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IRUCAA@TDC : 最近の製薬企業の問題に対して思うこと

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Academic year: 2021

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Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/

Title

最近の製薬企業の問題に対して思うこと

Author(s)

門田, 佳子

Journal

歯科学報, 119(5): 5i-5i

URL

http://hdl.handle.net/10130/5038

Right

Description

(2)

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最近の製薬企業の問題に対して思うこと

門 田 佳 子

昨今,セファゾリンをはじめとした抗菌薬の供給停止やラニチジンの自主回収といった医薬品の安 定供給に関する問題,さらに製薬企業宣伝活動の適正化の弊害と考えられる医薬品情報入手に関する 問題が相次いでいる。 日本の薬剤師法では,「薬剤師は,調剤,医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによっ て,公衆衛生の向上及び増進に寄与し,もつて国民の健康な生活を確保するものとする」と定めてい る。近年,薬剤師もチーム医療への貢献が求められ,業務内容がこれまでの物中心から人中心へと変 化しているものの,医薬品の安定供給と適正使用のための医薬品情報の収集・評価・提供は,依然と して薬剤師の重要な業務である。 セファゾリンについては,遂にセファゾリンを入手できず手術や治療を行えない場合,厚労省の相 談窓口に連絡するよう求める通達が9月末に全国に発せられた。厚労省は連絡を受けた場合,医療機 関に必要な薬量を供給できるよう製薬企業と医薬品卸業者の連携を促すこととなった。 ラニチジン自主回収については,ラニチジン製剤と同剤の原薬から微量の発癌性物質 N−ニトロソ ジメチルアミン(NDMA)が検出され,欧米当局が安全性評価を開始したことから,国内の製薬企業 も NDMA の混入の有無を調査するため自主回収を行ったが,製品の回収だけでなく代替薬への変更 など患者が不利益を被らないように対応を行うのは医療機関や薬局である。 中国やインドなどアジア圏の原薬製造所で不純物の混入や汚染が発生する事案が相次いでいること から,厚労省は後発品やバイオシミラーの原薬製造所に立ち入り調査を実施し,医薬品原料に対する 品質確保の強化を行うための予算を計上した。国の監視体制も重要だが,製薬企業が採算を重視し過 ぎた結果,医療現場に混乱が生じてしまうような製薬業界の仕組みを見直すことも大切なのではない だろうか。薬剤師としてできることは,今後も採用薬の選択の際に,安定供給の面も考慮に入れて検 討することである。 次に,医薬品情報業務について考えてみたい。臨床研究不正のディオバン事件など,製薬企業によ る広告・宣伝の違反事例が続発したことで,厚労省は2016年度より全国の大型総合病院を中心に医 師,薬剤師などのモニターを選び,MR や MSL の広告・宣伝活動,講演会,製薬企業のホームペー ジなどを対象に不適切な事例を収集する広告活動監視モニター事業を実施してきた。しかし,モニ ター以外からも不適切事例の報告を広く受け付けるべきとの指摘がモニター委員から出たため,2019 年10月からは薬局も含むすべての医療関係者から情報を集めることになったそうだ。このような規制 強化を耳にするたびに,エビデンス教育を受けてきた医療者が,未だに製薬企業の宣伝・広告活動を 鵜呑みにするであろうかと疑問に思う。また,MR の情報提供の監視が強化されたことで,適応外の 使用法については情報を得られなくなっている。新薬等のヒアリングで薬剤師が確認する事項,例え ば,粉砕や脱カプセルした場合の薬の安定性,一包化後の安定性など,以前は収集できていた実際に 患者に投与する際に必要な情報についても入手が難しくなっている。MR の過剰な売り込みや誇大広 告は許されることではないが,医薬品の適正使用のために必要な情報は入手しなければならない。 医薬品情報の収集,吟味,加工,提供を扱う医薬品情報学は,薬学教育において最重要科目の一つ である。患者に有効で安全な医療を提供するために適切な医薬品情報を製薬企業や文献検索から収集 する努力を継続するだけでなく,薬剤師も大学の研究室と共同して自らエビデンスを作っていく努力 をしなければならない。また,最終的に患者に不利益が及ばないように医療者側が力を合わせて,各 種関連学会を中心に国に働き掛ける必要もあると考える。 (東京歯科大学市川総合病院臨床薬学科 教授)

参照

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