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二者間バイアス中の相槌・頷き

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Academic year: 2021

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二者間バイアス中の相槌・頷き

Back-channels and nods of hearers within the session of the two-parties bias in

turn-taking

宮崎 太我

1∗

Taiga Miyazaki

1

榎本 美香

1

Mika Enomoto

1 1

東京工科大学メディア学部

1

School of Media Science, Tokyo University of Technology

Abstract: In this study, we clarify how to give back-channels and nod by hearers within the session of the two-parties bias in turn-taking. The two-parties bias means that the previous speaker(A) of the current speaker(B) is likely to be the next speaker(A→B→A). The analysis data are the seven pairs in the three-person conversation corpus of Chiba University (total of 66 minutes 2 seconds, total of 21 people). Within the session of the two-parties bias, the third person gives back-channels 50% each at the insides and the ends of the utterances. On the other hand, the other two beat a lot more than usual at the end of the utterances. The third person nods frequently at the ends of the utterances, whereas the other two nods often at the insides of the utterances. The reason is the other two must take a next utterance, but the third one doesn’

t it and nods silently. The analyses about the contents of the utterances that the third returned to the turn-taking, when he/she talks about his/her knowledges or experiences, he/she frequently gives back-channels and nods. That is, these third’s behaviors appear at a room to devour the interaction between two parties.

1

はじめに

Sacks, Schegloff, and Jefferson (1974)が提唱している 話者交替規則は、会話参与者の人数に関わらず誰もが

ターン(発話権)を取れるシステムになっている。ター

ンはターン構成単位とよばれる単位から構成され、その 終端は母語話者の聞き手なら誰でも予測できる。そし て、その単位が終わると話者交替にふさわしい場所で ある話者移行適格場(transition relevant place; TRP)とな る。TRPまでに、話し手がある1人の聞き手に呼びかけ るか視線を向けるかしていて(宛先をあてていて)、質問 や確認など隣接ペア第一部分となる発話をすれば、その 聞き手が次話者に選択されたことになる。一方で、話し 手が複数の聞き手に視線を向けたり呼びかけたりしてい たり、逆に誰も見ていなかったり呼びかけていなかった りして、陳述や応答など隣接ペア第一部分ではない発話 をすれば、聞き手のうちでTRPにおいて真っ先に話し 出した者が次話者になる。この場合、どの聞き手も同様 に次話者になる権利が与えられることになる。 しかし、(Sacks et al., 1974)は次のようにも指摘する。 会話参与者が3人以上の時、順番順序に偏りが生じる。 ∗連絡先:[email protected] 「直前の話し手が次の話し手に」なりがちだという。こ れを高梨(2016)は「二者間バイアス」と呼んでいる。例 えば、3人(A,B,C)の会話において順番にA→B→C やC→B→Aなど、3人が順番に話者交替を行うのは 珍しい。往々にして、A→B→AやB→A→Bなど のように、直前の話し手が次の話し手になりがちだとい うのである。この時、3人目(C)に話者交替の機会がな く、会話から取り残されてしまうことになる。 榎本・伝(2006)では、3人会話において同じ2人がや り取りを継続するケースが約4割(256発話交換のうち 104回)あるとしている。宮崎・榎本(2018)は、2交換 以上同じ2人が話者交替をした後で、3人目がターンを 取る場面を分析し、表1のような発話内容によって3人 目が話者交替に復帰していることを明らかにした。千葉 大3人自由会話コーパス7会話中のそれぞれの発生頻度 は表2のようになる。横槍30回(38%)と一番多く、つ いで詳細化は23回(29%)、知識依存は13回(16%)生 起している。独り言4回(5%)、投擲3回(4%)、セカン ドストーリー3回(4%)、宛先取得2回(3%)、司会者的 な発話1回(1%)と、5%以下である。 本研究では、この3人目が二者間バイアス中における 聞き手の振る舞いに焦点をあてる。榎本・伝(2004)で 人工知能学会研究会資料 SIG-SLUD-B803-06

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表1 二者間バイアス後の第三者の発話内容(宮崎・榎本(2018)より要約) 名称 内容 横槍 二者で話している内容にメタ的な意見や揶揄を差し挟む 詳細化 先行する発話に出てきた言葉を用いてより詳しい内容を聞き返す 知識依存 自身が持っているより詳しい知識を話す 独り言 低いトーンで視線を誰にも向けず、独り言を挟む 投擲 誰に向かってでもなく自分の意見や感想を無責任に差し挟む セカンドストーリー 二者が会話している内容に類似した体験談を語る 宛先取得 話し手が視線によって第三者を次話者に選び、選ばれた第三者が発言する 司会者的な発話 二者の会話が一段落したとき、第三の者が司会者のような発話をする 表2 3人目発話内容の生起頻度 3人目の発話内容 回数(回) 比率(%) 横槍 30 38 詳細化 23 29 知識依存 13 16 独り言 4 5 投擲 3 4 セカンドストーリー 3 4 宛先取得 2 3 司会者的な発話 1 1 は話し手のターン中に聞き手がとる実質的なターンを構 成しない行動として、相槌、笑い、頷き、視線、手の動き といったちょっとした振る舞いが挙げられている。そし て、次のターンを取る次話者と次のターンを取らない非 次話者の振る舞いを比べると、全発話に対し相槌は次話 者で2.90%、非次話者で4.95%と非次話者に多くなる。 頷きは次話者で9.23%、非次話者で3.03%と次話者で 多くなる。相槌は非次話者に特徴的な振る舞いで、頷き は次話者に特徴的な振る舞いといえる。なお、話者交替 が生じず、1人の話し手が話し続けた場合、聞き手たち (非話者)の相槌は1.95%、頷きは8.07%と、次話者に近 い数値をとる。本研究の目的は、二者間バイアスが生じ ている区間における、聞き手たちが相槌・頷きをどのよ うに行っているかを明らかにすることである。

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方法

2.1 分析資料 千葉大学の学内にあるラウンジ施設で収録された、大 学生・大学院生・ポスドクを含む友達同士の3 人の日 本人グループ7組分を分析資料とする。1組あたりの 会話は約9分30秒であり、計約1時間となる。各セッ ションの開始前にサイコロを振って話題(「情けない話」 「ビックリした話」「びびった話」「恋の話」「腹の立つ話」 「当たり目(「臭い話」か「大事件」)」)を決めたが、参加 者はその話題に固定されることなく、自由に話題を変え て良い旨が教示された。 2.2 3人目の発話の抽出 会話に参加する参与者3人中の2人(A,B)が2回以上 発話交換した後、残る1人(C)が発話する箇所を抽出す たくさん焼くと:消化 が遅くなるんだって それどっちが いいんだろうね 遅くなんないほう がいいんじゃない 遅くなんない ほうがいいの おなかいっぱいだよ 二者間バイアス LUU末 LUU末 LUU内 LUU内 LUU内 LUU末 LUU内 LUU末 図1 相槌・頷きの抽出区間 ると、79箇所ある。 2.3 相槌・頷きの抽出 3人目の発話の前にある他の2人の2交換以上の発話 対を相槌・頷きの判定区間とする。例えば、図1では、3 人目の発話が、「おなかいっぱいだよ」であり、他の2人 の発話交換が「たくさん焼くと:消化が遅くなるんだっ て」「それどっちがいいんだろうね」「遅くなんないほう がいいんじゃない」「遅くなんないほうがいいの」と続 いている。この区間を相槌・頷きの抽出区間とする。本 研究では、TCUに準ずる発話単位として、LUUを採択 する。LUUとは、統語的・談話的・相互行為的境界で区

切られた単位である(Den, Koiso, Maruyama, Maekawa, Takanashi, Enomoto, & Yoshida, 2010)。基本的にLUU

末で話者交替が可能となる。抽出の際に、相槌・頷きが それぞれ、LUU末・LUU内のどちらで行われたかを判 別する。例えば、「たくさん焼くと:消化が遅くなるん だって」の「て」付近に出現したらLUU末とし、「て」 以前に出現したらLUU内とする。

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分析

3.1 相槌の打たれる位置 表3に相槌が打たれた位置がLUU内であったのか、 LUU末であったのかの生起頻度を示す。 7会話全体における相槌の出現頻度は1194回である。 そのうち、LUU末は628 回(53%)、LUU内は566回 (47%)と、ほぼ同数である。相槌はターンの内・末の両 方で打てることがわかる。 二者間バイアス区間における相槌の出現頻度は592回 である。そのうち、LUU末は328回(55%)、LUU内は 264回(45%)と、ややLUU末が多い。二者間バイアス 中はLUU末での相槌がやや好まれる。

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表3 相槌の打たれた位置 LUU内 LUU末 合計回数 対象データ 回数(回) 比率(%) 回数(回) 比率(%) 回数(回) 7会話全体 566 47 628 53 1194 二者間バイアス区間 264 45 328 55 592 二者間バイアス区間外 302 50 300 50 602 3人目 88 50 88 50 176 他の2人 176 42 240 58 416 二者間バイアス区間を除いた区間における相槌の出 現頻度は602 回である。そのうち、LUU末は300 回 (50%)、LUU内は302回(50%)と、全く同数である。二 者間バイアスではないときには、どちらで打っても良い ことを示している。 二者間バイアス後に発話する3人目に着目したとき、 相槌の出現頻度は176回である。そのうち、LUU末は 88回(50%)、LUU内も88回(50%)と、全く同数であ る。これは二者間バイアス外と同じ比率で3人目が相槌 を打っていることを示す。 二者間バイアス中に話していた2人に着目すると相槌 の出現頻度は416回である。そのうち、LUU末は240 回(58%)、LUU内は176回(42%)と、LUU末の方が多 くなる傾向にある。話し手が自分に向かって話している ことが明白な時、聞き手は相槌をLUU末で打つように なることがわかる。3人目と回数的に比較すると、LUU 内で3人目が88回、LUU末で88回に対し、他の2人 はLUU内で176回、LUU末で240回と2倍・3倍近く の差がある。このことは、バイアス内における2人は相 互に相槌を適宜行っているのに対し、3人目は声を発さ ないことが多いとわかる。さらに、LUU末ではバイア スのある2人は特に相槌を打っているとみえる。 3.2 3人目の相槌と発話内容との関係 3人目が相槌をうったとき、その後開始された3人目 のLUUの発話内容を分類すると表4のようになる。詳 細化が62回(35%)と、最も多い。ついで、知識依存が 40回(23%)、横槍が39回(22%)となる。この3つは元 来出現頻度が高いものであるが(表2)、やや詳細化と知 識依存の比率が上がる。相手の話に興味をもって詳細を 聞き出そうとする詳細化や自身も関連する知識を豊富に もつ知識依存の時、3人目は二者間バイアス内でより相 槌を打ちやすくなることがわかる。 また元来3箇所しかないセカンドストーリーであるが (表2)、その二者間バイアス内において相槌全体の19回 (11%)も出現している。すなわち、二者間バイアス内で 語られている話と同様の話を自身も持つ時、たくさん相 槌を打つことがわかる。 表4 相槌が打たれた時の3人目発話内容の生起頻度 3人目の発話内容 回数(回) 比率(%) 横槍 39 22 詳細化 62 35 知識依存 40 23 独り言 7 4 投擲 1 1 セカンドストーリー 19 11 宛先取得 6 3 司会者的な発話 2 1 3.3 頷かれる位置 表5に相槌が打たれた位置がLUU内であったのか、 LUU末であったのかの生起頻度を示す。 7会話全体における頷きの出現頻度は1061回である。 そのうち、LUU末は367 回(35%)、LUU内は694回 (65%)と、LUU末よりもLUU内での出現頻度が多い。 頷きは(榎本・伝, 2004)から次話者に特徴的な振る舞 いであることがわかるが、その打たれる位置はLUU内 である。次話者はLUU末では次発話を開始するため、 LUU末で頷いている場合ではないからだ。 二者間バイアス区間における頷きの出現頻度は574回 である。そのうち、LUU末は189回(33%)、LUU内は 385回(67%)と、LUU末の2倍近く、LUU内での出現 頻度が多い。頷き一般とほぼ同じ傾向である。 二者間バイアス区間を除いた区間における頷きの出 現頻度は487 回である。そのうち、LUU末は 178回

(37%)、LUU内は309回(63%)と、LUU末よりもLUU

内での出現頻度が多いことがわかる。これも頷き全体で みたときとほぼ同じ傾向である。 二者間バイアス後に発話する3人目に着目したとき、 頷きの出現頻度は128回である。そのうち、LUU末は 55回(43%)、LUU内も73回(57%)と、全体と二者間 バイアス区間外に比べてややLUU末での頷きが多くな る。頷きは(榎本・伝, 2004)の結果から非次話者に特徴 的な振る舞いであることがわかるが、二者間バイアス中 の3人目は非次話者としての振る舞いをしていることが わかる。自身が発言する直前まではターンを取得しない ため、LUU末でも頷けるのだといえる。 二者間バイアス中に話していた2人に着目すると頷き の出現頻度は446回である。そのうち、LUU末は134

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表5 頷かれる位置 LUU内 LUU末 合計回数 対象データ 回数(回) 比率(%) 回数(回) 比率(%) 回数(回) 7会話全体 694 65 367 35 1061 二者間バイアス区間 385 67 189 33 574 二者間バイアス区間外 309 63 178 37 487 3人目 73 57 55 43 128 他の2人 312 70 134 30 446 表6 頷きがあった時の3人目発話内容の生起頻度 3人目の発話内容 回数(回) 比率(%) 横槍 23 18 詳細化 28 22 知識依存 44 35 独り言 14 11 投擲 0 0 セカンドストーリー 17 13 宛先取得 1 1 司会者的な発話 0 0 回(30%)、LUU内は312回(70%)と、LUU内が多い。 二者間バイアスの2人は頷き全体で見た時の傾向を強め ている。3人目と回数的に比較すると、LUU内で3人 目が73回、LUU末で55回に対し、他の2人はLUU 内で312回、LUU末で134回とほぼ3倍近くの差があ る。このことは、バイアス内における2人は相互に頷き を適宜行っているのに対し、3人目は静観している局面 が多いのだと考えられる。 3.4 3人目の頷きと発話内容との関係 3人目が頷いたときのLUUの発話内容は表6のよう になる。知識依存が44回(35%)と、最も多い。ついで 詳細化が28回(22%)、横槍は23回(18%)である。元 来の出現比率(表2)に比べると、知識依存がかなり増 える。自身が二者のやりとりに関連する知識を豊富に持 つ時、3人目はより多く頷きやすくなるとみてとれる。 また、3箇所しかないセカンドストーリーであるが(表 2)、その時の頷きは頷き全体の17回(13%)も出現して いる。知識や体験は同じものを持つ時、より頷かれる。 また、4箇所しかない独り言のときも(表2)、頷き全 体に対して14回(11%)も頷いている。この結果をみる と、独り言も前のやりとりとまったく関係なく打たれて いるわけではなく、何か強い興味を惹かれた時に発せら れているのではないかと推測できる。 3.4.1 事例分析 以下に典型例をみる。 (事例1) 0432:3.05.833-3.39.961   01 A: ハンプ聞[いてない気がする][オ]ン   02 C: [カ(.)学校祭 ][が]   03 A: {うん} 外→04 A: {no }{d }   05 C: {で}:すごいそれのね(0.432)   06 A: { nod }   07 C: {ま俺演}劇でさイチョーなんか役とか    やっ{1てた[{3の 1}] 4}   08 C: {1n{2o {3d 1}2}} 外→09 A:     {2 [{3ホン1}]ホン3} 外→10 A:      {3n 2}4}o3}    {1d {2 1}2}   11 A:{1それは聞[いたな 1} ]   12 C:    [{2でそれ 2}す ]ごい熱心に      やってたから:   13 C: その会議のために{(0.551)}あの(0.218) 内→14 A: {nod }   15 C:我が(0.219)尾張高校っていうところの     C: [(.)アイ-](0.182)愛知県名{古屋}市の   16 A: [あ ] 内→17 A: {nod }   18 C: [{1(0.536)] 2}尾張高校っていう(0.149)   19 A: [{1あ ]1}   20 A: {1nod 1}2}   21 C:その一社っていう地下鉄駅の近くの   C:{(0.506)}あの(.)マクドナルドに行ったわけですよ 内→22 A:{nod } 外→23 A:{1ふん1} 外→24 A:{1nod 1} 外→25 B:{2ふん2} 外→26 B:{2nod 2}   27 C: でそこで:僕らは(0.323)あの(0.614)    C: 会議がしたかっただけで[{(0.575)}] 内→28 A: [{ふん }] 内→29 A: {nod }     C: 別になんも食べたくなかったんだよね   30 A: <笑>   31 C: <笑>   32 A: [怒ら]せた[話って]それ[ね ]   33 C: <[笑> ] [<笑> ] [<笑]>   34 A: はいはい   35 B: あ[ ][知[らない知]らない]   36 A: [<][ [ ]笑 ][> [ ] ]   37 B: [こら[是]非]とも   38 C: [<笑> ] [タ ]   37 B: [聞きたい]ね   38 C: [ツーズ ] 事例1はCの高校時代の話である。Aはこの逸話を 知っており、Cの話を引き出している。AとCの発話交 換が続き、二者間バイアスとなっている。この区間で相 槌や頷きをしているのはほとんどAであり、3人目のB はほとんど転記に現れてこない。Cの「カ学校祭が」と いう発話に対し、Aは相槌(03)と頷き(04)を返してい る。また、Cの「で:すごいそれのね」(05)という語し出 しのまだLUUとしては継続することが予測できる位置 でのAの頷き(06)、「ま俺演劇でさイチョー(一応)なん

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か役とかやってたの」というLUU末でのAの相槌(9) と頷き(10)、「その会議のために」(13)というLUU内で のAの頷き(14)、「アイ(0.182)愛知県名」という地名 が出てきたところ、続く「名古屋市の」の後、「地下鉄 の駅の近くの」というLUU内でのAの3回の頷き(17, 20, 22)、Cの「行ったわけですよ」というLUU末に対 してのAの相槌(23)と頷き(24)、「会議がしたかっただ けで」というLUU内での相槌(28)と頷き(29)と常に 反応機会場ではAが相槌や頷きを行っている。これに 対して、3人目のBは「行ったわけですよ」(21)という LUU末で相槌(25)と頷き(26)を一度しただけである。 Aの相槌はLUU内で1回、LUU末で2回と、末の方が 多くなっており、これは表3で見たように、バイアス内 の2人がLUU末で相槌をしやすくなるという傾向と一 致している。また、Aの頷きはLUU内で4回、LUU末 で3回と内の方が多く、表5でみたように2人はLUU 内で頷きやすいという傾向と一致する。3人目はLUU 外で相槌・頷きを1度行っただけなので、内外での大小 は論じられないが、他の2人と比べて明らかに回数が少 ないことは歴然としている。 この事例は、まずCとAがこの話題で話を進めよう という確認を行っている段階での二者間バイアスであ り、Cはこの確認期間を黙って静かに見守っていたと考 えられる。この区間は、この後この話を知っているCと AがBに向かって、この話を行うという前段階という位 置だからだと考えられる。この話が「怒らせた話」であ るというCとAの間の確認が終わると、おもむろにB は、「あ知らない知らない」「こら是非とも聞きたいね」 (詳細化)と口を開き、話者交替に復帰する。 (事例2) 0632:3.35.257-4.32.244   01 C:でもなんかネオナチみたいなの{(0.148)}が   02 C: {nod }   01 C: [{怖い}[とか言っ]て   03 B: [{あ最}[近] 内→04 B: {nod }   05 A: [カ] ]   06 C:<笑> 外→07 A: nod   08 B: あ   09 B: でもね:(0.174)あの:(0.202)北(0.708)えーと   10 B: 元の東{の方{[(0.602)} {に} ]や}っぱり(0.158)た くさんいる   11 B: {nod { { } { }} 内→12 C: {n{od }} 内→13 C: [{うん  }{  }] 内→14 A: {nod} } 外→15 A: {1ふ{2[ 1} 4} 5}う ][ん ] 外→16 B: {1no{2 {3 4}d5} 8} 外→17 C: {1no{2d{3 1}7} 6} 外→18 A: {2n{3o 7}d 4}9} 外→19 C: [{3う 6} 9}ん8}]   20 C: [なんかスキ]ンヘッドの 集団を{[見たら} ] 内→21 B: {n{od }} 内→22 B: [{うん }]   23 C: (0.525)なんか逃げろみたいなのが書いて   24 B: 日本人は大丈夫って言{[うけ{ど}ね}] 外→25 C: {n{od { }}} 外→26 C: [{うー } ]ん   27 B: {nod }}   28 C: トルコの(1.037)なんか(0.623)出稼ぎの人に   29 C:(0.844){冷 }たい{っ[ていうか]暴行} 内→30 B: {nod} {nod{ } }   31 B: [{うん }]   28 C: するんですよ[ね] 外→32 A: [ふ]{う }{ }[ん] 外→33 B: {nod} 外→34 C: {nod}   35 C: [ア] [ー ]   36 B: [でも]ドイツの人は日本人にはすごく親切だっ[た] 外→37 C:        [ふ]    {う }[ん ] 外→38 C: {nod }   39 B: [日本]人に限らないのかもしれないけ[ど]   40 A:       [う] {んで}も 外→41 B: {nod } 外→42 A: う{ん} {うん} 外→43 A: {n }o{d } 外→44 B: no{d } 外→45 B: {う}ん   46 A: ン[ネ] 外→47 C: [う]ん   48 B: ウイーンの人はあんまり(0.407)親切じゃなかった気 がする   49 C: あ<声>   50 A: <{笑>[ }]   51 B: {no {}d }   52 C: [{<]笑}>   53 C: 坂[下さんのお友達みんなそんなこ]と言ってました   54 A: [あー:  ]   53 C: { }[ね]   55 C: {nod }   56 B:    [そ]{うです}[ね{別 }々 ]に   57 B: {nod } 外→58 C: [ {ふ }ん)] 外→59 C: {nod}   60 B: みんな行きまし{1たけ [ど{3ね3}]1}   61 B: {1n {2o {3 3}d 2}4} 外→62 C: {2[ {3_ う]ー2}ん 5} 外→63 A: {3n 1}o 4}d5}   64 B: ウイーンのほうが気取ってる感じ 外→65 C: [{ふう}ん]   66 A: [{まあ} ]:なんかドイツはすごい日本に 親近感があるらしいです      67 B: {nod } 事例 2はBとCがそれぞれウィーン旅行に行った 経験を話している二者間バイアスである。バイアスの かかった2人をまずみよう。Cの「ネオナチみたいな の(0.148)が」(01)という発話の途中にBは頷いている (04)。Cの「元の東の方(0.602)にやっぱり(0.158)たく さんいる」(10)の中で、Cは頷き(12)と相槌(13)をし、 終わってからも頷き(17)、相槌(19)をしている。話者 が交替して今度はCが「なんかスキンヘッドの集団をみ

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たら」と言い出すと、今度はBが頷き(21)と相槌(22) を挟んでいる。ただし、「なんか逃げろみたいなのが書 いて」というLUU末が来ると、Bは自らターンを取り (24)、これに対して、今度はCが頷き(25)と相槌(26) を返す。Bも頷き返し(27)、次のCの発言(29)に対し てBはLUU内で頷き(30)、相槌(31)を行い、発話末で も頷く(33)。Cはこれに頷き返し(34)、次のBの発話 に対してLUU末で相槌(37)と頷き(38)を行う。「日本 人に限らないのかもしれないけど」(39)という発言に対 してBとAが頷き・相槌を返し合っているのに対し(41 ∼45)、Cも相槌で返す(47)。さらにBの「そうですね」 (56)に対してCは相槌(58)と頷き(59)を行い、「みん な行きましたけどね」に対しても相槌(62)を打ち、つづ く「ウィーンのほうが気取ってる感じ」に対してLUU 末で相槌を返す(65)。この例ではBとCが互いのター ンに対して、相槌を頷きを頻繁に返し合っている。 続いて3人目をみよう。この例では3人目のAも比 較的積極的に反応している。Cの「怖いとか言って」の 後で頷いている(04)。Bの「元東の方」(10)というLUU 内でも頷き(14)、「たくさんいる」(10)というLUU末で も相槌を打っている(15)。BとCの頷きあい(16,17)に も参加している(18)。「暴行するんですよね」(29)とい うLUU末でも相槌をしている(32)。「日本人に限らな いのかもしれないけど」(40)に対してもLUU末では、 Aは「うんでも」と何かを話し出しかけているが、言い やめ、相槌(42)と頷き(43)を行っている。「みんな行き ましたけどね」(60)にも頷いている(63)。 バイアス内の2人B、Cについてみると、相槌はLUU 内で2回、LUU末で8回と末の方が多くなっており、 これは表3で見たように、バイアス内の2人がLUU末 で相槌をしやすくなるという傾向を顕著に表している。 頷きはLUU内で5回、LUU末で9回とこれは、表5 の傾向とは逆転している。3人目のAをみると、相槌は LUU内で0回、LUU末で3回と末のほうが多く、全体 的な傾向の半々よりも末に偏っている。頷きはLUU内 で1回、LUU末で3回とこれも末の方が多くなってい る。全般的にLUU末が多くなるのは、頻繁にBとCが ターンを交替して発話が細切れであり、LUU末が増え ているせいだと考えられる。 この例ではAも比較的積極的に相槌や頷きを挟んで いる。Aが話者交替に復帰する発話が「まあ:なんかド イツはすごい日本に親近感があるらしいです」(知識依 存)と、自身の知識を披露するものである。実は、ウィー ンやドイツにAも旅行しており、BとC同様の知識を 持っている。頻度分析の結果からも知識依存の場合は相 槌や頷きが多くなることが分かるが、この例はまさにそ の正例といえよう。

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議論

本研究で明らかになったことは、二者間バイアスに含 まれる2人は普段より積極的に相槌・頷きを行うという ことである。このことは頻度分析と事例分析から得られ た顕著な結果である。これに対してバイアスに含まれな い3人目は、バイアス区間以外の一般的な位置と同様に 相槌・頷きを行う。また、比較的相槌や頷きの回数も少 なく、2人の会話を静観している様子が伺える。 さらに、3人目が話者交替に復帰するときの発話内容 によっても相槌・頷きの頻度が変わることがわかる。横 槍・詳細化・知識依存に加えてセカンドストーリーのと きに相槌・頷きは増える。2人の話をメタ化してみてい たり、関心をもっていたり、自身が関連する知識や経験 を持っている時、相槌や頷きを表出しやすいといえる。 このことから、二者間バイアス区間における3人目のあ り方には2通りあることがわかる。一つは今2人が行っ ている会話にとても関心を抱いている状態であり、自身 の発言機会では、その話の続きを行う横槍・詳細化・知 識依存・セカンドストーリーが展開される。他方は、今 の話に関心がなく何となく話者交替から離脱している状 態である。復帰するにしても、投擲といったようにこれ までの話の流れとは無関係な発言を行う傾向にある。 ここで興味深いことは、独り言の前にも頷きが多く表 出されることである。独り言を発するような時には、前 の2人のやりとりに強い関心や同意を抱いていたときで はないのかという帰納的な推論が成り立つ。 参考文献

Den, Y., Koiso, H., Maruyama, T., Maekawa, K., Takanashi, K., Enomoto, M., & Yoshida, N. (2010). Two-level annotation of utterance-units in Japanese dialogs: An empirically emerged scheme. In Proceedings of the 7th International Conference on Language Resources and Evaluation (LREC 2010), 1483– 1486. 榎本 美香・伝 康晴(2004). 3人会話における聞き手のちょっと した振る舞いについて. 『社会言語科学学会第14回大会論 文集』, 162–165. 榎本 美香・伝 康晴(2006). 3人会話における発話交換構成員の 推移の分析.『社会言語科学学会第17回大会論文集』, 12–15. 宮崎 太我・榎本 美香(2018). 2者間バイアスの間にどう割っ て入るか. 『人工知能学会研究会資料』, SIG-SLUD-B802, 39–44.

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高梨 克也(2016).『基礎から分かる会話コミュニケーションの 分析法』. ナカニシヤ出版.

表 1 二者間バイアス後の第三者の発話内容(宮崎・榎本 (2018) より要約) 名称 内容 横槍 二者で話している内容にメタ的な意見や揶揄を差し挟む 詳細化 先行する発話に出てきた言葉を用いてより詳しい内容を聞き返す 知識依存 自身が持っているより詳しい知識を話す 独り言 低いトーンで視線を誰にも向けず、独り言を挟む 投擲 誰に向かってでもなく自分の意見や感想を無責任に差し挟む セカンドストーリー 二者が会話している内容に類似した体験談を語る 宛先取得 話し手が視線によって第三者を次話者に選び、選ばれた第
表 3 相槌の打たれた位置 LUU 内 LUU 末 合計回数 対象データ 回数 ( 回 ) 比率 (%) 回数 ( 回 ) 比率 (%) 回数 ( 回 ) 7会話全体 566 47 628 53 1194 二者間バイアス区間 264 45 328 55 592 二者間バイアス区間外 302 50 300 50 602 3 人目 88 50 88 50 176 他の 2 人 176 42 240 58 416 二者間バイアス区間を除いた区間における相槌の出 現頻度は 602 回である。そのうち、 LUU 末は
表 5 頷かれる位置 LUU 内 LUU 末 合計回数 対象データ 回数 ( 回 ) 比率 (%) 回数 ( 回 ) 比率 (%) 回数 ( 回 ) 7会話全体 694 65 367 35 1061 二者間バイアス区間 385 67 189 33 574 二者間バイアス区間外 309 63 178 37 487 3 人目 73 57 55 43 128 他の 2 人 312 70 134 30 446 表 6 頷きがあった時の 3 人目発話内容の生起頻度 3 人目の発話内容 回数 ( 回 ) 比率 (%)

参照

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