IRUCAA@TDC : グローバル化する歯科矯正治療 : 3.矯正治療におけるレーザー照射の応用について その2 Nd-YAGレーザーによる齲蝕予防
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(2) 2 4 1. ―――― 教 育 ノ ー ト ――――. グローバル化する歯科矯正治療 3.矯正治療におけるレーザー照射の応用について その2. Nd-YAG レーザーによる齲蝕予防. 原 崎 守 弘. 早 川 浩太郎. 坂 本 輝 雄. 福 井 健 之. 山 口 秀 晴. 東京歯科大学歯科矯正学講座. は. じ. め に. むことも少なくない。 そこで今回,矯正治療におけるカリエスコント. 質量ともに発展する矯正臨床にあって,歯科治 療の原点である歯牙の痛みと齲蝕の発症が置き去. ロールについて有効な方法を検討した。. りにされていた感がある。この二つの重大事のう. 歯牙にレーザー照射をすることにより,エナメ. ち,矯正治療中に発現する疼痛の軽減については. ル質に耐酸性が付与されることが知られている. ヘリウムネオンガスレーザーの照射を行い好結果. が,初めて報告したのは Sognaes と Stern4)であ. を得た1)2)。. る。レーザーに関し多くの報告をしている Powell. 今回は,矯正治療中のカリエスコントロールに. ら5)∼7)は,Argon. laser の照射による実験室レベ. ついて話を進めたい。かつて齲蝕の洪水と呼ば. ルのカリエスコントロールの有効性について報告. れ,その対応が叫ばれたのはそれほど昔のことで. している。1998年原崎は,Utah 大学の Graduate. はなく,今から3∼40年位前のことである。その. Medical. 後,治水対策が進み当時と比べると随分齲蝕も少. 問し,本研究の打ち合わせを行い同意を得た。ま. なくなったが,欧米の先進諸国と比べると未だ水. た,Nd-YAG レーザーがカリエスコントロール. をあけられている。しかも矯正治療のための装置. に対し有効であることが森岡ら8)によって報告さ. Education に所属する Powell 教授を訪. の装着は,口腔内環境のバランスを崩し齲蝕の発. れており,Nd-YAG レーザーと APF(酸性フッ素. 症を促進させる3)。また,矯正治療においてダイ. リン酸)溶液の併用はさらに有効である9)10)と報告. レクトボンディング法は技術革新をもたらした. している。そこで矯正治療の特殊性を生かした長. が,前処置として行うエナメルエッチングは歯質. 期間に及ぶ研究が良いのではないかと思い,研究. の脱灰によってカリエスリスクを亢進させる危惧. 方法を検討した11)。. も招いた。 方. 写真は矯正治療と外科手術を併用した患者の治. 法. 9). 療前後を示す(図1)。治療期間は約2年である。. 森岡らの方法 に従い基礎実験を行った。方法. 治療後の写真の様に齲蝕が多発し,術者として悩. は,矯正治療のため便宜抜歯された幼若小臼歯を. M. HARAZAKI, K. HAYAKAWA, T. FUKUI, T. SAKAMOTO and H. YAMAGUCHI : The Globalization in Orthodontics, Part 3−2 The Nd-YAG laser is useful in prevention of dental caries during orthodontic treatment(Department of Orthodontics, Tokyo Dental College) 別刷請求先:〒2 6 1 ‐ 8 5 0 2 千葉市美浜区真砂1−2−2 東京歯科大学歯科矯正学講座 原崎守弘 ― 1 ―.
(3) 2 4 2. 原崎, 他:グローバル化する歯科矯正治療. は繰り返し速度2 0pps を5秒間,照射密度は40J (図2)。他 方 は,非 照 射 (コ ン ト /cm と し た ロール)とした。その後,乳酸緩衝液 (ph4. 5;1 mol)中に1週間浸漬して処理後,レーザー照射 面と非照射面を SEM により観察を行った。 臨床応用における研究では,矯正治療中の患者 の中から上顎6前歯のうち,いずれかに初期脱灰 エナメル質すなわち白斑を有する歯牙を持つ10症 例を選んだ。方法は,まず6前歯をブラッシング 矯正治療前. して水洗し,充分乾燥してから写真撮影した。写 真撮影は口角鉤を使用し,上顎中切歯に焦点を合 わせ撮影条件を一定にし,サイズはE版とした。 なお本写真では実際と較べ面積は約1. 8倍となる。 その後,写真(図3)のように黒色剤を塗布し, レーザー照射をしてから APF を塗布した。約1 年経過後,同一の規格で写真撮影し,上顎6前歯 に お け る 白 斑 部 の 面 積 を 計 測 し た。Nd-YAG レーザーを照射しなかったコントロールグループ 10症例についても同様に面積を計測し,照射グ. 矯正治療中. ループと比較した。 面積の計測においては規格化した写真における 歯牙白斑部をトレース(図4)し,コンピューター 処理(MIP)により計測した。な お,白斑部のト レースは白斑の明瞭なものだけとし,不明瞭なも のはトレースから除外した。 Mann-Whitney 各計測値より面積増加率を求め, のU検定を用い検定を行った。 結. 矯正治療後(外科手術併用) 齲蝕が多発している. 果. 幼若永久歯におけるレーザー照射面と非照射面 (コントロール) の SEM による観察を行った。そ. 図1. の結果,非照射面においてはエナメル小柱の露出 が明らかに認められるのに対し,レーザー照射面 用い,唇側歯冠面を研磨剤によりブラッシングし. ではごく微少な亀裂が認められるが,全体として. た。これを2分割し,一方の唇側面に黒色塗布剤. は平滑なエナメル質表面を呈した(図5)。. を施して,ノーマルパルスの Nd-YAG レーザー. 臨床応用においては,レーザー照射群とコント. を照射した。なお,黒色塗布剤はエナメル質への. ロール群に差が認められた。表(表1,2)は両グ. 光吸収を助けるために必要である。照射条件はパ. ループにおける白斑部の面積を示し,約1年後の. ルス幅0. 3msec,1パ ル ス の エ ネ ル ギ ー が0. 75. 増減と面積増加率を示す。面積増加率は,レー. J,ピークパワー2×10Wであり,一カ所の照射. ザー照射群においては平均1 41%,コントロール. ― 2 ―.
(4) 歯科学報. Vol.1 0 2,No.4(2 0 0 2). 2 4 3. a:ブラッシング. b:黒色剤を塗布. c:レーザー照射. d:照射後 図2. レーザー照射のステップ. b:照射後 APF を塗布. a:レーザー照射 図3. 群では287%であった。レーザー照射群の2症例. に較べ日本は齲蝕有病率が高い。WHO が1995年. では面積が増加せず逆に減少していた。. に発表12)した12歳児の一人平均 DMF 歯数におい て,ア メ リ カ は1. 8,イ ギ リ ス1. 4,フ ラ ン ス. 考. 察. 2. 6,デ ン マ ー ク1. 3等 に 比 し,日 本 は3. 6で あ. 矯正治療の盛んなアメリカや西ヨーロッパ諸国. る。なお,日本の29大学の小児歯科学教室でまと. ― 3 ―.
(5) 2 4 4. 原崎, 他:グローバル化する歯科矯正治療. 1年後. 図4. 規格写真の歯牙白斑部をトレースしコンピュー ターにより面積を計測. a:非レーザー照射乳酸緩衝液にて処理 図5. b:レーザー照射後乳酸緩衝液にて処理. エナメル質表面の比較. めた最新の報告13)によれば,4 080名の小児を対象. いて,ブラッシング指導はまったく同じ方法で. とした中から12歳児における一人平均 DMF 歯数. 行った。調査開始時における両グループのサンプ. は,男子3. 8,女子4. 1である。我々はこの事実を. ルとして有意差は無い(表1,2)。. よく見つめ,カリエスリスクの高い矯正治療に対. 今回は森岡らの方法に従って基礎実験とレー. し,充分な齲蝕対策が必要であることをあらため. ザーの照射を行った。図5に示すように非照射面. て認識しなければならない。現在,当矯正歯科の. ではエナメル小柱の露出が明らかに認められるの. 診療室では矯正治療を開始するにあたり,すべて. に対し,レーザー照射面ではごく微少な亀裂が認. の患者にカラーテスターを用いてブラッシング指. められるが,全体として平滑なエナメル質表面を. 導を行っている。今回の研究の対象となったレー. 示した。これはレーザー照射による熱効果で脱灰. ザーの照射グループとコントロールグループにお. の抑制によって耐酸性が強化されたものである。. ― 4 ―.
(6) 歯科学報 表1. A B C D E F G H I J. Vol.1 0 2,No.4(2 0 0 2). 2 4 5. コントロールグループ(非照射) 1 0人の白斑部の面積(mm2) 1 3. 1 2. 1 1. 2 1. 2 2. 2 3. 2 7. 4 3 0. 0 0 0. 0 0 0. 0 0 3. 1 8 2 0. 8 4 1 4. 8 3 1 4. 6 0 3 8. 0 3 2 0. 0 2. 1 6. 0 1 1 2. 3 7 4 4. 2 0 3 3. 5 0 5. 1 2 1 6. 3 7 1 6. 6 4 8. 5 6 5 4. 9 0 1 1. 6 5. 3 2. 2 2 2 3. 5 3 9 5. 8 2 0. 0 0 6. 0 7 2 0. 2 8 3 8. 8 9 2 5. 5 3 5 6. 9 0 1 4. 0 4. 3 0. 4 5 2 6. 6 8 3 4. 2 3 0. 0 0 1 3. 1 6 1 7. 0 3 3 8. 5 2 1 2. 8 0 8 6. 0 7 2 9. 2 7. 6. 8 6 2 0. 3 5 2 3. 3 0 1 0. 3 4 8. 5 0 1 6. 2 4 2 1. 2 0 1 2. 5 4 6 1. 2 0 4 1. 4 5. 3 0. 0 9 0. 0 0 0. 0 0 1 5. 3 2 7. 5 5 2 4. 2 2 0. 0 0 1 5. 9 2 5 1. 5 8 8. 8 3. 計 1 4 3. 0 7 8 2. 9 2 1 9 7. 5 5 5 9. 1 7 4 3. 5 8 1 1 4. 9 8 1 3 0. 0 8 8 9. 9 5 3 4 8. 6 9 1 2 5. 2 5. 合計. 1 3 3 5. 2 4. 2 3. 計. 白斑部の1年後の面積増減(mm2) 1 3 A B C D E F G H I J. 7. 6 1 0. 0 0 0. 0 0 9. 0 6 3 4. 6 5 1 7. 0 0 1 2. 5 7 3 0. 0 6 1 8. 0 8 3. 9 0. 1 2 4 3. 1 8 2 9. 2 4 8. 1 4 1 6. 2 8 3 3. 4 7 5 4. 3 7 −6. 4 6 1 9. 1 0 2 8. 9 4 1 6. 8 3. 1 1. 2 1. 1 1 7. 9 0 8 5. 7 5 1 8. 2 1 9. 4 2 7 1. 0 1 2 1. 9 2 2 4. 8 1 6. 7 3 1 4 1. 1 4 −3. 4 1. 1 3 8. 5 1 4 9. 7 8 2 1. 4 3 0. 0 0 4 5. 4 8 1 0 0. 0 5 3 6. 3 6 −3. 2 5 5 7. 8 5 −6. 8 9. 2 2 2 7. 7 9 3 2. 6 2 5 4. 9 6 1 4. 1 4 8 5. 8 4 4 5. 4 2 1 5. 4 2 −0. 3 9 4 4. 8 9 −9. 5 5. −7. 5 1 2 1. 6 9 0. 0 0 −2. 8 2 4 3. 5 5 7 5. 2 4 2 9. 2 4 −1. 8 4 1 8. 6 7 2 5. 3 3. 3 2 7. 4 9 2 1 9. 0 7 1 0 2. 7 4 4 6. 0 7 3 1 4. 0 1 3 1 4. 0 1 1 1 1. 9 3 5 0. 4 0 3 0 9. 5 8 2 6. 2 2. 合計. 1 8 1 2. 5 2. 1年後の増加率(%). A B C D E F G H I J. 1 3. 1 2. 1 1. 2 1. 2 2. 2 3. 増加率. 1 2 7. 7 5 0. 0 0 0. 0 0 0. 0 0 1 1 8 8. 6 6 1 8 1. 5 7 1 8 4. 7 3 3 0 5. 8 4 1 4 7. 5 4 1 1 9. 5 1. 3 6 9. 6 7 3 3 6. 3 4 1 1 8. 4 1 1 4 8. 5 8 7 5 3. 8 5 4 3 2. 0 6 6 1. 1 4 3 2 2. 9 9 1 5 2. 7 2 2 4 4. 5 1. 4 6 5. 8 9 4 6 4. 4 4 1 1 9. 0 1 0. 0 0 1 2 6 9. 7 3 2 0 8. 0 9 1 6 3. 8 0 1 2 6. 3 5 3 4 8. 0 4 7 5. 7 0. 5 5 4. 8 5 2 8 6. 5 9 1 6 2. 6 1 0. 0 0 4 4 5. 6 4 6 8 7. 4 8 1 9 4. 3 8 7 4. 6 2 1 6 7. 2 1 7 6. 4 6. 5 0 5. 2 6 2 6 0. 3 2 3 3 5. 9 2 2 3 6. 8 3 1 1 1 0. 0 4 3 7 9. 6 0 1 7 2. 7 6 9 6. 8 6 1 7 3. 3 5 7 6. 9 6. 7 5. 0 3 0. 0 0 0. 0 0 8 1. 5 8 6 7 6. 9 6 4 1 0. 7 0 0. 0 0 8 8. 4 5 1 3 6. 2 0 3 8 6. 9 9. 3 2 8. 9 0 3 6 4. 1 9 1 5 2. 0 1 1 7 7. 8 7 8 2 0. 5 6 3 7 3. 0 9 1 8 6. 0 5 1 5 6. 0 4 1 8 8. 7 8 1 2 0. 9 3. 個人の平均(%) 2 8 6. 8 4±2 0 9. 3 7. ― 5 ―.
(7) 2 4 6. 原崎, 他:グローバル化する歯科矯正治療 表2. a b c d e f g h i j. レーザー照射グループ1 0人の白斑部の面積(mm2) 1 3. 1 2. 0. 0 0 0. 0 0 1 8. 6 7 1 2. 6 7 5 0. 1 4 0. 0 0 0. 0 0 0. 0 0 2 7. 2 0 0. 0 0. 4 5. 5 9 0. 0 0 1 7. 4 9 1 0. 6 0 3 1. 0 4 2 7. 0 1 0. 0 0 0. 0 0 5 4. 8 7 8 4. 0 4. 1 1. 2 1. 1 2 4. 9 6 1 1 9. 2 8 8 5. 2 9 2 3. 0 4 3 5. 8 0 3 4. 1 3 1 8. 1 1 8 1. 4 5 4 1. 0 5 1 8 2. 5 5. 5 8. 1 6 8 6. 4 7 5 3. 7 2 2 4. 6 1 6 5. 1 4 3 4. 8 2 2 2. 6 1 7 7. 2 8 1 6 1. 4 2 1 7 7. 5 3. 2 2. 2 3. 4 6. 6 0 0. 0 0 3 4. 0 0 1 5. 5 2 2 8. 2 9 2 6. 0 9 0. 0 0 0. 0 0 9 4. 0 5 4 9. 1 6. 0. 0 0 0. 0 0 1 4. 6 0 6. 3 7 0. 0 0 0. 0 0 0. 0 0 0. 0 0 4 7. 5 2 1 6. 9 3. 計 2 7 5. 3 0 2 0 5. 7 5 2 2 3. 7 6 9 2. 8 0 2 1 0. 4 1 1 2 2. 0 4 4 0. 7 2 1 5 8. 7 3 4 2 6. 1 0 5 1 0. 2 1. 合計. 2 2 6 5. 8 2. 2 3. 計. 白斑部の1年後の面積増減(mm2). a b c d e f g h i j. 1 3. 1 2. 0. 0 0 0. 0 0 8. 5 0 2. 4 6 −1 9. 8 9 0. 0 0 0. 0 0 0. 0 0 1 0. 5 7 0. 0 0. −1 4. 0 6 0. 0 0 1 8. 1 1 1 9. 4 3 2. 5 3 2 6. 1 5 0. 0 0 0. 0 0 1 2. 9 6 0. 8 9. 1 1 −0. 1 5 4 4. 7 9 7. 4 8 1 9. 1 0 3. 8 4 2 6. 9 1 4. 4 6 6 7. 7 6 1. 8 0 4 2. 6 9. 2 1 −9. 4 3 4 8. 1 4 1 1 7. 3 5 1 4. 4 7 3 3. 4 7 2 9. 6 6 −4. 7 3 3 8. 3 9 −1 2. 8 3 6 6. 4 2. 2 2 −1. 5 3 0. 0 0 1 2. 1 1 1 8. 3 8 −1. 8 0 3 2. 6 5 0. 0 0 0. 0 0 2 0. 3 1 −2. 4 3. 0. 0 0 0. 0 0 7. 5 8 6. 0 4 1 8. 4 1 0. 0 0 0. 0 0 0. 0 0 7. 7 1 1. 4 1. −2 5. 1 7 9 2. 9 3 1 7 1. 1 3 7 9. 8 7 3 6. 5 6 1 1 5. 3 8 −0. 2 6 1 0 6. 1 6 4 0. 5 3 1 0 8. 9 8. 合計. 7 2 6. 1 0. 1年後の増加率(%). a b c d e f g h i j. 1 3. 1 2. 1 1. 2 1. 2 2. 2 3. 増加率. 0. 0 0 0. 0 0 1 4 5. 5 2 1 9. 4 3 6 0. 3 4 0. 0 0 0. 0 0 0. 0 0 3 8. 8 4 0. 0 0. 6 9. 1 6 0. 0 0 2 0 3. 5 6 2 8 3. 2 8 1 0 8. 1 4 1 9 6. 8 4 0. 0 0 0. 0 0 1 2 3. 6 2 1 0 1. 0 5. 9 9. 8 8 1 3 7. 5 5 1 0 8. 7 7 1 8 2. 9 1 1 1 0. 7 2 1 7 8. 8 5 1 2 4. 6 4 1 8 3. 2 0 1 0 4. 4 0 1 2 3. 3 9. 8 3. 7 9 1 5 5. 6 7 3 1 8. 4 5 1 5 8. 8 0 1 5 1. 3 9 1 8 5. 2 0 7 9. 1 0 1 4 9. 6 8 9 2. 0 5 1 3 7. 4 1. 9 6. 7 1 0. 0 0 1 3 5. 6 2 2 1 8. 3 9 9 3. 6 2 2 2 5. 1 6 0. 0 0 0. 0 0 1 2 1. 6 0 9 5. 0 6. 0. 0 0 0. 0 0 1 5 1. 9 1 1 9 4. 8 5 0. 0 0 0. 0 0 0. 0 0 0. 0 0 1 1 6. 2 3 1 0 8. 3 3. 9 0. 8 6 1 4 5. 1 7 1 7 6. 4 8 1 8 6. 0 7 1 1 7. 3 7 1 9 4. 5 4 9 9. 3 6 1 6 6. 8 8 1 0 9. 5 1 1 2 1. 3 6. 個人の平均(%) 1 4 0. 7 6±3 8. 0 5. ― 6 ―.
(8) 歯科学報. Vol.1 0 2,No.4(2 0 0 2). 2 4 7. カリエスコントロールの方法として Nd-YAG. (p<0. 05)。レーザー照射群における2症例にお. レーザーと APF の併用は,歯質を強化すること. いては白斑面積が減少したが,これは再石灰化15). から有 効 で あ る こ と が 報 告 さ れ て い る。森 岡. によるものであろう。2群間における白斑部の面. 9) 14). によれば,APF 塗布単独のもの,レーザー. 積増加率は,レーザー照射群では平均1 41%,コ. プラス APF,順番を逆にした APF プラスレー. ら. ントロール群では平均2 87%と約2倍となった。. ザー,レーザー単独の上記4種を比較したとこ. 単純に考えるとこの数字は効果があったと考えら. ろ,エナメル質から溶出したカルシウムの対コン. れる。ただし,この数字がどの程度の意味を持つ. トロール比を見ると,レーザープラス APF が最. のか残念ながら判定基準を持っていない。. も 小 さ く,APF プ ラ ス レ ー ザ ー,APF,レ ー. 齲蝕予防を単に患者に委ねるだけでなく,術者. ザーの順となり,レーザープラス APF が最も高. 側においても積極的な方法を考えていくべきであ. い耐酸性付与効果が得られたことを報告してい. る。Axelsson ら16)によって開発された機械的歯. る。また,Electron probe Microanalyzer(EPM). 面清掃法 PMTC(Professional Mechanical Tooth. 線分析によって,レーザー照射と APF を併用し. Cleaning)は,積極的な予防法として代表的なも. た場合,歯質へのフッ素の取り込みが APF 単独. のである。Nd-YAG レーザーによるカリエスコ. の場合と較べ著明に高かったとしている。エナメ. ントロールは,歯質自体の耐酸性強化が得られる. ル質が耐酸性を獲得する機序として,レーザー照. ことから,一層有効な方法と思われる。. 射によりエナメル質中の H2O(アパタイトの結晶 ま. 水),有機質および CO3が一部消失することによ り,それらが本来存在していた部位に超微細な空. と. め. 矯正治療中における患者のカリエスコントロー. 隙(microspace)が生じ,酸脱灰によっ て 溶 出 し. ルと し て Nd-YAG レ ー ザ ー の 照 射 お よ び 酸 性. た Ca やPのイオンがこの空隙に trap して,外部. フッ素リン酸 (APF)溶液の塗布は,長期間有効. への遊離放出が阻止されると説明している。. であることが示唆された。. この様に実験室レベルにおいては,レーザー照 射および APF 併用のカリエスコントロールの有 用性が報告されているが,実際に臨床応用という 面からみた時,長期間の有効性があるか,および. 稿を終えるにあたり,本研究につきまして御助言を いただきました九州大学名誉教授森岡俊夫先生に深く 感謝の意を表します。. コントロールグループと比較して効果があるのか 確認する必要があると思われた。そこで矯正治療 の特殊性を考慮し,長期間の観察による調査が良 いのではないかと思われた。 歯牙表面に見られる白斑(white spot)は,初期 齲蝕の状態である。我々はこの白斑に注目し, レーザー照射群と非照射のコントロール群におい て1年間の経過観察をした。同一条件で撮影した 写真の白斑部をトレースし,その面積を計測して 増減を比較した。本方法は地道ながら単純明快な 方法であろう。患者の中には白斑から完全な齲蝕 に進行している場合もあったが,それらは白斑と 同様にトレースした。約1年後の白斑部の面積の 増加において2群間に明らかな有意差を認めた. 参. 考. 文. 献. 1)Harazaki, M. and Isshiki, Y. : Soft laser irradiation effects on pain reduction in orthodontic treatment. The Bulletin of Tokyo Dental College, 3 8:2 9 1∼ 2 9 5,1 9 9 7. 2)Harazaki, M., Takahashi, H., Ito, A. and Isshiki, Y. : Soft laser irradiation induced pain reduction in orthodontic treatment. The Bulletin of Tokyo Dental College,3 9:9 5∼1 0 1,1 9 9 8. 3)Nikiforuk, G. : Understanding of dental caries. 1. Etiology and mechanism. S Karger, Basel7 9,1 9 8 5. 4)Sognaes, R. F. and Stern, R. H. : Laser effect on resistance of human dental enamel to demineralization in vitro. J Soc Cal Dent Assoc, 3 3:3 2 8∼3 2 9, 1 9 6 5. 5)Hicks, M. J., Catherine, Flaitz, C. M., Westerman, G. H., Blankenau, R. J., Powell, G. L. and Berg, J. H.. ― 7 ―.
(9) 2 4 8. 原崎, 他:グローバル化する歯科矯正治療. : Enamel caries initiation and progression following low fluence(energy)argon laser and fluoride treatment.J Clin Pediatr Dent,2 0:9∼1 3,1 9 9 5. 6)Powell, G. L., Morton, T. H. and Whisenant, B. K. : Argon laser oral safety parameters for teeth. Laser in Surgery and Medicine,1 3:5 4 8∼5 5 2,1 9 9 3. 7)Westerman, G. H., Hicks, M. J., Flaitz, C. M., Powell, G. L. and Blankenau, R. J. : Surface morphology of sound enamel after argon laser irradiation : an in vitro scanning electron microscopic study, J Clin Pediatr Dent,2 1:5 5∼5 9,1 9 9 6. 8)森 岡 俊 夫,鈴 木 和 雄,田 篭 祥 子:Nd-YAG レ ー ザー照射によるエナメル質耐酸性増強効果に及ぼす歯 面黒色塗布剤の効果,口腔衛生学会誌,3 4:4 0∼4 4, 1 9 8 4. 9)森岡俊夫,田篭祥子,稲井裕子:レーザー照射によ るエナメル質初期齲蝕の進行阻止および再石灰化促進 への効果について,日レ歯誌,2:1∼9,1 9 9 1. 1 0)山田恵子,神山紀久男:小児歯科におけるレーザー の臨床応用,歯科ジャーナル,3 9:2 5 9∼2 6 7,1 9 9 4.. 1 1) Harazaki, M., Hayakawa, K., Fukui, T., Isshiki, Y. and Lynn G. Powell. : The Nd−YAG laser is useful in prevention of dental caries during orthodontic treatment. The Bulletin of Tokyo Dental College, 4 2:7 9∼8 6,2 0 0 1. 1 2)WHO : DMFT leaves at 12 years, WHO, Geneva, 3∼9,1 9 9 5. 1 3)長坂信夫,海老原 孝,岡田臨三,東値佐恵里,松 下 愛,三浦一生,他2 8名:幼若永久歯の総合的研究 ― 齲 蝕 状 態,処 置 内 容 ― ,小 児 歯 誌,3 8:1 4∼ 2 9,2 0 0 0. 1 4)森岡俊夫:歯科医療とレーザー,歯科学報,9 7:5 9 8 ∼6 0 9,1 9 9 7. 1 5)飯島洋一,熊谷 崇:カリエスコントロール,再石 灰化のメカニズム,医歯薬出版,東京,2 5∼4 0, 1 9 9 9. 1 6)Axelsson, P. and Lindhe, J. : The effect of a preventive programme on dental plaque, gingivitis and caries in schoolchildren−Result after one and two years. J Clin Periodontol, 1:1 2 6∼1 3 8,1 9 7 4.. ― 8 ―.
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