レクリエーション再考
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(2) レク リエーシ ョン再考. 年 々強 くな って きて い る。特 に,高 齢障害者 に対 して の要援護対策 と して. ,. 1988年 に社 会福 祉士及 び介護 福 祉士 法 が制定 され,ま た,同 年 に高齢者 保 1)。 健福祉推進十 か年戦 略 , いわゆ る ゴール ドプ ラ ンが策定 された. これ によ. り,施 設福祉 お よび在宅福祉 を緊急 に整 備 す る方針 が立 て られた ので あ る。. 1994年 に は, ゴール ドプ ラ ンを大 幅 に上 回 る高齢者保健福 祉 サ ー ビス整備 の必要性 が 唱 え られ るよ うにな り,そ の見直 しと して, さ らな る充 実 を 目指 す新 ゴール ドプ ラ ンが策定 され,新 たに マ ンパ ワー養成確保 の項 目が追 加 さ れ た。寮母・ 介護職員 20万 人 ,ホ ームヘ ルパ ー 17万 人 (ゴ ール ドプ ラ ンの の 在 宅 サ ー ビスの 整 備 の項 目で 10万 人 )の 目標 が 掲 げ られ た 。 しか し,新 ゴール ドプ ラ ンを実 現 した と して も,特 別 養護 老 人 ホ ー ム 29万 人 分 は. ,. 2000年 要介護者数推計. (厚 生省調 べ. )約 280万 人 の 1割 程度 にす ぎな い し ,. 17万 人 のホー ムヘ ルパ ー は,65歳 以上人 口 1,000人 あた り 8.0人 で,福 祉先 進 国 といわれ るデ ンマー クの 1990年 時点 の 34.9人 と比 較す ると, その 4分 の 1に も満 たないの。 多 くの 問題 を抱 え なが ら,2000年 に は介護 保 険制度 が 導 入 され る ことに な るが,十 分 な介護 サ ー ビスを提供 で きな いので はな いか との指摘 も多 い。 介護 サ ー ビスが不足 して い る状態 で は,要 介護認定 は,認 定 とい うよ りも介 護保険適応対象者 の抑制 や給付制限 のために利用 されかねな い。 それ に,市 4に とも 問題 であ る。 町村 によ り認定 に相 当 なば らつ きが予想 され る. また, この制度 の導入 によ って,ホ ームヘ ルパ ーの介護労働 は点 数化 され ることにな る。入浴 させれば何点 ,食 事 を させれば何点 , とい うよ うに点数 が計算 され,給 付額 とヘ ルパ ーの報酬 が決 まる。 す べ てが マ ニ ュアル優先 で. ,. 高齢者 の話 し相手 にな る,散 歩 につ れて い くな どとい う行為 は点数 にはな ら ない。 つ ま り,地 域 ごと,利 用者 ごとによ りよ い介護 を工夫 して い く余地 が 少 な くな る現実 が考 え られ る。 この点数制 の もとで,特 に営利企業 で働 くヘ ルパ ー に求 め られ るの は,心 の こ も った介護 な どで はな く,で きるだ け多 く の要介護者 をで きるだ け短時間 に要領 よ く介護 す る能力 で あ るといえ るので あ る。.
(3) 山. 本. 存. 183. さ らに,営 利企業 の参入 によ って,サ ー ビス提供機 関 の間 で競争原 理 が働 き,介 護 サ ー ビスの質 的 な 向上 が期待 で きるとい う見方 もあ るが,競 争原理 が働 くの は,需 要 に対 して供給 が多 い場合 だ けで あ る。介護 サ ー ビスの よ う に,需 要 に対 してサ ー ビス量 (供 給 )が 圧倒 的 に不足 して い る場合 には,競 争原理 は働 か ない. 5)。. 現在 ,介 護 の仕事 に意 欲 を燃 や し,職 業 と して介護専 門職 を志 す者 の数 は 年 々増 えて い る。近畿 圏 で は,1989年 当時介護 福祉士 養成 校 は数校 で あ っ た ものが, 現在 で は 50校 を越 えて い る。 ホー ムヘ ルパ ーの養成講習 も官民 花盛 りで開催 されて い る。しか し,実 際 の ヘ ルパ ーの求人 は,正 規職員 と して の採用 な ど皆無 に等 しく,非 常勤化 して い るのが現 実 で あ る。就職希望者 が 公務員 に準 じる待遇 の施設職員 に流 れて い くの もやむをえ ない ところで あ る。 厚生省 は,在 宅 サ ー ビス に関 して,新 ゴール ドプ ラ ンを実現す るに十分 な 予算 を確 保 してお らず,施 設 サ ー ビスの整備 は進 んで い る ものの,在 宅 サ ー ビスの担 い手 で あ るホ ームヘ ルパ ー な どの労働条件改善 の ため の予算措 置 は な されて いない6)。 こ うい った現実 のなかで,現 在 ,そ して将 来 において も介護 サ ー ビス は止 ま ることな く継続 されて い くしか ない。 な らば,物 理 的 な不足 の面 を少 しで も補 うべ く,直 接 的 にかかわ る人材 (福 祉従事者 )個 々の質 的向上 を 目指 し ,. 彼 らの活躍 に期待 す る しか現 時点 で は考 え られな いので あ る。 そ こで, マ ンパ ヮーの養成 に着 目 して,「 福祉 は人 な り」 といわれ, そ の 一 端 を担 う ことが期待 されて い る「 レク リエー シ ョ ン」 の 内容 を吟味 し,そ の意味 を探 って い くことは必要 な ことであ ると考 えた。 レク リエー シ ョ ンの領域 か らみ ると,社 会福祉士及 び介護福祉士法 によ る 国家資格 とな る介護福 祉士 の養成 カ リキ ュ ラム に専 門科 目 と して,「 レク リ エー シ ョ ン指導法」 が位置 づ け られた ことが 注 目 され る。 また,ホ ーム ヘ ル パ ー養成研修 のカ リキ ュラム にお いて も,「 レク リエー シ ョン体験指導」 が 位 置 づ け られて い る。 これ は,社 会福祉 の領域 にお いて レク リエー シ ョン支 援 の必要性 が認識 され た結果 と して と らえ ることが で きよ う。.
(4) レク リエーシ ョン再考. しか しなが ら, この「 レク リエー シ ョン」 とい う言葉 が 日常 的 に多 く使 わ れ るよ うにな り,使 われ る場面 も多岐 にわた るよ うにな ると,そ の言葉 には よ り明確 な意味 が求 め られ るはずで あ るが,現 実 には「 レク リエー シ ョ ン」 とい う言葉 の意味 は, かな り混舌Lし た状態 にあ る。「 レク リエー シ ョン」 と い う言葉 をそ の場 限 りの都合 で安 易 に用 い ることは,「 レク リエー シ ョ ンと は何 か」 とい う最 も基本 的 な問題 が 置 き去 りに され,将 来 的 に も曖昧 な まま. ,. 重要視 されな い危険性 があ る。 薗 田 は,「 ドグマ的 に レク リエー シ ョ ンの定 義 をす るよ りも レク リエー シ ョンの広範 さを,そ の広範 さの ままにひ とつ の 構造 と して把握 す ること」 に意 義 を求 めて い るつが, 社会福祉領域 にお いて その重 要性 が認 識 され始 め,そ の専 門性 を問 われ始 めて い る現在 だか らこそ. ,. そ して,将 来 的 な レク リエー シ ョ ンの支援 の発展 を考慮 すれば こそ,あ らた めてその言葉 を考 え直す必要性 が あ るのの で あ る。 漠然 と レク リエー シ ョンの時間 を過 ご して しま う ことの多 い社会福祉施設 の現場 において,あ るい は,在 宅介護 にお け るホ ームヘ ルパ ーの意識 のなか で,「 レク リエー シ ョン」 の意味す る もの を共通理 解 す ることがで きたな ら ,. 利用者 に対 す るさ らな るサ ー ビスが期待 で きる もの と考 え る。本稿 で は, こ の 「 レク リエー シ ョ ン」 と, それ と類似 す る言葉 との峻別 を図 り, レク リ エー シ ョ ン領域 にお ける共通 の理 解 を 目指 し,マ ンパ ワー養成 の段階 で,社 会福祉従事者 が備 え持 つ べ きものの一 つ とされ る レク リエー シ ョンの考 え方 につ いて再検討 して い きた い。. レク リエー シ ョンの多義性 につ いて 一 つ の言葉 は,そ の言葉 の持 つ 意味が,話 し手 と聞 き手 との共通理 解 が な されて こそ有効 なので あ るが,「 レク リエー シ ョン」 とい う言葉 は, い ろ い ろ と議論 されて い る ものの,共 通理解 の上 に立 って使用 されて い るとはいえ ない。 そ こで,社 会福祉領域 にお ける レク リエー シ ョンの考 え方 を社会福祉 関連.
(5) 山. 本. 存. 法令 の文言 か らと らえて い きた い。「 レク リエー シ ョン」 とい う言葉 が 明記 されて い る箇所 を抽 出 してみ ると,養 護老人 ホー ム及 び特別養護老人 ホー ム の設 備及 び運 営 に関す る基 準 の第 17条 及 び第 24条 の,「教 養娯楽施設 を備 え るほか, 適宜 レク リエー シ ョン行事 を行 わな ければな らな い」, 国際連合 総会 (1959)の 児童権利宣 言第 4条 で は,「 児童 は,適 当 な栄養 ,住 居 , レ ク リエ ー シ ョ ン及 び 医療 を与 え られ る権 利 を 有 す る」,さ らに,第 7条 の. ,. 「児童 は,遊 戯及 び レク リエー シ ョ ンの ための充 分 な機会 を与 え られ る権利 を有 し,そ の遊戯及 び レク リエー シ ョ ンは,教 育 と同 じよ うな 目的 に向 け ら れな ければな らな い」 な どが あ り, これ らか らは,「 娯楽 や あそび」 とい っ た ものが連想 され る。 国際連合総会 (1975)の 障害者 の権利宣言 にお いて,「 障害者 は, その家 族 又 は養親 と と もに生 活 し,す べ て の社 会 的活 動 ,創 造 的活 動 又 は レク リ エー シ ョ ン活動 に参加 す る権利 を有 す る」 は,創 造 的 と同格 に扱 われて い る 形容詞 的 な表現 で あ り,何 らか の意味 (様 子 や状態 とい った よ うな)を 表 し て い る。 同様 な使 い方 と して,平 成 7年 の 障害者 プ ラ ン「 ノー マ ライ ゼ ー シ ョ ン 7か 年戦 略」 の 目的で あ る「地域 で共 に生 活 す るために,社 会 的 自立 を促進 す るため に,バ リア フ リー化 を促 進 す るため に,生 活 の質 (QOL) を 向上 させ るために,安 全 な暮 らしを確 保 す るために,心 のバ リアを除 くた め に」 とい う基 本 的 な 考 え 方 が 述 べ られ,「特 に,障 害 者 の コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン,文 化活動等 自己表現 や社会参加 を通 じた生 活 の質 的向上 を図 るため の ひ とつ と して レク リエー シ ョン振興 が重 要 で あ る」 と表現 されて い る。 こ れ は,生 活 の質 的向上 を図 るための手段 と して利用 され る価値 を持 つ何 らか の意 味 を表 して い る。 母子及 び寡婦福祉法第 21条 の,「 母子休養 ホー ム は,無 料又 は低額 な料金 で,母 子 に対 して, レク リエー シ ョ ンそ の他休養 のための便宜 を供与 す るこ とを 目的 とす る」 につ いて は,「 休養 ,保 養」 とい うものが連想 され る。 老人 デイサ ー ビス運営事業実施要項 の,「 基本事 業 につ いて は, 生活指導 (レ ク リエー シ ョ ンを含 む),養 護 ,健 康 チ ェ ックの実施 を必 須 と し,通 所事.
(6) レク リエーシ ョン再考. 業 につ いて は,給 食 サ ー ビスの実施 を必 須 と し,入 浴 サ ー ビス につ いて は. ,. 選択 して実 施 す る ことがで きる もの とす る」,ま た,社 会教 育 法 第 2条 の. ,. 「 社会教育 を学校 の教育課程 と して い る教育活動 を 除 き,主 と して青少年及 び成人 に対 して行 われ る組織 的 な教育活動 (体 育及 び レク リエー シ ョンの活 動 を含 む)」. と定義 して い ると ころ も注 目され る。 これ らは, 個人 あ るい は. 集 団 に対 して の何 らか の教育 的活動 の一 つ と して と らえ られて い る。 身体障害者更 生施設 ,身 体障害者療護施設 ,身 体障害者授産施設 の設備及 び運営基準第 2章 第. 3-3で は,陽 い理的更生措 置 と して,比 較 的小集団 の討. 論会 ,演 劇 , レク リエー シ ョ ン,各 種 クラブ等 を実施す ること」 とあ り,身 体 障害者 デイサ ー ビス事業実施要項 の基本事業 の項 目 に は,「在宅障害者 の 福祉 の増進 を図 るた めに必要 な スポーツ, レク リエー シ ョ ン等 の事業」 があ げ られて い る。 これ らは,何 らか の活動種 目の総称 のよ うに と らえ ることが で きる。 この よ うに,い くつ か の意味合 いが文脈 か ら読 み とれ るので あ るが,社 会 福祉領域 にお いて,「 レク リエー シ ョンとは何 であ るか」 につ いて明確 に答 え る こ とがで きな い。薗 田"は ,「 レク リエ ー シ ョ ンの意 味場」 とい う表 現 で レク リエー シ ョンを 4つ 意味 に分類 して い るが,多 義 的 な使用 を容認 して い る。 現在 ,介 護福祉士 の養成校 で は,そ の専門科 目であ る レク リエー シ ョ ン指 導法 が位 置 づ け られてお り,そ の ほとん どで 日本 レク リエー シ ョン協会認定 の レク リエー シ ョン・ イ ンス トラクター資格 を取得 で きるカ リキ ュラムが整 え られて いる。 日本 レク リエー シ ョ ン協会 が推薦 して い る「 レク リエー シ ョ ン入 門」 と各社 か ら出版 されて い る介護福祉士養成講座 シ リーズの「 レク リ エー シ ョ ン指導法」 な どがそ のテキ ス トと して使 用 されて い る。 そ こに記載 されて い る「 レク リエー シ ョ ン」 の意味 をみて も,そ の 内容 は 多岐 にわた る。 それ らの レク リエー シ ョ ン指導法 で は,「 レク リエー シ ョ ンとは, 自由時 間 を は じめ,生 活全体 のなかで 自発 的 に行 われ る もので,そ の活動 は人 々の.
(7) 山. 本. 存. 生活 のなか に,『 ゆ とりと楽 しみを創造 して い く』 とい う原義 を実現 す るこ とを 目標 と す る もの で あ る」10)や ,「 レク リエ ー シ ョ ンの 枠 が 広 げ られ. ,. ゲ ーム, ソング,行 事 だ けでな く安 らぎ,応 、 れあい,教 育 ,治 療 も考 え る。 レク リエー シ ョ ンは,健 常者 だ けの もので はな く,障 害者 や高齢者 に も主体 が広 が った」11),「 レク リエー シ ョンは,生 活 を楽 しく明 る く,豊 かにす るた めの一 切 の行為 であ る。行為 とは単 に四肢 の みで はな く,視 覚 ,聴 覚 ,味 覚 12),「. 触覚 な どに関 わ る一 切 の行為 を含 む」. ,. レク リエー シ ョ ンは,人 間 と して. 豊 か さを追 い求 めて い く過程 であ る。 …… 自立達成 の行為 で あ り, 日常生活 の快創造行為 で あ り,苦 痛 回避・ 克服行為 で あ り,生 涯教育行為 で あ る」博) と記 されて い る。 これ らか ら共通 に読 み とれ る もの は,「 楽 しさ」,「 明 るさ」,「 豊 か さ」 と い う,精 神 的 な状態 を ともな った活動 や行為 (目 的を持 った行 い)で あ る。 なか には,教 育 や治療 ,自 立達 成 の行為 や苦痛 回避 の行為 とい った もの まで も レク リエー シ ョ ンの範 疇 に入 れて い る ものが あ るが,そ れ らは,そ の意味 につ いて さ らに細 か く言及 していかなければ, レク リエー シ ョ ンその ものの 意 味 が薄 れて しま う危 険性 を もつ。 また,「 レク リエー シ ョンを, 人 間 のひ とつ の生 き方 を表 す人 間性 の回復 とい う基本 的概念 と し,そ れを 目的 と して展 開 され る楽 しさや心地 よさを含 んだ活動 や種 目を『 レク リエー シ ョン活動』,『 レク リエー シ ョン種 目』 と し てあ らわす」14)と 説 くもの と,「 レク リエー シ ョンは, 活動 と気分転換 の 2 つの意 味 があ る」15)と 精神 的 な もの と身体 的 な もの とを並 列 させて考 えて い る もの もあ る。 また, これ までのい くつ かの定義 をな らべ て言 己載 されて い る もの もあ る16)。 篠 田 は, レク リエー シ ョ ンは日常 的 な言葉 と して一 般化 されて い るが, き わ めて多 くの観念 が混乱 した形 で存在 してお り,そ の意味 は曖昧 であ ると指 17)。 摘 して い る. これで は, 社会福祉 のなかで,「 レク リエー シ ョ ン」 を専 門. 分野 と して位 置 づ ける ことが で きな いので はないだ ろ うか。 日常 的 な会話 で はな い社会福祉関連法令 のな か において さえ も, このよ うに多義 的 な使 い方.
(8) 188. レク リエーシ ョン再考. を されて い ることに問題 を感 じざ るをえな い。社会福祉施設 に従事す る職員 にお いて も同様 に混乱 が認 め られて いるので あ る. 18)。. 小 田切 と薗 田 は,現 象 のなか に本質 的 にわれわれに受 け止 め られて いる意 味 内容 を あ らわす「 内包」 とそ の概 念 が 適 用 され る最 大 の範 囲 で あ る「外 19'2の 。 それ によ ると, レク 延」 か ら レク リエー シ ョンの構造 を構築 して い る. リエー シ ョンの 内包 は,開 け放 たれた 自己 を前提 と した,「 解放性」 であ り. ,. ひ とつ の情緒 的 な受 け止 め と して の,「 感傷 的 な喜 び」 で あ り, 個性 的 で主 体 的満足 や充足 を もた らす,「 創意・ 工夫 の楽 しさ」 で あ ると して い る。 そ して,「 レク リエー シ ョンとい う語 の情報 的内包 は,“ あそび"で あ るが, レ あそび" と ク リエー シ ョ ンとい う語 が選 ばれ るとき, その感化 的内包 は, “ あそび"を 自由 や解放 や人 間回復 や仲 間 づ くりの機能 に 異 な る。 それ は, “ お いて, 目的意識 を強調 して理解 した い とい う話 し手 の意 向 をあ らわ して い るばか りで な く,遊 び の持 つ語感 (言 葉 の雰囲気 や 日本 にお け る遊 び の社会 21)と. 的評価 )へ の抵抗 や, そ の革新 の希望 が込 め られて い る。」. 指摘 して い. る。 西野 も,「 レク リエー シ ョ ンは, キ ャ ンプ,体 操 ,創 作活動 ,つ どいな どの個人 あ るい は社会 に と って何 らか の利点 や利益 が期待 され るプ ラスの も の に限 ってそ う呼 ぶ 傾 向 が あ る」22)と ぃ ぅ。 一方 ,「 レク リエー シ ョ ン」 とい う言葉 は,「 レジ ャー」 とと もに外来語 で あ る。外来語 を受 け入 れたわが国 の社会 的 な状況 によ って も混乱 を起 こす何 らか の原因 が生 じた ので はな いか とい う違 った視点 か ら考 えてみた い。 明治時代 に物議 を醸 した英語化論 (国 語 を廃 そ うと した運動 )の 反動 で大 量 の外来語 の輸入 は見合 わ せ られ,漢 字 を使 って近代的概念 を創造 しよ うと され た ことが あ った といわれて い る. 23)。. 「 レク リエー シ ョ ン」 は,大 正. H年. に「厚 生運動」 とい う訳語 と して初 めて使 われて いる。 これ は,当 時 の民衆 の余暇 が反社会 的 な もの とな らな い方 向 を 目指 す もの と して,以 前 か らあ っ た「余暇善用論」 と結 びつ いて,人 生 を豊 か にす る健全 な もの とい う価値論 的 な色合 いが強 い もので あ り,現 在 もそ の意 味合 いは受 け継 がれて使用 され て い る。 また,「 英単語 の意 味 はカ タカナにな って極端 にせ ば まる。 この現.
(9) 山 本. 存. 189. 象 は,英 単語 を借 り入 れ る場合 ,そ の英単語本来 の意味 で はな くて,そ の表 す一 つ の状態 や物 だ け の意 味 を借 りるた めにお こ る」24)と され る。 アメ リカ. (GHQ)か. ら レク リエ ー シ ョンと して 当時紹 介 され た ものが,キ ャ ンプや. フォー クダ ンスな どで あ った ことが 強烈 なイメ ー ジ と して定着 した もの と考 え られ る。戦後 ま もな く発足 した レク リエー シ ョン協会 の レク リエー シ ョ ン の 内容 も, いわゆ る三 種 の神器 といわれ た,「 ゲ ーム, ソング, ダ ンス」 を 強調 しす ぎたか たちで進 め られて い った ことか らもうかが う ことがで きる。 そ して,そ の三 種 の神器 が,戦 後 の高度成長 時代 に労働力 の再生産 や職場 の 人 間関係 づ くりの手段 と して認知 された。 つ ま り,労 働 の効率化 や活性 化 の た め の,「職 場 レ ク リエ ー シ ョ ン」 と して盛 ん に な って い った の で あ る。 「 ゲ ー ム,ソ ン グ,ダ ンス」 とい う具 体 的種 目 そ の もの を 指 す言 葉 と して 「 レク リエー シ ョ ン」 が定着 し, 本来 的意義 が薄 れて い って しま ったの で あ る。 ところが,高 度成長期 を経 て,バ ブル経済 も終焉 し,経 済 の低迷 か らくる 労働 時間短縮 の波 と高齢化 の波 が 同時 に押 し寄 せて きて,再 び善用論 的,価 値論 的意識 が 強 ま り,「 レク リエー シ ョンは生 きるよろ こび」,「 福祉利用者 に も レク リエー シ ョ ン支 援 が 必要」 といわ れ るよ うにな った。 レク リエー シ ョ ンとい う言葉 は使 われて い る ものの,言 葉 の使用 が先 にあ り,そ の基本 的 な議論 が されないまま,今 日に至 った もの と考 え られ る。 そ して,健 康 づ くりや社会福祉 の領域 な ど,先 の社会福祉関連法令 のよ うに,現 在使 われて い る「 レク リエー シ ョ ン」 とい う言葉 は,い ろ い ろな時代 の影響 を残 しなが らも,新 しい意味が付与 され なが ら多義 的 に使 われ,そ して曖 味 にな って し ま ったの であ る。 篠 田25)ゃ 芳賀 26)は ,「 レク リエー シ ョ ンとい う語 には,. 2つ の側面 が あ り ,. 本質 的特性 で あ る内包 と,そ れ にあて はま るよ うな活動 で あ る外延 で構成 さ れて い る」 といい,ガ ヽ 田切 と薗 田 も, レク リエー シ ョンの 内包 と外延 を含 め て構造化 の試 みを して い る19'20)。 しか し,吉 田 は,「 内包 は概念 の適用 され る範 囲 (外 延 )に 属 す る諸事物.
(10) レク リエー シ ョ ン再考. が共通 す る性質 を意味 し,外 延 は概念 の適用 され る範囲 に属 す る諸事物 を意 味 して い る。 したが って,内 包 であ る本質 的 な意味 を指す もの と,そ の外延 と して の諸事物 を表 す別 の言葉 が使 われ るべ きで あ る」27)と し,「 あ る言葉 が根本概念 を指 す言葉 と して使 われ るとき,そ の 同 じ言葉 が外延 と して の具 体 的 な事柄 を指す意味で使 われ ることが あ って はな らな い。 そのよ うな使 い 方 をす るか ぎ り,そ の言葉 に対 す る議論 も空転 し続 ける ことにな り,一 番肝 心 な基 幹 とな るべ き定義 は生 まれて こない」 と した。「 レク リエー シ ョ ン」 とい う言葉 は,外 来語 と して長期間使用 され築 かれて きた意 味合 い と,そ の 内包 と外延 との錯綜 した使用 が重 な り合 って,今 日の混乱 した状態 をつ くり 出 して しま ったので はな いだ ろ うか。 現在 , わが 国 の 「 レク リエー シ ョ ン」 の使用 に関 して考 えれば, これ に 従 って概念 を定義 し,言 葉 を整理 して い くのが最 も適 当 で あ ると考 え る。 吉 田 は, ここで,「 あ る目的をあ らわす “レク リエー シ ョ ン" とい う言葉 が あ り,そ の 目的 を達成 す るた めの方法 や手段 と して “レク リエー シ ョ ン活 動 "や “レク リエー シ ョ ン行動 "な どと言 った言葉 が使 われ るべ きで あ る」 と し, レク リエ ー シ ョ ンの 本 質 的 な 意 味 を,「 人 間性 の 回復」 と定 義 づ け た2の 。 この 「人間性 の回復」 は,「 生活 のす べ て にかかわ る生 き方 の ひ とつ と して の意味 を持 ち,す べ ての時間,す べ ての場面 で大切 に しなければな ら ない。 そ して,そ の生 き方 は,人 間 らしさを取 り戻 す とい う意味 を持 って位 置 づ け られ る」 と して いる。 グ レイ とグ レベ ンは29),「 レク リエー シ ョンは,快 適感 や 自己満足感 か ら 30),そ の 意味 を修正 し. 生 じた個人 の情緒 を意味す る」 と定義 した。 茅野 は. ,. 「達成感 ,到 達感 , 明 るい気分 ,成 功感 ,楽 しさな どの感情 で特徴 づ け られ る個人 の建設 的 な感情」 とと らえた。 そ して,個 人 が どの よ うに感 じて い る かが 問題 で,楽 しく感 じて い るか,充 実感 を感 じて い るか,満 足 して い るか とい うもの を核 と して,セ ラ ピューテ ィック 0レ ク リエー シ ョンに応 用 して い る。 わが国 の,余 暇善用 的,価 値論 的 な使用 の経緯 と社会福祉領域 との整 合性.
(11) 山. 本. 存. を考慮 す ると,「 レク リエー シ ョ ン」 は,「快適感 や 自己満足感 か ら生 じた個 人 の情緒 を意 味 し,そ れ は,達 成感 や成功感 ,楽 しさとい った個人 の建設 的 な感情 に特徴 づ け られ る」 と定義 され る。 これが上 位概念 とな り, この感情 を もた らす活動 を,「 レク リエー シ ョン活動」 とよび, レク リエー シ ョ ンの 外延 をなす もので あ る下位概念 と して 区別 して と らえたい。 そ うすれば,社 会 福 祉 関連 の法令 も共 通理 解 が 可 能 にな り,福 祉利 用者個 人個 人 の レク リ エー シ ョ ンを生 み 出す ため に, さまざまな行事 (レ ク リエー シ ョ ン行事 )や. ,. レク リエー シ ョ ン活動 が展 開 されて い くと解釈す ることがで きる。 そ して. ,. 社会福祉従事者 の レク リエー シ ョ ン支援 の専門性 は, レク リエー シ ョ ンを生 み 出す個人 へ の さまざまな働 きか けであ り,ケ ース ワー クや グル ー プヮー ク. ,. そ して, コ ミュニ テ ィヮー クのなかで発揮 で きる もの と して考 え ることがで きる。. 4。. レ ジ ャ ー と レ ク リエ ー シ ョ ン と の 関 係 に つ い て. ここで は,前 述 の,「 レク リエー シ ョン」 の定義 を軸 に して,「 レジ ャー」 との関係 を考 えて い きたい。 外来語 は,「外来語 の意 味・ 用法 が 原語 のそ れ にぴ った り重 な り合 う こと は,実 際上 あま り多 くない。言葉 の意味・ 用法 は孤立 した もので はな く,常 に他 の語 との関係 において 限定制約 を受 け,言 語 をそ の主要 な一 部 とす る文 化 の全体 によ って も限定 制約 を受 ける。原語 の おかれて い る言語 的,文 化 的 状況 と,外 来語 の おかれて い るそれ とは,は っ き り別物 であ るか ら,外 来語 の意 味・ 用法 が原語 の それ と全 く同 じにな るとい う ことは,理 論 的 にい って もあ りえ ないので あ る」 とされて い る31)。. で は,「 レジ ャー」 とい う外来語. で はど うであろ うか。 その文化 的,社 会 的意味 づ けを,外 来語 の受 け入 れ と そ の社会 的 な状況 か ら探 って みた い。 外来語 は,取 り入 れ る側 の 日本語 が も って いない新 しい概念 に, 日本語 の 語彙 や造語 機能 が うま く対応 で きて いないために受 け入 れ られ る もので あ る。.
(12) レク リエーシ ョン再考. 「 レジ ャー」 は, 日本語 に同 じ概念 を持 つ 「余暇」 があ るに もかかわ らず取 り入 れ られた。 つ ま り,外 来語 と して新 しい理念 や雰囲気 を期待 して旧来 の 語 を刷新 しよ うとす る意図 の もとに受 け入 れ らた もの と考 え られ る。 「 レジ ャー は, 日本 で言 えば余暇 , すなわ ち,労 働 か ら解放 された,余 り の 時 間 とい う意 味 で,労 働 と レジ ャ ー とは表 裏 一 体 の 関 係 が あ る」3の ゃ. ,. 「 レジ ャー」 は,「 外来語 の一 部 で はあ るが,そ の ままで は本家本元 で は通 用. 30と 例示 されて い る もの もあ る。 この. しな い英単語 に基 づ く外来語 で あ る」. ことか ら,「 レジ ャー」 とい う言葉 は,そ れ まで の「余暇」 の使用 に代 わ り ,. 1960年 代 の 日本 の 高 度 成 長 期 にお け る大 量 生 産 大 量 消 費 時代 の新 た な イ メー ジ と して 取 り入 れ られ たので はな いの か と推 察 され る。 それ は,1960 年 の所得倍増計画 の もと,華 やかな消費社会 へ の期待 が込 め られ,労 働 に対 して の「余 暇」 と い う言 葉 で 表 現 す る よ り も,カ タカ ナ語 と して の「 レ ジ ャー」 の方 が 時代 に適 合 した ので はな いの か とい うもので あ る。国 が, レ ジ ャー に対 して本格 的 に取 り組 みだ した の は 1980年 代 に入 ってか らで あ り. ,. その顕著 な もの は,労 働時間短縮 の政策 で あ り, リゾー ト法 といわれ る「総 合保養地域整備法 (1987年 )」 の制定 であ った。 通産省 の外郭 団体 で あ る余 暇開発 セ ンター (1972年 設立 )が 出す 「 レジ ャー 白書」 は, レジ ャー産業 育成 のための新 たな市場 の開発 を 目指 し,国 民 に レジ ャー産業 へ の消費 を誘 導 す る もの と見 ることもで きる。 レジ ャー憲章 (国 際 レク リエー シ ョン協会編 ,『 レジ ャー憲章』 日本 レク 協会 ,1977.)の 前文 には,「 レジ ャー とは,人 間 が仕事 やそ の他 の責務 を完 全 にな し終 えた後 に,個 々人 が 自由 に処理 で きる時 間 で あ る。 この時間 の活 用 は この上 な く大切 な ことで あ る」 とあ り,「 レジ ャーの基本概念 は, 時間 で あ る。 レジ ャー は占有 されな い時間 (unOccupied time)で あ り, 余暇. (spare time)で あ り,休 息 した り, あ るいは選 択 した ことをす る 自由時間 34)と して ぃ る また り , │1北 は,「 余暇 が多 くの人 の課 。 (free time)で あ る」. 題 とな ったの は,生 産力 が高 ま り身分制 が崩壊 し自由 が獲得 された近代以 降 で あ り,工 業化 とそれ に伴 う都市化 の産物 で あ る。前 工 業化社会 において は. ,.
(13) 山. 本. 存. 労働 時間 と生 活 時間 との境界 が は っ き りしなか った。 しか し,工 業化 と都市 化 は,民 衆 の時間 を資本家 に売 り渡 した “ 労働 時間"と ,残 った “ 非労働 時 生活 時間 "で あ り “ 間"が “ 余暇 "で あ る」35)と 述 べ て い る。「 レジ ャー」 は,「余暇」 と同 じく労働 と対比 され,「 労働時間 と社会 的 あ るいは生理 的必 需時間 を除 いた時間」 の概念 と して と らえて い くの が「 レク リエー シ ョ ン」 との関係 か らす ると,最 も適切 で あ ると思 われ る。 一 方 ,「 レジ ャー と レク リエー シ ョ ンは, 本質 的 には遊 ぶ ことの認識 か ら 出発 し,そ して, レジ ャー と レク リエー シ ョンは,遊 び の構成概念 (楽 しさ や 自由 とい った概 念 )か らよ りむ しろ遊 びへ の文 化 的・ 社会 的意 味 づ け に 36)と の よ って特徴 づ け られ る」 指摘 が あ る。. ところで,「 レジ ャー」 につ いての研究 の多 くは,「 レジ ャー を誰 が どの よ うに使 うか (使 った か)」 ,「 レジ ャーで何 をす るのか (し たのか)」 , とい っ た方法論 的 な ものが 中心 で,そ の意 味 につ いての議論 はあま り多 くは見 られ な い。代 表 され る も の と して あ げ られ る の は,デ ュ マ ズ デ ィ エ が,「 レ ジ ャー は,仕 事 や 家族 あ るい は社 会 の責務 か ら離 れ て,個 人 が リラク ゼ ー シ ョ ンや気晴 らし,あ るいは知識 を広 めた り,自 発 的 な社会参加 ,創 造力 の 自由 な発揮 な どのために気 の 向 くままに行 う活動 であ る」37)と 述 べ て い る も の で あ る。 こ こ で の リ ラ ク ゼ ー シ ョ ン (relaxatiOn),気 晴 ら し (d市 ersion), あ るいは楽 しみ (entertainment), 自己開発 (development. of the personarity)は ,「 レジ ャーの三 機能」 と呼 ばれてい る。 また, レ ジ ャ ー 活 動 を,身 体 的 レ ジ ャ ー (Physical Leisure),芸 術 的 レ ジ ャ ー (Artistic Leisure), 実用 的 レジ ャー (Practical Leisure), 知 的 レジ ャー (Intellectual Leisure),社 交 的 レジ ャー (Social Leisure)の 5つ の領域 に 分類 して い る。 三 隅 は, レジ ャー には 4つ の型 があ ると し,「 無条件 の時間 理 的, 宗教 的, 哲学 的, 沈思黙考 的 な人 間 の古典 的 な思 考状 的観念」, 陽とヽ 態」,「歓喜 を受容 し,快 楽 を追 求 す る心理 的状態」,「 自由選択 な もの で あ る が,実 は群集心理 に左 右 され流 行 に敏感 に反応 す る行動」 に分類 して い る38)。 現在 ,「 レジ ャー」 は,第 一 に, 労働 や生 活時間を維持 して い くた めに必.
(14) レク リエーシ ョン再考. 要 な時 間 を 除 いた 自由 に使 う ことので きる時 間 (自 由裁 量 時 間)だ とす る 「 時間」 と して と らえ る立 場 と,第 二 に, スポー ツや趣 味・ 娯楽 ,観 光 な ど の代表 的 な「活動種 目」 で と らえ る立場 と,第 二 の 内発 的動機 や満足 のため に 自由 に選 ばれ る「経 験 や 行 為 の質」 と して と らえ る行 為 者 の「主 観 的態 度」 によ って と らえ よ うとす る立場 に分 かれて い る。「 レク リエー シ ョ ン」 と類似 してお り,「 レジ ャー」 と「 レク リエー シ ョ ン」 が混 同 して しま うゆ えんで あ る。 また,「 レジ ャー と レク リエー シ ョンとの関係 は, 仕事 の単調 さを 自由時 間 で補 う レジ ャー的発想 と単調 にな った仕事 その もの を修飾 しよ うとす る レ 3の ク リエー シ ョ ン的 な発 想 で 考 え られ る補 完 関係 で あ る」 ,と か,「 レク リ. エー シ ョ ンの構造 を現実世界 の仕事 と本源的 自由 な世界 の遊 びを対置 させ. ,. 生活 の二 極構造 をみ ると,仕 事 か ら解放 され遊 びへ 向 か う働 きを レジ ャー. ,. 遊 びか らエ ネル ギ ー を得 て仕事 へ 向 か って 回帰 す る働 きを レク リエー シ ョ ン 40)と. と し, レク リエー シ ョンと レジ ャーが補完 しなが ら構造 を支 えて い る」. そ の関係 を構造 的 に考察 した もの もあ る。 しか し, これ は,両 者 の言葉 の使 用 の限定 にはつ なが らな い もので あ ると考 え る。 一 方 ,「 余暇」 につ いて,余 暇活動 の特質 を,「 自由時間 の活動 であ り,生 計 のための必要 な金銭 を生 まな い活動 で あ り,必 要性 や義務 を伴 わな い活動 で あ り, 自 ら満足 を得 るた めに 自由 にな され る活動 で あ り,そ の活動 を行 う こと 自体 が 目的 とな る もので, さ らに,す す んで 自己拡充 や創造力 の発揮 を 随意 に行 う ことを可能 にさせ る もの」 と して い る. 41)。. 内田 は,余 暇 の意義 に. つ いて,「 余暇 は, 個人 に労働 によ る疲労 か ら回 復 す る機会 を与 え る。 そ し て,楽 しみ に よ って,個 人 が 限定 され た,決 ま りき った一 連 の仕事 を行 う 日々の退屈 か ら逃 れ る新 しい世界 が現実 あ るいは想像 の うえで開 けて くる。 また,基 本的 な社会組織 の働 きが個人 に強制 す る,決 ま りき った ことが らや 型 にはま った ことか ら個人 が離 れ,そ の人 の創造力 が文 明 の支配 的 な価値 に 反対 す るか,そ れを増進す るか につ いて, 自由 に応ゝるまえ る, 自己超越 の世 42)と. 界 に入 り込 む ことを可能 にす る」. 述 べ て い る。.
(15) 山. 本. 存. とな ると,「 レク リエー シ ョ ン」 と同様 に,「 レジ ャー」 と「余暇」 の 内包 は, 外来語 か らの考察 と同 じく, どち らも,「 労働 と対 峙 して と らえ られた 生理 的,社 会 的必需時間を除 く時間」 とい う時間 の概念 に定義 され るので は ないだ ろ うか。 そ して,外 延 と して, レジ ャーの機能 や, レジ ャーの活動 な どとい った ものが その下位概念 に位 置 づ け られ,「 レジ ャー」 とい う冠 を つ けて,「 レジ ャー機能」,「 レジ ャー活動」 な どとい った別 の言葉 で表 され る ことにな るの で あ る。 つ ま り, レジ ャー活動 のなか に レク リエー シ ョ ン活動 が 存在 した り, レジ ャー機 能 にあ げ られ て い る楽 しみ の体験 が レク リエ ー シ ョンで あ った りす るとい う ことにな る。「 レジ ャー」 の外延 のひ とつ のな か に,「 レク リエー シ ョン」 の 内包 が存在 す ることが認 め られ,一 方 で, 日 本語 と して使用 されて い る外来語 の歴史 が あ る, とい う 2つ の側面 によ り. ,. 多 くの混乱 と錯綜 が生 じたので はないか と考 え られ る。 「余暇」 や「 レジ ャー」,そ して「 レク リエー シ ョ ン」 の外延 にお け る決定 的 な違 いは,価 値論 的 な見方 をす るか否 かで あ る。社会 が許可 して い る楽 し みであろ うと,禁 止 して い る楽 しみであろ うと,快 楽 の追求 が余暇活動 や レ ジ ャー活動 には含 まれ るが, レク リエー シ ョン活動 には,よ り善用論 的 あ る い は,教 育的 な考 え方 が持 ち込 まれ,建 設 的 な プ ラスイメ ー ジの活動 の みが 充 当す るところにその差 異 が認 め られ るので あ る。余暇 と レジ ャーを上ヒ較 し た 場 合 に,「 余 暇」 は,「 労 働 時 間」 との 対 比 に よ る時 間 的 な 見 方 が 強 く ,. 「 レジ ャー」 はその言葉 の取 り入 れ られた経緯 か ら,「余暇」 よ り積極 的 に快 楽 を追 求 す るため の時間 と して と らえ られ るので はな いだ ろ うか (た とえば. ,. リゾー ト地 へ の旅行 に代表 され る積極 的 な金 銭消費行動 で あ った り,ギ ャ ン ブル に興 じた り,麻 薬 を使 用 した りす る とい った 時 間 を も含 む ことが で き る)。 この意味で も,「 自由時間」 とい う言葉 につ いて,「余 暇 は通 勤 時間 を含 む. ,. 広 い意味 の労働 時間 を差 し引 いた時間 とい うよ うに消極 的 に定義 され る。 つ ま り,余 暇 は労働 時間 の反対概念 と して定義 され る。 これ に対 して, 自由時 間 は余 暇活動 だ けで な く,生 活 時 間 に含 め る食事・ 睡眠・ 排 泄 0身 だ しな.
(16) レク リエーシ ョン再考. み・ 家事 のための時間 だ けで な く,広 い意味 で の社会 的活動 を行 う時間 を含 む と定義 され る。 自由時間 は,広 い意味で の労働 時間 を除 いた時間 とい う意 43)と の 意見 が注. 味 で は余暇 と同 じで あ るが,時 間幅 でみ ると余暇 よ り長 い」. 目 され る。「労働」 に対 して の概念 で あ る「余暇」 とい う言葉 よ りも,社 会 的活動 を も含 む広 い概念 の「 自由時間」 とい うと らえ方 は,労 働 との関係 が 弱 い在宅 あ るい は施設入所 の高齢・ 障害者 の「 レク リエー シ ョ ン」 を考 え る 際 に,そ れ と深 くつ なが りあ うので はな いか と感 じられ る。. 5。. ま. め. 本稿 で は,「 レク リエー シ ョ ン」 を内包 と外延 , そ して, その言葉 が外来 語 と して使用 されて い るとい う視点 か ら,言 葉 の使用 の峻別 とい った意味合 い を含 めて考察 を した。 「 レク リエー シ ョ ン」 を体験 す る機会 は, お もに「余暇」 や 「 レジ ャー」 においてで あ る。 しか し,「 レク リエー シ ョ ン」 は, 個人 の感情・ 情緒 をあ らわす もので あ るか ら,労 働 時間 において も,ま た社会 的・ 生理 的必需時間 にお いて も, これを体験 す る事 が可能 で あ るといえ る。 図 1に ,人 が所有 す る時間 の割合 を示 した。 人 は, 生計 を立 て るための労働 をす る時間 (CD) と,睡 眠 ,食 事 ,排 泄 ,入 浴 な どの生理 的 な活動 や慶 弔 ごとやつ きあ いな ど のよ うな社会生活 を営 む うえで必要 とされ る社会 的 な活動 をす る時間 (生 理. OAB)と 余暇 (EF)と い う時間 を持 って い る。「 レク リエー シ ョン」 の体験 で きる時間 (BCE)は , 主 に余 暇 にお いてで あ り. 的・ 社会 的必需時間. ,. 労働 や生理的 0社 会 的活動 のなかで も体験 で き うる ことを表 して い る。 そ し て,そ れぞれ個人 の生 き方 によ り分布す る割合 は異 な り,変 化 して い くもの で あ る。 この考 え方 は,特 に,社 会福祉領域 にお いて重要視 した い。 なぜ な らば. ,. 社会 的,身 体 的,知 的,経 済 的等 々のハ ンデ ィをかかえ る社会福祉利用者 の なか には, 日常生活動作. (ADL:Act市 ity. of Daily L市. ing)で あ る 「食.
(17) 山. 本. 197. 存. 生理 的 0社 会的 必需時 間 (AB). 労働 時 間 (CD). レク リエ ー シ ヨン が 体験 で きる時 間. (BCE). 日 限(EF) 徐ざ 図 1 所有す る時間の割合. 事」,「入浴」,「排泄」 で さえ,苦 痛 を感 じる者 が い るか らであ る。 日常生活 を営 んで い くうえで の基本 であ るそれ らのなか に,「 レク リエー シ ョ ン」 の 体験 が望 まれ るの で あ る (図 1の. B)。 「. も っとおい しく食 べ たい」,「 も っと. のん び りお風 呂 に入 りた い」,「 自分 だ けで排泄 した い」 か ら生 まれ る生 きる ことへ の前 向 きな姿勢 や,ADL向 上 のため に努 力 して い こ うとい う気持 ち の芽生 えが期待 で きるので はないだ ろ うか。 介護保険制度 が実施 され ることによ り,か え って ホ ームヘ ルパ ーの訪 問時 間 が減少 す るので はな いか,施 設職員 の支援体制 が事務 的 にな ってい くので はないか,な どと懸念 されて い るときだか らこそ,三 大介護 といわれ る「食 事 ,入 浴 ,排 泄」 の基本 的 な介護活動 で展開 され る社会福祉従事者 と利用者 との交流 において,「 レク リエー シ ョン」 の体験 が望 まれ る。 そ して,労 働 時間. (CD)に とって代 わ り,. 増加 す る余暇. (EF)に お いて 「 レク リエー. シ ョ ン」 を よ り多 く体験 で き るよ うな支 援 を期待 した い。社会福 祉領 域 に 旨すか 「 レク リエー シ ョ ン」 が認 識 され たの は, まさに この ことの実現 を ロキ.
(18) レク リエーシ ョン再考. 198. らで はな いのだ ろ うか。 「 レク リエー シ ョ ン」 とい う言葉 の使用 を め ぐり, 数 々の意見 を聴取 す る ことが, レク リエー シ ョン領域 の発展 につ なが り,ま す ます注 目 され る レク リエー シ ョン支援 の 内容 へ と研究 が進 んで い くものだ と考 え る。 さ らに,社 会福祉 や レク リエー シ ョンの先進国 といわれ る欧米諸国 の状況 につ いて研究 を進 めて い くこと も必要 であ る。 また,今 後 は,教 育 の分野 にお いて も, レク リエー シ ョ ン支援 の役割期待 が 高 ま って い くので はな いだ ろ うか。教 育 課 程 審 議 会 (平 成 10年 7月 29 生 きる力 "を は ぐくむ ことを重視 す る」 ゆ と り"の 中 で “ 日)答 申 で は,「 “ と提言 された。学 習指導要領 の改訂 には,心 と体 を解放 す る体育・ 保健体育 が位 置 づ け られ た。小学校体育 (第. 506年 )及 び中学校保健体育 において. ,. の健康」 と 「体 ほ ぐしの運動」 が力日わ つた。 また,保 健領域 において も 隔己ヽ い う項 目がおかれ,「 レク リエー シ ョ ン」 と関連 の深 い内容 が加 え られた こ と も今後 の重要 な検討課題 とな るだ ろ う。. 引用・ 参考文献. 1)ミ ネ ル ヴ ァ書房編集部 ,1990,『 社会福祉小六 法』,203-204.. 2)前 掲書 ,206. 3)里 見賢治・ 二 木. 立 , 1996,『 公 的介護保 険 に異議 あ り』, ミネル ヴ ァ書房. ,. 183.. 4)伊 藤周平 ,1997,『 介護保 険』,青 木書店 ,130. 5)前 掲書 ,175. 6)前 掲書 ,H8。 7)薗 田碩哉 ,1971,「 レク リエー シ ョンの構造論 (2)」 レク リエー シ ョン研究 1-1:8. 8)石 井 充 0片 桐義晴,1997,「 レジ ャー・ レク リエー シ ョン研究 にお け る社会 福祉 の と らえ方」, レジ ャー・ レク リエー シ ョン研究 ,36:67-69.. 9)薗 田碩哉 ,1975,「. レク リエー シ ョンの意味論」 レク リエー シ ョン研究 ,. 1-. 5:21-31. 10)福 祉士養成講座編集委員会編 ,1988,『 レク リエー シ ョ ン指導法』,中 央法規. ,.
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