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IRUCAA@TDC : 「変わる」こと

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Academic year: 2021

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Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/

Title

「変わる」こと

Author(s)

山本, 仁

Journal

歯科学報, 113(2): 2i-2i

URL

http://hdl.handle.net/10130/3065

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「変わる」こと

山 本

4月に入り在校生は新しい学年の生活が,新入生は歯科大生としての生活がそれぞれに始まった。 また大学院生や研修医もそれぞれの立場で新たに生活を始めている。新学期,新たな学校や部署のよ うな時間的あるいは物理的な区切りには「本当に変わった」という実感と,「これまでと違う何かを したい」,あるいは「しよう」という精神的な昂揚がある。 私は基礎講座に所属しているので,教育と研究を主に行っている。教育,特に授業について考える と,4月から翌年3月までの1年間のサイクルで回っているが,授業を受ける立場の学生は毎年ほと んどが新しく科目を学ぶ学生であるので,授業に対する反応がそれぞれの年によって異なっている。 つまり授業を受ける側には毎年変化がある。では授業を行う側はどうだろうか。 私が担当するのは組織学,発生学,口腔組織学,口腔病理学Ⅰであり,この分野も他の分野と同様 に毎年多くの論文とともに,新しい知見が発表されている。特に昨年京都大学の山中伸弥教授がノー ベル賞を受賞されたことから iPS 細胞に関連した発生学を土台とした再生学研究が脚光を浴びてお り,益々この分野で新しい,多くの知見が発表されることは容易に想像される。毎年発表される新知 見を貪欲に授業に取り入れようとすれば,授業内容は膨大なものとなってしまう。しかし授業として のレベルと研究のレベルは当然異なっている。また授業する内容はその分野の専門家の中でコンセン サスが得られていることが望ましい。論文発表された知見が教科書に記載されるようなコンセンサス を得られた事実として認められるには時間が必要である。歯学部の学生教育には教育内容ガイドライ ンとしての「歯学教育モデル・コア・アカリキュラム」があるが,この基本理念は「著しく膨大と なった歯学教育の内容を精選し,卒業時までに学生が身に着けておくべき必須の実践能力(知識・技 能・態度)の到達目標をわかりやすく提示したもの」である(歯学教育モデル・コア・カリキュラム− 教育内容ガイドライン−平成22年度改定版,モデル・コア・カリキュラム改訂に関する連絡調整員 会,モデル・コア・カリキュラム改訂に関する専門研究委員会編)。しかしここで提示されているの はあくまで「項目」である。例えば「上皮を形態的および機能的に分類できる。」という項目がある が,実際に講義する内容は「上皮の形態と機能」である。「重層扁平上皮」を例にすると,この上皮 の特徴がこの一年で根底から覆されるほど変わることは考え難く,また機能的に被蓋上皮(保護上皮) に分類されることも変わらないと思われる。つまり深さの差はあっても授業内容はほぼ毎年変わらな いことになる。本講座の授業項目はモデル・コア・カリキュラムよりも多いが,時間的な制約もあ り,授業内容に毎年劇的な変化は望めない。すると当然昨年の授業も今年の授業も同じという,マン ネリが生まれてしまう。授業内容は大幅には変えられないなかで授業を変えていくには,かなり意識 的に「変える」ということを考え,自らが「変わる」決意が必要である。 私にとって身近な授業を例に挙げたが,このようなことは日常でも多い。確固たる信念でこれまで と同じにしているのなら別だが,特に考えることなく,面倒だから,前例がないからという理由で変 えずにいる事があるとしたら,それは新しいものを生み出すチャンスの放棄である。幸いなことに, 素晴らしいことに,人は新年度や新たな学校や部署という時間的,物理的な変化がなくても,気の持 ち方でいつでも「変わる」ことができる。考えることを止めずに,「変わる」ことを恐れずに,常に 新しい自分でありたいと思う。 (東京歯科大学口腔超微構造学講座 教授)

参照

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