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当院でのイレッサ使用症例の検討 利用統計を見る

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平成17年4月1日

当院でのイレッサ使用症例の検討

社会保険山梨病院 呼吸器内科 渡辺一孝 石原裕  要旨:イレッサの使用基準は “手術不能または再発非小細胞癌であり、化 学療法既治療例”と一般に認識されている。当科では合併症やPSの低下、 化学療法に対する強い拒否のため標準的な化学療法を施行できない手術不能 または再発非小細胞癌の症例に対しても倫理的観点からイレッサを投与して きた。今回、我々のこの判断の妥当性を検証するために、化学療法既治療例

と化学療法未治療例との間でイレッサの効果や副作用につい‘て

retrospectiveに比較した。化学療法既治療例は6例、未治療例は14例であ ったが、両群の間に効果や副作用の点で有意の差は見られなかった。従って、 化学療法未治療の手術不能または再発非小細胞癌に対しても十分なインフォ ームドコンセントが得られた場合イレッサの投与は容認されるものと考えら れた。 キーワード:イレッサ、使用基準、効果、副作用、臨床試験と実地医療       はじめに  夢の抗癌剤として登場したイレッ サはその期待の大きさから発売当初 は適応以外の症例も含めた多数例に 使用され、結果として重篤な副作用 症例を多く生じてしまった。それに 対する反省と、近年高まりつつある Evidence・based medicineの考え方 から第44回日本肺癌学会(平成15 年)ではイレッサの使用について  ①手術不能または再発非小細胞癌 を厳守すること  ②化学療法未治療例、術後補助療 法については有効性、安全性を確認 できていない との声明が出された。すなわち現在 イレッサの使用基準は手術不能また は再発非小細胞癌のうち化学療法既 治療例と一般に認識されている。し かし、実際の臨床では①の基準は満 たしても合併症(例えば骨髄異形成 症候群)、PS不良、化学療法に対す る強い拒否(女性の脱毛に対する忌 避など)のため化学療法を施行でき ない症例も多い。イレッサが奏効し た場合長期の生存が得られることが あることを考えると、これらの症例 に化学療法もイレッサも投与せずに best supportive careだけで良しと するのは倫理的に問題があると考え、 我々はこれらの症例にも十分なイン フォームドコンセントが得られた場 合イレッサを投与して来た。今回、 我々のこの判断の妥当性を検証する ために少数の経験例ではあるが化学 療法施行後にセカンドライン以降と してイレッサを投与した例(化学療 法既治療例)と化学療法を施行した ことがなくファーストラインとして イレッサを投与した例(化学療法未

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治療例)との間でその効果と副作用 とをretrospectiveに比較検討した。      対症と方法

 2002年7月から2004年10月ま

でにイレッサが投与された20例を 対象とした。患者背景として性別、 年齢、肺癌の組織型、イレッサ投与 時の臨床病期、Performance Status (ECOG)を比較した。効果として WHOの基準による腫瘍縮小効果、 イレッサ投与後の生存期間を、副作 用は頻度の高い5つの症状について その頻度を比較した。        結果 (対象症例の背景因子)  期間中にイレッサが投与された

20例のうち化学療法既治療例は6

例、化学療法未治療例は14例であ った。患者の背景因子ごとの化学療 法既治療例と未治療例との内訳を比 較した。性別は男性16例(既治療 例5例∫未治療例11例、以下同様)、 女性4例(1∫3)。年齢は50代2例 (0/2)、60代3例(2/1)、70代8 例(3/5)、80代7例(118)。組織型 は腺癌11例(3/8)、扁平止皮癌6 例(2,4)、大細胞癌3例(112)。臨 床病期はIIIA期2例(0/2)、 IIIB 期5例(1∫4)、IV期4例(2/2)、再 発8例(315)、不明1例(0/1)。 PS(E COG)は1は1例(0,1)、2は4 例(3,1)、3は11例(2∫9)、4は4 例(1/3)であった。各背景因子につ いて化学療法既治療例と未治療例と の間で大きな偏りはなかった。  (効果)  20例全体としての効果はPR 7例、 SD 2例、 PD l1例であり、奏功率 (CR+PR)は35%、病勢コントロ ール率(CR+PR+SD)は45%であ った。これはIDEAL11)の奏功率 (18.4%)と病勢コントロール率 (54.4%)と比較して遜色のないも のであった。腫瘍縮小効果を化学療 法既治療例と未治療例とで比較する と(表1)、両群の間で奏功率、病勢 コントロール率に統計学的に有意の 差はなかった(Fisherの直接確率計 算法、p=0.68、0.84)。イレッサ開 始後の生存期間中央値も両群間で統 計学的に有意の差はなかった(表1、 G検定、p=O.35)。 図1には化学療法既治療例、未治療 例の生存期間をプロットしたものを 示す。化学療法未治療の14例の中

には約10ヶ月以上生存する例が3

例(21.4%)あった。 (図1)既治療例、未治療例の    中央値の比較  纏蓑 簾灘    生存期闘

灘懲

藷鱒 塗雛 難§^ § 鍛 繕     驚槙1     聯     薯 § 既治療例 婁 婁   lg・ ア ’ −t   ”い   ”aw ’a  H  ド @ レ P’1

 繍鎌獺

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平成17年4月1日 (副作用)  イレッサの投与に伴う副作用を化 学療法既治療例と未治療例とで比較 したところ(図2)、舌炎1口内炎、 発疹、下痢、間質性肺炎、肝障害の 発生率に統計学的に有意の差は見ら れなかった(Fisherの直接確率計算 法)。        考察  現在、イレッサの使用基準が“切 除不能または再発非小細胞癌で化学 療法既治療例“とされているのはイ レッサの有効性と安全性を確立した 二っの第2相試験1)2)の対象症例が 化学療法既治療例であったことを踏 まえたものである。そもそも、第2 相試験でこれ等の症例が対象となっ たのは、化学療法が無効で他に有効 な治療法がない症例では有効性や安 全性に確証の十分でない新薬の臨床 試験が倫理的に認容されるという考 えが根底にあったものと考えられる。 合併症やPS不良、患者の拒否によ り標準的な化学療法が施行できない 例も、同じ理由から有効性や安全性 に確証の十分でない薬剤の使用が実 地医療としては容認されると考え、 我々は化学療法未治療の症例にもイ レッサを投与して来た。また、この 方針は保険の適応から著しく逸脱し たものではない。もちろん、患者や 家族に臨床試験の結果を含めた十分 な情報提供をした上で同意を得た場 合に投与しており、数例では同意が 得られずイレッサを投与しなかった。  また、二つの第2相試験1)2)では 化学療法を施行したことがイレッサ の効果を高め、副作用を軽減すると 証明された訳ではない。臨床的には 化学療法未治療例でもイレッサが著 効する例をしばしば経験する。この ような理由からファーストラインで 使用した場合の有効性と安全性を検 討した臨床試験も計画され、予備的 な結果4)5)6)7)では化学療法既治療 例と同等の効果を報告したものが多 い。  我々の検討でも化学療法既治療例 と未治療例との間に効果や副作用の 点で有意の差は認められなかった。 特に、化学療法未治療例の中にはイ レッサ投与後約10ヶ月以上長期に わたり生存した例が3例(21%)あ り、これがイレッサの効果か否かを 厳密に特定することはできないが、 化学療法既治療例という基準を厳密 に守ってイレッサを投与しなかった 場合、これほどの生存は得られなか った可能性は否定できない。  現時点でイレッサについて我々が 知っていることはわずかであり、少 数の臨床試験の結果からイレッサの 全体像を捉えることも困難である。 実地医療では臨床試験で得られた情 報を十分に踏まえつつも、個々の患 者の状況に応じて治療方針を決めて ゆくことは妥当なことと考えられる。        結語  臨床試験で得られた情報を十分に 提供し、かっ、患者の同意が得られ た場合は化学療法未治療の手術不能 または再発非小細胞肺癌に対しても イレッサの投与は容認されるものと 考えられた。       参考文献 1)Fukuoka M, Yano S, Giaccone G, et al:   Multi・institutional

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randomized pha8e II trial of gefitinib f()r previously treated patients   with   advanced non・8mall−cell lung cancer(The IDEAL l Trial). JClin Oncol 21: 2237・2246,2003 2)Kri8 MG, Natale RB, Herbst RS, et al: Efficacy of gefitinib, an inhibitOr of the epidermal growtll fectOr receptOr tyrosine kina8e, in symptomatic  patient8  with nOn・8mall Cell lung CanCer: a randomized trial. JAMA 290: 2149・2158,2003 3)西脇裕、矢野聖二、田村友秀・

他:非小細胞肺癌患者に対する

Gefitinib IDEAL1試験の日本人サ

ブセット解析.Jpn J Cancer

Chemother 31:567・573,2004 4)仁保誠治、久保田馨、後藤功一・ 他:進行非小細胞肺癌に対する初回 化学療法としてのゲフィチニブ単剤 投与の第2相試験.肺癌 43:584、 2003 5)Argiris A, Mittal N, Masters G: Gefitinib (Ires8a, ZD 1839) is. active as first・line, compas8ionate use therapy in patients with advanced non・small cell lung cancer(NSCLC). Lung Cancer 41: S247,2003 6)Zahleh Z, Abdalla I, Kinsella V, et al: Outcome of 48 patients with advanced non 8mall cell lung cancer  (NSCLC)  receiving gefitinib monotherapy after failing prior chemotherapy or as initial therapy. Proc of ASCO 22: 705, 2003 7)Kommareddy A, Coplin M, Behnken D, et al: Getinib as a first line therapy for patients with advanced non small cell lung cancer(NSCLC). Proc of ASCO 22: 705,2003

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平成17年4月1日 (表1) 腫瘍縮小効果、生存延長効果の比較 化学治療既治療例 化学治療未治療例 (6例) (14例) 腫瘍縮小効果 nn

CR

0 0.0 0 0.0

NS

PR

2 33.3 5 35.7

NS

CR+PR 2 33.3 5 35.7 P=0.68

SD

1 16.7 1 7.1

NS

CR+PR+SD 3 50.0 6 42.9 P=0.84

PD

3 50.0 8 57.1

NS

生存延長効果

MST

101日         65日      P=0.35 (図2) 主な副作用の頻度の比較 50 40 30 20 10 0 欝=《き,22 P=ぴ纏 舌炎、口内炎 発疹     下痢    間質性肺炎   肝障害

参照

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