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死に対する教師の態度

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Academic year: 2021

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(1)死に対する教師の態度 専攻   学校教育学専攻 コース  臨床心理学コース. 学籍番号 M08059G 氏名   島谷雅章. 1.問題と目的. 無」と死生観の関係を調べるため、t検定を行な.  近年の子どもたちは、病院死の増加や、核家族. った結果、『命にかかわるような病気・事故の経験. 化等の影響で、身近で大切な人との死別経験が激. の有無』では、経験のある教師は、<解放として. 減している。それとは、逆に、情報化社会の中、. の死>と<死への関心>の得点が有意に高かった。. 無差別的にr3人称の死」が大量に発信され、体. 『近親者や親友の死の経験の有無』、『生徒の死の. 験させられている。このようなアンバランスな生. 経験の有無』では、経験のある教師は<死への関. と死に関する情報が存在する現在、子どもたちへ. 心>の得点が有意に高かった。『地震の経験の有. の「死」についての教育は大変重要であると思わ. 無』との間には有意な差は見られなかったが、『地. れる。しかし、これまで、高齢者福祉施設の職員. 震で自分の命の危険を感じた経験の有無』では、. や医療従事者を対象とした「死に対する態度」に. 経験のある教師は<死への恐怖・不安>、<死へ. ついての報告は多数あるものの教師を対象とした. の関心>の得点が有意に高く、『地震で近親者の死. 報告はほとんどない。そこで、学校教育における. の経験の有無』では、<死への関心〉の得点が有. デス・エデュケーションの担い手となる教師のr死. 意に高かった。. に対する態度」を明らかにすることを本研究の目.  EPSIと死生観尺度の因子間の関係を調べた結. 的とした。. 果、EPSIのすべての下位因子と「人生における自.  また、これまで実践されてきた、「死」を扱った. 的意識」に正の相関が、『生殖性』以外の下位因子. 教材をカテゴリー化し、教師の教材選択の傾向に. と「解放としての死」に負の相関が見られた。ま. ついても併せて明らかにすることを考えた。. た、『統合性』において「死についての恐怖・不安」、. 2.方法 ・調査対象 兵庫県内の公立小学校教師(109)・. 「解放としての死」、「死からの回避」について負. の相関が、「人生の目的意識」と正の相関が見られ. 中学校教師(102)・特別支援学校教師(98). た。. 計309名(配布教1063、回収数330、回収率31%、.  特別支援学校の経験の有無では、経験した教師. 有効回答数309). は、「生徒の死の経験」が多く、<死に関する関心. ・調査時期2009年4月下旬∼7月下旬. >は、経験のない教師に比べて有意に高いことが. ・調査内容. わかった。また、経験者の死生観尺度の因子間の. O「臨老式死生観尺度」. 相関を調べた結果、<死についての恐1布・不安>. ○「エリクソン心理社会的段階員録検査」(EPSI). と<死からの回避>、<解放としての死〉と<寿. ○フェイスシート. 命観>にかなりの相関がみられた。経験のない教. 校種・年齢・性別の他、「死についての経験」も加. 師の死生観尺度の因子間の相関を調べた結果、<. えた。. 死後の世界観>と〈寿命間〉、〈死についての恐. ○教材選択. 怖・不安>と<死からの回避>にかなりの相関が. 3.結果. みられた。.  被験者全員の死生観尺度の各因子間の相関係数.  教材選択で、最も多く選択された教材は、「避け. を求めた結果、<死後の世界観>と<寿命観〉、. られる死」、次にr避けられない死」、そしてr死. 〈死への恐怖・不安〉と<死からの回避>にかな. の準備」についての教材となった。教材選択の傾. りの相関がみられた。また、r死に関する経験の有. 向を見るため、コレスポンテンス分析を行った結. 134一.

(2) 果、校種、年齢、性別にその特徴が見られた。ま. かと考えられる。. た、優先順位の1位とされた教材選択でも、校種.  これまでの学校教育は、「生」の側面からのアプ. 間に傾向の違いが見られ、小学校教員はr避けら. ローチが中心で、死にまつわる否定的要素を避け. れる死」を、中学校教員はr生命倫理」に関する. る傾向にあるといわれていた。しかし、今回の教. 教材を、特別支援学校教員は「死の準備」の教材. 材選択についての調査では、r避けられない死」に. を選択しやすいということがわかった。. ついての教材を多くの教師が選択していた。これ. 4.考察. は、本研究の調査対象者が、兵庫県内の公立学校.   r死生観」、r死に関する経験」、r心理的発達」. 教師であり、14年前の阪神・淡路大震災を経験し. の関係を総合して考えると、「死に関する経験」は、. たこと、青少年のかかわる凶悪犯罪についての報. <死への関心>を高める。<死への関心>が高ま. 道を見聞きしたことで、「生命の大切さ」と同時に、. ると、それに伴って、<死への恐怖・不安>、< 死からの回避>など死に対する否定的な因子、及. r不可避的な死」を実感した結果からではないか と考えられる。. び人生に対する否定的因子である<解放としての.  校種別の教材選択において、死の概念が形成さ. 死>が高まる。この負の意味合いを持つ気持ちの. れたばかりの児童に、r避けられる死」やr死の解. 高まりは、心理的発達が進むことで、抑えること. 釈」について考える教材を選択した小学校の教師. が可能になる。あるいは、それとは逆に、r死に関. は、子どもの発達に合致した妥当な教材選択がで. する経験」により現れた死に対する否定的な高ま. きていると思われる。また、中学校の教師が、死. りを、時間をかけて消化していく過程で、心理的. への恐怖が低くなり、死への関心が高まると考え. 発達が進んでいくとも考えられる。く人生におけ. られる中学生に、よりよく生きることを目的とし. る目的意識>は、これらの動きと同時に高められ、. た、r死の準備」についての教材、生命尊重の視点. 自我同一性の実感につながる。教師の死生観はこ. に立って、自他の命のつながりをテーマとする「生. のような心理的な動きを通して変化していくので. 命倫理」についての教材を選択したことも生徒の. はないかと考えられる。. 発達に沿った教材選択をしていると言える。また、.  特別支援学校の経験のある教師と、経験のない. 特別支援学校の教師が「死の準備」、「避けられな. 教師を比較すると、<死への恐怖・不安>と〈死. い死」についての教材を選択したことは、r児童・. からの回避>の関係、<死への関心>と<死への. 生徒の死」を身近に感じ、死と隣り合わせに教育. 恐怖・不安>の関係、<解放としての死>と<寿. 活動を行うことで、「死」を日常から切り離すこと. 命観>の関係に大きな違いがある。特別支援学校. が難しくなった結果からではないかと考えられる。. の経験のある教師は、<死への恐怖・不安>は<.  教師は、学校教育におけるデス・エデュケーシ. 死からの回避〉と強い相関があるが、<死への関. ョンの担い手である。にもかかわらず、教師とい. 心>とは相関が見られず、<解放としての死>と. う職業が直接死を扱う仕事でないためか、日本で. <寿命観〉に相関がある。<死への恐怖・不安>. は、これまで、死に対する教師の態度の研究は、. と〈死からの回避>の強いつながりは、特別支援. 思索的に報告されるものが僅かにあるだけであっ. 学校の教師が、常に命の危険と隣り合わせに日々. た。今回、教師の死生観とr死についての経験」. の教育活動を行っていることがその要因であると. 及び「心理的発達」の関係、また死を扱った教材. 考えられる。また、不幸にも「生徒の死」を経験. の選択傾向が、はじめて実証できた。. したとき、これまで懸命に重度の障害と闘いなが.         主任指導教員  岩井圭司. ら生きてきた子どもの死を天寿とし、本来、人生.         指導教員    岩井圭司. に対する否定的因子である<解放としての死〉を. 肯定的なものとして捉え、その子どものr死後の 世界」の幸せにつなげようとしているのではない. 一135一.

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