などの膵炎 様症状から合流異常が疑われた。2015 年の膵・胆管合流異常研究会の分類に基づく合流異常の型 はB(non-stenotic type)が 6 例、D(complex type)が 1 例であった。7 例全例に肝外胆管切除・肝管空 腸吻合を行った。術中に採取した胆嚢内胆汁アミラーゼは全例で異常高値であった。周術期合併 症としては1 例に肝管空腸吻合の縫合不全を認め再手術を行った。術後は全例で腹痛発作は消失 し、吻合部狭窄などの遠隔期合併症は認めていない。 まとめ 胆管拡張のない合流異常の治療に関してはいまだ議論のある所であり、成人では胆のう癌が多く 見られることから胆摘のみが行われフォローされることも多い。一方,小児期に発見される拡張 のない合流異常はほとんどが蛋白栓などによる一時的な共通管の閉塞による腹痛を繰り返すため、 症状の改善を図るためにも肝外胆管切除が選択肢に上がることが多いと思われる。一般演題 3
16参考文献
Hamada Y, Ando H, Kamisawa T, et al. Diagnostic criteria for congenital biliary dilatation 2015. J Hepatobiliary Pancreat Sci 2016:23;342-346.
図 症例7 の術中造影 症例 性別 発症年齢 症状 胆管径(mm) 合流異常型 手術年齢 1 F 3 腹痛、黄疸、高AMY血症 3.5 B 3 2 F 2 腹痛 4.3 B 12 3 F 8 腹痛、嘔吐、高AMY血症 4.0 B 12 4 F 5 腹痛、嘔吐、高AMY血症 4.0 B 6 5 M 4 腹痛、嘔吐、高AMY血症 2.9 B 4 6 F 1 腹痛、嘔吐、高AMY血症 3.2 B 1 7 F 6 腹痛、高AMY血症 3.8 D 6 17