アメ リカにおけ る生涯学習 の発展 と
コ ミュニ テ ィ ・カ レッジ
清 水 一 彦 は じ め に 釆 た る2
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世紀 は 「生涯教育 の時代」 ともいわれ る。洋 の東西 を問わず多 くの国 々では,新 世紀社会 に向けて, ライフステージに応 じた生涯学習社会 の建設が教育改革 の主要 な課題 の 一 つ とされている。 わが国において も,かつて中央教育審議会 の 「生涯教育 に関す る委員会」が,生涯教育 の 観点か ら現行制度 を見直 し,学歴社会 の打破 をめ ざした成人-の大学開放 を 提 言 し た。 ま た,現在多 くの関心 を集めている臨時教育審議会 で も,その第2部会 において,学歴社会の 是正 の基本的施策 として乳幼児 に始 まる生涯教育 システムの確立,教育機関の地域社会 -の 開放,家庭 ・学校 ・職場 ・地域社会を結ぶ教育 ネ ッ トワー クの形成 な どについて検討 を進 め てい る ことは周知 の通 りであ る。 こうした生涯教育論議 が国家 レベ ルにおいて活発化す る中 で,他方 では各都道府県,市町村 の地方 レベルにおいて,実際生涯学習 に関す るさまざまな 革新や実験 も意欲的 に試行 され つつあ る。 しか し,生涯学習社会 の実現 は決 して容易 な ものでない ことはい うまで もない。か つて生 涯教育 の理念 を世界的規模 において展開 させた ユネス コ(UNESCO)紘,1976年 の 「成 人教 育 の発展 に関す る勧告」(第 19回総会)の中で,生涯教育 (学習)は現行教育 システムの再 編成 をめ ざす ものであると同時 に,教育 システムの外部 にあ り教育に利用 で きるすべ ての資 (1) 源 を開発 す ることを 目的 とす るものであ るとした。 この よ うに,生涯教育が教育 システムの 再編成 と教育 システム外 の資源 の開発 を志 向す るもの ととらえ られ る限 り,現行 システ ム内 での単 な る学習機会 の量的拡大 であ ってほな らない。生涯教育 の システム化 は,教育制度全 体 の再編成 を伴 った学習者 中心 の改革 に よって こそ,その実現 が可能 とされ るのであ る。そ の意味 では, 明治以来 の 「学校信仰」の下 で発達 して きた学校教育中心 の教育 あ るいは教育 観 が定着 してい るわが国にあ ってほ, と くに成人の教育 (学習)要求 に応 じた生涯教育の シ ステム化 は多 くの克服すべ き課題 を内に含 んでいるといえ よ う。 ところで,成人 に対す る生涯学習の機会 を保障す る改革 に古 くか ら積極的 に取 り組 んで き た アメ リカでは, とくに60年代以降,新 た に 「中等後教育」 とい う概念の下 で生涯学習 の実 現 が要請 され,従来 の単 に伝統的大学 を成人 に開放す るとい う大学拡張 の段階 を超 えた新 し い段階 を迎 えている。す なわ ち,中等後教育の再編成 においてすべての学習者 の 「学習社会 (2) の場」をめ ざ した大学構造 の柔軟化,弾力化 の段階 であ る。そ して, こ うした大学構造 の変草の段階の中で, と りわけ フ ォーマルな学校教育に対 してその対象 ・機関 ・組織 ・内容 ・方 法等において よ りい っそ う多様性を有 して発達 して きた成人教育 (adulteducation)は,今 や教育の大事業 (bigbusinessJ として生涯教育 システム化の実現 の上 で重要 な 役割を 果た しているのである。 本稿 では, これ までわが国の先行研究 で正面か ら取 り上げ られ ることの少 なか ったアメ リ カの成人教育の分野 に焦点 を当て, まず成人教育の機能 ・役割 と実態 の側面か ら最近の生涯 学習発展の全体像を明 らかにす る。次 に,現在教育的 コ ミュニテ ィを形成 しているコ ミュニ テ ィ ・カレッジの成人教育発達 に果た して きた役割を検討 し, さらに伝統的 な形態や内容 に こだわ らない革新的 な実践例を取 り上げなが ら,生涯学習の発展に関わ る特色 と課題 につ い て考察 していきたい。 その前 に,アメ リカにおける 「生涯学習」の概念お よび構造 について言及す る こ と に す る。
Ⅰ
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「生 涯 学 習 」 の概 念 と構 造 アメ 1)カでは,一般 に r生涯教育」の代わ りに 「生涯学習」(lifelonglearning)が広 く容 認 された用語 とな っている。 また,生涯学習 と並んで 「継続教育」(continuingeducation) とい う言葉 も古 くか ら使用 されている。従来, この継続教育は,主に経済的理 由な どか ら義 務教育を完了 しない者 に対 して,義務教育が終了す るまでその補習教育を義務づける,いわ ば補完的,補足的性格を有 していた。 しか し,今 日ではその概念が拡大 され,高等教育機関 や社会的専門団体あるいは政府関係諸機関な どの管理 ・運営 の下で提供 され る中等後の教育 を も含む もの とな っている。それゆえ,広義の継続教育の概念は,生涯学習の一環 として位 置づけ られ る。 アメ リカの生涯学習に関連 した考 え方 は古 くか らみ られ,すでにジ ェファー ソン時代に遡 って うかが うこともできるOそ して,1960年代のユネス コにおけ る `6ducationPermanente' につ いての論議以前 にもさまざまな形 で受け入れ られていた。 しか し,今 日の ような生涯学 習 に対す る多 くの関心や研究 ・実験 の試行は,1976年,当時上院議員(のちに副大統領)であ(
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)ったモ ンデールに よって提案 され,成立 した改正高等教育法の中の 「生涯学習法」(Lifelong LearningAct,PublicLaw 94-482)が大 きな契機 とな っている。
現在 のところ,生涯学習についての全 国的,統一的 な定義は存在 しない。上記 の 「生涯学 習法」の中でもこれ については触れ られていなか った。それゆえ,論者 に よって多種多様 な 定義がみ られ るが, 典型的 なもの として,「すべてのアメ リカ人がその生涯を通 じて学習す ることを容易にす るために工夫 され る諸活動 を思考 し,計画 ・調整 ・実行す るための概念上 (4) の枠組み」を挙げ ることができる。 次 に,生涯学習の意義については,先 のモ ンデールに よれば次の ように考 え られた。 「生涯学習は,沈滞 した もしくは恵 まれない環境にある人 々,すなわ ち失業者,孤独 な高
清水 :アメリカにおける生涯学習の発展とコミュニティ・カレッジ 25 齢者,婦人,マイ ノ リテ ィ,若者,廃業間近 い仕事 に従事す る労働者 の人 々に希望を与 え (5) るものである。」 この ように,従来学習機会が奪われていた人 々や,その機会か ら遠 ざか っていた人 々に学 習の機会 を保障 しよ うとす るところに,生涯学習 の存在意義が考 え られて きた。今 日では, こうした補償教育的思想 と同時 に,生涯学習 の理念には もっと大 きな理想,すなわちすべて のアメ リカ人 の生活を よ り活気的,生産的 なもの とし,学習社会 (learnings∝iety)を樹立 してい こうとす る積極的 な側面 も含 まれて きている。 生涯学習の範囲については,今 日非常 に多岐 にわたるもの として考 え られている。連邦の 「生涯学習法」の中では,次の ような分野 の教育活動 を含む もの として とらえ られていた。 (1)成人基礎教育 (2) 継続教育 (3)独立学習 (4) 農業教育 (5) 実業教育お よび労働教育 (6)職業教育お よび職業訓練計画 (7)両親教育 (8)中等後教育 (9) 高齢者教育や退職者予備教育 (1匂 治療教育 (ll) 特別 なニーズを もつ集団や個人に対す る特別教育 プログラム 89 その他,職業的,専門的技能 の向上や,職場や公共機関等におけ る利用 ・革新 ・研究 成果 のための補助,あるいは家族 のニーズや個人的発達 を満たすために工夫 された教育 活動 な ど 生涯学習についての連邦の考 え方は, とくに これ まで教育上 の恩恵を受 けていない義務教 育年齢後 の国民 に焦点 が当て られていたため, ここに列挙 された教育活動 は成人教育 とほぼ 同 じ範囲 とな っている。 アメ リカの生涯学習は, このように事実上広義の成人教育 とはば同義に用 い られている。 勿論,その方 向性は,多 くの論者 が指摘す るように,文字通 り誕生か ら死ぬ までの生涯 を通 じて行われ るものとして考 え られていることはい うまでもない。 したが って,生涯学習の構 造は,少 な くとも家庭教育に始 ま り,フォーマルな学校教育,学校外活動,成人教育に及ぶ 4つの複合領域か ら成 り立つ もの とされている。 しか し,現在 の ところ,成人教育が生涯学 習の中核的概念 として,実際上主要な位置 を占めていることは確かである。
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成 人 教 育 の発 達 と特 色1
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成人教育の機能 すでに述べた ように, アメ リカの成人教育は,古 い歴史 とともに多様性をその最大の特色 としている。そ して, この多様性 こそが,実際,今 日の ような成人教育を発達 させ る原動力 とな り,さらに今後の発展 の可能性の源泉 ともな っている。現在,州あるいは地方 に よって 多種多様な成人教育が展開 されているが,それだけにまた共通点 も多 くみ られ る。 まず,成人教育は,そ の機能 の点か らお よそ次の3つ の分野 に分け られ る。 (1)成人基礎教育 に代表 され る義務教育 レベルの学校教育 の補完 ・補足 としての分野 (2) 大学拡張活動や コ ミュニテ ィ ・サー ビスプログラムな どにみ られ るよ うに,義務教育 レベル以上 の教育機会 を成人に開放 ・提供 しようとす る分野 (3)図書館や博物館,成人教育関係団体 な どに よる学校教育 の範囲を超 えた成人教育独 自 の分野 次 に,成人 に教育 の場 を提供す る機関 としては,公立初等 ・中等学校,大学,短期大学, 職業 -技術学校,図書館,博物館,企業,労働組合,職能団体,病院のほか,連邦,州,地 方 の政府関係諸機関な どが挙げ られ る。 この うち,大学が行 う成人教育活動は 「大学拡張」(UniversityExtention)と総称 され, これ には大学開放講座,短期講習,夏期講座,通信教育 な どが含 まれ る。1906年, ウィス コ ンシン大学 においてその理念が掲げ られた大学拡張は,1915年の全国大学拡張協会 の創設 を 機 に拡充 され, とくに1920年以降急速 に発展 して きた ものである。通常,大学 の内部に 「拡 張活動部」 とい うような運営組織を設けて行われている。 また,1914年 のス ミス- レ-ヴァ一法に よって創設 された国有地交 付 大 学 (Landgrant collegesanduniversities)で行われ る通称 「農業拡張活動」は,連邦,州お よび地方 の政府 関係諸機関の連合 ・協力の下で,最 も普及 した大規模 な成人教育活動を展開 している。そ こ では,各大学 内の 「農業拡張部」の組織 の下 で,主に技術指導,農業 ・家政指導 のほか,近 (6) 年 では国際問題を含 んだ経済問題や公共事業 の面 におけ る活動が行われている。2.
成人教育の実際 アメ リカの成人教育 の発達状況をみ る前 に,成人教育 の概念について限定 してお く。 ここ では,全国的 な調査研究において一般に使用 されている定義,すなわち 「フ ォーマルな学校 教育 を終了 もしくは中断 した義務教育年齢後の国民の特別 な要求を満たすための 組 織 的 学 (7) 習」に したが うことにす る。 最初に,成人教育参加数についてみ ると,1981年現在, アメ リカ全体で約2,000万人 もの 成人 (-イス クールお よび大学 のフルタイム学生 を除 く17歳以上 の成人)が何 らかの成人教 育活動に参加 している。 これは, 1億6,500万人 の成人人 口の 12% に相当す る数 である。全清水 :アメリカにおける生涯学習の発展とコミュニティ・カレッジ 表1機関別成人教育活動数及び参加者数 (1975年) 27 輯 総数には,公立学校及び大学のフルタイムの成人学生を含む。 なお,NCESは,中等後のパー トタイム成人学生数を17,059(千人)と 算出している。
(資料 ;U.S.DepartmentofEducation,NationalCenterforEducationStatistics,
1977) 体 の参加者数 の推移については, 1969年 が約 1,300万人, 1972年 が約 1,500万人, 1975年 が約 1,700万人 であ り,毎年平均4.6%ずつ増加 してい ることにな る。1969年か ら1975年 までの 6 年間をみて も,成人教育参加者数 は31%増加 してお り,成人人 口の増加率 12.6% の約 2.5倍 に ものぼ ってい ることがわか る。近年,中等後教育 のフルタイムの入学者 が減少 の傾 向にあ るのに対 し,逆 にパ ー トタイムの成人参加者 は年 々着実 に増加 してい る。 成人教育参加者数 を機関別 にみたのが表1であ る。 これか ら明 らか な ように,成人教育活 動 を提供す る検 閲は, 4年制大学, 2年制大学 あ るいは職業 -技術学校 な どの, いわ ゆ る伝 統的 な中等後教育機 関が中心 とな ってお り, これ らの機 関で全体 の約半数 を占めてい る。近 年 の傾 向をみ る と,中で も公立 の2年制大学 の成人教育活動 に対す るスボ ンサ - シ ップが急 速 に増加 し,1969年 か らの 6年 間に 100% 近 い増加率 を示 してい る。従来,成人教育 の主要 なスポ ンサ ー としての高等教育機 関は,長 い間夜 間 カ レッジ (evening college)が 主 流 で (8) あ ったが,最近 では昼間 の コ ミュニテ ィ ・カ レッジあ るいは ウ ィー ク エ ン ド ・カ レ ッ ジ (W eekendCollege)な どの新 しい形態 の教育機 関が年 々多 く利用 されつつあ る。 これ に対 し,私立 の職業 ・実業関係 の各種学校 の利用 は減少 してい る。 (9) 次に,成人教育参加者 の特性 について,それ ぞれ近年 の動 向 と併 せてみ るこ と に す る。 (表 2参照。 なお,以下 の増減 の比率は1969年か ら1975年 までの間を示す 。) 年齢 に関 しては,成人教育参加者 の半数以上は34歳以下 で占め られてい るが, 同一年齢層 に対す る割合か らみ ると,35歳∼54歳 までの中年齢層 も17歳∼34歳 の若年齢層 の割合 と同 じ
表2 成人教育参加者の特性
(%は,各成人人 口比)
(資料 ;NationalCenterforEducationStatistics,DigestofEducationStatistics1982,p・154)
く らい であ る。一万, 55歳 以上 の高年齢 層 の参 加者 数 も,近 年継 続的 な増 加 傾 向 に あ る。 性別 か らみ る と,近 年 女性 の参 加 者 の増加 が著 しい。全 体 の人 口の増加 は 男性13%増 ,女 性12%増 とほ とん ど同 じ割 合 であ るが,成 人 教 育 - の男性 参加 者18%増 に対 して,女性 参 加 者 は
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7%も増 加 して い る。 人種 的観点 か らみ る と,黒人 の成 人 教育 参加 者 は,全体 の黒人 成 人 人 口の成 長 に比 べ てそ の伸 び率 は小 さい。全体 の黒人 人 口18%増 に対 して, 黒 人参加 者 はわず か に5%増 とな って い るにす ぎない。 この ことは スペ イ ン系 ア メ リカ人 (Hispanics)につ い て も同様 の こ とが い え る。 これ に対 し, 白人参加 者 は,全 白人人 口11.3%増 に比 べ て そ の約3倍 に あた る32%も 増 加 して い る。 教 育 レベ ルか らみ た場 合,一 般 に よ り高度 な教育 レベ ルを修 了 した老 が よ り多 く成 人教 育 に参加 して い る ことがわ か る。具体 的 には, - イス クール教育 修 了以下 の個 人 の参加 の割 合清水 :アメリカにおける生涯学習の発展とコミュニティ・カレッジ 29 は11.5%減 とな っているのに対 して, カ レッジ教育修了以上の参加者は逆に45.8%もの増加 を示 している。 職業 との関係 でみ ると,成人教育参加者の大部分 は,現在何 らかの職業 に従事 してい る者 である。 また,近年その参加の動機 も仕事や職業的理 由に よるものが コンスタン トに 増 加 し,1975年現在 において も53%の者が こうした理 由を挙げてい る。 このほか,女性の参加者 急増 と関連 して,主婦の参加者の増加が 目立 ってい る。 家庭の収入面か らみ ると,一般 に家庭の所得が高いほ ど成人教育参加 の割合 も増加 してい る。 と りわけ年収1万 ドル以下の家庭の成人参加者数は減少の傾向にあ り, 2万5,000ドル 以上の家庭 の参加者が増えてい る。その割合か らみ ると,低収入の成人参加者が24.8%減に 対 し,高収入の成人参加者は359.7%もの増加 とな ってい る。 授業料の源については,教育を継続す る成人は,通常 自分 自身でその経費を まかな ってお り,1975年現在約57%の参加者が 自分 自身で授業料 を支払 ってい る。職場 の使用者に よって 支払われ る割合は27%とな っている。 コース ・クレジ ッ トの観点か らみてみ よう。 アメ ])カでは,学習の成果 .学 力の信用度 を 表わす クレジ ッ ト(credit)とい う単位制を導入 しているが,成人教育の分野 では こうした ク レジ ッ トコースをもたない機関が近年増加 しつつ あ り,それに参加す る成人の数 も上昇 して いる。1975年現在,すべての成人教育 コースの52%が非 クレジ ッ トコースで,1969年の45% よ り増加 している。 なお, これに関 しては, さらに1976年にNCESが行 った 「高等教育機関の非 クレジ ッ ト教 (10) 育活動」 と題す る調査の中で,次の ような報告が されてい る。 (1)非 クレジ ッ トの成人教育活動は,1975年度 に2,225の高等教育機関に よって提供 され, これは1967年度 の1,102機関数の102%増 に相当す る。 (2) 2年制大学は,楼関数全体 の44.6%,全登録者数 の47.3%を占めているO (3)1975年度 の全登録者数は880万人で,1967年度 の560万人 よ り56.5%増加 してい る。 (4)全登録者数 の89.1%は,公立 の機関である。 (5) 分野別 の登録者数 をみ ると,多い方か ら職業関係約80万人,教養関係約78万人,保健 関係約73万人,芸術関係約70万人である。 最後に,教育 プログラムについての傾向をみてみ ると (表3参照),成人学習者が 選 択 ・ 受講す るプログラムは,1975年現在はば半数 の者が l職業訓練」の コース とな ってい る。 こ の コースは 「地域社会 の諸問題」の コース とともに着実 に増 え続けているが, さらに近年最 もその関心が高 ま りつつあるコースとしてほ
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「社会生活 ・レクレーシ ョン」 お よび 日田人 生活 ・家庭生活」に関連 した分野が挙げ られ る. これに対 し,減少の傾向にあるのが r一般 教養」の コースである. 以上の ように,アメ リカの成人教育は,全体的には伝統的 な教育機関を中心 として,その 対象年齢層 を拡大 し, とくに女性 の参加や高学歴者 を多 く得なが ら,主に職業的 あるいは実 際的なパ ー トタイムの学習を行 うものとして,急速な発達 を遂げてきていることがわか る。表3 プログラム別成人教育参加者数の推移
輯 -イスクール及び大学のフルタイム学生を除 く17歳以上の成人。 1969年,1972年の数は,35歳以上のフルタイム学生を含む。
(資料 ;NationalGさnterforEducationStatistics,DigestofEducationStatistics 1982,p.156)
3. 成人基 礎教育
ところで,成 人教 育 の一分野 で あ り,社会的,教 育的 に不利 な条件 に おかれ てい る人 々の た めの 「補償教 育」 の場 として位置 づ く成 人基礎教 育 (AdultBasicEducation)は, どの よ
うに展開 され てい るであろ うか。
社会生活 に最 少限必要 な基礎知識 ・技能 を身 につ け ていない人 々を対 象 とした 成 人 基 礎 教 育 は, もともと移民 に対 す るア メ リカ- の同化 のため の補習教育 と して出発 し た。 そ の 後,一般市民- の拡大や職 業基礎教 育 を も含 みなが ら, と りわけ1964年 の 「経 済 機 会 法」 (EconomicOpportunity Act)や1966年 の 「成人教 育法」 (AdultEducation Act)な どの 連 邦 に よるいわ ゆ る貧 困追放政策 の下 で,急速 に発達 して きた分野 で あ る。
今 日,その対 象年齢 は16歳以上 (1968年 までほ18歳 以上 )で,公立学 校 あ るいは公立職業
表4 性別,年齢別,人種別成人基礎教育参加者数
(資料 ;Nationa一CenterforEducationStatistics,DigestofEducationStatistics 1982,p.155)
清水 :アメリカにおける生涯学習の発展とコミュニティ・カレッジ 31 訓練校において無償 で行われているO成人基礎教育は,補習教育 の論理 に基 づ き r雇用市場 3iiI‖E を考慮に入れつつ も,力点 はあ くまで個人 の福祉 におかれ てい る」 ので ある。そ のため,従 来雇用市場外 におかれ ていた人 々を市場 内に包含 しよ うとす ると同時 に,主要 には社会生活 の上 に必要 な基礎学 力のない文 盲をな くす ことが 目標 とされ てい る。 1981年現在 の成人基礎教育の状況は,表4に示 され る。全体 の受講者数 は約202万人 で, これは成人人 口の約1.2%に当 る。男女別 の比率 をみ ると,女性 が男性 をやや上回 っている。 年齢別では, 16歳∼44歳が全体 の81%と大部分 を占めてい る。 また, これ を人種 で み た 場 令, 白人が全体 の約半数 を占め,以下黒人, スペ イン系 アメ リカ人,その他 の順 とな ってい る。 しか し,それぞれの成人総人 口の割合か らみれば, 白人 が1%に満たないのに対 し,黒 人 は約3%, スペ イン系 アメ リカ人 お よびその他 が5%前後 とな ってお り,圧倒的 にアメ リ カ社会 のいわ ゆ るマイ ノ リテ ィ ・グルー プの就学率 が高 い ことがわか る。
Ⅲ.
コ ミュニ テ ィ ・カ レ ッジに お け る成 人 教 育 の発 達1
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コ ミュニテ ィ ・カレッジの量的拡大 と特色 コ ミュニテ ィ ・カ レッジは,通常,一般教育 あ るいは職業的性格 の完成教育, または4年 表5 2年制高等教育機関の機関数及び入学者数の推移 機 関 総 数 1公 立 座 立 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 (0 6 6 6 (0 6 6 7 7 7 7 7 7 7 7 7 7 8 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 二-喜一 :I 259 248 259 275 275 …一一 _ -_ 入 学者
総 数 F公 立F
私 可 男
子t
女
子 …三三',6287981 701,945 785,947 905,954 1,036,753 1,212,491 1,359,498 1,572,192 1,804,775 1,903,177 2,078,161 2,142,960 2,294,661 2,479,254 844,512 988,926 1,172,952 1,325,970 1,512,762 1,792,296 1,976,658 2,223,208 9341 6971 237J2,485,911 8 9 2 1 7 3 4 4 3 2 2 2 2 2 2 享∴ :ご:1.1-;≡ 735,029 874,779 1,041,264 1,189,169 1,372,053 1,646,474 1,846,724 2,101,972 2,365,867 2,640,939 2,889,621 3,285,482 3,836,366 3,751,786 二 二二 ‡ 1122三莞 H莞 ?548 1,543,695 1,650,551 1,831,802 2,165,344 1,980,144 1,964,781 1,885,181 1,922,005 2,047,033 (資料 ;NationalCenterforEducationStatistics,DigestofEducationStatistics1982,p.106)制大学 の上級学年進学 のための基礎的教育を施す2年制 の高等教育機 関の うち, と くに地域 社会 の要請 に応 じて設立 された公立 の機 関を さしている。 すでに述べた よ うな今 日のアメ リカ成人教育 のめ ざましい発展 は,一つ には1960年代以降 の コ ミュニテ ィ ・カ レッジの爆発的 な普及 に伴 う成人 の教育機会 の拡大 に よるものである。 表 5の ように,1980年現在,全 国で機 関数941校,学生数約433万人 とな っている。1963年か ら1980年 までのお よそ20年間 に,機 関数 において約2.5倍,学生数 においてほ 6倍近 い増加 を示 している。因みに,私立 の2年制短期大学 の場合は, この間機関数約1.3倍,学生数約 2倍 とな ってい る。 2年制大学 の磯関数 で約74%,学生数 に至 っては96%を も占め るコ ミュニテ ィ ・カ レッジ の こ うした急速 な普及 ・発展 は,そ の名称が示す通 り, 自宅か ら通学 で きる近隣住区 内に設 置 され ていることと同時 に,そ の制度的特色に よるものである。す なわ ち,入学試験制度を 撤廃 したオープ ン ドアに基づ く開放制や,授業料 が無償かそれ に近 い ことである。 これに よ り,従来経済的,地理的理 由な どか ら就学 の機会 を奪われ ていた人 々に も門戸が開放 され, 実際,低所得者,有職者,主婦 な どの入学者 は,他 の高等教育機 関 に比べ て圧倒的 に多 くな っている。 コ ミュニテ ィ ・カ レッジ- の入学者 は,他 の どんなフ ォーマルな教育機関 よ りも成長を続 けている01970年代の教育 の財政的危機 の中にあ って も,少な くとも一週間 に一校設立 され るほ どの勢 いであ った。そ こでは,その開放制政策 に よ り地域 内のあ らゆ る成人 に対 して用 意 され る多様 な教育 プログラム もまた,入学者 の魅 力の一つ とな っている。 これ まで,成人 に対 しては,一定 の学問的,職 業的技能 の習得 をめ ざさない老 - の 文 化 的,教養的サ ー ビス活動 のほか,補習教育 プログラム, さらには職業訓練 プ ログラムな どが 提供 されて きた。最近では, これ らの うち とくに職業訓練や職業教育 の分野 におけ る拡充が 著 しい。例 えば, コ ミュニテ ィ ・カ レッジでは,新た に美容術, 自動車 メカ,電子,TV修 理,印刷,大工吸,他 の技術 ・技能 の よ うないわば終局訓練 の場 が設 け られ るよ う に な っ た。従来, こ うした訓練は,成人教 育独 自の分野 あるいは職業 - イス クール プログラムの一 部 と考 え られていたが,今や コ ミュニテ ィ ・カ レッジとい うフ ォーマルな高等教育機 関の正 規 のカ リキ ュラムに移行 されつつ ある。 こ うした成人教育 プログラムの コ ミュニテ ィ ・カ レッジ-の移行 は,昼間学校 プ ログラム への州の補助金交付 とい う財政上 の理 由に もよるものであるが, これ に よって現在 の コ ミ1, ニテ ィ ・カ レッジが技術的,技能的職業 のため の現職教育(in-servicetraining)の場 と化 し て きているといえる。そ して, コ ミュニテ ィ ・カ レッジにおけ る職業教育 の発達 は,入学す る学生 の多 くが成人であるとい う実際 の状況 の下 で,成人 と成人でない老 とを区別す ること さえます ます困難 にしているのである。
2.
コ ミュニテ ィ ・サー ビスプ ログ ラム コ ミュニテ ィ ・カ レッジは,今 や成人 の第2の教育 の場 として広 く継続教育,補習教育を 施す総合的,多 目的 な高等教育機 関 とな ってい る。初等 ・中等学校 と同様 に地方教育委員会清水 :アメリカにおける生涯学習の発展とコミュニティ・カレッジ 33 の管理下 にあ り,地域社会 に密着 している コ ミュニテ ィ ・カ レッジは, これ まで4年制大学 以上 に成人 に対す る教育拡張活動 を行 って きたが,近年 の量的拡大 に伴 って,成人- の継続 教育に加 えて さらに地域社会 の多様 な要求 に積極的 に応 え る ような教育 プログラムの開発 が 進行 してい る。 これが 「コ ミュニテ ィ ・サ ー ビス プログラム」 と総称 され るものであ る。 こ (12) の プログラムは,具体的 には次 の よ うな ものを含む もの として考 え られ ている。 (1) カ レッジの施設 ・サ ー ビスの地域社会的使用 として,物理的施設 ・サ ー ビスの供給, キ ャンパ スで行われ る地域社会 の行事 の共 同主催,図書館 の地域社会的使用,キ ャンパ ス ・ツアー (2) 地域社会への教育的サー ビス として,無単位 の短期 コース,単位制 の拡張 コース,現 職 者訓練,地域社会 カウンセ リング,人的資源開発,キ ャンパ ス内での ラジオ ・テ レビ 局 (3)地域社会開発 として,統率的,諮問的援助,研究 ・調査 ・世論調査 , ワ ー ク シ ョッ プ ・講習会 ・会議,地域社会会議 ・調停会議 ・その他必要 とされ る地域社会 のエージ ェ ソシ-や グループの編成 (4) 文化的, レクレーシ ョン的活動 として,美術 ・講演 ・映画 シ リーズ,教養旅行 ・校外 見学,画廊,体育活動,科学知識サ ー ビス,各種 フ ェステ ィ/(ル,地域社会 の演芸 以上 の内容か らも うかが うことがで きるよ うに, このサ ー ビス プログラムは,昼夜 の クラ スの正規 の授業時間 に加 えて,その地域社会 から提供す る教育的,文化的, レク レ-シ ョソ的 サ ービスの総合的 な もの とな っている。 こ うしたサ - ビス プ ログラムは,その背景 にカ レッ ジの地域社会 -の浸透 と同時 に,地域社会 の カ レッジへの参加 とい うダブル - ドア的 な考 え 方 が あ り,それ に強 く支 え られている。 今 日, コ ミュニテ ィ ・サ ー ビス プログラムは,それが カ レッジ全体 の機能 であるとい う認 識 の下で,成人 のみな らずすべ ての年齢層 を対 象 に行われ, またそ こでは非伝統的 な学 習方 法が中心 とな っている。そ して,すでに この プ ログラム-の参加者 は300万人 を超 えている ことも報告 され ている。現在,その財政上 の問題や スタ ッフの確保 の問題 な どを抱 えなが ら ち, あ らた めて地域社会 に根 ざした教育 プ ログラムの個別化,多様化 を指 向す ることが期待 されている。 3. コ ミュニテ ィ ・カ レッジのダイナ ミックな発展 コ ミュニテ ィ ・カ レッジの中 には,最近成人教育の 目的 ・内容 あるいは学 習者 の特性 に応 じた特別 な計 画や新 しい実験 を と り入れ ているところがみ られ る。 ここでは, こ うした伝統 (13) 的 な形態や 内容 に こだわ らないい くつかの革新的 な実践例 をみ ることにす る。 (1) 特別 な対象集団 コ ミュニテ ィ ・カ レッジでは,学生集団が異 質であ りその学 習要求 も非常 に多岐 にわた っ ているため,一つ の一般的 プ ログラムやサ ー ビスを提供す るのではな く, ある特別 な集団を 対象 とした独特 の プ ログラムを用意す るところが多 くな っている。具体的 には,次 の よ うな
ものがある。(以下, カ レッジ等の名称は原語で示す 。)
① 高齢者 を対 象 ---EmeritusCollege,Collegeof Marin(カ リフ ォルニア州) ② 組合員を対象 --MonroeCountyCommunityCollege(ウェイン州立大学 と協働,
ミシガ ン州)
③ 家族 を対象 ・・.・・・FamilyCollege,RocklandCommunityCollege(ニ ュー ヨーク州) ④ 通勤者 を対象--ChabotCollege(カ リフ ォルニア州)
⑤ 精神面 で遅れを とる成人 を対 象-・-NapaCollege(カ リフ ォルニア州) ⑥ 田園地域 の女性 を対 象・-・・EnterpriseStateJuniorCollege(アラバマ州) ⑦ 前科者を対象--・FloridaJuniorCollege
⑧ 獄 中者 を対象・--MercerCommunityCollege(ニ ュージ ャージ州) ⑨ 聾亜成人 を対象・.・・-DelgadoCollege(ル イジアナ州)
(2) 柔軟 な組織
イ リノイ州の JohnWoodCommunityCollegeでは,同州の他のカ レッジや技術学校 に おけ る教授上 の資源を利用す る工夫 を している。学生 は他 の カ レッジや技術学校での授業 を も受 けなが ら,単位や証 明書 あるいは学位 につ いては所属す るカ レッジか ら受 け取 る ことに
(14) な っている。
ニ ュージ ャージ州 のHudsonCountyCommunityCollegeCommission も はば同様 な方 法 を とっているが, ここでは同州の大学や医学 セ ンターあるいは技術研究所 か ら 「講義」 を 購 入す る "仲介業 "の役割 を果た している。
また, メ l)-ラン ド州の Worcester-Wiscomico (WOR-WIC) Community Collegeで 紘,同 カウソテ ィ内の学生 に対 して,中央 キ ャンパ ス よ りむ しろ地域社会 の施設 ・設備 を利 用 しなが ら教育を行 っている。
このほか,大都市地域 の コ ミュニテ ィ ・カ レッジの中 には,地域社会 におけ る成人 教育 の 特別 なニーズを世話す る市全体 にわた る機関 (units)を設立 しているところもある。例 えば ChicagoCityW idelnstituteや カソサス市の PioneerCommunityCollege,ロス ・ア ンゼ
ルス市 の InstituteforNew Dimensionsな どである。 (3) 新 しい科学技術の利用
これ まで科学 技術 を利用 した もの としてほ,古 くは シカ ゴで初 めて開発 された テ レビに よ る教育があるが,今 日これは各地 の コ ミュニテ ィ ・カ レッジで も利用 され ている。
最近では,新 しく 「新聞 に よるフ ォラムコース」 (CoursesbyNewspaperForum)とい うタイ トルの下 で,新 聞を利用 した コースをキ ャンパ スでの学 習経験 と結びつける工夫 も衣 られ る。すでに12の カ レッジが こ うした フ ォラム (公開討論)を開発 しているが,中で もカ ソサス市 のJohnsonCountyCommunityCollegeでは, このフォラムを ビデオ テ - プ 化 し,耳 の不 自由な人 々にそれを開放 している。 また, ル イジアナ州 の DelgadoCollegeで ち,盲人 のために地方 の ラジオ放送を通 じた フ ォラムを試行 している。
清水 :アメリカにおける生涯学習の発展とコミュニティ・カレッジ 35 Collegeにおけるオーデ ィオ ・カセ ッ トに よる昼夜の電話利用 の コース (Phone-AICourse) 早,同州のConsumnesRiverCollege におけ るとくに高齢者の幅広 い問題関心 に応 えるた めに,地方 の図書館 を通 じて供給 され るテ レライ ブラ リー, ビデオカセ ッ トな どが挙げ られ る。 (4) 成人学習者用 の教材 コ ミュニテ ィ ・カ レッジに よっては,成人学 習者のために特別 に用意 され る教材や カウソ セ リング資料 な どを開発 しているところが ある。 しか も, これ らの教材 ・資料 は,単一 の機 関 にとどまらず広 く利用 され ている。
NorthernVirginiaCommunityCollegeで は, 非伝統的学習者のキ ャリア教育をめ ざし て,成人学 習者 の評価やキ ャリア目的 の実践 に役立 てるために考案 された "キ ャ リ ア ス キ ル ・パ ッケージ 'の教材を用意 している。 また, テ レビコースを実践す る コ ミュニテ ィ ・カ レッジでは,学習 ガ イ ドや テキス ト, ワ ー クブ ック, テス トな どの教材 を もれ な く揃 えた "教授パ ッケージ 'なるものを用意 し, チ レビ教育の効果的利用 に役立 てている。 (5) 地域社会 との関係 コ ミュニテ ィ ・サ ー ビス プ ログラムの ところで も触れた よ うに, コ ミュニテ ィ ・カ レッジ は,今 日ます ます地域社会 の さまざまな集合体 との協働関係 を緊密 に している。 これ まで行 われて きた地域社会 との協働活動 を ま とめ る と,①地域社会 の ニーズの評価, ② 地域社会 の各種指導助言委員会 の利用,③地方機 関 との合同計画,④ 合同スケジ ュー リン グ,⑤登録 あるいは複数登録(cross-registration),⑥地域社会 の他 の教育提供者 との施設 ・ 設備 の協同利用 な どが挙げ られ る。 コ ミュニテ ィ ・カ レッジに よる地域社会 -の実 際 のサ ー ビス プログラムにつ いては, ある 調査報告 (1976年 )に よれば,最 も多 く実践 され ているのが図書館 の提供,産業上 の ニーズ への助力,職業技術向上 の プログラム,文化的行事,健康管理 コース とサ ー ビス,女性やマ イノ リテ ィな ど-の特別 プ ログラム とな っている。反対 に,サ ー ビスの頻度 が低 いもの とし てほ, コンピュータや科学 技術 の設備 の提供, カ ウンセ リングセ ソクーの利用, テ レビ ・新 聞 な どのマス メデ ィアに よるコースであ る。 以上, コ ミュニテ ィ ・カ レッジの最近 の ダイナ ミックともい うべ き実践 をみ て きたが,そ の大部分 は 「アメ リカ ・コ ミュニテ ィ ・ジ ュニア カ レッジ協会」(AACJC)の指導性 と援助 に負 うところが多 い。 この協会 は,全 国 レベル の成人教育関係団体や特別 な機 関をスポ ンサ ー しているため,地方 の コ ミュニテ ィ ・カ レッジに よる生涯学 習を推進す る上 で最 も重要 な 組織 の一つ とな ってい るのであ る。 なお, コ ミュニテ ィ ・カ レッジの最近 の特別 プログラムあるいはサ ー ビス活動 に つ い て は,問題 が ないわけではない。学 習者 であ る成人 か らみた場 合,関心 を もつすべ ての者 が利 用 できるもの とはな っていない こともその一 つ である。そ こには,州 あるいは地域 に よるば らつ きがみ られ る.す なわ ち,一 目瞭然 であるが, こ うした新 しい プログラムは,主に カ リ
フ ォル ニア州, ニ ュー ヨー ク州, イ 1)ノイ州 な ど一部 の州に集中 してみ られ るのであ る. お わ り に 本稿 では,成人教育を中心 としてアメ リカ生涯学 習 の発展の全体像 とコ ミュニテ ィ ・カ レ ッジの果 たす役割 を明 らかに して きた。多様性を特 色 とす る成人教育 は,本稿 で触れなか っ た図書館 ・博物館 な ど学校教育の枠 を超 えた成人教育独 自の分野を も含 めて,連邦,州,也 方 のあ らゆる レベルにおいて多種多様 な機 関に よって さまざまな形態 で実施 され て き て お り, しか も年 々その拡充 が図 られている。 と りわけ,近年 の連邦政府 の教育への影響 力が増大す る中で,連邦 の生涯学 習-の取 り組 み も活発化 され,そ の役割が ます ます重要 な もの とな って きている。実際,多 くの連邦部局 や機 関が成人教育や職業訓練 プログラムを提供す る よ うにな った。連 邦の生涯学習活動 への 干与 が強 ま り,そ の プログラムへの財政援 助が増加す る中にあ って,連邦政府 自ら直面す る 問題 や課題 も表面化 してきた。す なわ ち,生涯学 習の定義,範囲,優 先課題 の再検討 をは じ め,財政上の問題,連邦内での機構 ・組織 の改革,州 あるいは地方機 関 との連携 な どの問題 (15) である。中で も,財政的裏 づけは,先 の 「生涯学習法」 の部分が再改正 に よって削除 され る 要 因 ともな ってい るだけに,最 も大 きな問題 である ことは指摘す るまで もない。 今 日,生涯学習 と最 も深 い関わ りを もつ コ ミュニテ ィ ・カ レッジにつ いてみて も,一方 で は職業 ・技術教育的性格を強 めなが ら,成人パ ー トタイムの学習者 の多様 な学習要求を満た す機会 を提供 し,他方 では単位や学位 を前提 としない コ ミュニテ ィ ・サ ー ビス プログラムを 拡充 し,総合的,多 目的 な高等教育機 関 として地域社会 -の生涯学習 の発展に多大 な貢献 を 果 た してきてい る。 さらに,70年代以降には とくに成人 の学 習要求の増大や高度化,高年齢 層 の学生の増加傾 向 と関連 して,学 習者 の多様 な要 求に応 じた学習 の個別化,多様化 が一段 と求め られ, こ うした成人 の学習上 の要請 に基 づ く新 しい方策 として,既存 の機 関や既成 の 教 育 プログラムに こだわ らない非伝統的 な学 習形態 が研究 ・開発 されつつ ある。 しか し, この よ うな コ ミュニテ ィ ・カ レッジの機能 の拡大 ・改善 につ いては,従来 の4年 制大学 -の トランス フ ァー(transfer)携能や職業完成教育を主体 とした フ ォーマル な学習 の 意義を再確認すべ きである, とい う批判 も一方 では強 くみ られ る。高等教育全般 の財政上 の 危枚的状況が続 く中で,そ の地位 あるいは教育の質 の維持 と本来 の教育的 コ ミュニテ ィとし ての使命 を どの よ うに調和 させなが ら発展 してい くのか,今 日の コ ミュニテ ィ ・カ レッジに 課 せ られた重要 な課題 である といえ よ う。 最後 に, コ ミュニテ ィ ・カ レッジに もい くつかみ られた非伝統的 な学習形態 の開発 ・実践 紘,最近 の伝統的4年制大学 の成人教育施策の中で も,各種財団や連 邦の援助等に支 え られ なが らよ り大規模 に展開 されつつ あ る。高等教育人 口の減少に よ り,諸教育機 関が学生獲得 のために激 しい横会 を強 い られ てい る状況 を背景 に, よ り多 くの成人 に生涯学 習の機会 を提 供 しよ うとす る非伝統的高等教育の拡充方策につ いては,稿 を改めて論及 してい きたい。
清水 :アメ リカにおける生涯学習の発展 とコ ミュニテ ィ ・カ レッジ 37 註 (1) 新井郁男「生涯教育論の思想的系譜」(『口本生涯教育学会年報第1号』,ぎ ょうせい,昭和55年), p.248. (2) すでに, これに関 しては,拙稿 「アメ リカにおける大学開放の動向- 『生涯学習』の 観 点 か ら
-
」(『日本生涯教育学会年報第 2号』, ぎ ょうせい, 昭和56年)の中で言及 してあるので参照 され た い 。 (3) なお,この 「生涯学習法」は,主に財政上の理 由か ら, 1980年の再改正の新高等教育法 (Public Law96-374)において消滅 され ることになった。(4) RichardE.PetersonandAss∝iates,LifelongLearning inAmerica,Jossey-Bass,1980,p.5. (5) J.RobyKidd,LifelongLeai ngim ntheUnitedStates(Tom Schuller,JacquettaMegarryed,,
WorldYearbookofEducation1979:RecurrentEducationandLifelong Leaning),KoganPage,
p.115.
(6) RobertPeers,AdultEducation,Routledge& KeganPaul,p.283.
(7) LewisC.Solmon,JoanneJ.Cordon,TheCharacteristicsandNeedsofAdults inPostsecondary Education,LexingtonBooks,p.2.
なお, これは全国的な調査統計機関であるNationalCenterforEducationStatistics(NCES)の定 義 である。
(8) これは,主に成人の学習者に対 して,彼 らの もっとも都合の よい時間 と場所を もって高等教育の 機会を与えることを 日的 とし,通常眠 っている大学の施設 ・設備を活用す るために土曜 日と日曜 日 の週末授業を計画 した ものである。詳 しくは,拙稿,前掲論文,pp.272-276を参照 されたい. (9) NationalAdvisoryCouncilonExtension and Continuing Education,A SpecialReport tothe
Presidentandto the a)ngressofthe United States,U.S.DepartmentofHealth,Education& Welfare.NationallnstituteofEducation,1979,pp.36-38. (10) Ibid.,p.38・ (ll) 三浦清一郎 「現代アメ リカ成人教育行政の動向」 (藤 田秀雄編 『学習権保障の国際的動向』 日本 の社会教育第19集,束洋館,昭和50年),pp.107-108. (12) 坂本辰朗 「アメ リカの コ ミュニテ ィ ・カ レッジにおけるコ ミ,.ニテ ィ ・サ ーヴィス機能の成立」 (『日本比較教育学会紀要第 4号』,昭和53年),p.68.
(13) 以下の叙述は,主に RichardE.PetersonandAs sociates,Op.°it.,pp.159-162に よる。 (14) ミズー リ州の CulverStocktonCollegeやHannibalLaGrangeCollegeで も同様 の措置を とってい
る。